26 :
名無シネマさん:2007/05/24(木) 20:25:11 ID:2hPmW03L
佐藤佑市監督「シムソンズ」。イモ映画である
こんな映画で森下愛子と再会するとは夢にも思わなかった
ただただ愚かな、昔のツクリで、今の時代にこれをやるのはアッパレである
映画作りの精神において、フラガールなど下の下であることを再確認した
27 :
名無シネマさん:2007/05/24(木) 23:45:36 ID:2hPmW03L
なにをいまさらといわれるでしょうが、ピーター・ウィアーの「いまを生きる」
を観た。バーモント州の秋と言うと、ヒッチ師匠の「ハリーの災難」の
美しい紅葉の丘の冒頭を思い出す。だが、こちらは秋と冬だ。
ウィアーは「刑事ジョン・ブック 目撃者」が最初で、手順前後しながら
穴を埋めるように作品を観ている。
格調の高い演出であり、大陸の影響があるとされるが、
T.リチャードソン、カレル・ライス、アンダーソンらのイギリスの影響あり
だと個人的には思っている。
この作品は下手をすると、フランク・ダラポンのような通俗教化映画の
出来損ないになりえる題材であるが、
画面構成の格調の高さがそれを感じさせない
またシナリオも細部ではかなりインテレクチャルであり、
処女長編のピクニックatハンギンクロックから
ミステリ要素をのけたような出来となっている
国産品の採点はどうしても甘めになってしまうが
こちらは堂々たる、本物の佳作であった
28 :
名無シネマさん:2007/05/25(金) 08:00:38 ID:ZgDQO8R2
Dead Poets Societyが原題で、「死せる詩人たちの会」という訳はいいよね
ロビン・ウィリアムズスが繰り返し強調する”SEIZ THE DAY"(いまを生きろ)
を日本語タイトルにしたのも、おかしくない。
英語そのままが多すぎるもの。
>フランク・ダラポンのような通俗教化映画
これは痛烈で、ショーシャンクのファン(なんたって、若者人気No.1だもの)
は怒るだろう。でも教化映画んわりに、バイブルの精神を蹂躙してる!
この矛盾。けど一応天台宗だし、母方はクリスチャンの家系だけど、まあ
イッカ。ダラポンはきちんと編集を学ぶべしだ。冗長ですよね
29 :
名無シネマさん:2007/05/25(金) 08:07:29 ID:ZgDQO8R2
あれま、”seize the day"だった。
ついでに
ロビン・ウィリアムズス→ロビン・ウィリアムスだった
彼が物まねする、マーロン・ブランドとジョン・ウエインは似てないわね
わたしって、朝がよわいので失礼しました
30 :
名無シネマさん:2007/05/25(金) 14:13:21 ID:V5q1A1aE
「ただ、君を愛してる」はなんの予備知識もなく見て
あの結末が最初から、わかってしまうのね。だからダメだね
これは構成の問題ではなくて、演出の力の問題です
いってみれば、アリバイ破りのミステリはアリバイ破りと思われたらおしまいでね
まあ、鮎哲先生のようになってしまうと別ですが。
四季は丹念に描けているし
宮崎あおいの黒い服のポートレートのシーンだけ少し好きかな
31 :
名無シネマさん:2007/05/25(金) 14:16:55 ID:V5q1A1aE
連投スマソ。初めてだけど、つい長く書いちゃうねw
32 :
名無シネマさん:2007/05/25(金) 19:26:26 ID:ZgDQO8R2
>>30-31 >あの結末が最初から、わかってしまうのね。だからダメだね
以下、「ただ、君を愛してる」のネタバレ。未見の人は、読まないで下さい
ブルックリン橋からマッハッタンが見える開巻から死の暗示
母親や兄弟が死んだ話、薬の袋、すぐ死んじゃうとか言うし・・・
わざとネタバレさせてると思う。意図的ですよ
33 :
名無シネマさん:2007/05/25(金) 22:24:58 ID:ZgDQO8R2
「妹の恋人」。これはつまらない。
タイトルバックのイーストマン・カラーのような映像がよかっただけだ
無理して褒めるなら、デップのキートンの物まねくらいかしら
34 :
名無シネマさん:2007/05/26(土) 09:38:05 ID:b//jcp6G
ヴォルフガング・ペターゼンのネバーエンディング・ストーリーだが、
Uボートより、こっちがいいな。原作は読んでいない。豪華本だし・・・
結構、観ようによってはグロいキャラクターもあるけど、
全篇、ハートフルであっかるいのので、少々の欝気分から霧が晴れて、
爽快な気分で寝れました。安眠剤である。
おそらく「無」というのは熱核戦争だろうし、苦くて辛いところもあるが
古本屋の冒頭から良質なテイストで、宮崎アニメも影響を受けた?かも。
これ以前はナウシカ、コナンだから、根拠なしでは書いていない
少し前にポーラー・エクスプレスを見たが、こちらは20年後だから
SFXは20年間、なにをしていたんだろう。ペターゼンはいい
35 :
名無シネマさん:2007/05/26(土) 16:38:09 ID:/xDXqg8+
鬼のように映画を見てるね
36 :
名無シネマさん:2007/05/26(土) 17:29:13 ID:ot4HEEAH
重複
37 :
名無シネマさん:2007/05/27(日) 00:41:16 ID:cLwYWCRd
また天下の最愚作を見てしまった。ザック・ブラフ監督・主演、
ナタリー・ポートマンの「終わりで始まりの4日間」である。
心の闇を抱えた若者たちのラブストーリーなのだろうが、退屈極まりない。
若い監督なのに、溌溂さが微塵も感じられないし、
音楽にいたっては、一昔よりさらに20年前の感覚である。
ポートマンは”レオン”以降、”世界中がアイ・ラブ・ユー”は映画自体、
MGMミュージカルみたいでとても楽しめたけど、彼女はパッとしなかった
ウエイン・ワンの”ここよりどこかに”にいたっては、
スーザン・サランドンとともに、雁首を並べて轟沈、これはワンがひどすぎた
今回もニューロティックな凄みもなく、ただたんたんと楽しくない
雰囲気が支配するだけで、ゲッソリするだけで後味の悪い映画である。
こんな映画で映画祭にエントリーするな。金返せ泥棒の心境だ。
就寝前に、とんでもないのを最後まで見てしまった
38 :
名無シネマさん:2007/05/27(日) 22:23:35 ID:cLwYWCRd
推定無罪を再見した。訳があっての再びだが書かない。原作のスコット・トゥロー
の裁判ミステリは傑作の誉れが高い。
確か故瀬戸川猛資が裁判自体が絶妙なトリックだという批評文を
読んだ記憶がある。だったらアガサ・クリスティの「葬儀を終えて」のような
仕掛けではないかと根拠なく推測してみる
15年くらい昔だが、ストーリーは見始めたら思い出した。
シドニー・ポラック製作、「鏡の国の戦争」監督のF.ピアソンが脚本、
アラン・J・パクラはロバート・マリガンの名作「アラバマ物語」他の製作者
時代からよく知っている
物証のコップが消失した仕組みや、推定無罪の原則を前面に押し出したこと、
司法取引には応じないと言うやりとりなど、見落としがかなりあった
地味で渋いが、さすがにキラリと光るシークエンスもいくつかあった。
最近はこういう作品にはとんと、お目にかかれないなあ。パクラ監督に合掌。
39 :
名無シネマさん:2007/05/28(月) 22:53:43 ID:IKqfhcMn
根岸吉太郎監督「雪に願うこと」。うーん、画竜点睛を欠くとはこの映画だ。
根岸には全てつきあって来たが「遠雷」を含めて全否定で、泥臭いタッチと
独特な暗さがその理由だ。本作は豪華キャストで、昨今だと大作である。
ばんえい(=馬ソリ)競馬を舞台にした人間ドラマで、場所は狩勝峠を越えた
帯広。移動撮影が多く、白樺林や薄暮のロングショットがよい絵になっている。
手持ちも多用だが、こちらはセンスが悪い。だがすべからく、根岸らしくなく
爽やかな雰囲気で、佐藤浩市と伊勢谷兄弟が近づいていくシーンなど西部劇
のようである。人生の居場所を失ったとき、かえる場所がある人はいい。
血族って言うのも厄介だが、いいもんで、かえる場所をなくした人は
寂しいね、ってなことをつらつら考えていた。
全篇、カメラワークに相米慎二がチラついたのは、原作と小泉今日子の
せいだけではないだろう。
馬刺し歴十五年になるが、しばらく食えなくなりそうだ。
そんな、仕切り直しの人生を考える映画であった。
だから、画竜点睛がねえ、もったいない。
そこはとても遺憾だが、根岸は新境地に、今立ったところである。
40 :
名無シネマさん:2007/05/30(水) 00:18:34 ID:mvqMTzb5
ビリー・レッツ原作、ナタリー・ポートマン主演「あなたのために」。
かの傑作「ハートブレイク・カフェ」の原作者で、
小柄で知的でキュートなポートマンで、オクラホマものときたら堪んない。
傑作に違いないと思いながら、あんまり話題になっていないのが嫌な予感だった。
案の定、悪い予感が当たった。これ、たぶん原作は面白いと思う。
物語は陣痛が妙にリアルだったり、
少女強姦などがはさまり、アルコール依存症が通低音で展開する・・・
と書くとシリアス系のようだが、
レッツ原作だったらハートウォーミングなはずである。描き方の問題だ。
別れて、そして結ばれるのも、よくある話だが、とってつけたみたいだ。
せっかく褒めようと思って、好いところを探しているのに、
ことごとく裏切られる。ポートマンも少しくらいスタッフを選べよな。
なんだか、ユー・ガット・メールの以後のメグの足取りがチラつく。
また最悪な映画を最後まで観た。
41 :
名無シネマさん:2007/05/30(水) 08:09:57 ID:mvqMTzb5
厚労省の調査では三休四飲だと、休肝日なしと較べると
死亡率が1.8倍違うと言う。
休肝日二日だと、この調査では休肝日なしの方に色分けされ、
上の話題のアルコール依存症と同じ扱いである。
そもそも休肝日なるものー
アルコール依存症かいなか識別するための日だったのだが、
健康効果が乏しければ仕方がない
四休三飲であれば、尚健康にはいいそうである。
自戒をこめて、せめて三休四飲を心がけ、
休肝日は連続二日にしたいものである。
映画にかこつけた無関係ネタで、朝っぱらから失礼草々。
42 :
名無シネマさん:2007/05/30(水) 23:44:36 ID:mvqMTzb5
R.アッテンボロー監督「遠い夜明け」を観る。著名な名優だが、この監督の
「素晴らしき戦争」は傑作だった。センス溢れるミュージカルで、でも丸の内松竹
では一週間程度で打ち切りだった。そんな記憶がある。
今日は少し気分がとっちらかっているので。160分のこの映画、大丈夫か少々、
心配だったけど、どうして堂々たる娯楽作品になっていて、コーラスラインが
高級だったが乗れなかったクチなので、感動ひとしおである。
デンゼル・ワシントンがとてもチャーミングで、カリスマ指導者役がはまる。だが、
前半で殺されてしまう。後半はケビン・クラインの新聞記者が南アのアパルトヘイト
告発する本を出版するため、亡命計画をたてるのだけど、さすがに冒険ミステリ
の英国映画だから、サスペンス醸成はさすがに巧い。
マクリーンというより、ギャビン・ライヤルの味だから尚、うれしい。
派手じゃなく、渋いのです。
ポスト・アパルトヘイトや今の治安など、ちょっとだけ知っているけど、この映画
でも少しでてくるが、アパルトヘイトだけは国連は珍しく頑張ったと思う。
ラストの南ア上空の飛行機もライアルを思い出して、よい感じでゴキゲンになった。
だが、直後のスーパーで当然であるが、十分、痛みのメッセージを伝え、苛烈な事実に
引き戻された。
やっと本格派の娯楽(?、いえ十分娯楽です)映画を堪能いたしました。
43 :
名無シネマさん:2007/05/31(木) 22:31:28 ID:OWEWRaJj
小泉尭史監督の「博士の愛した数式」であるが、採点では貶しますが、本心から
すれば、根岸作品「雪に願うこと」より遥かに好みである。ロケがいい。そして
なによりも春の樹木が美しい。桜ばかりでなく、黄色、白の花をつけた樹木が
色とりどりでホカホカした気持ちになる。早春は黄色い花が多い。まんさく、
さんしゅゆ、オウバイ、連翹、山吹などだ。空もきれいだ。
この監督はいつもそうだが、端正な画面構成で、フィックスショットの正攻法
である。さて、なにが問題となるのか。それは監督のシナリオである。
原作者の小川洋子は素数のように美しい映画だと語ったが、であるなら
省略の美学による簡潔な美しさで貫かれていなければならない。原作には、
なかった吉岡秀隆の「数の歴史」のような教室の講義は不要だ。蛇足の蛇足である。
同じテーマで短期記憶の長期記憶への変換に失調がある「50回目のファースト
・キス」(絶対にファースト・デイトと訳すべき)があったが、本品の方が
しっとり感がある。できぐあいはどっちも、どっちもだろうが、吉岡のシーンを
全てカットして繋いだら、本品が上であろう。
ラストの陽光のしたでのキャッチボールは、フィールド・オブ・ドリームズの
幽霊の父親とのシーンを思い出して、懐かしいような気分になった。
44 :
名無シネマさん:2007/06/01(金) 22:30:08 ID:3E0hJaVA
「県庁の星」はCXの石原隆Pがエグゼクティブ・プロデューサーであり、
面白くなりそうな企画である。結論から申せば、駄作である。なぜか?
シナリオが悪い。店舗レイアウトや在庫管理など野暮なことはのけて、
ルビッチならどうするを真似て、ホイチョイならどうする?、笠原良三なら、
田波靖男なら、松木ひろしなら、そして井手俊郎どうすると、問うてみた
誰であっても、ソフィスティケーション・コメディーの味にはなったろう
織田裕二はミスキャストではないか。だが、ホイチョイの二作はそこそこで
あったから、決め付けるつもりはない。柴咲コウという女優さんには、ぜひ
女囚サソリ、ニキータを演じて欲しいと思っていたが、
もうキャラで勝負ではない、立派な女優さんになりつつあるようだ
表情にゆとりが出てきたような気がする。このようなシチュエーション・
コメディーを見逃しの三振にしてしまうことは遺憾である。
45 :
名無シネマさん:2007/06/01(金) 22:40:22 ID:3E0hJaVA
連投スマソ。KERAでも、クドカンでも勿論ましである。念のため
46 :
名無シネマさん:2007/06/02(土) 23:19:49 ID:bNYEm3q+
「あの頃ペニー・レインと」のキャメロン・クロウ監督の「ザ・エージェント」。
近作の「エリザベスタウン」は空前の出来損ないだった・・。これはいかに?
厳しく採点すると小佳作にすべりこみ程度の出来だろうが、切なくなる程楽しかった。
手持ちも横移動も自在だし、ト書き一行でも細かくカットを割って編集も達者だ。
カメラワークが神経質なのが難点になるくらいである。音楽の挿入はいつもながら
絶妙で、懐メロの選曲も文句なしだ。やや軽薄っぽいストーリーテリングは、
若い時分のルルーシュに似ているかも。
トム・クルーズと落ち目の黒人のアメフト選手との心の交流と試合の激突・ケガは、
ビリー・ワイルダーの「恋人よ帰れ!わが胸に」だ。まあワイルダーの研究家
だから当たり前ですな。26歳の子ずれ女のレニー・ゼルウィガーはやっぱり
演技が上手だ。シャーリー・マクレーンのようなペーソスがあって、
なんだか、かわいい。
監督夫人で音楽担当のナンシー・ウィルソンって、あのノン・ビブラートの
バラード”sunny”の歌い手ではないよね。まさかね。。。
47 :
名無シネマさん:2007/06/03(日) 08:04:52 ID:g4ys60pz
上をネット検索で調べたら、
”サニー”は1965年のボビー・ヘブの曲で、
ボビー・ヘブ自身がうたっているそうです。
私の記憶ではナンシーウィルソンや、日本では、
いしだあゆみさんがよく歌っていたのですが・・・。勘違いかなあ
48 :
名無シネマさん:2007/06/04(月) 08:58:09 ID:yoApFD67
事情があって、「ショーシャンクの空に」と「シュガー&スパイス風味絶佳」
をダブルで再見したが、初見と同じで関心せんなあ。もう疲れちゃった
前者は内容空疎で、つまらない話だ。同じスティーブン・キングの「グリーンマイル」
が謎解きがあるぶんマシかな。ロブ・ライナーの「スタンド・バイ・ミー」は
好きですよ、いっときますけどね。
後者は沢尻が鼻につきますな。調布だと思うが、なんで自転車でこけるかね
わざとらしい。原作のセリフには生命のしたたりがあって、素敵なセリフが
わんさかあるけど、こちらは小利口な御託並べて、軽薄きわまりない
柳楽はキラリと光るものあり。桃には笑った。いいね、若いって
49 :
名無シネマさん:2007/06/04(月) 22:22:04 ID:yoApFD67
アメリカのレフト・ウィングのマイケル・ムーア監督「華氏911」。
悪意に満ちた、ブラックな諧謔はツーレツだ。
悪ふざけが過ぎて、居た堪れない気分である。これでいいのか?
だが、戦慄の内容だ。主張にも紛れがない。
こういう映画が作れ、リアルタイムで公開されるアメリカは凄い国だ
ハリウッドは
マッカーシズムのレッスンを忘れていない。
だが、この作品は映画ではない
50 :
名無シネマさん:2007/06/06(水) 00:25:26 ID:Kj2Uwt3p
堤幸彦監督の「明日の記憶」。ヒットしたし、ブログでは、泣けた泣けた、
こらえ切れずに泣けたっけ。。。と”別れの一本杉”状態。だから観た。
まあ、少しテンション上げないと寝れないよ。泣けた人って健康だからだよね。
及川光博医師の認知症だか欝病だか、まあアルツハイマーの初期症状チェック
の設問だと、思い当たることばかりで、お酒もたしなむしさ、脳萎縮もあるかも
・・・不安なキブンになってしまった。
さすがに渋谷で迷子にはならないけど、初期だと、あれは誇張だろうしね。
若年性アルツハイマーは本当に怖い。
だから分子生物学の進展で、遺伝子組み換えなどクローンのような
阿漕な商業主義は怪しからんが、アルツハイマー治療には不可避でしょうね
家族愛、人間愛、熟年夫婦の愛って、いったい、なんなのだろうね。
この映画はとってもつらいので、欝の状況にある人だとメチャしんどいと思う
ただ映画として採点するなら、
冒頭の切り返しの爛れた夕焼けの一連のシークエンスはCGですな。
背景と人物の質感が違うから誰にでも、わかると思う。
この手の作品では、厳に慎むべきことだと思うけどなあ。不謹慎だ
渡辺謙は大嫌いな役者だが、この入魂は凄い。素直に熱演を褒めたい
樋口可南子は今回はマトモな側にまわって、透明感のあって、とてもいい感じである
切ない、いつか誰かが撮らなければならない作品である。
だが、ドキュメントは貴重だと思うけど、
商業映画として豪華キャストで映像化するのはどうなんでしょうね。
むつかしい問題です
51 :
名無シネマさん:2007/06/06(水) 23:49:38 ID:Kj2Uwt3p
マーティン・スコセッシの「アフター・アワーズ」。わけわからん映画だが、
なにげに凄くいい。ヘンな映画だけど楽しいからいいじゃんか。なんか粋だよね。
スコセッシってこんなことできたんだあ、という感じで、カンヌ受賞だの、
不条理コメディーだの、カフカだの、小林信彦がベスト100に入れたり、
スコセッシの最愚作だの、なんとも世間はかまびすしい。
もっとも、こちらもとっちらかっているけれど・・・。
不条理と言うより奇妙な味に近いかも、と観てると、いろんな女性とニアミス
で浦山しい。店を開けたり閉めたりするバーのマスターとか、グリフィス・ダンも
新聞紙ミイラになったり、ニューヨークの深夜はあわただしいのね。
タッチからすれば、コーエン兄弟やハル・ハートリーでも不思議じゃあない
映画ですが、やっぱりスコセッシは腕が違う。切れがあります。
’65年の頃の女の子の髪型って、つらつら思い浮かべてはみたけれど、
バイ・バイ・バーディのアン・マーグレットも、
パームスプリングのコニー・スティーヴンスも、その先輩だけど、
ナタリー・ウッドもあんなに大好きだったたのに、あんまりよく思い出せない。
昨夜の続きでアルツハイマーを思い出してヤナ気分になったよ。
まあ、BB、CC、MMは鮮烈だけどね、好みじゃないのよ。
モンキーズって、やっぱり懐かしいな。特典はわざとみないで書く主義です。
だから頓珍漢やアンポンタンは許してください。
52 :
名無シネマさん:2007/06/06(水) 23:56:58 ID:Kj2Uwt3p
グリフィス・ダン→グリフィン・ダン
あんなに大好きだったたのに→あんなに大好きだったのに
今日は訂正しておきます
53 :
名無シネマさん:2007/06/07(木) 23:53:03 ID:ySqXKQ+m
才多くして夭折(?)された今村仁司なら存じているが、勉強不足で恐縮乍、
矢崎仁司(知らない)監督の「ストロベリーショートケイクス」を観た。
やさしいまなざしの珠玉の感動作というふれこみらしい。原作魚喃キリコ。
なな!なんなんだ。電話番、ふーぞく嬢、重たい女、過食症の四人の女たち。
さりげなく日常を描くのかと思いきや、悪趣味でグロいだけの昨年度屈指の
駄作である。こんなヤツいねーよ。いたら気味が悪いよ。同じ空気を吸って
いたくない。まあ、冒頭近くの往還横移動はダウン・バイ・ローのジム・ジャー
ムッシュみたいで、夜景とコマ落としの電車、熱帯魚(金魚?)、原色のセット、
少しの間、期待したのです。演出は下手くそだけど、本編は三作めだから、そりゃ
大森一樹のようにはいかんわなみたいな、そんな感じです。グロは思い出したく
もないので、褒めどころ皆無の映画だけど、なぜダメかをチョッピリ書く。
会話がインプロ的だが、神様にお願いや過食症に頼るのは幼稚園児的なシナリオで、
音声が聞き取りにくいし、演出に奥行きというのがまったくない。
シャドーがあいまいで、ぼんやりしているから、ライティングは総じて暗い。
グロで、悪趣味フェティッシュなわりに、エロスときたら観念的で美しくない。
かくて当然であるが、四人の女性は横並びで、性格の描き分け、陰影など
望むべくもない。腹が立って眠気も吹き飛ぶほどの映画だが、二つだけ好い所
を発見した。手持ちカメラのところは水を得た魚のようで、8ミリ出身の面目
はたったかな。屋上の長まわしのシークエンスは自然な空気が流れていたかな。
まあ、こういう監督に映画を撮らせてはいけない。もっと若手にチャンスを
与えて欲しい。こんな映画に箱入りで特典というのは、世の中まちがっておる。
54 :
名無シネマさん:2007/06/08(金) 21:12:51 ID:7g1iCg3e
デ・パルマの「ミッドナイトクロス」。恥ずかしいが、ちゃんと見たのは初めて。
うーん、この映画のトラポルタはいい。カムバックも納得です。
この映画の謎の原型はアントニオーニの「欲望」かもしれない。あちらは不条理に
してしまって、こちらは堂々たるミステリ映画だ。デ・パルマの初期のおしまい
位の時期になるのかな。さすがにカメラワークは華麗で、パンアップして
左へ横移動して、またパンアップをワンカットだったり、鏡やテレビ画面
を使って、スプリット・スクリーンにするとか、またやっとるわいです。
サイコのインチキ・パロディも伏線(?というか)で、専売特許のエンエンと
長丁場でカメラが人を追いかけていくサスペンス醸成も見せてくれ、ゴキゲンです。
シャブロールの殺意のエンディングのような俯瞰もありました。殺しのドレスの
ナンシーアレンが少しオツムが弱そうな感じだが、かわいい。
殺しの場面はすべてヒッチ師匠似だけど、それがまたうれしい。
祭りの花火から雪、少し長めのエンディングは苦いが、それもデ・パルマの味ですね。
余韻が残るし、とにかく後半がだんだんよく鳴る法華の太鼓で、とてもいいのです。
アングラ・オカルティズムの怪作「ファントム・オブ・パラダイス」の次に
好きかな。よかった、よかった。堪能でした。
55 :
名無シネマさん:2007/06/09(土) 21:52:39 ID:ErymsjE5
ピーターウィアー監督「トゥルーマン・ショー」。
この監督の才からすれば凡作なのでしょうね。ただこの監督の作品は、
何一つ嫌な気分になったことがない。B.レビンソンなんかとても相性が
よかったのだが、「バグジー」で少し調子を落とした後はつるべ落としだもん。
アーミッシュも、E.シルバースタインの秀作「馬と呼ばれた男」のような
物語で、決闘は西部劇だった。いまを生きるはヴァーモントの風景が素敵だった。
デビュー作からD.リーンの「ライアンの娘」のような映像の文体であった。
格調が高い映像と心地よい音楽、そしてみな立派な娯楽作品である。
ただ、この映画は「クイズ・ショー」のような二重底の虚構ではなく、
作品・作風が虚構であるので、何も知らないで観たら、もっと採点がよくなった
のかもしれない。ラスト・シーンでジム・キャリーが恭しく一礼をして、
警備員はしばし感動の後、チャンネルを変えるエンディングは、テレビという
メディアの持つ虚構性を暴くものである。まるで、人様に読ませるために
書く日記のように、本質におけるフィクション文化批判とも受け取れる。自戒です。
56 :
名無シネマさん:2007/06/10(日) 00:08:34 ID:QU2FGHKX
フライト・プラン。三流以下のプログラムピクチャーだ。
2度のオスカーに輝いたジョディ・フォスター主演が唯一の彩りだが、
容色の衰えはいかんともしがたい。
ハイテクのジャンボ機で彼女の娘が失踪するというお話だが、
大空港やエアポート75のようなグランドホテル形式ではない。
むしろヒッチ師匠の「貴婦人失踪す」
(誰だ!”バルカン超特急”というイモなタイトルにしたのは)のように、
誰も失踪を信用しなくて、あちこち徘徊して娘を探し回るお話。
師匠の方はサスペンス満載、ユーモアの味付けもあってそれは楽しかったが、
ハイテク機の方はジョディがヒステリックに騒ぐだけで、観客の方はどんどん
盛り下がるというだけ。最近のミステリ映画はこんなものだけどね。
またも、不発のミステリ映画であった。
57 :
名無シネマさん:2007/06/10(日) 23:48:38 ID:QU2FGHKX
ある事情があって、と勿体をつけて理由は書かないが、フランティックを再見。
名匠ポランスキー作品だが、かなりぬるいのですが、ピアニストよりずっと好きだ。
水の中のナイフや袋小路は別格ですが、反撥観たら床屋に行けなくなった。
昔の言葉でいうとニューロティックスリラーでいいのでしょうが、
それを突き抜けた、かなり危ないアブノーマルな感覚だと思う。好きじゃない。
だから、この類のゆるい映画の方が好き。
出来からすれば、赤い航路の方がたぶん上だとおもうけど、
これやナインスゲートの謎の美女役のエマニュエル・セイナー(セニエ)が
好きなので、こちらが上。
この頃のポランスキーはセニエと恋愛(結婚)していたせいか、
パリの舞台が多い。パリ警察の官僚制批判は痛烈だが、ワケアリなのかしら。
リベル・タンゴって名曲ですね。
映画のツクリはヒッチ師匠にS.ドーネンの「シャレード」「アラベスク」を
混ぜた感じだが、そんなにお洒落じゃない。
むしろK.フィアリングの大時計を焼き直した「追いつめられて」が近いかも。
ハリソン・フォードはなんかジタバタしていて、運動神経悪そうに演じた(?)。
外科医でフランスでの国際学会のスピーカーなのに、
フランス語がからきしダメというのは、メス捌きだけのお医者様かいな。
おかしいね。
アラブ=イスラエルの問題が遠景にあるのだが、かなり解りにくいです。
はっきりいって、どうでもよいのでしょう。
ポランスキーってロリコンですよね。33才年下のエマニュエルと三度目の
結婚。シャロン・テイト事件や少女イタズラ逮捕事件を経験して、いまや、
エマニュエルには二人の子供がいるなんて、裏(の)山しい。
おしあわせにね。あ、そうだ、余裕があれば、
「手紙」も明日の早朝に再見しなければならないのだ。今日はこれでおしまい。
58 :
名無シネマさん:2007/06/11(月) 23:59:59 ID:SakTstQ1
朝にチャプターで「手紙」をチラッと断片的に再見したけど、
こういうので書くのは気がさしますな。
前に
>>15で書いたし。。。桜並木のエンディングは見直した。好きですなあ。
ロジャー・ミッチェル監督の「ノッティングヒルの恋人」も再見だけど、
二度目の方がよかった。どういうことなんだろう。
ただ、最近の映画はかなり質が落ちているのは確かで、
「ラブ・アクチュアリー」監督のリチャード・カーティスの脚本が
よいのでしょうね。ソフィスティケーション・コメディーになっているからね。
ありふれた家庭を描くというアマチュアのようなつくりにしたのが、
新鮮だったのかもね。この人の本は洒落てはいるけど、ペダンティックな
ところがあって、また逆に下ネタも抑制がきかない。
まあ相殺し合ってるのだろうけどさ。ノッテイングヒルは庶民的な町だが、
おとなりの高級住宅地のお庭はご近所さんだけの共有のお庭なんだよね。
昔、パディントンからウエストエンドの蜷川の芝居を観にいったら、
当日、打ち切りになったことを思い出したよ。かなり昔になってしまった。
アズナブールが歌っていた"SHE"って名曲だね、あらためてそう感じた。
なにをいまさらなのでしょうけど。この映画のいくつかの部分は、
「やまとなでしこ」とかで、そのまんま、つかわれているね。ま、いっか。
59 :
名無シネマさん:2007/06/13(水) 01:05:31 ID:yGmr2Noh
西川美和監督「ゆれる」。
笑いが止まるよ、美和ちゃん。心配になるほど酷い。
昔のGFと同じ名前だから、怒ってはいないけれど。
木綿のハンカチーフという懐メロがありましたね。
(オダギリから)兄貴。俺ははなやいだ街で、
兄貴への贈りものを探すつもりだ。
(香川の返事)んにゃ ほったらもん、欲しくはないべ。
都会の絵の具に染まっちゃ、やーよ。
まあ、そんな映画なんじゃないの。かなり不出来な私家版DVDだべさ。
これを観て、兄弟関係なんざ考えると、巧くいくものもこんがらかるから、
おやめになったほうがいい。香川照之はなにを演じてもいいね。
でも最後まで観ましたよ。いい子いい子してね。おやすみなさい。
60 :
名無シネマさん:2007/06/14(木) 00:50:44 ID:Nby6XWxu
名匠シドニー・ルメットの「デストラップ 死の罠」。初見です。
「死の接吻」「ローズマリーの赤ちゃん」のアイラ・レヴィンの舞台劇の
映画化だそうで、見ごたえのあるミステリ映画に仕上がっている。
ルメットは「十二人の怒れる男」や「オリエント急行」など、傑作ミステリを
演出しているが、これもゴキゲンな佳作である。ルメットの特徴は
ワンセット・ドラマ風なのが多いのと、構図が冴えているところだと思う。
今回もワンセット・ドラマであり、やっぱり構図がキッチリしている。
ミステリ愛好家のはしくれなので、エチケットは守る主義である。
マイケル・ケインとクリストファー・リーブに、ルメットだから
舞台にゆかりがある人ばかりで、舞台劇を観賞しているような気分になる。
ラスト近くなって、舞台ファンでもあるので、
こうだったらいいな、あれもやるとおもしろいのになあ、と勝手に想像のなかで
遊んでいたら、全部、現実になるから、とてもうれしい誤算だ。
まあ、読み筋ではあるんでしょう。このドラマの作り方は再帰的な入れ子
構造のようで、それが変に数学的とかではなく、びっくり箱のようでとても
感心しました。楽しかったです。好いのを見せてもらいました。さすがです。
満足、満足。
61 :
名無シネマさん:2007/06/16(土) 01:03:00 ID:YHf5g4lp
ポールニューマンの「ブレイズ」。ニューマンもお年を召され、
渋くなったなあと思った。
声を作っているけど、好きな俳優さんだ。引退するらしいですね。
映画は前半はもっと面白くてもいいはずなんだけど、
ちょっと乗りそびれたのかも・・・。
後半の選挙落選後はかなりいい。バストが大きくて気の強い女っていいね。
ブレイズの故郷の西ヴァージニアの山あいの実家での母親とブレイズの会話。
しんみりしちゃった。年とったので、年の差カップルも気にならなくなった。
65歳と20代だもんね。ジャンバラヤっていい曲だね。
ハリウッド・リベラル派代表P.ニューマンの面目躍如の映画だ。
ラストがよい。花一輪が印象的だ。
もう一本は、ティム・ロス主演、ペイト兄弟作品の「ライアー」。
これは、本はよくできてるのに、演出がからきしいけてなくて、同じ兄弟なら
コーエン兄弟だったら、まったく違ったタッチで、凄みも面白さも
かなり違ってでしょうね。勿論、よくなるって言う意味です。
これ本当はリドル・ストリー仕立てなのだが、誰もそれを言わないで、
よく訳が分からなくなったとか言っているけど、それはひとえに演出が
イモだからだ。もったいなかったね。
62 :
名無シネマさん:2007/06/16(土) 01:07:29 ID:YHf5g4lp
訂正しておきます。
かなり違ってでしょうね。→かなり違ってたでしょうね。
63 :
名無シネマさん:2007/06/16(土) 20:49:48 ID:YHf5g4lp
李相日監督「フラガール」。手だれてはいるんでしょう。基調はシチュエーション・
コメディーですが、ステレオタイプな演出で、懐かしい絵にもなっていない。
この映画がキネ旬の一位というのは、ご冗談でしょ。
とんでもハップン、歩いて15分である。
この映画のむなしさはどこから来るのでしょう?
たぶん常磐という場所が生きた形で描かれていないからだと思う。
この監督には命を刻んだ原風景というのがないような気がした。
前田陽一や森崎東ならどう描いたろう。
前者ならモダニズムで、後者ならハードボイルドタッチだったろう。
この監督の前の相棒のクドカンだって、もっとぶっ飛んだライト感覚で
勝負だまを放ったでしょう。この監督は勝負をしていない、だからダメだ。
大林「ふたり」の父母と「虹の女神」とこの映画の蒼井優はなるほど凄い。
この映画の真の主役はおそらく岸部一徳ではないかな。
駄作ですよ。ほかに、もう言うことないや
64 :
名無シネマさん:2007/06/17(日) 00:34:24 ID:t3U0cyV/
ロン・ハワード監督「ダ・ヴィンチ・コード」。原作は読んでいない。
めちゃ評判悪いから、どうでもいいやんという感じで観たら、これが面白い。
娯楽ミステリ映画で、堪能しました。カーチェイスがどうたら、バイオレンスが
どうたら、ホラーでどうたら・・・、みんなマジメなのね。
うちは天台宗だし、もっとも母方は本格的クリスチャンらしいけど、
この映画はむやみやたらと絵柄のでかい、気宇壮大、
近来稀に見るデタラメ極まるほら話だと思えば、いいやん。
ダイイングメッセージ、アナグラム、暗号解読、ルーブル美術館なんか
とてもよく観れて、ピルグリム・ミステリだったよ。
今はピルグリム・ミステリとは言わないのかなあ。
昔は巡礼ミステリ、観光ミステリの類をそう呼んだんですよ。
ホラーも入ってるし、ゴシックロマンもあるし、詰め込むだけ詰め込んで、
カーアクションなど、はみ出ても入れちゃった。
ハワードのカメラワークが楽しめた。身代金、シンデレラマン、ビューティフル・マインドだと、
一番最後のだけ、ミステリにしなかったから妙に深刻なキブンで後味が悪かった。
率直に言って、「薔薇の名前」と比較検討すれば、
本格派中世ミステリではないし、
黙示録が・・・というような専門性もないし、
本格パズラーの醍醐味はないし、
工夫を凝らした迷路やざらつかせた映像美学もない。そして、
火災崩落の圧倒的な終幕と較べると、それはねえB級なのですがね。
較べなくてもいいやん。楽しかったからという感じかな。
65 :
名無シネマさん:2007/06/17(日) 22:23:48 ID:t3U0cyV/
またかよといわれそうですが、佐藤祐市監督の「シムソンズ」。弁解めきますが、
フラガールとは出来が違うと前に書いたので、事情もあって再見しました。
この映画はスポ根とガールズ・ムービーの合体ですが、B級プログラム・
ピクチャーであります。黄金期であれば、C級でしょうね。
ですが、今の邦画の水準からすると、とても好感が持てる作品です。若い
人たちはよくベタといいますが、ベタベタな映画ばかりが量産されるなか、
この映画はまさしく青春映画のオーソドキシーを遵守しています。で実は、
アンチヒーロー、アンチクライマックスなのですね。でも挫折感はない。
透明感や爽快感があるのはなぜ?
それは、結構上品なツクリで、ピュアな演出だからです。あざとさがない。
カーリングというスポーツからして地味、恋愛もキスもない、という
生きた化石状態の少女たちですが、田舎の風景が素晴らしくよい。
影とか画面構成もしっかりできています。
「ストロベリーショートケイクス」のように、才能もないのに奇を衒うこともなく、
ごくシンプルですが、四人の少女たちはきちんと描き分けられています。
この映画には時間の流れがあります。フラガールは、時間が止まっています。
映画の本質の部分に汚れがないので、ナチュラルな風が流れているからです。
もちろん問題もあります。走る車の外の白樺林は、昼と夜(フィルターでしょうが)
のがありますが、これはスクリーンプロセスです。初雪のシークエンスも
もう少し、工夫はできたでしょう。
ですが、あまり美しいとはいえない映画ばかりですので、
この映画の点数は甘くなりますね。「キサラギ」も楽しみです。
66 :
名無シネマさん:2007/06/18(月) 23:24:04 ID:inP6PpZM
大谷健太郎監督の「ラフ」。
やれやれ、やっと終わった。
途中では投げない主義だが、これとラブ★コンだけは地獄の苦しみだった。
根性で耐え抜いた。
およそ反生産的な忍耐力だ。さっさと片付けましょう。
獅子文六の「箱根山」が原案というか、ロミオとジュリエットでもよいけど、
その設定はいったいなんやねん。
またおそろしく季節感がない。
まあ、寮で合宿するから夏でしょうが、おしまいに近くなり、
もう夏も終わりねというセリフとセミの声で、
ああ夏なんだとぼんやりそう思った。
つまり季節など、どうでもいいんです。
それにしても、老けた高校生だ。
また、ウジウジ、ウダウダ。あなた、いつの生まれの人という感じ。
語るに落ちる映画だから、一行だけにしておこう。
この映画にはリズムがない。おもしろくなーい。
昨日の映画と同じ役者がお二人でていた。
この頃の長澤まさみは息が抜けたようなしゃべりではなかった。おしまい。
67 :
名無シネマさん:2007/06/19(火) 22:49:08 ID:QM0dNm4q
スティーブン・ヘレク監督「ブロンド・ライフ」。製作のアーノン・ミルチャン
は「プリティ・ウーマン」の人。じつはヘレク監督はゴヒイキの一人で、
チャーリー・シーンの「三銃士」など、オールドグッドデイズのハリウッド映画の
つくりで、「陽のあたる教室」など、「我が道を往く」のレオマッケリーみたいな
味わいがあり、目立たぬが、なかなかの秀作である。音楽の入れ方も巧みであった。
さてこの映画はアンジェリーナ・ジョリーであり、ヘレク監督の力量からすれば、
凡打であろうが、個人的にはゴキゲンな出来だった。
ストーンズやタートルズなど、やはり音楽は巧く使われていて、
似合うか似合わないかは別だが、アンジェリーナがプラチナ・ブロンドだったり、
’50年代のロマンティック・コメディーのつくりをしている。
「きみの瞳に乾杯」などという名セリフをヌケヌケとやってくれるから、
うれしくなってしまう。ラブ・コメではない、正調ロマンティック・コメディー
とは、こういう作品を言うのだ。わかったかね、法水君。では、なかった。
わかったかね、お若いの・・・である。
68 :
名無シネマさん:2007/06/20(水) 19:26:21 ID:NIQw5oK9
本広克行監督「UDON」を観た。
いいじゃないの、こういうのあって。褒めるような映画じゃないけど、
それでも昨年のベスト5に入る。
企画ものだけど、伊丹のような不純な動機の所産じゃなくて、
小利口な御託がないのがいい。欠点は長尺なところかな。
亀山=本広が計算づくにせよ、
バカバカしくて楽しいから、好きだ。
69 :
名無シネマさん:2007/06/21(木) 00:50:07 ID:nPKqJeCd
ミロシュ・フォアマンの「アマデウス」を観る。二度目である。
全然、印象が変わった。これって、かくも大傑作だったのか!
当時、リアルタイムで観たけど、
ピーターシェファーが脚本を書いてたくらいなら知っていたのに
"young and innocent"ではすまされない、己の無知をマザマザと再確認させられた。
当時はサリエリの立場で見ていたと思う。
モーツァルトの笑い方に、妙な違和感があったのを覚えているが、
描き方はエキセントリックだが、役者は名演ですね。
演出はフォアマンらしくなくて、骨太のワイラーのタッチみたいだ
という記憶が残っていたが、ワイラーとも別物だった。
映像も見事なものである。華麗にして壮観である。
ベスト10では、女と男の名誉か、ストリート・オブ・ファイヤーか上にした
と思う。これは何も残ってないから、カン違いで時期がズレているかも。。。。
TPTや遊眠社のような舞台を見るのが遅かったから・・ってこともあるかな。
でも映画として素晴らしい出来だから、そんなの理由になりませんね。
この映画には、完璧な瞬間が何回かあった。再見してよかった。
なんとも、お恥ずかしい。
70 :
名無シネマさん:2007/06/21(木) 23:49:28 ID:nPKqJeCd
川野浩司監督「Love My Love」。
こういう作品も観たぞということで、書いとこう。
際物かと思ったら大真面目だった。でも、卍のようにシリアスでもないし、
変態的なエロスもない。
石田衣良は下手くそだが、まあ、思ったよりはマシか。奇態な存在感はあった。
ヘンテコな邦画ばかり見ているから、判断基準もヘンになってくる。
吉祥寺の現在の状況がよくわかり、うん、時代の流れを感じた。
高橋一生くんは、お姉さんといっしょ (NHK)頃の荒木一郎のようで、
少し楽しみである。吉井怜はとてつもない難病を克服した人だから、
がんばりやさんだと思うが、主役は無理ですね。まあこんなところでいいでしょ。
71 :
名無シネマさん:2007/06/21(木) 23:52:46 ID:nPKqJeCd
上のタイトルを間違えた。
「Love My Love」→「Love My Life」でした。
72 :
名無シネマさん:2007/06/22(金) 13:14:17 ID:nN+STiSO
シネマ・クレージー、シネクレですね。毎日、読んでいます
73 :
名無シネマさん:2007/06/22(金) 23:57:27 ID:GkZN9uQY
ポール・ニューマンが引退するみたい。引退のセリフがらしくて格好いいね。
んでもって、「ブレイズ」と「デストラップ 死の罠」が繋がって、「評決」
を観る。ニュマン=ルメットに、ゴヒイキのシャーロット・ランプリングの
オマケまでついている。休肝日の日には少し辛いが、酒びたりでピンボール好き、
ピュアだがドロップアウトしたインテリ。こういうのは彼の独壇場だ。いいなあ。
この映画はワンセット・ドラマではない方の、
「女優志願」的な風景描画がたぷりで、街角ショットなどありで、
エンディングが洗練の極みです。J.スマイトとの「動く標的」とかこれ、
ハイブラウな締めくくりのお手本ですな。お二人はお似合いで、チャーミングだね。
もう一つは、コーエン監督の「ブラッドシンプル」のニューバージョンだ。
これ、劇場版とどこが違うんだろう。特典は観ない主義だ。映画は絵で魅せる
もので、口で説明するものではないでしょう。ヒッチ師匠とワイルダーなら、
勉強になりますが・・・。しかし映像美学はさすがに素晴らしい。凄みのある
、押しまくる、これでもか演出はヒッチ師匠というより、クルーゾーを思わせる。
だが、クルーゾーほど、ゾクゾクするサスペンスはない。この兄弟の作品は、
クライム物語が多いのだが、犯行の本線からいつも脱線していくんだよね。
本作はJ.M.ケイン風なのだろうが、正直、泥臭い残酷趣味が、生理にあわない
ところがあります。独立系独特のグロさとは相性が悪い。ハートレーもそう。
たとえば、後味悪そうなミステリでもハーマースミス、伯母殺人事件、とか
成瀬(だっけ?)が換骨奪胎して映画化したアタイアの細い線だったら、
それは洗練されているからいいのですよ。アルレーもアームストロングだって
OKです。ロバート・ブロックの泥臭さが似ているかもしれない。
でも才能は抜群だから観ますけど、ファーゴもこれも、本当は苦手ですね。
書いちゃうと、あんまり好きな作家じゃないってことです。
74 :
名無シネマさん:2007/06/23(土) 00:16:33 ID:vkSmhB8+
今日は訂正しておきます。
「女優志願」的な風景描画がたぷりで→「女優志願」的な風景描写がたっぷりで
75 :
名無シネマさん:
イーストウッドの「許されざる者」。いくつか言いたいことがある。
ジョン・ヒューストンの同名映画(the unforgiven)とはまったく無関係というが、
そうではないでしょ。この前作の「ホワイトハンター・ブラックハート」は「アフリカ
の女王」が土台だし、"the"こそないが同じタイトルだから。無関係もなにもね。。。。
で本題。
たそがれガンマンの前半は「砂漠の流れ者」のような詩的な味わいがあったら
とは思うが、イーストウッドさんはポエムとは縁がなさそうだから、せめて
バート・ケネディーが珍しく大マジメにやった「大列車強盗」のような
風景と構図があればと思った。
終盤の酒場での撃ち合いシーンは、オマージュを捧げたドン・シーゲルの
偉大な名作「ラスト・シューティスト」のようであって欲しかった。
あっちは殺されたのは3人で、こっちは5人だけど、
ショットの冴え・小道具の使い方と迫力がゼンゼン違った。
長い間、西部劇を見てきた一人として、この映画に対する採点はみな、
甘口似すぎるように思う。
梅雨時のように、ジトジト・ジメジメしていてスカッとしない西部劇である。
といっても、これと「スペースカウボーイ」の二作は、
「ミスティック・リバー」以降の、全ての作品よりはずっと評価しますけれど。