解像度と映写環境の違いというのは、致命的な問題だ。
テレシネ作業というのは↓のような部屋で行われる。
ttp://www.imagica.com/cm/telecine.html 実際にはこのページの写真より照明をかなり落とした環境で行われるので
色のチェックに関してはあまり問題は無いのだが、波形モニターや操作パネルの
イルミネーションが点灯しているので、試写室での映写環境とはかなり違う。
おまけに、メインのモニターは大きくてせいぜい32インチ程度なので
>>221に書かれたような問題が起きやすい。
そしてテレシネルームは例外なく狭い。なので「スタッフ全員で」というのは無理。
となると、メインスタッフはこの部屋で仕上がりを見て、助手さん達は
スタジオのモニターで仕上がりを見る事になるんだろうけど、これでは何にもならない。
特に撮影部と照明部の助手さん達にとっては何の勉強にもならないだろう。
業務用ではなく民生のモニターを明るいスタジオで囲んで明るさや色調を
補正した後の素材を見なくてはならないんだから。
「助手連中の勉強なんて知ったこっちゃねーよ」という考えは全く間違っている。
明日のメインスタッフは彼らの中から出るんだから。
それに撮影・照明に限らず、スタッフの助手というのは漫然と技師に言われた事を
言われるがままにこなしている訳じゃない。自分なりの拘りを持って
能動的に撮影に参加しているわけだ。当然、彼らは自発的に技師の目の届かないような
細かい部分で自分なりに「実験」したりしている。それを大きな画面で
チェックできないというのはどうなんだろう?もし彼らの「実験」が失敗していても
民生のモニターでは「これで良かったんだな」という事になりかねない。
という事は、彼らは同じ過ちを同じ作品の中で繰り返す可能性があるわけだ。
これは「映画界の明日」なんて大げさな問題じゃない。
「作品の質」に関わりかねない、切実な問題だ。