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■鈍い動き

 ただ、秘書が起訴され、小沢退陣論が表に出てきたとは言っても、反小沢勢力もただちに小沢降ろしには動いていない。小沢続投は
すでに織り込み済みとなっており、小沢周辺からも余裕がうかがえる。

 小沢に近い次期衆院選候補は24日夕、小沢の記者会見を待たずに地元選挙区に戻った。候補は言う。

 「いつまでもうろうろしていると、(小沢に)『お前は何でこんなところにいるんだ。お前の仕事は違うだろ』と怒られちゃう」

 小沢自身は記者会見で、「私自身が収賄など犯罪に手を染めたという事実はない。本日は私が主張してきたことが事実であることが明らかになった」
と胸を張った。それどころか、党内からは秘書起訴にあたって警戒していた新事実が出なかったことで、「ほんと、検察は大丈夫かね?」(中堅議員)
と検察を気遣うような声すら漏れている。

 ただ、民主党が政治資金規正法違反を「形式犯」だとして軽視し、事態を矮小(わいしよう)化していることには疑問が残る。

 政治資金規正法はその「目的」として、「政治活動が国民の不断の監視の下に行われるようにする」ことを明記している。
これは「要は国民がどう思うか」(総務省政治資金課)が大事だということだ。国民世論を甘くみると、民主党は強烈なしっぺ返しをくらうことになるかもしれない。

■いずれ辞める?

 小沢続投容認と、国民から厳しい視線を浴びる現状の打破。民主党は、この相互に矛盾した二つ論理の両立を迫られている。

 こうした中で、民主党長老は小沢の進退について、次のような見方を示す。

 「(小沢は)辞めないままで次期衆院選に負けたら一巻の終わりだ。退いて勝って政権交代したら、明治維新の西郷隆盛になれる。まだ選挙まで時間があるから、
世論の動向をみながら一番いいタイミングで辞めればいい」

 当面は続投するにしても、いずれ身を引くべきだとの考えだ。同様に、若手議員にも「小沢さんは検察と戦うと言った以上、
秘書起訴のタイミングで辞めることはできない。でも、小沢さんの目的は首相になることではなく政権交代なのだから、一番効果的な辞め方を考えているはずだ」
との観測がある。

 だが、これらの意見はあくまで推測や希望的観測の範囲の話であり、小沢本人がどう考えているかはうかがい知れない。

 「いま小沢代表のままで衆院選が実施されたら、自民、公明両党で過半数をとるだろう」

 中堅議員からはこんな悲鳴も聞こえる。今年12月に政治家生活満40周年を迎える小沢は、その集大成、締めくくりとしての
次期衆院選をどう迎えるつもりなのか。日本中の注目が集まっている。(敬称略)