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○大川光三君
ただいまお話がございましたように、再犯者三十一名のうちで、主として窃盗事件が大部分を占めておるとい
うことは、即生活困窮という問題からくると思います。あるいは脅迫の場合においても、それにつながるもの
は生活困窮ということも想像つくのでございますが、ただ一つ、法務省の考え方として、また、われわれの考
え方といたしまして申し上げたいと存じますることは、生活保護法ができましたその精神というものを、あく
までも生かして行きたいというのが私どもの考え方でございまして、たまたまこれをすることによって、日韓
交渉をスムーズにやろうということは、多少私は考えが違う。少くとも、あるいは再犯防止の面から、広くは
人道的な見地から、韓国人に対しても生活保護法を適用するということは、これはわかります。しかしながら、
これをすることによって日韓会談をスムーズにやりたいのだということは、裏を返せば、これは軟弱外交である。
こんな腰の弱いことではならぬのでございまして、おそらく、昨年成立しました相互釈放協定には、生活保護法
の適用を刑余者に及ぼすのだということは、条件になってもいなかった、すべからく、現在残されております
る抑留日本人を、一日も早く送還されたいということは、国民こぞっての念願であると思います。しかしながら、
その代償としまして、日本が韓国にこびたり、ごきげんをとったり、これが日本の誠意でござるというようなこ
とを示して、そうして昨年の協定を完全に実施さすというようなことは、これは話が違う。そこに日本の外交の
あり方がなければならぬと思うのでございまして、いやしくも釈放朝鮮人に、生活保護法を適用するのだという
ことは、そういう派生的な目的じゃなしに、ほんとうに生活保護を適用しなければならぬ実情に向って、考える
べきだと、私は考えておるのでございますが、この点に対して、刑事局長の御見解を承わっておきたいと存じます。
○政府委員(竹内壽平君)
ただいま入管局長がお見えになりましたので、先ほど留保いたしました点は、入管局長からお答えを願うことに
いたします。なおまた、釈放朝鮮人に対する保護ということが、日韓会談を円満に妥結させるための手段になっ
てはならないというお考えでございます。これは私どもも全く同感でございまして、今考えられておりますこと
は、抑留漁夫を一日も早く帰すがために、特に国内で、韓国側の歓心を買うために、そういうう措置をとるので
はございませんので、全く国内の治安に及ぼす影響を考慮いたしましたための措置であると、私はかように理解
いたしております。