生田「道重さんスパゲッティーを食べませんか?」7

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438名無し募集中。。。
あ・・・やっぱり来た。
不安そうな顔をした、年下の先輩。
「ね、ね、はるなん。今日、収録あると?」
「ありますよぉ。金曜日ですもん」
「そうよね・・・」
ふふっ、可愛い。
表情が見えないように、って思ってるんだか、ちょっと俯き加減で話をしてるけど、ね。
興味津々なのがバレバレなんだから。


私が番組のレギュラーになって間もない頃。
高校生になったばかりの先輩・・・生田さんが、初めてゲスト出演の為にスタジオに来た。
メインパーソナリティーのさんまさんとも物怖じせずに話をして、その度胸に圧倒されたのを覚えてる。
翌週も、私と同様レギュラーをやってる道重さんの話に絡めて生田さんの話が出て、もしかしたら気に入って貰えたのかな?って私の方が何故か安心したりして。

・・・でもね。

生田さんの視線は、ぴたりと道重さんに当てられてたんだよね。
最初は、いつもとは違う道重さんの姿に目が行ってるのかな?って思ってた。
だって、この番組をやってる時の道重さんは、私たちが見慣れてる道重さんとは違うから。
439名無し募集中。。。:2013/05/13(月) 06:22:58.19 0
・・・って、そりゃそうだよね。
いつもは自分が一番年長で、だから本当に気が抜けない。
レッスンの間も、スタッフさんと打ち合わせをしてるときも、勿論リハでも本番でも人一倍神経を使って、
終わった後は疲れが表情に出ちゃってるときもある。
実は体力があんまり無いから、みんなに見えないところで座り込んじゃってるときもあるくらい。
本当はそんなところを見て心配してるんだけど、他のメンバーに言っちゃうと道重さんが物凄く気にするし、
他のみんなも気を遣っちゃうから・・・。
ま、さり気無く心配して、それと無く声を掛けるくらいしか出来ないのが歯痒いけど。


でも、この番組では、道重さんの様子が全然違うの。
進行は大人のさんまさんに任せて、自分は流れの中で話をすれば良い訳だから、
勿論緊張感は凄まじいものがあるんだけど、いつもみたく張りつめてる感じは無い。
滅多に見せないんだけど、甘えた雰囲気を出すときもあるんだよね。
そんなところ、見たことなかったから最初は私も驚いたんだけど、
ゲストに何度か呼ばれて、そして、レギュラーになって・・・だから分かるような気がするんだなぁ。

だから、ね。

他のメンバーが知らない道重さんを見れるなんて特別じゃない?
なんて、ちょっとした優越感に浸ったりして。


だけど、生田さんはそれが何となく癪に障るみたい。
前はそうでも無かった筈なのに、最近は道重さんの一挙手一投足が気になるみたいだし。
何かのついでに番組の話をふたりですることもあるんだけど、ついつい話し込んじゃったりするといつも強い視線を感じるんだよね。
そんなとき、フッと顔を上げると、慌てて目を逸らすのは決まって生田さん。
ちょっと不機嫌そうな顔をしてるのも毎回同じ。
道重さんと仕事で一緒に居る時間が長いだけなのに、何となく仲間外れになってるみたいな眼をしてるから、
思わず心の中で苦笑したことも何度もあるし、ね。
440名無し募集中。。。:2013/05/13(月) 06:24:40.51 0
いつだったかなぁ・・・収録が終わってから一緒に会社に戻ったことがあった。
番組のテンションそのままに談笑しながら歩いてたら、泣きそうな顔で膨れっ面をした生田さんと鉢合わせて、
道重さん、そのまま手を引かれて行ったっけ。
あのときは、驚きながらも微笑ましく思ったんだよねぇ・・・。
大好きなお姉さんを取られた子どもみたいに、本当にほっぺをパンパンに膨らませてた。

勿論、それ以上のことがふたりの間にあることも知ってるよ。
だって、ふたりとも隠すのが下手なんだもん。
無防備にイチャイチャし始めたときに、ドアがちゃんと閉まって無かったのにはこっちが焦ったなぁ・・・。
年少組の目に入らないように、中のふたりにも気付かれないように、そぉっとドアを閉めるのにどれだけ気を遣ったか。
その後で、ふたりが居ないって騒ぎ出した年少組の気を逸らすのにどれだけ苦労したか。
それを考えたら、ちょっと妬かせるくらいのお駄賃貰ったって、良いよね?


あ、やっと道重さんが来た。
「ごめんね、飯窪。お待たせ」
「いえいえ、大丈夫ですよ。じゃ、行きましょうか」
私はにっこり笑って返し、態と道重さんの腕に自分の腕を絡めた。
「じゃ、急ぎましょうか?みなさん待ってますよ」
そう言いながら、これもまた態と早足で道重さんを引っ張る。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
バランスを崩しかけて、道重さんが慌てる。
背中には、生田さんの強い視線を感じる。
これは、収録が終わって帰ってきてからが見ものだなぁ・・・。
道重さんの服にレコーダーでも忍ばせておこうかしら・・・って、それは流石に悪趣味だから止めておこう。
何だか可笑しくなってくすくす笑ったら、怪訝そうな道重さんの視線が返ってきた。