これは、ヤラセでは有り得なかった。
生放送なので編集もされない映像がお茶の間に流れた。
発見できなかった時の為にか、スタジオには日本の霊能力者も出演していた。
しかし、生放送中に発見できてしまった。
番組中、霊能力者にコメントが求められた。
「何か、首から下が冷たいような……」
彼女は話し始めたがスタジオが慌しく、話し終わらないうちに司会者が話しを切り替えて行く。
この番組が終了した後の国営放送のニュースで、その行方不明の少女が発見されたという事を報道していた。
「……通行人により発見されました」
ニュースのアナウンサーは、そう言っていた。
国営放送のアナウンサーは嘘をついている。通行人ではなく、探して、見付けたのだ。
NETテレビの番組を見ていた人は、皆そう思った事だろう。仮にアナウンサーが他局での出来事を正直に伝えたかったとしても、国営の放送局としてはそれを許可出来なかったのかも知れない。
報道管制が布かれたのか?
こんな風に考えるようになったのは、成人してからの事だ。
現在同民放局では「なんとかバトル」とかいう番組を放映している。
毎回、超能力肯定派は自分達の主張を認められないまま終わる。
あの時の番組録画を見せれば、否定派も一発で皆信じるのではないかと思うのだが、それをしない。
何故なのか、封印してしまったかのようにも思える。
それを憶えているのは私だけではないとは思うのだが、もしかしたら、それは言ってはいけない事、憶えていてはいけない事なのかも知れない。
だから皆、それを知っているのに敢えて言い出さないのだ。
もしかしたら記憶を消されてしまったのか!!
超能力でテレビを観ていた人の記憶を消してしまったのだ。
そりゃあ大変だ。
こんな事をホームページに書こうとしている私も、いずれ何らかの処置をされてしまうに違いない。
そう言えば、なんだか頭痛がしてきたぞ。
むむむ、吐き気を伴う頭痛だ。性質が悪い。
私の身に何かあったら、きっとこの件のせいだな。
間違い無い。