だが、その幕引きは唐突に訪れた。
出奔して行方知れずだった喪手内の兄、喪手杉が三千の兵をもって地庚山を包囲したのである。
決死の交渉も決裂し、喪手内は歴史上に名高い「出喪の檄」と共に兵を挙げたが
圧倒的な兵力差を前に、葦之耶への退却を余儀なくされる。
この状況を打開すべく、喪手内は袁紹に仕える名将、顔醜へと援軍要請の使者を送り
その協力を得た喪軍は、辛くも窮地を脱するのであった。
しかし「地庚山に山賊あり」との噂は、既に漢全土に広がりつつあり
喪手内らはやむなく地庚山を下山、新たな拠点を獲得するため当てのない行軍を始めたが
過酷な行軍と兵糧難とに耐えかね、肝意を含む多くの者が喪軍を離脱していった。
このままではいかぬ、と喪手内は思案の末、遂に呉の孫策に身を寄せることを決断、
孫策、周瑜らの打算もあり、何とか客将として迎え入れられることに成功する。
だが孫策軍に随行し、捨石同然の扱いで臨んだ皖城の戦いに、見事勝利はしたものの
喪軍は二喬を間に挟み、孫策、周瑜ら美男子との差を痛感させられてしまう。
この出来事を元に、喪軍の内では反孫策、周瑜の気運が高まりつつあった。
続く
簡易年表(年代が明らかになっているもののみ)
196年 御托、劉備軍を出奔。
198年 喪手内、矢羅傍の両名、呂布討伐戦に参加。功を挙げるも曹操を見限り脱走。
199年 故郷宝慶にて「宝慶の誓い」を結び、地庚山へと移り住む。
「出喪の檄」にて兵を挙げるも、地庚山の戦いにて惨敗。葦之耶に落ち延びる。
顔醜、白馬の戦いにて、顔良の殺害を企てるも失敗、不問に処される。
葦之耶の戦い。顔醜の加勢を得て、喪軍勝利を飾る。
地庚山下山、肝意離脱。孫策に身を寄せる。
皖城の戦いにて、大きな被害を出すも勝利。
200年 喪軍、反孫策の方針を固める。
209年 劉備軍、荊州侵攻。肝意、長沙にて関羽と一騎打ち。
200年現在の喪軍、主要人物
喪手内…喪手内三兄弟が長兄にして、喪軍の長。
喪男の理想郷を築こうとするも、現在は孫策の客将。童貞。
参考…
>>16 以下多数につき省略
矢羅傍…喪手内三兄弟が次兄にして、知勇兼備の名将。
喪手内が最も信頼を置く男である。童貞。
参考…
>>16他多数
喪手対…喪手内三兄弟が末弟。口数こそ少ないが
常に冷静に状況を見据える、喪軍になくてはならぬ存在。童貞。
参考…
>>16 >>128他
武沙……喪軍きっての猛将であるが、激し易いという欠点を持つ。
離脱した肝意とは刎頚の仲。童貞。
参考…
>>18 >>393他
顔醜……元袁紹の配下。顔回の子孫を自称している。
武に優れたるのみならず、儒教にも造詣が深い智将。童貞。
参考…
>>74 >>191-195 >>232-234他
一応年代のはっきりしてるものだけ纏めてみたけど
間違ってたら修正しといて下さい・・・
418 :
('A`):04/10/01 23:22:25
おっつ
419 :
('A`) :04/10/02 02:12:59
Gj gJ
その数日後、曹操は緊急に諸将を集めた
集まった諸将の前に出てきた曹操の目には、決断された固い意志を思わせるように鋭く
眼光は強くギラギラとしていた。
その激しい意志を思わせる眼差しに
「戦か・・・・」
諸将はそれぞれにそれを悟り、一人残らず命を捨てる覚悟を決めた。
今回の評定は何事かを聞く者は一人もいなく、皆、曹操に似た目付きに変わっていった。
曹操は集まった将の一人に言った。
「郭嘉、説明せよ」
郭嘉は「は!」と返事をして一礼し、前に出て諸将に話し始めた。
『 「先日の董承の件は存じているだろうと思います。
殿から私に御呼びがかかり、その件につきまして対策を考え談議した所
あの暗殺未遂事件はどうやら孫策が裏で糸を引いているものと、董承の邸宅で発見された
書簡からわかりました。」
「この事から、孫策が各地の英雄と結んで我々を朝敵と見做し、包囲網を作り出す
恐れが出てきました。」
「孫策が包囲網を敷くとすれば、普段から我々と朝廷に不満を抱き、急激に兵士を増やしている
袁紹も、当然その包囲網に加わっているものと考えられます。」
「我々が呉に侵攻した場合、袁紹が空になった我々の城を急襲する可能性は高く、兵力の大きい
袁紹軍を防ぎきる事はできますまい、しかも呉軍は水軍をもって対抗してくる事は自明の理
我々は水の上での戦いの経験がございませんので、危険が大きく今の段階で呉侵攻はできません。
しかし、我らの主力をもってすれば、ただ数を増やしただけの袁紹軍、壊滅させる事はたやすく
できるでしょう、」
「この事から、まず袁紹を討ち、その後に孫策を討てば、もし包囲網を完成されたとしても
大部分の勢力を削ぎ落とせます。不本意ながら包囲網に参加した者はこのどちらかが倒れた時点で
行動が鈍るか、事を起こす事を辞めるでしょう
包囲網が無くともこの二国が我らを敵視してるのは明らか、同時に攻められる危険性がある以上
その前に袁紹を叩くのです、勝ちやすい敵から叩き、力を温存して強敵に当たる対策を立てるのです
これはすでに決まった方針である事をお伝えします」』
郭嘉は曹操と諸将に一礼づつして元いた位置に戻った。
曹操はうんうんとうなずいて、士気を高めるべく言った
「皆の者!我らに立ちはだかる者は、ことごとく討ち滅ぼすぞ!!
この両者を倒せば、天下の大部分は我らの名の下に平定されるぞ!!
出陣だ!!天下にその名を鳴り響かせよ!!!」
オー! オー! オー!! オー!!
オー!! オー! オー!! オー!!!
こうして官渡の戦いは始まった
曹操軍内部の慌しさは、たちまち喪軍上層部に伝わった。
喪手内は狙い通り曹操を孫策に当てる事ができなかった事に危機を感じた
「そうか、曹操はまず袁紹に当たるか、策とはなかなか難しいものだ、上手く乗せたが
これでは時間がかかる、次の手を考えねば。。。」
この頃から喪手内は策の必要性とその面に人材が欠けている事を痛感したのであった。
喪軍を巻き込む四国志最大の戦いと言われる赤壁まで、8年の事である
(
>>420-422の続きを勝手に作りました。題名の通り、かなりチャチです。)
喪手内は考えていた。
わが軍は猛者は多いが、知略の者がおらぬ。
なんとしてでも、抜擢せねば。
しかし、自ら仕官を願い出る知者など、なきに等しい。
まだ弱小勢力であるうえに、この面々である。
この世に類稀なる喪男の巣窟、同じような顔面的不具者には優しいが、傷の舐め合いの集団には、正直言ってしたくない。
そこから天下統一を夢見、実現させてくれる者が欲しいのだ。
そこには情熱のみならず、それを下で支える冷静沈着な人間も必要。
…ある時、彼は「粋狂先生」と自称する老人に、城下で話しかけられたのだった。
「ふふ、喪手内殿、天下には知者といえるものは三人おります。
伏龍・鳳雛・豚足とよばれる男たち……その誰か一人でも味方にすることができれば天下統一も夢ではないでしょう」
(参考
>>165)
皆、隠者のような生活をしているという。
「さて、どこから落とすか」
「伏龍は、紅顔の美男子だそうです。鳳雛・豚足は醜男ですが、どちらも秘めるものは伏龍に引けをとりません」
粋狂は言った。
「よし、伏龍は却下」
自動的に、選択肢は残り二つとなる。
喪手内はその夜、会議を召集した。
「皆の者、どちらが良いか、手にその者の名前を書いて、合図が出たら一斉に見せ合うことにしよう」
喪手内が言うと、しばらく沈黙が流れた。
夏の蒸し暑い夜である。彼らの汗と、その他様々な汁の臭いが室内に充満する。
その中に、墨の香りが、ほんのりと混じる。
「では、見せてみよ!!」
と号令。皆、一斉に掌を開く。圧倒的多数で「豚足」に決定した。
なんのことはない。「鳳雛」は画数が多くて書くのが面倒だっただけなのであった。
「豚足」は豚の可食部の中では地味な部分ではあるが、たいへん良い出汁がでて、栄養も豊富である。
そんな意味を込めて、「彼」は世間からそう呼ばれていた。
もっとも、非常に肥満しているという理由もあったが、ここでは敢えて割愛しよう。
「彼」の本名は、「独秦」といった。まだ若く、妻を迎えていない。というか童貞である。
どうやら、地庚山近くの「兄姪途(あにめいと)」という小さな村に居を構えているようだ。
一歩も外から出ず、ただただ庵にこもって、書物にいそしんでいるらしい。
…ここまでが、喪手内の得た情報であった。
彼は早速、独秦という男のもとを訪ねようと試みた。
矢羅傍、喪手対を伴って、手土産に美味棒(うまいぼう)を持ち、馬を走らせた。
「失礼します」
門番の不細工な子供に、三人はひどくうやうやしく頭を下げた。
子供は不細工な顔をますます醜くゆがめ、おびえている。
「坊や、おじさん達は怪しい者ではない。独秦様を訪ねに来ただけだ」
どう見ても怪しい。
「……」
「部屋に、通してくれるかな?」
手土産の美味棒を差し出したが、子供はそれをかぶりを振ってつき返した。
「…独秦様は今出かけていらっしゃいますから。」
「残念!」
と喪手内は一声挙げると、
(おい!ひきこもりという噂は嘘ではないか!)
思わず、隣に立っていた喪手対の脇腹を肘でつついた。
日を改めて、彼らは再び独秦のもとを訪れた。
「坊や、このあいだのおじさんだよ。怪しい者ではない」
「いませんよ」
門番の子供は依然としてつれない態度である。
「そうか…」
それでも彼らはあきらめなかった。
「坊や、しつこいようだが、独…」
「またですか、帰って下さいよ。そして二度と来ないで下さい」
しかし、時々動く大きな人影があるのを、喪手対は戸の隙間から見逃さなかった。
「嘘をついたな、ガキが!」
喪手対は珍しく激して、子供の頬を平手打ちした。
「ひっ…人を呼びますよ!」
「手間取らせやがってこの野郎!手前のその薄汚ねえ尻を使えなくさせてやろうか!!」
子供がひるんだ隙に、部屋の中に遠慮なく踏みこんでゆく。
他の二人も突然の事態に狼狽しつつ、後に続く。
「!!」
部屋の中には、体格のよい男が座っていた。お世辞にも美男子とはいえないが、威厳と知性のある顔立ちではある。
「あ、あ、あなたがその、と、と、と、豚足!!!」
昂奮の余り喪手内の声が裏返る。
この男が天下の知者かと思うと、戦慄が走る。
「あの、あの、よ、よ、よろしければ、その、その…!!!」
「…落ちついて」
その男が喪手内の肩に手をかけた。
「私は、独秦の兄、独蘇(どくそ)。先ほどまで私と碁を打っていたのだが、今しがた出かけてしまった」
「ど、ど、どこにですか!!」
「あいつは人と交わるのは好まない性質だ。そう執拗に追われると余計逃げるだろう。日を改めなされ」
しかし、俺も男だ。自分の野望のためには、簡単に諦めてはならないのだ。
こうなったら何度でも、地の果てまで追いかけ、独秦を味方にしてやる!!
ところが、矢羅傍と喪手対は、すでに疲れた様子だった。
「もう、鳳雛に狙いを変えた方がよいのでは?」
「今回で最後だぞ」
そう諦めがちに言いながら、仕方無しに同行する。
「…またあんたたちですか。しつこ…」
「尻を」
半ばやけになって喪手対が睨めつけると、子供は驚くほど従順になった。
「今日は、……いらっしゃいます」
「なに!?」
三人とも報われた思いで、室内に駆け上がろうとした。
「ちょっ、おじさん、待ってください!」
「尻…」
「違うんです!あの、しばし門の前で待っていただかないと、その取り込み中で!!」
「何をしているんだ、独秦は」
喪手内の問いに、子供は真っ赤になってうつむき、何も答えなかった。
(変な奴だな)
急く思いに堪えきれず、喪手内は中をそっと覗きこんだ。
そこには、かがみこんで座り、右手を頻りに動かす、一人の男の姿があった。
「はぁ、はぁ、ああっ、呉国太様…ああっ、そんなに、早く動かさ…」
(中略)
それからどれほどの刻が経ったのだろうか。
独秦、30歳・童貞。知力76、魅力4。
彼は喪手内の軍師として迎え入れられることになった。
喪手内が足を運ぶこと、数えれば4回。
決してあきらめてはならぬ。
この情熱と執念は、喪国にのちのち語り継がれ、守られることになる。
人々はこのことを、「四顧(しこ)の礼」と言う。
なお後世には同じような、劉備が「伏龍」諸葛亮を訪ねたことから生まれた「三顧の礼」という言葉が伝わっているが、本家本元はこの喪手内三兄弟と独秦の故事であることを、私達は忘れてはならない。
すみませんでした。
無駄に疲れました。
あの・・・実は
>>76を見れば分かるとおり、知力は78だった・・・
おつかれさまです。
面白かった。
経験をつんで2上がったんだろ
意外に知力が高くなくてワラタ
>>76を見て思ったのだが、洞庭(どうてい)湖って本当にあるんだね。
しかも呉の国の領域に。しかもそれなりの観光名所だとか。
438 :
夏喪 ◆f3h/vmOhIk :04/10/03 12:17:01
かえってきました。書き込みは明日になるかもですが、あげときます。
>423-430乙!
>>夏喪
おかえり〜待ってたぜ!
440 :
('A`):04/10/03 22:45:59
ドウテイ湖は漢文とかに出てくるね。
441 :
('A`):04/10/04 09:39:15
442 :
夏喪 ◆f3h/vmOhIk :04/10/05 03:23:25
本話題名<喪手対説顔醜、喪男之心天下通>
喪手内軍が葦之耶に退却し、窮地に陥っていたまさにその頃、
顔惨と喪手対は、顔醜家の門の前に立っていた。
遠祖顔回は清貧で知られたが、この時代の顔家は相応の発展を遂げており、
顔氏の者とその縁戚、従者により組織された、「顔家軍」と呼ばれる一軍団を有するまでになっている。
…もっとも、血は争えず、顔家軍の構成員は図らずしてとんだ御面相の兵たちばかりなのだが。
「遠房の親戚の者でござる」と自己紹介する顔惨に、胡散臭そうな目を向ける執事。
それも無理はない。顔家軍にすら属さない遠い親戚など、単なる血統詐称の疑いが濃厚なのだ。
「主人は避客牌を掲げております。お引取りくだされ。」
にべもなく断る執事に、なおも食い下がる顔惨・喪手対。
その熱意、尋常とも思えぬ。せめて女子に対してもこの気力があれば。
「なんじゃ。騒々しいぞ」
ついに屋敷の外での騒音に耐えかね、引き篭り生活を続けていた顔醜が、門の隙間から声をあげた。
「それが・・・。この醜き者どもが、殿の遠戚だと言い張って聞きませぬ。何として追い払いましたものか」
自分の顔のことも棚に上げて、えげつない報告をする執事。
顔醜が門前を見ると、確かに言に違わぬ醜男が二人、必死の表情で懇願を続けている。
「!」
「かまわぬ。通せ。」
喪手対たちを追っ払おうとする執事に、顔醜は意外な指示を与えた。
彼らの必死の形相に打たれたのもあったが、
それ以上に、その面妖な容貌に、自己と通じる何かを嗅ぎ取ったためである。
顔醜の邸宅に通されたとたん、挨拶もそこそこに、早口でどもりながら大儀を説く顔惨。
普通の人間ならば一瞬で不快に思い、眉を顰めるところなのだが、
顔醜はむしろその話に興味を持った。彼らもまた、自らと同じ星の下に生まれた同胞なのだ。
しかし。
「顔惨殿、申し訳がござらぬ。諸兄の熱意、真にそれがしの心に響くものがござる。
しかしこの顔醜、袁紹旗下にて無官・不肖ながらも顔家の総帥、顔家軍一千人を預かる身。
一切を捨てて賭けに走るのは、もはや自らを堅く戒めております。
また、それがしが貴軍に奔れば、世間の人は我が家を名聞に違わぬ醜男の家として嘲笑するでしょう。
あるいは軍資・兵糧・自慰燃料の類ならばいくばくかのご援助はできますが・・・。」
消極的な答えを出した顔醜。
以前のささやかな反乱の失敗と、長い引きこもり生活が、彼をどうしようもなく後ろ向きにしていた。
俺たちなんて、いくら努力しても、所詮は関羽のような美武兼備の「主役」たちには勝てない。
努力とは、後に待つ地獄への片道切符を買うに過ぎぬの行動ではないか・・・!
「顔醜殿!僭越ながら申し上げます!
家名が何でござる、責任が何でござる、世間の評判が一体どうしたと言うのです!
天は我らを、醜く生ませ給うた。これは確かでござる。
世の女は振り向きもせず、同姓からすら蔑まれ、能力に正当な評価も与えられぬ。
しかし、だからといって我らが喪男なりに人生を享受することが否定されたわけでもございますまい!
我が義兄喪手対は、否、我らが世界の喪男は、
我らが人の目を気にすることなく生を愉しめる国を創る為に、貴公の力を欲してござる。
世間の主たる人は、我らを排除し嘲る以外に何を為しましたや!?彼らの評判など、気にして何になりましょう。
『美男・好漢いずくんぞ種あらん、色男いずくんぞ喪男の志を知らんや。』
これが、わが主君の言でござるッ!」
普段の彼から想像もつかないほど、多言を贅した喪手対。
「・・・。それがしに時間をくだされ。」
答える顔醜。
十日後、顔醜は顔家軍一千を率いて、喪軍への合流を決定、その配下には顔終・顔汚・顔奇・顔不潔らの遠戚たち。
一度決めてしまえばそこは流石に顔醜。
曹操・袁紹の両軍に働きかけ、更に双方から一千づつの味方を得てしまった。
三千の新たな喪男軍団が、殺伐とした葦之耶へと向かう。
「軍団総出かよ!おめでてーな。素人にはおすすめできない!それでも参じる者は我に続けえーーッ!!!」
馬上で指揮を取る顔醜の表情は、燦然と輝いて見えた。
彼は、生きる場所を見つけたのである。
地庚山の戦いから一ヵ月後。
趙雲子龍が抜け、戦力の落ち込んでいた喪手杉軍に、突如顔醜以下三千の喪男は牙をむいて襲いかかった。
元々、偽帝袁術の後宮近衛兵を中心にされている喪手杉軍である。
曹操・袁紹の最前線で戦いを重ねた喪の援軍たちとは、到底兵の質が異なる。
あらかじめ期を合わせておいた喪手内軍も葦之耶より出撃し、イケメンを挟撃する。
「マジマジマジマジやっべっ!覚えとけこの馬鹿どもがあ!」
目を血走らせ、ヨダレと涙と鼻水をだらだら垂らしながら、鬼人の如き形相で追跡してくる武沙を振り切り、
捨て台詞を放ちながら首尾よく多数の寵姫を伴って戦場を落ち延びた怒弓。
しかし、怒弓を逃がしはしたものの、顔醜が畏敬面を、肝意が喪手杉をそれぞれ虜とすることに成功した。
しかし、喪手内の厳命により喪軍は婦女子への虐待を一切禁じられていたにも関わらず、
逃げ遅れて捕虜となりかけた寵姫の多くは、ある者は毒を飲み、ある者は短剣を首に突き立てて自殺した。
せめて死体でもよいからハァハァしたい喪男のひとりが、欲望に耐え切れずにその服を脱がせて見ると、
どれもが陰部や胸部に腐剤を塗りつけており、到底使い物にならない。
「死んでも俺たちには機会をあたえてくれないのか・・・!!!」
勝利しながらも、喪男たちの号泣が葦之耶の山河にこだました。
続きはあしたー
こんな時間まで乙です。
闘いがおわり、戦後処理が始まった。
喪軍諸将が居並ぶむさくるしい幕舎に引っ立てられてきたのは、言うまでもなく喪手杉・畏敬面である。
「頼む!命だけは助けてくれっ!血を分けた実の兄を殺すなど、喪手の家名を汚すような真似はするな!
実の弟に殺められては、地下の父上にどういう顔をして会えばよいのだっ!? ・・・なあ?」
これまでの自分の行動は棚に上げて、兄弟の情に訴える喪手杉。
「アアー、ワタシ南蛮ノ人。中国ノコト解ラナイ。ダカラ解放シテクダサイ!!」
女を口説くときはとんでもなく流暢に漢語を操るくせに、こういうときだけ無知な外国人になってしまう畏敬面。
その心情の醜きこと、匹夫にも劣る。
…それでも、顔はいいのだが。
「しかし、、、はてさてどうしたものか。。。」
いくらひどい目にあっても、やはり血を分けた兄を処刑するのにはためらいのある喪手内。
乱世の武将としては欠点だが、そんな彼の優しさが、これほどまでの多くの喪男を集めてきたのだ。
「殿、殿、、、。拙者に名案がござる。拙者の縁戚の・・・と、その友人の・・・を使って・・・をするのです。」
そんな喪手内の心情を察し、ひそかに彼に耳打ちをする矢羅傍。
「おお、そうじゃ!今こそあの者たちを使うときじゃ!!これ、早くこちらへ呼べ。
兄よ、その命は助けてつかわしますぞ。ただし、、、」
喪手内は最後まで言わなかった。
「おお、命を助けてくれるのか!流石はわが弟、この恩は一生忘れぬぞ!」
心にも無い科白をぺらぺらと喋る喪手杉だったが、
矢羅傍が連れてきた男たちを目にした次の瞬間、その表情から血の気が引いた。
異常に真っ白な肌に、でっぷりと太った体、妙に濃い髭と腕毛、丸刈りの二人の男たち。
彼らの様子を確認し、おもむろに命を下す喪手内。
「では、矢羅内科(やらないか)、釜堀(かまほり)の両人よ!諸君らにこの美男を七日七晩貸し与える。
たっぷり享楽の限りを尽くすがよい!!!!」
「はッ!!!御意ッ!!!むふふふふふっふふふふふffっふふjdhcdt&'&'R5hwd!!!」
好色そうな目で喪手杉の腰周りを舐めるように見つめていた矢羅内科が、興奮で上擦った声で答えた。
「やめろぉぉ!!!!それだけはやめてくれぇぇっぇぇ!!!」
自分の運命を悟った美男二人が、それぞれ、モーホーの髭マッチョ二人に羽交い絞めにされ、
断末魔の絶叫を上げ続けながら、隣室へと消えてゆく。
「むふ。むふふふふ・・・。尻じゃあっ!白い尻じゃあっ〜〜〜!!」
「ぎゃああぁっぁぁぁ!!!痛いっ!!!痛いぃぃぃ!!!」
「むははは。最初だけじゃあ、じきにようなるわいっ!!!!」
ギシギシ アンアン ギシギシ アンアン
隣室から聞こえ続ける、恐るべき声と音。幕舎に居並ぶ喪の諸将の間に、なんともいえない沈黙が走る。
「やはり、非童貞の矢羅内科は勝ち組なのでは・・・・??」
やり場の無い表情で、ぼそりと呟いた喪手対。
「待てッ!それ以上は申すでない!!」
危ない方向に走ってしまいそうな場の雰囲気を打ち消そうと、大声で彼を制する矢羅傍。
でも、一同ちょっとは羨ましい。
ふと見れば、みんな腰が”く”の字になっている。中座して、自慰に走るものまで出てきた。
七日後、真っ白に燃え尽きた喪手杉と畏敬面が、尻を押さえながら葦之耶を降りていった。
彼らが再び曹操軍の将として復活するまで、今後数年の歳月を要するのである。
しかし、この処置は喪軍内部にも衝撃を与えていた。
その数500人にものぼる喪男たちが、衆道へと走って軍を離脱したのである。
これ以後、もてなさ故に自棄になっての男色が、
喪の滅亡に至るまで国家の重大問題として存在し続けるのであった。
葦之耶の戦い―――― 勝つには勝ったが、喪にとって犠牲の大きい勝利であった。
矢羅内科(やらないか)・・・血筋では矢羅傍の叔父にあたる。
矢羅傍の祖父・矢羅汁(やらしる)は苦労の末に醜女の林増美(リン・ゾウメイ)と結婚したが、
林増美は葬式の見舞金のために矢羅汁の食事に砒素を盛り、暗殺を図るも失敗。
内の臓を病んだ矢羅汁は、名医華陀の診察を受け、最終的に全快したが、
その時に生まれた子が彼である。
彼は華陀の内科治療への感謝から、矢羅内科と名づけられた。
長じて、あまりにもてないことから男色にはしり、新たな楽しみを見出す。
知略も武力もいまいちだが、以後は拷問担当として喪の中で一定の存在意義を持つ。
釜堀(かまほり)・・・矢羅内科に手ほどきを行った生ぐさ坊主。特技は掘ること。
451 :
('A`) :04/10/05 21:43:34
あげ
452 :
('A`):04/10/05 22:32:42
もつあげ
453 :
('A`):04/10/05 23:15:40
乙!そしてGJ!!
なんか色々予想してたけど、意外な結末だった。
まさかリン・ゾウメイが出るとは・・・w
喪男が結婚できるのって
こんなのだけか…orz
455 :
('A`):04/10/06 07:35:56
最高です喪夏さん
456 :
('A`):04/10/06 22:22:44
おもしろいスレ発見!
457 :
('A`):04/10/07 03:14:38
もっと古い時代のエピソードも見たいもんだな。
黄巾賊が暴れてた頃くらいの、、
書く人は書きます予告した方が良さそうだね
せっかく書いたのに同じ時の話書いたらぐちゃぐちゃになるし可哀想だしな
いかがでしょう
フラッシュ板に持って行きたいな
459 :
白喪隊:04/10/07 16:27:04
すばらしいです。このスレ!orz
460 :
夏喪 ◆f3h/vmOhIk :04/10/08 01:40:13
喪手内らが豚足独秦を迎えた頃、呉の城下はさる事件に沸きかえっていた。
三十歳で世を捨てて山に篭り自涜を極め、齢八十にして悟りに至ったと噂される、
御喃仙人(おなん・せんにん)が呉都にやって来たというのだ。
彼は生まれてこのかた童貞を貫き、妖精・天使を経てついには神仙へと至った偉人で、
ひろく民衆の信仰を集めていた。
御喃仙人は、従来右手を使うほかには何ら考案されていなかった陰陽自涜法を多数編み出し、
長年里の子供たちに教えてきたというので、一部の母親たちを除く多くの人民(特に男)から、
深い感謝と畏敬の念をもって見られていた。
人間、何事であれ極めれ尽くせば尊敬を得るのである。
彼の行くところ、自分のおかずの詳細を仙人に報告せんとする男あり、
自慰の材料として生下着をうやうやしく差し出す女あり、
新しい自慰の方法を教えてもらおうとする子供ありで、常に黒山の人だかりができた。
「仙人よ!前回お教え頂いた蒟蒻(こんにゃく)自涜は、もはや極みに達しつつありまする。
他に何かご存知ではありませんか?不肖私、今はしがなき素浪人の身、自涜しかすることがありませぬ」
ロバのような顔をした若い男が、必死な様子で質問をぶつける。
「ホッホッホ。あなたは毎回特にご熱心ですな。では褒美がわりに、わしのとっておきをお教え申そう。。
大判の餃子の皮を人肌に暖め、それに水を塗ったもので珍宝を擦ってみなされい。。
こうすれば、自らを新たな仙境に導くことができ、運も開けてゆくはずじゃ。
近いうちに、仕官の口でも見つかるかもしれませんぞよ、、、、、、、のう、諸葛瑾どの。」
男を相手に、従来想像だにされ得なかった自慰の方法を伝授する仙人。
仙人の口から新たな方法が伝授されるたび、群集の間から感嘆の声が漏れる。
その人だかりを掻き分けて、粉屋に餃子皮を大量発注しに走る諸葛瑾。
「むむむぬんっむっつ、、、むはああっっ!!
この武沙、御喃仙人の自涜四十八手、全て漏らさず聞き覚えて参ったあああッ!!」
喪将がまとめて住まわされているボロ屋敷へ、普段以上に暑苦しいオーラを纏ってドタバタと走りこんできた武沙。
「ぬおおおおおっつつ!!でかしたああアアッ!!」
そんな彼につられて、更にあり得ないテンションで労をねぎらう喪手内。正直言って引く。
その手には、近頃呉国で地下出版され喪男(だけ)の絶大な人気を誇る禁書、
実物の3倍はある巨大な胸と眼を持つ両喬姉妹が奇怪な触手の怪物に陵辱されるさまを描いた書物、
『同仁志(どうじんし)』が握られていた。
「これを書いた人物、、、ぜひ会ってみたいものじゃ。。。。フワッ!!」
隣室にて、早速武沙から聞いた即席麺自涜を、同仁志を片手に試しながら、喪手内は呟き、果てた。
しかし、喪男特有の異常勃起が災いし、
もの凄い勢いで弾け飛んだ精子は同仁志の表紙にべったりとかかり、その上の文字を消し去ってしまった。
「御托」という作者名は、このとき結局喪手内の眼にとまることはなかったのである。
そして次の日。
久しぶりに宮殿の高台から街を見下ろした孫策に、ついに御喃仙人に群がる群衆の様子が眼に入った。
「あれは何じゃ?」と尋ねる彼に、耳打ちして答える臣下。
孫策は激高した。
「ぬぬぬ。きやつを捕らえよっ! 国におかしな宗教がはやり、民が皆それを信じ出したらその国は終わりじゃ!
あのような汚らしい爺いにわが呉の風紀を乱されてなるものかっ!」
<つづく―――中途で終わってごめん>
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('A`):
ワラタ