■参院の猛反対
とはいえ、「政策ロボ」と言われる岡田が、財源をあいまいにしたようなマニフェストをすんなり了承するのか。鳩山が岡田との
調整に手間取れば、マニフェストの取りまとめは大混乱しかねない。案の定、岡田は5月下旬、直嶋と会談した際、こう首をかしげた。
「もうちょっと財源をはっきりさせられないかな」
また、鳩山、岡田がそろってマニフェストに盛り込む考えを表明した参院の定数削減問題も火種となっている。3日の
参院民主党の議員総会は、それを強く予感させるものだった。
「国会議員を減らせば国民が喜ぶと思っているのか。立法府の議員の数を減らして国民が安心するか。官僚任せになるだけだ」
副代表、北沢俊美は定数削減に真っ向から反対を表明した。このほか総会では、「衆院議員の党幹部が決める話ではない」などと、
北沢の意見に賛同する意見が出た。
これに先立つ5月26日、岡田から参院の議員定数削減の検討を要請された参院議員会長、輿石東(こしいし・あずま)は、
早くも側近議員に「削減の方向は出せるだろうが、削減数をまとめるのは無理だろう」とこぼしている。定数削減問題は
骨抜きになる懸念が出ている。
「小沢さんだったら、参院の定数削減に口出しはしなかっただろう。鳩山さんは、どうして軽々しく口走るのだろうか」
小沢に近い参院幹部はいぶかる。マニフェストの行方は、「次期首相」としての鳩山のリーダーシップを占う試金石ともなりそうだ。(敬称略)