鞘師が同じクラスの地味メガネくんと甘酸っぱい恋愛をする小説
1 :
名無し募集中。。。:
誰か書いて
2 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 23:35:49.16 0
【第一章】
俺のクラスにアイドルがいる。
そんな言葉を何度も頭の中で繰り返す4月の朝だった。
今年度から中学二年に進級する俺に去年の入学式のような緊張はなく、
春休みがもう終わったという恨みがましい倦怠を抱きながらの気だるい登校。
しかし校庭に張り出されていた新クラスの掲示板を仰ぎ見た直後から、
俺の思考は硬直してしまったのだ。「2年3組」の板に書かれた自分の名前と、
もうひとつの見慣れた名前。それらを交互に何度も何度も見比べた。
その二つの名前が同じ枠の中に存在することを何度も何度も確かめた。
やっとのことで冷や汗のようなものが脇の下を流れている事に気付いた頃には、
他の生徒たちの喧騒は消えている。どうやら十数分もの間、俺だけが校庭に
ぼんやりと立ち尽くしていたらしい。それでもなお、掲示板の名前の文字は
自分の全身を砂利の上に立ったまま縛りつけ、両脚を小刻みに震わせる。
「鞘師里保」
一般的には難しい苗字だが、俺にとっては自分の名前の次に見覚えのある文字列
なのかもしれない。同じ学校にいながら、これまで一度も喋ったこともなければ、
その顔を直接見たことすらない。後ろ姿や瞬間的な横顔が、光のスピードで廊下や
階段を遠ざかっていくのを何度か体験しただけだ。それなのに俺は彼女の顔を
簡単に思い浮かべることができる。その姿は学校の制服ではなく、赤いリボンが
付いていたりする派手な衣装を纏ってはいるのだけれど。
そう、彼女はあくまでもテレビや雑誌やCDジャケットの中の存在なのだ。
現実の世界ではまだ遭遇したとはとても言えない。しかしそれも昨日までの話だ、
と改めて気付いた時、もう一度強烈な悪寒が俺の背中をブルッとさせた。
3 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 00:11:31.93 0
主人公の名前はなんですか?
4 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 00:13:04.23 0
工藤ハル太郎
5 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 00:15:03.16 0
遠藤はサッカー部のイメージ
6 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 02:05:45.01 0
保全
7 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 03:29:07.89 0
遠藤くんは漫研かアイ研だろjk
8 :
【中国電 74.3 %】 :2013/02/28(木) 05:05:43.82 0
なるほどなるほど
9 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 05:11:40.39 0
【第二章】
新入生のための入学式が終わったあと、新しいクラスである2年3組の教室に入った。
入学式は体育館で行われたが、その記憶はすでに曖昧だ。ただただボーッとしたまま、
教師に無理矢理座らされたパイプ椅子の灰色だけが、自分の周囲をほの暗く照らして
いたように思う。そこはすでに新クラスのエリアなのだろうけれども、何も見えなかったし
見ようともしなかった。だから「鞘師里保」がどこに座っていたのかも知らない。
教室ではすでに男子も女子も小規模のグループに固まって分かれ、新しいクラスの
期待と不安と興奮をノイズとして撒き散らしていた。一瞬、躊躇した俺はふつふつと充満
する熱気で眼鏡が曇ってしまった事にも気付かず、自分が今何をすべきかという事を
完全に見失っていた。本来であれば前のクラスの知り合いを探し、その輪の中に入って
四方山話に参加すればいい。しかし今の俺にとってそんな儀式めいた行動には何の意味
も価値も見い出せなかった。これから始まる一年間が、小学校や中学初年度で嫌という
ほど体験した、友達作りやクラス内の派閥に関する厄介ごとなどとは次元の違う困惑と、
そして、ほんの少しの、顔が赤らむような使命感で自分自身が精一杯となるであろうことを、
すでに俺は予期していたのだ。そんな自分の感覚に少し驚きながらも、一向に今すべき
ことについては思い浮かばない空白を、突如男性教師らしき野太い声が切り裂いた。
「ほら、席につけ!」
我に返る間もなく教師の腕が俺の背中を突き飛ばすようにドンと伸びる。俺は思わず
前のめりになって躓き、しかもその時眼鏡が曇って前が見えないことに初めて気付き、
慌ててしまったが故に身体のバランスを完全に崩した。
「あっはっはっはっは!」
クラス中から爆笑が起こる。俺は不格好に倒れこんだまま、ふいに到来した恥ずかしさに
身悶えるしかない。けれども、その恥ずかしさは嫌に冷静で、赤面を自覚しつつも爆笑の
輪唱の響きの中に、CDやYouTubeで慣れ親しんできたはずの「鞘師里保」のあの声を、
俺は必死で探していたのだった。
10 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 06:48:16.49 0
鞘チョン
11 :
3:2013/02/28(木) 06:53:09.54 0
鞘師はガテン系の肉体労働者とカラオケセックスだろ
12 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 07:08:19.69 0
【第三章】
あの新学年初日の出来事は、その後の俺の生活を一変させた。
新しいクラスで最初の笑い者となり、火照った顔で自分の席を探したあの日。席順は
新学期らしく「あいうえお順」だった。男子と女子が一列ずつ交互に教室の端から、
苗字の順番で座っていく。さすがにこの時、自分の苗字が「小池」であり、「鞘師」の「さ」と
比較的近い、などということに頭が回るはずもない。ふらふらと席に着いて鞄を机の脇に
掛けながら、何気なく隣の席を見る。髪をお下げにした小柄な女子が丁度、椅子を引いて
座ろうとしていた。心臓が止まる、とは比喩ではないのだと感じ入る程の閃光が俺を貫く。
ビクッとしたのを気付かれたのか、その女子が俺の顔をチラッと見る。目が合った。一秒も
ない時間の中で、すべての世界が止まったように思えた。
その時、名簿を片手にした教師の「おい島田、鞘師のうしろは席ないから一番前!」という声が
して、時計の針が動き出す。島田と呼ばれた女子がすぐ近くをうろうろしていたらしい。そこで
また笑いが起きた。俺と目が合ったはずの隣の女子も教卓の方を見ながら笑っている。
「やーだぁー、一番後ろがよかったのにぃー」などという島田のおちゃらけた声を聞いて、初めて
自分の席も一番後ろなのだと気付く。隣席の女子、そう「鞘師里保」と並んで廊下側の一列目の
最後尾が俺の席なのだ。先程の衝撃も忘れ、このクラスに「あ行」や「か行」の苗字が少ない事を
ラッキーだと思うような自分がいる。しかしそんな能天気な気分も束の間、教室の席が埋まって
いく毎に、隣の席が気になって仕方がない。知人の名前らしきものが呼ばれたのをこれ幸いに、
そちらの方向を探る振りをしながら隣の席を視界に入れようと試みる。
二度目の衝撃はその時だった。
俺の隣の席の「鞘師里保」は、さっそく鞄を枕に寝てしまっていたのである。しかも可愛らしい
ハムスターのような寝顔をこっちに向けて、スースーと寝息まで立てている。
俺は雷に打たれたように決心したのだった。鞘師里保は仕事で疲れている。俺は鞘師の仕事と
学業の両立を助ける人間になろう、と。隣同士の席になったのも運命としか思えないではないか。
そして俺みたいなあまりクラスで目立たない人間にとって、他に優先すべき目標などあるはずも
ない。へらへらとクラスのリーダーらしき奴の後ろにくっついて生活しても面白くもなんともない。
だったら俺は鞘師里保という、一流芸能人のサポートをするのだ。冷やかされたって構わない。
なんたって俺の部屋には鞘師里保が所属する「モーニング娘。」のポスターが貼ってあるくらい
なのだ。CDだって鞘師のデビュー曲である「まじですかスカ!」から今年出た「ピョコピョコウルトラ」
まで全部買って持ってるのだ。俺以上にふさわしい鞘師の味方なんてこの学校にいるわけがない!
心の中でそう叫ぶと、見慣れたはずの黒板や時間割がやけにキラキラと輝いて見えた。
13 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 08:17:53.16 0
【第四章】
俺が鞘師里保のファンになったのは中学に入学してすぐ、と言っていい。
この中学に芸能人がいるらしいという噂はすぐに耳に入ったし、しかも
同学年で一緒に入学して別のクラスにいる、となれば興味を持たない方が
おかしいだろう。ただし「見にいこーぜ」などという軽い連中の誘いには乗らず、
それはなんとなく悪いことのような気がしたのを覚えている。
けれども家に帰ると入学祝いに買ってもらったノートパソコンを駆使して、
片っ端から情報を集めていた。そしてたどり着いたのがYouTubeにあった、
「美女学」という番組の中のオーディションの映像で、当時まだ小学6年だった
鞘師が、今まで見たこともない凄いダンスを軽々と踊っていたのだった。
俺は体育も苦手な方だし、ダンスの良し悪しなんてわかるわけがないのだが、
なぜか吸い込まれるようにその映像を繰り返し繰り返し鑑賞したものだ。
気付けばすっかり鞘師のことが好きになっていた。CDもはじめて自分の小遣いで
買ってみた。初コンサートツアーの映像がYouTubeに上がるようになってからは、
毎日それを見るのだけが楽しみだったと言っても過言ではない。
深夜にやっている「ハロプロTIME」という番組も毎週、鞘師目当てで録画して、
こちらも何度も何度も観て、鞘師のいるモーニング娘だけでなく、ハロプロという
音楽パフォーマンスの集団についても調べ始めるきっかけとなった。
知識が増えてくると、当然ながらYouTubeにある関連動画も次から次へと芋づる式
に観たくなるわけであり、中学1年が終わる頃にはたぶん誰にも負けないほどの
鞘師及びモーニング娘及びハロプロ全般、におけるマニアになってしまっていた。
けれども、それをクラスメイトに告白することはためらわれたし、無論、他のクラスに
いるはずの鞘師本人と話すなんて到底無理だとわかっていた。俺はマニアックな性分
にはちょっとした自信があるが、他には何の取り柄もない。ルックスだって眼鏡だし、
地味な部類だ。鞘師里保という大スターとは別の世界の住人だということくらい、
考えるまでもなく自覚している。こういう俺みたいな人間は影ながら応援するのが
当たり前だろう、と何の葛藤もなく素直に信じていたものだ。
しかし同じクラスになって、席が隣になって、はじめて勇気のようなものが湧いてきた。
冷静に自己分析しているが、本当はこれが「初恋」ってやつなのかもしれない、なんて、
実は頭の片隅で思うこともある。もちろんすぐにそんな考えは打ち消すけれども。
14 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 09:08:24.87 0
次が楽しみ
15 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 09:32:48.64 0
【第五章】
中学2年の日々が始まってすぐにモーニング娘の「恋愛ハンター」という新曲が発売された。
俺のようなマニアはとっくの昔にYouTubeのプロモーションビデオを何度も観て、歌詞だって
完璧に覚えてはいる。しかし鞘師が加入してからのシングルCDはすべて集めてやろうと
決心したので、最寄のCDショップに発売日に買いに行った。
そんな新曲発売のせいで新学期早々から隣の席の鞘師は学校に来なかったり、登校しても
すぐに早退する毎日が続いていた。俺はそんな隣の空席を時折見やりながら、鞘師だって
頑張っているんだ、と自分を鼓舞して休み時間も勉強に費やしていた。
なぜ勉強なんかに打ち込もうと思ったのか。それは鞘師の勉強が遅れている分を俺が補って、
いつでも教えてあげられるような優等生に自分が変身しなければ、あの最初の日に誓った
「鞘師の仕事と勉強の両立をサポートする」という大役は果たせないと考えたからに他ならない。
元々勉強は中くらいの成績だったが、目標や志があれば人間とはこうも変わるのか、と思える
ほどに、苦手だった科目や分野も徐々に克服できているような気がした。
ある日、鞘師が数日ぶりに登校してきた。しかしなんということだろう。同じクラスの女子達が
鞘師の席を取り囲んで「休んでる間のノート、コピーしといたよ」などと気安く話しかけている。
当の鞘師も「ありがとー」などと嬉しそうに、はしゃいだ声を上げて喜んでいるようだ。
しまった、教えるチャンスを待つのではなくコピーで良かったのか、と気付いてももう遅い。
それ以来、鞘師の勉強の遅れをカバーする仕事はその女子達の取り巻きに独占されてしまい、
あの教科はこうやって説明しよう、などと頭の中でシミュレーションを繰り返した俺の白昼夢は
木っ端微塵に吹き飛んだかにみえた。
ところがである。授業中という会話の難しい時間にこそチャンスは眠っていたのだ。鞘師は
大抵の場合、初日と同様、すぐに眠ってしまう。教師も事情がわかっているからか、野暮に
起こしに来ることはまずない。しかし、たまたまその日の英語教師が鞘師を当ててしまった。
いつもなら「あー、鞘師は寝てるかー」という教師のおどけた声と生徒達のクスクス笑いで
その場は収まるのだが、この時はなぜか鞘師がムクッと目覚めてしまったのである。
俺は焦った。鞘師とは隣の席だが、まだひと月も経ってない上に鞘師が休みがちという事も
あって、未だひと言も会話を交わしたことがない。今なのか?今はじめて鞘師と喋るべきか?
そんな具合にあたふたしていた俺の左肩に、チョンチョンと突つく指先らしき感触が走った。
「ねぇ、小池君、何ページ?」
16 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 09:36:11.33 0
続き気になるよお
17 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 09:45:14.37 0
>>14>>16 読んでくれてありがとうです
今朝はこれで終わりなので時々保守ageしてもらえたら続き書きますw
18 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 10:19:50.30 0
去年の四月は新垣卒業ツアーやってなかった?
19 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 10:21:40.08 O
小池乙
次も期待してる
20 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 11:58:04.96 P
俺も小説書けるようになりたいんだけどコツとかある?
21 :
名無し募集中。。。:
あげ