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【民主党解剖】第4部 新体制の行方(1)「選挙任せろ」指示は小沢氏 選挙後の「院政」へ布石

民主党前代表、小沢一郎の表情は、西松建設による違法献金事件で代表を退いた後、むしろ晴れ晴れとしている。
代表の座を意中の鳩山由紀夫に譲った今、次期衆院選対策に没頭しているのだ。

 鳩山が新執行部の人事を決め、小沢を選挙担当の筆頭代表代行とした翌日の5月18日。小沢は都内の個人事務所で、
静岡県知事選(7月5日投開票)で党所属参院議員の擁立を模索していた同県選出の政調筆頭副会長、細野豪志(ごうし)らと向き合い、こう指示した。

 「(野党が僅差で与党を上回る)参院の状況を考えると、知事選に出すわけにはいかない。別の勝てる候補にしろ」

 細野らは、小沢の言葉を「党本部の意向」だと重く受け止めた。小沢はこの場で、こうも語った。

 ■「全選挙区回る」

 「オレは選挙を任されているんだ。(代表を辞めて)ほかのことをやらないで済むようになったんだ」

 西松事件で代表の座からは降りた小沢は、「本来の姿に戻っただけだ」(側近)。代表代行に就いて以降、5月22日の鹿児島を皮切りに地方行脚を積極的にこなしている。「衆院の300選挙区すべて回るぞ」と意気込んでおり、頭の中は選挙一色のようだ。

 小沢は2日、5月11日の代表辞任表明以来、初めて記者会見の場に姿を現した。これも、国民新党との選挙協力の合意事項について発表するためだった。

 西松事件で逮捕・起訴された公設第1秘書の保釈を東京地裁が認めた5月25日夜。小沢は都内の料理店で、衆院副議長の横路孝弘(よこみち・たかひろ)、
選対委員長の赤松広隆ら旧社会党系の民主党議員と座を囲んでいた。

 「自民党は土下座でも何でもやってくる。やはりここ一番では強いぞ」

 ビールと日本酒をぐいぐいとのどに流し込み、小沢はこう強調した。この日も、話題の大半は次期衆院選に集中したという。

 民主党は、鳩山新体制が発足して間もない5月19日の常任幹事会で、小沢の記者会見は定例化しないと決めた。同じ代表代行の菅直人と
輿石東(こしいし・あずま)が週に1度、定例記者会見を行っているのと比べると、「特別待遇」ぶりが際立つ。