■「当面」の支持
党最高顧問の渡部恒三は27日、TBSの番組収録で司会者に「小沢さんは辞めないのか」と聞かれ、あっさりこう答えた。
「当面ね。非常に苦しんでいると思うな」
民主党は次期衆院選をめぐり、「約150の小選挙区で自民党と1万票差以内の戦いをしている」(選対関係者)。
それが今回の小沢の「政治とカネ」の問題発覚で、「50議席はとりこぼす」(中堅議員)という厳しい見方も出ている。
こうした厳しい情勢を受け、代議士会後、小沢の去就について議員らからこんな言葉が聞こえていた。
「おそらくご自身で、またどこかで改めての判断があるのだろう」(副幹事長の渡辺周)。
「(小沢体制維持は)これからのいろいろな推移次第だ」(「リベラルの会」代表世話人の平岡秀夫)
また、代表経験者の一人も「今後の空気次第だ」と指摘した。一方、これまで「自主的に自ら政治判断すべきだ」と
述べていた仙谷は特に発言しなかった。
ただ、仙谷の沈黙には「『もともと小沢と距離があった自分が言うと、小沢はかえって意地になって辞めない』と思っているからだ」(周辺)
との理由があるという。
「小沢のためにも党のためにも、(辞めろと)言うべきときがきたら言う」
渡部、小沢と同じく自民党旧竹下派の「7奉行」の一人を務め、ともに自民党を飛び出した元首相の羽田孜は、
周囲にこんな覚悟を漏らしている。
■代えどきが大切
報道各社の直近の世論調査結果では、小沢続投の「不支持」は全体の約3分の2に達している。一方、民主党支持率はほぼ横ばいで、
秘書起訴後もほとんど動いていない。
「世論調査は小沢さんには厳しいけど、民主党には悪くない。つまり、小沢さんが代わればいつでも党の支持率は上がり、
衆院選に勝てるということだ」
鳩山に近い議員はこうそろばんを弾いてみせた。また、小沢と距離を置く議員は冗談めかして本音を語る。
「小沢さんが『検察とは戦うが、民主主義のために代表は辞める』と表明したとする。そうなれば(WBCの)
『侍ジャパン』ではなく小沢さんの『弔いジャパン』となって、民主党は人気が出るよ」
党内には、まずは経済産業相、二階俊博に対する西松建設の献金疑惑の行方を見守るべきだという見方もある。
岡田周辺は「仮に二階氏の件で(経産相辞任など)動きがあったら、そのときが小沢代表が辞める一番のタイミングだ」と語る。
あまり早く交代して新鮮味を失うより、ぎりぎりまで小沢代表で引っ張り、カネに清潔なイメージのある岡田登板を効果的に演出する思惑だ。
一方、小沢周辺は「岡田に代わっても選挙まで期待値を保てない。政局を読めない連中ばかりが騒いでいる」と突き放し、
小沢体制維持に自信を示す。
結束確認の裏側では、それぞれの駆け引きが激化している。この週末に地元に帰った議員たちはどんな支援者・有権者らの声を聞き、
どう動き出すのか。民主党の再生に向けた混乱は続く。(敬称略)