◇◆増村保造レトロスペクティブを語るスレ◆◇

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935名無シネマさん:03/04/29 16:31 ID:C/WzxQ1f
>>933

>あと、そういえば、あのパって人は、たぶんオフではあの名前で書いてる人だろうな。

それ知りたい。誰?
936名無シネマさん:03/04/29 18:43 ID:kq2JdrxH
「妻は告白する」銀座のオールナイトでやりますね。
5/3日(土)上映時間4:00〜5:30
なんてディープな時間・・・
しかも同時上映『証人の椅子』『人間』さらにディープ。
どうしようかな、迷っているところ。
937名無しさん:03/04/29 22:34 ID:ZXFpP+Go
5/1(木)
15:00 美貌に罪あり '59 大映東京 増村保造 山本富士子/若尾文子
19:00 僞れる盛装 '51 大映京都 吉村公三郎 京マチ子/藤田泰子
http://member.nifty.ne.jp/shimo2/showcine/nfc.htm

これもそそられますね。
938名無シネマさん:03/04/29 22:59 ID:kq2JdrxH
>>937
平日ですか・・・
「美貌に罪あり」スクリーンで
見たいのですが無理かな。
はちきれんばかりの野添嬢も増村映画では結構好きです。
939名無シネマさん:03/04/29 23:49 ID:C/WzxQ1f
>>938
最近発売された、関川夏央の「男優女優」読んだ?
増村的女優として、若尾文子と野添ひとみと叶順子が
ピックアップされてるよ。

叶順子のことを「日本映画史上最も不機嫌な顔をしたスター」って
書いているのが笑える。
940名無シネマさん:03/04/29 23:49 ID:C/WzxQ1f
>>939
ごめん、本のタイトル「女優男優」だった。
941名無シネマさん:03/04/29 23:56 ID:Iz8tpJ4H
「刺青」よりも「青空娘」が1000倍好きな俺っちはDQNなんでつか?
おしえて!!おじいさん!!
942名無しさん:03/04/30 00:06 ID:7pMIIgFj
>>939
晩年の増村の不遇について聞かれて、
「あれでいて増村さんは人のいい所がありましたから、
周りの人の言うことを聞き入れて苦労されたんではないでしょうかね」
と語る若尾文子は増村の生み出した素晴らしい作品、と書いてあったね。
943名無シネマさん:03/04/30 00:27 ID:YLTdhQIz
>>941

>「刺青」よりも「青空娘」が1000倍好きな俺っちはDQNなんでつか?

大丈夫、若尾好きと趣味が一緒だから(w


>>942
京マチ子の欄では若尾文子と京マチ子が
交錯する歴史的な傑作として「ぼんち」に賛辞を捧げているね。

若尾好き、オマエの時代が来たぞ、本屋に走れよ!
944941:03/04/30 00:39 ID:gwMGhgtn
>>942だから新藤兼人の愚鈍で図式的な脚本を律儀に映像化してしまったわけだ。
悲劇だな。
だから「刺青」はキライ。
例の蜘蛛の刺青が稲光のもとで蠢くショットなんか、なんで増村とあろうものがこんな下品なショットを。。。と無性に悲しかった。
「不敵な男」もキライ。
945名無シネマさん:03/04/30 02:25 ID:YLTdhQIz
某東大前総長は「青空娘」、「妻は告白する」、「赤い天使」が好きみたい。
同じ新藤の脚本ってことでいくと、「卍」も酷いなあ。
大映がDVD化する作品ってどうみても間違ってるよ。

ついでに言っておくと、若尾文子が一番好きな作品は「妻は告白する」。
好きじゃないのは「刺青」と「清作の妻」。「刺青」は自分の演技が嫌いで
「清作の妻」は女性が部分的にしか描けていないからだとか。
946名無シネマさん:03/04/30 02:27 ID:YLTdhQIz
ああ、そうそう。若尾文子って「青空娘」も大好きみたいだよ。
喜べ、>>941

今度あるCSの若尾特集でやるね、この作品。
947941:03/04/30 02:56 ID:gwMGhgtn
>>945若尾文子が「清作の妻」がキライというのは意外だなあ。
>>946ちょっとHAPPYでつ。
948名無シネマさん:03/04/30 03:20 ID:YLTdhQIz
>>947

>若尾文子が「清作の妻」がキライというのは意外だなあ。

単純にいうと、「女性は情念だけで生きているわけではない」というのが
理由みたい。若尾演じる清作の妻が増村という男からみた一面的な
女性像にみえるんじゃないかな?
949名無しさん:03/04/30 11:28 ID:7pMIIgFj
若尾の出演作評価は全く当てにならない。
ヤな人間の役だと評価が低い。ボディダブルでも肌を晒すと評価が低い。
まあ、遅れてきた撮影所女優として、
当時の大映および自分の作品傾向にいろいろと不満があるのは理解できるので、
そのこと自体はどうとも思っていないけども。

谷崎ものにしても、山本富士子は『細雪』『お琴と佐助』、
若尾文子は『瘋癲老人日記』『卍』だもんな。
ちなみに俺は「卍」はあの頃の谷崎の陰鬱な感じが出ていて好き。新藤も適役(w
950名無シネマさん:03/04/30 15:57 ID:t5U6VVwL
>>949
谷崎って陰鬱かね? それをいうなら、川端、三島の方に
当てはまると思うが。「陰影礼賛」や「細雪」なんて書いているから
誤解されているけど、この人って外国文学の方が影響が濃い。
欲望の全肯定という精神が流れていて、作風も明るいものが多い。
読んでると思うけど、「卍」なんてコミカルじゃん。

よって、谷崎の作品を誤解しまくった新藤脚本の作品より、
「痴人の愛」みたいな楽天的な作品の方がいいと思うがいかが?
951名無しさん:03/04/30 16:35 ID:7pMIIgFj
>>950
前半もうちょっと焦点を絞って書いてくれないと答えようがないし、
映画に直接関係ないので省きます。

増村のは時代制約もあったのに実にうまいと思うし、
新藤兼人脚本が原作から大きく外れていると思ったこともないです。
むしろ谷崎作品の嫌らしい部分をうまく取り上げていると思います。

小説では『春琴抄』『瘋癲老人日記』が好きですが、
映画化されたものは綺麗事になっているので面白くないですね。

ちなみに『痴人の愛』は増村版、原作、共に好きではないです。
吉田喜重の言うところの「年寄りが厚化粧をして舞を舞っている」感じですかね。
952名無シネマさん:03/04/30 16:46 ID:t5U6VVwL
>>951
>前半もうちょっと焦点を絞って書いてくれないと答えようがないし、

これでも単純化したつもりなのですが、もっと簡単に書く様、努力します。

>小説では『春琴抄』『瘋癲老人日記』が好きですが、
>映画化されたものは綺麗事になっているので面白くないですね。

『春琴抄』はともかく、『瘋癲老人日記』は綺麗事では
ないと思います。そんな事をいうと、「汚れ」を演じた山村聡が
可愛そうです(w

>ちなみに『痴人の愛』は増村版、原作、共に好きではないです。

映画に関係ないので省きます。

>吉田喜重の言うところの「年寄りが
>厚化粧をして舞を舞っている」感じですかね。

何が言いたいのわかりません。もうちょっと焦点をしぼってください(w
最後に、「吉田喜重、口だけ達者だな」と言わせてください(w
953名無シネマさん:03/05/01 01:29 ID:EHkJopKK
しかしどうなんだろう。
私はひたすら映画を見るだけで、製作現場や製作者の伝記的事実はよく知らんのだが、
増村は自分で進んで谷崎作品を選んで映画化していてたのだろうか。それとも会社の戦略だったのか。
個人的には増村と谷崎っていう結びつきに、本質的な必然性はそれほど感じられないのだが。
誰か教えてください。
954名無シネマさん:03/05/01 01:38 ID:EHkJopKK
つーか映画と原作の関係云々という話題に真っ先に拒否反応を起こしてしまう私はDQNなんでつか?
おしえて!!笠智衆!!
955名無シネマさん:03/05/01 02:10 ID:LhboniNm
>>953
たんに、大映文芸映画の流れの中で、割り振られたのではないでしょうか?
具体的には、藤井浩明氏の仕掛けだとは思いますが。
当時は、各社、通俗から純文学まで、盛んに原作権を獲って、派手に原作と
連動して売っていましたからね。
956953:03/05/01 02:32 ID:EHkJopKK
>>955

早速のレス、ありがとうございます。
やっぱりねえ。
957名無シネマさん:03/05/01 11:42 ID:TiJwxEgY
でも増村監督、谷崎論文みたいなの書かれてますよね?
東京から大阪に居住を移してからの作品が好きだ、って
書いていたような気がします。
本人も好きで映画撮ったのではないでしょうか。
958955 :03/05/01 12:43 ID:oRMeQeo5
>>957
そりゃ、あれだけの人ですから、一家言はあるでしょ。しかし、そんなに監督主導
型の企画だったとも思えないんだよね。

市川作品などもそうだけど、増村の文芸映画は、あくまで、スターの文芸大作。
今で言えば、久世光彦の向田邦子モノのようなモノ(ちょっと違うか)

結果的にヘンな映画になるだけだよね。
959名無シネマさん:03/05/01 15:07 ID:Ib7LXz+s
>>958
っていうか、映画産業そのものが監督主導型を許容しないのでは。

ゴダール×シガヴェルトフ集団とか、
松竹脱退直後の大島渚などを除いて。
960名無シネマさん:03/05/01 15:10 ID:Ib7LXz+s
それでも、おれは、増村には谷崎を撮ろうというモチベーションが
あったと思う。谷崎の欲望型人間は増村が描こうとした反近代的な
人間像であったから。

映画として成功しているかは置いといてもさ。
961953:03/05/01 23:30 ID:EHkJopKK
もちろん、当然モチベーションもあるだろうし、影響関係だってあるんだろうとは思いますが。。。
ただ、私が問いたかったのは、そうした軸が、増村の映画の本質が持つベクトルに迫ろうとするとき、果たしてどれだけ有効なのかということです。
960さんの揚げ足を取るような表現になってイヤなのですが、「反近代的な人間像」という言葉で一般化してしまう瞬間に、映画にとって本質的な何かが逃げて行ってしまう気がするのですが。
例えば「赤い天使」や「清作の妻」の女性像は、やはり「春琴抄」(わたしはこの小説が猛烈に好きなのですけど)の世界とは本質的に異なる気がするんです。
962955 :03/05/02 00:37 ID:CB4RR1/e
>>960-961
俺はそこまで、深く考えていなくて、会社の営業的要請に、自分の嗜好を見出だした
だけだと思っているけどね。ただ、そこで、当然、あるズレのようなモノは生じる
だろうね。そのズレが、また魅力ではある訳ですが。

例えば、俺は、「最高殊勲夫人」は、スクリューボール・コメディの傑作だと思うけど、
創った本人たちはバカにしてる。本人的には、何も見出すモノが無かったということだね。
佳作「暖流」も、原作にはなんの魅力も感じなくて、それを、脚本の白坂氏と二人で、
左幸子の役を膨らませることで、エネルギッシュな恋愛ドラマに創り替えていった。
963955:03/05/02 00:40 ID:CB4RR1/e
増村が撮りたくて撮れなかった企画が、井上ひさしの「モッキンポット師の後始末」
と、太宰治の「斜陽」だそうだね(ボツ企画は、もっと沢山あるんだろうけど)

「斜陽」はともかく、戦後の貧乏学生を描いたユーモア小説である「モッキンポッ
ト師の後始末」の、どこに魅力を感じたのか? 恐らく、外人のお人好し神父の姿
を通して、日本人とキリスト教異文化が出会うあたりの悲喜劇を見たんだと思うんだ。
全くの推察だけど、そこぐらいしか思いつかない。

うまく言えないけど・・・映画作家が原作に何かを見出すとき、微妙に、他の人間
とは違ったモノを見ているんじゃないか? と思うんだよね。
964953:03/05/02 01:25 ID:Wkra2smI
>>962

確かに、「暖流」の左幸子には、「青空娘」の若尾文子のネガみたいな強さがあったよなあ。
増村と白坂の組み合わせについてなら、何かが見出せる気はしますな。

>うまく言えないけど・・・映画作家が原作に何かを見出すとき、微妙に、他の人間
とは違ったモノを見ているんじゃないか? と思うんだよね。

同意します。

965960:03/05/02 01:32 ID:FVEZq0k4
>>961

>映画にとって本質的な何かが逃げて行ってしまう

いいたいとことはよくわかるけど、それは、作品と批評の関係
すべてにあてはまるわけで、それをいったら映画について
語るというという行為そのものが否定されてしまうよ。

>例えば「赤い天使」や「清作の妻」の女性像は、やはり「春琴抄」
>(わたしはこの小説が猛烈に好きなのですけど)の世界とは本質的に
>異なる気がするんです。

ここ、もうちょい詳しく説明して。(ちなみにおれも「春琴抄」大好きだよ)


>>962
ここに書いていることは激しく同意です。
(「青空娘」「巨人と玩具」も、スクリューボール・コメディと
いえなくもないし、どれも傑作だね)
966960:03/05/02 01:37 ID:FVEZq0k4
>>963
>うまく言えないけど・・・映画作家が原作に何かを見出すとき、微妙に、他の人間
>とは違ったモノを見ているんじゃないか? と思うんだよね。

953氏は同意しているけど、おれはどうもここが分からないんだよね。
その違ったモノって何?

あと、「斜陽」は若尾文子で撮る予定だったみたいだね。
猛烈にみたかった。

それはそうと、意外な盛り上がりだから、
980くらいまでスレが伸びたら、次スレ立ててみる?
ただ、増村だけだときついから、川島雄三あたりと
ミックスしてみるのもどうかと思うんだけど、どう?
967953:03/05/02 01:43 ID:Wkra2smI
>965さんへ。

うーむ。。。
ゴメン。明日仕事なんで、今日は寝ますわ。
今、この話題にレスしたら眠れなくなりそうなんで。
明日の夜、誠実にマジレスさせていただきます。
おやすみなさい。
968960:03/05/02 01:45 ID:FVEZq0k4
>>967
おやすみ。
じゃあ、待ってるよ。
まあ、マターリかたりましょうや。
969953:03/05/03 01:56 ID:d2wMIPzt
960さん、まだ起きてますか。
レスが遅くなって申し訳ない。
これは仕事が遅くまでかかった。。。訳では全然なくて、
勢いで960さんの言葉尻を掴むようなレスをし、今日まで引っ張ってしまったからには、多少説得力のある事を書かなきゃなあ。。。
まあ、谷崎は増村とあまりカンケーないみたいなこと言っちゃったけど、具体的にどう論証しようかなあ。。。困ったなあ。。。
実は谷崎は「春琴抄」と「痴人の愛」と「卍」しか読んでないし。。。
まあ、「清作の妻」でも見直そうか。。。
ってなコソクな理由で、帰宅してからビデオを引っ張り出して見出したのですが、
もちろん「清作の妻」が私のチンケな懸念に容赦をするわけもなく、いつしか私はただただ震えながらモニターの若尾文子を見つめつづけていたわけです。

そんな訳で、これからの私のレスは、いささか支離滅裂な「清作の妻」の感想プラス、取ってつけたような「春琴抄」との比較というブザマな形態となることは避けがたく。。。
どうぞご容赦ください。考え考え、いくつかに分けてレスをしますので、時間がかかるかも知れませんが。。。
まあ、まだ起きてらっしゃってこのレスを見出されたにせよ、眠くなったら寝ちゃってくださいな。
970953:03/05/03 03:01 ID:d2wMIPzt
 まず、一体「清作の妻」は「恋愛映画」と呼べるのか。
 「恋愛映画」を男女の出会いによって、彼らが新しい何か、つまりそれまで双方に欠けていた何か(愛でもなんでもいいのだが)を得たり失ったりするドラマだとするならば、
おそらく「清作の妻」は恋愛映画ではない。なぜなら、若尾文子は映画の最初の不幸な状況にあってさえ、
一つの全き存在であり、何ものも欠いてはいないからだ。
映画の冒頭、彼女が高台から造船所を見下ろすショットから、すでに若尾文子は若尾文子であって、
海から吹き上げる風に髪をほつれさせ、造船所が唐突に立てる騒音に顔をしかめる若尾文子の顔の白い肌と黒い瞳は、
それ自体、肉体というよりは、光学的な魂とでもいう相貌をしている。
ところで、白黒という統一されたトーンは、魂の持続を表すのに最も適した媒体ではないか。
これは、若尾文子が無表情で一本調子であることと正確に対応している。
なぜなら、我々は確かに泣いたり笑ったりするが、我々の魂の在り様そのものが泣いたり笑ったりするわけではないからだ。そして、これが魂と心理の違いでもある。
カラーには心理が、つまりその時々の状態が現れる。白黒には存在が、つまり魂が現れる。醜くあれ、美しくあれ、魂は持続する。
「清作の妻」はひたすら若尾文子の魂が描く孤独な軌跡を追いつづける。この徹底した孤独性に比される映画が他にあるとすれば、ブレッソンの「少女ムシェット」位ではないか。
971953:03/05/03 03:17 ID:d2wMIPzt
寝ます。
続きは明日。ヘタレですみません。
つーか、これ誰も読んでなかったら大間抜けだよな、俺。
972名無シネマさん:03/05/03 12:09 ID:PeI+bNob
このスレ、終盤になってから思わぬ展開で面白いですね。
>>966
是非次スレ、立ててください。自分は増村以外あまり見てないんですが、
監督論的なことになると川島も一緒の方が面白いかも知れないですね。
953さん、読みましたよ。とはいってもオンタイムじゃないですが。
「清作の妻」。
うーん、すごい映画だと思うけど、なかなか見る気になれない作品。
「赤い天使」のシリアスさも相当だけど、どこか救いがあるからまだ見られる。

谷崎原作だと、「卍」が一番好きです。どなたかが書いてたように、谷崎は
日本的情調とはまるで違った欲望全開・快楽至上主義の大変明るい作風だと思います。
開き直ったフェチ、フェチであることを通すことで生じる狂想曲を叙述する作家ですかね。
隠微の代表のように文壇定着してしまったのは「陰影礼賛」イメージが強いからかな。
で、「卍」には、快楽ははたからみると時にギャグであり、全体像としてシュールでも
あるという感じがよく伝わるのと、何よりも若尾キャラの軽薄さに、快楽さえすでに
シュールであり、そんなに大真面目に論じるもんじゃないといった諦観が見え隠れしてて、
とても好きですね。岸田今日子とのアンビバレンツなコンビも最高だし、若尾文子の
太陽のように根こそぎもっていかれる抵抗しがたい魅力と、同時に決して本人に
はいりこめないどうしようもなく陰性な魅力が過不足なく出てると思います。
973960:03/05/03 16:59 ID:jG2ziVwd
>>972
>是非次スレ、立ててください。自分は増村以外あまり
>見てないんですが、 監督論的なことになると川島も
>一緒の方が面白いかも知れないですね。

じゃあ、予告したように980過ぎた辺りに立てます。
増村と川島に共通していることといえば、ここの>>1氏も
書いていますが、ずばり「ビザール」ということでしょう。
強烈な作家性といいかえてもいいですが・・・・。

>谷崎は 日本的情調とはまるで違った欲望全開・快楽至上主義の
>大変明るい作風

激しく同意です。ここが「グラッチェ・イタリア!」の増村の感性と
合致するのだと思います。余談ですが、耽美派と呼ばれる
作家達(谷崎・川端・三島)の中で、最初にヨーロッパで評価されたのは
谷崎でした。それは単なるエキゾシズムを越えた、ヨーロッパ人の
感性に訴えるものを谷崎が持っていたなによりの証拠だと思います。
974960:03/05/03 17:01 ID:jG2ziVwd
>>953
リアルタイムで読ませてもらいました。
こういうのは「ネタ振りだ」くらいの気持ちでバッと書いちゃってくださいな。
途中で色々と言うのもアレなので、全部書いてくれたらレスします。
では、続き待ってます。
975953:03/05/03 21:33 ID:d2wMIPzt
こんばんは。
 たしかに夕べのレスは自分で読み返してもチト暑苦しいですな。
 まあ、真夜中にしたためる手紙って、往々にそうなるよねってことでご容赦を。
 じゃあ、さくっと書いちゃいますと、要は「清作の妻」においては、確かに近代に
対する一女性の反抗が描かれているわけですが、映画の中で、必ずしも快楽や恍惚が
至上の価値として置かれているわけではなく、むしろ、男女の肉体的な愛は、
主人公の行う高度にモラリッシュで残酷な選択の「賭け金」としてのみ価値をもっ
ているように見えるということが一つある。
 かねと清作の、幸福であるべきふれあいのシーンにおいて、かねはむしろ、切迫する
不安に常に怯えているように見えます。そして、そういうシーンは、常にメランコリックで
単調な音楽によって寄り添われている。先述の通り、私は谷崎に対して何か語れるほど
多くの本を読んでいるわけではないのですが、「清作の妻」と「春琴抄」には、共に主人公が
眼を突く場面があり、それが作品全体のクライマックスをなしているという意味では共通して
います。でも、両者の意味合いはかなり異なっているように思えます。
976953:03/05/03 21:35 ID:d2wMIPzt
 「春琴抄」では、主人公佐助は、主人である盲目の三味線師、春琴の顔が傷つけられた時、
それを見られたくないという春琴の願いを永遠に成就すべく、自分の眼を突きます。

>程経て春琴が起き出た頃手さぐりしながら奥の間に行きお師匠様私はめしいになり
ました。もう一生涯お顔を見ることはござりませぬと彼女の前に額づいて云った。
佐助、それはほんとうか、と春琴は一語を発し長い間黙然と沈思していた佐助はこの
世に生まれてから後にも先にもこの沈黙の数分間程楽しい時を生きたことがなかった…

 件の場面をそのまま引用してみました。これは性交のシーンではありませんが、二人の
人物の心を隔てる垣根が完全に取り払われ、同時に恍惚と幸福という、元来そうそう
簡単に交じり合う性質にない2つの要素が永遠に一つになっている。
 一方、かねが清作を兵役を逃れさせるために、出征の日に彼の目を突く場面では、
事情は大きく異なっています。彼女は国家と夫の名誉に逆らって、すべてを賭した
選択をする。この選択は衝動的なものとして描かれてはいますが、同時にかねに
とっては逃れることのできない選択だったはずです。しかもそれは、その瞬間に
おいてはとうてい清作の理解の及ぶものではない。増村は、愛というものに対して
こう考えているように思われます。愛は、恍惚でも幸福でも理解でも官能でもない。
それはある一つの魂の行動原理であり、その孤独な軌跡だと。つまり、ある
決断とアクションなのだと。
 もちろん、ラストにおいて、清作は刑務所から戻ったかねを理解し、許します。
しかしその相互理解は、一つの口づけといった、映画でよく描かれがちの官能を
通して得られたものではなく、苦痛を極めた経験の末に得られたものであり、
二人は「村から逃げたら負けだ」という倫理観の元に、苦痛と屈辱に満ちた生活を
死ぬまで続けて行く。
977953:03/05/03 21:36 ID:d2wMIPzt
 結局長々と書き連ねてしまいましたが、まあ許してください。ついでに結論じみた
感想を書かせてもらえれば、今述べたことは、増村と谷崎の資質の違いということに
止まらず、おそらく映画と文学の本質的な違いをも示しているのではないでしょうか。
 「清作の妻」においては、映画はひたすら若尾文子の立ち振る舞いを追いつづける。
彼女の走る姿、けだるげに寝転ぶ姿。そしてぶっきらぼうに時々吐き出される艶消し
のアルトの声。彼女のアクションとそれに対するリアクション。映画の骨子はそれだけです。
彼女を取り巻く人物たちが、やたらに泣き、大笑いし、語り、怒号を張り上げるのとは
対照的に、彼女は必要なことしか喋らず、自分の魂に照らして必要な行動以外はとりません。
つまり、これはある意味で、ハードボイルドなアクション映画だと言っていいのではない
でしょうか。一方、谷崎の小説にあっては、官能による永遠が、つまり行動や空間や時間の
廃棄が頂点をなしている。いずれも、互いの分野では不可能なことではないでしょうか。
 …以上です。何かをスマートに短く語るのは難しいですな。
978960:03/05/03 23:22 ID:jG2ziVwd
中々の力作ですね。面白く読ませてもらいました。
読む方も疲れると思うので、簡単にレスさせてもらいます。

「目を突く」という行為について。
この行為は、『春琴抄』では、佐助にとって醜くなった春琴を見ないで
おこうという自らの「美」のために行われたのに対し、『清作の妻』の
かねのそれは清作を徴兵から逃れさせようという目的のために行われて
います。『清作の妻』では、(直接的には)かねの「清作を死なせたくない」
という行為のために捧げられているといえるでしょう。

一方、佐助はどうでしょうか? 
佐助が起こしたアクション(←あえてこの言葉を使わせてください。
なぜなら、佐助の行為もまた、あなたのいう「一つの魂の行動原理」
であり、「ある 決断とアクションなのだと」私には思えるからです。 )は、
一見、『清作の妻』におけるそれと同列に並べられないものように
思えます。なぜなら、佐助の行為は自らの「恍惚と幸福」のためにのみ
あるように思えるからです。
979960:03/05/03 23:25 ID:jG2ziVwd
しかし、本当にそうでしょうか?
清作が戦争に行って「帰らぬ者」になることへの反抗、
それが『清作の妻』におけるかねの反抗だったとするならば、
佐助のそれもまた、「孤独な魂」の一つの反抗だったと思うのです。
なぜなら、美しくない春琴は佐助にとって「存在しない」も
同じなのですから。つまり、両者は同じ目的に奉仕しています。

すなわち、愛するものを「無」にしたくないという
極めてエゴイスティックかつ崇高な目的に。

谷崎も増村も、そうしたエゴを愛し、死んでいったのでしょう。
そして、私たちが、両者を覚えているとすれば、彼らの愛した、
そういうエゴに共鳴するからでもあるのではないでしょうか?
980953:03/05/04 00:55 ID:jGAyJbFy
早速のレスありがとうございます。
長々と読みづらい文章で正直スマンカッタ。。。

>佐助が起こしたアクション(←あえてこの言葉を使わせてください。
なぜなら、佐助の行為もまた、あなたのいう「一つの魂の行動原理」
であり、「ある 決断とアクションなのだと」私には思えるからです。

全面的に同意します。話は脇にそれますが、これを読んでいて、ずっと以前に
伊藤大輔の「春琴物語」を見ていたのを思い出しました。
映画のディテールはほとんど忘れているのですが、花柳喜章演ずる佐助が
自分の目を突くシーンは印象に残っています(確か、一回躊躇してから、
不意に思い切って眼を突くという演技だった記憶しているのですが)。
主人公の動機について共通点があるのも960さんの言う通りですね。
まあ、私が長々と書いたのは、結局、映画と文学ではその描かれ方に違いが
あるという、ただそれだけのことに過ぎないので。。。

ところで、レスも980を超えたんで、どうぞ新スレ立ててくださいませ。
こちとら2ちゃんではまだ新参者ですが、引き続きどうぞよろしく。
あと、立てるとすれば映画作品・映画人板って事になるんですかねえ。
なんかこっちの板の方がしっくりくるんですが。。。

百恵・友和の「春琴抄」ビデオにとったままほっぽってあったんですが、
今度見てみます。
981名無シネマさん:03/05/04 15:29 ID:RWFYAkcb
次スレは作品・人板におながいします。
作品・人板に最近立てられた増村スレ、すぐに沈んでしまいました。
982名無シネマさん:03/05/05 01:08 ID:ho5fb2rR
うう、最後まで濃いスレだ。
香ばしいにほひが…
983名無シネマさん:03/05/05 02:26 ID:74ohsIi3
増村は「春琴抄」やってないじゃん。
増村が好きって言ってる女性像と全く違うよ?

ただ「盲獣」の終りの方では「春琴抄」思い出したわな。
984960
うわぁ〜、今、作品板の方は、「新スレ」立てられない状態だよ。
困ったなあ〜。このスレが終わるまで、何度も試してみるけど、
その前にこのスレが沈んでしまうことも考えられるね。

その場合は、以下のスレでお知らせします。
このスレでは、川島ファンも多いみたいだし、
増村ネタもチラホラとでているので許してくれるでしょう。

【女を描けば】溝口健二&成瀬巳喜男【この二人】
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/cinema/1050216360/

>>981
このスレの住人がそのまま来てくれれば、すぐに沈む心配はないでしょう。

>>983
このスレの>>949辺りから読み返してみて。