生田「道重さんスパゲッティーを食べませんか?」10

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談笑しながら、ふと顔を上げる。
全く同じタイミングで顔を上げた瞳と、視線がクロスする。
あまりのタイミングの良さに、視線を逸らす。
相手は微笑みを返してくれたというのに。
動揺した自分を、知られたくなくて。

ふと、自分の掌を見詰める。
あの冬の日、ふたりきりの室内で。
掌に残った感触が焼き付いて離れない。
それはぴたりと吸い付いて、そしてあまりに心地良くて。
離れられなくなりそうで怖かった。
本当は離れたくなどなかったのに、怖さに負けて手放してしまった・・・。


微かな視線を感じて、ふと顔を上げる。
視線の先にあるのは、何時か見たあの熱い眼差し。
思いも寄らなかった眼差しに、心がざわめく。
ドギマギした心を隠すように、微笑んでみた。
何ということも無く視線を外されたときに、感じたのは、落胆?

ふと、躰に掌の感触が蘇る。
あの冬の日、ふたりきりの室内で。
躰中に刻まれた掌の熱さを忘れられない。
あんなに寒い日だったのに、凍えた心ごと解してくれるようで。
離れていく掌が淋しかった。
それを引き留めなかったのは、理性?それとも、臆病なワタシ?


「もっと素直になれたら、そのときは・・・」
ふたりの想いが交差する。
その想いは、真夏の陽射しよりも熱くアツクふたりの心を灼いて・・・・・・。