【おすぎは】戸田奈津子の字幕15【味方よ!】

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577名無シネマさん
数年前、大学の講議で先生が『エリザベス』の戸棚の誤訳について
怒りを交えて語ったことがあった。
思い出したので、その内容を説明せにゃ。

Kat,I become (became?) the Virgin.
戸棚訳:「カット、わたしは処女になったわ」
先生訳:「カット、余は聖母になった」

新教徒とカトリックの両派の争いの果てに言う重要なセリフ。
この映画が言わんとするところ、まさにキモ!
カトリック派の異母姉メアリ女王はこのセリフの直前に
王位継承者で新教徒派に親しいエリザベスに向かって
次のようなことを懇願する。
「お願いだから人々から聖母をとり上げないで」

聖書原理主義の新教徒は、カトリック信仰の伝統である
聖母信仰や聖人信仰を「純粋なキリスト教を取り戻すため」に
排除しようとした。
だからメアリはこのようにエリザベスに言う。
エリザベス女王は政治的にはカトリック世界から脱退するけれども
聖母を模倣することで、姉を含むカトリック教徒に応えることにした。
最後のシーンで白塗り化粧と豪奢なマントで登場したエリザベスは
教会に祭られている聖母の姿に徹底的に似せている。
通り過ぎる「聖母」エリザベスに人々が敬服する様子を描いて
この映画は終わる。

なのに最後の最後、キメのセリフで「処女」はないだろう・・・・
英語圏(キリスト教世界)でthe Virginといえば
間違いなく聖母のことを指すことくらい翻訳家なら常識じゃないのか。
たしかに聖母は処女だけど、日本で「処女」じゃ通じないだろ?
578577(続き):03/02/23 05:18 ID:9z5In6vC
『アマデウス』を観た時も思ったけど、戸田奈津子の訳には
欧米の歴史(映画の歴史も!)、文化、宗教といったものへの
理解が欠如している。
むしろ全くそういうものに関心がないみたい。
なにも西洋史の専門家になれと言うつもりはないけれど、
軽妙な英会話だけがハリウッド映画の全てだと?