藤  堂  志  摩  子 〜十四夜目〜

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735白薔薇カタストロフィ
志摩子さんと付き合い初めて約一年。

今日こそ志摩子さんとエッチするんだ。

俺は弾む心と体を押さえながらアパートの扉を開けた。


俺「志摩子さん、ただい…」
志「あっ…ああっ…あーっ」
イケメン「ほら、志摩子。もっと声出して?」
志「や、…だ、だめ…だめ…ダメェー」

ヨダレを足らしだらしなく腰をふる志摩子さん。
そして、俺に気付きウインクするイケメンの親友。

志「…?い、意地悪しないで…早く動い…」

俺と志摩子さんの目が合う。同時にイケメンが腰を激しく動かし始めた。

志「い…いやぁぁあ!見ないで、見ないでぇぇえ」
イケメン「うほっ、スゲェしまる。とんだ変態だな、お前の彼女。ヤバい、気持ちイイ」


そこから先の事は覚えていない。震えが止まらず胃液が逆流し、意識は暗転した。



祖父が仏像マニアの親友は俺より先に志摩子さんや乃梨子と知り合いだった。

人見知りが激しい俺のために志摩子さんと乃梨子を紹介し、俺と志摩子さんの仲人までしてくれた。


これは夢だ。間違いだ。あり得ない。なぜ。志摩子さん。


乃梨子「だ、大丈夫…?」
気が付くとベッドの上。
鈍く、黒い染みのような重力が腹部を締め付けてくる。

俺「…っ…」
乃「ごめんなさい」

気丈な乃梨子がベッドに沈む程に頭を下げた。

フラッシュバックするあの光景。

ガチガチガチガチ。

小刻みに震え続ける体を何とか落ち着かせようと、俺は指をくわえた。


乃梨子が慌てて俺を抱きしめ取り押さえる。指先が血にまみれ、肉が少し欠けたのに痛みは少しも感じない。


ただ震えだけが、止まらなかった。

200X年6月10日。
これが、俺の20歳の誕生日。