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【民主党解剖】第2部小沢ショック特別編 「ガラスの結束」にほころび「責任残っている」

24日夜の記者会見で、民主党代表の小沢一郎は、秘書逮捕後の3週間について「悔しい思いと無念の思いを抱きながら、必死に耐えて頑張ってきた」と語った。
だが、この“殊勝な”小沢の姿を見守る党所属議員たちの心境は複雑だった。記者会見に先立つ役員会で当面の続投は了承されたとはいえ、小沢が代表でいる限りは、
「政治とカネ」の問題をめぐるマイナスイメージを党から払拭(ふつしよく)することはできないからだ。

 24日夜の常任幹事会では、副代表の前原誠司が小沢に強くクギを刺した。

 「違法かどうかは別として、1社(西松建設)から巨額な献金を受けている事実が明らかになった。道義的な責任は国民の間に残っている。すんなり
『了』というわけにはいかない」

 幹事会の場は、議長を務める中井洽(ひろし)が「代表の意見を受け止めて党として頑張っていこう」と強引に総括していったん収まったが、
党内では小沢への不満がくすぶり、いつ発火するか分からない状況にある。

■吹き出す不満

 3日の秘書逮捕以降、党内の小沢批判や小沢辞任論は封印されてきたが、24日はまるでそれが「解禁」されたかのようだった。

 「『政治とカネ』の問題で国民に疑念を持たれたのは事実だ。しっかり説明責任を果たし、国民に納得してもらえるよう執行部はリードしてほしい。
政権担当能力を問われている」

 この日午前の常任幹事会では、小沢と距離を置く副代表の岡田克也はこう述べ、小沢を擁護するばかりの執行部を牽制(けんせい)した。

 これを聞いた最高顧問の渡部恒三は「(岡田は)自分もポスト小沢候補に名前が挙がっているんだから、余計なことを言わなきゃいいのに」
とつぶやいていた。だが、夜の幹事会では自ら小沢に「これからの国民世論を聞いて、勝てるかどうかで判断してほしい」と注文をつけた。

 また、昼の衆院本会議を前にした代議士会では、旧社会党グループの横光克彦が挙手して発言を求め、小沢に退陣を促した。

 「新生民主党で次の総選挙にいくことが党のためであり、国民のためだ」

 もともと保守系から左派系までバラバラだった民主党を、かろうじて一つの形にまとめてきた小沢という「たが」は傷つき、今は覆い隠しようもなく緩んできている。


 ■衆院選への危惧

 24日午後8時半前、常任幹事会に出席するため民主党本部に集まった議員たちは、口々に「小沢代表が辞めたいと言っているらしい」「鳩山(由紀夫)幹事長が
慰留しているらしい」などとうわさし合っていたという。

 小沢の去就は、次期衆院選の行方に直結するだけに、所属議員にとっても最大の関心事項だった。

 「(小沢)続投だと、小選挙区では勝てないな」

 24日昼の国会内では、民主党議員が同僚議員にこう話しかける場面もあった。多くの議員は、小沢の続投を容認はしても、決して歓迎しているわけではない。

 小沢に批判的な別の議員は、週末に地元回りをした感触をこう話す。

 「鳩山さんは検察批判をやりすぎたよ。地元でもそういう声が多い。一般の人は政治家と法務省(検察)のどちらを信じるかといったら法務省となる」

 実際に、小沢の政治資金問題が、地方選挙の結果に影響を及ぼし始めたという分析もある。22日投開票の福岡県那珂川町の町議選では、
民主党の現職候補2人のうち、1人が落選し、当選したもう1人も前回選挙時に比べ票を減らした。

 同町議会では、「やはり小沢効果だ」「民主党議員は、秘書逮捕について(有権者に)説明ができなかったようだ」などとささやかれ、
与党側は「そういう空気は今後もじわじわと広がる」(公明党幹部)とみている。29日投開票の千葉県知事選の結果次第では、
小沢を見る視線はより厳しくなっていきそうだ。

 「今日をさかいに、選挙が厳しくなったなあ…」

 24日深夜。衆院赤坂宿舎では、次期衆院選の行方についてこう慨嘆する民主党議員の姿も見られた。