夏だし、怖い話でも考えるか! 3スレ目…

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うちの隣町には、いわゆる「姥捨て山伝説」があって、それにからんで
七人みさきっぽい話がある。
「おっぴ」とか「すずぬん(七人)ばんつぁ(おばあさん)」って地元では言ってる。
すごく簡単にいってしまうと、
「その姥捨て山に捨てられた老女が、一人であの世に行くのはさみしいから、
その仲間を探してる。霧の出た夜に、その山の近くを通ると、連れて行かれる」
っていった話。

この山は、その他にも風穴(常に五℃前後の地下からの風が吹き出す穴)が無数に
あって、山の生態系がメチャクチャなことでも有名らしかった。たまにどこかの
大学の研究者なんかがきてた。
そして、この山は、地元では結構ゆうめいな肝試しスポットになってて、誰もが
中学生や高校生の夏休みに、一度は行ってみる場所なんだ。
俺も、高3の夏に、友達4人といった。
505('A`):2005/08/18(木) 13:38:16 0
その「姥捨て山」は、500メートルくらいの小さな山で、頂上の近くまで車で入って
いける林道がとおっている。 だから俺たちも、友達の兄貴のゲンチャリに二個乗り
して、二台で林道の終点まで行った。
その先は、山道になってて、歩いて頂上までいけた。頂上には小さな祠がある。

もちろん街灯なんてないから、俺たちはそれぞれにマグライトやヘッドライトをもって
いったけど、あたりは真っ暗で、ほとんど自分の足元しか照らせないような状態だった。
夜の森なんて、どこでもそうだと思うけど、木が邪魔して、ほとんど光が通らない。

「やべぇ、夜来たのはじめてだけど、かなりこえーな」
「つーか、ほんとに出てもおかしくねーよな、『おっぴ』がさ」
「んだってさ(だけどね)、『おっぴ』とかばんつぁん(おばあさん)が山さ
捨てられたのって、もう江戸時代とか、そんくらい前だろ? そろそろ
成仏してんじゃねーのか?」
そんな、とりとめのない会話をしながら、俺たちは一列になって山道を進んでいった。
地面にむき出しになった植物の根に、何回か足をとられながら進んでいった。

頂上に着く前の道の脇に湧き水があって、俺らは、夏の夜の暑さと、山を登った
疲れもあって、その水をかわりばんこに飲んだ。
四人目の友達が水を飲み終わったとき、メンバーの中では一番やんちゃだった
Bが「おれの湧き水もわいてきた」といって、湧き水の泉に、立小便をはじめた。
今考えると、これがまずかったと思う。
506('A`):2005/08/18(木) 13:41:04 0
その後、二十分くらいで頂上についた。 けっきょく怖い思いもせずに、頂上に
ついたわけで、俺らは少し拍子抜けしていた。
疲れただけで、たいして面白いこともなかったので、すぐに山を降りることにした。
あとは近所のファミレスにでもいくつもりだった。

山を下って、湧き水の泉を過ぎて、少し行ったところには沢山の風穴があった。
山道の中でも、そこだけは風穴から吹き出す冷気のせいで、すこしだけ肌寒かった。
でも、山道を歩いて、体がほてった俺たちには、気持ちのいい冷たさだった。
「お、涼しいな」そういいながら、俺たちは少し立ち止まって、風穴に近づいて
冷気にあたった。 そしてBは、小さなマンホールほどの大きさの風穴に右手を
突っ込んで「お〜、つめてー」というようなことを言っていた。
507('A`):2005/08/18(木) 13:42:19 0
俺もBとは別の風穴から吹き出す冷気にあたっていた。
そのとき、俺の後ろから「ゴロ」っという音がして、続いてBの悲鳴が上がった。
驚いて振り向くと、Bは、右手を風穴に突っ込んだまま、尻餅をついて、もがいていた。
あとでわかったことなのだが、風穴の中で石が崩れて、Bの手首をつぶしていたんだ。

俺たちは、その場でどうにかしようと、Bの腕を引っ張ってみたが、Bが痛がるだけで、
結局どうしようもなく、俺とBがその場に残り、ほかの二人が、大人を呼びに行った。
最終的には消防までやってきて、やっとBの手は風穴から抜けた。
Bの手首は、関節の骨が砕けていて、かなりの重症だった。
508('A`):2005/08/18(木) 13:43:38 0
俺たちは、その後こっぴどくしかられて、それぞれの家に帰った。
家に帰ってから、その夜のことを、親に話すと、その話を近くで聞いていたばあちゃんが
「○○(俺の名前)、庭さ出ろ」といった。
そして、俺が庭に出ると、ばあちゃんは、庭にあった、葉のふちに棘がある木の枝を切って、
その束で俺を叩いたんだ。 ばあちゃんは「しんどいけど、がまんしろ」といって、しばらく
俺を叩いた。

そのあと、ばあちゃんが俺に話してくれたのは、こんな話だった。
「痛くしてわるがったな。いまのはご不浄のはらいだがら。んでな、○○の行った山な、
あの山のな、『おっぴ』とか『ばんつぁ』の話はな、ほんとかどうか、ばあちゃんさは
わがんね。 んだけど、あの山さ、ばあちゃんくらいのばんちゃが捨てられてたのは、
ほんとの話なんだ。
ばあちゃんが子供くらいの時には、まだあったんだ。
んでな、そういうばんちゃが、なんにも食えなぐなって、水だけ飲んでたのがあの湧き水
なんだ。 んだがらな、○○の友達がやったごどはな、許さいねい(ゆるされない)ごど
なんだよ」