1 :
('∀`):
さかなはやなさかなは
2 :
('∀`):2006/11/10(金) 18:54:06
2ならこのスレでは(´・ω・`)しか書き込めなくなる
(´・ω・`)
冴えない人生だった。それでも不平を漏らさず生きてきた。
だがそれすらできなくなった。
今の俺は、1Kの狭いアパートの一室から出る事すらできなくなった。
このまま部屋に篭り続ければ、俺は餓死してしまうだろう。
それなら都合がいい。
部屋から一歩も出る事ができなくなった今の俺に、
現代の生存競争など到底無理な話だ。
遅かれ早かれ死ぬのなら、今死んでもいいだろう。
グゥゥゥ・・・・・
だめだ、飢餓では死ねない。
いつか読んだ本の内容が頭をかすめる。飢餓ほど苦痛を伴う死に方はない。
たしかにこれは苦痛だ。食いたくて仕方がない。
だが部屋から出る事はできない。
もう何度も自問自答してきた事を、改めて考える。なぜ俺は部屋から出る事ができなくなったのか。
そうだ、それは大学で起こったあの事件が原因なんだ。
俺は今年からとある大学に通い始めた、どこにでもいる普通の大学生だった。
どんな大学生でも一つや二つコンプレックスを抱えているように、
俺も一つだけ、気にしている事があった。
それは、顔のしみだ。生まれつき顔の右半分に茶色のシミがあった。このシミがやけにでかく、
色白の肌にくっきりと浮かび上がっており、初めて俺と会う人間は、確実に俺の顔の右半分を凝視する。
このシミのせいで、俺は妙な位置づけにおかれる事がおおかった。
多くの若者は、他人を容姿が良いか悪いかでわける。
ブサイクな人間は、それ相応に舐められた扱いをうけ、それに対して苦笑いをして場に笑いを生む。
秀麗な人間は、尊敬のまなざしで拝まれ、異性からの交友に答えながら人々に幸せを振りまく。
俺はどうだろうか?俺はブサイクだろうか、イケメンだろうか、どちらでもない中間だろうか。
俺はそのどれにも属さない。なぜなら、俺の顔には大きなシミがあるからだ。
俺の目鼻の配置を気にする人間はいない。シミがある。ああ、可哀相。
俺は、イケメンでもブサイクでもなく、可哀相なのだ。
このシミのせいで、友人もなかなかできず、異性関係もさっぱりだった。
俺が近くにいるときは、あまり顔に関する話題をしないほうがいいだろう。そう周りの人間に思わせているようで、
俺はただ存在するだけでみなに気を使わせているようだった。
誰とも深く関わらず、ただ毎日を淡々とこなしていく。そんな生活を送っていたある日。
いつものように講義を受けようと大学に出向く。教室に入るとかなりの数の受講者がいた。80人ほどだろうか。
いつものように、一番後ろの左端に座ろうと奥へ進む。くそ、教室に入る時間が遅すぎた。先に席についているヤツラに
ジロジロと顔を見られる。自然と歩く速度が増していく。早く席につきたい。早く。
その時、足早に歩いている俺の腕を誰かが掴んだ。突然の出来事だったので、驚いて掴んだ相手を見ると、
髪を逆立て脱色した今時の男がニヤニヤと笑っていた。キツイ果物系のにおいが漂う。ガムをかんでいるようだ。
「コイツキモくねぇ!?ケロイド?うげー!!」
驚いた。こんなにも直接物理的に俺の顔を貶す奴は、今までいなかった。誰もが俺の顔をみて気を使ってくれていたんだ。
大学には色んな人間がいるんだな。そう思った。自分でもある程度自分の顔が他人に妙な気持ちを抱かせるのは
わかっていたから、いつかはこういう風に貶してくる奴がでてくるだろう。そう思って、心の準備はしていたつもりだ。
だから、俺は冷静に無言で対応できた。だが、その後おこった事は予想外で、対処できなかった。
俺を馬鹿にした男の仲間も、俺の顔を覗きこみ、俺の顔を気持ち悪い、臭そう、などと言ってきたのだ。
ヤツラは、巧妙に周りの生徒を扇動し、みなに俺の顔を見るように指示した。
なぜそんな事をしたのかはわからない。そこまで俺は迷惑をかけていたのだろうか。
俺は、数十人の人間に見られた。醜い顔を見られた。腕をつかまれ逃げ出すこともできなかった。
顔のシミ一つで俺の存在は完全否定されたんだ。その日の講義は、全く耳に入らなかった。
まさか他人の言動がここまで精神的にダメージを与えるものだとは思わなかった。
俺は三日間飯もまともに食べられなくなった。町を歩いていて聞こえる話し声が、全て俺への中傷に聞こえたのだ。
気持ち悪い、障害者、ケロイド、ゾンビ、化け物、被爆者・・・・・・・なんで整形しないの?
それ以来、俺は部屋から一歩も出る事ができなくなった。そして現在に至る。 続く。
部屋から外に出られなくなって一週間。何とか今日までは、冷蔵庫にあった残り物で食いつないだ。
しかし今日の朝、完全に食料がなくなった。今は空腹で目まいがする。
どうにかして食料を手に入れなければならない。
死ぬにしても飢餓では死ねないからだ。もっと楽な死に方を選ぶ権利くらい俺にもあるはずだ。
金はある。だが、店にいくことはできない。喋り声は全て俺の悪口に聞こえるからだ。
もうあんな苦痛はごめんだ。じゃあどうする?どうやって食料を調達する?
そうだ、自販機だ。自販機なら誰に会う事もなく食料が調達可能だ。近場にはジュースを売る
自販機しかないが、確か5キロほど離れたゲームセンター前の自販機には
おしるこやおでんやスナック菓子が売ってあった。よし、そこへいこう。
まて、自販機にたどり着くまでに5キロもある。その間人と会ったらどうする?
人の会わない時間帯を狙っていくしかないな。夜中の三時くらいなら大丈夫だろう。
俺は、夜中の三時になり部屋の外に出た。もちろん外に誰かいないか確認してからだ。
一週間ぶりの外出。外の空気は澄んでいておいしかった。きっとおでんもうまいんだろう。
想像により噴出した唾液を飲み込みながら、自転車をとりにいく。
俺が住んでいるアパートは安アパートだから、自転車をとめるようなスペースは用意されていない。
アパートの入り口前の道路端に並べられた自転車の中から、自分の自転車を探す。
あった。安物の銀色ママチャリ。カゴには落ち葉と空き缶、ゴミが詰まったビニール袋がいれてあった。
それらをかきだし搭乗する。いざおでんの元へ。
コツコツコツ・・・・・・・・
自転車をこぎだそうとした俺の耳に、硬い音が聞こえた。これは間違いなく、女性の足音だ。
しまった。人に遭遇するのはまずい。今の俺は、他人の目線が顔に集中するだけでも悶絶してしまうからだ。
人に見られるだけでも駄目だ。俺は自転車から一旦おりて、アパート内に戻った。
自室は三階だ。戻るのは面倒。とりあえず足音の主から逃れればいい。俺はアパートの塀とアパートの間にある
狭い隙間に入り込みしゃがんだ。運が悪い事に、明日はゴミ出し日だ。俺が潜んでいるすぐ近くに
ゴミを集積するスペースがある。すでにゴミがいくつか置いてあり、甘酸っぱい腐臭が漂い苦痛をあじわう。
足音は段々近づいてくる。早く通り過ぎてくれ。早く。突然、足音がやんだ。通り過ぎたのか?
いや、違う。通り過ぎたのなら、足音が小さくなっていき聞こえなくなるはずだ。突然途切れるのはおかしい。
視界いっぱいに影が映る。誤算だ。女はこのアパートの住人だったのか。
女が、1メートル手前をゆっくりと歩いていく。ばれるか?いや、ばれないはずだ。わざわざこちらを見る必要がな・・・。
女の手元を見ると、白いビニール袋が握られていた。ビニール袋の中身はゴミで、女はそのゴミを
ゴミ集積場に捨てようとこちらに近づいてきた。そして、ふとこちらを見た。俺と女の目線が合う。
一瞬沈黙。くそ、俺の顔を見るんじゃねぇぇ!!最悪の気分に陥りうつむく俺。
女も最悪だったんだろう。夜中にゴミ集積場横にしゃがみ込んで動かない男。怖くてたまらないだろう。
女は、こちらを向いたままジリジリと後ろに下がり始めた。声を出せば俺が何をしてくるかわからないからだろう。
それでいい、そうやってどこかへいってくれれば、何も起こらずに事は済む。
だが、女が後ずさりしている最中に、アパート内から人が出てきた。俺と同じくらいの年齢の男性だった。
女と男は知り合いではないらしいが、俺という奇妙な生き物と遭遇した女は、誰かに助けを求めたかったらしく、
その男を呼び止め、俺の方を指さした。男はじっとこちらを見て、女の期待に応えて行動を起こす。
「おいテメー、なにやってんだそんな所で?」
お前達に気づかれないようにしてるんだよ。俺の顔面は脂汗でいっぱいになった。二人の人間から見られている。
やめてくれ、俺の顔を見ないでくれ。意識が朦朧となる。とりあえずこの場から離れなければ。
勢いよく立ち上がり、男と女の方へ走る。女の横を通ってアパートから離れるつもりだった。
だが、俺が突っ込んできたため何かされると思った男は、とっさに俺のいくてを阻んだ。
お前なんかに用はないのに!どけぇぇ!!
男と俺は揉み合いになり、アパート前で乱闘になった。もう駄目だ!限界だ!これ以上人に見られ続ければ発狂する!
男は、俺の両腕を掴むので精一杯だったらしく、足元には気をはらってなかった。そこを狙って、右足で勢いよく
男の股間を蹴り上げる。男は前屈しブルブル震えだした。
6 :
('∀`):
・・・ゴクリ