「2045年問題 コンピュータが人類を超える日 」(松田卓也著)を読んでみた [転載禁止]©2ch.net

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1 【中国電 73.4 %】 ◆fveg1grntk @転載は禁止
将棋の世界ではもはやコンピュータが人類を超えたと評判だが、本書はボードゲームの話ではない
あらゆる知的能力においてコンピュータが人類を超え、科学技術の進歩を支配するという話である
この「技術的特異点」と呼ばれる現象が出現するのは、SFに描かれるような遠い未来ではない
その日がやって来るのはわずか30年後の2045年と予測されている

コンピュータの進歩の特徴はその驚異的なスピードである
ムーアの法則からも分かるように、その進歩は指数関数的である
将棋ソフトを例に取ると「弱すぎて人間の相手では無い」からしばらくして「アマチュア強豪並」になり
あっという間に「プロレベル」になったかと思った瞬間には「プロ棋士でも敵わない」状態へ・・・
人間が「この調子で進歩していくと○○年後には△△まで到達する」なんて想像するよりも、圧倒的に早く「△△」まで行ってしまうのだ
現状、コンピュータは将棋のプロ棋士を負かすほどには強くなったが、より抽象度の高い概念の理解やパターン認識などまだまだ人間に及ばない分野がたくさんある
あくまで「これまでの進歩ペース」で考える限り、コンピュータが人間以上の知性を持つなどということは遠い未来としか思えない
しかし、それは私たちは「指数関数的増大」の威力を感覚的に理解できていないからである

人間とコンピュータの思考方法は根本的に異なる
コンピュータには人間には不可能な圧倒的な「量」を持っている
たくさんのデータとそのデータを機械的に処理するスピードが最大の武器だ
一方、人間はコンピュータが不得意なパターン認識力の高さがある
この効率の良い高い「質」がコンピュータには無い人間の強みである
しかし、コンピュータが持つ圧倒的で膨大な「量」がある一定以上に達すると、「質」に転化するのだ
コンピュータはコンピュータ特有の弱点を克服するのではなく、コンピュータ特有の長所をゴリ押しすることで、その弱点を無効化することができる
これが現在将棋界で起こっていることであり、今後あらゆる分野で起こるであろう構造である

本書のタイトルが示唆している主題は、2045年に技術的特異点を迎えることがなぜ「問題」になるのかということだ
コンピュータが賢くなれば、その恩恵を受けて人間は便利で楽な生活を送れるというのが楽観的な予測である
一方で意識を持ったコンピュータたちが、人類に反旗を翻し、人類を人類にとって好ましくない方法で支配してしまうという悲観的な予測もある
実際のところは「分からない」が正確な答えであろう
なにせ相手は人類の知性を超えてしまった存在、God Like Machine、である
人類がどんなに頭を悩ませても、その超人類の行動を予測することは不可能だ
ただ、「自らを超えた知性が何をしでかすか」を考えることは、一種の知的遊戯として楽しむことができるだろう
あと30年くらいは・・・