鳩山辞任!「総理は間違っている」政権大ダメージ
後任には佐藤勉・国家公安委員長
日本郵政の西川善文社長の進退問題で、麻生太郎首相は12日午後2時前、続投反対を強硬に主張していた鳩山邦夫総務相を首相官邸に呼び、
辞表を受理した。事実上の更迭で、次期総選挙を控え、進退問題をめぐるゴタゴタ劇をこれ以上は長引かせられないと判断した。
ただ、かんぽの宿売却問題など日本郵政の経営に不信感を抱く世論の反発が予想されるほか、鳩山氏が今後、自民党を離党する可能性も
指摘されるだけに、政権へのダメージは深刻だ。
麻生内閣の閣僚辞任や更迭は、中山成彬前国交相、中川昭一前財務相に次いで3人目。後任は佐藤勉国家公安委員長が兼務する。
辞表提出後、鳩山氏は記者団に対し、「世の中、正しいことが通らないことがある。そう思ったら潔く去ることだ」と理由を説明した。
しかし、「今度の総理の判断は間違っている」「いずれ歴史が私の正しさを証明してくれる」との恨み節も。
さらに、離党するかどうかについては「仲間と相談してから」と含みを持たせた。
これに先立ち、首相は同日午前、鳩山氏と官邸で約40分間会談。鳩山氏に対し、西川氏を続投させる方針を伝えるとともに、
鳩山氏の見解をただした。これまで、河村建夫官房長官と与謝野馨財務相に調整を任せていただけに、最終的に鳩山氏の考えを
自ら聞く必要があると考えたためだ。
進退問題をめぐっては、西川氏が「引き受けた以上、郵政民営化の土台を築くのが自分の責務」と続投への意欲を強調すれば、
人事の認可権限を持つ鳩山氏は「これは正義の問題だ。(西川氏には)責任を痛感してもらわなければ困る」と反発。政府・与党も
巻き込んで泥沼化し、麻生首相は厳しい政治決断を迫られていた。
【離党含み、政権へ大ダメージ】
鳩山氏は昨年の自民党総裁選で首相陣営の選対本部長を務めるなど、「麻生政権誕生の功労者」であるほか、「麻生首相も、
かんぽの宿の一括売却に疑問を持ち、ノーを突き付けた鳩山氏の手腕については高く評価していた」(首相周辺)とされる。
それだけに、首相は河村、与謝野の両氏に対し、事態解決に向け鳩山氏と調整するように指示していたが、鳩山氏はこれらの調整を
ことごとく拒否。官邸筋の1人は「最近は、陰で首相に対する批判の度合いを強めていたほか、総選挙後の離党を含め政界再編志向の言動も
見られるようになった。残念だが、もはや鳩山氏は自らの人気を得るための行動しかしていなかった」と打ち明けるが、こうした事も更迭に
踏み切った背景にあるとみられる。
一方、自民党内では郵政民営化を主導した小泉元首相ら民営化推進勢力から鳩山氏に対する反発の声が強まっていたが、
ひとまず党内抗争は回避される見込みだ。
ただ、「永遠の政界再編論者」を自任する鳩山氏だけに、与党内では「これを機に、鳩山氏は自らの秘書出身議員を中心に自民党を飛び出し、
(兄の)由紀夫氏が率いる民主党と組んで“兄弟政権”をつくるつもりでは」(自民中堅)との憶測が広がっている。