「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」二次創作用スレ2©2ch.net
2 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 21:47:22.63 0
3 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 22:27:59.77 0
タイミング悪くスレが重複してしまいましたが
こっちのスレが本スレということでお願いします
4 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:08:31.41 0
◇
「舞踏会のドレスが無いわ。じいや!ばあや!」
マーガレットの声が響く。
いつもと変わらない光景。
クランの少女達は、誰もその声に耳を傾けることは無い。
「ねえ、どこなの!」
マーガレットと目が合わぬように、少女達が視線を逸らす。
ある物は侮蔑の目で彼女を眺めた。
雨のクランの遊戯室にマーガレットが現れると、自然にその周りから人が居なくなる。
頭のおかしい少女マーガレットと、関わり合いになりたいと思う者は誰もいなかった。
マーガレットは何を分からず、どうして自分の周りに誰も居ないのか理解出来ない。
お城の中の視線は全て自分を蔑んでいて、プリンセスに対する敬意の欠片も見当たらない。
不安で、マーガレットは叫び続けた。
どうすることも出来なくて、寂しくて叫び続ける。
目に涙を浮かべながら、マーガレットは毎日自分の存在を主張し続けた。
5 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:09:03.28 0
ジャスミンはいつものようにミモザ、クレマチスと連れ立ってクランを歩いていた。
もうずっと一緒にいる3人。特別な絆を感じ、いつも寄り添っていたけれど
そのきっかけが何だったのかは分からなかった。
遊戯室に訪れると、三々五々お喋りに興じる少女たちが目に入る。
ジャスミン達もその輪に加わり、腰掛けてお喋りを始めた。
と、視界にたった一人で何かを叫んでいるマーガレットが映る。
誰も相手にしない、頭のおかしな女の子。
不意にジャスミンは、酷く懐かしく悲しい感覚に襲われた。
そして、マーガレットがら目を離すことが出来なくなる。
動悸が激しくなり、耳鳴りがし、胸が苦しくなるその感覚に酷く戸惑った。
ジャスミンの様子に気付き、その視線を追ったミモザとクレマチスもまた、同じ感覚に襲われる。
他の生徒たちがそんな三人を不思議そうに見た。
「どうしたのジャスミン?マーガレットなんか見て」
そう声を掛けられた瞬間、ジャスミンの中に不意に言葉がせり上がる。
「マーガレット…お姉さま…?」
思わず呟いた言葉に自分でも酷く驚いたけれど
それとは裏腹に胸の内には暖かさと寂しさが満たされていった。
6 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:09:29.15 0
「お姉さまって…。私たちのお姉さまは監督生のお二人だけでしょう。
それによりにもよってマーガレットをお姉さまだなんて」
「ジャスミンも繭期をこじらせちゃったんじゃないの?」
「ちょっとジャスミン、勘弁してよ」
他の生徒が呆れるやらはやし立てる中で、ジャスミンはただじっとマーガレットを見ていた。
寂しそうに、目に涙を浮かべ一人で何かを言い続けるマーガレットをじっと。
いつしかジャスミンの目からは涙が流れていた。
「ちょ、ちょっとジャスミン?どうしたのよ」
少女たちの方を振り返る。
ミモザとクレマチスのを見ると、二人もまた涙を流していた。
その理由が全く分からないのに。
その時からジャスミンの心を不思議な感覚が埋め尽くしていた。
マーガレットの姿が頭から離れない。
そして、ミモザとクレマチスもまた同じ感覚に襲われているのだと直感した。
だけどそれを確かめあうことも出来なかった。
全く意味の分からない自分の心理状態を、どう説明すればいいかも分からなかったし
ミモザとクレマチスもまた、同じ状態なのだと思った。
7 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:10:16.18 0
夜、悶々とした感覚と一日中戦い疲れて自室に戻ったジャスミンは
自分の枕元に見慣れない本を見つけた。
随分と古い、装丁のいい児童書。
そんなものが自分の持ち物にあっただろうかと思いながら
不思議な魔力に吸い寄せられるようにそれを手に取った。
異国のお姫様の物語。
美しく、聡明で、少しだけ我がままな。
みんなから愛されたお姫様の姿がそこにある。
夢中でページを捲るジャスミンの目が潤み出す。
物語を追いながら、またマーガレットの姿が頭の中を埋め尽くす。
衝動に逆らえなくなった時、ジャスミンは小さく呟いた。
「姫、姉さま…」
瞬間、とめどなく涙が溢れ出した。
ありえないはずの感覚。
だけど、胸がマーガレットへの愛おしさで溢れていく。
寂しそうに一人佇むマーガレットの姿が思い出される。
”大好きよ、ジャスミン”
聞いたことのないはずの言葉が次々と頭の中に浮かび上がる。
”あたた達が愛してくれるから、私は私で居られるの”
それは確かにマーガレットの声で頭に響いた。
8 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:10:48.41 0
胸を掻き毟られるような、誰にどう説明することも到底不可能と思われる悲しみが襲う。
ジャスミンは居てもたってもいられず、部屋を飛び出した。
クレマチスとミモザの二人部屋の戸を強くノックしたジャスミンは
その間もずっと涙を流しマーガレットのことを考えていた。
「ジャスミン?どうしたの?」
部屋から顔を覗かせた二人が酷く驚いてジャスミンに近づく。
ジャスミンは涙に濡れた、それでも強い目で二人を見た。
「ミモザ、クレマチス…私…」
二人の肩を掴み、口を開いたジャスミンは、そこで一度言葉を切った。
自分が今から口にしようとしていることが、おかしなことだと分かっていた。
もし二人がそれを聞いて、ジャスミンもまた頭がおかしくなったのだと、
そう思われたらどうしよう。
そんな恐怖がちらつく。
だけどジャスミンは、何の確証も無いまま、内から湧き上がる衝動を信じた。
「マーガレットお姉さまの…姫姉さまの側に居なきゃ…」
ミモザとクレマチスが、その言葉に驚き固まる。
それからみるみるとその目を潤ませ、ジャスミンと同じ泣き顔になった。
二人は泣き顔のまま、強くジャスミンに頷き返した。
「行こう、姫姉さまのところへ…」
9 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:11:39.26 0
3人は夜のクランを歩きマーガレットの部屋の前まで来ていた。
誰も口を開くことなく。
誰も、自分の感情を説明することが出来なかった。
冷静に考えれば、クランでも誰も相手にしない頭のおかしなマーガレットを『姫姉さま』などと呼び
その元を訪れるなんて馬鹿げている。
まして、そうするだけの理由に、何の心当たりも無い。
なのに3人は同じ気持ちでそこに向かった。
根拠は心の奥底から湧き上がる衝動、それだけ。
3人でマーガレットの部屋の前に立つ。
訪れたことも無いはずのその場所が、何故か酷く懐かしい。
代表してジャスミンが小さく戸を叩くと、随分遅れて「だれ?」というくぐもった声が聞こえた。
「ジャスミンとミモザとクレマチスです」
涙を拭いジャスミンが強い声を出す。
迷いが消えていく。
怯えたように、恐る恐る戸を開きマーガレットが顔を出した。
3人を、緊張が襲う。
マーガレットが部屋の前に立つ3人を見回し、また怯えたように小さく声を出した。
「だれ…?」
10 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:12:06.59 0
拭いたはずの涙が、またジャスミンの頬を伝った。
だけどジャスミンは、笑顔を浮かべた。
怯えるマーガレットを安心させるように。
「ジャスミンです、姫姉さま。御側を離れてしまって、申し訳ありません」
自分の発している言葉が、このクランにおいてあまりにもおかしいことだとは分かっていたけれど
ジャスミンは笑顔を浮かべたまま、強く言い切った。
マーガレットは戸惑いの表情を浮かべたまま、そわそわと3人の顔を見比べた。
「私たちも…一人にしてしまって御免なさい、姫姉さま」
ミモザが言う。
マーガレットがまた不安気にその顔を見た。
それから、小さな声を出す。
「…ないてるの?」
ジャスミン達は、その小さな、だけど自分達を気遣う言葉に
胸を震わせ、愛しさに満たされて笑みを深めた。
マーガレットの愛らしく小さなその胸に、飛び込みたい衝動に駆られる。
11 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:12:36.95 0
「大丈夫です、姫姉さま…。私たちは辛くて泣いてるわけではありません」
「そうなの…?」
マーガレットが心配そうにミモザとクレマチスを見ると
二人も泣きながら、だけど満面の笑みで強く肯いた。
「そっかぁ」
時間をかけて、ゆっくりと強張っていたマーガレットの表情が緩んでいった。
それから、その顔に遠慮がちな笑みが浮かぶ。
3人は震える足を気力で支えながら、ただ愛おしさと嬉しさの衝動に耐えて突っ立っていた。
「もう、遅いじゃない…。
3人とも、てぃーたいむが始まるわよ。はやくいらっしゃい」
マーガレットが言うと、3人は箍が外れたようにまた涙を流しマーガレットに抱き付いた。
その行動の意味が分からずびっくりしたマーガレットも
自分に縋り子供のように泣く3人が愛しくて、しばらくその背中を撫で続けた。
12 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:13:28.05 0
◇
さるの予感なのでまた後で
>>1 スレ立て乙あり
13 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:48:16.41 0
俺氏号泣
14 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:49:16.53 0
泣ける 末満に読ませたいわw
15 :
マーガレットの話@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:58:59.10 0
◇
マーガレットの部屋に上がり、4人は一緒に就寝前のお茶を楽しんだ。
相変わらず、マーガレットの言うことは訳が分からないことばかりで
自分たちもまた彼女の妄想の登場人物になっているらしかった。
だけどそれを嫌とは思わなかった。
寧ろ心地よく、昼間悲しそうにしていたマーガレットが、今笑顔でいてくれることが何より嬉しかった。
お茶を飲み、夜も深くなるまで4人はお喋りに興じた。
3人にとっては、あまりにも自分たちの行動が不可解で、他の生徒たちに何と言われるか解らないものだったけれど
何を言われてもいいと思った。
頭のおかしなマーガレット。
だけど触れ合って、お話をして、マーガレットがとても純粋で心優しい少女だと分かった。
自分の奥底にある衝動とは別にしても、ジャスミン達はマーガレットのことが好きになっていた。
会話が途切れ、雨の音が響き出すと、そろそろお開きかという空気になる。
それを敏感に感じ取ったマーガレットが、不意に不安げな表情になった。
今まで得意気にお姫様の妄想を披露していたその表情が、夜に怯える子供のそれになる。
「…かえっちゃうの?えっと、タナベ…」
「ジャスミンです、姫姉さま」
ジャスミンは、会話中何度名乗ってもなかなか名前を覚えてくれないマーガレットに苦笑しながら優しく言った。
16 :
マーガレットの話@転載は禁止:2014/11/14(金) 23:59:31.22 0
「帰りません。今夜は寂しいので、一緒に居させて下さい」
「私たちも、いいですか?姫姉さま」
「ササキ、カガ…」
「ミモザです」
「クレマチスです」
不安に揺れていたマーガレットの目が、安堵の色に変わる。
「しょうがないわね、あなたたち。
今日はあたしの部屋に泊まっていきなさい」
「はい、姫姉さま!ありがとうございます!」
4人は一緒にベッドに入った。
今まで話したことも無かったマーガレットと一緒に眠る。
それがどれだけ変なことか、ジャスミン達は重々承知していた。
だけどちっとも嫌じゃないし、どこか懐かしい感覚になった。
マーガレットを一人にしない。
そんな使命感にも似た気持ちが湧き上がる。
3人の気持ちを知らず、マーガレットは安心しきったように寝息を立て始めた。
◇
17 :
マーガレットの話@転載は禁止:2014/11/15(土) 00:00:17.77 0
それからジャスミン達3人は、いつもマーガレットの側に居るようになった。
それに伴い、段々と他の少女達から3人も浮いていった。
マーガレットの妄想に付き合う姿を見て、3人もまた繭期を拗らせておかしくなったのではないかと噂される。
幾度もそのことの弁明を試みたジャスミンも、やがてそれを諦めた。
自分達が何故、そうまで言われてもマーガレットの側に寄り添うのか、何も説明する言葉が無い。
まるで魂が要請しているように、ただ強い衝動によって突き動かされていた。
マーガレットを決して一人にしない。
寂しい想いをさせない。
涙を流させない。
その為に、陰口も視線も、甘んじて受ける。
時にそれは3人の心に強い負担を与えたけれど、それでもマーガレットの側にいることを選び続けた。
次第にマーガレットも3人を心から信頼するようになった。
子供のように無邪気なマーガレットはそれを表情や仕草で存分にあらわしてくれるから
それが3人の支えになった。
そうして暫く時が過ぎた。
ジャスミンは、時が経てばあの時自分に襲った感覚の正体、マーガレットに固執する衝動の理由が判然とするものと思っていた。
だけどどれだけ一緒に居ても、その理由は分からず、どこにもそれをすべき記憶は無い。
そのことに次第に不安を覚えるようになっていた。
やはり、理由などはどこにもなく、ただ自分の頭がおかしくなってしまったのでは無いか。そんな不安が日に日に高まる。
だけど一緒に居て、マーガレットのことを理性の上でも好きになっていた。
だから、彼女の側に居たいという自分の衝動を、論理的な思考が否定しようとすることが怖かった。
ある日、ジャスミンはマーガレットに提案をした。
それは、禁を犯すこと。
自分の全てをマーガレットに委ねる提案だった。
だけどそれを言い出すことに、驚くほどに抵抗は無かった。
18 :
マーガレットの話@転載は禁止:2014/11/15(土) 00:00:59.44 0
「かむ…?ジャスミンを?」
「はい、姫姉さま。お姉さまに、私を噛んで貰いたいんです」
提案を受けたマーガレットは戸惑いの表情を浮かべミモザとクレマチスを見た。
最初ジャスミンの言葉に驚いた二人も、次第にその意味を理解し、肯いた。
「私も、噛んで下さい姫姉さま」
「私も」
マーガレットにはその意味が分からず
ただ真剣な妹たちの表情を不思議に思った。
「でも、痛いでしょ…?」
「痛くありません。
これは私がいつまでも姫姉さまの側にいる為の、誓いの儀式です。
プリンセスとして、そしてその妹としてとても重要なことなのですよ、姉さま」
それは血盟議会の掟で固く禁じられた行為。
だけどジャスミンは強くそれを欲していた。
自分が、マーガレットの意に沿わぬことをしてしまわぬように。
また側を離れてしまわぬように。
マーガレットの心を裏切るような真似を、絶対しないと思いたいけれど、
自分の心の強さに自信が持てない。
マーガレットを愛する理由を探してしまう自分が嫌で仕方ない。
きっと理由なんて要らない。今側に居たいと思う、それだけでいいはずなのに。
だからもしもの時の為に、イニシアチブで縛って貰いたかった。
それはただ、安心感を得たいというエゴだと分かっていたけれど。
19 :
マーガレットの話@転載は禁止:2014/11/15(土) 00:01:25.79 0
戸惑うマーガレットにジャスミンが抱き付く。
そして束ねた黒髪を退かし、首筋をマーガレットの顔の前に差し出した。
「ここを。
お願いします、姫姉さま。大丈夫ですから」
マーガレットは、ジャスミンの白い首筋をまじまじと見つめ、暫く逡巡した後
柔らかくその透くような肌に噛みついた。
「…だいじょうぶ?」
「大丈夫ですよ。姫姉さま…ありがとうございます」
暫く抱き合いそれから身体を離す。
ジャスミンの目に涙が浮かんでいた。
それは歓びの涙だと強く感じる。
マーガレットは同じように、ミモザとクレマチスの首筋も噛んだ。
4人はそうして、イニシアチブの主従関係を結ぶこととなった。
だけどマーガレットは一度も、その力を行使することは無かった。
イニシアチブが何かも、マーガレットは理解していなかったから。
20 :
マーガレットの話@転載は禁止:2014/11/15(土) 00:02:01.76 0
それ以降は、ジャスミン達も吹っ切れたように
他の生徒の目を気にすることが無くなった。
開き直り、マーガレットに付き合ううち、すっかりそれも馴染んでいった。
誰も親しくジャスミン達に話しかけることは無くなったけれど
いつも楽しそうにクランを4人で歩き回る姿を、そういう風景として認めるようになった。
マーガレットは繭期を拗らせて自分をどこかの国のお姫様と思い込んでいる。
そのことは少女達にとって変わりなかったけれど
いつも3人と楽しそうにしているマーガレットの笑顔に、嫌悪感や侮蔑の視線は薄れていた。
いつも寄り添い、妄想しながら楽しそうにしている。
まるでピエロのようだったけれど、ピエロ達の道化は時に少女達に笑いを齎した。
そうして4人は、クランの中で不思議な市民権を得た。
ある日、遊び疲れたマーガレット達は
談話室で眠りこけてしまった。
少女達は、関わろうとはしなかったけれど、幾らか微笑ましい気持ちで4人の少女達の寝姿を眺め部屋を後にする。
誰も居なくなった部屋で眠る四人のところに一人の少女が近づいた。
それはスノウだった。
スノウは、眠るマーガレットの側にそっと近づきその頭を撫でた。
21 :
マーガレットの話@転載は禁止:2014/11/15(土) 00:02:45.16 0
「マーガレット…私は…」
”もし私が何かを変えることが出来たなら…あなたがそれを見届けたなら。
あなたにも、何かをして欲しい。諦めて、閉じ込めてしまわず、幸せになるために何かを”
スノウの脳裏には、いつかマーガレットが言った言葉が浮かんでいた。
スノウは見届けた。
マーガレットの『結果』を。
少しだけ、期待していたのだ。無責任に、マーガレットならば何かを成し遂げられると。
だけど何も変わりはしなかった。
いや、もしジャスミン達が居なければ、マーガレットは孤独の淵で苦しみ続けたかもしれない。
せめて4人が一緒に居れてよかった。
だけどクランも、ファルスも何も変わらなかった。
全てを賭け、その人格の全てを失ってまで、マーガレットが変えようとしたというのに。
スノウはもはやその目に、哀しみを浮かべることすら難しくなっていた。
みんなは覚えていない。
だけど、以前のマーガレットが『死んで』しまったことを、スノウだけが覚えているのだ。
あの時もっと強く止めていれば。
そんな後悔も、もう波が引いてしまった。
マーガレットのことを、その末路を直視することは、もう出来ない。
そんなことをすれば、本当に自分の心もまた壊れてしまう。
悲しみと絶望の為に。
だからスノウは決めた。
もう何もしない。
ただ、耐えて、このクランで生きるのだと。
22 :
マーガレットの話@転載は禁止:2014/11/15(土) 00:03:22.01 0
もう二度とマーガレットに関わることも、誰と関わることもしないと心に決めた。
リリーにもう一度話してみようと、そう思っていた。
マーガレットが何かを成し遂げたら、そうしてみようと。
でももう、そんな気にはなれなかった。
もう一度スノウは眠るマーガレットの髪を撫で
それから寂しそうに俯いてその場を離れていった。
時は過ぎ、クランからシルベチカが居なくなった。
誰もそれに気付くことは無かった。
マーガレットも、気付かない。
マーガレットは、シルベチカなんて知らなかった。
いつか微笑みを交し合った友人の死を、知らなかった。
ただマーガレットはジャスミン達と4人で、楽しそうにクランで暮らしていた。
最期は突然だった。
マーガレットが用意したお茶菓子を広げ、いつものように4人でティータイムを楽しもうと準備していた、まさにその時
何の前触れもなく剣を手に取った四人は、お互いの身体を切り裂き、胸に剣を突き立てて絶命した。
折り重なるように、ジャスミンとミモザとクレマチス、そしてマーガレットは息を引き取った。
その最後に、プリンセス・ピエレット・マーガレットが何を思ったのか、誰も知らない。
物語にも記憶にも、マーガレットのその生涯が記されることは無い。
その亡骸はただ炎の中に消えた。
23 :
マーガレットの話@転載は禁止:2014/11/15(土) 00:03:53.88 0
終わり
読んでくれた人ありがとう
24 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/15(土) 00:31:32.94 0
涙が止まらない・・・劇では笑えるシーンだった名前を間違えるところさえ切ない。。。
完結お疲れ様でした また違う話も楽しみにしてます あとあっちの方もそろそろ続きをw
25 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/15(土) 00:44:02.15 0
こちらこそありがとう
こんなに切なくなるなんて
26 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/15(土) 01:08:13.95 0
やっぱり最後はこうなるのね
まあ元の話がそうだから仕方ないけど切ないな
素敵な話をありがとう
27 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/15(土) 01:54:06.72 0
終わり方があっさりまとめられているのがまた切ない・・・
28 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/15(土) 06:42:37.54 O
一人ぼっちのマーガレット
お疲れ様でした
イニシアチブに抗う健気な4姉妹
美しいです
29 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/15(土) 07:53:09.54 0
姫姉様ぁぁぁぁ
30 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/15(土) 12:25:44.62 0
泣いた
31 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/15(土) 14:49:06.78 0
ほ
32 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/15(土) 20:48:34.73 O
守
33 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/15(土) 23:54:01.92 0
姫姉様……
34 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/16(日) 12:12:42.73 0
せつねえ
35 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/16(日) 16:17:21.25 0
ほ
36 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/16(日) 18:12:17.78 O
マーガレット感動しました
記憶を無くしたマーガレットお姉様をジャスミンや妹達が保護者的な役割で護り続ける
頼りたい頼られたい
信頼とはどう云う物か
悲劇で終結してしまう物語ですが美しい
ただ最期のお茶会の部分に余白が有ったので
想像の翼を広げて掘り下げてみました
37 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 18:18:01.38 O
今日のマーガレットはいつもより早くにお茶会の準備を始めて居た
お茶菓子にと思いクッキーを焼いて居た
女子寮のキッチンをこっそり使って三人を驚かそうと画策してた
しかしキッチンテーブルが高くて作業がし辛いから
箱馬の台に乗って悪戦苦闘してる
小麦粉と砂糖を竜胆に書いてもらったレシピ通りに量って
水を注いで混ぜようとしたら
バランスを崩してひっくり返り
頭から粉を被って真っ白になってしまった
「もう!!失敗してしまいましたわ!!」
38 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 18:19:11.97 O
その頃
マーガレットの部屋にジャスミンがやって来て
「姫姉様お話が有るのですが…」
と伺ったのに留守だった
「姫姉様はどこにいらっしゃるのかしら」
と言って女子寮を探してたら
騒がしい音に気が付き
キッチンをそーっと覗くと
粉塗れのマーガレットがそこに居た
「あ〜?!!姫姉様〜!?
どうなされたのですか?真っ白ですよ」
「あ〜あ、見付かってしまいましたわね〜」
「何か作ってらしたのですか?」
と聞くと
「いっつも皆んなに迷惑掛けてるからクッキーでも作って喜んで貰おうと思ったのよ」
と頬を赤らめて恥ずかしそうにしてるマーガレットにジャスミンが
「迷惑だなんてとんでもない!!」
そう言って涙目のジャスミンはマーガレットに抱き着いた
マーガレットが「ありがとうございます姫姉様…私達は姫姉様が居ないと寂しくて寂しくて仕方が無いのですよ」
マーガレットは涙目になり無言でジャスミンを抱きしめた
39 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 18:41:50.09 O
「あ!ワタナベまで小麦粉で真っ白よ」
「あ!ホントですね!
これで私も姫姉様と同じで真っ白です」
お互いの真っ白な顔を見合わせて吹き出して笑っていた
ジャスミンが
「クッキーはお茶菓子用ですのね?」
と聞くとマーガレットが
「ええ、そうなの」
と答えたらジャスミンが
「私クッキーを焼くの得意ですので
お手伝いします一緒に作りましょう」
と提案した
「手伝ってくれるの?」
「勿論です。ちょっとでも長く姫姉様の笑顔が見たいですから」
ジャスミンがそう言って微笑むとマーガレットも微笑んだ
「どうせならクレマチスとミモザも呼んできて4人で作業をしましょう。その方がもっと楽しいですわ」
そう言ったジャスミンが続けて
「呼んで来ますから待ってて下さいね」
そう言ってジャスミンは二人を連れて来た
40 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 18:49:12.41 O
ミモザが
「姫姉様真っ白〜」
と言うと
クレマチスが
「これはどうされたんですか?」と聞いてきたので
マーガレットが
「クッキーを作ってるのよ」と言って小麦粉を両手に掴んで放り投げた
「キャー姫姉様〜やりましたわね〜」
クレマチスもミモザも小麦粉を掴んで撒き散らした
マーガレットが
「キャハハは皆んなも真っ白〜」
四人は楽しくて仕方が無く笑い声がキッチンに響いていた
ジャスミンが
「そろそろちゃんとクッキーを作りましょうか」
と言うとクレマチスが
「そうですね、このままでは小麦粉が無くなってしまいますから」
マーガレットが
「それじゃあ皆でクッキーを作りましょう〜」
『ハーイ姫姉様〜』
と三人が声を揃えて答えた
こうして4人は粉塗れになってクッキー作りを楽しんだ
41 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:07:18.01 O
クッキーの形を作り終えてマーガレットが
「出来たわ!後は焼くだけね!」
そう言ってクッキーをオーブンにセットして薪に火を付けた
「私は火加減を見てますから貴女方はシャワーを浴びてこられたらどうでしょう?」
マーガレットは
「そうね
粉塗れのお茶会も悪くは無いけどサッパリしよう」
と言うと
二人が「賛成〜」
そう言って三人でシャワーを浴びに行った
それからしばらくして
「さあクッキーが綺麗に焼けましたわ」
ジャスミンは焼き上がったクッキーをオーブンから出してトレイに移した
42 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:08:29.69 O
するとシャワーから上がってサッパリした三人が帰って来た
そしてマーガレットが
「私のクッキーは焼けたかしら?」
と言ってたが
殆どジャスミン、クレマチス、ミモザが手伝わなければ出来無かったのだけれど
「姫姉様のクッキーが焼き上がりましたわ」
とジャスミンは答えた
オーブンから焼き上がったばかりの香ばしい甘い薫りが辺りを漂い
その香りをお腹いっぱい嗅いだマーガレットは上機嫌だった
「良いにおいね」
そう言うマーガレットに続いてクレマチスとミモザも口々に
「本当!!良いにおい!!」
「姫姉様のクッキーおいしそう」
と言っていた
43 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:09:28.32 O
「さてお味の方はどうかしら〜?」
マーガレットが焼き上がったばかりのクッキーを味見しようと一つつまんだが
「アチッ」
「大丈夫ですか?姫姉様!!」
と三人が気遣かった
「貴女達!! 焼きたてのクッキーは熱くて危険よ!!」
ジャスミンがクスっと笑い
「姫姉様ったら慌てん坊さんね」
火傷をした指を困った顔をしてくわえてるマーガレットを愛おしく思い
「少し冷ましてから味見してみましょう」
と言ったら
マーガレットが
「そうね。貴女達!!冷めるまで待ちますわよ!!」
「はい!姫姉様!」 と三人は声を揃えて答えた
44 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:15:58.80 O
ジャスミンが
「冷めるまでまだ時間が有るから私もシャワーを浴びて来ますね」
と言ってイソイソとシャワーを浴びて帰って来た
ワクワクしてるマーガレットが
「今日のお茶会はいつも以上に楽しみね
皆に私のクッキーをごちそうするんですから」
ミモザが「本当に楽しみ〜」
と言ったところでクレマチスが有る事に気が付いた
「あ、いけませんわ姫姉様…」
「どうしたの? 」
とマーガレットが聞くとクレマチスが
「クッキーを夢中で作りすぎてしまいました」
四人で山盛りのクッキーを眺めて
「本当ね〜凄い量〜」
45 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:23:25.42 O
ジャスミンが
「どうします?」
と言うと
「私が全部食べるから安心して姉様方」
とミモザが得意げに答えた
するとジャスミンとクレマチスに
「無理しないで」
「適量を越えてはいけませんよ」
などと注意されてシュンとした
ジャスミンが
「仕方有りませんわ余ったクッキーは後で女子寮の皆さんに差し入れしてみては?」
と提案したら
「それは良いアイデア!!」
とマーガレットは必要な分を取り分け
残りを大きめのバスケットに詰め合わせた
46 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:30:33.00 O
「ちょっと待って!!
クッサイわね〜何よこの臭い…これじゃあクッキーが台なしよ!!」
マーガレットが突然立ち上がって叫んだ
ジャスミンが
「何のにおいかしら?
姫姉様行って見ましょう」
四人はキッチンを出てマーガレットが指を指す方向に進んだ
そしてマーガレットが
「クッサイわね〜どうしてこんなに臭いのかしら
なんだかどぶねずみの臭いがする
可笑しいわね〜どぶねずみなんてどこにも居ないのに…」
不思議そうに四人が歩いてるとその先に一人の少女が居た
においの元がマリーゴールドだと確信したマーガレットが
「あ!マリーゴールド!!
貴女だったのね?」
「ダンピールはどぶねずみの臭いがするのね
これは新発見!!」
と言い放った
47 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:31:45.66 O
ダンピールってどぶねずみの臭いがするのね」
ジャスミンが「マリーゴールド頭が高くってよ」
クレマチスが「姫姉様に膝ま付きなさい」
さあ何をしてるの早くしなさい!!
と言ってマリーゴールドを膝ま付かせた
マーガレットが「良い様ねダンピールにはお似合いよ」
そう言って4人で笑ってたが
マーガレットは《ちょっと意地が悪が過ぎたかしら…後でクッキーをこっそり渡しておこう》
と思っていた
その瞬間にすっくと立ち上がったマリーゴールドに腕を捕まれた
ちょっとムカッと来たマーガレットが
「汚い手で触らないで」
そう言って振り払おうとしたら力ずくで押さえ付けられ首を噛まれた
そしてジャスミンクレマチスミモザも次々に噛まれた
48 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:33:42.89 O
そして虚ろな意識の中で訳も分からずマリーゴールドの足元に膝ま付いていた
そして剣を手に取りどこかを勝手に歩いていた
薄ボケた視界にスノウが入った瞬間斬りかかった
ジャスミン、クレマチス、ミモザがそれに続いて次々と斬り掛かった
パニックになるスノウに「何の真似よ」
と言われたマーガレットは
自分が何をしてるか理解が出来ず
「違うの…私達何も…」
そう言うとキーンと云う耳鳴りと共に意識が薄れてスノウに斬り掛かった
次に意識を取り戻したのは両手に肉を突き刺した嫌な感触と
生暖かい濡れた感触を感じたからだ
目に映る自分の手はファルスを剣で刺してる
『どうして?』
そう思った途端にまた意識を失った
続
49 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:41:23.29 O
次に気が付いた時にはお茶会の準備をしてた記憶まで巻き戻どってた
「アレアレ?」
何故地面に寝てるのか不思議がりながら
三人に「ティータイムの時間だわ貴女達行きますわよ」
と言って
「ハーイ姫姉様〜」
「今日は素敵なお茶菓子も有るのウフフ」
マーガレットは4人でキッチンに向かった
ミモザが机の上のお茶菓子を見付け
「クッキー!!素敵です姫姉様!!」
クレマチスが
「ホント美味しそう!!」
と言い
ジャスミンは
「これは姫姉様が作られたのですか?」
「えーっと…そうよ
皆んなに食べて貰おうと思って私が作ったのよ」
50 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:47:01.74 O
ミモザが「凄いです姫姉様どうやって作られたのですか?今度教えて下さいませ!!」
「良いわよ有れは確か粉をレシピ通りに量って水を入れようとしてひっくり返って粉を被る…」
マーガレットはそこで記憶が曖昧になって
「どうしてクッキーが出来たのかしら…」
まあ良いわ素敵なお茶菓子なんだし食べ切れ無い量が有るから少し貰っても平気よね
そう思ったマーガレットは三人に
「そろそろテーブルをセット致しましょう」
と言って
ジャスミンが
「場所はどこが良いかしら…」
とキョロキョロとクランを見渡してたら
クレマチスが
「雨避けの有る屋内庭園にしましょう」
マーガレットがそれに賛同した
「それ良いわねそこに決定!!」
「は〜い姫姉様〜」
51 :
【マーガレット最期のお茶会】@転載は禁止:2014/11/16(日) 19:49:01.95 O
テーブルを運ぶクレマチスとミモザ
後をジャスミンがワゴンにテーブルクロスとティーセットを乗せて付いて来た
マーガレットがその後をクッキーの入ったバスケットを持って付いて行く
『本当に美味しそうね
〜
一つ味見してみようっと』
と思ってクッキーを一つ食べてみた
「何て美味しいの?誰が作ったか知らないけど早く皆んなに食べて欲しいな〜」
楽しそうにお茶会の準備をする4人は
突然のキーンとした耳鳴りに頭を押さえた
まだ続きますが
とりあえずここまでです
52 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/16(日) 20:20:35.25 0
折角良い作品だったのに
53 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/16(日) 21:11:04.91 0
お茶濁された
54 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/16(日) 23:04:37.64 0
最初そんなクッキー作る時間なんてなかったはず?と思ったらそう言うことか
55 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/17(月) 02:54:18.48 0
姫姉様
56 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/17(月) 07:50:52.51 O
ホ
57 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/17(月) 10:36:13.77 O
まー
リスペクトしてるだけの別物
58 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/17(月) 15:34:02.52 O
上げ
59 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/17(月) 19:42:11.77 0
マーガレットの話最高でした!
もう1回最初から読んだら初っ端から涙腺崩壊・・・
本当に上手いなぁとあらためて感服
作者さんありがとうございました
60 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/17(月) 23:57:09.67 0
こんなスレあったんだね
風呂行ってから寝る前に読んでみよう
61 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/18(火) 10:49:33.37 O
上げ
62 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/18(火) 17:07:09.98 0
と思ったら亜作か
でもこれも続きもうちょっとみたいだし完結まで読みたい
63 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/18(火) 19:34:37.65 O
上げ
これは・・・・・・走馬灯というものかしら?
私の中に溢れてくる、忘れさせられていた、たくさんの思い出たち。
懐かしくて、楽しくて、寂しくて、悲しくて・・・・・・。
ああ、そうだわ。
私は毎日その人のそばにいて・・・そう、いつも笑っていたわ。
いたずらをしたり、逆にいたずらされたり。
悪いことをしたら叱ってくれて、良いことをすれば必ず褒めてくれる。
誰もが憧れた、凛と佇む、その背中。
私がどうしてこんなにも人から愛されたいと思うのか。
きっと持って生まれた性分というのもあるのだろうけれど、
あの人に可愛がってもらいたいと強く願っていたこともまた原因の様な気がする。
だってあの人はいつも、リリーやスノウ、他の子たちのことばっかり。
すぐ隣に私がいるのに、あの人の愛情は私以外の人にも注がれていた。
優しく、みんなを包み込む、まさにあの人はこのクラン全員のお姉さま。
ただただ、あの人から褒められたくて、私のことを好きでいてほしくて――。
そんな大好きな人がいたことまでは思い出せるのに。
私はあの人の、名前も、姿も、もう思い出せない・・・・・・。
あの人が一体、いつ、どこへ行ってしまったのかも分からない。
そしていなくなったことにさえ、その時の私は、気づいてもいなかったのでしょう。
あの人は確か、お薬の時間が大嫌いだったわ。
いつも私がかくれんぼに誘っても渋々しか付き合ってくれないのに、
お薬の時間の前には決まって私を誘ってどこかに隠れようって言い出すの。
でもお薬を飲まずに遊んでいたなんて誰かに知られたら叱られるのは明白。
私はそれが嫌で、その時ばかりは大好きなかくれんぼも断っていたわ。
あの人は、それでもどこかに隠れてお薬を飲まなかったことがあったみたいだけれど。
絶対に飲まなければならないと、後で無理矢理に飲まされたと聞いた気がする。
お薬が嫌いだった理由は確か、飲むと気分が悪くなるから、だったかしら。
「この薬、きっと私には合ってないのよ。もっと甘くて飲みやすい薬、開発してくれないかなぁ」
そんな軽口を叩きながら笑っていたけれど、その顔は真っ青になっていたっけ。
そのうち、ただでさえ白かったその肌は青白いことが多くなり。
ただでさえ細かったその体は、病的なまでに痩せていった。
お薬が合わないということがどういうことなのか。
今の私なら分かるのに。
あのときの私は、何も出来ずただただ心配しているしかなかった。
ああ、こんなにも色々思い出してきたのに、まだ思い出せない。
あの人の名前・・・・・・。
こんなに徹底的に忘れさせるなんて・・・ファルス、そんなにも怖かったのね。
自分以外の誰かが万が一あの人のことを思い出して、そして自分の知らないところでその思い出に浸ることが。
あの人の思い出を独り占めしたいぐらい、ファルスもあの人のことが大好きだったのね。
でも私は思い出したわ。
ここだけは、あなたに勝つことが出来たかしら、ファルス?
さて、もう時間みたいね。
辿っていく記憶の糸が、どんどんほつれて、思い出は穴だらけになっていく。
結局あの人の名前は思い出せなかったけれど、最後に素敵な思い出に浸ることが出来ただけでも私は幸せ。
もしも願いが叶うなら。
私が惜しみなく愛情を注いだ、あの三人の愛しい子たち。
いつか私のことを思い出して、こんな風に穏やかな気持ちになってくれる人が、一人でもいてくれますように――。
――彼女の整った顔が苦悶に歪んだのは一瞬だった。
ファルスは荒いままの呼吸を整えながら、横たわるマーガレットを見下ろした。
マーガレットの表情は穏やかで、少し笑っているような、勝ち誇ってすらいるような顔をしている。
彼女が記憶を全て失う直前、一体何を思い出したのか。
それは、もう、誰にも分からない――。
67 :
マーガレットの記憶 保全@転載は禁止:2014/11/18(火) 19:54:38.15 0
以上です
マーガレットの話の設定を勝手にお借りしてすみません
マーガレットがファルスと対峙してブラックアウトした後のお話です
完全なる蛇足ですがたかが保全と笑って流していただければ幸いです
68 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/18(火) 20:12:55.34 0
おつつ
実はまだ読んでないけど後で読みますw
69 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/18(火) 21:25:45.54 0
凛と佇む背中・・・(つД`)・゚・。
70 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/18(火) 21:27:16.99 0
「その人」が誰かわかった時胸と目頭が熱くなった…数年後現実でもそんな風に佐藤も彼女を思い出すんだろうな
71 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/18(火) 23:40:50.56 0
マーガレットの話
ジャスミン達が雷が怖くてマーガレットのところに行った場面と
記憶を無くしたマーガレットの部屋に訪れた場面細かく対比があるんだな
いやはや凄いわ
72 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/19(水) 07:54:34.48 0
かくれんぼ(´;ω;`)涙腺が…
73 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/19(水) 14:34:20.30 O
上げ
74 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/19(水) 15:19:48.07 0
どっちだろ・・・
75 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/19(水) 19:46:16.59 0
どっちかじゃない
どっちもだ
76 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/19(水) 23:45:20.63 O
アゲ
77 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/20(木) 01:08:42.59 0
工藤遥ちゃんのおまんこにフルーチェを流しこんで、おまんこから直接チューチュー吸いたい
78 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/20(木) 01:11:18.33 0
ファルーチェ
79 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/20(木) 01:57:33.00 0
落ちてまう
80 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/20(木) 02:18:00.57 O
アゲ
81 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/20(木) 07:16:53.23 0
保全
82 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:2014/11/20(木) 11:38:02.74 O
保守
83 :
名無し募集中。。。@転載は禁止:
保管