生田「道重さんスパゲッティーを食べませんか?」6

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206名無し募集中。。。
ちょっと流れとは違いますが駄文の投下を


酔った声で“あの娘”から電話が掛かってきた。
「ねぇ、マリコぉ、今何してるの?」
「ん?今?」
「そぉ」
「今ね、彼が部屋に来てたの」
「あれぇ、じゃあ、お邪魔だったかなぁ?」
「・・・ううん。もう帰ったから」
アタシは壁をぼんやりと見詰めながら答える。
彼は、確かにほんの少し前までそこに居た。
いつもの通り優しく笑ってアタシを見詰めていたけど、その瞳はアタシを映してはいなかった。
知らなければ良かった。
気付かなければ良かった。
だから・・・確かめなければ良かった。
お節介なトモダチがアタシに告げたひと言が発端だった。
「アンタの彼、他のオンナとデートしてたってよ」
その場は勿論笑い飛ばしたけど、そのひと言が心に棘みたいに刺さってた。
だから、一度だけデートの誘いを断って、それから彼の跡を尾けてみた。
本当に、彼は他のオンナと会っていた。
彼の顔は見えなかったけど、オンナの顔はすっかり甘え切ってて、誰が彼と付き合ってるのか分からないくらい。
こっちが見えてる筈も無いのに、アタシが居る方を見てニヤリと笑う。
その嘲笑じみた笑いに心が凍った。
207名無し募集中。。。:2013/04/05(金) 00:13:02.22 0
「で、アンタは何してんのよ」
「アタシぃ?今ねぇ、○○とゴハン食べてきたトコ」
「え?○○って・・・今付き合ってる彼じゃ無いよね」
「いーのいーの。○○はゴハン奢らせる係だから」
「・・・で?その○○ってオトコはどうしたのよ」
「何かさぁ、ゴハン中にスッゴクがっついてホテル行こうって煩いからさぁ、トイレ行くって言ってレストラン出てきちゃったぁ。キャハハハ!」
「アンタねぇ・・・」
「気分悪いからさぁ、これから△△呼び出して飲みに行くのぉ」
「はぁ?」
「気分直しよ、気分直し。ガッツリ奢らせてやんなきゃあ」
「・・・アンタ、そのうち刺されるよ」
「アタシがそんなヘマする訳無いじゃぁん」
「ったく、知らないからね。じゃ、片付けとか忙しいからもう切るよ」
「えぇー、△△来る迄付き合ってよぉ」
「アタシもそんなに暇じゃないの。じゃね」
ガチャン、と、いつもよりも手荒に電話を切った。
いい気なものね。あんなにノー天気に遊びまわって。
・・・今だけは一寸羨ましいかも。
アタシ達も、もうすぐ付き合って2年になるのにな。
やっぱり、その前にフラれて終わっちゃうのかな。
涙が零れそうになるのを、天井を見詰めて堪えた。
彼が飲んだコーヒーカップに一寸だけ唇を寄せてから、ブルブルと首を振って流しに持っていった。
カップを洗いながら、フッと違和感に気付く。
あの娘、あんなに震えたみたいな声で話したっけ?
あんなに、か細い声だったことあったっけ?
自分が泣きそうになってたからそう聞こえたのかな?
あの娘、泣いてなんか、無い、よね?



・・・・・・此処迄書いて、さゆみはパタンとパソコンを閉じた。
自分達が嘗て歌った歌の中に出てくるものと同じ「マリコ」という名前が出てくる歌があるのを知って、浮かんだストーリーを、ただ、徒に書いてみただけだった。
208名無し募集中。。。:2013/04/05(金) 00:14:31.44 0
それなのに。
書いているうちに感情移入してしまったのか、物凄く淋しくて悲しくて切ない気分になる。
もう、真夜中だけど。一寸だけ・・・甘えても良いよね。
何だか、無性に声が聞きたい。
そう思って電話を掛けた。
相手はワンコールですぐに電話に出てくれた。
「もしもし」
「あ・・・生田」
「あれ?道重さん、どうしたんですか?」
「うん・・・一寸眠れなくなって」
「えー、いっつも眠い眠いって言ってる道重さんが珍しいですねぇ」
「偶にはこーゆー日もあるの」
「それに、道重さんから電話貰うのも珍しいですよね」
「アンタねぇ・・・珍しい珍しいって、そんなに言わないでよ」
「だってホントに珍しいですもん」
「もう。ノー天気な生田の声聞けば眠れるかな、って思ったけどもういいよ。切るね」
「あ、みちし・・・」
何か言いかけたのを無視してブツッと電話を切った。
今夜はお母さんも居ない。
独りぼっちで淋しい気分が益々募ってきそうだけど、仕方が無いか。
209名無し募集中。。。:2013/04/05(金) 00:17:20.51 0
ベッドに入っても、何が悲しい訳でも無い筈なのに、涙迄もが零れそうになる。
それを必死で堪える為に暗い天井を見上げる。
ピンポーン
こんな真夜中なのに、チャイムが鳴る。誰だろう?
「はい」
「あの・・・生田ですけど」
生田?!
驚いて、急いでドアを開ける。
「どうしたの!こんな時間に」
「あの・・・迷惑かな、って思ったんですけど、何か道重さん放っといちゃいけないような気がして・・・」
このコってば・・・。
「アンタねぇ、アイドルがこんな時間に出歩いて何かあったらどうするの!」
「すみません」
しゅんとした顔で俯くけれど、そんな姿までもが堪らなく愛しい。
さゆみは、キュッと抱き付いて肩に顔を埋める。
「え!や、やっぱりどうしたんですか?!」
「・・・ううん、何でもない。何となくこうしたかっただけ」
温もりを感じたら、堪えていた涙が溢れてきた。淋しい気持ちはどこかに飛んで行ってたのに。
「道重さん・・・今日、泊まってっても良いですか?」
耳朶を食みながらそう囁かれると、背中までゾクゾクする。
「うん・・・」
「明日の仕事、午後からですもんね。今夜は・・・どうせなら寝ないで過ごしましょ?」
「え・・・寝ないで、って・・・」
「って言うか、寝かせませんよ。何か今日の道重さん、凄く可愛い・・・」
「もう・・・バカぁ」
首筋にキスを落とされ、背筋を指でなぞられると体の熱さは最高潮に達した。
「ね・・・キスしてよ」
掠れ声でおねだりすると、ふわっと抱き寄せられて優しく口づけてくる。
互いに頭を抱き寄せて舌を絡め、甘い唾液を吸い合う頃には、頭の中も体の芯もすっかり蕩け切っていた。
「部屋、どっちですか?」
「こっち・・・」