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(補論)本件政治資金問題に関連する法解釈及び事実関係についての検討結果

【西松事件報告書(2)】はじめに 当委員会の目的と課題

はじめに 当委員会の目的と課題

 2009年3月3日、東京地検特捜部は、民主党の小沢一郎前代表の資金管理団体「陸山会」に関する政治資金規正法違反事件の強制捜査に着手した。
小沢氏の公設第1秘書で陸山会の会計責任者の大久保隆規氏が、2003年から2006年までの政治資金収支報告書に、西松建設からの政治資金の寄付を
「新政治問題研究会」などの政治団体からの寄付である旨の虚偽の記入を行った政治資金規正法違反の事実で逮捕され、同日夕刻から陸山会事務所などの
関係箇所に対して捜索が行われた。

 これについて、民主党の鳩山由紀夫幹事長(当時)は、捜査について批判的なコメントを行い、小沢氏は、翌3月4日に記者会見を行って、
「衆議院総選挙が取りざたされているこの時期に異例の捜査が行われたことは、政治的にも法律的にも、不公正な国家権力、検察権力の行使」と強く批判した。
これに対して、報道からは、連日、小沢氏の政治資金をめぐる「疑惑」が大々的に報じられた。

 また、3月24日、大久保氏は逮捕事実とほぼ同じ同法違反の事実で起訴されたが、同日夜、小沢氏が民主党代表を続投する方針を表明したことに対して、
小沢氏を批判する報道が集中し、「説明責任を果たしていない」「世論調査の結果『辞任すべきだ』との意見が6 割を超えている」などの理由で、
小沢氏の辞任論が展開された。つまり、事件の位置づけに関して、民主党執行部の意見と、報道などから示される主流的な論調とが、
真っ向から対立する図式となったのである。また、検察の捜査については、有識者などから、法律解釈、重大性・悪質性の問題、強制捜査のあり方などについて、
少なからぬ疑問点が指摘された。

こうした中で、民主党は、上記の政治資金をめぐる問題が、「政治的側面に留まらず、政治資金規正法の解釈、それを前提とした検察官僚や報道のあり方など、
検討すべき角度が多岐にわたり」、「党代表がかかわる問題であるため、党内の議論だけでは議論が偏向してみられる恐れもある」として、
党外の議論に委ねる方針を立てた(この点については、報告書をまとめる過程で、民主党に確かめた)。そして、上記政治資金問題をめぐる
政治・検察・報道のあり方に関し、各分野の専門家が自由闊達に議論し、個々の問題点について「客観的かつ公正な見解を示す」党から独立した
第三者機関を設けることとし、4月3日に鳩山幹事長(当時)から、「有識者会議」の設置が発表された。