1 :
('A`):
2 :
('A`):2006/07/29(土) 00:23:33 0
乙
3 :
('A`):2006/07/29(土) 00:23:39 0
主演男優:喪男
第一話:"イケメン受験"
イケメン検定に不合格し続けていた喪男が、ついに合格するが・・・・
あらすじのみ。
第二話:"腐女缶"
隣人の部屋で見つけた缶詰をめぐる話。
あらすじのみ。
第三話:"喪ののけ姫" 【主演】乃気姫
タイムスリップして現代に来た美少女『乃気姫』。
喪は姫と一緒に過去の世界に戻ろうと決意する。
第四話:"最後の喪男"
美醜選別法による喪男・喪女の大量虐殺が始まる。
やがて世はイケメン・美女ばかりの理想国家になったが・・・・・
第五話;"赤松健" 【主演】赤松君
同じ予備校に通う赤松君は、モテモテな先生になれる奇妙な魔法を使えた。
永遠にこの妄想の世界に居られるように、協力を求められた喪男は・・・
第六話:"人気者のマスク" 【主演】守, 信二
クラスメートの人気者『信二』から、『人気者のマスク』なる物の所在を聞いた喪男は・・・
あらすじのみ。
第七話:"イケメン狩り"
喪がグループを成してイケメン狩りを始める。
あらすじのみ。
第八話:"喪保険"
喪を対象にした保険とは・・・・・・
あらすじのみ。
第九話:"封印"
道端で見つけた鍵に、心が縛られていく男。
そんな状況に恐怖を感じ始めた男は、鍵の封印を決意する。
第十話:"ガラスのサイコロ"
転がし、出た目の数だけ願いが叶うというサイコロ。
半信半疑ながらも購入した喪男だったが、うっかりサイコロを床に落としてしまう。
第十一話:"喪・体験版"
中古のゲーム屋で「喪・体験版」を貰ったイケメン。
PS2に入れても動作せず、不良品かと思われたが・・・
第十二話:"脳外彼女"
存在する筈のない彼女の話を言いふらす喪男。
心配になった家族により、喪男は精神鑑定を受けることになる。
第十三話:"屈辱"
異世界へ渡れるという列車の切符を手に入れた喪男は、エロゲーの世界へ渡る。
バラ色の生活に心をときめかせる喪だが・・・・
第十四話:"いつもの書き込み"
板の住人から慰められる事を生きがいとする喪男。
彼はある日オフを提案するが・・・・
第十五話:"終わらない3月"
春休みが終わって欲しくないと強く願った喪。
願いは叶うのか?
4 :
('A`):2006/07/29(土) 00:24:35 0
第十六話:"臨終"
「もう一度幼少の自分に帰りたい」それが、喪男が望んだ理想だった。
未完。
第十七話:"喪リエモン"
ある日、事業が大成功した喪男にクラス会の勧誘がきた。
電話の声の主は、高校時代好意を寄せていたクラスメートの女性だった。
第十八話:"花嫁人形"
リサイクルショップを引き継ぐ事になった喪男が、本物の人間の様な人形を発見する。
未完。
第十九話:"エイプリルフール"
「4月1日までに一度も嘘をつかなければ、4月1日についた嘘を一つだけ現実のものになる。」
老人の言うことを信じた喪男は、現実化する願望について悩む。
第二十話:"空想のリアル" 【主演】ジャン=ピエール・ポルナレフ(友情出演)
エロゲやアニメなどの、二次元美少女に没頭する喪男。
ある日、エロゲPLAY中、画面に不思議な選択肢が現れ・・・・
第二十一話:"マラえ喪ん" 【主演】マラえ喪ん, 野琵汰, 剛田剛, スネオ, 出来杉, しずかちゃん
未来から、マラえ喪んがやって来た。
しかし、マラえ喪んは野琵汰の妄想だった。
第二十二話:"コップの水"
自殺を決意した喪男。
彼の目の前には、劇物入りのカプセルとコップの水が置かれていた。
第二十三話:"峠の喪屋"
「こんな所でずっと暮らせたらいいなぁ」
峠の茶屋で休憩中の喪男の何気ない一言が、思わぬ事態を招く。
第二十四話:"ズコバコ☆ぺろんちょ"
『ズコバコ☆ぺろんちょ』なるエロゲを知らない為に、喪男は仲間から阻害されてしまう。
未完。
第二十五話:"パラレル喪ールド" 【主演】喪太郎, DQN子
パラレルワールドからやってきたもう一人の自分に出会う。
彼は、喪男に一週間の入れ替えを提案するが・・・・
第二十六話:"バランス崩壊"
二十一世紀初頭、ある国が極端な法案を可決。
それは、いわゆる喪とかキモとか呼ばれる人物達を意図的に間引く法律だった。
第二十七話:"タイ喪マシーン"
2chに、「タイムマシーン作った」との書き込みがされる。
サラ金を回ってまで購入したタイムマシーンは、本物だったが・・・・・
第二十八話:"受験喪んだい"
板と住人の関係を題材にした数学問題。
その教育の目的とは?
第二十九話:"ダーツ"
ダーツバーでマスターが差し出したのは、『魔弾の射手』。
魔弾の魔力で次々とイケメンたちが願いを叶えていくなか、喪男の番が回ってくる。
第三十話:"喪男免許"
喪男免許は高待遇の人気の免許だった。
免許を取得した喪男に待ち受けていたものとは・・・・・
5 :
('A`):2006/07/29(土) 00:25:42 0
第三十一話:"透明人間"? ※題名表記なし 【主演】しのぶ
透明人間の喪男は、彼氏のいる『しのぶ』に・・・・
エロ系。
第三十二話:"脳外彼女"
喪男にも念願の彼女ができた。
彼女の口癖は「私たち、付き合ってるんだよね?」
第三十三話:"喪脱出" 【主演】喪雑の177氏
クリスマスも、喪版に書き込みをするしかない喪男。
次の日、目を覚ますと、『イケメン薬』と書かれた茶色い瓶が入っていた。
第三十四話:"カレーにスルー" 【主演】黒顔 醜太, 池山君
カレーの大食い大会に参加した喪男。
腹の限界を迎えたとき目にしたのは、会社の同僚達だった。
第三十五話:"妄想交響曲" 【主演】グロン, キッモス, ブタッチェ, ザーメン
4人の喪男が、同じ一人の村娘に恋をした。
喪男達の脳内彼女妄想が歴史を動かす。
第三十六話:"ネット喪カマ" 【主演】喪一郎, 麗美
不細工で童貞な喪一郎は大学三年生。
しかしネット上で、ミステリアスな女性『モイチ』に生まれ変わる。
第三十七話:"喪にも(´;゚;ё;゚;)キモーな物語" 【主演】肝男
ただ醜いというだけで、周囲の人間から迫害され続けた喪男。
開けた者が真に望む未来がやってくる『パンドラの匣』を手にすると・・・・
第三十八話:"選択肢"
エロゲ好きの喪男は、人生の選択が現実世界で目に見えるようになる。
彼はこの能力を駆使し、義妹の好感度を上げ続ける。
第三十九話:"ミッシングリンク"
記憶が途切れ途切れになった喪男は・・・・・
未完。
第四十話:"乗車券"
喪男が買った切符は、奇妙な世界への入り口だった・・・・
未完。
第四十一話:"28歳独身"
『殺チュウ妻団子』を購入すると、目の前には美人妻がいた。
結末は、2つあります。
第四十二話:"蹴られた背中" 【主演】高遠和也, 広美ちゃん
喪男、和也、広美の三人はいつも一緒だった。
3年前、広美ちゃんは事故で亡くなったが・・・・
第四十三話:"緊急徴兵"
ヘリコプターで連行され、緊急徴兵された喪男。
政府の陰謀か?
第四十四話:"かき集められた勇気"
脳内に散らばる僅かな勇気を、奇妙な機械にかき集める喪男。
機械のおかげで、何ものも恐れない喪男は・・・・
第四十五話:"喪ラゴンクエスト"
誰もが知っている、国民的名作ゲーム『喪ラゴンクエスト』。
♪(オープニングテーマ)もッもッもッももーもも もーもーもも もーもーもも もーももー もッもッもー ・・・
6 :
('A`):2006/07/29(土) 00:26:24 0
第四十六話:"対岸の彼女"
川の向こうに立つ君は、いつだって僕を微笑んでいた。
そんな君がいなくなるなんて・・・・・・
第四十七話:"人体模型の島"
喪男がふらりと立ち寄った店は、望んでいる”事”を売っていた・・・
未完。
第四十八話:"受難のカウントダウン"
人に不幸が訪れるまでのカウントダウンが見える喪男。
2chの書き込みから勇気をもらい、他人の不幸に立ち向かおうとするが・・・
第四十九話:"神様の鍵" 【主演】孝志 祐一, 理奈ちゃん
どんなものでも開いてしまう魔法の鍵を手にした喪男。
ひきこもり少女との心の交流。
第五十話:"スーパー喪大戦"
本日も、ずっこんばっこんなわけですよ。
アダルト系。
第五十一話:"タイ喪マシン2"? ※題名表記なし
マッドサイエンティストの喪男は、タイムマシンで中学時代の黒歴史を塗り替えた。
しかし、未来が思いもかけない方向に豹変する。
第五十二話:"残酷な喪のテーゼ"
喪男と幼馴染には、二人だけの場所があった。
その場所で、幼馴染みから裏切りをうけた喪男は・・・・・
第五十三話:"未来世紀アキバ"
ある日、喪男は奇妙な機械を購入した。
そのおかげで、モテモテになった喪男だったが・・・・
第五十四話:"喪び太"? ※題名表記なし
中学時代、喪男のあだなは「のび太」だった。
高校デビューを果たすべく、努力しイケメンになれたと思ったが・・・・
第五十五話:"持ち主不明の携帯" 【主演】手癖悪 肝蔵, ミホ
サラリーマン・手癖悪 肝蔵は、持ち主不明の携帯を拾う。
エロSDを除き見ると、一枚目の写真がキタコレやべえエロスーツのキューティーガール!!
第五十六話:"ギ音"? ※題名表記なし
喪男は全ての擬音がギギギギギと聞こえる奇病に罹った。
ギギ喪ギギギ男のギギギギギギギギギ運命ギギは?ギギ
第五十七話:"安定"
会社を解雇される喪男が、母校に立ち寄った。
殺人犯と間違われるが、身に覚えはなかった。
第五十八話:"恋愛マニュアル" 【主演】イケ田, DQ野, 喪々地
20XX年XX月。
深刻化する少子化問題を解決するため、「恋愛マニュアル」策定委員会が立ち上げられた。
第五十九話:"瞬間喪動" 【主演】美咲ちゃん
不思議な呪文を唱えると自分の意識以外の時間が停止する能力を持った喪男。
憧れの女の子に告白中に、この能力を発動したが・・・・・
第六十話:"喪ウソウ"
リアルな妄想を見せてくれるサングラス。
喪男は、その奇妙なサングラスの製造方法を知ることになる。
7 :
('A`):2006/07/29(土) 00:26:54 0
第六十一話:"喪ずのはやにえ" 【主演】志保さん
髪の長い女性に、恋をする喪男。
彼女に似合うピアスをプレゼントするが・・・・
第六十二話:"喪林サッカー" 【主演】喪吉, 喪太郎
喪の里の住人は、奇妙な能力を持っていた。
長老を救うべく、サッカー大会に出場することを決めたが・・・
第六十三話:"連体保証" 【主演】池面太郎, 胆田喪一
イケメンは、大親友の喪男に連体保証を持ちかけられた。
喪男は借金を払えず、自殺してしまったが・・・・・
第六十四話:"織田喪ブナガ" 【主演】織田喪ブナガ, 明智光秀
最も有名な歴史上の人物のひとり、『織田喪ブナガ』。
そんな喪ブナガにも一つだけ欠点があった。
第六十五話:"喪扉" 【主演】喪太郎
三週間自分の部屋から出てない喪太郎。
扉から奇妙な音が聞こえてきた。
第六十六話:"2006 喪ード to ドイツ" 【主演】サナエ
W杯の初戦、オーストラリア戦に書き込まれた奇妙なメッセージ。
そのメッセージの意味とは?
第六十七話:"アン喪ロイド" 【主演】アスカ
喪男は、美少女アンドロイドの人工知能を研究していた。
ついに現実世界の人格を完成したと思われたが・・・・
第六十八話:"喪・喪ード系"
モード系ファッションに興味をもった喪男。
そして、ついにたどり着いた喪男にとって一番かっこいいファッション。
第六十九話:"リス喪"
機種変更することになった喪男は、音楽を保存できるリ○モ対応携帯を選択した。
喪男に相応しい曲とは?
第七十話:"クラスの奇喪いアイツ"
うざい、きもい・・・・
クラスに必ず一人はいる・・・そんな存在だが・・・
第七十一話:" 続キ喪イアイツ"
喪男のクラスは、 卒業前にクラスで日帰り旅行に行くことになった。
しかし、誰一人としてそのバスが奇妙な世界へ向かっているとは知らなかった。
第七十二話:"サ喪テン" 【主演】マドカさん
願いを叶えてくれる、不思議な神様『サ喪テン』様。
意中の女性であるマドカさんとの関係は良好になったが・・・・
第七十三話:"喪て機会×3"
どんな人間にもモテる機会が3回訪れる。
刻一刻と、その瞬間が近づいてくる。
第七十四話:"喪の花" 【主演】としあき
枯れる前に真実の愛を知れば、願いが叶ういう『喪の花』を手にした喪男。
そして、喪男としあきは黒髪ロングおかっぱの少女と出会うことになる。
第七十五話:" 萌男" 【主演】としあき
散々な毎日を送る喪男がある日目覚めると、人生が豹変し始めたが・・・・
未完。
8 :
('A`):2006/07/29(土) 00:27:26 0
第七十六話:"ちょい喪オヤジ"
仕事帰り、課長にのみに誘われた喪男。
『ちょい喪オヤジ』の存在を知ることとなる。
第七十七話:"the MOon"
無線が趣味の喪男に届いた謎の女性の声。
喪男は、彼女に会うべく月へ向かうことを決意する。
第七十八話:"過去の日記"
掃除中、過去の日記を発見し、懐古に耽っていた。
すると、その紙から瞬く間に光が出て・・・・・
第七十九話:"バレンタイン" 【主演】喪太郎, 鯨朗
喪男にとって、最大鬱イベントの一つであるバレンタイン。
しかし、下駄箱を開けると手紙とチョコが入っていた。
第八十話:"喪ちゃんねる" 【主演】優子ちゃん
好きな女性をテレビ番組のように監視できるグッズを手に入れた喪男。
鑑賞中、事故が発生し・・・・
第八十一話:"デス喪ート"
『Death Mote』・・・・
名前を書かかれ者には、死が訪れる恐怖のアイテム。
第八十二話:"女になれる薬"
喪男は、女になれる薬により性転換を実現する。
ポジティブな気持ちになった喪男は街に出るが・・・・
第八十三話:"本当の自分"
漆黒の闇の中の大きな鏡を見つめながら話すタ喪リ。
タ喪リの語りのみ。
第八十四話:"喪ーラーカー" 【主演】モーテ=ネーゼ, 喪太郎, イケ=メン
喪の鬱エネルギーを動力とする喪ーラーカー。
喪男とイケメンの壮絶な戦いの幕が切って落とされた。
第八十五話:"喪流漫画家" 【主演】ハルカちゃん, タケシ, サリナ
恋愛経験が無い為、恋愛シーンを書くことができない漫画家。
創作の葛藤に苦しむ喪男が、辿り着く境地とは・・・
第八十六話:"夜の姿" 【主演】エリ
夜の街をバイクで疾走するクラスメイトと出会い・・・・
ジョーク系。
第八十七話:"なんでも屋" 【主演】中島幸太
「…お代は結構です…あなたの気持ちだけで…」
自分の願望を叶えようとした喪男に、店長の老婆はそう告げた・・・
第八十八話:"喪黒福造"? ※題名表記なし 【主演】矢和井一夫
就職活動に明け暮れる喪男。
その男の罪に罰がが下される。
9 :
('A`):2006/07/29(土) 00:28:25 0
■未完成お題リスト: 前スレ980まで
(500スレが過ぎたものは削除されます)
1-626 "喪擬試験"
1-631 "オアシス"
1-655 "グレ喪リン"
1-678 "筋肉マン喪世"
1-680 "クッキー喪ンスター"
1-681 "喪ノリス"
1-683 "猿"
1-687 "愛喪ーど"
1-730 "喪ナリザ"
1-742 "イマキ喪さん" "喪女さん屋さん" "ヲタ火" "雨の訪喪者" "喪プレイ"
1-831 "喪ーニング"
1-906 "喪ずく" "喪クドナルド" "喪う一回…"
10 :
('A`):2006/07/29(土) 00:29:28 0
完了
11 :
('A`):2006/07/29(土) 00:33:11 0
オツカレサマー
12 :
('A`):2006/07/29(土) 00:36:02 0
乙!!!!!
13 :
('A`):2006/07/29(土) 00:47:26 0
前スレ978 カモン
14 :
('A`):2006/07/29(土) 01:24:33 0
お題 “素喪も喪も喪のうち(すももももものうち)”
すれたて乙
だが、500スレはねえだろw
16 :
('A`):2006/07/29(土) 15:33:55 0
100話語り終えると、その喪に彼女ができる ・・・と、いいな
17 :
CPE000ae46c7b32-CM0014045c05b6.cpe.net.cable.rogers.com:2006/07/29(土) 21:25:31 0
喪の有志達で纏めたサイトもよくできてるな!
18 :
◆boczq1J3PY :2006/07/29(土) 21:25:57 0
s
19 :
1:2006/07/29(土) 22:04:26 0
>>15 あ、500レスの間違いだ・・・・・
今、気づいた orz
んー 一応うぽがやったアレがまとめってコトになるのか?
2スレ目突入したら適当にhtmlにぶち込んだの作ろうと思ってたんだが…
21 :
前スレ978:2006/07/30(日) 23:34:24 0
すまん…予告とは全く違った話を作ることにした…
あのお題は無理だ。
期待せずに気長に待ってくれ。
前スレの最後用に書き初めてたんだが、あっという間に埋まってしまった……。
23 :
('A`):2006/07/31(月) 00:33:51 0
お題を「有終の喪」にしちゃったから、最後を埋めるのに使いたかったんですがね。
まぁ、どうせだからじっくり書いてみますわ。
25 :
('A`):2006/07/31(月) 01:25:09 0
そりゃ楽しみだ
是非一番乗りを飾ってくれ
26 :
しめじ:2006/08/01(火) 01:42:12 0
「コンプレックス」
人の目を気にしない奴が羨ましい
と同時に憎い
僕はチック症でそれがどうしようもないくらいどうしようもないくらい
コンプレックスだった。−高校時代
別に誰かにいじめられたわけじゃない。たまに別のクラスの奴に笑われていたことも
あったけどクラスでは普通で、普通に隅っこに存在し卒業した。
近所の大ちゃんは東京に昔行ってて
「東京?東京ってところはな、別にだーれも他人のことなんか気にしないで
好きな奴ら同志が集まって好き勝手やってる街なんだよ」
その言葉信じて東京の大学に行った
人には言えないような人には言えないような大学に。コンプレックス持って東京行った。
絶対に変わろうと思った。ここには昔の僕を知ってる奴はいない。絶対に変わるんだって。
大学の演劇サークルに入って自己紹介のとき自らチック症であることを
積極的に告白して、そのまま一芸披露のときは勝手に震える首を利用して
ボクシングのシャドーの真似をした。みんな笑っていいのかわからず上級生はとまどいの拍手を
くれた。
ことあるごとに「俺なんか勝手に震えるだろw夏なのに涼しいぜ」とか
会話の流れと関係のない話をたびたびした。
サークルに卓志という名前の2枚目の同級生を見た瞬間
僕は「これはイケる!」と思い込み
飲み会で「チック&タック」と芸名をつけ嫌がる卓志と無理矢理
つまらない漫才をした。彼は終始渋っていたけど僕は満足だった。
27 :
しめじ:2006/08/01(火) 01:45:11 0
500 :うすーの唄:2006/07/31(月) 04:01:41 ID:VxhGz8KF
僕は変わった。いや俺は変わったんだ。こうして
積極的に声を掛けるようになったし人前でも緊張で
声が震えることなんてない。やったんだ俺はやってやったんだ!
ざまぁみろ田舎の連中
サークルの劇の大道具を作っている途中に上級生が
「よーし終り終わり。今日は4年の追い出しコンパだから
1年は大久保駅行って先に店確保な」
しめた
卓志をつかまえて「卓志!今日もやろうぜ」と肩をつかむと
「俺いかねえよ」
「おいwなんだよ。俺たちの恒例のアレなしじゃ盛り上がらんぞw」
「・・・るっせーな。なんなんだよ!お前!!!馴れ馴れしくすんじゃねえよ!
なんだよ!てめぇスベってるのわかんねえのかよ!何がチックタックだ!
てめぇ空気読めてないだろ。みんな最初の同情してたのてめぇがズルズル
粋がってだけじゃねえか!うぜぇえんだよ!気持ち悪りぃんだよテメェ!近づくな」
なんだよ
なんだよ
なんだよ ソレw
聞いてねぇよそんなの だってみんな笑ってたジャン ・・・・
「喪ビルスーツ」
うるせえ
俺はないっつも夢の中でガキを追っかけているんだよ
聞きたいことがあるんだよ
小学校の俺がずっと俺の前走ってるンだよ
ち、ちくしょう速ーよ わき腹がいてェよ
待ってくれよ
待ってくれよ
聞きたいことがあるんだ
答えはわかってるのに追いかけているんだ
答えは知ってても言って欲しい言われたいことってあるだろ
こんなことなら普段ちっとは運動しとけば、まぁタバコなんて
やめれるわけねえし、なかったら一日発狂してるけどな
くそなんて速いんだ
無理もねえわ アイツ一日中山の中走り回ったりしてたもんな
俺電動自転車だってこぐのつらいものな ハァハァ ダメな俺
ガキの俺「・・・・・・・・・・」
ダメな今の俺「はぁはぁはぁ 待っててくえたのか ぜぇぜぇ
君に・・君に聞きたいことが・・・あって・・・今のこの俺のことなんだ」
ガキの俺「アンタさ。この俺がさ悩みなしに生きていたとでも思ってるの?
俺に今のアンタを否定させたいわけ?思い出してみろよ。山や野原で一人で
一日中アリの巣見てた俺を。カギっ子で親が合鍵入れ忘れて一日中家の外で
図書室から借りてきた本庭先で読んで帰りまったことを。アンタ勘違いしてるぜ
自分だけ自分だけが不幸で罵倒されて不幸かみしめたいのか?他人の気持ち
昔の俺の気持ち無視していい気になるなよ。俺は行くよ未来がどうなろうと。」
俺「・・・・・・・・・・・違ぇよ。うるせぇ。ガキのくせに」
もう追いかける気力もねえよ
30 :
('A`):2006/08/01(火) 18:53:06 0
???? とりあえず乙
31 :
('A`):2006/08/02(水) 02:29:28 0
待ち
32 :
('A`):2006/08/02(水) 21:36:21 0
さらに待ち
33 :
('A`):2006/08/02(水) 22:31:33 0
夏なんで怖い系が読みたい
34 :
('A`):2006/08/03(木) 23:40:41 0
作者様を待ってる間、リレー小説とかやらね?
ネタとしては、例えばリストの中の "喪ずく"。
藻ずくが藻にくっつく寄生物だから、それに掛けて、
喪に寄生する謎の生物とのハートフルな交流を描く物語とか・・・・
35 :
('A`):2006/08/03(木) 23:44:29 0
36 :
('A`):2006/08/04(金) 00:02:23 0
>>35 自分だけでは、どうにも面白くなりそうにない。
寄生生物だけに、みんなの力が必要
37 :
('A`):2006/08/04(金) 00:04:31 0
俺がんばるよ
38 :
リレー小説 "喪ずく":2006/08/05(土) 01:05:43 0
夜空を眺めるタ喪リ。
一筋の流星が流れ落ちる。
「みなさん、こんばんは。
突然ですが、みなさんは自分が自然界のサイクルの中に存在すると思いますか?
では、周りをご覧ください。
“ワニが口を開けて、鳥がその口の中を掃除”
“コバンザメが鮫の下にはりつく”
など、自然界では至極当然のように行われています。
こんな一見、いい意味では共存である、寄生にも奇妙な世界は
口を空けて待っています。
その証拠に、『寄生』の文字をじっくりご覧ください。
ほら・・・・・・ね?」
39 :
リレー小説 "喪ずく":2006/08/05(土) 01:06:27 0
種を増やせ・・・・・・
それが俺に与えられた使命だった。
まだ生まれて間もない俺を支配する、その確かな意思。
俺の体は、風に流され夜の街を漂っていた。
すると寄生に丁度よい生物、ニンゲンを発見する。
左右対称でバランスの取れた顔。
周囲には、生殖対象である雌を何匹もはべらかしていた。
(・・・アイツ二キメタ)
俺は迷うことなく、そのニンゲンに目掛けて小さな身を投げた。
しかし次の瞬間、左右非対称の顔で、異臭を放つオスが俺の前に現れた。
急に止まれるはずもない。
ものすごい鼻息に誘われるように、俺の体はその男の体内に吸収された。
40 :
34 38 39:2006/08/05(土) 01:09:36 0
導入部分、完了。
ヨロシク。
41 :
('A`):2006/08/05(土) 13:31:09 0
本編、待ち
リレーも、待ち
42 :
('A`):2006/08/05(土) 18:23:57 0
「喪来泣き」
人が泣く時というのは、いろいろな場合があります。
嬉しい時。
苦しい時。
悲しい時。
自分の感情が高まった末、涙は流れるものなのです。
ただ例外はあります。
それは、「もらいなき」です。
他人が泣いている姿をみて、それに感化されて自分も泣いてしまう。
その情景は、周りから見ても非常に心打たれるものです。
一人の涙が、みんなの涙を誘い深い感動を生み出すのですから。
・・・・ただそんな「もらいなき」にはもうひとつ意味がある。
それを知るとアナタはもう、「もらいなき」という単語が嫌いになるかもしれませんね。
それでも知りたいというのですか。・・・・そうですか。
では一つのエピソードをお教えしましょう。
きっとアナタは一生「もらいなき」しなくなるでしょうがね・・・
43 :
('A`):2006/08/05(土) 18:24:36 0
「喪来泣き(前編)」
今の時代は、寂しさなんてすぐ埋められる。だってケータイ電話っていう便利なものがあるんだもん!
私は高校2年生。容姿とか性格は至って普通。勉強だってそこそこできる。
放課後は友達とかとカラオケ行ったり、アイスクリーム食べに行ったり楽しい高校生活おくってるの!
・・・でもねひとつ悩みがあるの。
それは、彼氏がいない事。
いつも遊ぶ友達にはドンドン彼氏ができていく。私一人取り残されてる。
だから私ね。おもいきって行動してみることにした!
ケータイの出会い系サイトに登録しちゃったの!
そうしたらすぐ男の人からメールが来たわ。私嬉しくなっちゃって即返信。
1週間もメールしたら、お互いのことすごく知ることができた。
多分学校の男の子よりも、私のことよく知ってくれたんじゃないかな?エヘヘ。
その男の人は22歳。なんか近頃話題のデイトレーダーらしいの!すごくお金持ってるっていってたわ・・・
でも私お金には興味ないから。ん〜・・・ないって言ったら嘘だけど、元々の目的は彼氏作ることだからお金は関係ないわ。
身長や体重はどうしても教えてくれないの。写メはこっちのは送ったんだけど、あっちからは送ってこない。
きっととってもシャイなのね!
22歳ってちょっと年の差があるのが心配なんだけど、それは大丈夫だと思う。
音楽とかテレビの話はとっても詳しいの。まるでメール送る前に調べたのかっていうくらい物知りでびっくり。
それに最近じゃメール以外に電話もするようになったわ。声もダンディーでステキ。
私って年上のほうが好きかもって、だんだん気づいてきたわ。あ〜、はやく会ってみたいなあ。
44 :
('A`):2006/08/05(土) 18:25:35 0
「喪来泣き(後編)」
目に映る美醜で、物事を見たりしたくはない。でもさ涙が止まらないのは私のせいじゃないよね・・・
カレとのメールをつづけてはや1ヶ月。もうメール上では恋人同士。
後は会うだけ。
でもカレとてもシャイだからどうしても会ってくれないの。
もう!いい加減会ってくれたっていいじゃない!
最近私ちょっと変。妙にイライラしてるわ。
やっぱり原因は友達とのケンカでしょうね。その子が、
「アンタなんか一生彼氏できないわよ!」なんて言うから・・・
だから私ね、昨日カレにこういうメール送ったの。
「会ってくれないなら、他の人とメールすることにします。私は現実の彼氏がほしいんです。」
って。そうしたらカレ
「分かったよ・・・じゃあ明日会おう。○×公園に午後8時で・・・」って返事くれたの!
もうすぐ8時になるわぁ。うふふ。とっても楽しみ。カレきっととってもステキなヒトよ。
ステキな声してるし。・・・あれ、私ってばカレの特徴それしか知らないわ。外見について全然しらない・・・
まああっちは私の顔知ってるわけだし大丈夫よね。あ、あと1分。
・・・・。あれ、なんか不審者みたいな人が公園にはいってきた・・・。大丈夫よね、いざとなったらカレが来て助けてくれる。
・・・・・。あの人私のほうジロジロ見てる。本当に不審者じゃないかしら。110番できる用意しとかないとね。
・・・・・・・。それにしてもあの人の顔ひどくブサイクね。あっ、そんなこと言ったら失礼よね。でも私は無理ね、
生理的にうけつけないもの。多分女の人でアレを好きになる人はいないわね。お金つまれても無理よ!
・・・・・・・・・・。あの人私に近づいてくるわ。助けて。カレはまだ来ないの?誰かたすけて。ダメ声がでない・・・
その男は私に近づいて、こう言ったわ。
「は、はじめまして・・。○(私の名前)でしょ?俺がメールしてた・・・・」
声は最後まで届かなかった。気づいたら私ただ泣いてたわ。
カレがこんな人だったなんてっていう失望のせいじゃない。
ただただこの人の顔が醜くて、見ていられなかった。恐怖って言う言葉が一番近いかもしれないわね。
でも私が泣いてるのはきっと、身体の拒否反応だとおもうわ。
涙でぼやければ顔がみえないんだもの。
45 :
('A`):2006/08/05(土) 18:26:40 0
「喪来泣き」
・・・・みなさんいかがだったでしょうか?「もらいなき」の本当な意味ご理解いただけだでしょうか?
喪が近づいたときの恐怖・・・防衛反応として涙がでてしまう。
それが「喪来泣き」の意味なんです・・・・
・・・ほらだから最初に言ったのに。
この話を聞いたら、あなたは一生もらいなきできなくなるよって。
それだけじゃなくあなた、本当のもらいなきの感動的なシーンを見るたびにこの話を思い出しますよ。
あ〜あ・・・フフフ。まぁ元々あなたには、もらいなきする友達もいないんですけどね。
終
喪にも奇妙な物語ですが、今回はじめて作ってみました。
前から興味があったのですが、どれも高レベルなものばかりだったので躊躇していました。
スレのレベルを下げないように頑張ってみました。修正すべきところ等ありましたら、ご指摘頂けたら幸いです。
46 :
しめじ:2006/08/05(土) 18:35:37 0
つまらんよ
2行で落ちみえるじゃん
ただ待ってる俺からすれば
書いてくれる職人さんはとてもありがたいわけで
そんなわけでこれからも頑張って書いてくれ
48 :
('A`):2006/08/06(日) 07:02:10 0
「喪苦曜日」
・・・・あ〜あ。また嫌な曜日がやってきた・・・一週間で一番嫌いな曜日だ。
カレンダーを見るたびに憂鬱になる。だがその日は必ずやってくる。
やっとのことでその日を乗り切ったとしても、次の日からすぐにカウントダウンがはじまる・・・。
木曜日・・・・・・・・・・いや喪苦曜日。
毎週毎週、この日になると決まって俺は嫌がらせを受ける。
それは、道で通りすがる人を始め職場の仲間、果てにはコンビニの店員にも嫌な顔をされる。
もう世界中の全てが俺を嫌っているんじゃないか?と思うくらいだ。・・・・多分それは正解なのだろう。
いっそのこと、ずっと家に引きこもっていたい。ずっと前からそう思ってた。
それでも俺は、外に出なきゃいけないんだ。
だってバイトがあるから。
今日もきっとシカトされるんだろうな。ヒソヒソ話されるんだろうな。だけど、俺は行かなきゃいけない。
もう覚悟は決まってる。
フン!木曜日に嫌われ者になるくらい、耐え切ってみせるさ。
いつかはこんな嫌がらせも終わるだろう。それまでの辛抱だ。
さて、バイトに行くか・・・・。ふぅ・・・・。
バイト先の仲間の会話
「なあなあ。あいつまだ辞めてなかったのかよ。・・・あいつだよあいつ。喪のことだよ。あいつさあ木曜日だけさあ、
バイトのシフト入って、来ても誰とも喋らず帰っていくんだぜ。まじ存在が意味不明じゃね?w週一しか入らないせいで
俺らが他の日に入らなきゃいけなくなるし、あいつ来ても全然使えないからもう辞めて、新しい人雇ってほしいんだよな。
ほーんと邪魔。・・・・・なあ、あいつって友達いるのかな?絶対いないだろうな。ってか木曜日以外なにしてるんだろうな。
・・・・・・えっ!まじで!あいつひきこもりなの!?w近所じゃ有名?まじかよw木曜日以外ずっと部屋に閉じこもってんのか。
まあ確かに、あんなにブサイクでキモイヤツは隔離したほうがいいと思うね!・・・さっさと辞めてくれねえかな〜。
今度話かけてみるか。最初で最後の言葉が『はやく辞めてくれませんか?』なんてなw」
「喪苦曜日」
よし。・・・今日も無事バイト終わったぞ。はやく帰ろう。今日も疲れたからな。
あれ・・・いつも嫌がらせしてくるバイト仲間が近づいてきたぞ。またなにかされるのかな。やだなあ。
「ねえ喪君。来週の月曜日なんだけどさ、シフトはいってくれないかな?人手が足りないんだよね。
みんなが入れないっていうんだ。それで喪君、いつも木曜日しか入らないだろ。だから今回ぐらい入ってもらえない?
予定とかないんだろ?お願いだよ。」
おっ!嫌がらせじゃない!お願いしてる、俺に。そして・・・ついに話しかけてもらえた・・・。
まさかもう嫌がらせは終わったのか?みんなでシカトするのは止めたのか?
俺が頑張って耐えたから、みんなに認められたんだ。きっとそうに違いない!
地獄の喪苦曜日はもう終わったんだ。
みんな最初は悪ふざけのつもりで始めたんだろうなきっと。でも俺がずっと耐えるから、段々エスカレートしちゃったんだ。
それが周りに広まっていって、バイト先の人以外からも嫌がらせうけることになったんだ。
だけど、それももう終わりだ!
俺は認められたんだ!
今日からカレンダーを見て欝になることはない。
木曜日までのカウントダウンをする必要はない。
俺が苦しむことはないんだ!
「は、ははははい。げっ、月曜日は、ひひまなのでだいいじょうぶで・・・・す。」
「じゃあいつもの時間にきてね。おつかれ!」
バイト仲間の会話
「今の見たかよ!wキモ!ってかお前よく話しかけれたなw俺には無理だな・・・ってかなんであいつちょっと嬉しそうな顔してんだ?」
「喪苦曜日」
さて今日は月曜日だ!さあはりきってバイト行くぞ!
なんたってこの間の木曜日で、俺にたいするイジメは全部おわったんだから。
それに今日は月曜日。木曜日じゃないんだから、俺が苦しむ必要はない。
今日は気分がいいや。さて行くか。
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・おかしい。通り過ぎる人達が、俺のこと見て嫌な顔する・・・なんでだろう?
今日は喪苦曜日じゃないだろ?なんでそんな顔するんだよ。
あれバイト先に着いたんだけど、誰も話しかけてくれない。
なんで?
今日は月曜・・・木曜じゃない・・・
こないだはなしかけてくれただろ・・・・・
俺から話かければいいのか!そういうことか!
「あの・・・」
「ウザッ!」
ななななななんで。これじゃあいつもの木曜日と変わらないじゃないか。
イジメおわってないじゃないか。俺が耐え切ったから、周りが受け入れてくれるんじゃなかったのか!?
その時、誰かが肩を叩いた。
「あんたさ、いつもそんなにキモイんだね。月曜日はなんか違うのかなって思ったら、木曜日と一緒じゃんw
ただでさえ使えないんだから、ボケーっと立ってないでテキパキ働いてよ。」
・・・・・・・ああ。そうかなんだそういうことか。
俺にとっては、
毎日が「喪苦曜日」だったのか。
次の瞬間、俺は泣きながら走り出した。
後日バイト仲間の会話
「あれはまじびびった!wいきなり泣きながら帰るんだぜ。信じられねえよ。まあもう2週間も無断欠席だから、クビ決定なんだけどね。
でもさ、お前が『あのヒキコモリ木曜日以外に外出してみたくね?w』なんていうからこんなことになったんだぞ!
まあ結果オーライだな。だってあいつもうクビなんだからwあははw」
終
52 :
('A`):2006/08/06(日) 22:10:17 0
あげ
53 :
('A`):2006/08/06(日) 23:44:38 0
俺は神宮寺 武咲人(じんぐうじ ぶさと)、幼少より学業を積む日々を送り、念願の東大に合格した。
学校で学び、家に帰り勉学をし、夕飯を食べて寝る。ただそれだけのサイクルをこなす日常に問題が生じた。
一人暮らしの六畳一間に、壁が現れたのだ・・・
「喪ノリス」
その壁は縦2m、横1m、奥行10cm程の黒い平面で、中央に「喪」と書かれている。
始めは「喪」の文字から悪質な悪戯かと思ったが、すぐに異常な事態である事に気づいた。
まず、ドアや窓から継ぎ目の無いこの物体を部屋に持ち込むことは不可能だ。しかし異常なのはそんな些細なことではない。
この物体は床から5cm程浮かび上がっており、視界に入ったときだけウォンウォンと冷蔵庫の様な音がするのだ。
警察や親に相談すべきか?しかし自分がおかしくなったと思われ心配されるのは宜しくない。友と呼べる人間を持たない俺には誰にも話せない。
超常現象は信じない俺だからこんなくだらない事に頭を悩ませるのは無意味だ。俺は放置を決め込んだ。
翌日、未だ部屋にたたずむその物体を無視して俺は大学へ向かった。
電車に乗り込んだ俺はすぐ様席に座ると腕を組み目を閉じた。通学で余計なエネルギーを消費するのは不効率、これがいつものパターンだ。
その時、頭の上に何かが落ちてきた。
「ムッ・・・?」
目を開けるとそこには漫画雑誌があった。名前から察するに週刊の少年誌の様だ。俺には昔から縁の無いものだ。
だが、妙な声を上げてしまったのを誤魔化す手前、その雑誌を拾い上げ読んでみた。
陳腐な内容に呆れ、無表情のまま読み進める中、ある漫画にページを捲る手が止まった。
それは一人の男と多数の女が繰り広げるハートフルなラブコメディーだった。
「なんだコレは?」
妙にひかれて夢中で読むと20ページ程で終わってしまった。(もっと読みたい!)そんな思いが浮かび上がった。
どうやら単行本が数冊出ているらしく、講義中も頭はその事で一杯だった。
帰り道、すぐに書店に向かい購入した単行本を手に家へと急いだ。
壁は健在だが、そんな事は気にもせず単行本を読み耽った。
全て読みおわり気づいたのは深夜三時だった。驚きながらも翌日に備えて睡眠をとる。
55 :
喪ノリス:2006/08/07(月) 05:09:03 O
翌日、駅の売店で昨日読んだ週刊少年誌を購入。例の漫画についての情報を集める。
深夜にアニメが放送中?アニメとはドラえもんやアンパンマンの様なあれだがこの様な作品を放送して良いのか!?
様々な疑問が浮かんだが、ちょうど今日が放送日だった為に一日中頭はその事で一杯だった。
家に帰る。壁はまだあるが深刻な害も無くもう慣れた。時間まで再び単行本をおさらいする。
深夜、さっそく例のアニメをテレビで見た。何だコレは!?素晴らしい。こんな素晴らしいものがあったのに何故気づかなかったのか?
30分で終わったこの番組を始めから見たい!
翌日、学校から帰ると早速電気屋でDVDプレイヤーを購入しDVDをレンタルしてきた。
やはり内容は素晴らしく、すべて見おわって気づくと朝の五時だった。
眠い目をこすりつつ講義を聞く俺の頭の中は、自分の気に入ったキャラの声を当てている女性声優の事で一杯だった。
家に帰る。帰り道ラジオを購入してきた。例の声優が出ている番組を聴くためだ。壁はまだ、いる。
美しい声とユーモア溢れるトークに酔い痴れ、単行本を読みながらDVDを見る生活はなんと素晴らしいことか!
そんな日々を送る中、俺は新たな情報を得た。あの声優がパソコン・ゲームというものに出演していたらしく話題になっているらしい。
それだけ話題になると言う事は、きっと演技の評価が高かった、と言うことなのだろう。
俺はパソコンと例のゲームを購入した。一つ気になったのはゲームが18歳以下の購入が認められていない事だが・・・
まあ、パソコンと言うものは中々難しい、中高生でも手に余るからなのだろうな。俺は、ゲームをインストールした。
美しき青きドナウが鳴り響く中、喪ノリスは新たなオタの誕生を暖かく、静かに見届けていた。
〜完〜
56 :
('A`):2006/08/07(月) 20:47:51 0
ここ人いなすぎだろ;;
お題 「箱船(シェルター)に入れなかった喪達」
「箱船(シェルター)に入れなかった喪達」
ノヴァの箱舟という物語がある。
神様にお供えをしなくなった人間たちに神様が罰を与える話だ。
ノヴァという少女は、神様へのお供えを忘れずにいた。そのために神様からお告げをつげる。
「大きな箱舟をつくりなさい。そして動物のつがいをそれに乗せるのです・・・。」
後はみんなご存知の通り、大雨が続き洪水にあった・・・。ノヴァはその箱舟に乗り助かることができたのである・・・。
時は進み、現代へと物語は進む。
「森林伐採、CO2の排出量の増加等、様々な要因があり近年の温暖化は・・・・」
ブチッ。
テレビの電源を消す。
また温暖化のニュースしかやってないのか。と内心ウザく思う。最近はこのニュースしかやっていない。
20×× 年。地球は温暖化が進み、かつてよりはるかに海面が上昇した。
人間たちはいずれ大陸がすべて沈没してしまうのではないか・・・つまり人類が滅亡するのではないか・・・とようやく考え始めたのだった。
それははるか昔の神話、ノヴァの箱舟で神様へのお供え物をおこったたように、
人類が地球にたいする畏敬の念を失った代償なのかもしれない。
ただひとつ言えることは、地球は危機に瀕しており、人類が生きのびるためには
まさにノヴァの箱舟を作るごとく、海面上昇に対抗する人類生存用シェルターを開発しなければいけなかったのだ。
「箱船(シェルター)に入れなかった喪達」
ついにNASAが箱舟(通称シェルター)の開発に着手したか・・・。
人類の危機が目の前に瀕しているとき、ここにPCの前に居座りかろうじて機能しているネットを活用している男がいた。
仮にここでは「喪」としておこう。
この物語では、彼こそが主人公である。
ただし、温暖化がここまで具体的に問題となり世の中がパニックにおちいるまでは、
彼は「キモチワルイ(キモイ)」という言葉に形容されるように、世間から忌み嫌われる存在であった。
NASAもさすがに宇宙まで脱出する技術を発展されるには時間が足りなかったか・・・。
喪は冷静だった。
ニュースでは毎日温暖化の深刻さを伝える報道が流れている。人々はそれに影響を受け、とまどい・ながされ・慌てふためいていた。
俺はいつ死んだってかまわない・・・。
ニュースでは、今日も世界のどこかの島が海に沈んでいった。という報道が日々流れた。
喪の思いは死が直面しても揺るがない。
俺が死ぬことは全く恐怖ではない。なぜなら俺は今まで生きている中で、死よりも怖い体験をしてきたからだ。
それは小学生時代、喪をいじめてきたDQN存在であり、それを笑ってみていたやつら、そして俺を嘲笑った女たちである。
喪にとっては、生きていることこそ”地獄だった”と言えるだろう。
ゆえに今の世界の状況においても、冷静にいられたのである。
「箱船(シェルター)に入れなかった喪達」
・・・・・・・・・ピーピーピー・・・・・
機械的な音で喪はめを覚ました。テレビがつけっぱなしだった・・・。その画面には、
「本日日本が沈没します。生存者の皆さんはNASAがつくった箱舟の場所まで急いでください。
箱舟は各地方ごとに設置され、○○地方は○×山に・・・・・・」
と文字だけが点滅していた。
喪は、バンッと部屋のドアを開けた。家の中はガランとしていた。
喪は両親とともに住んでいた。いや生かしてもらっていた。つい昨日まで。
その両親は自分を置いてスタコラにげてしまったらしい。箱舟に向かうために。
静かな家にただずんで、そこで喪はニヤリと笑った。
所詮人間なんてこんなものなのさ・・・。自分を生み育てた親さえ自分を捨てる。
己が一番大切なのだ結局。・・・・・・・・・キレイゴトはもはや通用しない世界になった。
喪は家をでた。さすがに自分も逃げなければノタレ死にだ。
案の定母親の車が一台駐車場にのこっていた。
家族は父親の車に乗ってみんなで逃げたのだろう。
喪は車の鍵をとりに家のなかへと戻っていった。
「箱船(シェルター)に入れなかった喪達」
喪は母親の車を運転し、箱舟のある場所へと向かっていた。
その時前方に人影が見えた。
キキキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
人影は道路に倒れこむよう人、それを必死に支える人で2人組みだった。
「どどどうしたんですか?」喪はたずねた。
その人影は、言った。
「すいません。彼女と一緒に箱舟まで歩いて向かう途中だったんです。だけど、彼女が足をくじいてしまって・・・
どうか車にのせっていってもらえないでしょうか?」
喪は迷うことなく言った。「いいいい、いいよ。は、はやく乗れよ」と。
人影はゆっくりと近づいて来た。近づいてくるにつれて姿がはっきりしてくる。
喪にもしっかりその外見が見えた。
それはまさにDQNだった。今まで喪をいじめてきたやつらそのものだ。
しかし喪は、乗せた。置き去りにすることなく。
それが一番の復讐だったとおもったからだ。
いじめられっこに助けられるいじめっこ。
どんなに屈辱的であろうか。自分には計り知れなかった。その思いとともに、自分が人助けできることを嬉しく思った。
喪にとっては、人生で最初で最後の人助けになるかもしれない。そう思ったのだ。
「箱船(シェルター)に入れなかった喪達」
喪は車を飛ばした。自分にもはっきり分かったのだ。
日本が沈没する時間は、もうすぐだ・・・ということが。
NASAの箱舟がある山頂までもう少し。だが後ろを振り向くと・・・・
山のふもとの町は水の底に沈んでいた。
後ろの席に乗せたカップルはというと、女の方がパニックに陥り男は必死にそれを励ましていた。
その姿は自分をいじめていたDQNとは思えなかった。
「そんな優しさがあるなら、俺にも少しわけてくれれば良かったのに・・・」
そう思いながら喪は、
「だだだいじょうぶだ。もうすぐぐで、山頂までつ着く。」
と2人に言った。
山頂に大きな箱舟一つ。今後の人類の運命を担う箱舟。
すでにその中にはたくさんの人間。
箱舟に定められたキャパシティ。
箱舟に詰まれた食料。箱舟に用意してある部屋。
それらを考慮して箱舟には限界の人数が設定済み。
そして、、、箱舟に乗る上で最も重要な条件。
それは、「つがい(カップル)優先」
・・・・はるか昔、ノヴァの箱舟と変わらない条件。ただ一つ違うのは、この箱舟に乗るのは人間のみ。
他の種族など考えないエゴの塊。この箱舟こそ神に逆らう人類のささやかな抵抗・・・・・。
「箱船(シェルター)に入れなかった喪達」
「この箱舟のには残り2名しかはいれません。」
喪とカップルが箱舟についたとき、キャパシティは限界に達していた。
入り口にいる男は言った。
「くそう!どうしてだよ!くそう・・・」
先ほどまで女の慰めていた男も泣き始めた。結局いざというときは、人間はもろいものだ。
ところが、
「箱舟はつがいが優先となっております。」
その言葉を聞いた瞬間、男は叫んだ。涙を流しながら、そして笑いながら、
「俺とこの女はつがいだ!俺たちがのるべきだ。こんなブサイクな男置いといて!」
・・・・・・・・・・・。2人を乗せると、箱舟の入り口はしまった。
喪は死を覚悟した。だが後悔はしていなかった。目の前に見えるのは、人類の救世主という名の非情の砦。
オノレさえヨケレバ・・・・。
この箱舟にいるであろう喪の両親もそうであり、先ほどのカップルであり、またこの中に乗っているすべての人間である。
ああ・・・。水の音が聞こえる。いずれ俺も飲み込むのだろう。
喪は寝転んだ。もうどうにかなるわけではない。すぐそこまで迫る水の音。日本沈没の時。
と次の瞬間、ドーン!
「箱船(シェルター)に入れなかった喪達」
大きな雷が落ちた。
喪の目の前にあった箱舟にだ。その衝撃で箱舟は一瞬宙に浮いた。
そして、なにかに引き寄せられるように山の斜面を下っていった。
喪はその光景をただただ見つめることしかできなかった・・・。
斜面を下っていった箱舟は、すぐそこまで迫っていた海面に着水した。
その瞬間ブクブクと・・・・
人類の救世主は沈んでいった。
さっきの雷でどこかが破損したのか!
喪は沈んでいく箱舟を見ながら即座に理解した。
しかし事態はなにも変わらない。ここにいれば俺も上昇する海面にいずれ飲み込まれるだろう。
・・・まぁ俺らを裏切った人間が沈んでいったので良しとするか・・・あいつらが生き残っても世界はよくならないだろうからな・・・
そのまま喪は目を閉じる。静かに眠っていたかったから・・・・。
1年後、地球上で人類は滅亡していなかった。喪も生き延びていた。
あの日、喪が死を覚悟した瞬間。天から光が射した。そして、
「おろかな人類よ。自分たちの住みやすい地球をつくるために環境を破壊し、他の生物を絶滅させた。今回のことはその罰である。
ただ人類を絶滅させることはしないでやる。まだチャンスを与える。己のみ助かろうとしたもののみ罰を与えた。
今生き延びているものたちは、許された数少ない人類である。その命大切にせよ。」
神・・・そう神の声が心の中に響いた。
聞くところによると、各地でも喪の目の前で起こった現象が起こったらしい。箱舟がしずんでいったのだ。
その後、上昇していた海面はみるみるまに元に戻っていった。不思議なのは、喪が自分の家へと戻ったときにまったく水の底につかった形跡がなかったのである。
生き残った人々は、小さな集落をつくりそこで人類の小さな村をつくった。喪もそこで暮らした。
そこでは、環境へ悪影響をあたえず、他の生物の生存に関与しないというのがルールだ。
まるで古代の、人類が生まれたてのような時代である。しかし、その世界は平和だったということだ。
喪はその生涯を終えるときこう言った。
「俺が山を降りるとき、箱舟の残骸を探したんだ。もしかしたら生き延びている人がいるかもしれないから。
だけど全く見つからなかった。きっと神がなにかしたんだろう。俺たちは・・・・いや彼らはノヴァにはなれなかったんだ。」
終
すいません。↑ですがノアの箱舟ですよね。素でミスりました。ごめんなさい
乙
ちょっと擬音と神の降臨に萎えたけど
67 :
('A`):2006/08/08(火) 16:52:49 O
「言葉のない部屋」って、喪だよな。
68 :
('A`):2006/08/08(火) 17:10:13 0
星新一のノアの箱舟と全く一緒だったな。乙
69 :
('A`):2006/08/08(火) 17:20:22 O
ドラマも星新一が原作の話多いよな
70 :
('A`):2006/08/09(水) 23:12:20 0
久々の大作乙
でもなんか壮大な割には収束してったな
>>54-55 も乙
方舟じゃないの?
箱舟って、文字が出るたびに気になってしょうがなかった
方舟でも箱舟でも箱船でも正解だよ
73 :
('A`):2006/08/10(木) 22:22:11 0
前方後円墳の「方」だな
四角って意味
74 :
('A`):2006/08/11(金) 12:16:48 0
ああああああああああ
75 :
('A`):2006/08/12(土) 05:09:11 0
待ち
76 :
('A`):2006/08/12(土) 09:02:12 0
>>3-8 のあらすじの続き。
第八十九話:"コンプレックス"
>>26-27 チック症の喪が東京に上京する。
病気を利用し、大学デビューを華麗に飾れたと思っていたが・・・・
第九十話:"喪ビルスーツ"
>>28-29 夢の中で小学校の俺を追いかけていた。
俺は君に聞きたいことがある・・・・・
77 :
('A`):2006/08/12(土) 09:03:15 0
第九十一話:"喪来泣き"
>>42-45 女子高生が、出会い系でデイトレーダーのお金持ちに憧れを抱く。
『喪来泣き』の真の意味とは・・・・
第九十二話:"喪苦曜日"
>>49-51 木曜日・・・・・・・・・・いや『喪苦曜日』。
毎週毎週、この日になると決まって俺は嫌がらせを受ける。
第九十三話:"喪ノリス"
>>54-55 【主演】神宮寺 武咲人
東大に合格し、女以外は何不自由無い生活を送る喪男。
そんな一人暮らしの六畳一間に、壁が現れ・・・
第九十四話:"箱船(シェルター)に入れなかった喪達"
>>58-64 地球の温暖化が進み海面が上昇した未来。
動物のつがいが優先的に乗ることを許されるノヴァの箱舟が人類の前に現れた。
◆リレー小説:"喪ずく"
>>38-39 繁殖を目的とした謎の寄生生物が、誤って喪の体内に吸収されてしまった・・・
未完。続き書く人募集中。
78 :
('A`):2006/08/12(土) 09:03:59 0
■未完成お題リスト: 前スレ980まで
(500レスが過ぎたものは削除されます)
1-626 "喪擬試験"
1-631 "オアシス"
1-655 "グレ喪リン"
1-678 "筋肉マン喪世"
1-680 "クッキー喪ンスター"
1-683 "猿"
1-687 "愛喪ーど"
1-730 "喪ナリザ"
1-742 "イマキ喪さん" "喪女さん屋さん" "ヲタ火" "雨の訪喪者" "喪プレイ"
1-831 "喪ーニング"
1-906 "喪クドナルド" "喪う一回…"
2-014 "素喪も喪も喪のうち(すももももものうち)"
2-067 "言葉のない部屋"
79 :
('A`):2006/08/12(土) 23:47:50 O
いつも乙
/|.l
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_| | |⌒ ̄`ー- 、
-‐" | .| ヽ、 \ `ヽ、 |l
/ /./\ `ー-ゝi .∧ |l|
/ レ. \ | | ゝ | |
/ \ \__/ | Yーイl |
/ > 、 / / | |イ
/ _ -‐" \/ ./ヽ /| /
/ _ - " 二ミ \ Y /_./
/ _ - " /:::::::::::::::`ヽ、 \ / / T |
/  ̄ /::::::::::r――- 、`ヽ、 \_/ ヽ|
/ /::::::::::::: `ヽ、_ノ:::::::::`ヽ、___ |
/ /_::_::_::::::::::::::::::::::::::;-:、::r‐、:::::::/;;;||
/ _,,,;;-イーt" ̄|:.:.:「  ̄ ̄ ̄`ー " | l:ヽ__)::: |;;;;;|| 渡世人はおら達の村からさっさとでていぐだ!
/'";;;;;;;;;;;;;;;;/:.:.:.ヽ ヽ ' ヽL::::::::::/;;;;; ||
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`ヽ、;;;;;;;;;;_;;;フー" /- ミヽ、 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ
`ー;>"\ l | |:/ ./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ
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___/: : : : : : : : \. | ヽ、 " /ー'" ̄ ̄  ̄ ̄
;;;;;;;;;;;l: : : : : : : : : : : \| ` 、__ /
81 :
('A`):2006/08/14(月) 00:51:32 0
乙
そしていつものように待ち
82 :
('A`):2006/08/15(火) 15:10:35 0
待ち待ち町村外相
83 :
('A`):2006/08/16(水) 01:18:35 0
^
お題 「喪を呪わば穴二つ」
85 :
('A`):2006/08/17(木) 15:31:17 0
期待age
86 :
('A`):2006/08/18(金) 01:44:07 0
作者様マダー
87 :
しめじ:2006/08/18(金) 01:51:08 0
なにこれ
与えられたお題で書くのか
それとも自由に書いていいのか
どちらでも作者様の思うようにお書き下さい。
「4がつく日渡す」
いつものように下駄箱を開けてみる。そこにはいつもどおり手紙があった。
喪は高校2年生であるが、ブサイクだ。もてないというより女から、いや男からも嫌われている。
要するにブサイクで嫌われ者だ。友達もいない。だからこそ「喪」と呼べるのだろう。
どれくらい嫌われ者か。まずシカトが大前提だ。故に青春時代といえば定番の、バレンタインデーにチョコをもらって告白される
っていうのも、体育祭の後クラスメート全員(?)で打ち上げをするっていうのも、体育の時間バスケットをしてる時パスしてもら
うっていうのもどれも経験したことはない。しゃべりかけても無視されたことはある。落ちたペンを拾ってあげたら、即座にゴミ箱
に捨てられたこともある。泣きながら帰ったことは幾度となくある。それくらい嫌われ者である。
そんな彼に不可思議な現象が起きた。
下駄箱に手紙が入っていたのだ。
そう、漫画やドラマでおなじみのラブレターってやつだ。ベタなあれだ。
登校した彼が自分の下駄箱をあけた時発見したのだ。
最初彼は驚いた。
下駄箱にそんなものが入っているなど思わなかったからだ。今まで靴の中にガビョウがはいったりというのはあったが・・・
手紙を取り出してみる。マジマジと彼はそれを見つめた。
手紙は、真っ白なきれいな封筒だった。宛名も差出人も書いてない。まさしくドラマでみるあれだ。
ハートマークのシールで封が閉じられているのも、まさしくラブレターといったところだ。
彼は最初疑った。
こんなものが自分の下駄箱にある理由が分からない。なぜ?なぜ?なぜ?思い浮かんだ選択肢は3つ。
@間違えた。他の人のところに入れる予定だった
Aいたずら。俺をどこかにおびきだして笑う予定
Bほんもの。ムフフ・・・
彼は周りを確認した後、手紙をカバンにしまった。そして教室に向かった。Bであることを願いながら・・・
続く
90 :
('A`):2006/08/18(金) 23:16:29 0
がんばれー
91 :
('A`):2006/08/19(土) 09:04:39 0
wktk
92 :
ラ すじ:2006/08/19(土) 19:31:48 0
>>1 【金玉の裏をペロッペロできた奴が優勝】
「まずお前から!後ろに並べそこ!」
「う・・・ううわ私にはできません」
「つぎぃ!」
「あえ〜〜・・・ううっ(兄ちゃん頑張るぞ 舐めれば舐めれば シンに薬を買ってやれる)」
ツ〜ン
「うっ臭い・・」ゲーッ
「フン軟弱な つぎぃ! おらぬのか!他には!」
「待ちな。いるぜここに」
「ほう威勢がいいな」
つづく
93 :
('A`):2006/08/19(土) 22:17:46 0
「4がつく日渡す」
その手紙はとっても不思議なものだった。でも少しの希望を与えてくれたのも真実。
昼休み。みんなが昼食をとり始めた時に、喪は手紙を持ってこっそり教室を出た。
人気の無いところまで行き、周りを注意深くまわした。「だれもいないか・・・」
深呼吸を一回。スーハー
手紙を開ける前にもう一回周りを見渡す。「だれもいない・・よし」
ハートマークのシールを丁寧にはがして、封を開ける。
中には一枚の紙。取り出してみる。
すぐに内容を見ることはできない。緊張と不安で、喪の手は震えていた。
「あせるなおれ・・・99%イタズラなんだから、軽い気持ちでいればいいんだ・・よし」
喪は折りたたまれた紙を、カサカサと開いてみた。
白い紙には、小さなかわいい文字が並んでいた。
手紙本文
「 こんにちは。
いつもあなたのことを見ていました。
毎日あなたのことを
想っています。
いつからか気持ちを抑えられなくなりました。
好きです。
本当です。
いきなりごめんなさい。
なんて言ったらいいか分からなくて手紙にしました。
えっと・・・お返事待ってます。 」
「ホンモノだ・・・・とおもう」喪はそう思った。
これは確かにラブレターだ。だって、この手紙がイタズラだったらもう人を信じたくない。
(そうこれは本物だよ。俺に当てられたラブレターだ。)
喪は笑った。喜びが爆発して叫びそうになったが、どうにか抑えた。
(こんな俺のことでも好きになってくれる人もいるんだ。いや一人くらいいてもいいじゃないか。)
ただ一つ厄介なことがあった。この手紙には、名前も書いてなけりゃどこかで待ってますとも書いてない。
喪に返事をする手段はなかった。
「まぁ気長に待てばいいか・・・きっとあわてんぼな子なんだな」喜びの絶頂の喪は、気にしなかった。
さて、喪は気づかなかったが手紙の裏には小さな文字でこう書いてあった
「4がつく日渡す。7日は後からつける・・・」
これはいったいなにを意味するのか・・・
〜続く〜
95 :
('A`):2006/08/21(月) 22:33:20 O
('∀`)wktk
名作の予感
97 :
('A`):2006/08/22(火) 22:48:10 0
ちょっと導入を派手にしたせいで
作者様が困ってる予感w
「4がつく日渡す」
手紙は決まった日に必ずはいっていた。だけど差出人は分からないまま。
手紙を初めて受け取った日から一年が経っていた。
学校に登校してきた喪は下駄箱をあけた。
「やっぱり、またあった。」
今日は手紙が入ってる日だ。今日は14日である。
奇妙なことに、この一年間あの手紙は毎月決まった日に喪の下駄箱の中に入っていた。
4日、7日、14日、24日である。
内容は毎回変わらず、最初にもらった手紙とおなじだった。
ただし、字体は同じではなかった。何人かが交代交代で書いてあるようだった。
回数を重ねるにつれて、ハートマークのシールはなくなりただのりで封がされるようになった。
紙も時々シワがついている時もあり、最初のあのきれいなラブレターがうそのようだった。
「これはもうイタズラなんだろうな・・・」喪はそうおもっていた。
この一年間で得た手紙は、自分の机の引き出しに入りきらないくらいたくさんあった。
(だけどこんなイタズラで俺になにをしたいんだろう。呼び出して嘲笑うとかそんなこともない。)
謎はふかまるばかり。
手紙が下駄箱に入っているようになった最初のころは、喪は本物ラブレターだと思った。
そして3枚目の手紙を手にした時、手紙の裏に
「4がつく日渡す。7日は後からつける」とかいてあるのを見つけた。
そして4枚目は予想したとおり、24日に入っていた。
喪は手紙が入ってる日を予告することで、差出人がメッセージを送ってきているのだと思った。
登校してきたときに見つけるので、自分が登校する前か放課後帰った後にいれてると予想した。
そこで、翌月の4日には朝一番早く登校した。他の生徒はまだ誰も来ていなかった。
しかし手紙は下駄箱に入っていた。
6日は放課後、ギリギリの時間まで残っていた。誰かが手紙を入れに来ることはなかった。
翌日の朝、手紙は下駄箱に入っていた。
この奇妙な手紙の差出人は1年経った今でも分からないでいたのだ。
喪が前日の放課後一番遅くまで待っていても誰も入れた気配はないのに、翌日朝一番に来てみるとすでに入っていた。
「一体なにをつたえたいんだろう・・・」
喪は最初に受け取ったときに感じたドキドキを感じることはなかったが、まだかすかに希望を持っていた。
(俺が嫌いなら、こんな手紙をだすなんて面倒なことしないだろう。もしかしたら本当にラブレターなんじゃないだろうか。)
(きっととってもシャイな子なんだ。字体が違うのは友達が書くのを手伝ってくれてるのかもしれない。)
(この手紙は、一体なにを意味しているんだ・・。知りたい・・・)
この手紙は、困惑と希望を喪に与え続けた
〜続く〜
99 :
('A`):2006/08/23(水) 08:03:44 0
wktk
喪は〜の文が多いのが気になるな
省略できるとこはした方がいいよ
「4がつく日渡す」
真実を知る日は突然やってきた。きっとこれも運命なのだろう・・・。
この奇妙なラブレターの全てを知る日がついに訪れた。
偶然なのか運命なのか分からないが、それは意外な結果だった。
その日も朝早く登校した。14日、手紙が入ってるはずの日である。
喪が下駄箱を開けてみると、手紙は入っていなかった。長かい間続いたこの奇行に、ついに変化があった。
「突然だがもう終わりなのだろうか・・・いや今日こそ差出人が分かるかもしれない。」
そっと柱の陰に隠れて、誰かが来るのを待つことにした。
時間はゆっくり過ぎる。心臓が高鳴っている。
真実がもうそこまで迫っていた。
5分が経った。すこし喪の気持ちも落ち着いてきた頃、ペタペタと誰かの足音がした。
ただし、それは外からやってきたのではなく向こうの廊下の奥のほうから下駄箱に近づいてきた。
心臓はいっそうドキドキした。手は震え、少し汗ばんでいた。
その人影は、「あ〜、遅れちゃった。まだ来てないといいな。」と独り言をつぶやきながら喪の下駄箱に向かった。
(間違いない。あの人が手紙の差出人だ。)
その瞬間、身体が勝手に動いた。下駄箱のところまで駆け出した。
自分の下駄箱を開けている人影の腕をつかむと、人影は悲鳴に似た声をあげた。
「あ〜あ、ついにばれちゃったか・・・」
そういうと、喪と人影は向き合った。待ち望んでいた対面だったはずなのだが。
人影は男だった。
喪はその男のことを知っていた。喪が一年生の時にこの高校にやってきた若い事務員だった。
「な、なんで・・?」困惑はピークに達したが、かろうじて声を出すことができた。
事務員は、
「え〜っと、話せば長くなるんだけど最初に言っとかなくちゃいけないのは、俺は配達を頼まれていただけだから。
きみのクラスメートの女の子何人かに頼まれたんだ。
『生徒が全員帰った後、○○君の下駄箱に手紙を入れてください。』
って言われてね。女の子は時々俺のところに手紙を持ってきていた。それを前日君が帰った後こっそり入れてただけなんだ。
黙っててごめんね。だけど女の子達はこの手紙で君にどうしてもつたえたいことがあるって言ってて。断れなかった。」
そういう言った。
(伝えたいことがある・・・?一体何なんだろう・・・。しりたい。)
「この手紙の意味を、あなたは知っているんですか?」
「・・・まあね。」
「教えてくれませんか?僕にはさっぱり分からないんです。」
事務員は一回ため息をついてこういった。
「分かった。もうそろそろこんな事終わらせないといけないと思うから、全部教えるよ。」
そしてこの手紙の全てを語り始めた。
〜続く〜
ウヒョー
続きが楽しみ('∀`)
やっぱり明日の夜?
102 :
('A`):2006/08/24(木) 00:47:12 0
wktk
kktk
だとキムチだな
103 :
ネタ募集します:2006/08/24(木) 22:25:10 0
「4がつく日渡す」
知らないほうがいいことってあるよね。たとえば、純白と漆黒が絶望の色だってこととか。
「一つだけ言いたいのは、この手紙を書いた彼女達のことあまり責めないでほしいんだ。
君らの年頃は、自分の好きなものは好き嫌いなものは嫌いってあからさまに態度に表してしまうから。
もうちょっと成長したら、なんでこんなことをしたんだろうって思うようになるよ。
・・・手紙が伝えたいメッセージだったね。この手紙はじつは縦読みなんだ。
普通に縦読みしちゃいけない。一回ローマ字に変換してから縦読みするんだ。
手紙本文
『 konnnichiha
itumoanatanokotowomiteimashita
mainichianatanokotowo
omotteimasu
itukarakakimochiwoosaerarenakunarimashita
sukidesu
honntoudesu
ikinarigomennnasai
nannteittaraiikawakaranakutetegaminishimashita
ettoohennjimatteimasu 』
一文字目を縦読みで読んでごらん。」
喪は頭で変換しながら、ゆっくり読んでみた。
k・・・・im・・・o・・・・i・・・・shi・・・・n・・・・e
き も い 死 ね
「・・・・・・・・。」
言葉が出なかった。
希望と困惑は、絶望で塗りつぶされた。
初めて手に入れた「好きです」という言葉の裏側には、底知れぬ悪意が存在していた。
「彼女達が言うには、言葉で言っても君には意味がないと思ったんだって。手紙にしたほうが、伝わると思ったんだ。
だからこんな手の込んだやり方をした。でもこんな暗号簡単には解けないよね。だから一年間も続けることになってしまったんだ。
でもね、もう一つヒントはあったんだ。それが『4がつく日渡す。7日は後からつける』だよ。
これは、4がつく日渡すを[4がつく日は足す]って考えるんだ。
計算をしてみると4+14+24=42になるね。そしてこの42の後に7をつける、そうすると。」
4 2 7 シ ニ ナ ・・・死にな
これはラブレターなんかじゃなかった。至るところに悪意が散りばめられた、絶望の手紙だった。
「まぁあんまり気にするなよ。彼女達は容姿に敏感になっているんだ。だから君みたいな男にちょっと辛く当たってしまうんだろう。
もう全てを話したって彼女達に言っておくよ。きっともう君の下駄箱に手紙がはいってることは無いと思うよ。
・・・ショックだと思うけど、彼女達をみかえしてやるくらいかっこよくなってやれよ。じゃあ俺はもう戻るね。」
そう言って、悪魔の配達人は去っていった。
喪は呆然と立ち尽くしていた。
この一枚の手紙が、今まで手にした手紙の山が、この男の人生を変えたのは明らかだった。
純白の紙と漆黒の文字が生み出した絶望は、あまりにも強力で残酷だった。
もう喪が人を信じることはないだろう。
〜終〜
104 :
('A`):2006/08/24(木) 22:29:49 0
乙
おもしろかったよ
すごいな。乙
よくこんなの考えたな 乙
107 :
('A`):2006/08/24(木) 23:11:07 0
素で考えればそんな性格悪い女なら直に言う気がするが…
激乙
乙
凄い面白かった!
またお願いします
よく考えたなーマジで乙
次回作も期待
110 :
('A`):2006/08/25(金) 11:16:37 0
ネタくれ
111 :
('A`):2006/08/25(金) 13:58:29 0
上にあるよ
112 :
その1:2006/08/26(土) 01:29:07 0
俺は最終電車が出発するのを車内で待っていた。
昼は海水浴を存分に楽しみ、ミナミの肩を借りてうとうととしている。
彼女であるミナミも疲れた顔であくびをしている。
だが眠れない。
蒸し暑ちい・・・・・・
早く出発しろよなぁ
ドア付近でいらつく俺の横を誰かが横切る。
ドアが閉まったのはその直後だった。
目の前には、一目でオタク(以下キモ男と明記)と判断できる男が立っていた。
ミナミも気づいたらしく、ニタニタと笑いながら俺たち二人は目を合わせた。
そのキモ男は挙動不振にキョロキョロと見渡す。
そしてだだっ広い車内で、何故か俺の目の前に座った。
この先頭車両には、この3人以外誰もいない。
それもその筈だ。こんなど田舎の、しかも最終列車。
座っても落ち着きの無いキモ男。
ミナミを嘗め回すかのように視線を送る。
そして何故かニヤニヤと笑う。
(うぇぇ、キモッ!!)
113 :
その2:2006/08/26(土) 01:30:01 0
ムカついたので俺はその男をからかうことにした。
俺はミナミの耳を軽く噛み、手を服の中に忍ばせモゾモゾとさせる。
ミナミも意図を理解して、調子よく声を大きめに喘いでみせた。
(ははは見ろよ、めっちゃ凝視してるぞ。俺らのこと)
しばらく電車に揺られていると、そのキモ男が突然立ち上がった。
そしてアニメ雑誌を開きながら近づいてくる。
「今、流行のアニメ・・・
座敷わらしタン、 はあはあッ
いいよね・・・・・・・ はあはあッ
人を外見で判断しないで、みんな仲良く遊んでくれる・・・・
遊んでいる間は、そこにいる人間すべて幸せ・・・
でも、二人だけになったときは要注意・・
それは・・・・」
その余りのキモさで、ついに俺の堪忍袋の緒が切れた。
丁度次の駅に到着したのでキモ男の首根っこをつかみ掛かり、ドアの外に放り投げるかのように追いやる。
倒れた際の打ち所が悪かったらしくキモ男は、その場で蹲った。
しかしドアはそんなキモ男を待たずして、無常にも閉まる。
114 :
その3:2006/08/26(土) 01:31:05 0
自分の席に戻ると、正面、つまり先ほどオタクの座っていた空間がひらけた。
そこにはキモい顔が、窓ガラスに映っていた。
(おいおい、あのキモ男いい加減にしろよなぁぁぁ)
しつこくキモ男が迫ってきたのかと俺は思っていた。
しかし、すぐに俺はその顔が別の者だと気づいた。
俺が左に動くと、その顔も左に。
俺が右に動くと、その顔も右に。
・・・・このキモい顔は、俺?
ドンドンッと鈍い音がするので俺は振り向く。
今度は本当に先ほどのキモ男が、俺の背後で外から窓ガラスを叩いていた。
その手には2枚の往復切符が握られていた。
その瞬間、俺はすべてを思い出した。
――俺はあの男とはオタク仲間で、今日本当はあの男と二人だけで海に遊びに来たのだ
115 :
その4:2006/08/26(土) 01:32:25 0
俺は隣に見知らぬ女が座っている事実に恐怖した。
顔を見ることができない。
そんな震える俺に、その女が耳元でボソッと呟く。
「所詮ワタシとは遊びだったんでしょ。
あーぁ、最後まで気づかなければ助かったのに・・・・」
俺は転げるように床に転げまわる。
そして俺はその女の顔を見てしまった。
その女は和服人形のように無機質であった。
立ち上がる動きさえも、ロボットのようにぎこちない。
ドンドンッ
(俺の友人が助けに来てくれた!!)
俺は藁にもすがる思いで、立ち上がった。
だがそこには、友人はいなかった。
今度は、あの女の顔をした化け物が無機質な顔で必死に窓ガラスにへばりついている。
無機質な日本人形顔で埋めつくされる車中の窓。
ドンドンッ、ドンドンッ、ドンドンッ
もうこの音が途切れることは無さそうだ・・・・・
"座敷わらしタン" 完
116 :
その5:2006/08/26(土) 01:33:11 0
タ喪リは運転席に座っていた。
気持ちよさそうに口笛を吹いている。
どうやら自分の運転に悦に入っているようだ。
その時、誰かが乗車質から運転室の窓を何度も叩く音が聞こえた。
しかしタ喪リは正面を向きながら後ろ手で、窓のブラインドを下ろす。
ガラスからズリ落ちる掌を待たずして、完全に閉まってしまった。
沈黙に包まれる運転室。
タ喪リは、妖しく笑った。
喪にも
大
可妙な
物 語
117 :
('A`):2006/08/26(土) 01:34:52 0
おしまい
つ・ま・ら・ん
119 :
('A`):2006/08/26(土) 01:55:40 O
面白かったよ!
120 :
('A`):2006/08/26(土) 04:00:56 0
面白い
鳥肌立った!乙!
123 :
('A`):2006/08/26(土) 18:30:39 0
やっぱタ喪リがでるといいわw
作者さん激乙
>>118 消えろゴミ
つまらないものが評価され
群集となりうねりが力を呼ぶ
藻は水にあるときは美しい
125 :
('A`):2006/08/26(土) 18:43:40 0
>>124 い い か ら 回 線 切 っ て 吊 っ て こ い
これが喪板の限界
127 :
百話目前:2006/08/26(土) 23:05:32 0
>>3-8 >>76-77 のあらすじの続き。
第九十五話:"4がつく日渡す"
>>89 >>94 >>98 >>100 >>103 ある日、高校2年生である喪の下駄箱にラブレターが入っていた。
手紙の裏に書かれた「4がつく日渡す。7日は後からつける・・・」の謎とは?
第九十六話:"金玉の裏をペロッペロできた奴が優勝"
>>92 【主演】シン
次々と辱められ、虐げられる者たち・・・・
アダルト系。未完。
第九十七話:"座敷わらしタン"
>>112-116 【主演】ミナミ
最終電車で、カップルが一人の怪しげなオタクと乗り合わせる。
突然、そのキモ男はアニメ雑誌を開きながら近づいてきたのだが・・・
◆リレー小説:"喪ずく"
>>38-39 繁殖を目的とした謎の寄生生物が、誤って喪の体内に吸収されてしまった・・・
未完。続き書く人募集中。
128 :
('A`):2006/08/26(土) 23:06:14 0
>>110 ■未完成お題リスト: 128まで
・500レスが過ぎたものは削除されます
・随時募集中!
1-626 "喪擬試験"
1-631 "オアシス"
1-655 "グレ喪リン"
1-678 "筋肉マン喪世"
1-680 "クッキー喪ンスター"
1-683 "猿"
1-687 "愛喪ーど"
1-730 "喪ナリザ"
1-742 "イマキ喪さん" "喪女さん屋さん" "ヲタ火" "雨の訪喪者" "喪プレイ"
1-831 "喪ーニング"
1-906 "喪クドナルド" "喪う一回…"
2-014 "素喪も喪も喪のうち(すももももものうち)"
2-067 "言葉のない部屋"
2-084 "喪を呪わば穴二つ"
>>17 まとめサイトとかあるの?
2スレ目になってから来たんで前スレのを読みたいんだけど。
「喪ルモット」
いつから俺はここにいたのかすら覚えていない
ついさっき入ったような気もするし生まれた時からいたような気もする
まぁ外の世界の記憶もあるからきっと俺は外から来たんだろう
で、その記憶もまた面白い 目が合う人や肩が触れただけで殴ってくる奴やすれ違う人に「キモイ」などと罵られる記憶
いったいコレはいつの記憶だろう思い出そうと思っても思い出せない
記憶と言う物はコレほどまで嫌なものなのか…鬱というのはこうゆうものなのか…と一人で呟いていると壁の向こうから声が聞こえてきた
てゆうかこいつキモくね?いまさら何言ってんだよw などと聞こえてきた その瞬間俺はようやく理解した
ルーレットの上にいるような何とも言えない緊張感 絶壁にいるような死と隣り合わせみたいな緊迫感
つなわたりをしているような恐怖感 暗闇にいるような孤独感 つまりここは…
喪男なら誰でも来た事のある場所 守れるけど逃げられない場所… あなたはもうお分かりですか?
リミッターの外れたDQN 周りから見られている感覚 助けのこないまま終わる時間
あなたももう一度きてはどうですか?次はVIP待遇でお待ちしております From 心の一室
131 :
('A`):2006/08/27(日) 00:01:56 0
001/005
喪にも奇妙な物語「喪擬試験」
バスを降りると、大学が坂の上に見えた。
寂しげな街路樹が並んでいる。
確か桜だという話を聞いた。冬が終われば、華やかな町並みとなるのだろう。
もう半年もすればその時は来る。好むと好まざるとに関わらず、未来は必ず現れる。
願わくば桜の花咲く道を歩けるよう祈りながら、喪男は独りで坂を上った。
中学生になればと、小学生の時は思っていた。
高校生になればと、中学生の時は思っていた。
未来に灯りを求めなくてはならないほど、喪男の日々は暗かった。
大学受験を控えた高校3年の冬。喪男はまた同じことを思っている。
大学生になれば、自分は変われる。
滑稽な妄想だった。それでも喪男にとっては、生きる希望だった。
中学生のころの喪男とは違った。
漫然と進学先を決めなかった。独り暮らしができる、以前の同級生と遭遇しにくい位置にある大学を選んだ。
過去の失敗を忘れなかった。大学に入れば、自動的に友達も彼女もできるなどとは思っていなかった。
やがて迎える新しい環境、新しい機会。
望むものは、手を伸ばさなければ掴めない。手にしなければ形にならない。
大学は理想郷ではない。やり直すことのできる、おそらくは最後の機会。
決意し、覚悟している喪男は、数年前より強かった。
休日ということもあってか、大学生の姿は見当たらない。
模擬試験の受験者らしい高校生が何人か、喪男と同じように坂を上っていた。
誰もが同じ制服の仲間と、数名で連れ立って歩いている。
近い将来に全員が感じることになる、恐怖のような感覚はそこにはない。
見知らぬ大学へと足を踏み入れる、冒険しているかのような心地よい緊張感に包まれていた。
高校生になった時にやり直せていたら、喪男もそう感じていたのだろうか。
志望校を会場にした模擬試験。
喪男にとって、ただの模擬試験ではなかった。
坂を上り切ると、目の前にすぐ校門があった。鞄を開けて受験票を確認する。
指定された教室へと向かった。
試験は大学内の教室をいくつか使用して行われる。
喪男の試験会場は廊下の一番奥にある部屋だった。
教室に入る。すでに半数ほどの受験生が着席していた。
誰もが暗い目をして、うつむきがちに座っていた。参考書に目を落としている者もいる。
学校に着く前に見た受験生とはずいぶん違う、そして見覚えのある雰囲気だった。
どの学校にも、どのクラスにも、割り振られたかのように存在する。
どこで間違ったのかは、本人にも解らない。どうしていいかも解らない。
失敗した者達。喪男もまたそのひとりだった。
変わりたい。変わらなくてはならない。
自分をやり直すための機会が欲しい。
決意を新たに、喪男は試験の開始を待つ。
時間ちょうどに試験官が入室し、皆に告げた。
「ただいまより、モギ試験を開始します」
教室の入口にあった案内の誤字に、何人が気付いたろうか。
『入学喪擬試験会場』
002/005
試験の手応えは良好だった。
完璧とは言えないが本試験までまだ時間はある。最後の詰めを怠らなければ、来春は桜の坂を上れそうだ。
全教科の試験が終了する。
「最後に簡単なアンケートに記入してもらいます」
試験官が用紙を配る。
試験の主催会社がリサーチに使うのだろう。入試に無関係と思うと、急に力が抜けた。
用紙が回ってくる。適当に記入して帰ろうと思っていた喪男は、最初の設問を見て目を疑う。
『[1]今までに交際した女性の人数』
動揺しているのは喪男だけではなかった。声こそ出さないが、教室内の誰もが困惑している。
アンケートとはいえ、大学入試となんの関係があるのだろうか。
教室の空気が変わったことに気付いた試験官が口を開いた。
「みなさんの私生活について教えてください。大学は勉強だけをする場ではありません」
一見してもっともなことを言う。しかしこの問題になんの意味があるのだろうか
「ご存知とは思いますが、今日の試験は我が大学が主催しています。
未来の在校生であるみなさんのことを、もっとよく知りたいのです」
民間企業による模擬試験だと思っていた喪男にとって、衝撃的な事実だった。
「あくまでアンケートであり、正解不正解はありません。不都合なことは無記入でも結構です」
用紙を眺める。
『[2]女性の名前』
『[3]交際前における女性との関係』
『[4]交際に至るまでの経緯』
『[5]現在における女性との関係』
『[6]女性に対しての第一印象』
頭が痛くなるような設問が、10数個並んでいた。
なにが起きているのか、どうすべきなのか見当もつかない。相談できる相手もいない。
「記入を開始してください」
教室に試験官の声が響く。
喪男にとって回答は簡単だった。
これまで付き合った女性はいない。そして1問目と2問目の間には注意書きがある。
『[1]で0以外の数を記入した方のみ以下へ進んでください。
複数名の女性と交際経験のある方は、もっとも印象深い女性を対象としてください』
2問目以下は、1問目で答えた女性経験について詳しく掘り下げていく内容だった。
1問目がゼロである場合はもう設問がない。
喪男にとってはすぐに終わるアンケートだった。
数字を1回書くだけで終わる用紙を前に、喪男の手は動かない。
今までに交際した女性の人数。今までに交際した女性の人数。今までに交際した女性の人数。
喪男は変わりたかった。やり直したかった。
そのために力を尽くして、ようやくここまで来た。
過去を断ち切り、未来を手にする。与えられた機会を、次は必ず掴み取る。
大きく息を吸い込んで、少しずつ吐く。
用紙にペンを走らせる。
一瞬だけ手を止めてから、喪男は2問目へと目を移した。
今までに交際した女性の人数。2人。
003/005
架空の交際経験を捏造するのは、難しいことではなかった。
喪男が孤独な高校生活の中で妄想していたのは、テロリストとの戦いや魔族の血の覚醒だけではない。
どこかで間違えなければ歩いていた道を、おそらくは多くの高校生が体験する生活を、いつも思い描いていた。
架空の世界だった。実在しない理想だった。逃避のための妄想だった。
今日からそれは現実になる。遠い日の思い出として、確かに存在した記憶になる。
喪男は、望むものを掴むために、土台が必要だと考えていた。
新しい仲間に話すことになる過去の自分が、この高校生活であることは許されない。
練り上げてきた偽りの記憶を、事実と入れ替える。
静かに、喪男は変わろうとしていた。
喪男は高校時代に、2人の女性と付き合ったことがあった。
最初の相手は1年生の時で、同級生の姉だった。弟を通じて喪男のことを知ったらしい。
喪男は本気だったが、向こうはあまり真剣ではなかった。数ヶ月で終わりを迎える。
今はもう会うことはないが、別れ際も険悪にはならなかった。淡い思い出として残っている最初の女性。
アンケートの2問目以降は、今までの交際歴でもっとも印象に残っている女性について回答する。
喪男は渚のことを思い出した。2年生になってから、1年近く付き合っていた。
出会いは中学校だった。当時は仲のいい女友達だったが、高校が別だったことで疎遠になった。
高校生になってから始めたアルバイトの職場で、偶然にも再会する。
ふたりだけになった仕事帰りに、ついに友人から恋人へと変わったのだった。
楽しい時が流れる。
しかしまだ若く幼い恋人達に、生活の大部分を占める学校における接点がないことは大きな障害になった。
すれ違いが多くなる。会える時間は限られてくる。
気持ちは変わっていないけれど、ふたりは別れを選んだ。
最後の電話の最中に、渚はずっと泣いていた。
あれからどうしているかは知らない。
渚との出会い、その楽しかった日々を記入していく。最後の設問まで辿り着いた。
『[17]女性の名前(ファーストネームだけで結構です)』
実名を出すことへの配慮に救われた。喪男は彼女の苗字を知らない。渚には苗字がない。
苗字に限らず、渚との思い出には不完全な点がいくつかある。作られた世界は完璧でない。
喪男はそこを補強していなかった。固めない方が柔軟に対応できる。
アルバイトなどの空間を用意すれば、裏を取ることは困難になる。
基本的に喪男は、過去の恋愛を軽々しく他言する男ではない。昔の彼女について詳しく話す気などない。
アンケートの記入が終わった。
用紙を提出した喪男は試験会場を後にする。
他の教室からも次々と受験生が退出していくところだった。
数人で談笑している姿も、朝とは違う目で見れた。
同じ高校に受験者がいない大学を志望した。喪男はひとりで来たが、ただそれだけのことだ。
心なしか足取りも軽い。
試験の結果も悪くなかった。すべてが順調な方向に向けて、少しずつ動き出していた。
校門を出て、坂を見下ろす。風が心地よい。
「喪男君」
不意に声をかけられて、喪男は我に返った。
振り向くと、そこには制服を着た女子高生が立っていた。喪男の高校とは違うが、この制服には見覚えがある。
制服だけではない。彼女は喪男を知っている。喪男も彼女を知っている。
「ひさしぶり」
そこにいたのは渚だった。
004a/005
渚がいる。
いないはずの渚がいる。存在しないはずの渚に声をかけられた。存在しないはずの。彼女。去年に付き合っていた恋人。
世界が回転するかのように感じた。渚がいる。ここに渚がいる。彼女だった渚がいる。
「びっくりした。喪男君もここを受けるの?」
なにか言っているが、喪男の耳には入らない。渚がいる。別れた恋人の渚がいる。いないはずの渚がいる。
「私も、なんだ」
渚は言葉を続けていた。
喪男は返事をすることもできずに立ちつくしていた。眩暈がする。
「どうしたの? 顔色が悪いよ。
あ、そっか。模試できなかったんでしょ」
渚は微笑んで言う。
「気にすることないって。まだ時間はあるんだから。喪男君ならできるよ」
いつも渚はそうだった。喪男の行く先を照らしてくれる。
喪男にもっとも欠けているもの、自信を与えてくれる。
渚がここにいる。あの時と変わらないままで、渚がここにいる。
「帰ろっか」
渚は坂に向かって歩く。呆然としている喪男との距離が開く。
少し歩いて、そして振り返った。
「もう。そんなのつまんないよね。時間ある? 少し散歩しよっか」
口を尖らせて言う渚に、喪男は昔の渚を重ねる。あの時と変わらない表情で、渚は喪男を誘う。
(改行数オーバーにより004を2分割しました)
136 :
('A`):2006/08/27(日) 08:49:07 0
004b/005
時計の針はまだ、正午を過ぎたころだった。
近くに見つけた公園にふたりは入った。喪男がベンチに腰掛ける。
「喪男君を見つけた時は驚いたよ。こんな偶然ってあるんだね」
渚はすぐそばに立っていた。
前に会った時も同じことを言われた。中学校を卒業して、高校生になって再会した時も。
あの時はなんと返事をしたのか、喪男は覚えていなかった。
渚の嬉しそうな笑顔だけは鮮明に思い出せる。そしてその渚が、変わらない表情で目の前にいる。
「喪男君さ」
ベンチから離れて歩きながら、渚は言葉を続けた。
「彼女はできた?」
かすかに声が震えているのが解った。
渚の一言一言が懐かしい。声を聞くたびに、あのころの記憶が蘇る。
無邪気な笑い声がする。
「いないんだ。ちょっと意外かも」
渚はブランコを手で動かしていた。
じっとしていられない性格も変わっていない。いつも喪男を振り回しては、どこかへ遊びに連れ出した。
変わっていない。なにもかも変わっていない。
それは喪男も同じだった。
渚を見て思うこと。渚に対して思うこと。
「私ね。あのころが一番楽しかったよ」
同じ気持ちを感じている。同じ言葉を待っている。
「ねえ」
渚が近付く。
瞳にあるのは不安と、戸惑いと、それ以上に深い決意。喪男にも感じ取れる。
「目を、閉じて」
言われるままにする。
喪男の世界が闇に閉ざされる。まだ明るいはずの陽光も差し込んでこない。
渚の次の言葉を待つ。ただ待つ。
待つ。
なにもせずに待つ。
「どうしてなにも言ってくれないの?」
渚の声は、深く鋭く喪男に刺さった。
渚と再会してから、喪男は一言も口を開いていない。ただ渚を追っていた。
「どうして手を伸ばさないの? 私のことどう思ってるの?」
気付くのが遅すぎた。
「私は、いるの?」
目を開く。
そこには誰もいなかった。
005/005
薄暗い大学の教室で、試験官は模擬試験の採点をしていた。
「受験番号M5121、喪男」
喪男の答案を手に取る。
「毎年多くの受験生が、同じことを考える。
変わりたい。やり直したい。今度こそ失敗しない」
アンケートの結果を見た。
「我々は機会を与えることはできる。しかしそれを掴めるかは自分次第だ」
喪男や他の受験生の答案をまとめる。机に残された答案はほどんどない。
「機会どころか、理想を与えられても行動できない者に、変わることなどできるはずがない。
大学入試の合格者数は限られている。無意味な入学は認めない」
喪男達の答案を、試験官はシュレッダーに入れた。
138 :
sage:2006/08/27(日) 16:12:07 0
>>132-137 99話目、乙。
>>129 17じゃないけど返事します。
全スレで一度まとめサイトが作られたけど、そのサイトを今後も使用するかは未定。
"喪にも奇妙な物語 〜プロローグ〜"
十数年前。
昼のテレビの収録終えたタ喪リ。
控え室に戻ると、数人のスタッフが待っていた。
マネージャーが明日以降の予定をタ喪リに伝える。
しかし、鏡の前の椅子でくつろぐタ喪リは上の空だった。
(くそっ、今日のオープニングの歌のザマは何だ!!
若い頃は、あの程度の音域は軽くこなせていたのに・・・・
踊りのキレも納得がいかないっ)
サングラスの上で、眉間のしわが寄った。
タ喪リが一通りのマッサージを受ける
すると、その部屋全体からスタッフは、タ喪リから何かをいわれる前にそそくさと退出する。
全員が、この部屋でタ喪リが一人っきりになることを知っていたのだ。
「また、いつものやつだ。3時間後に呼びにきてね。」
呼び止められたマネージャーは、何も言わずに頷き手帳に書き込む。
誰もいない控え室。
タ喪リは冷蔵庫からユン▲ルを取り出し、一気に飲み干す。
「あ〜〜、この一杯に生きているなぁ」
この習慣は、人間社会から離れる為の彼なりの儀式なのだ。
※もちろん、ユン▲ルにそのような効用は無い。
こうでもしないと切り替えるのが困難であった。
そのとき、タ喪リの脳裏に『アノ計画』がよぎる。
実は、彼の番組のコーナーに存在する『友人から、その友人に繋げる電話』も
壮大な計画の一環に過ぎないのだ。
(まだ時間が掛かるな・・・・・・人の絆を結ぶ魔法陣。)
これまで繋げた人の名前のリストを眺めながら、タ喪リは軽く爪を噛んだ。
リストを机の上を置き、暫く考え込むタ喪リ。
(そろそろいくか・・・・)
突然、椅子の上で猫のように伸びをした。
するとタ喪リの姿はみるみるうちに黒猫へと変化した。
控え室の通気口から、テレビ局の外へ出る。
(だが、まだアノ計画の鍵が足りない。
そう・・・まだ異性と交わっていない純粋な存在『喪男』の生贄が)
――さて、今日の獲物は・・・
黒猫は欲望渦巻く都市を疾走し、ビル郡が造りだす闇夜に消えた。
喪にも
大
可妙な
物 語
おしまい
143 :
('A`):2006/08/28(月) 03:10:46 0
>>132-127 最高です
私的には前スレの「喪林サッカー」と競る。
喪の心象描写(軽くヨダソウはいってるとことか)
がよかった。
あと、情景をすげえイメージできた。
マジでよかったよ
144 :
('A`):2006/08/28(月) 16:36:16 0
この程度で長すぎって
145 :
('A`):2006/08/28(月) 16:40:03 0
そりゃ本として手元にあれば短いと感じるだろうけどな。
146 :
('A`):2006/08/28(月) 18:59:34 0
よし待とうぜ
"喪女缶"
数人の限られたグループで、無意味に過ぎる大学生活。
そんな俺に彼女なんてできるはずがない。
今日も、とぼとぼと実家へ下を向きながら帰っていた。
「ちょっと、お待ちなさい。そこのお兄さん。」
声のする方に振り向くと、占い師のような一種怪しげな服を着た男。
「貴方のことだよ。」
サングラスが怪しく光る。
何もしゃべらない俺にお構いなしで、その男は続ける。
「あんた、狭い人間関係に飽き飽きしてるでしょ。
しかしこの不思議な缶詰めがあればそんな悩みも一発解消。
本当ならお金を取るんだけど、モニターをしてくれるなら
無料で差し上げましょう。」
目の前に差し出された缶は、市販される缶とは一見変わりが無い。
(タダなら、もらってやるかな。どうせ帰ってもやることないし・・・)
「ただしお試し期間は半年ですよ。」
俺はその缶を片手にその場を後にした。
無言で2階にある自分の部屋に戻ると、乱暴にベッドに横たわる。
「さっそく、空けてみるか・・・・」
コンビーフに良く似た缶の中からは、半透明のドームが姿を現した。
ん・・・何も入ってな・・・・
いや、誰かが倒れている・・・・・
そこには小さな妖精が横たわっていた。
光が差し込んだ為か、妖精が起き上がる。
ゆっくりこちら側を向く顔。
だが、、、、、、
うわぁぁsっぁっぁぁあxっぁぁぁぁx
ぶさいくーーーーー
「妖精といったら美少女がお約束だろっ」
と、思わずツッコミそうになった。
その妖精(注:本当の妖精に失礼なので、以下『喪女』とする)は、
俺の存在に気づくと、怒涛のように声を張り上げてきた。
「もじょ?
もじょじょじょじょ。
もじょじょ。もじょもじょじょじょ。」
(萌えーーーー・・・・
て、たまるか!!
・・・・・・なんかムカつく)
俺は、デコピンを食らわす。
すると、喪女は北斗の拳のヤラレ役のような顔で吹っ飛んだ。
それから数ヶ月が過ぎた。
最初は言葉が通じない為、意志の疎通もままならなかったが
次第に、相手の考えていることがわかった気がした。
まず第一に、やはり喪女。イケメンが好きなようだ。
それも普通のイケメンでなく少々オッサン気味のイケメン。
特に渡辺謙には異常なほどに興奮を示した。
レンタルビデオ屋で何本か借りて来ると、喪女は飛び回って喜んだ。
渡辺謙の演技を観るときの顔はヤバいくらいにニヤけている。
テレビでゲスト出演しようものなら、急に硬くなって俺に話す時も
小声で、声が上ずってる・・・
(大学アイドル、千夏ちゃんが側にいるときは、俺もこんな風なんだなぁ orz)
少しブルーになった。で、憂さ晴らしにデコピン。
アッ、言い忘れたが、喪女は常に裸である。
しかし、ホログラムで投影され透明になっている感じなので肝心なところは見えない。
(一度服を着せようと考えたが、ドームを空けてはならないと付属の説明書に
書いてあったのであきらめた。)
まあ、どうでもいいことだが・・・・・
そんな誰もが嬉しがらない共同生活が続いた、ある朝。
いつものようにハムエッグに箸を伸ばそうとすると、いつもは
無口な母親が声をかけてきた。
「最近、なにか良い事あったの?」
「ん、別に。でも、どうしてそんなこと聞くの?」
まだ口の中にご飯が残っているが答える。
「最近表情が穏やかになったというか・・・・・」
俺はなんだか照れくさくなり、まだ三分の一ほど残っていた朝食を
後にして自分の部屋に戻った。
すぐに異変には気づいた。
喪女のいるはずのドームが、半開きになり黒煙が上がっていたのだ。
焦る俺の脳裏に、サングラス男のあの言葉がよぎる。
――“ただしお試し期間は半年ですよ”
「おいっッ、
消えんなよ喪女。
まだ渡辺謙主演映画、全部観終わってないだろ。
いつも、お互い、どっちがより不細工かを競ってたじゃないか?
絶対、俺にイケメンの彼氏を見せ付けてくれるんじゃなかったのかよ。」
喪女の口がゆっくりと動く。
しかし、今度はあの“もじょ語”ではない。
「あ ん だ も、良 い 女 み づ け な ー よ。」
喪女は、安らかな顔で、しかし不細工な顔で、その透明度を上げていった。
「ちっ、ちきしょうぅぅう」
こんなに泣いたのは、生まれて初めてだった。
あれから数年後、俺はサラリーマンになっていた。
久し振りの休日を喫茶店で過ごしていた俺に、あの夢のような出来事の続きが訪れた。
突然、若くて可憐な、二十歳ほどの女性が俺の向かいの席に座る。
何かの間違いだと、うつむく俺の額に軽い痛みが走る。
「いっ?」
驚く俺に、彼女はいたづらをしでかした子供のように舌をだした。
「これはね。ひいおばあちゃんが残した、私の家に伝わる守らなければいけない決まりなの。
一つ『赤と紫の縞々の鉢巻をした男には初対面でデコピンをすること』」
「鉢巻・・・・・・・・ああ、このバンダナのことね。」
驚きを隠せず、キョドりながら俺は答える。
続いて、彼女は一枚の写真を差し出した。
「二つ目、『赤と紫の縞々の鉢巻をした男に、この写真を見せること』。
この女の人は私のひいおばあちゃんね。こっちがひいおじいちゃん。」
その写真を目にした時、一瞬で全身の血の気が引いたのを感じた。
そこの写真に写っていたのは紛れも無く、あの喪女だ。
それ以上に驚いたのが、隣にいる男。
現代でもイケメンで通じるぐらいの端正な顔立ちだ。
しかし、アンバランスな夫婦だ。
「ひいおばあちゃんはある日神隠しにあったんだけど、その日から
人が変わったように明るくなったんだって。
それで、猛烈なアプローチでひいおじいちゃんをゲットしたらしいよ」
俺の怪訝な顔で何を考えていたか察したらしく、その娘は説明をしてくれた。
その時、一人の男がこの喫茶店へ向かって走ってこようとしていた。
サングラスが上下に揺れる。
「まいったなぁ。モニターの感想を取るのにこんなに時間が経ってしまった。
お渡しした商品も、音声出力に不具合があったし・・・・・・」
そして、また舞台は喫茶店。
「ああ、三つ目は想像付いたぞ。
ここは映画とかのお約束道理に『赤と紫の縞々の鉢巻をした男と一緒になるように』だよねぇ」
俺の心は浮かれていた。
「違うわよッ。私、彼氏いるもん。」
抱きしめようとした俺の腕は、むなしく空を切った。
「みっつめ!!
『デコピンの痛みを何百倍にして仕返しすること』!」
平手ではなく、グーが俺の顎を直撃する。
俺は、北斗の拳のヤラレ役のような顔で吹っ飛んだ。
喪にも
大
可妙な
物 語
おしまい
ちょい『サ喪テン』と、かぶった
154 :
('A`):2006/08/29(火) 11:04:46 0
あげればいいのに。オチが良かった。楽しかったよ
おや100話こえたのね
156 :
('A`):2006/08/29(火) 23:07:01 0
不条理だなw
乙
でもちょっと解説が欲しい('A`)
157 :
153:2006/08/30(水) 00:33:22 0
>>156 ごめんm(_ _)m
昨日勢いで書いて、今見直すと矛盾や説明不足があった。
解説になってなかったら申し訳無いけど、以下修正。
@缶の中のドームとは、見た目シャボン玉のような光のドーム。
手を突っ込むことも可能で喪女に触れる。※デコピン可
でも、喪女は外に出れない。(服も着せれた)
A喪女のしゃべる言葉は、缶下部のスピーカーから聞こえる。※音声入力も有り
(このスピーカーが壊れていた)
光のドーム内は音声が伝わらない為。
あとはタ喪リの補足。以下
>>152の続き。
158 :
153:2006/08/30(水) 00:34:40 0
喫茶店の中の様子を窓から覗くサングラスの男、タ喪リ。
一人の男が殴られるのが目に入り、痛そうな顔をする。
だが、その仕草もどこかワザとらしい。
タモリはゆっくりと振り向いた。
「もうお気づきの方もいらっしゃいますでしょうが、
これは『過去の人物を一人だけ現代に連れてこれる』商品です。
でも、缶を開けてみるまでは誰になるかは運次第。
・・・・・・さて、私の場合は誰に当たるかなっと、、、」
袋から商品を取り出し、プシュッという音と共に缶を開ける。
そこには、オールバックにサングラスの赤ん坊が寝ていた。
「あんぎゃ、あんぎゃ」
タ喪リはこちら側を向き、怪しく笑う。
喪にも
大
可妙な
物 語
159 :
('A`):2006/08/30(水) 17:18:35 0
160 :
('A`):2006/08/30(水) 18:53:53 O
キンタマ舐める続きマダー?
161 :
('A`):2006/08/31(木) 10:37:31 0
僕はぶーん電灯のくすんだ豚舎で
今陰嚢に飼料をかけて豚に舐めさせている
フガッフゴッ
この豚マコはあさって出荷される。トサツされるのだ。
糞尿の掃除をするとき柵の中に入ると巨体をぶつけて僕に
じゃれてくる。じゃれてくるといっても300キロを超えた体
だから油断すると吹き飛ばされる。
フガッブグ
僕は自分の足をもってM字に広げひたすらマコが
舐め取るのをどこか他人事のように見つめ意識を遠くにしていた。
その様子を窓辺で猫のミクが見ていた。猫の嫉妬は凄い
マコは精肉会社の車に運ばれていった2日後
僕は何かがうごめくことに気づいて夜中に目が覚めた。猫のミクがふとんの中で
僕の陰嚢を舐めているではないか!
「ああっミク!そんなとこ舐めちゃダメだ!」
「あらマコには舐めさせていたじゃない」
「ええっ!しゃ、しゃべ・・で、でも!そんなとこ舐めたらキ、キスできなく
なっちゃうよ」
「じゃあキスしましょ」
「!」ミクと舌を舐めあっているうちにコリコリとしたものが
お互いの口の中を行き来していることに気が付いた
「お兄ちゃんの陰嚢よw」
「!!!!!!」
モモモモ♪もももももっももももも♪もももも ももももっももももも
もーんもーんもーん ア~ア~ア〜
これはひどい
164 :
('A`):2006/08/31(木) 20:47:56 0
165 :
('A`):2006/08/31(木) 21:48:58 0
百物語完結で終了?
166 :
('A`):2006/08/31(木) 23:05:00 0
じゃあさ100話までできたことだしさ
なにが一番おもしろかったか
ランキングでもつくってみないか?
167 :
('A`):2006/09/01(金) 00:30:20 0
☆チチンガ チン
マダ〜マダ〜マダ〜?
☆チンチンチン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < まとめサイトマダ-
\_/⊂ ⊂_ ) \_____________
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| 愛媛みかん |/
168 :
('A`):2006/09/01(金) 00:31:24 0
>>3-8 >>76-77 >>127 のあらすじの続き。
第九十八話:"喪ルモット"
>>130 次第に思い出されてくる悪夢のような記憶の数々。
守れるけど逃げられない場所… あなたはもうお分かりですか?
第九十九話:"喪擬試験"
>>132-137 【主演】渚
自分をやり直すための機会を願い、大学の『喪擬試験』を受験する喪男。
試験の最後には、奇妙なアンケートが待っていたが・・・・・・
第百話:"喪にも奇妙な物語 〜プロローグ〜"
>>139-140 【主演】タ喪リ
奇妙な世界へ誘う、喪の案内人『タ喪リ』。
次は貴方の番かもしれません・・・・・
第百一話:"喪女缶"
>>147-152 >>158 不思議な缶の中の、小さな妖精『喪女』。
喪男と喪女の誰も嬉しがらない共同生活。
◆リレー小説:"喪ずく"
>>38-39 繁殖を目的とした謎の寄生生物が、誤って喪の体内に吸収されてしまった・・・
未完。続き書く人募集中。
169 :
('A`):2006/09/01(金) 00:32:18 0
■未完成お題リスト: 169まで
・500レスが過ぎたものは削除されます
・お題は随時募集中!
1-678 "筋肉マン喪世"
1-680 "クッキー喪ンスター"
1-683 "猿"
1-687 "愛喪ーど"
1-730 "喪ナリザ"
1-742 "イマキ喪さん" "喪女さん屋さん" "ヲタ火" "雨の訪喪者" "喪プレイ"
1-831 "喪ーニング"
1-906 "喪クドナルド" "喪う一回…"
2-014 "素喪も喪も喪のうち(すももももものうち)"
2-067 "言葉のない部屋"
2-084 "喪を呪わば穴二つ"
170 :
('A`):2006/09/01(金) 00:54:46 0
世にも奇妙な物語でも、大体三種類に分かれるよね。
一回の放送でも、大体この組み合わせ。
1.感動的な奇妙系
2.恐怖の奇妙系
3.世界観が奇妙系。(BLACK ROOM、ママ新発売!)
やっぱり、喪の場合は2が多いのかな。
喪林サッカーは、3 に含まれる気がするが・・・
171 :
('A`):2006/09/01(金) 18:39:31 0
172 :
('A`):2006/09/02(土) 00:02:04 0
173 :
('A`):2006/09/02(土) 01:05:13 0
>>166 一人一票で、一番を決めるだけなら荒れないよね・・・じゃあ
第三十七話の"喪にも(´;゚;ё;゚;)キモーな物語" に一票
↓そしてスレは荒れ始める
175 :
('A`):2006/09/02(土) 10:21:34 O
176 :
129:2006/09/02(土) 13:23:49 0
>>138 亀返信ですまない
把握した。さんく
前スレのを見たいのよね
喪ランボン〜@
人の目を気にしない奴が羨ましい
と同時に憎い
僕はチック症でそれがどうしようもないくらいどうしようもないくらい
コンプレックスだった。−高校時代
別に誰かにいじめられたわけじゃない。たまに別のクラスの奴に笑われていたことも
あったけどクラスでは普通で、普通に隅っこに存在し卒業した。
近所の大ちゃんは東京に昔行ってて
「東京?東京ってところはな、別にだーれも他人のことなんか気にしないで
好きな奴ら同志が集まって好き勝手やってる街なんだよ」
その言葉信じて東京の大学に行った
人には言えないような人には言えないような大学に。コンプレックス持って東京行った。
絶対に変わろうと思った。ここには昔の僕を知ってる奴はいない。絶対に変わるんだって。
大学の演劇サークルに入って自己紹介のとき自らチック症であることを
積極的に告白して、そのまま一芸披露のときは勝手に震える首を利用して
ボクシングのシャドーの真似をした。みんな笑っていいのかわからず上級生はとまどいの拍手を
くれた。
ことあるごとに「俺なんか勝手に震えるだろw夏なのに涼しいぜ」とか
会話の流れと関係のない話をたびたびした。
サークルに卓志という名前の2枚目の同級生を見た瞬間
僕は「これはイケる!」と思い込み
飲み会で「チック&タック」と芸名をつけ嫌がる卓志と無理矢理
つまらない漫才をした。彼は終始渋っていたけど僕は満足だった。
喪ランボン〜A
僕は変わった。いや俺は変わったんだ。こうして
積極的に声を掛けるようになったし人前でも緊張で
声が震えることなんてない。やったんだ俺はやってやったんだ!
ざまぁみろ田舎の連中
サークルの劇の大道具を作っている途中に上級生が
「よーし終り終わり。今日は4年の追い出しコンパだから
1年は大久保駅行って先に店確保な」
しめた
卓志をつかまえて「卓志!今日もやろうぜ」と肩をつかむと
「俺いかねえよ」
「おいwなんだよ。俺たちの恒例のアレなしじゃ盛り上がらんぞw」
「・・・るっせーな。なんなんだよ!お前!!!馴れ馴れしくすんじゃねえよ!
なんだよ!てめぇスベってるのわかんねえのかよ!何がチックタックだ!
てめぇ空気読めてないだろ。みんな最初の同情してたのてめぇがズルズル
粋がってだけじゃねえか!うぜぇえんだよ!気持ち悪りぃんだよテメェ!近づくな」
なんだよ
なんだよ
なんだよ ソレw
聞いてねぇよそんなの だってみんな笑ってたジャン ・・・・
みんな・・・・
モモモモ♪もももも♪
もももももももーもーんもーんもーん♪
?
181 :
('A`):2006/09/02(土) 20:43:48 0
前みたぞソレ
あと同志じゃなくて同士だろ
>>169 いつも乙です。
ただちょっと思ったのは
>>67の「言葉のない部屋」は雑談レスであってテーマ提示とは違うんでは?
183 :
('A`):2006/09/03(日) 18:20:40 0
よーしパパ作者さまが来るの待っちゃうぞ〜
001/003
喪にも奇妙な物語「喪ナリザ」
ほとんどの高校生にとって、修学旅行は忘れられない思い出になる。
旅行中は不満を口にする生徒もいるが、10年後に同じ気持ちでいる者はいない。
わずかな例外を除いては。
喪男はルーブル美術館の廊下を歩いていた。
修学旅行はフランスだった。京都に行った中学生時代とはずいぶん違う。
変わらないのは、共に観光する仲間がいないこと。
喪男のクラスはここで自由行動になる。
いつものようにトイレでやりすごしてもよかったが、喪男は館内を見て回ろうとした。
自分に言い聞かせる。美術品はひとりで静かに鑑賞するものだ。
もし誰かと遭遇したら、壁の絵でも見ていればいい。気付かなかったことにできる。
喪男にとってはじめての海外旅行だった。芸術に関心があるわけではないが、興味が沸く。
誰かと顔を合わせることへの不安は、すぐに杞憂だと解った。
想像以上に館内は混雑している。
同級生達がどこにいるか知らないが、今からでは探しても見つけられそうにない。
人の流れに押されながら、喪男は自分なりに修学旅行を楽しもうとしていた。
002/003
入館時に渡された案内図を頼りに、経路を巡っていく。
知っている絵画や彫刻がいくつかあった。
芸術に疎い喪男にでも、伝わってくるなにかを感じる。
知識がないため言葉にはできないが、飾られている作品達の価値はよく解った。
これを才能というのであれば。それを生まれながらにして持っているのであれば。
天才と呼ばれる人種は、自分とはどれだけ違う存在なのだろうか。
喪男には特技もなければ、得意と言える詳しい分野もない。
省みるたびに、劣等感が襲ってくる。
次の部屋に続く扉は閉ざされており、その前には行列ができていた。
モナリザのある部屋だ。
小説で取り上げられた影響か、最近は特に人気があるらしい。
部屋には規制がかけられていた。一定数以上の観光客が入室できないようになっている。
行列の長さと時計を見比べる。他の経路を見ようかとも思ったが、考え直して列に並んだ。
時間を節約したところで、特にやりたいこともない。
しばらく待っていると、警備員が扉を開く。喪男は列に続いて入室した。
部屋に入ってすぐ、不思議な感覚に包まれる。
目が回る。自分がどこにいるのか解らなくなる。意識が遠くなる。
背後で扉の閉まる音がした。違和感の正体に気付き、喪男は我に返る。
部屋の中に誰もいない。
003/003
いくつかの絵がある広い部屋だったが、見渡す限り人影はない。
一緒に入室したはずの観光客さえ、残らず姿を消していた。
あたりを見渡しながら、喪男は奥へと進む。
不意に気配を感じた。
そこにあるのはモナリザだった。ケースの中からでも、例えようのない存在感を発している。
美しい微笑みで、喪男のやや左側を見ていた。
不審に思う。絵がこちらを見ていない。
喪男の知る限りでは、あらゆる角度に視線を向けているはずだった。
目を合わせようと左へ動く。モナリザを見る。今度は右を見ているようだ。
見方に工夫がいるのだろうか。考えながら、絵の右側へ回り込もうとする。
やはりモナリザは、どこか違う方向を見ていた。
喪男は正面から目をよく見ようとして、絵に近付く。
モナリザの目が動いた。
絵の中の目が動いている。喪男にも確認できた。
合わせようとする喪男の視線と、外そうととするモナリザの視線が、一瞬だけ交錯する。
喪男はすべてを理解した。
重なったその視線は、喪男が日常的に浴びている感情を帯びていた。
隠し切れない嫌悪。湧き上がる差別感。刺すような冷たさを感じる。
喪男は下を向いて、肩を振るわせた。
モナリザに愛されたいなどとは思っていない。目を合わすことすら許されないのか。
いつのまにか、周囲には観光客がいた。
うつむいて涙を流す喪男を見て、不気味に思うと共に失笑している。
モナリザは静かに微笑んでいた。
187 :
169:2006/09/03(日) 21:09:19 0
>>184-186 乙。よかったよ。
俺があげたお題に答えてくれてありがとう。
>>182 「言葉のない部屋」は、世にも奇妙な物語に実際にあった話なのね。
知らなかったorz 次のリストで消しますね。
188 :
('A`):2006/09/04(月) 00:16:05 0
189 :
('A`):2006/09/04(月) 01:23:48 0
190 :
('A`):2006/09/04(月) 02:09:05 0
>>184-186 乙。作者諸氏の活躍にはこれからも期待。
>>188 激GJ。
俺も2夜からの新参なのでありがたい。
理想を言えばトップは題名&
>>168みたいなダイジェストで、
そこから各話のページに行けるようにしたい。
100ページ以上占有することになるからあそこじゃ無理かな。
ところで@wikiにもまとめサイトがあるみたいなんだけど、(ぐぐったら出た)
あれは誰が管理しているんだろう。
前スレのログをお持ちの神様はどこかしらに公開してくれないかね。
>>166 >>173 投票もいいが俺は推薦が見たい。
まとめサイトもできそうな雰囲気だし、
作者以外は簡単な読書感想文でも書いてみてはどうかね。
193 :
('A`):2006/09/04(月) 04:19:23 0
『ク喪』
あるアパートの一室、ここに両親と住んでいる喪のすることといえば、毎日ネットの掲示板に書き込むことくらいだった。
いつものようにその掲示板に向かってキーボードを叩いていると、壁の隅を動く小さな物体を見つけた。
クモだ。
尻から糸を出す、8本足のあのクモである。
この部屋に引っ越してから、部屋の中で虫を見つけることは殆ど無かった。
といっても特別大きくもなく、チョロチョロ動くだけの小さなクモだ。たいしてキモくもないので、そのまま放っておくことにした。
再びキーを叩くことに没頭する喪。例のクモは何をするでもなく、タンスの奥に隠れてしまった。
あれから掲示板、チャット、ブックマークに入れてるブログを巡回していたら昼になり、サングラスを掛けたおじさんがテレビに出てきた。
「腹が減ったな」
空腹感を覚えた喪は台所に向かい、冷蔵庫の中の食料をあさった。
と、足の上を何かが這っていった。
「!?」
突然の出来事で喪はビビってしまったが、なんのことは無い、小さなクモがまたそこにいた。
「珍しいな」
おそらく先ほどと同じクモだろうが、足を伝った感触を不快に思った喪は、そのクモをティッシュで掴んだ。
プチリ
手の中で潰れた音がした。そのティッシュをゴミ箱に捨てる。
冷蔵庫で裂けるチーズを見つけ、それを手に(もちろん手を洗って)パソコンの前の椅子へと戻った。
ふと、パソコンの後ろの壁に目がとまった。
「おいおい」
そこにはまたクモがいた。今日だけで2匹めだ。いや3匹めだろうか。とにかく今日に限ってなんで……。
194 :
('A`):2006/09/04(月) 04:20:06 0
喪があのクモも殺してやろうかと思ったとき、玄関のドアが鳴った。
「ピンポーン」
思い出した。そういえば本を某湿地帯で注文したっけ?それが届いたのかも。
喪は喜び勇んで玄関へと向かった。
案の定、ドアの向こうには宅配便のお兄さんが立っていた。喪はサインをし、ダンボール箱を受け取る。
「岬タンハァハァ、岬タンハァハァ」
何か呪文のようなものを唱えながら早速ガムテープにカッターを入れる。と、
「カタリ」
箱が動いた気がした。喪は伝票を改めて見てみた。……某湿地帯じゃない!?送り主が書かれていなかった。
唯一つ、そこにはこう書いてあった。
『クモ在中』
不審に思って、箱に耳をあてがってみた。中から音が聞こえる。
「かさこそかさこそかさこそかさこそ」
顔が真っ青になった。
「うわぁ!?」
その箱を窓の外に向かって思い切り放り投げた。せめて伝票を剥がすのさえ忘れて。
「なんの嫌がらせだ……?」
しかもさっきのクモ、今の箱とクモ繋がりだ。
とにかくこのことを誰かに知らせたい。そう思った喪は、スクリーンセーバーのかかったパソコンに目を向けた。
例の掲示板である。
少々スレ違いというか板違いという言葉が頭をよぎったが、クモのことなんてどの板のどのスレに書けばいいのか分からないので
いたし方なく良く行くスレに書き込むことにした。
「スレ違いスマソだが、さっきすげぇ嫌がらせ受けた。送り主不明の荷物の中に大量のクモが入っていた。確認はしていないけど」
なんとも釣りともネタとさえもとれない文章だが、興奮している喪はそのまま書き込みボタンを押した。
195 :
('A`):2006/09/04(月) 04:20:54 0
程なくして、喪の書き込みにレスが付いた。
「もしかしてお前か?俺の友人がお前のところ逝くって言ってたぞ」
喪には意味不明の文だった。友人って?
ここから交互にレスをしていく。チャットではないので、喪が相手の文を見るのは数分置きになった。
「友人って、宅配便の人の事?」
「ちげーよ、クモだよ。お前のところに来たクモ」
「は?……kwsk……」
「だから、クモだって、俺の友人がクモになってさ、お前んち逝くって言ってたんだよ」
喪は困惑した。……釣りか?にしては突拍子もない。今度は横レスが来た。
「お前しらねぇの?イケメンとかDQNって、途中でクモになるんだぜ。クモは俺らみたいな奴の湿った部屋が好きでさ、そいつの部屋に送られるように
人間の時に手続きする香具師もいるんだぜ」
まったくもってわけが分からない。
「あ、俺の友達ももしかしたらお前んちかもしれない。宅配便の人来たらよろしくな。イケメンだったからって、殺すんじゃねぇぞwww」
何をばかばかしいことを……そう思った喪だが、玄関のドアからまたチャイムが聞こえた。
「ピンポーン」
「こんにちは宅配便ですがー」
喪は気絶をしてしまった。
「あ、すみませんさっきの荷物なんですけど。ちょっと住所間違えちゃってー、送り主書いてなかったでしょ?あれ宛先と送り主が同じってことでー、
すみません返してもらえますかー?」
テレビではサングラスのおじさんがフリップで笑いを取っていた。
196 :
('A`):2006/09/04(月) 04:42:35 0
喪にも
大
可妙な
物 語
昨日は2作か。
おっつっつー
198 :
('A`):2006/09/05(火) 04:48:23 0
>>198 感謝。
お前が死んだ時はミイラにして墓を作ってやる。
200 :
('A`):2006/09/05(火) 17:55:44 0
>>199 俺もどっぷり2ちゃんねらになったってことっすよ
フヒヒ!!!!
ただいま..
最近何か生きてくのが辛くなってきた。
今日も考え事しながら歩いてたから全然楽しめなかったわ。
寝るか。
これから行く人、気をつけてね。
じゃ('A`)ノ
すまん誤爆った('A`)
sage待ち。
204 :
('A`):2006/09/06(水) 09:07:45 0
ようやく前スレ読み終えたー。
205 :
('A`):2006/09/06(水) 22:55:51 0
ちょんまげに、サングラスのタ喪リ。
「幕末の動乱。
肩で風を切り、闇夜を威風堂々と歩く剣豪集団がいた。
彼らの名前は、新撰組。
今宵も彼らの羽織は維新志士の血で赤く染まっていました。
都の町人は、彼らに畏怖し、家屋の戸で彼らを覗き見ていた・・・・・・
と、現代の歴史学者は語っていたが、史実は異なっています。
実際はどうだったんのでしょうか?
では、ご覧ください・・・・・」
206 :
('A`):2006/09/06(水) 22:59:11 0
"新選組喪番隊"
「きゃーーーーーーーーー
沖田様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
夜の一仕事を終えた、新撰組の一団に若い娘たちが群がろうとする。
(やだなぁ、毎日毎日・・・・・)
その男とは思えない美形の顔で露骨にはださなかったが、沖田は娘たちに
追いかけられるのに飽き飽きしていた。
しかも沖田だけでなく他の美形隊員にも、その魔の手は広がっていた。
美形隊員だけでなく、隊員全員がうんざり。
沖田は、局長の近藤の方に顔を向ける。
「おい、喪番隊。仕事だぞ。」
近藤の指示を待たずして、喪番隊の隊員は四方に散らばり、人の壁を作った。
効果は覿面。
先程の歓喜の悲鳴とは真逆の悲鳴を発しながら、娘たちは四方に逃げていく。
その様子はさながら蜘蛛の巣をつっついたようだった。
――"喪番隊"。
それは歴史の裏に隠れた、いや、歴史の表に出ようとは思ったが葬り去られたといった方が
正しいか、新撰組の隠れ部隊のことである。
その異形の顔を利用して特殊な任務を数多くこなしていた。
だが、それらはひとことで言ってしまえば汚れ仕事。
先程から、人の壁の中央で腕組みをしているのが、喪番隊組長『沖田 喪次郎』である。
喪次郎は、一番隊 沖田総司の実家のお隣に住む商人のお得意様で、苗字が一緒なのが
ちょっとした自慢。
喪次郎は、人払いという大仕事を迅速にそつなく完了し、得意げだった。
「敵前逃亡は士道不覚悟」
ちょっと意味不明なことを、躊躇なく言ってしまうあたりも完全なる喪であった。
207 :
('A`):2006/09/06(水) 23:01:33 0
次の日。
喪番隊の集まる宿舎では、宴会が行われていた。
だが他の隊の者たちは参加していなかった。
これは、女っ気を微塵も感じさせない喪純度100%であったためである。
会の途中、小便をする為に喪次郎は席を立った。
すると、便所に向かう廊下で、裏口から帰宅した一人の隊員とでくわした。
「・・・・おかえり、喪臓殿。
ん、、、、、どうした、お主、びしょぬれじゃでござるな」
着物からは水が滴り落ち、ダサい丸めがねにも水滴がついている。
「それが喪番隊の宴会をすっとばして、屋形船に乗ったんです。
屋形船に乗る舞妓さんに萌えー、の所以でござる。」
「それは致し方ない理由だな。
それで、その濡れ具合はいかゆえに?」
「屋形船に乗ってたら、乗り合わせたヨッパライがある若い女性に
絡んだでござる。助けようと思ったが、拙者、神田川に突き落とされてしまった。
結局は、船頭が止めにはいったさ。
カッコ悪いでござるよ拙者。
カッコいいでござるよ船頭。」
「そりゃ屋形船だ。ヨッパライはいるさ。
まあ、泣く子も黙る喪番隊にしてはよくやったでござる。
乙でござる。」
喪次郎はその若い隊員を慰めるように頭を撫でてやった。
208 :
('A`):2006/09/06(水) 23:17:25 0
働きたくないでござる…スレみたいだなw
209 :
207の続き:2006/09/06(水) 23:45:10 0
数日後。
喪次郎は、自室で萌え萌えの和服人形の手入れに勤しんでいた。
部屋の壁には、童女が描かれた錦絵。
「ごめんくださーい。」
宿舎の外から若い女性の声がしたので喪次郎は、猛ダッシュで玄関を開ける。
そこにはもろタイプのロリ顔女性。
「あの、喪臓さんはいらっしゃいますか。」
「あひゃっ、あひゃ
喪臓なら今出かけたばかりでござるよ。」
約6年ぶりの女性との会話。喪次郎は感動で打ち震えていた。
「じゃあ、これをあの方にお渡してくださるようお願いいたします。」
そう言って、喪次郎はその女性から箱を受け取る。
放心状態になる喪次郎。
手に持った萌え萌えの和服人形に気づいたのは、女性が去った後だったが
特に喪次郎は気にしなかった。
その夜。喪臓が帰ってくると、自室に来るよう命令をする。
昼に受け取った箱を取り出し、喪臓を問い詰める喪次郎。
「昨日、お主が助けた女性から渡すように頼まれた物だ。
だが・・・・なんだこれは、高級茶碗"久留米焼き"ではないかッ!!
しかも、彼女の住所付きッ」
喪臓は驚きを隠せずにいた。しかし、暫くすると歓喜のあまり叱られているにも
関わらず、顔がニヤける。
「馬鹿もーーーんッ。お主、喪隊ろうかる局中法度を忘れたわけではござらんな。」
「一、色恋沙汰二ウツツヲ抜ヌカス者切腹申付ベク候也」
さすがに組長のキレタ顔に事態の深刻さを理解し、喪臓は真剣に局中法度を詠唱する。
「今後、あの女性・・・・・・・・
うむむむ、そうだ、『クルメ』としよう。
今後、クルメ殿と再び会うことは断じて許さんからな。
話は以上だ。さがれいっ」
210 :
('A`):2006/09/06(水) 23:46:53 0
しかし部下を思ってこそのコノ行動も裏切られてしまう。
部下の密告で、クルメ殿と喪臓の逢引の現場を偵察する。
ここは最近若い女性に人気の茶屋。店内はかっぷるで溢れんばかりだ。
喪次郎は一人店横の暗闇に潜んでいた。
壁に穴が開いている為、中がうかがい知れる。
しかしながら、穴小さいため顔が見れない。
だが、喪次郎は二人の店内の会話を理解していた。
これは、人の唇の動きではなく、胸の動きだけで会話を読み取っているためである。
――これぞ、喪番隊奥義"独身術"。
ぼそ、ぼそ、あははは、ふふふふふ
(なんつう。甘〜〜〜い雰囲気。うらやましぃい。)
ここで、堪忍袋の緒が切れ、喪次郎の合図で、店内に隊員が流れ込む。
騒然とする店内。喪臓がその後どうなったかは、喪番隊以外の者は誰も知る由もなかった。
211 :
('A`):2006/09/06(水) 23:47:54 0
喪臓が処罰された・・・・・
しかし、その処罰の際の余りにも感情的な表情から喪次郎に対する不信感が隊内に広がり始めた。
半年後、その不信感を払拭する絶好のチャンスが彼に訪れた。
その日も、重要な役職の志士の会合を襲撃する夜であった。
一番隊、二番隊の隊員が次々と維新志士を退治する。そのおこぼれを貰い活躍する喪番隊。
とうとう志士の親玉の部屋に突入する喪次郎。
着物をはだけながら可憐な女性が、 変態プレイを強要された為助けを求めていた。
次の瞬間、決着は片付いた。鞭&ロウソクvs刀では、勝負にもならない。
ドタドタドタ、他の喪番隊隊員も遅れて雪崩れ込んでくる。
倒れ付した悪人の横でおびえる女性。顔には悪人の返り血が付いてしまった。
喪次郎は何も語らずに自分の手ぬぐいを渡し、その場を立ち去ろうとした。
「あの、お侍様・・・・・お名前を教えていただけないでしょうか?」
どうやら、今夜は新月の為薄暗く、顔が見れないようだ・・・・
半年前の一件があったため、その返答を固唾を呑んで待つ隊員。
喪次郎はゆっくりと口を開いた。
「"一"番隊組長、沖田」
声色を渋くしてカッコつけているけど、袴なのに下腹部があんなに隆起している。
女性のあられもない姿に興奮されたんだね。
周りの隊員達は、その漢気溢れる姿に感動し、泪を流すものさえいた。
娘が衣服を整えるために、家屋の奥に姿を消すと、隊員全員が喪次郎の元に駆け寄る。
「くみちょーーーーーー」
212 :
('A`):2006/09/06(水) 23:50:12 0
後日。
喪番隊の宿舎に一通の手紙が届く。
手紙は、明らかに女性が書いた文字で可愛らしい。
「さては、あの娘が送り先を間違えたな・・・・
ふふふ、どじっ娘だのぅ・・・・」
最近入隊したばかりの隊員が、その手紙を開くと衝撃の内容が書かれていた。
喪番隊の隊員全員が、組長喪次郎の部屋に集まる。
「組長、どういうことですか?」
隊員に問い詰められ、喪次郎の目は明らかに泳いでいた。
「しらんよ、あの子が勘違いしたのでござろう。」
あくまでもシラをきるようだった。
「じゃあ、これはなんですか。」
隊員が差し出したのは、あの夜女性に放り投げた手ぬぐいであった。
その手ぬぐいは手紙に同封されていたものだ。
その布を広げると、どでかく喪番隊の旗印"まる喪"印がくっきりと、
しかもご親切に、しっかりと住所まで書かれていた。
「喪次郎さん!!
あんた俺達にばれぬ様に、小細工しおったなッ」
喪次郎は逃げようとしたが、周囲には隊員、隊員、隊員・・・・・・・
「喪隊ろうかる局中法度!!
一、色恋沙汰二ウツツヲ抜ヌカス者切腹申付ベク候也」
刀を抜き、隊員全員が喪次郎の元に駆け寄る。
「くみちょーーーーーー」
そのとき、初めて局中の声がハモった
喪にも
大
可妙な
物 語
おしまい。
“思わぬほど、長くなってしまったでござる”の巻。
タ喪リ乙。
216 :
('A`):2006/09/07(木) 14:39:26 0
乙w
そんな秘められた歴史があったとはな…
電車ヲトコみたいに発展しないのが真喪('A`)
217 :
('A`):2006/09/08(金) 14:05:55 0
街
218 :
('A`):2006/09/08(金) 14:53:32 0
わろたでござる
219 :
('A`):2006/09/09(土) 07:30:27 0
町
220 :
('A`):2006/09/09(土) 15:53:20 0
■未完成お題リスト: 220まで
・500レスが過ぎたものは削除されます
・お題は随時募集中!
1-742 "イマキ喪さん" "喪女さん屋さん" "ヲタ火" "雨の訪喪者" "喪プレイ"
1-831 "喪ーニング"
1-906 "喪クドナルド" "喪う一回…"
2-014 "素喪も喪も喪のうち(すももももものうち)"
2-084 "喪を呪わば穴二つ"
お題がさみしくなってきたのう
222 :
黒鷺( ´・д・) ◆BLACKrzHiU :2006/09/10(日) 00:04:24 0
アナザー喪男
―もしもあの時、違う選択肢を選んでいたら・・・
―もう一つの世界
―もう一つの人生
―もう一つの自分
■第1章 愚痴
「・・・何でこうなったんだろ」
こうやって自分自身に問いかけるのも、何度目になるだろう?
心身共に疲弊しきった僕の体には、這い上がる力もなく
焦点が合わない虚ろな眼は、ただ部屋の天井を映し込んでいた。
今年の秋には、25歳というある意味での人生の大きな節目を迎える僕にとって
この状況はあまりにも過酷なものであった。
「この歳になって未だフリーター・・・ しかもコンビニの夜勤
挙句の果てには最近入ってきた高校生よりも覇気がないと陰口を叩かれる始末・・・」
就職の当てはさっぱり見つからず、仕方なくコンビニでのアルバイトで
毎日を食い繋いでゆく日々。
上京先の無名大学を卒業してからと云うものの、3年近くもこんな生活が続いている。
正直な話、この微温湯に長く使っていたいというのが本音なのだが、時の流れは
それを許さない。
こうして喪に服している間にも、僕は確実に老いてゆき出来る事は
どんどん限られてゆく。
そろそろこんな生活にも終止符を打たなければ。これ以上自分自身を腐らせない為にも。
「それには、まずは就職だよな。
でもやっぱ厳しいな・・・ 内定は愚か就く当てすら見つからないからな・・・」
こんな時、決まって僕ある考えに耽る。
223 :
('A`):2006/09/10(日) 00:06:03 0
こんな時、決まって僕ある考えに耽る。
―あと10年、いや、5年でも過去に戻れれば・・・
この歳になってまでこんな馬鹿げた事を考えるのは僕だけだろうか?
いや、誰だって一度は考えた事がある筈だ。
寧ろこういう年頃だからこそ・・・
「もし10年前の自分が今の堕落した僕をみたらどんな顔をして落胆するのだろう?
そして、もし10年後の自分が現れたら・・・ 今の僕にどんな説教を喰らわすのだろう?
・・・・・・(思考中)
・・・・・・(思考中)
・・・・・・(思考中)
「止めた」
こんな事をずっと考えていても埒が明かない。
取り敢えず、明日は休みが貰えたんだ。
久しぶりにゆっくり休めそうだ。
〜2日後〜
「チッ、あの酔っ払い・・・ これだから夜勤は嫌なんだよ
しかも一緒にシフトを組んだあいつ、まずい状況になったら自分は知らん振りかよ・・・」
不気味な程ギラギラとした朝日がアスファルトに乱反射される光の中、
僕はまたいつものように愚痴を零していた。
「今日の朝は何かいつもと違う・・・ な訳ないかw 疲れてるのかな?」
そしてまたいつものようにこの冴えないアパートに帰ってゆく。
224 :
黒鷺( ´・д・) ◆BLACKrzHiU :2006/09/10(日) 00:06:51 0
「ただいま」
独り身の僕に対し、返事をよこすものなどいる筈もない。
それでも何故かあの朝日の魔力の所為か、こんな事を口ずさんでみたくもなっていた。
『・・・おかえり』
僕は自分の耳を疑った。
誰もいない筈のその空間に、僕以外の声が重く響き渡っている。
(まさか・・・ ひょっとして鍵を掛け忘れたか? 兎に角ここは警戒して・・・)
「・・・・・・!?」
リビングに入った瞬間、僕は信じられないような光景を目にした。
黒いパジャマのような服を着た、見た事もない少年がテーブルの上に
ちょこんと鎮座しているのだ。
『やぁ、待っていたよ。 ・・・ククッ』
■第2章へ続く
wikiを作りました。
ttp://wiki.fdiary.net/mo/ よろしければまとめサイトとしてご利用ください。
このスレッドを見ている方のみが編集できるようパスワードを設定しました。
name:user
pass:tamori
運営方針についてはスレッド内での決定に従います。
皆様の参加をお待ちしております。
226 :
('A`):2006/09/10(日) 23:31:10 0
227 :
('A`):2006/09/10(日) 23:35:52 0
229 :
('A`):2006/09/11(月) 15:29:49 0
感動した
230 :
('A`):2006/09/12(火) 04:57:27 0
>>225 先にシャワー浴びてこいよ!!!(AA略)
231 :
('A`):2006/09/13(水) 03:38:17 0
街
前スレで屈辱を書かせて貰った者だけどタイトルを楽園に変えて書き直しても良いかな?
書き直しっても結末や話の流れは変わらず、ただ描写が増えるか
小説っぽい作りにするだけなんだが
233 :
('A`):2006/09/13(水) 06:18:50 0
もちろんおkだよ
タ喪リ
「『人間が想像できるものは、すべて現実のものにできる』
どこかの誰かが言ったそうです。
しかしこれを喪男に当てはめると、そうもいかないのは
皆さんが一番理解していらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、喪男が得意とする妄想に関するお話です・・・・・・」
235 :
('A`):2006/09/13(水) 22:40:03 0
"妄想の代償"
世間の荒波に揉まれ、疲れ果てた人の波。
そんな人々を癒すかのようにギターを奏でる女がいた。
いつものように駅前の青いベンチに座り、綺麗な美声を響かせている。
だが彼女の歌声を聴く者は一日につき片手で数えられるほどだった。
そんな彼女を遠くから見つめる男がいた。
彼は、駅前のコンビニで働く喪男。
今日も鈍くさい動きでミスをやらかし、店長に怒られていた。
しかしそんな彼にも特殊な能力を持っていた。
元来孤独な彼は人一倍妄想が激しいのだが、その妄想を他人に30分だけ見せることができる。
ただし、対象は一人だけ。人生で一度だけ。
しかもそれ以後妄想が全くできなくなってしまう代償つき。
この能力の存在は知ったのは彼の父親からだった。
父は、遺伝で備わったこの能力を利用し、母と結婚した。
彼もこの能力で恋人を作ろうと何度も思ったが、父と母の結婚したことを後悔する愚痴を
回想し、思い留まった。
236 :
('A`):2006/09/13(水) 22:42:06 0
ある日バイトを終えた帰り道、喪男は彼女と音楽仲間の衝撃的な話を耳にすることになる。
「しっかし、あんたも毎日毎日がんばるよね〜
あっ、そうだ。ビッグニュースがあるんだけど知ってる?
今週末の土曜日に、あの有名音楽プロデューサーT.Yがこの街に
プロモの撮影でくるんだって。
その日、ギターを弾いていれば何かのきっかけになるかもね。
あんた、歌手になるのが夢だって、ずっと言ってたから。」
「うん・・・・
じゃあラストチャンスになっちゃうなぁ。
週明けに田舎に帰ろうと思っているから・・・・
もう、夢を追うのに疲れちゃった。
歌もギターも、もうお終い・・・・」
ギターを撫でながら、彼女はそう言った。
「ええぇぇぇぇぇ」
彼女と俺の声が、重なった。
ボロアパートに帰っても、そのショックで呆然とする喪男。
(俺に彼女にしてあげられることはないのか・・・・・・・・)
そしてある名案を思いつく。
(そうだ!!
俺の能力で、プロ級の腕前の演奏をする彼女の妄想を
スカウトマンに見せればいいんだ。)
そう、喪男の中で美化された彼女のイメージ。
例えば、世間一般では中の下の顔も、彼のイメージもヤンジャン時代の
ヒロスエ、というような妄想でプロデューサーを彼女の虜にするのだ。
237 :
('A`):2006/09/13(水) 22:44:12 0
そして、週末の土曜。
今日も決まった姿勢で、決まった曲。
彼女はかれこれ三年間続けてきた。
最後の演奏になるかもしれなかったのもあり、
心なしぎこちない。
緊張しているようだった。
時間は残酷に刻一刻と過ぎていく。
歌に一区切りがつき、彼女も諦めかけた、そのとき遠くから拍手が聞こえてた。
―そこにいたのは、紛れもなくあの音楽プロデューサー
しかもプロデューサーの背後には、人、人、人の壁。
ビルの屋上にまで彼女の演奏を一目見ようと人が集まっていた。
彼女はゆっくりとギターを構えた
その光景は、人気歌手のゲリラライブの、そのものだった・・・・・
雫が彼女の肩を濡らし、彼女は目覚める。
それは夢のような夢。
だが彼女は、胸ポケットにいつの間にかしまわれた紙に気づく。
そこには、連絡先の住所が載っていた。
(あ、やっぱり夢じゃないんだ)
すると、まだ夢見心地でまどろんだ瞳に夢にでたプロデューサーの後ろ姿が映る。
去り行く後姿を追い、肩を掴み無理やり振り向かすと、それは不細工な喪男だった。
「どけよ、不細工。じゃまなんだよっ」
だがもうそこには、その連絡先以外に夢の欠片は残っていない。
立ち尽くす女。
すると、彼女の耳に夜を遊びまわる女子高生の声が聞こえた。
「あーあ、今日のプロモの撮影が中止なんて、サイアクー」
今日は一段と雨が疎ましかった。
238 :
('A`):2006/09/13(水) 22:46:16 0
数年後。
喪男の元に一通の手紙が届いた。
その文面から田舎でギターの先生として音楽を続けていることが判った。
彼女はあの日見た光景を生徒に見せようとしているようだ。
他人の大切な何かを守った。
それが彼が大きな損失をして得たものだった。
この誇りは妄想ではない。
能力を失った今の彼にとってそれだけは、確かだった。
喪にも
大
可妙な
物 語
乙
大分面白かったよ。
普通の人にもウケそうな話だね。
242 :
('A`):2006/09/14(木) 22:31:06 0
243 :
('A`):2006/09/15(金) 19:49:38 0
あらすじ職人はどうしたのだろう。
102話以降の作成をみんなまっとるよ。
期待age
244 :
('A`):2006/09/16(土) 00:29:56 0
支援あげぇ
245 :
('A`):2006/09/16(土) 03:18:40 0
>>168 のあらすじの続き。
第百二話:"喪ナリザ" >>184-
>>186 修学旅行のルーブル美術館で世界的名画『モナリザ』と「出会う」。
だが、『モナリザ』の様子がおかしい・・・
第百三話:"ク喪"
>>193-196 何気なく自分の足の上のクモを殺してしまう喪男。
宅配便が届くようになり、箱を開けると・・・・・
第百四話:"新撰組喪番隊"
>>205-207 >>209-212 【主演】近藤勇, 沖田総司, 沖田喪次郎, 喪臓, クルメ殿, 船頭
――喪番隊。 それは、歴史の闇に葬り去られた新撰組の隠れ部隊である。
本日も、隊内で陰謀が渦巻いているでござる。
第百五話:" アナザー喪男 "
>>222-224 フリーターの喪男が不思議な少年と出会い・・・・
第2章へ続く。
第百六話:"妄想の代償"
>>234-238 【主演】音楽プロデューサーT.Y
人生で一度だけ、自分の妄想を他人に見せることができる特殊能力を持つ喪男。
駅前のベンチで歌う貴女への妄想が紡ぐ夢・・・・・・
◆リレー小説:"喪ずく"
>>38-39 繁殖を目的とした謎の寄生生物が、誤って喪の体内に吸収されてしまった・・・
未完。続き書く人募集中。
246 :
('A`):2006/09/16(土) 03:20:02 0
■未完成お題リスト: 246まで
・1スレが過ぎたものは削除されます
・お題は随時募集中!
1-317 "盗まれた鍵"
1-319 "鋏"
1-339 "俺はモザイク" "喪服屋"
1-428 "ギボンヌ!"
1-429 "尾行" "大人の新学期" "動けない"
1-432 "喪擬店" "壊れかけのドア"
1-439 "うるさい喪親"
1-631 "オアシス"
1-655 "グレ喪リン"
1-678 "筋肉マン喪世"
1-680 "クッキー喪ンスター"
1-683 "猿"
1-687 "愛喪ーど"
1-742 "イマキ喪さん" "喪女さん屋さん" "ヲタ火" "雨の訪喪者" "喪プレイ"
1-831 "喪ーニング"
1-906 "喪クドナルド" "喪う一回…"
2-014 "素喪も喪も喪のうち(すももももものうち)"
2-084 "喪を呪わば穴二つ"
247 :
245-246:2006/09/16(土) 03:22:21 0
減ってきたので、お題有効期限を1スレに変更。
>>243 遅れてごめん。
あんまりにも頻繁に書くとうざいと思って、まとまってからにしようとしてた。
249 :
ミスった:2006/09/16(土) 03:25:54 0
>>168 のあらすじの続き。
第百二話:"喪ナリザ"
>>184-186 修学旅行のルーブル美術館で世界的名画『モナリザ』と「出会う」。
だが、『モナリザ』の様子がおかしい・・・
第百三話:"ク喪"
>>193-196 何気なく自分の足の上のクモを殺してしまう喪男。
宅配便が届くようになり、箱を開けると・・・・・
第百四話:"新撰組喪番隊"
>>205-207 >>209-212 【主演】近藤勇, 沖田総司, 沖田喪次郎, 喪臓, クルメ殿, 船頭
――喪番隊。 それは、歴史の闇に葬り去られた新撰組の隠れ部隊である。
本日も、隊内で陰謀が渦巻いているでござる。
第百五話:" アナザー喪男 "
>>222-224 フリーターの喪男が不思議な少年と出会い・・・・
第2章へ続く。
第百六話:"妄想の代償"
>>234-238 【主演】音楽プロデューサーT.Y
人生で一度だけ、自分の妄想を他人に見せることができる特殊能力を持つ喪男。
駅前のベンチで歌う貴女への妄想が紡ぐ夢・・・・・・
◆リレー小説:"喪ずく"
>>38-39 繁殖を目的とした謎の寄生生物が、誤って喪の体内に吸収されてしまった・・・
未完。続き書く人募集中。
250 :
('A`):2006/09/16(土) 03:37:48 0
251 :
('A`):2006/09/16(土) 12:36:31 0
どいつもこいつも乙な奴ばかりだぜ
001/004
喪にも奇妙な物語「喪クドナルド」
喪男のゼミは、毎週木曜日にミーティングがある。
全員の発表が終わるころには、時計の針は午後8時を超えていた。
連れ立って夕食に行くゼミ生達。今日はファミレスらしい。
見ないように、声をかけられないように、喪男は教室を出た。
一人暮らしをしている喪男はほとんど自炊をしない。
帰り道にあるコンビニで、明日の朝食と併せて買って行く予定だった。
「あれ?」
思わず声が出る。
そこには見慣れない店があった。
「こんな店があったっけ」
いつも使う道だが、はじめて見る。朝に通った時はあったろうか。
思い出せない。周囲にそこまで気を配っていない。
案内がある。喪クドナルド・ハンバーガー。
「聞いたことない名前だな」
どうやらファーストフード店らしい。店名と外装から察する。
「今日はここにするか」
この手の店は嫌いではない。
ガラス張りのドアを押し、吸い込まれるように中へと入った。
002/004
客はまばらに入っていたが、レジに並ぶ者はいない。すぐに注文できる。
カウンターに来て、メニューを眺めようとした。
瞬間。
レジにいた店員を見て、一瞬で意識を奪われる。
つやのある長い黒髪が印象的な女性だった。
切れ長の瞳に射抜かれて、喪男は立ち尽くす。
流れるような曲線の胸元にネームプレートを付けている。新堂良子。
冷たい印象すら、魅力のひとつになっていた。
まるで周囲の空気が、彼女によって浄化されているかのようだ。
良子の雰囲気に、喪男は静かに圧倒される。
「あ。あっ、つ」
妙な独り言をつぶやいていたことに気付いて、ようやく我に返る。
「えっとそのあの。注文します」
慌ててメニューを見る。
品揃えも値段も悪くない。しかし今の喪男に、そこへ頭を回す余裕はない。
「独身セット。飲み物はオレンジジュースのM」
目に付いた文字を適当に読み上げる。
良子は無言でレジを打った。商品名と値段が表示される。
財布を取り出す。金額を確認しようとして、不意にメニューが目に入る。
スマイル:20000円。
003/004
「ほえ?」
ますます不自然で情けない声が出た。
「スマイル。って」
ファーストフードとは思えない値段が、当然のように記載されている。
顔を近づけて見る。見間違いではない。
混乱が続く喪男をよそに、良子は淡々とレジを打った。
表示されていた金額に二万円が加算される。
「あっ」
声に出したせいで注文に取られてしまった。
「いやその、あ。今のはっす」
もう言葉にもならない。
「やややややゆ」
「ありがとうございます」
透き通るような声。
喪男の耳から入り、全身へと響く。
良子ははじめて言葉を発した。
身にまとう空気も姿を変える。
清浄さを保ちながらも、涼風のようなやわらかみを帯びていた。
「独身セット、オレンジジュースのMサイズですね。ご注文は以上でしょうか?」
おおよそ普通の店の普通の店員のような接客の文句。
あらゆる疑問は瞬時に去り、良子の笑顔だけが喪男を包んだ。
004/004
まだ良子と話がしたい。少しでも彼女の声が聴きたい。
「あっと。あ、いや。やっぱり無職セットにします」
「かしこまりました。独身セットを無職セットですね」
「ははははい。あと飲み物はアイスコーヒーで」
「はい。お飲み物をアイスコーヒーに致します」
精一杯の努力により、いくばかの言葉を引き出す。
高い夕飯になったが後悔はない。
良子はレジを精算する。喪男の手を包み込むように握って、釣銭を渡した。
「ありがとうございました。また、いらしてくださいね?」
地に足がつかない様子で財布をしまい、店を出る。
背後に並んでいた男の存在など気付きもしなかった。
だから、喪男は知らない。
次の客に、良子は今以上の笑顔を向けたことを。
喪男は知らない。
商品を渡す時に、メールアドレスの書いてあるメモを渡したことを。
喪男は知らない。
その男は、スマイルを注文していなかったことを。
喪男は、知らない。
「また来週も来よう」
足取りも軽く、幸せな帰途を歩いていた。
256 :
('A`):2006/09/17(日) 02:17:04 0
罪なシステムだな
257 :
('A`):2006/09/17(日) 19:37:45 0
258 :
('A`):2006/09/18(月) 11:31:20 0
作者町
ageageだぜ
「盗まれた鍵」
「どう話しても相手と話が噛み合わない。
いつも一歩踏み込めず、つまらない奴だと思われる。
そんな経験をお持ちですか」
閑散とした喫茶店。その男はいきなり話を切り出した。
いかにも胡散臭い状況。
事実俺は街角でこの怪しげな男に
「あなた、人生に行き詰ってるような顔をしていますね」と
身もフタもない言葉を掛けられ、そのまま強引に連れられてここに座っている。
宗教や自己啓発ゼミナールの勧誘に引っかかったような事態。
俺も馬鹿ではない。都会での自衛方法は十分に身に付けているつもりだった。
しかし目の前の男は風采こそ地味で弱そうなのに、
何か奇妙なほどの圧力を持っていた。
断る事はできなかった。
「…仰るとおりです。
知人程度なら居ますが、何でも語り合える親友など持ったことがありません。
元々女家族の中で育ったせいか、
異性はもとより同姓とのコミュニケーションさえまともにこなせたことがない」
俺は話しながら、見ず知らずの男に家族のことまで打ち明けたことに内心驚いた。
「そうですね。今はそんな人がたくさんいます。
…表面上では社会人らしく振舞いながら心の扉を硬く閉ざし、結果孤独になっていく。
現代人が精神を病む大きな原因のひとつです」
「はい。一人で生きていけるならいいのだけど、社会生活を送る以上
他人と連携を持つ必要がある。
心を閉ざし続けてきた、俺のような人間には辛い限りです」
まるで言葉を引き出されているかのように、
普段には考えられないほど舌が回る。
「心中察します。…そこでですね。ひとつ、面白い話があります」
男はそう言うと胸元を探る。
「これは、鍵…?」
「はい。『心の扉』という言葉がありますね。
誰もが持ち、時には開け、時には閉ざす扉。
扉ですから、鍵束も誰もが持っているのです。
人は無意識のうちに、必要なときに必要な鍵を取り出して、
自分の心の扉の一部分を開放する。
あるいは、手持ちの似た鍵を使って、
相手の心を無理やりにこじ開けることもできます」
「…鍵とは、何かの例え話…?」
「違います。本当に面白いのは、ここから。
心の扉なんて言葉は、普通は例え話です…、
しかし。私の鍵は、あなたの心の扉を開けることができるのです」
男は様々な形の鍵の中から一つを選び、
「これは、あなたがこの街にやって来た理由の鍵」
がちゃり。
そう言って、俺に向けた差し出した鍵を空中で回し、「開けた」。
「…俺は。…ぼくは、故郷が嫌だった。
あの街。何も考えずに止まった時間の中で生きる連中。
狭く煮詰まった人間関係の中で、
何も話そうとしない俺は、奴らの格好の餌食だった。
奴らは俺を虫呼ばわりし、疎外し、
虫に関連させたあらゆる嫌がらせをされた。
…だけど、家ではただの優等生だった俺は、
その事は親に言わなかった、言えなかった。
毎日が地獄だった。
街を出ることばかり考えていた。
だけど、ぼくの家は母子家庭だった。
自立は、彼女を一人にさせる事だったんだ。
街を出る時に母さんは余りに驚いて…錯乱して…
ムキになって罵り合って…、そして、」
がちゃん。
「もう結構です。辛い経験をされましたね」
突然に喋りすぎて、息が上がっていた。
男が手にした鍵を「閉めた」とき、溢れ出す言葉は止まった。
「…今のは…」
「これが、他人の心の扉をこじ開ける行為です。
まるで魔法のように話してしまったでしょう…?」
「信じられない」
「見ず知らずの人間に話してしまうような事ではない。
ご自分でも分かっているはずです。
私はこの鍵を使って、実際的に、あなたの心の扉をこじ開けたのです」
「どうして、こんな事をするんですか。
…僕の全てを暴いて、脅しでもするつもりですか」
「いやいや。そんな事はない。
実は私は慈善団体の者でして。
鍵束を、皆様にタダでお分けしているのです」
「鍵…、この鍵束を?」
「いえ。これは私のものですからね、差し上げることはできません。
鍵はあくまで一人一人、皆違うもの。オーダーメイドで作っているのです」
「どうして、そんなことを…?」
「私は一職員に過ぎませんから、詳しくは知りません。
しかし。タダで鍵を作って差し上げることができるのは、事実です。
条件は、鍵を絶対に失くさないことと、
年に1度、使用状況について簡単なレポートを提出いただくこと、それだけです。
詐欺などではありません。
この私の鍵を使って、確認していただいても結構ですよ?」
『あなたは、人の心も自分の心も開く事が出来ないと言った。
心とは厄介なものです。掴みどころがない。
けれど実際に形としてある鍵を使えばどうでしょう。
例えば、あなたの心の必要な部分だけ開けて、他には厳重に鍵を掛けて生きる。
それだけでも、随分救われるはずです。
または、他人の心の似た部分を、似た鍵でこじ開ける。
きっとあなたは、一生の友人を得ることでしょうね』
最後に男の言った言葉を思い出す。
俺は結局鍵を作ってもらった。
恐れる心よりも、求める心の方が強かった。
鍵を作る作業は思ったより簡単なものだった。
病院に呼び出されて、心理テストとCTスキャン、血液を採取されただけ。
数ヶ月して…俺に送られてきた鍵束、連なる数十の様々な形の鍵。
手に取ると、思った以上に軽い。
先が二股に分かれた鍵を取る…と、不思議な感覚がする。
「これはあの、街を出た理由の鍵…」
手にとるだけで心に刻まれるように、ひとつひとつが理解できる。
「これは…初恋の相手についての鍵、家族のことの鍵、幼いころの夢の鍵、
…思い出したくない記憶の鍵、本当に好きなことの鍵、嫌いなことの鍵…」
試しに、「初恋の相手についての鍵」を使ってみた。
自分に向けて、ガチャリ。回す仕草だけで思い出が一斉に蘇る。
…土曜日の昼下がり…、人気はなく…、
午後の陽がカーテンの外側を揺らしている。
小学生の頃。青白い空気の教室だ。
その日、僕と彼女は日直で一緒だったんだ。
彼女は近々、海外に引っ越すことになっていた。
早めのお別れ会も終わり、空白の時間を過ごしていたんだろう。
日直の仕事が一通り済み、終わったよと声を掛ける。
彼女は窓辺で、金魚の水槽を見つめていた。
「金魚。向こうの学校にもいるのかな?」
彼女はそう僕に言う。根拠なく答える。
「…そりゃ、絶対いるって!多分、すごくキレイなのがいるよ、外国だからさ」
「うん…」
水槽を見つめたまま、
僕は言葉を掛けることができない。
「だからさ。覚えていたいの。
いつでも思い出せるように…、今が最後だから、目に焼き付けたいんだ」
彼女は教室をぐるりと見渡して、
「大好きだったこの水槽も、その向こうに見える校庭も、
いつも賑やかだった教室も、静かなときの教室も、
クラスのみんなのことも、…キミのことも」
最後には僕の方を向いて、そう言った。
泡の音だけが教室に響いていた。
夏が始まるころの匂いと、透き通った水みたいな彼女の香り。
「絶対に忘れないんだ」
…僕も。
絶対に、忘れない。
がちゃん。
俺は鍵を閉めた。
この後は、ごくつまらない話…、
すぐして彼女が引っ越した事、友達の女子が泣いていた事、
手紙を出そうとした事、だけど、料金不足で返ってきた事。
その後、俺は急に恥ずかしくなって手紙を川に捨てたんだっけ。
彼女が外国から帰ってきたときにはすっかり大人びていて、
その頃、俺はもう、今とたいして変わらなくなっていた。
「…忘れたのかな?」
「俺は…、覚えていた」
そんな事ばかり考えてしまう。
鍵を全て手に取り、開けることはもうせずに、厳重に閉めた。
すると、嘘のようにコロリと眠ることができた。
久々の熟睡だった。
●長くてすみません 続きます
265 :
('A`):2006/09/19(火) 04:53:30 O
どっちかっつーと記憶の扉だな。
イイヨイイヨ〜
続きに期待
267 :
('A`):2006/09/19(火) 05:36:16 0
文章力が高い。
未完の作品多いけどこれは完結させてほしい。
268 :
('A`):2006/09/19(火) 21:21:06 0
てんてってっれ てんっててん
てんてってっれ てんっててん
269 :
('A`):2006/09/20(水) 23:58:15 0
続き町
270 :
('A`):2006/09/22(金) 00:01:30 0
街
271 :
('A`):2006/09/22(金) 06:01:35 0
銃喪男
喪男は世間ではいわゆる「ガンオタ」と呼ばれる、銃が好きな人間である。
その銃好きはやはり人並み以上で、喪の部屋にはお気に入りの銃を模したエアーガンがいくつも飾られいる。
銃を持つと、強くなった気がする。
喪は小学生の頃からいじめられっこだった。その反動からか、圧倒的な「力」を持つ「銃」というアイテムに憧れを持っていた。
「ああ、これがもしホンモノの銃だったら……!」
いつものようにエアーガンを使ってもいないのにメンテナンスしながらつぶやく喪。
そして彼の日課は、お気に入りのエアーガンを服の下に隠し持ち、外を出歩くことだった。
何のこともない、街を歩き回る単なる散歩だが、喪は銃を持っているという緊張感を楽しんでいた。
今は、いつものようにエアーガンを所持したままいきつけの小洒落た喫茶店でくつろいでいる。
喪は妄想をしていた。設定は「休暇を楽しんではいるが、常に銃の携帯は怠らないマフィアの若頭」といったところだろうか。
コーヒーに口を付ける。苦いのは嫌いだが、妄想にあわせてブラックを飲む。
「アニメイト寄ろうかな」 ここで「マフィアがアニメイト行くのかよ」とつっこんではいけない。
時は経ち、喪はアニメイトへの通り道である地下街を歩いていた。土曜日ということもあってか、人があふれかえっている。
その人の流れに合わせて歩いていると、前方から張り上げる声が聞こえる。そして人のどよめき。
「なんだろう……?喧嘩か?」しかし声は女性だ。声の中心では警察の制服も見える。
ガラガラガラッ 突然、足元に何かが転がってきた。
よく見慣れた形、黒い色をし、金属が擦れる音を立てて滑り出てきたそれは、見る限りそれは銃のかたちをしていた。
しかし良く出来たエアーガンだ。無意識にその銃を拾い上げる喪。……ズシリ。
「え?」
思わず声を漏らした。重量感とかではなく、モノ自体がはっきりと重い。今まで触ってきたどのエアーガンよりも重く、そして硬い。
喪は戸惑いを隠せないが、いつもの慣れた手つきでその銃の弾装を抜いてみた。
その弾装には見慣れたBB弾ではなく、真鍮色をした円筒形の物体が縦に並んでいた。
そして数メートル先の警察官が自分を指差して何か叫んでいる―。
喪は反射的に来た道を回れ右し、人ごみの中を逃げていった。
272 :
('A`):2006/09/22(金) 06:02:17 0
慣れないマラソンをして家に戻ってきた喪は、心臓をしばし落ち着かせたあと、その拾った銃をしげしげと見つめた。
銃を、特におもちゃであるエアーガン、モデルガンの方を熟知した彼が見れば、その銃がおもちゃでないことは一目瞭然だった。
ボッカリと開いた銃口、グリップは色あせた木、それ以外は全て金属。
色はよく見れば単なる黒ではなく、眺めていると吸い込まれそうな深いブルー色に染め上げられていた。
なにより弾装に収められた弾は、真鍮と鉛で出来た本物そのものだった。
そしてこの銃のモデル名は、見ただけで喪にはすぐに分かった。
ルガーP08
およそ100年前に作られた、ドイツの名銃である。装弾数は8発。しかしこの銃には5発しか入っていなかった。
銃からはうっすらと火薬の匂いがする。まさか発砲した直後だったのだろうか。
ここで喪はある欲求が募った。
「この銃を撃ってみたい……」
ルガー独特のトグルを引き、薬室に最初の一発を送り込む。部屋の壁に向かってそのルガーを構えてみた。
そして引き金にゆっくりと力をかけ……
バンッ!!
乾いた爆発音が耳に突き刺さり、目の前に煙が立ち込める。エアーガンやモデルガンとは明らかに違う反動。
目の前の壁には、文字通り風穴があいていた。
「……やっぱりホンモノだ、ホンモノを手に入れたんだ!」
喪はその夜は眠れなかった。実銃を手に入れた高揚感、そして究極の緊張感。それが喪を包み込んだ。
翌日、部屋のドアのチャイムが喪を起こした。
つづく
273 :
('A`):2006/09/22(金) 19:20:04 0
銃続き街
274 :
('A`):2006/09/23(土) 00:40:11 0
銃喪男 02
昨日の熱もやや冷め、学校も仕事も無い喪男が朝の惰眠をむさぼっていた中、ドアのチャイムが鳴った。
ピンポーン ピンポーン
意識が覚めた喪は夢うつつのまま服を着、ドアに向かって返事をする。
「あ、ふぁ、ふぁーい」そしてドアを僅かに開けると、
バタン! 向こうから勢い良くドアを開け放たれた。
ドアの向こうには、一人の女が立っていた。だがただの女ではない。目鼻立ちはクッキリとし、顎はすっと
絞られていた。
「ゴクリ……(美、美人だ)」
喪にとっては恐ろしく無縁な、今まで見たことも無い美形の女だった。ハーフだろうか?
しかしその美女は息を切らし、ウェーブがかったブルネットの髪は汗に乱れて、何か喪に向かって懇願して
いるような目つきだった。
「助けて!」
彼女から放たれた声も、喪を酔わせた。なんてきれいな声だろう……。
しかし喪は今の彼女の台詞に我に返った。
「え、助けてって……?」
喪の返事も聞かずに美女は玄関に上がりこみ、ドアを勢い良く閉め鍵を掛けた。
「ななぁ、たた助けてって何だよう」喪は突然の事態に困惑し、また昔からの女性への恐怖心から声が震えた。
「貴方が、助けてくれるって思って!」美女は意味不明な言葉を発する。
そして部屋の奥へと逃げ込んだ。
理解できないまま玄関で呆然としていると、外から人が走ってくる足音がする。しかも数人だ。
喪は覗き穴から外を見てみた。すると、その足音の主が自分の部屋の前で立ち止まる。
見た目は黒ずくめのトレンチコートを着た男たち。その一人がドアノブに手を掛ける。
ガチャガチャ!
鍵は掛かっているので開かない。喪はその男たちの外見にビクついている。
そして男が懐から「何か」を取り出し、「それ」をドアノブに向けた―。
275 :
('A`):2006/09/23(土) 00:40:48 0
バンバンバン!!
喪はビビった。しかし以前聞いたばかりの、聞き覚えのある音だった。
目の前でドアが開く。ここで喪は身を翻して、自分の寝床に走った。
目的は枕元にあるあの「ルガー」。夢ではなかった。その銃は枕元に今もあった。それを拾い上げ、ドアに向か
ってルガーを向ける。
同時に、男達が玄関から入ってくる。人数は4人。男達の手に持たれたものは、銃!
手元のルガーの残弾は残り4発、しかし戸惑いがあった。あの男達は誰だ?あの美女は?それにあいつらの
持っている銃は単なるおもちゃかも知れない。
視界の脇には壁が見えた。その壁には昨日このルガーで撃った穴があいていた。ああなりたくはない。
自分の額に、全身にあの風穴が開いたら?それはいやだ!
喪は引き金を引き絞った。
バンバンバンバン!
またしても轟音。慣れない音と閃光が顔に覆いかぶさる。
男達はバタバタと倒れこんだ。煙で視界が悪いが、それだけは確かに見えた。
「……」
静寂が訪れ、キーンという耳鳴りだけが残る。
「……終わった?」
横を見ると、机の下に隠れたあの美女が顔を出した。
「ああ……いや、始まったのかもな」
喪はかっこよく決め台詞を言った。
つづく
喪にも奇妙な物語「喪プレイ」
オープニング
喪男は机に突っ伏して寝ていた。
周囲の声は聴こえない。聞きたくもない。高校入学から3年間、ずっと続けていた習慣。
深夜までログインしていたネットゲームの疲れもあり、すぐに意識が薄くなる。
昼休みの教室は、活気のある声に満ちていた。
少しだけ振り返る。いつのころが楽しかったか。
小学生の時は、今とは違った。居場所があって仲間がいた。
居場所ではなかったかもしれない。仲間と思っていたのは喪男だけかもしれない。
夢も希望もあったように憶えているのは、美化されているからだろうか。
曖昧な過去の中で、ただひとつだけ確かなことがある。
あのころは美奈子がいた。だから楽しかった。
喪男にとって最初の、そして唯一の女友達。入学式で出会い、同じクラスになった。
隣町への引越しで美奈子が転校するまでの数年間は、本当に楽しい日々だった。
「昨日もあいつと朝までだよ」
嫌でも耳に入ってくる言葉がある。喪男の昼寝は中断された。
話しかけられたのは喪男ではない。背後の席にいる拓が、隣のかすみに言っていた。
拓のことは好きになれなかった。
蔑まれることには慣れている。いまさらなにも感じないが、拓は暴力まで振るってくる。
目を合わせたらまた殴られる。喪男は顔を上げずに聞き耳を立てた。
「順調に彼女を開発してるねぇ」
「そのうち学校に呼んで、倉庫に放置してみるか」
「うっわ鬼畜だ」
別の高校にいるという彼女との性生活を、いつも臆面もなく大声で話している。
地下倉庫のことは喪男も知っていた。ふざけた拓に閉じ込められたことがある。
外部から施錠できる鍵は職員室で管理されているが、倉庫自体が今は使われていない。
それをいいことに拓は合鍵を作り、遊び場として利用していた。
気に入らない。なにもかもが気に入らない。
学校の帰りに寄ったゲームセンターで、喪男はシューティングをプレイしていた。
不意に美奈子のことを思い出す。
違う。最後に会ってから数年が経つが、美奈子のことは常に憶えている。
だからこの高校に入った。この町に通いたかった。
ここは美奈子が引っ越した町だから。
他に女友達がいない喪男には、正確な住所が解らない。
どこの高校に入学したのかも知らない。また引越した可能性もある。
すべて承知していた。そして喪男は進学先を決めた。
学校内で、通学路で、文化祭で。どこかで美奈子を探している自分がいる。
あるはずがないと知りつつも期待していた偶然は、ついに起きなかった。
次の春で、高校生活は終わる。
ストーリー
次はどのゲームにしようか、それとも帰ろうか。考えながら店内をうろつく。
無理して選んだ高校は、家から少し遠い。
スコアは不調だった。帰宅してネットゲームを再開しようと思う。
家でも外でも、喪男のすることなど、喪男の居場所など、ゲーム以外にはなかった。
「あっ!」
唐突に声をかけられて、思わず身をすくめる。振り向いて、今度は喪男が唖然とした。
「喪男君!」
近くにある女子高の制服を着ているのは、あの美奈子だった。
どれだけ時が流れようとも、印象を見失うことはない。
待ち望んでいた奇跡は、3年後ついに訪れた。
少し立ち話をしたが、なにを言ったのかは憶えていない。
美奈子の驚きと喜びが入り混じった表情が、ただただ嬉しい。
喪男と同じく、美奈子もまた再会を喜んでいる。
3年間の高校生活は、おおげさでなくこの瞬間のためにあった。
涙目になる喪男。そのぼやけた視界に、別の人影が映った。
現れたのは拓だった。
「は? なにしてんのお前」
最高の時を邪魔された喪男は、目をこすって涙を拭く。
「拓君、喪男君のこと知ってるの?」
「知ってるっつーかその。ミナこそなんで」
会話を聞いて背筋が凍る。嫌な可能性が頭をよぎる。
美奈子は拓に、喪男のことを話した。
「それでね、さっき会ったところなの! びっくりした」
「へぇ」
拓は唇を歪めると、喪男に近付く。
「人の女に声かけてんじゃねぇよ!」
普段より容赦のない拳が、喪男の顔に叩き込まれた。
過去と現在が、理想と現実が、最悪の形で交差した。
殴られた顔とは別の痛みが、激しく喪男を襲う。
美奈子が、拓と。
いつも拓が自慢していた彼女との話。その相手は。
深い哀しみと絶望の中から、喪男に新しい感情が湧きあがる。
鬱積していた怒りと混ざり合い、どす黒い怒りとなって渦巻く。
喪男は知っていた。来週から二週間、拓には部活の海外遠征がある。
拓とその仲間しか知る者のいない地下倉庫は、しばらく喪男だけの空間になる。
半月という時間。秘密の城。そしてすべてを失い壊れた心。
狂気に操られた喪男の復讐が始まる。
希望が絶望に飲み込まれる感覚を、拓へ教えるために。
キャラクター
堺美奈子(さかいみなこ)
・女子高に通う高校3年生。裏表のない性格で男女を問わず人気がある。
・1年前の文化祭で、友人から拓を紹介された。
増田かすみ(ますだかすみ)
・喪男の同級生。喪男には生理的な嫌悪感を抱いている。
・男友達の拓が楽しそうに彼女の話をすることが、なぜか不満。
斎藤彰子(さいとうあきこ)
・喪男の同級生。学級委員という立場上から、よく喪男と拓に割って入る。
・本心は正義感でも同情でもなく、拓に近付きたいから。
山崎木乃葉(やまざきこのは)
・喪男の大学を卒業した大学生。控えめでおとなしい性格を、拓にからかわれていた。
・異性と接した経験の少なさもあって、拓に惹かれていた。
大内葵(おおうちあおい)
・拓の妹。兄とは対照的に純真無垢な性格。
・追いかけて同じ高校を受験するほどのブラコンで、血縁がないという噂も。
喪男(もお)
・高校3年生。
・趣味はゲーム。
大内拓(おおうちたく)
・喪男の同級生。成績優秀でスポーツ万能。
・素行の悪さが目立つが、問題を起こしたことはない。
プレイヤー
血の味がする。
口内に流れ込んできた鼻血で、喪男は我に返った。
同時に激しい痛みが襲ってくる。
殴られた顔と、ぶつけた頭が悲鳴を上げている。
「酷いよ拓君!」
美奈子が拓に抗議している姿を、夢でも見ているかのように眺めていた。
こんなはずではない。
美奈子は地下倉庫に監禁した。拓を取り巻く女達が、そこに集められている。
海外遠征が終わるまで、徹底的に調教する。
拓を忘れさせ、喪男のことしか考えられないようにする。
帰ってきた拓に、変わり果てた美奈子を見せる。
拓の悲痛な叫びを聴いて、喪男の復讐は幕を下ろすのだった。
流れた鼻血が口に入るまでの、わずか数秒のことだった。
喪男は美奈子を陵辱し、同級生や拓の妹までをも奪い取る。
奴隷へ変えるだけではない。美奈子達と、本当の恋愛ができる道もある。
無限に広がる喪男の復讐劇は、ただ一瞬の白昼夢だった。
喪男は笑った。
心の底から、おかしくてしかたがなかった。
泣きながら鼻血を流して笑う姿に、拓はたじろぎ、美奈子も怯えている。
「っくそ、キモい奴だな」
吐き捨てるように言うと、拓は美奈子の肩を抱き寄せ、足早に去って行った。
独り残された喪男は、痛みに耐え切れずうずくまる。
血と涙と笑い声は、まだ止まらなかった。
もうどこまでが妄想なのか解らない。
海外遠征は、地下倉庫は、拓の妹は、存在するのだろうか。
本当に美奈子と再会したのだろうか。
起き上がった喪男は、近くの筐体へとコインを入れた。
ゲームが開始する。
ただこれだけは、変わらない現実だった。
280 :
('A`):2006/09/23(土) 17:49:06 0
乙
281 :
('A`):2006/09/23(土) 20:36:05 0
■未完成お題リスト: 281まで
・1スレが過ぎたものは削除されます
・お題は随時募集中!
1-319 "鋏"
1-339 "俺はモザイク" "喪服屋"
1-428 "ギボンヌ!"
1-429 "尾行" "大人の新学期" "動けない"
1-432 "喪擬店" "壊れかけのドア"
1-439 "うるさい喪親"
1-631 "オアシス"
1-655 "グレ喪リン"
1-678 "筋肉マン喪世"
1-680 "クッキー喪ンスター"
1-683 "猿"
1-687 "愛喪ーど"
1-742 "イマキ喪さん" "喪女さん屋さん" "ヲタ火" "雨の訪喪者"
1-831 "喪ーニング"
1-906 "喪う一回…"
2-014 "素喪も喪も喪のうち(すももももものうち)"
2-084 "喪を呪わば穴二つ"
282 :
('A`):2006/09/23(土) 20:50:16 0
今度放送予定の『世にも奇妙な物語 秋の特別編(仮)』(2006年10月2日 21:00〜23:18)
のタイトルより
お題
つ "昨日喪公園" "喪会議" "喪が恩返し" "喪部長" "鏡子タン"
まだ、仮タイトルだけど放送前に妄想を膨らませて頂きたい
283 :
260:2006/09/24(日) 01:46:59 0
●続き書きます
生きる事は苦痛だ。
アルバイトの時間が近づくたびにそう思う。
しかし、今日はすこし違うのだ。
厳重に締められた心の扉は、ちょっとやそっとで揺らがない。
「おはようございまーす」
「…はよっす」
「…」
バイト先のコンビニ。
いつになく声のトーンが高い朝の挨拶に、同僚の後輩が怪訝に俺を見る。
店長は横目でちらり。
棘を刺すような態度も気にならない。まるで傍観者のような気持ち。
アルバイトは人の多い時間帯だけ3人で対応する。
といっても今日のように天気の悪い日は客足も遠のき、雑談も増える。
俺はこの雑談って奴が大苦手だった。
何の話を振られても困る。全くついていけない。
よって必然、孤立する。その居心地の悪さ。
「でさあ。そのAV女優がさ、凄ぉおおおおく不細工なわけ。
もう何に例えたらいいのか…、フットボールアワーの岩尾?」
「岩尾っすかww、店長そりゃ嘘だぁ、ありえねッスよ!」
「いやマジマジ!今度貸したげるから、本当ありえないんだ」
「勘弁してくださいww、あ、先輩いいじゃないっすか、借りてみたら?」
で、こういう話題を振られると特に困る。
大体突然振られるとは分かっていないから、ワンテンポ遅れて「あ、俺、」と言う頃には
「え〜?彼にぃ?彼はさぁ、コドモ好きだからぁ」
「ははww、相変わらず先輩ロリコンだ」
「森山クン、店内でそんな言葉いっちゃだめだぁ、
お客さん入ってきたらさぁ引いちゃうからさぁ」
284 :
260:2006/09/24(日) 01:48:04 0
この間2秒。そもそも入れる余地がない。
断じて言うが俺はロリコンではない。初級〜中級の2次コンだ。
話は半月前に遡る。
店にやって来た幼女が、プリキュアのTシャツを身に着けミックスコミューンを熱心に弄り
フラッピとチョッピのキュートな音声おしゃべりが聞こえてきたので、
俺はつい注視してしまったのだ。
その視線をどう勘違いされたのか、今や腐れペドの仲間入り。
事あるごとに揶揄され、いくら辞めてやろうと思ったか。
…そうだ。どうせ辞めるなら、「暴いて」からでも遅くない。
俺がロリコンであると言うのなら、お前達は何なのか。
胸中の鍵をそっと出す。
「森山君、えーと。そういう君は、ほんとの所どんな性癖なの?」
「へ!?何言ってんすか突然」
店長が眉をしかめて俺を見る。
「ちょっとぉ。何なんだよ普段はウンともスンとも喋らないのに、
いきなり失礼じゃないのぉ」
「何だっけ変な空気ww、いや俺は巨乳好きっすよ。ちょっと熟女入ってるかもww」
「それ、ホント?」
「…何なんすか。言っときが、あんたみたいな変態とは違うよ」
「ロリコンじゃないけどね俺は。まあいい、俺を見ろよ」
「…あ、いらっしゃいませぇ!ほらお前、バカ!お客さんだぁ」
「何睨んでんだよ、きめぇ」
右手には鍵。この鍵が彼の性癖を暴く。
285 :
260:2006/09/24(日) 01:49:11 0
がちゃり。思いっきり開けた。
「俺は普通の趣味だっつってんだろ。普通の趣味だって…、
普通の…、普通…、不通…、便秘がね、
あれ?なんだ?俺、いや、
…最高だよなぁ便秘だったら!俺も彼女も大好き、スカ、それで知り合ったんだよ!
なんたって俺は大が好きだね、浣腸入れてギリギリまでクンニしてやって、硬いのが一気にブバァッと来るんだ!
あれ、なんだ糞ッ!…糞、いいんだよなぁ、俺はもう女の顔一目で分かるよ、
そいつの糞のパフォーマンス。あの客は怪しいな、腹張ってて、まさに臭ぇ、いいモノ貯えてる!
へへへwww、あんたひり出してくれよこの店の便所でさ、昔から掃除当番の日はウキウキしてさ!」
怯える客。うろたえる店長。狂ったように持論を説く森山。
「ちょ、ちょ!な、何言ってるんだぁ森山クン!お客様すみません、ちょっと錯乱していまして!」
「そうだ、あんたの性癖も聞かなきゃな」
がちゃり。
「何ださっきから!お前いったい何を…、な…、やめろぉ、
お前、あなたさっきから…、
…アタシの森山クンに何をするのよぉ!
イヤッ!アタシを…暴かないでぇ、もっとロマンティックな状況で言おうと思ってたのに…
そうよ!もう打ち明けちゃう、森山クン、あなたみたいなタイプが好き、大好きなのぉ!
そのがっしりとした首、若くしなやかな身体のライン、プリプリしたオケツ、
中腰になってるアナタを見て、どれだけバックで突かれたいと妄想したかしら、
あたしを抱いてッ!うんちなら、いくらでも出してあげちゃう、ねぇ、もう構わないわ、ここでキスしてぇ!」
286 :
260:2006/09/24(日) 01:50:09 0
叫ぶ客の尻にしがみつく森山、その尻にすがりつく店長、
もう無茶苦茶だ。
鍵が、ここまで効果のある代物だとは思わなかった。
鍵を締め、呆然とする2人、客は逃げ帰り、代りに警察がやって来た。
2名連行。
やがて雨は上がり、おかげで俺は、
増援が来るまで殺人的な仕事量を一人でこなすハメになった。
翌日から2人はやって来なかった。
店を変えられたか、それとも、辞めさせられたのか。
あの鍵は予想以上に危険だった。
これからは安易に使わないようにしようと思う。
287 :
260:2006/09/24(日) 01:50:51 0
代理でやってきたのは、新しい店長と若い女性。
「それでは、慣れないうちは色々聞かせてもらうけど、よろしくね」
「お願いしますね、先輩」
新しい2人は落ち着いた大人という感じの店長と、
マジメで優しそうな女の子だった。
鍵のおかげで心に余裕が出たせいか、
第一印象、いい人が来たなぁと素直に思える。
「先輩、この商品はここでいいですか?」
「あ、それ売れ筋だから。一番上でお願い」
明るい対応。丁寧な仕事態度。
いい感じだ。
「さて、もうこんな時間か。しばらく奥で休んでていいよ」
「店長、いいですよ、俺残りますから」
「大丈夫。丁寧に教えてくれたからバッチリだよ。
ここは任せて、2人で休憩しておいで」
288 :
260:2006/09/24(日) 01:52:51 0
休憩室で2人。
「先輩、お茶入れますね」
颯爽と立ち、戸棚に向かう彼女。
「いいよ、俺がやるから。分かんないだろ?」
「私、こういうの探す嗅覚があるんですよ。
あ、コーヒーだ。紅茶も…、シュガーとホワイト…、あった。
先輩、コーヒーと紅茶、どっちがいいですか?」
「…コーヒーで」
「分かりました!あ、コップだけ、どこか教えてくれますか?」
みるみるうちに準備をすませる彼女。
インスタントだけど、ドリップの仕方が堂に入っている。
すぐに2人分のコーヒーが用意された。
「先輩、この店長いんですか?」
テーブル向こうの彼女が質問する。
「まだ1年半くらいかな」
「あ、それじゃあやっぱり先輩ですね。
私、前の店では半年お世話になってました」
「前の店はどこだったの?」
「一駅向こうの、市役所の前のお店です。
いい所でしたよ、人も、環境も」
「へー。全く、いきなり飛ばされて…、災難だね」
原因は俺だ。
「いきなり異動を聞いたときは驚きました。
…けど、先輩も店長も、優しそうだから。安心しました」
「はは、店長は優しそうだね」
「そうですねー、すごく包容力が感じです。
先輩も、私ミスばっかりなのに、優しく教えてくれました」
289 :
260:2006/09/24(日) 01:53:57 0
いい子だ。
ここでかつての俺なら、虐げられた記憶から猜疑心が鎌首を上げ
こいつぁこうは言いながら裏ではキモッ、さっさと帰ってまんこまんこ、
と思っているに違いない、とドロドロの精神状態になる訳だが、
それらをしっかり施錠した俺は素直に彼女を評価できる。
「ところで先輩、おいくつですか?」
「俺?23だけど」
「そうなんですか!それじゃ、同い年だったんですね」
「ほんと?なんだ、じゃあ先輩じゃなかったね」
「やっぱり先輩ですよ。私まだ、半年だもん。
そっかぁ、同級生かぁ」
と言って、なぜか嬉しそうな彼女。
生まれが同年代というだけで編み出される連帯意識。謎だ。
「さて、そろそろ店長と交代してくるよ」
「あ、私が…」
「初日で疲れたろ?店長とも一度話したほうがいいし、座ってて」
「すみません。それじゃお言葉にお甘えして」
一人でレジに立っていた店長と替わり、レジに立つ。
こうして休憩時間を譲り合うのも、今まではなかったことだ。
客がまばらな時間は、たいてい一人でレジに立たされていた。
店長が心配りできる人間だということがよく分かる。
休憩室から談笑の声が聞こえる。
さて、ここで以前なら、俺がまともに話せないのに奴らは
軽々と楽しげな時間を過ごせる、俺は何なんだ、存在価値とは何か、と
自意識の牢獄に囚われている訳だが、今は大丈夫だ。
けれども。
あれだけ渇望していた和やかな会話に、特に感ずることがないこと。
会話をしていても、心はここになく、離れたところで見ているような。
そんな醒めた感覚が、寂しくはないが…、少し不思議だった。
290 :
260:2006/09/24(日) 01:55:24 0
「おはようございまーす」
「先輩、おはようございます!今日、いい天気ですね」
「おはよう。そうだねぇ、外、ポカポカしてるね。
こんな日はツーリングでも行きたいなぁ」
「店長ダメですよ。バイク、免停食らってるんですから」
「…あ、うーん」
「あはは先輩、それ禁句です」
数ヶ月が過ぎる。
職場はすっかり和やかな雰囲気だ。
新しい同僚の性格も、少しづつ掴めてきた。
「ほんっと災難だよなぁ…、
200キロオーバーたって無人の田舎道なのに」
「いやいやいや。店長、ゲームでも200は中々出ないですよ」
普段は穏やかだけど、バイクに跨ると性格の変わる店長。
「あははは。あ、ところで先輩、お貸ししたビデオ、どうでした?」
「渋いねえ。小鹿刑事が葉巻をふかす度にゾクッと来たよ」
見かけに似合わず、昔の刑事物が好きな後輩の女の子。
そして俺はどんな人間だったのか。
鍵はずっと締めたままだった。
何を聞かれても、俺の趣味や意外な一面は出てこない。
ごくつまらない人間。
しかし、それでも以前のように孤立することはなかった。
同僚の彼らは、俺を俺として認めてくれる。
俺も、個性豊かな彼らを受け止めることができる。
何もないから。
だからこそ欠落や、劣等感を感じない。
それを充実、というのかもしれないと思うようになった。
291 :
260:2006/09/24(日) 01:57:10 0
少し遅れた昼食は、店長を店番に、俺と彼女が先に済ませる。
いつもの和やかな昼下がり。
「先輩、今日のコーヒーどうですか?」
「え?そういえば、なんだかすっきりしてるね」
「ふふ、美味しいですね。水出しですから」
「あ。昨日、店長にもらったコーヒーメーカー。試したんだ?」
「はい。私もコーヒー大好きだから、 店に置いてくれて嬉しいです」
昨日は俺の誕生日だった。
店長からはコーヒーメーカー。せっかくなので、店の共用にした。
彼女からは「寝る事が趣味だ」という俺に、安眠用アロマテラピーのセットを貰った。
誕生日を誰かに祝ってもらえること。
もしかして、家族以外では初めてだったかもしれない。
「そういえば、誕生日はいつなの?俺もお返ししなきゃ」
「え、いいですよ、そんな」
「せっかくプレゼントもらったんだから、
返す事も楽しみのうちだよ。俺も、店長もさ」
「…なんだか、逆に催促しちゃったみたいですか?」
「ははは」
「私、10月10日生れです。八方美人のてんびん座ですね」
「…10月10日?」
10月10日。
その日に何かがひっかかる。
俺にとって、重要な日付だ。
…思い出すことは、当然できない。
「あの…先輩、どうしたんですか?」
「あ…いや。体育の日に生まれたんだね」
「そうなんですよ。小学校のころ体育祭がその日で、
みんなクタクタだから、パーティとかぜんぜん無かったんですよねー」
292 :
260:2006/09/24(日) 01:58:24 0
家に帰り、久々に鍵の束を握り締める。
彼女の名前。
同い年だということ。
10月10日。
届かなかったバースデーメール。
がちゃん。
…全て思い出した。
彼女は、俺の初恋の人だった。
293 :
260:2006/09/24(日) 01:59:40 0
10月10日。
初恋の人の誕生日に、彼女は目の前にいた。
「おめでとう。コレ、プレゼントね」
店長が彼女にあげたものは、どこから手に入れたのか、
古い探偵ドラマの助演男優のフィギュア。
「わぁ!し、渋い!店長、探してたんですよ、コレ!
どこで手に入れたんですか?」
「いやははは。その筋で」
「わぁ、葉巻付きだよ。…すっごく大事にします!」
「やはは。そんなに喜んでもらえると、嬉しいなぁ。
ほら、彼も何か用意してたよ。きっと、すごくいいもんだ、うん」
「あ…えっと。俺のは、後で渡します。
お昼、少しいいかな。そこの公園行こうよ」
「公園…ですか?」
「ああ…、ちょっとここでは恥ずかしいから」
「え…と」
「あー。さては、よっぽど乙女チックなプレゼントだな。
うんうん。気持ちは分かる、店は任せてゆっくりしてきなさい」
「…駄目かな」
「…いえ。じゃあ、お昼に」
その日の午前中の仕事は、少しいつもとは違う。
彼女は、きっと何か察しているのだろう。
294 :
260:2006/09/24(日) 02:00:50 0
鮮烈な空気。
体育の日とあって、公園ではジョギングをする人を多く見かける。
「先輩。ここ、空いてます」
ベンチに2人で腰掛ける。
食事は毎日共にしているのに、すこし違う感覚。
会話はない。
「あー、…秋だねえ。あのケヤキ、もう随分黄色いな」
「あー…、黄色いですねぇ。右の木の、倍くらい」
少し間の抜けた会話。
食事が終わる。
「あの…、先輩。コーヒーです」
「ありがとう」
また、黙々と飲む。
「ごめんな。こんな所呼んでさ」
「いえ。ただ…」
「ただ、何?」
「店長を待たせて、悪いなって」
「…」
「ごめんなさい!けど…何だか、これって…」
紙袋を探って、丁寧に包装したそれを差し出す。
「プレゼント」
「先輩…」
「開けてみてくれる?」
「…」
295 :
260:2006/09/24(日) 02:02:10 0
出てきたのは小さな箱。
その中には…
「これ…、風鈴…?」
金魚の絵柄が入った風鈴があった。
「金魚、好きだったよね」
「金魚は…好きです。
けど、どうして先輩が知ってるの?話した事はない…」
「ずっと昔…小学生の頃、
君はいつもクラスの金魚の世話をしていた」
「…!」
「普通、女の子はあまり水とか触るのが苦手だったから、
その姿はよく覚えてる。
夏休みにも毎日毎日世話をしに出かけていたらしいね。
けれど、あれは秋のはじめだったか。
君は、家族の都合で転校することになった。それも、ずっと遠くへ」
彼女はただ風鈴を見つめて。
「どうして…それを知ってるんでしょうか」
「そんな彼女の事を忘れられないバカがいてさ。
みんな嫌がってた金魚の世話を受け継いだ。
で、手紙を書こうと思ったんだ。彼女の誕生日に。
彼女が、金魚のことを心配していると思って。
俺がちゃんと世話しているから、ってね。
向こうの国はすごく暑いらしいから、金魚の柄が描かれた風鈴といっしょに」
296 :
260:2006/09/24(日) 02:03:48 0
「…私は、そんな手紙を知らない」
「バカだったんだ、本当に、…俺は。
封筒に無理やり小さな風鈴を入れて、ギリギリでポストに入れた。
50円切手をありったけ貼り付けてね。
そんな手紙が届くはずがない。
返信されて戻ってきたとき、
切手を勝手に持ち出した事で凄く怒られてさ。
手紙とプレゼントは…捨ててしまったんだ」
沈黙。
ジョギングの一団が前を通り過ぎる。
取り残されたようなふたり。
「…金魚は、その後どうなったんでしょうか」
「ちゃんと世話したよ。
だけど…、君が再び戻ってくるころには、みんな死んでしまった」
「それは…良かったです。
ありがとうございます」
彼女が立ち上がる。
その手にプレゼントはない。
「どうして、受け取ってくれないんだ」
「先輩」
「…」
「私、このプレゼント…受け取れません。
そんな資格は、無いんです」
「資格なんて関係ない」
「あるんです。
私…、先輩として、かつてのクラスメイトとして、あなたの事は好きです。
だから…、打ち明けます。
私、店長のことが好き。この数ヶ月間、ずっと見てた。
だから、先輩の気持ちには…」
297 :
260:2006/09/24(日) 02:04:38 0
「違う!今は、好きとかそんな事を言ってるんじゃない。
君に、あの日渡せなかったものを渡したかった…それだけだ。
ずっと後悔していたんだ、君が帰ってからも、
いくらでもチャンスがあったのに渡せなかった事…
俺は、それを取り戻したかっただけなんだ!」
「先輩!…勝手に、人を美化しないでください。
それ以上昔のことを思い出させるなら…私は、あなたを嫌いになってしまう」
嫌い。
言葉に、心が疼く。
心の扉の隙間から、感情が漏れ出すのが分かる。
「嘘だ!あの日のことは、美化なんかじゃない。
俺は、はっきり覚えている。君は、俺のことを絶対に忘れないって言った…」
「…知らない」
「いや!君は、きっと覚えている!」
「知らないって!」
「思い出させてあげるよ、君の、初恋の人」
あの日の思い出の鍵。
初恋の人の思い出の鍵。
それを握り締めて、回した。
298 :
260:2006/09/24(日) 02:05:52 0
「…私。大好きな人がいた。
…あれ、どうして…、話してるんだろう。
彼は、毎日金魚の世話ばかりして、ヘンな奴だって思われてた私を
ただ一人認めてくれた人だった。
みんなは、私のこと避けてた。
男の子は、みんな。女の子は、形だけの友達を除いて、みんな。
…彼は、夏休みに教室に来ると、いつもいた。
私が不愛想なのは照れ隠しだった。
そんな生意気な私に愛想をつかさずに、見守ってくれたあの人…」
…あれ?
…知らない、知らないよ、そんな人。
…ぼくは、夏休みには、ずっと家にいた。
「私が好きだった人…、先生のこと。
いつも飄々としていて、だけど、すごく包容力があって、優しかった。
水槽の掃除が終わると、お前は本当に優しいな、って褒めてくれた。
それが嬉しくて、毎日毎日学校へ通っていたのかもしれない。
海外への引越しが決まったとき、嬉しさと悲しさが半分ずつだった。
クラスの居心地は悪かったけど、先生と別れるのは辛かった。
あっという間に日は過ぎて、引越しは目の前…、
それで…、先生に告白をした。
好きです。
今は無理でも、…大きくなったら、付き合ってください…、
バカだよね。
当然、断られた。
きっと大きくなったら、他に好きな人ができるよ。
君は優しいけど、寂しい子だ。その時には、たくさん甘えなさい。
彼はそう言った。
彼の腕の中で、思いっきり泣いた」
299 :
260:2006/09/24(日) 02:07:39 0
…知らない。そんなの、全然知らなかったよ。
…先生なんて。…ばかじゃないのか。
…ぼくは、ずっと君を見続けてきた、あの日だって…
「…先輩、ごめんなさい。
実は私、あなたの事…大嫌いだったの。
あなたの視線が気になった。
いつも、世話をしてるときばかり見て、ああ、変な奴だと思われてるんだなって。
…何も気付いてなかったんだね。
あの日…確かに思い出せるよ。
泣いて、泣いて、結局捨てられたんじゃないかって。
バカみたいにしてた金魚の世話も、みんなに不気味がられただけで、
何の意味も無かったんだって。
最悪の気分だった…、こんなの、忘れてたまるかと思った。
意地を張って失敗するなんてコリゴリだった。絶対に忘れないって」
『…キミのことも』
『絶対に、忘れない』
鍵を閉じる。
300 :
260:2006/09/24(日) 02:09:34 0
全ては、彼女の言うとおり。
俺の記憶は、盗まれていた。
誰に?
自分自身で?都合のいい部分だけ?
「先輩。…どうして、こんなに話してしまったのか…
分からないけど、理由は聞きません。
私、最低だから。
…いまの先輩のことは本当に好きです。
できたら…すごい、我侭なんだろうけど、
今までみたいな、あったかい関係でいたい。
だから…受け取れません。ごめんなさい。
…あはは。
店長、待ってるだろうから、先戻りますね…」
今の俺が好き。
何もない、この俺が?
そうやって。八方美人で切り抜けて。
また、お前は俺の心を奪っていく。
…打ち明けることで、俺の記憶の鍵は、
何より大切で、何10年と守り続けてきた鍵は、
盗まれ、用意に砕かれた。
寂しい感情に連なること。
やりきれない感情に連なること。
全て厳重に閉じたはずなのに、たまらなく寂しくて、やりきれない。
鍵を取り出して、滅茶苦茶に閉める。
心に響く異音。
なんだ、鍵って折れるんだな、こんな簡単に。
301 :
260:2006/09/24(日) 02:10:54 0
俺はそのまま、家に向かっていたのだろうか。
誰か、おかしな人間が立ちふさがっている。
「おい…てめぇ。止まれや」
誰だよ。
「おら、覚えてっか。久し振りだなぁ?
俺だよ。も・り・や・ま。出てきたら、まっ先にボコボコにしようと思ってたぜ」
もりやま?知らねぇ。
「っけんなコラッ!」
腹に蹴り。
「お前がッ!妙なことしたせいでッ!」
顔に膝、2発、あ、3発、
「前科付くわ、振られるわ、内定も消えて、俺の人生さぁ、ボロボロだ!」
おいおい。頭はまずいよ、マジで…
「なめんなッ!死ね、マジ死ね」
人が集まる。
「ちッ。いいか。元店長の変態親父も、お前殺すってよ。
俺も殺し続ける。逃げんなよ、コラ」
朦朧とする頭。
痛みって、鍵で締められないもんかな。
…さすがにそれは…、なかったな。
302 :
260:2006/09/24(日) 02:12:36 0
その日の夜、俺は故郷へ向かう電車に乗った。
これ以上殴られてたまるか、というのも一つ。
そして、俺にはもう何一つない、という確かな予感。
店長や彼女から電話があったけれど、面倒なので切った。
本当にいい人たちだ。
普通、見捨てる所だろ?そこはさ。
故郷はそこにある。
きっと変わっているだろう、故郷。
造りの新しい駅前デパート。
閑散とした住宅街。
賑やかだった思い出は、きっと心の底に眠っている。
白い校舎と、大きな体育館が建つ小学校。
田舎らしい悪趣味な飾り付けの花壇。
何もかも身新しいのに、我が家への道を覚えているのはどうしてだろうか?
鍵を与えた男に、レポートで報告すべきだろう。
この鍵はまだ不完全だ。
303 :
260:2006/09/24(日) 02:13:16 0
ぼろぼろの家の前で立ち止まる。
庭から溢れるゴミの山、更に誰かが捨てただろう空き缶や生ゴミ。
それは間違いなく我が家だった。
ベルは鳴らなかった。
中に入る。
足の踏み場もないゴミの山。
「母さん」
子供をあやすおもちゃや通学用品が積まれた部屋。
母はその中にいた。
うす汚い椅子に掛け、ゴミの女王さながらに。
「帰ってきたよ」
彼女は答えない。
「8年前に飛び出た息子だ」
彼女はそれを聞くと、肩をすこし震わせて俺を見た。
304 :
260:2006/09/24(日) 02:16:01 0
「…おお。おお…」
恐ろしく見開いた目から、涙が零れ落ちる。
「戻ってきたんだね…ああ。
信じてたよ、あの人でなしに裏切られたのは、
あの男がどうしようもないクズだから。
けど、あんたは私の子だ…、裏切れるはずがない、
ずっと戻ってきてくれるって、信じてたよ…」
痩せこけた母。
俺が盗んだ8年間。
たった8年の歳月が、人をこんなに変えるのか?
裏切りと孤独が、ここまで人を追い詰めるのか?
彼女が手を伸ばす。
ボコボコに歪んだ俺の頬に手をやり、両手で抱きしめる。
「…そうだ、こうやって抱いたわね、
あんたがこの家を出たとき、こうやって抱きしめた。
一人でもちゃんとやって来なさい、
あんたは立派な息子だって。
本当に、約束通り立派になって帰ってきてくれたのね…」
305 :
260:2006/09/24(日) 02:18:10 0
その記憶。
母さんもまた、作り変えている。
彼女はが差し伸べた手。
それは、俺の首に掛かっていた。
俺もまた、彼女の心を盗み、作り変えさせたのだ。
真実の鍵は、今俺の手の中にある。
「…うん、母さん。俺は戻ってきた」
「そうだね。そうだね…」
「けど、俺はもう、あなたの息子じゃない」
「何を言ってるの。
息子じゃないか。たった一人、血を分けた家族…」
「ごめんなさい。本当に、今までありがとう…
さよなら、母さん」
「な…何を言ってるの。悪い冗談よね、悪い冗談…」
がちゃん。
手にした鍵。
家族の記憶。
母に向かって、その鍵を閉めた。
306 :
260:2006/09/24(日) 02:19:24 0
「…何、ここ」
「正気に戻られましたか」
「分からない。…あなた、どちらの方?
…この部屋、何なの?私…、」
「市役所の者です。
あなたは、長い夢を見続けていたらしい。
…後は任せてください。ゆっくりと療養して…、
全てはそれからだ」
心の鍵は盗まれた。
鍵ごと、記憶ごと、全てが壊され、もう取り戻すことはできない。
誰が?
鍵を形にしたあの悪魔のような男?
それとも、俺の美しい思い出の鍵を奪い砕いた彼女?
いや。
選び、自分自身の記憶を盗み、さんざんに愛撫し、
挙句の果てに壊したのは俺自身だ。
母さんの記憶を鍵ごと、もう開けることができないように、
全て盗み隠したのも俺だ。
最後のレポートとともに、俺は鍵を送り返した。
「この鍵は不完全です」と、一言だけ添えた。
俺はこれから、平穏に生きるだろう。
あらゆる絆、あらゆる苦悩から切り離された人生だ。
けれども、たまに漏れ出すこともある。
ゴミ屋敷を掃除していると、処分したはずの風鈴が出てきた。
古ぼけた、安っぽい風鈴。
それを手にして、俺はほんの少し涙を流した。
喪にも
大
可妙な
物 語
308 :
('A`):2006/09/24(日) 03:16:24 0
乙でござる
309 :
('A`):2006/09/24(日) 19:43:21 O
職人待ち
310 :
('A`):2006/09/25(月) 04:41:08 0
街
311 :
('A`):2006/09/25(月) 04:51:04 O
次は誰だ・・・!?
312 :
('A`):2006/09/25(月) 04:51:25 0
銃喪男 03
「なぜ、ボクのところに来たんだ?」
喪は男たちから奪った銃から弾を取り出し、空になった自分のルガーへと装填する。
「貴方、凄腕の何でも屋なんでしょう?私あいつらの組織に狙われているの。だから私を助けて」
初耳だった。
「ボボクはそんなこと知らない。人違いじゃないの?」
「でも貴方、銃を持っているじゃない」
喪は単なるアニオタのガンオタでしかなかった。現に今持っている銃もつい昨日偶然手に入れたもので、
また人を殺したのも初めてだった。
「とにかく命を狙われているなら、警察に行こう。警察なら君を守ってくれるさ」
結果として喪と美女は警察と組織の両方から追われることになった。殺人と銃刀法違反の罪で。
喪男達は海外に高飛びすることにした。船を操業している運び屋と名乗る男が手引きしてくれた。
そして成り行きで共に逃げている2人の間には、いつしか恋心が芽生え始めていた。
喪と美女が高飛びする船内の荷物置き場の隅に隠れていると、美女は喪の手をとって、過去のできごとを告白した。
「実は私、昔は外見は違ってたの。いつも部屋に引きこもってアニメとか見て。髪の色もこんなんじゃなかった。
貴方と会った前日、私は鏡を疑ったわ。自分で言うのもなんだけど、でも前よりもすごくきれいになってて。
夢を見てると思ったわ。そして黒服の男達が来た。私は必死で逃げて、貴方のことをふと考えたの。
貴方なら助けてくれるって。何でか分からないけど、そう確かに思ったから」
美女は加えて、「こうあって欲しいと考えていたかもしれない」と言った。
喪は、ホンモノの銃が欲しいと心の底から願っていた。
喪は、美女に語った。
「不謹慎なことかもしれないけど、今キミといてとても楽しいんだ。一緒に逃げて、銃を撃って。人も殺した。でも
その人の命を奪うことでボクと、もしかしたらキミも生き永らえるんだ。そう考えれば、今は特別不幸じゃないんだ・って
思えるんだ。そしてボクもキミみたいなすごくきれいな人と、一緒に逃げたりしたいって思っていたのかもしれない。
だからボクと一緒にいてくれないか。キミさえ良ければ……」
喪と美女は、互いに手を取り合った。
そういえばこの銃は前の持ち主がいたはずだ。たしか声は女だった。彼女は今どうしているのだろう。
もし喪が、美女が今回のことを願っていたのなら、銃の女もまた何か願ったのだろうか。
喪にも
大
可妙な
物 語
313 :
('A`):2006/09/25(月) 05:50:24 O
オチがつまらん
引っ張った意味がわからない
314 :
('A`):2006/09/25(月) 06:51:09 0
>>260 文章と構成GJ!
ありがちな展開に見えてそうじゃないとこがいいよ
>>銃喪男
前の持ち主なんて言及してたっけ??
てか、その女は中2病ですかね
315 :
('A`):2006/09/25(月) 07:55:57 0
>>313 自分的にはがんばったつもりだけど、つまらないといわれたら悲しい気持ちになったよ。
書いてごめんね。もう書かないようにします。
>>315 俺は面白かったよ。
オチは少し弱かったと思うけど十分に楽しめたよ。
まだ未熟な感じはしたけどこれから先も書き続けることでどんどん文章力やストーリーの構成も巧くなっていくだろうからこれからも書いていって下さい。
また新しいの出来たらうpってくださいな。
317 :
前スレ620:2006/09/25(月) 21:25:44 0
>>315 投稿、乙 ( ・∀・)ノ
俺も自分の作品を叩かれたことがあるから、あんまり気にしない方がいいよ。
自分の面白いと思う事を形にすること自体が重要。
まあ普通に考えて貴重な投稿者を真っ先に叩く
>>313がいかんよ。
319 :
('A`):2006/09/26(火) 03:37:10 0
た、丹波哲郎が亡くなっちゃったよう!
ヽ[TAT]ノオーイオイオイ
喪にも奇妙な物語「喪服屋」
休日の繁華街を歩いていると、いつも惨めな気持ちになる。連れがいないからではない。どれだけ場違いであるか自覚しているから。
喪男は服を買いに来ていた。普段は近所で値段とサイズだけを吟味しているが、今日は流行のショップが並ぶ街まで足を伸ばした。用意した予算も一桁違う。喪男の金銭感覚においては理不尽な金額だった。
ここが場違いでない自分になるために、ここで服を買おう。人が聞いたら笑われるような思考でも、喪男にとっては勇気と決意だった。
「ようこそいらっしゃいました。お洋服をお探しでしょうか」
その若い男はやや慇懃に挨拶した。どうやら店員らしい。高そうなスーツを自然に着こなしている。入る店の選択を間違えたかもしれない。店内の高級感に喪男はたじろぐが、男は流れるように言葉を続けた。
「喪服をご覧になるのでしたら奥の部屋にございます」
葬式に出る予定はない。いくら疎い世界とはいえ、喪服屋とは思わなかった。一刻も早く出て行きたかったが、喪男と店員では勝負にならない。案内されるがまま店の奥へと入っていった。
地下に降りたわけでもないが、ずいぶん広い部屋だった。そして異様な光景だった。部屋の中では大勢の人間が整列して立っていた。直立不動の姿勢のまま、無言で前を見ている。
「外でお待ちしております」
店員は部屋を出て扉を閉めた。喪男は部屋を見渡す。彼らはモデルで、商品を着ているのだろうか。しかし喪服を着ている者は誰もいない。それぞれ異なる、まさに喪男が求めていたような服を着ている。
声をかけてみたが返事はない。生きた人間であることは解るが、まるで人形のようだ。
喪男は不気味に思いながらも、行列を端から眺めていった。服よりもモデル達が目に付く。モデルと呼んでいいのかさえ疑問だった。どちらかというと喪男に近い雰囲気を持つ男達。不釣合いな服が滑稽だった。
鏡を見せられたような気分になり、喪男は部屋を出た。服を買う気はすでに消えている。
「ご利用ありがとうございました」
店員の男が待っていた。差し出された伝票を見て、少し考えてから金を渡す。授業料を払った喪男は、なにも買わずに帰宅した。
321 :
('A`):2006/09/26(火) 21:25:13 0
>>320 GJ
こんな掌品もいいね
モデルたちは授業料を払わなかった連中かな、と考えてみる
322 :
イマキ喪さん:2006/09/26(火) 22:58:34 0
イマキ喪さん
俺は、喪山涼司。
この前まで学生だった。今はコンビニでバイト中。
俺は独り暮らしがしたくて地元を飛び出した。行く先は都会でもなくとある田舎だ。
何故そこに行ったのか、自分でも分からない。入りたい会社があったわけでもないのに。
聞いたことも無い大学に行ったからかわからないが、面接で落ちたり、時には履歴書を見ただけで帰ってくれと言われたこともある。
そんなこんなで今は田舎のボロアパートに住んでいる。
いつも通りその狭い部屋へ帰ってみるとそいつは居た。
俺の部屋で唐突にテレビを見ていた。
顔は大きな黒いフードに隠れて見えないがとても大きな体でテレビの前にどてっと座っていた。
俺はお巡りさんに来てもらったが、とてもまともに取りあってもらえなかった。
次の日、いつもより早くバイトにいき、地元民である先輩に相談した。
先輩の話によると、そいつはイマキ喪さんといって、大人しい妖怪らしい。
「ただ、気をつけなきゃいけねぇこともあるんだぜ…」
「? 気をつけること?」
「あぁ…」
一つはそいつの前で顔や整形の話をしない。
一つはそいつに出て行けと言わない。
一つはそいつに怒鳴ったりしない。
一つはそいつの前で女の話をしない。
その4つさえ守れば、悪く事どころかかえって縁起がいい妖怪らしい。
続きます。
適度に期待して待っててね
適度に期待街。
完結させておくれよ。
最近は投稿が活発ね。
せめてお題でも投下したいけどどうしたものか。
324 :
イマキ喪さん:2006/09/27(水) 17:42:19 0
イマキ喪さんが家に出現してから2日目。
そいつはお菓子を食べながらテレビを見るばかり。
夜中も構わずつけっぱなしなので寝不足だ。ストレスもたまっている。
当然だ。今までずっと付き合っていた彼女に振られた。理由はない。別な男が出来たのだ。
久しぶりにメールしてみたら受信拒否されていた。家に電話をかけたら知らない男がでた。
「なぁ何?こいつ? お前の彼氏とかいってるけど?」
「え〜?しらな〜い…ストーカーじゃん?キモ〜い」
俺はここまで来たとき電話を切った。もともと俺から必死に告ったとはいえ、こんな振り方は無いと思った。
俺はイマキ喪さんの隣に座った。俺はホモではないがこいつと居るとなんだか落ち着く。
もしかしたら本当にいい妖怪なのか?全くわからんな。
そこまでいったとき…
続きマース
ドキドキするでしょ?
325 :
('A`):2006/09/27(水) 18:29:36 O
>ドキドキするでしょ?
こう言うのはいらんな。
話は面白いが正直イラっときた。
326 :
('A`):2006/09/27(水) 21:52:42 0
どのへんがドキドキするような展開?
327 :
('A`):2006/09/27(水) 22:00:46 O
妖怪とウホッ
328 :
イマキ喪作者:2006/09/27(水) 22:53:45 0
ごめんね
「雨の訪喪者」
雨の日曜日は嫌いじゃない。
優しい雨音をBGMにして読み古した小説を広げる。
いつもより丁寧に淹れたコーヒーの香りが心地いい。
ページを繰る手をすこし止めて、窓の外を覗く。
濡れたアスファルトは黒く、鈍く光っている。
眩しいほどに差し込む光は今日だけはなく、
部屋はぼんやりした曇り空といっしょで、夜の底にいるみたい。
緩く流れる時間に包まれて、しばし物語世界の住人になる。
調子が上がってきた僕は、昼ごはんに素敵な献立を考えた。
新鮮な野菜とベーコンを使ったパスタにしようかな。
ロックフォールチーズに、くるみパンも添えて、
いっそワインも欲しいところだな、と思ってしまう。
雨の外出は憂鬱だけれど、目的があるなら話は別だ。
レインコートを引っ掛けて、僕は近くにあるワインショップへ出かけようと…
思って、ドアに向かうと、
「おい」
甲高く、それでいて地を這うような声を聞く。
背後から。誰が入った記憶もない。けれど確かに。
しかもそれは何か禍々しい、望まない訪問者だ。
「おい、そこのお前だよ…、俺を見ろ」
恐る恐る振り返る。そこには…
「ハハ、馬鹿野郎。やっと目が醒めたか?」
ぼさぼさの髪、死んだ魚の目、土色の肌をした男。
「何?お気に入りの小説?丁寧に淹れたコーヒー?んでパスタ、ワインと来たか。
お前のような喪が寝ぼけてんじゃねえよ。外に出る資格すらねぇな」
醜くめくれた唇が吊りあがりそう告げた。
俺はやりきれなく部屋に戻る。こ汚い黄色の合羽を脱ぎ捨て、
薄暗い部屋にはエロ本と電撃文庫が散乱しているので除けて、
臭い毛布で適当に寝床を作り、
腹が減ってたまらんのでどん兵衛を食ってオナニーして寝た。
奴はあのカンに触る声でずっと嘲笑し続けていた。
「そうだ、お前はその程度の人間だよ、調子に乗るんじゃねえ。なあ、俺よ」
俺の部屋のドアのまん前には鏡がある。
鏡の中のそいつは、いつも顔を合わせるたびに意地悪く話しかけて来るので、
今や外出すらままならない。
雨はじとじとと一晩中続き、おかしな格好で思うさま寝た俺は翌日筋を違えた。
331 :
イマキ喪作者:2006/09/27(水) 23:49:50 0
きたいしてる
332 :
('A`):2006/09/28(木) 07:27:00 0
続きマース
ドキドキするでしょ?
333 :
330:2006/09/28(木) 07:48:27 0
話はこれで終わりです。
334 :
('A`):2006/09/29(金) 00:25:10 0
■未完成お題リスト: 334まで
・1スレが過ぎたものは削除されます
・お題は随時募集中!
1-339 "俺はモザイク"
1-428 "ギボンヌ!"
1-429 "尾行" "大人の新学期" "動けない"
1-432 "喪擬店" "壊れかけのドア"
1-439 "うるさい喪親"
1-631 "オアシス"
1-655 "グレ喪リン"
1-678 "筋肉マン喪世"
1-680 "クッキー喪ンスター"
1-683 "猿"
1-687 "愛喪ーど"
1-742 "喪女さん屋さん" "ヲタ火"
1-831 "喪ーニング"
1-906 "喪う一回…"
2-014 "素喪も喪も喪のうち(すももももものうち)"
2-084 "喪を呪わば穴二つ"
2-282 "昨日喪公園" "喪会議" "喪が恩返し" "喪部長" "鏡子タン"
335 :
('A`):2006/09/29(金) 00:37:30 0
あらすじを書いている者です。
現在、作品を読む時間がないので、誰か代わりに作ってもらえると助かる。
よろしくお願いします。
↓あらすじテンプレ
例)
第一話:"イケメン受験"
イケメン検定に不合格し続けていた喪男が、ついに合格するが・・・・
あらすじのみ。
※一行目 話数:"タイトル" 【主演】 ← 主演はあってもなくても可
※二行目 話のあらすじ ← ネタバレしないように注意
※三行目 特殊なステータスが付かなければ、2行目のあらすじの続き
特殊なステータスとは、『未完』『あらすじのみ』『アダルト』。
他にもあるかも(例えば『グロ』)・・・
336 :
('A`):
一行目に、リンク張るのもお願いします