「広島東洋カープ ドラフト1位のその後」(別冊宝島編集部編)を読んでみた

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1 【中国電 65.1 %】 ◆fveg1grntk
死屍累々である
プロ野球選手と言うスポーツエリートの中でもドラ1という最高級の評価を得て入団した選手たちが、目を覆いたくなるほど無残な数字を残して球界を去って行く
期待のルーキーが思うように開花せず終わってしまう例はどこの球団にもあることだが、カープの場合は特有の事情がある
それは「ドラ1に値しない選手をドラ1指名している」ことである

カープは裏金を出す金が無い事情からか他球団がマークする有力選手にあえて背を向け、ドラフト下位レベルの素材型を1位に指名していた時期がある
独自路線、堅実、一本釣りと言えば聞こえが良いが、要は「逃げ」である
そしてプロ入り後は無能なコーチと貧弱な育成システムにより誘発された怪我で
存在したかどうかも分からない「素材」が不運にも開花しなかったというようなことが本書にはつらつらと書かれている
そしてその結果が十数年連続Bクラスである

そしてそれよりももっと深刻なのはそんな球団の姿勢を糾弾する存在が無いことである
ファンも地元マスコミも明確に不満の声を挙げないと言う消極的態度で現体制に対する消極的支持を表明し続けている
冷静に分析すれば実に合理的なBクラスと言う結果をさも意外で不運なことであったかのように語り、
相変わらずの貧弱な戦力で「来年こそは優勝」と誰も本気で思ってもいない空虚な気勢を上げる
ファンも球団も誰も本気で変わることを望んでいないのだから、改革など期待すべくもない
そして、意識の高い優秀な選手はそんな球団に愛想を尽かして他チームへ去って行く

本書はタイトルに反して「ドラ1のその後」についてはほとんど書かれていない
各選手の章の最後に「今はトラックの運転手をやってるそうな」的なコメントが一言書かれているだけである
山際淳司的なスポーツヒューマンノンフィクションを期待して買ったのでその点は少し不満だった
しかし、歴代のドラ1たちのアマ時代成績、プロ入り後の成績と言う客観的な数字たちが残酷にも、この球団の暗部を雄弁に物語っている