【民主党解剖】第1部 政権のかたち(3)「小沢ありき」強硬突破
4日午前、民主党本部で開かれた緊急役員会。代表、小沢一郎は公設第1秘書が東京地検特捜部に逮捕されたことを説明し、
「こういう時期に迷惑をかけて申し訳ない」と頭を下げた。役員の大半が神妙な表情を浮かべる中、参院国対委員長、簗瀬進が拍手した。
「こんな席で拍手するなんて違和感を覚えた」
ある幹部は心の中でこう嘆いた。
次期衆院選での政権交代に王手をかけていた矢先、「選挙の顔」を見舞ったスキャンダルに党内は動揺している。
役員会では代表代行、菅直人も顔をこわばらせた。
しかし、小沢は役員会後の記者会見で、秘書の不祥事で世間を騒がせたことについて、国民にも党所属議員にも謝罪することはなかった。
4日午後の衆院本会議直前に国会内で開かれた代議士会には姿も見せなかった。
小沢の姿勢には党内から、「捜査当局の手法に怒りがあるんだろうが、心配している同僚や党支持者に対するおわびがないとはいかがなものか」
(閣僚経験者)という批判も出ている。
■「おれは戦う」
それでも小沢は事件発覚後、党内で広がるショックもどこ吹く風のように、強気の姿勢を貫いている。
「おれは戦う。公正にやっている。みんなによろしく伝えてくれ」
3日夜、東京地検特捜部強制捜査が都内の事務所で行われた後、「現場」にいた小沢を訪れた元秘書の衆院議員、石川知裕に決意を示した。
強制捜査入り前にも小沢は、国会にほど近いホテルで同期の党最高顧問、渡部恒三と約2時間、囲碁を打っていた。
強制捜査が行われる報道が流れた後のことだ。囲碁の相手をした盟友は対局後、「小沢の打ち筋は普段通りだった。
おれならちょっと弱くなっていたかもしれない」と周囲に漏らした。
国民新党代表代行の亀井静香が同夜、「国策捜査だ」と電話でぶつけてきた怒りにも、「おれもそう思う」と応じた。
「辞任は考えていない。不公正な検察権力の行使だ。秘書の嫌疑は晴れる。起訴などはない」