新ジャンル、「ツンデレ」ならぬ「ツンツン」に萌え

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1('A`)
普段も二人きりのときも、そして本人がいないときでさえ
ツンツンとした発言(たとえば「あいつキモい」「死ね」)を
繰り返す女のこに萌えたら喪男の問題の9割は解決するのでは?
という涙が出てくるスレ
2('A`):2005/08/14(日) 21:32:50 0
>>1はマゾ
3('A`):2005/08/14(日) 21:32:51 0
デレがあるから成り立つんだよ
4('A`):2005/08/14(日) 21:32:59 0
殺意しか沸きません
5('A`):2005/08/14(日) 21:33:13 0
>>1頑張ったね
6('A`):2005/08/14(日) 21:33:44 0
それはタダのマゾだ
7:2005/08/14(日) 21:35:07 0
参考までにいうと、知ってか知らずか、
俺の周りにいる女子はみんな「ツンツン」ですよ。
8('A`):2005/08/14(日) 21:44:53 0
厨は死んだらエエのに・・・。
9('A`):2005/08/14(日) 21:45:09 0
新ジャンル「デレツン」
まわりに人がいる時は甘えてくるけど
2人きりになるとゴミのように扱ってくる
10('A`):2005/08/14(日) 21:45:24 0
まあ現実ではね...
11('A`):2005/08/14(日) 21:45:31 0
>>9ワロス
12('A`):2005/08/14(日) 21:45:53 0
一部のDIOだな
13('A`):2005/08/14(日) 21:46:10 0
>>9
冷えきった仮面夫婦によくありそうな光景だ
14('A`):2005/08/14(日) 21:46:12 0
秘すれば花だね!
15('A`):2005/08/14(日) 21:47:14 O
>>9
むしろ極普通の末期カップル
16('A`):2005/08/14(日) 21:48:08 0
全然おもんない
なんで生きとんの?
17('A`):2005/08/14(日) 21:48:43 0
>>16
萌え・・・
18('A`):2005/08/14(日) 21:49:54 0
ええ喪?
あいつキモいじゃん。ちかくにいるとにおうしww(一同爆笑
19('A`):2005/08/14(日) 21:50:21 0
新ジャンル「デレデレ」
まわりに人がいる時は甘えてくるけど
2人きりになるとオナペットのように扱ってくる
20('A`):2005/08/14(日) 21:50:33 0
ツンツンは酷い
21('A`):2005/08/14(日) 21:52:13 0
>>1
エヴァンゲリオンのアスカか
22('A`):2005/08/14(日) 21:52:14 0
デレ2割は欲しい
23('A`):2005/08/14(日) 21:55:54 0
ただの糞女じゃーか
24('A`):2005/08/14(日) 21:56:19 0
>>1…おまえ
25('A`):2005/08/14(日) 22:42:08 0
★新企画『ツンデレホテル』 一泊二日編。

玄関。
「はーい!どなた……なんだアンタね。呼んでもないのに勝手に来て。
2階の部屋があいてるから勝手にゆっくりするといいわ」
部屋に通される。数時間後。
「(コンコン。ガチャ)……晩御飯作りすぎたからアンタも食べる?嫌ならいいけど」
食事中チラチラと見てくるので、客が「おいしいよ」と言う。
「ほ、ホント…? 誉めたって何も出ないわよ!……でもありがと。」
何も出ないといいつつ、客が部屋に帰ろうとすると、
「ちょ、ちょっと待ってよ!……デザートも作ったんだから、食べてってよ!」
手作りケーキが出て来る。またチラチラと見てくるので、客が「料理上手なんだね」と言う。
「ん。……ありがと。(赤くなる)」
客が風呂に入ろうとするとバッタリ。
「な…?! 見ないでよお!(桶を投げて出て行く)」
夜、寝る時間になると、しおらしくなってパジャマで登場。
「(コンコン。ガチャ)……さっきはごめんなさい。明日ホントに帰っちゃうの…?」
客が「ああ帰るよ」と言う。
「……! そ、そう。ふーん、そうなんだ。せいせいするわ! ……ばかぁ!」
ドアを乱暴に閉めて出て行く。朝帰る時、
「ねぇホントに帰っちゃうの…?」
客が「ああ、仕事あるし」と言う。
「……そ、そう……(しょんぼりする)」
ホテルの外に出た時に息を切らして追いかけてきて、
「……また、来てくれるよね?もっと美味しいケーキ作ってずっと待ってるんだから…!」
抱擁。
26('A`):2005/08/14(日) 22:50:41 0
新企画『ツンデレホテル』 メール編

夏の蒸し暑さで目が覚めた。
デジタルの目覚まし時計は午前7時半をさしている。
(休日だというのに……)
客は自分の寝場所が「ロフト」という部屋の構造をうらみながら、
「ゴロリ」と転がり、枕元にあるクーラーのリモコンを手探りで探した。
手に何かが当たる感触。リモコンではなく携帯電話。
(昨日は充電機にささなかったんだった)
ぼんやりと考えながら携帯の液晶を見てみると、メールが一通届いていた。
件名は「no title」
差出人は彼女だった。
「ピッピ」、素早く液晶が切り替わる。

『別に大した用事ないんだけど……暇だったからメール書いてみた。
ちょっと言いたいんだけど、今度から来るときは事前に連絡をよこ
しなさい! 私もそんなに暇人じゃないの! 色々準備があるんだから!
そして、このメール見たらちゃんと返信する事!』

女の子なのに顔文字を一つも使わない。
端的な内容のメール。
(――あの子らしいな)

客は「昨日のお礼」と「ケーキの感想」、そして「次回何時会える?」
とのメールを書き、シャワーを浴びにロフトを降りていった。

冷たいシャワーが徐々に頭をスッキリさせ意識もハッキリさせていく。
(そうえいば、昨日彼女に会ったのは何日ぶりだったろうか?)
前日の彼女の行動、言動、仕草を思い返しながら浴室を出た。
タオルで頭を拭きながら居間に戻ると、また携帯の液晶が光っている。
「件名」はなし。差出人は彼女。

『朝早いんだ。てっきり昼過ぎまで寝ていると思ってた! 
今日は休みでしょ? 何してんの? 別に興味はないけどさ。じゃあね』

時計を見ると8時5分前。
客は「今日彼女の予定を問う」旨のメールを送り、そのまま携帯を眺め
ながら待った。



1分後。
液晶が光り、「来たら?」の短文メール。
客は微笑みながらクローゼットを開け、新しいYシャツの封を切った。
そして、彼女が好きなアールグレイを買って行こうと思った。
27('A`):2005/08/14(日) 23:49:06 0
B新企画『ツンデレホテル』 葛藤編
客は「アールグレイ(紅茶)」とそれに合う「菓子折り」を車の助手席に置きながら
彼女のいるホテルに向かっていた。
ホテルに着くまで信号は全て赤だった。
停止線で車を停止させ、ハンドルから手を離しタバコに火をつけた……。
「スーッ……」
煙を吸ってから、客は胸の痛みを感じた。

(胸が痛い。……あっ、吸い過ぎてるよ。どうしたんだろう?
なぜ俺はこんなにもあせっている?)

彼女と客はあくまでも他人。
「お金」しかつながっていない、ドライな関係だ。
そんなの分かっている! 俺にだってわかっている!
でも……彼女のことは……忘れられない!

初めて会ったのは会社に入社して、まだ間もなころ……たしか春先だった。
職場での慣ない緊張とストレスでちょうどイライラして時期。
そして、何気なく入ったホテルで彼女は待っていたんだ。
そういえば、初対面の時から彼女は変わっていない。

「え、えっと……初めまして。よ、ヨロシクね。
 それで言っておくけども、勘違いしないでよね!
 私だって好きでやっているわけじゃないんだから!!」

客はどうしていいか分からず、ドアの前で立ち止まっていた。

「もぉーさっさと、隣すわりなさいよ。何か飲み物くらい出してあげるんだから!
 ちゃんと感謝してよね!」
客はいわれがままに彼女の隣に座った。

「なになに? 緊張してるの? あはは! 可愛いぃー」
客は素早く彼女を睨んだ。

「……ご、ごめんね。怒らないで……そだ! 紅茶好き? 好きだよね? 飲も飲も!」
そして出されたのがアールグレイ。
「私アールグレイ好き!」と本当においしそうに紅茶を飲む彼女
客はそんな彼女を見ながら「おいしそうに飲むんだね」と彼女の目を見て言った。
見る見ると顔が赤くなる彼女。
「こ、これは一回きりなんだからね! もう絶対に出さないんだから!」



それからは、客がホテルについてから毎回紅茶が出るようになった。

「プップー!!」

けたましいクラクションで客は現実に戻された。
信号には既に青。
客はあわてて、車を発進させた。
28('A`):2005/08/14(日) 23:51:40 0
いいなw
29('A`):2005/08/15(月) 00:05:08 O
続きまだー?
‖Д・)ドキドキ
30('A`)@フラッシュアワー:2005/08/15(月) 00:58:09 0
C新企画『ツンデレホテル』 始動編
客はドアの前で一度深く深呼吸をして、インターホンを鳴らした。
(ピンポーン)
自然と鼓動が早くなる。
「はーい。どなた?」
「俺だけど」
「なんだ。本当に来たんだ……冗談だったのに。鍵が開いてるから勝手に入ったら」

客は言われた通り部屋に入っていくと、カーテンの閉め切った部屋に、彼女は1人ソファーの上で
両膝を抱えならが座っていた。
振り向かず、背を向けたまま……無言。
部屋に沈黙が流れる。
客はワンピースからのぞいている彼女の白い背中をジッと見ながら、彼女の言葉を待った。

「遅い!」
「ごめん」
「遅い、遅い!!」
「ごめん、ごめん」
「『人を待たせるってのは、その人の時間を奪っている!』そう本に書いてあった!」
「そうだね……」
「お詫びは何?」

客は無言で彼女の前まで来て、「スッ」と箱を差し出した。
「あっ!? もしかして、アールグレイ?」
「もう少しでなくなるでしょ?」
今まで苦虫を噛み潰していた顔から一変して天使のような笑顔になる。
「いいタイミングでしょ?」
「うん!」



ハッ、と彼女は自分が満面の笑みを浮かべている事に気づいた。
「で、でもこんな事じゃ許さないんだから!」
「じゃ……どうすればいいの?」
また部屋に沈黙が鳴れた。
客は彼女の回答を待った。

彼女は決心したように、「ぎゅーっ」と膝を抱え込み
「自分で考えなさいよ……」
とささやく様なで声言い、みるみる耳が赤く染まっていった。

客は全てを理解し、彼女の横に腰を下ろす。
そして、彼女の細く白い肩を抱き寄せた。
「あっ!?」(ビクン)
彼女の震えがまるでスタート合図のように二人の歯車は回り始めた……。
31('A`):2005/08/15(月) 01:00:33 0
ちょっと官能系の表現が混じるかもしれませんがよろしいですか?
32('A`):2005/08/15(月) 01:04:44 0
よくこんなん思いつくな。ライターにでもなれば
33('A`):2005/08/15(月) 01:10:34 0
>>32さん
今日(日付は変わっていますが)コミケに初めて遊びに行って
そんで馬鹿みたいに触発されてしまって……。
ちなみに、一番最初の「一泊二日」編は別の人。
それの続きをなんとなく書きたくなったので、書かせてもらっています。
34('A`):2005/08/15(月) 01:44:15 0
誤字・脱字多い。
気をつけろ!
35('A`):2005/08/15(月) 13:10:09 0
いいな
36('A`):2005/08/15(月) 13:39:56 0
kimoth
37('A`):2005/08/15(月) 13:58:48 0
dagasoregaii
38('A`):2005/08/15(月) 14:03:22 0
デレツンはワロタ
ってか、ただの腹黒ぶりっ子じゃん!
39('A`):2005/08/15(月) 14:13:08 0
>>30者まだか!ツンデレDはまだか!
40('A`):2005/08/15(月) 14:23:47 0
本当の腹黒いのはデレデレではないだろうか
41('A`):2005/08/15(月) 14:35:19 0
↓ツンデレなロシア娘が料理を運んでくれるであろう料理屋
http://gourmet.yahoo.co.jp/gourmet/restaurant/Kyushu_Okinawa/Fukuoka/guide/0204/M0040000146.html
42('A`)@フラッシュアワー:2005/08/15(月) 14:47:50 0
D新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その1
彼女は白くて冷たい廊下を歩いていた。
「(コツ、コツ、コツ……)」
静まり返った空間に彼女の足音だけが存在している。
ここでは「生」というのをあまり感じられない。
生きているんだか、死んでいるだか分からない……。
いや違う!
ここは生きるのを「保留」している人がいるだけ。
人生の新しい目的地を探しあぐねている人たちの休憩場所にすぎない!
誰かがスイッチを押し解除してやれば、絶対につながる! 
そう! 前と同じように話したり、笑ったり、怒ったり、そしてけんかもしたり……。

目的の部屋に到着し彼女は静かにノックする。
返事はない。
(期待するだけ……損かな)

彼女は勢いよく引き戸を開け、飛び込んだ。
「お姉ちゃんヤッホー! 元気している? 遊びに来たよー! 
 …ん?! ってか、この部屋空気悪くない? 換気していい? 窓開けまーす!」
「……」
「うわぁー! 全然窓開かないね。 こんな隙間じゃ風入らないじゃん!」 
「……」
窓に寄りかかりベットの上で猫の人形をなでている女性の反応を待つ。
しかし、女性は笑顔で機械的に人形を撫でてだけ。彼女との話は耳に入ってない様子。
「……お姉ちゃんその人形好きだよね」
「……」
「いつ買ったっけ?」
「……」



流石の彼女も相手が無反応だと寂しさを感じたらしく、何か話のネタを探すべく
室内を見渡した。自分のバックに目が留まる。
「そだ! お姉ちゃんお菓子食べる? 今日はね……和菓子でーす!!」
「……」
大げさな素振りで和菓子の箱を開ける。彼女の気を引きたい、そんな感情が伝わってくる。
「んー…そだな…お姉ちゃんはこれが絶対好き!」
「……」
「多分だけど。 あはははは……ッ!? (バンッ!!)」
 
次の瞬間、今まで見栄えよく整列されていた和菓子は、床の上を四方八方に散らばっていた。
「なんなのさ……バカみたい……」
彼女は立ったままうつむき、両手を力いっぱい握っていた。頬を伝り涙が床を濡らす。
一滴、また一滴と、徐々に涙は面積を広げていく。
声を押し殺しながらも、彼女の身体は小刻みに震えていた。


どのくらい時間たっただろう、彼女は裾を引っ張られたの感じ、顔を上げた。
「……あい」
ベットの女性は笑顔で人形を差し出した。
「……あははは……またやっちゃったね。…うっ…うっ……」
彼女は堰(せき)を切ったように泣き出し、その場に崩れ落ちた。
見栄、外見、プライド……全てをかなぐり捨て、彼女は子供のように泣いた。
シーツを握り締め、顔をうずめ込み、声を上げて。
そんな彼女を慰める様にベットの上の女性は、また機械的に彼女の頭を撫で始めた。
43('A`)@フラッシュアワー:2005/08/15(月) 17:34:53 0
E新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その2
お姉ちゃんが素直に言う事を聞いていたのは「お祖母ちゃん」の口から出たからだけ。
頭の回転が早く、隙のない姉は相手を小ばかにした言動が多かった。
これは同じ家族の父、母も当てはまった。

自分の“モノサシ”でしか意見を言わない父。
世間体ばかりを気にし、娘を信頼しない母。

そんな両親を姉は嫌っていたし、向こうも彼女に手を焼いていた。
ギスギスした窮屈な家庭環境にあっても、姉が自由奔放に振舞えたのは祖母が居たからだ。

「京(姉)は元気で真っ直ぐな子だから……そんなに口うるさく言わんとも…なぁ?」と、
母の小言が始まると直に姉擁護に回る。
「そうだよー。私は大丈夫だもん!!」

こうなると母のイライラは溜まりはけ口は私に向く。
私はどちらかというと物静かな性格な方だったので、だまって母の話を聞くばかり。
2歳しか年が離れていなのに、姉と私の性格は正反対。
影で姉の性格を嫉ましいく思いう事が多々あった……そんな幼少期。

姉が中学3年に上がって間もない頃、祖母が倒れた。
高齢のため抵抗力は弱く、ただの風邪でも祖母は入院。
また同時に精密検査を受け、腫瘍が見つかり長期化を余儀なくされた。

姉の味方がいなくなったのを「チャンス」だと思った母は父を説得し、姉を家から遠い
全寮制の高校に強制的に入学させた。
もちろん、姉の行為・行動が近所の話のタネになるを避けたいが為に……。


出発の前日。
私は姉と2人で祖母の病院に別れを告げに言った。
「……そぅ。京は遠くに行くの。寂しいやね。
 でも、これだけは覚えておいて……『うちはあんたの味方』
 辛くなったら戻ってき。
 あんたは…ほら…異国の姫様みたいなもんやから……」
「うん…」

2人だけが分かる会話。私には分からない……。
独りぼっちになった気がした。
私は居たたまれなくなり「か、花瓶のお水替えるくるね」
そう言いながら花瓶を掴み取り、逃げるように病室を後にした。
できるだけ長い時間を掛けて水を取替え取え、ゆっくりと病室の前まで来て中をのぞいた。

(――あっ!?)

あの姉が泣いていた……。
強くて、勝気で、唯我独尊の姉が……。

私はもう一度水を取替えに行った。
44('A`)@フラッシュアワー:2005/08/15(月) 19:57:33 0
F新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その3
姉が家を出てから3ヵ月後。
私は中間テストを一週間後に控え、そろそろ本格的に勉強を進めていた頃。

深夜居間の電話のベルがけたましく鳴った。
(こんな遅い時間に誰だろう?)
私は、不思議に思いながら受話器を取った。
「もしもし、城山ですが……」
「もしもし、○○○総合病院です」
祖母の病院だ。
背筋に凍るような緊張が走しり、そして両腕に鳥肌が立ち始めた。
自然と受話器を握る力が強くなり、口の中が乾いてきた……。

「現在こちらで入院している……」
それ以上言わなくても分かった。よくテレビドラマに出てくる一場面の台詞。
まるでドラマの俳優の様に冷静に「はい…はい…」と返答を繰り返し受話器を置いた。
私は暫く電話機を眺めたまま動けなくなかった。
頭の中では急いで行動しなければならないのに…身体が動かない……。

「どうした?」
父の声でわれに返り、ハッとする
「お、お祖母ちゃんの容体が急変したんだって……それで今から来なさいって……病院から」
父は動揺する私を気にかけず、冷静に「わかった」と言い居間を出ようとドアのぶに手をかけてが、そのまま止まった。
「……一応あいつにも連絡を入れておけ」
そうぶっきぼうに呟くように言い捨て、居間から出て行った。

(そうだ! お姉ちゃんに連絡しないと!!)

あわてて部屋に戻り、携帯で姉の番号を探し掛け始めた……呼び出し音が何回も鳴っているが
一向に出る気配はない。おかしいと思い、もう一度掛け直したが無反応。

(変だなぁ……)
携帯を肩と耳で抑えながら、ウロウロと部屋を動き回っていると、下の階から準備を急かす声が飛んできた。
「はーい!」と適当に応答し、十数回の呼び出しの音の後、ついに諦めて切った……。





切り捨てられた黒い髪の毛の山……。
その髪の毛の山を崩すように暴れたい携帯はようやく動きを止めた。
そして静寂とかすかに残るうめき声を残し、また夜は更けて行った……。
45('A`)@フラッシュアワー:2005/08/15(月) 22:14:44 0
G新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その4
再び姉から連絡があったのは朝方だった。
「ごめんねー。昨日はちょっと色々あってね……。なんか“着信あり”がいっぱい
 あったけどもどうしたん?」
 
私はやけに陽気な姉の声に怒りを覚えた。
携帯を握る手にも自然と力がこもり、手が汗ばんできた。
「昨日……なにやってたの……」
「べつにー関係ないしょ」

何かが切れた……。
(いい加減にして! あんたの態度でどれだけみんなが……!!)
今まで抑えていた感情が一気に……爆発した!
「あんたが何やってたかしらないけど!!
 お祖母ちゃんはね…ずっと…あんたを……ッ!」
「えっ?! おい! 祖母ちゃんがどうした?」
震えて声が出ない。
受話器の向こうで姉が何かを言っているかが、耳に入ってこない。
スッと、目の前に大きな壁が現れ、私の携帯を奪った。
父だった。

「この馬鹿! 恥をかかすな! すぐに帰って来い!!」
そう言い終わると、まだ何かを叫んでいる姉を無視し、電話を切った。
「ッチ!」
軽い舌打ちをしながら、父は再び白い布が掛かっている祖母の病室に戻っていった。

――「身内の死」。
それと対じしているのに……私たちには「悲しみ」よりも「憎しみ」が先行している……。
これってどういう事?
久しぶりの姉との再開がお祖母ちゃんのお葬式。
大切な人との別れの儀式。



さっきお父さんは「来い」って言ってたけど……。
またお互い言い争って…罵り合って…呼んだっていいことないじゃない…。

『ヤダな…こんな家……』

病室でテキパキと動いてる看護婦がやけに無機質に、そして機械のように見えた。
46('A`):2005/08/15(月) 22:29:59 0
ツンツンって北村弁護士のこと?
47('A`):2005/08/16(火) 00:43:13 0
乙だな
48('A`):2005/08/16(火) 00:44:38 0
普段はツンツンしてるが二人っきりのときはだらしない
「ツンダラ」
49('A`):2005/08/16(火) 00:52:11 0
普段から凍っている。二人きりになると凍える。
「ツンドラ」
50('A`):2005/08/16(火) 00:54:27 O
>>49
ワロスwwwwwwwwwww
51('A`):2005/08/16(火) 06:27:34 0
普段は隠れているがリーチであがるとのる。
「裏ドラ」
52('A`):2005/08/16(火) 06:56:10 O
普段は真面目だが麻雀になると汚い手を使う
「俺」
53('A`):2005/08/16(火) 07:10:31 0
普段は大き目だがでかいの狙ってる奴がいるとクイタンであがる
「俺」
54('A`):2005/08/16(火) 07:12:11 0
>>45
 続きをお待ちしております
 GJ!
55('A`)@フラッシュアワー:2005/08/16(火) 22:04:41 0
H新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その5
太陽が隠れていた日。

(人が死んだ日っていつも嫌な天気なのかな……)
姉との短い会話が終わったあと、私はひとりでエレベーター前にあるソファーに
腰を下ろし何気なく窓の外を見ていた。

9時頃からポツリ、ポツリと小粒の雨が降り始め10分後には大粒に変わり、そして
稲妻が空を駆け巡り、雷と爆音が絶え間なく鳴り響いていた。

私はお祖母ちゃんが息をひきとった後、一度だけ顔を拝みそれからは病室から離れた
場所で長い間姉の到着を待っていた。

どのくらい経った頃だろうか?
「ピンポーン」
と乾いた音とともに開かれたエレベーターのドアの奥には、おかしな格好の人物が
立っていた。その人はびしょ濡れの黒のワンピース(?)を着て、頭にはバンダナを
巻いていた。肩を激しく上下させ呼吸し、足元の床には水溜りがあった。

その人は閉まりかけたドアを慌て開かせ、両肩をぶつけながらも、勢いよく飛び出た。
それから周りを数回見渡し、私と目が合った瞬間走ってきて両肩をガシリと掴んだ。
ビクッと全身を強張らせた私を気にも留めずに、

「祖母ちゃんは!?」と叫んだ。
私は初めてそれが姉だと気づいた。
黒のワンピースと思っていたのは、雨に濡れ変色したしたのセーラー服で、靴下には
多数の泥水ので作られた水玉模様がある。姉は雨の中、傘もささずに駅から走ってきただろうか……。
何故か冷静に観察していた私は
「祖母ちゃんはどこ!!」との二度目の姉のヒステリックな叫びに直に現実に引き戻された。
「○○号室」
人差し指で方向と番号を教えると、姉はまた飛ぶように走っていった。
走って小さくなっていく姉を眺めながら、私もハッとし姉を追いかけた。

(そういえばお姉ちゃんなんでバンダナ巻いてたんだろう?)

そんな事を思いながら小走りで、廊下の角を曲がった。
お祖母ちゃんがいた病室のドアの前でマネキンが倒れていた。
いや、違う!?
頭の毛が全て刈られていた姉だった……。
56('A`)@フラッシュアワー:2005/08/16(火) 23:24:01 0
I新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その6
鬼のような形相で仁王立ちの父。右手には姉のバンダナがグシャグシャニ握られ
ていた。抑えきれない怒りのせいか、父の両拳は小刻みに震えている。
「お前は……どこまで恥をかかせるつもりだ!」
罵声が廊下中に響く……。
姉は切れた唇を手で押さえながら顔を伏せ、目を合わせようとしない。
「私に何の恨みがある……そんなに人を馬鹿にして面白いか!」
感情的になった父は止まらない。そのまま握っていたバンダナを姉に向かって投げつけ
「消えろ!!」と叫んで病室のドアを閉めた。

「祖母ちゃんに…あわせて…下さい…」
閉ざされたドアに向かって姉は一言なげかけたが、無論反応はない。
「祖母ちゃんに…」
そう言いかけて、私が見ている事を気がついた姉はスッと立ち上がり、笑いながら
舌を出した。

「あのバカさ……いきなりバンダナを取ってさ、手を出してきたさ」
「お、お姉ちゃん……?」
「そりゃー私だってバカみたいな格好しているどさ……ちょっとひどいよね?」
「……」
「これでもすっごく急いでいたんだよ!」
「……」
「でも…意味なかったね」
「……」
「なんだか疲れたわ……『消えろ!』って言われたから消えるね」
「……うん」
「あんたもそう思うんだ……」
「いや、えっと……」
頭の中が混乱していた私には、簡単な受け答えしかできなかった。

「まぁいいや、あんたも頑張りな」
姉は濡れたバンダナを一旦パンッ! と開いて皺(しわ)を伸ばし、また頭に巻きつけた。
「あっ!? あんた鍵持ってる? 家の鍵?」
「うん……」
「シャワーだけ貸して? 温まったらパッと出て行くからさ。鍵もいつもの所に隠しておくし」
(この期に及んでこの人は……)
私は苦笑しながら鍵を取り出した。姉は直には受け取らずジッと私を見つめた。
「――なんだか久しぶりにあんたの笑ったかを見たよ……。んじゃ、お礼にこれ」
姉はお守りが結びついている、二つの鍵を私の前にぶら下げた。
「何これ?」
「私の鍵と祖母ちゃんからもらったお守り。もう必要ないし…それに、持ったままだと嫌だしね……」
私は引っかかりを覚えながらも、とりあず受け取った。
「じゃ鍵借りるね……さよなら」
鍵を受け取ると同時に、姉はスッと私の頬を撫でた。
そして、姉はエレベーターを使わず、階段の方にて歩いていった。

姉の姿が見えなくなってから、私は撫でられた頬がやけに冷たく感じた。
廊下の大鏡で自分の顔を見てみると、頬には一筋の血の跡があった。
姉の血だった。
57('A`):2005/08/16(火) 23:38:57 0
大空寺くらいが最高にツボ
いそうでいないよな
58('A`):2005/08/16(火) 23:39:42 0
姉貴・・・
59('A`):2005/08/16(火) 23:42:21 0
姉か妹が欲しかった。
弟いるだけだし。
60('A`):2005/08/17(水) 00:13:31 0
姉と妹がいてもそいつらが喪女だったら…?

ま、俺のことなんだが
61('A`):2005/08/17(水) 01:41:53 0
ツンデレ+暗めの内容って
あんまりいい食いあわせじゃないよなー
62('A`)@フラッシュアワー:2005/08/17(水) 20:34:36 0
J新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その7
姉がいなくなってから、入れ替わりに1人また1人と連絡を受けた親戚が病院に
集まって来た。各人、祖母の死に対する感情表現は千差万別だった。
「ハンカチ」を目にあて、何度も祖母の名前を呼ぶ人……。
白い布を取り、ただ眺める人……。
生気を失った手をギュッと握り締める人……。
私は、病室の外からぼんやりと人々の行動を眺めていた。

そんな様子の私を見た母は、スッと私の横にやって来て
「あんたも疲れたでしょう? ここはいいから、家に帰って休みなさい」
と、小さな声で耳打ちした。
「お母さんたちは?」
「私達はまだ。色々と準備とか、話さなきゃならないこともるし……。
 もう少ししたら帰るから」
「そう」
正直なところ、私は短時間に多数の人の感情の渦に飲み込まれ、ささか混乱し疲れきっていた。
祖母の死、姉の到着、手をあげた父、去る姉、人々の嗚咽……。
数々の非日常の光景に、当時の私は処理しかねていた。
「じゃ、一旦帰るね。何かあったら携帯の方にお願い」
「はい」
「あと…お姉ちゃんの事なんだけども……」
「そうね…あれには私も少し驚いたわ。でも、お父さんとあの子のやり取りを見いてね……
 私は悲しかった。それに、これまでのあの子にしてきた事が、親として失格に思えてきたの」
「学校の事とか?」
「それだけじゃないわ。あの子の性格とか態度とか……。
 きっと何か気がついてほしくて、色々な信号を出していたんじゃないかしら? 
 でも私は耳を貸そうとしなかった……」
「お母さん……」
「だからお姉ちゃんの事は心配しないで。お父さんには落ち着いたところで話すし、
 私もこれからはなるべくあの子を理解しようとするから」
「うん、そうして」
「大丈夫だから! あなたは帰って休みなさい」
「そうする……ありがと」
「何が?」
「だって……てっきりお母さんはお姉ちゃんの事嫌いだと思っていたから」
「嫌いなわけないでしょ!……頻繁に腹は立つけど」
「まぁね。よく分かるわ」

母が姉と和解をしようと考えている事を知った私は、少し気が楽になった。
父とあんな別れ方をした後の姉の行く末が、気がかりだったのだがそれも
徒労(とろう)に終わる気がした。

(今から急いで帰ったら、姉はまだ家にいるかもしれない!?)
私は、一刻でも早く姉に母の気持ちを伝えたかった。
(お祖母ちゃんがいなくなった後、姉を説得するのは私の仕事!)

昨日から「待機」が主だった私に、やっと「進め!」の号令が下った気がした。
(――私ができること! いや、私にしかできないことだ!!)

はやる気持ちを抑え、私は一旦深呼吸し祖母に向かって合掌した。
(お祖母ちゃん、不謹慎かもしれないけども……私はなんだかワクワクしてます。
今日からは私がお祖母ちゃんの代わりにお姉ちゃんをてなづけます。あとでまた来るから。
今度はお姉ちゃんと一緒に、最後のお別れを言いに来ます!)

一息に祈りを済ませ、私はサッと回れ右をしその場を後にした。
(あの子をよろしく)
そう、後ろから声をかけられた気がした。
振り返ろうと思ったが、歩みを止めずそのまま首を縦に軽く振っただけにした。
63('A`)@フラッシュアワー:2005/08/17(水) 22:45:12 0
K新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その8
外はまだ雨が降り続いていたが、峠は越えたようだった。
私は病院のそばのコンビにでビニール傘を購入し、徒歩で家まで帰った。
もともと病院から家まではそれほど離れておらず、車で7、8分。ゆっくり歩いて
も20分前後で到着する。

(さて、お姉ちゃんにどうやって切り出そう?)

傘と同時購入したパックの紅茶を飲みながら、私は頭の中で色々な作戦を練った。
しかし、結局何も良い策が浮かばずに家の前に到着した。

(こうなったら、素直にお母さんの言った事を直接伝えよ。シンプルだけども、最も
効果的だったりして……うん! そうしよ)

作戦は決まり、一先ず安心したのもつかの間、玄関ドアの前で急に不安になった。
(あっ! でも、もうお姉ちゃんが出て行った後だったら……)
恐る恐るドアの取っ手を上げてみると、ドアはゆっくりと開いた。
姉はまだ家にいるらしい。
ほっと、胸を撫で下ろし「お姉ちゃんいるー?」と、玄関から呼んでみた。
しかし、返事がない。靴はある。

(まだシャワー浴びているの?)

私は靴を脱ぎ、そのまま浴室へ歩いていった。
いきなりドアを開けるのも失礼なので、もう一度呼んでみた「お姉ちゃん?……」。
耳をすますが、シャワーの音は聞こえないし返事もない。
「開けるよ」
アコーデオン型のドアを少し、開いて中をのぞいたがそこに姉の姿はなかった。
(どこだろう?)
だんだんイライラが増してきた。
「いるのー?」と叫びながら浴室のドアも勢いよく開けた。
浴室からは生暖かい蒸気が顔を撫でた。

(シャワーが終わって間もないみたいね……ってことは、2階の自分の部屋で着替えて
いる最中か?)

私は2階に上がり、姉の部屋の扉の前まで来た。
(もうここにしかいないだろう!)
直感がそう言っている。
「姉ちゃん、あけるよ」
言うと同時に扉を開けた。

姉は居た。

「もう! 居るならなら返事くら……っ!?」

誰が予測できただろうか……?
ここまで追い詰められていたという事を。
誰をうらむべきか? 
いや、皆同罪だ!
気づいてやれなかった全ての人間が罪だ!! 

見るべきではなかったのか? いや、何よりここは開けるべきではなかったか?

姉は首を吊っていた。
64('A`):2005/08/17(水) 22:55:02 O
いやあああああ
65('A`)@フラッシュアワー:2005/08/17(水) 23:15:57 0
L新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その9
姉は直立不動の姿勢で立っていた……だが足は地に付いておらず、30cmほど浮い
ていた。目には黒いバンダナが巻かれ、口は半開きの状態で、だらしなく唾液が流
れている。姉の首元には父のネクタイが巻かれ、ピーンと引っ張られた先は二段ペット
のパイプに巻きつけてあった。

「あっ、あっ……」
声が出ない。
私は自分が何でここに居るのか…何しに来たのか……そもそも私には姉がいたのだろうか?
「思考」につながる全ての回路がショートした気がした。
身体は固まり身動き一つ取れない。

時間にしては10秒も経ってない。しかし混乱時の状態では長く、果てしなく感じられた。

「(ドッサ)」
私が抱えてカバンが落ちる音で、我に返った。
そして、次の瞬間逆流してきた胃液の酸味が口の中いっぱいに広がった。
「うっ、うぇ……!」
私は、あわてて口元を押さえ、その場にひざまずいた。



!?
目の隅で何かが動いた!。
(ん? 手?!)
気のせいではない! 姉は微かだが動いた!
(い、生きてる!!)
そう思った瞬間、私は2段ベットの上に駆け上がり、急いで姉を引き上げた。
(まだ暖かい! し、心臓は……う、動いている! でも、息が……)

私は無我夢中で人口呼吸を始めた!
「お姉ちゃん! お姉ちゃん!」
何度も、何度も呼びかけ、何度も何度も息を吹きいれた……。

(戻って! 戻って! 戻って!……)

落ちたカバンの中から飲みかけの紅茶が漏れ出し、茶色のシミが徐々に徐々に
広がっていた……。それは一旦流れ出したら止まらない、生命のように……。
66('A`):2005/08/17(水) 23:22:33 0
そのへんな長文よんでないんだが
まぁツンツン
うんこつんつん
67('A`):2005/08/17(水) 23:58:49 O
余談でつが、漏れは乳首がツンツンしてる娘に欲情しまつ
68('A`)@フラッシュアワー:2005/08/19(金) 00:24:55 0
M新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その10
これまで生きてきた中で最も辛い時間。
まるで暗い闇のトンネル出口が分からずに進んでいる様だった。一秒でも早く闇を抜け出したいのに、
その気配はまったくない……。時間が経てば戻れなくなるし、大切な何かを奪われる気がする。
私は叫びたい衝動にかられながらも必死に自己を抑え、理性を保とうとした。
早く時間が経て! と思う反面、姉の時間は進むな! と、矛盾ループの中自我を置いていた。

遠くから聞こえてくるサイレンが徐々に近づき、家の前で到着した。
バタバタと白服の男たちが担架を部屋に持ち込み、手早く姉を乗せかえ運んでいった。
「お身内の方ですか? 同乗願います」
私は言われるがままに、姉の後をついていった。

それからの事はハッきりと覚えていないが、記憶の断片に蒼白な母の顔と、茫然自失の父の
父の姿だけがある。同日に、しかもこんな短時間内に病院へふり戻されるとは思ってもみな
かった。尚且つ、祖母の死が訪れてから1日も経たずに、姉も命を断とうとするとは……。


姉は奇跡的に一命を取り留めた。
治療した医師によると「発見」が早かったので、大事には至らなかったという事。
ただあと数分遅れていれば、間違いなくこの世にはいなかっただろうと。
現在のところ命に別状はなく眠っているだけだが、自殺による後遺症がについてはまだ分からない。
姉が目を覚ましてから最終的な判断が下せる、そう付け加えた。
69('A`)@フラッシュアワー:2005/08/19(金) 00:25:49 0
(続き)
去っていく医師の背中越しにお礼を言い、それからそっと「集中治療室」の中をのぞいた。
様々な計器につながれながらも安らかな寝顔の姉。その寝顔を見ているだけで胸が熱くなる。

(お姉ちゃんは……死んじゃいない。 
目を覚ました後の事は分からないけど、今は生きている!
ありがとう……神様ありがとう)

涙が止まらなかった。

(生きていてくれるだけでいいんだよ。
 ただ、そこにいてくれるだけでいいんだから!
 だからお姉ちゃん……早く戻ってきてよ!!)

いくらハンカチで目元を押さえても涙は止まらない……。
どのくらい時間がたってのだろう。私はようやく落ち着きを取り戻し、ふとガラス越し映った自分の
顔をに気がついた

(ひどい顔してるなぁ。
 グシャグシャのボロボロだよ。
 でも今日は気が済むまで泣こう……)
 
「祖母の死」と「姉の生」を通じ、私は人の「存在価値」「存在意義」を実感した。
生まれてくれるだけで、人には価値がある。だから誰も、その価値、意義を否定する事なんて
できない! だから、姉の“生”を否定した要因……姉をここまで追い詰めた原因がきっとある!
それは何なのか? 私はこの目で見たい! そして……裁く。

今までバラバラだった意識が統一され一本化された。
(何が来ようと
――「足掻いて」「もがいて」「暴れて」「叫んで」「開いて」やるだ。
私自身のこの手で……真実の扉を!)
70('A`):2005/08/19(金) 13:30:00 0
カイジとベルセルクを混ぜたような感じがします。
71('A`):2005/08/20(土) 06:01:23 0
なんだ終わりか?
72('A`):2005/08/21(日) 03:32:34 0
N新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その11
祖母との最後の別れを姉と一緒に済ませたかったのだが、それはかなわなかった。
姉はあれかあらずーっと眠ったままだ。
医師曰く「もうそろそろ意識を取り戻してもいい頃だと思います。
回復も順調ですから、目を覚まさない外的要因はないとはずです。
……これは推測ですが、原因はむしろ内側にあると思います。
彼女の『心の問題』です。多大なストレス疲労からくる自己本能による現実逃避とでも言いましょうか
要するに身体は元気だけども、心が疲れているからまだ休息をとりたがっているってことです。
家族の方には申し訳ありませんが、今は「待つ」ことしかできないと思います」との事。

「わかりました。待ちます」
そう、素直に答えたが、あせる気持ちは隠せない。
祖母の葬儀後、姉は一般病棟に移された翌日、私は毎日姉の病室へ通うようになった。

「姉の自殺未遂」「祖母との別れ」など立て続けに、ショッキングな出来事が起こる。
また翌年に受験を控えている身。
他人から見たらさぞかし「不幸な少女」に見えただろう……。
だが、当の本人はそれほど取り乱さず自分の義務は最低限、最小限にこなし、残りの時間を
姉の見舞いと現在に至るまでの事の発端を振り返っていた。

(あせらないで、まずは一つ一つ今ある疑問を上げていこう)

『なぜ姉は自ら命を絶とうとしたのか?』

あの「強気」の「わがまま」で「唯我独尊」の「エゴイスト(利己主義者)」だった姉が。
「自殺」なんて、姉には一生無縁の長物だと思っていたのに……。
 逆に考えれば、これまでの自分を全て否定し、自我を殺すくらい切羽詰っていたって事?
そこまで姉は何かに追い込まれていたの?
わからない……。そして、これ……)

チラリと寝ている姉を見る。短く刈られた頭が痛々しい。青白い頭皮がむき出しで、所々に
はかさぶたがある。これは、ハサミじゃなくバリカンで刈られたのだろう。その時、誤って
頭皮と接触しできた傷なのかだろうか? でも、傷は一つだけじゃない……。
73('A`)@フラッシュアワー:2005/08/21(日) 03:35:06 0
(「外見」には人一倍うるさい人がこんな無茶苦茶やるか? いや、ありえない。
それによく見ると切り方も雑で不均一じゃない。 
無理やり刈られのか……)

3日間連続で姉の病室を訪れ、毎回面会時間の終了まで粘り、そしてようやく考えは纏まった。。

(姉はイジメにあっていた……。そしれか考えられない。 
私の知らない所で、卑怯で最悪の人間がいる。
寄ってたかって姉を追い詰めた! それが、憶測か真実か確かめないと!)

面会時間終了のアナウンスが館内に流れる。
私はウェットティッシュで丁寧に姉の顔を拭き、彼女の手を握り締めた。
(ちょっと、お姉ちゃんの学校に行ってくるよ……
2.3日来れないかもしれないけども、大丈夫だよね?)

最後にもう一度強く姉の手を強く握り締め、静かに病院を出た。

長時間人工の光の下にいたせいか、自然の光がやけにまぶしい。
夕日を背に受け、目の前に作られる大きな影法師を見ていると再び不安がやってくる。

(姉の学校行ってどうする? 
行ったところで、何も得られないことだってある。
そもそも、本当に姉のためなのか?
不幸な少女を演じ、そして自分勝手な『正義』のイメージを作り上げているだけ
かもよ……。自分に酔っているのは楽しい?)

私は下唇をグッと噛み、もう1人の自分の声を消し反論する。

でも毎日姉の寝顔を見に来るだけでは、何も解決しないし前進もしない。
なにより待っているだけはもう嫌……。
姉が目を覚ます前に全ての不安が取り除き、二度と同じ思いを起こさせないようにする!
そして、自分がどれだけ愚かな事をしたかをシッカリ分からせてやる。
――これは『エゴ』かもしれない。
でも、一度壊れかけた人とには『生ぬるい同情』を持つよりも、『エゴ』ぶつけて位の覚悟なければ
……それは本人のためにはならないと思う……。
姉が私の『エゴ』を思いっきり跳ね返すくらい回復した時こそ、姉にとってのまた私自身にとっても、
本当の意味の『退院』になると思う!!

私はまた気持ちが揺るぐ前に、自分の思考回路をストップさせ、足を家ではなく駅の方に向けた。
(そう……進むしかないんだから!)
74('A`)@フラッシュアワー:2005/08/21(日) 23:38:55 0
O新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その12
まだあたりが薄暗く、人々が完全に活動を開始する前に私は家を出た。
前日に始発の時刻を確認し、目的地までのルートも頭の中に叩き込んである。
ゆっくり歩いたって電車の出発時刻には十分間に合うのだが、自然と歩く速度は早い。
できるだけ、頭の中を空っぽにするよう意識し駅へ向かう。
(始発の電車に乗ったってお姉ちゃんの学校に着くのは昼頃。
 着くまでには嫌でも色々な事を考えちゃうんだから……。
 せめて今くらいは……考えたくない!)
 
夜中に降った水溜りを避け、朝の冷たい空気を胸いっぱいに吸い込む。
起きかけの脳にが、徐々に活性化し始め私の色々な回路にスイッチを入れる。
(……だから、まだ電車にも乗ってないのに。早いってば!)


「明日お姉ちゃんの学校を見に行くわ」
姉の病院から戻ってきた後、夕食を準備している母のに思い切って言うと、一瞬「えっ?」
という表情をしたが「いいわよ、行ってきなさい。でも『日帰り』だからね」
と、一つの条件を提示しただけで、特にあれこれ聞かずに了承してくれた。

夕食後、明日に備えて一通りの準備や学校までの経路を部屋に戻って調べていると、
「今いいか?」とドアをノックする父の声が聞こえた。
「う、うん」
近頃疎遠だった父の登場に緊張を隠しながらも返事をする。
ドアを開けた父は私のテリトリーには入らずに、開けられたドアの前で立ったままだった。
「さっき聞いたけども、明日あいつの学校に行くのか?」
「うん……」
「そっか……」
「うん……」
75('A`)@フラッシュアワー:2005/08/21(日) 23:46:44 0
(続き)

それっきりお互い無言になった。父が何を言いたいのかはわからない。
でも“用事”があったからこそ、私の部屋に来たのだ。
何も言わず、そのまま次の父の言葉を待った。

ふーっと、小さく息を吐いたと思うと、スッと私の前にまで歩み寄り、
「明日使いなさい」
そう言ってからポケットから一万円札を取り出し、私の目の前に置いた。
「あっ、ありがとう」
「気をつけていけよ……じゃあ」
それだけを言い残し、何事もなかったように立ち去ろうとする父。
予想外の展開にあっけにとられながらも、口からは父を呼び止める声が出る。
「お、お父さん!」

(お父さんは『お姉ちゃんの事気にならないの?』)

喉まで出かかった言葉を無理やり引っ込め「本当にありがとね」ともう一度
感謝の言葉を言った。



(やはりお父さんもお姉ちゃんの事を気にしてんのかな……)

そう昨日の父の行動を振り返りながら、駅のホームで朝食のおにぎりを取り出し食べ始めた。
アナウンスが流れ、電車は前の隣の駅を出たそうだ。
時間はまだ腐るほどあった。
76('A`)@フラッシュアワー:2005/08/23(火) 01:20:13 0
P新企画『ツンデレホテル』 回想編_彼女の話 その13
 いつまでも続くように思われる田園の風景。そして、数コマだけ映し出される
住宅街やオフィス街……。そんな光景が同じローテーションで繰り返され、目の前に
広がっては流れる。電車の窓から見える風景をただぼんやり眺めていると『自分が何の
ために』、また『どこへ向かっているのか』さえ忘れそうになる……。
(なんだかなぁ……癒される景色ってのも考え物だよ)
私は暇つぶしの為に持ってきた文庫本をカバンから取り出した。
(長旅……だね)
文庫本を開き、何気なく意識を本に向けると、私は徐々に別の世界に移っていった。

 二冊目の文庫本を読み終える頃には、目的の駅の一つ手前だった。
そそくさと降りる準備をし、再び窓の外を見ると、自分の住んでいる市内より、やや大きめの
町並みが目に映った。
(結構大きい街。住むにはちょうど良いかも)と、率直な感想を呟いた。

私は「新○○」駅で降りた。
週末のためか結構沢山の家族連れを見かける。人の流れと逆に進み、駅の真下にあるバス
ターミナルを目指す。ここの「東口10番」から出るバスに乗り、約20分で姉の通っていた
学校の近くに着いた。

駅周辺の喧騒はなくなり、静かな住宅街が連なっている。
(この坂の上か……)
私は「グッ」と両手を握りながら一度深呼吸し、意識を切り替えた。見えない「不安」
が全身を被う前に動かなくてはならない。

(さて行くわよ……)
77('A`)@フラッシュアワー:2005/08/23(火) 01:20:47 0
(続き)
坂を上って30mほどの場所に小学校があった。
それからさらに150m上った坂の終点に姉の通っていた学校があった。
「私立 立啓館高校」と大理石から彫ったプレートが見える。
厳か(おごそか)な印象を与える反面、大雑把なイメージも与える。
私は躊躇せずそのまま校門を通り、職員用玄関にあるインターホンを押した。
「はい」と、用務員と思われるしゃがれた老人の声が聞こえた。
「あ、あの……本日は姉の事で訪れたんです」
そう答えた瞬間「しまった!」と思った。
学校に何んの連絡もいれずに、ただの中学生が「姉のことで訪れました」と正直に伝えたって、
門前払いを食らうか、警察に連絡されるだけだ。 私は一気に自分の軽率さを呪った。
しかし、私の唐突な申し出にも「少々お待ちください」との老人の回答が帰ってきた。
(あーどうしよう……一旦出直すべきなか……)
そう、思い悩んでいると玄関のガラス越しに人影が見えた。その人影はどんどん近づき
そのまま玄関のドアを開いた。
「城山京さんの妹さんですね?」
細身でひょろと背が高いが、見た目とは反対の低い声で尋ねた。
「は、はい?」
私の間の抜けた返事も気にせず、あたかも事前に来る事が分かっていたかのように、その男は私を
丁寧に招き入れた。
「どうぞ、お入りください」
なにがどうなっているのかさっぱり分からない……。
「もののけ」に憑かれた気分になりながらも、私は言われるがまま従った。
(本当にいいのかな……)
坂の下で入れた『気合』が早くもしぼみかけてきた様な気がした。
78('A`)
なんだか続いていますな。
ツンツンじゃないけども、ガンガレ!