リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第79話
リゾスレ初心者向けQ&A
Q.このスレについて教えて!
A.このスレはモーニング娘。36thシングル「リゾナント ブルー」のPV(Another ver.)から想像に想像を膨らませて生まれたスレです
作者一人ひとりによって設定は異なりますが、大まかに共通している設定は
【超能力を持つ「リゾナンター」を名乗る少女たちが仲間同士心を通わせつつ「ダークネス」を名乗る敵の組織と戦う】といった感じです
Q.どの話から読めばわかりやすい?
A.テンプレ
>>1の過去ログまとめで第1話(第1スレ)に目を通すことを推奨。
スレの雑談では『蒼の共鳴』の名がよく上がります。但し一大長編ですけどねw
2周年を記念してスレの住人が色んな質問に答えているスレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/22534/1271246993/も参考になるかと Q.メンバーのキャラ設定は?
A.作者個々によって違うが多くの作品で共有している設定は以下の通り
高橋愛…………リゾナンターのリーダーで戦闘も強い実力者。喫茶店のマスターをしている
新垣里沙………リゾナンターのまとめ役?だがその正体は「ダークネス」から放たれたスパイ。後に真の仲間となる
亀井絵里………心臓病を患っておりよく入院している。さゆみと親友
道重さゆみ……絵里と親友。心の奥には「さゆみの姉・さえみ」という別人格が眠っている
田中れいな……喧嘩最強でリゾナンター屈指の武闘派。愛の喫茶店で住み込み店員をしている
久住小春………売れっ子芸能人。何も考えていないように見えて案外熱血だったりするかも
光井愛佳………家庭の内外で孤独を感じていたところを愛に救われた。リゾナンター随一の常識人
ジュンジュン…パンダに変身する一族の生まれ。変身が解けると裸になる
リンリン………パンダ一族を守る組織「刃千吏(バッチリ)」の一員。ギャグセンス以外はエリート
譜久村聖………出てきた設定は、サイコメトラー、譜久村財閥のお嬢さん、未来から来た24歳、変2など
生田衣梨奈……出てきた設定は、KY、無感情、新垣さん命
鈴木香音………出てきた設定は、物体をすり抜ける、すごい聴力、数少ないツッコミ要員など
鞘師里保………出てきた設定は、水軍の家系の末裔、御神刀使い、念動力(水限定)など
飯窪春菜………出てきた設定は、はう、ラブベリーナ魔法学院最終学年、ジョジョバカ
石田亜佑美……出てきた設定は、蒼の剣士、ぺったん、貧しさが憎い、石プロ
佐藤優樹………出てきた設定は、こんちくわ〜、たなさた〜ん
工藤遥…………出てきた設定は、強い責任感、男前
【今まで出てきた能力まとめ】
高橋愛:精神感応(リーディング) /瞬間移動(テレポーテーション)/光使い(フォトン・マニピュレート)
新垣里沙:精神干渉(マインドコントロール)/鋼線使い
亀井絵里:傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ) /風使い(ウィンド・マニピュレート)
道重さゆみ:治癒能力(ヒーリング)
さえみ(姉人格):物質崩壊(イクサシブ・ヒーリング)
田中れいな:共鳴増幅能力(リゾナント・アンプリファイア)
久住小春:念写能力(ソートグラフィー) /幻術(ハルシネーション)/発電(エレクトロキネシス)
光井愛佳:予知能力(プリコグニション)/心の浄化(ハート・プリフィケイション) /水守(みまもり)
リンリン:念動力(サイコキネシス)/発火能力(パイロキネシス)
ジュンジュン:念動力(サイコキネシス)/獣化(メタモルフォシス(トゥ・ビーストorパンダ))
譜久村聖 :能力複写(リプロデュスエディション) /残留思念感知(サイコメトラー・オブジェクトリーディング)/液状化(リキュエファクション)
生田衣梨奈:精神妨害(マインドジャミング)/精神破壊(マインドデストロイ)/植物と会話(スピリチュアル・トーキング)/鷹の目(ホークアイ)/空間誘導(スキップ)
鞘師里保 :水限定念動力(アクアキネシス)/水軍流の達人
鈴木香音 :非物質化(ディマテリアリゼーション)・物質透過(ペネトレイト)/超聴覚(ハイパー・ヒアリング)/獣化(マンティス)
飯窪春菜:五感共鳴(センス・リゾナント)/魔術(マジック)/粘液放出(アドヒア・セクレイト)
石田亜佑美:幻獣召喚(イリュージョナル・ビースト)/小石限定念動力(ペブルキネシス)/加速(アクセレレーション)
佐藤優樹:瞬間移動(テレポーテーション)/死霊魔術(ネクロマンシー)/音響分析(アナライズ)
工藤遥:千里眼(クレヤボンス)/精神??(マインド・ブラスト)
小田さくら:幻獣召喚(イリュージョナル・ビースト)
【まとめサイト(仮)で投稿日順に読む裏技】
裏技などございません。小説に関してはトップページからストーリー:スレ別分類のページに飛んでいただければ投下順に並べております
タグによる分類など作業中ですがいつ完成することやら(遠い目
【まとめサイトVer.2で投稿日順に読むには】
タグでスレごと(第○話)の作品群を見ることができます。
登録日の順になっているのでそこからたどっていけばおk
【暫定保管庫(まとめサイト3)で投稿日順に読むには】
トップページからスレ別分類に飛んで(ry
最近の作品に関しては簡単な解説のページもありますのでそちらも参考に
【代理投稿を依頼するときのお願い】
したらば掲示板のアク禁スレに作品を上げるときは対処方法の指示も書いてください
例えば
・規制食らったので転載してほしい
・レス数多いから掲載を手伝ってほしい
など
転載する人は必ず投下する旨をアク禁スレに宣言していってください
(投下かぶり防止のため。宣言が同タイミングなこともあるのでリロード&しばらく待つのも大事)
川*’ー’) < テンプレの設定やまとめサイトを参考にして自由に想像するやよ
ノ|c| ・e・) < 登場人物の能力やストーリーの背景・設定は作者さんの自由なのだ
ノノ*^ー^) < シリアル路線でもコメディ路線でもお好きなものどうぞ
从*・ 。.・) < AAを使ったものや1レス完結ものでもOKなの
从*´ ヮ`) < 他の作者さんの設定を流用するのもありっちゃ
ノリo´ゥ`リ < 気に入った話の続きや繋ぎの話を書いてみるのもありカナ☆
川=´┴`) < プロットを書いて他の作者さんにストーリーを書いてっておねだりしてもええで
川*^A^) < アーでも書いてくれるかは作者さん次第ヨ
川´・_o・) < ソッカー
作品投稿の際、10レスを越える場合は連続投稿規制(バイバイさるさん)がかかるので注意。
それから1レス当たり最大32行までしか入らないのでそれも注意。
http://resonant.web.fc2.com/data/toro18266.jpg 君の作品を待ってる
<※初めてスレを訪れた方へ>
お勧めの作品やわからない用語については遠慮なく質問してみてください
スレに何人もいるであろう「生き字引」が24時間以内に答えてくれるでしょう(多分)
以上テンプレ
10 :
名無し募集中。。。:2013/02/26(火) 22:06:15.44 0
初めて来ました。
宜しくお願いします
11 :
名無し募集中。。。:2013/02/26(火) 22:24:21.33 0
12 :
名無し募集中。。。:2013/02/26(火) 22:51:44.14 O
待ってました
今度こそ落とさん
13 :
名無し募集中。。。:2013/02/26(火) 23:06:36.28 0
>>1 スレ立て乙です
アク禁に上がってる作品の代理は自分にお任せを
日付が変わる前ぐらいに代行しておきます
14 :
名無し募集中。。。:2013/02/26(火) 23:19:26.98 I
立て乙です
空白期間の書き溜め投稿ラッシュなるか?
15 :
名無し募集中。。。:2013/02/26(火) 23:39:07.63 0
白い闇
漆黒の闇は光を飲み込むが
その闇は、光をも凍らせる
闇が暗闇とは限らぬ
“何も見えない”ことが闇だとも言えよう
助けを求める声
強く信じる気持ち
全て凍らせてしまおう
未来を白い闇に包んでしまおう
この闇を突き破ってみろ
凍らせきれぬ心で突き破ってみろ
誰もが罪や罰や傷や嘘を抱いて
それでも夢を見るお前の心は燃えているのか
燃え尽きてしまうかもしれぬ覚悟はあるのか
ならば解かしてみせよ、この白い闇
私かお前か、今日は何かが変わる
16 :
名無し募集中。。。:2013/02/26(火) 23:43:30.36 0
>>15 「白い闇 −ブラックホールバースデイ−」
猛吹雪で全く視界がきかないことを俗に白い闇と称することから
スレが今日立ったのを知って急遽書きました
17 :
名無し募集中。。。:2013/02/26(火) 23:57:37.77 0
おっいきなり乙です
光景が目に浮かびますね
では闇を突き破る手助けというかアク禁からの転載をさせてもらいます↓以下代理投稿
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/696.html の続きです
あっと言う間の出来事。
頭に鹿の角を生やしたキュート一番手・萩原舞が、遥と香音と衣梨奈を吹き飛ばした。
三人は弧を描くように空を舞い、そして地面に激突してしまう。
「なんだ、あっけない」
一仕事終えた舞は余裕の表情。
しかし次の瞬間、その表情が崩れる。
「んなわけねーだろ!」
立ち上がる遥。
その体には傷ひとつ付いていない。
続いて起き上がってきた香音と衣梨奈もまったくの無傷だ。
「そんな、どうして!!」
「へっへー、どうしてだろうね」
挑発する香音に歯軋りしながら、舞は考える。
確かに舞の剛角は三人をピンポイントで捉え、そして吹き飛ばしたはずだった。
なのにまったくのノーダメージとは。
ならば、直接打撃を叩き込むまで。
「モード『戦闘くん』終了。新たにモード『元気ッくん』発動!!」
舞が叫ぶと頭の角が収縮し、代わりに先ほどまでカモシカのようだった足が見る見るうちに肥大化していった。
能力者の変身において最もポピュラーかつ強力なものが「獣化」。かつてリゾナンターに籍をおいていたジ
ュンジュンのように、自らの姿を獣とすることで途轍もない力を引き出すことができる恐るべき能力である。
しかし舞は人工能力者であるが故に、能力付与の際に不具合を起こし、体の一部分しか獣化できなくなって
しまう。それを逆手に取ったのが、今彼女が見せている「部分獣化」である。訓練の結果一部を獣化するこ
とで能力を特化し、力を一点集中させることでより強力な攻撃を繰り出せるようになっていた。
「一撃ひっさつ!元気ッくんホッパー!!」
肥大化した足による、強烈な跳躍力。
そしてそのまま、脚力に任せた跳び蹴りを食らわす。
ターゲッティングされた衣梨奈だが、思い切り横に飛ぶことで蹴りを回避することに成功。
しかし蹴りの行く先をみた彼女は青ざめることになる。
「え!ウソっちゃろ!!」
舞の着地点である床は、あまりの衝撃に崩壊。
まるで地雷が爆発した跡のように、床面が抉れていた。
「さあさあどうする?次はあんたたちの胴体に、穴が空いちゃうかもねー」
相手を動揺させることに成功した舞が、得意顔でふんぞり返る。
ただ、ここでただ萎縮するだけの新メンバーではない。
「うっし!じゃあはるとガチンコ対決しようぜ。鈴木さん生田さん、サポートお願い」
腕を回しながら、遥が舞の前に立つ。
見た目自分より貧弱そうな遥を見て、思わず侮りの気持ちが出る。
「あんたがタイマン?やめときなって」
「こう見えてもはる、チョー喧嘩強いっすよ?」
どうせ達者なのは口だけだろう。すぐに泣きっ面にしてやる。
舞は元気ッくんモードを解除し、再び戦闘くんモードに入る。
荒々しい鹿角が、遥の前に立ちはだかった。
舞にとっては、二本の角は二刀流と同じ。
右に、左に鹿角を振るい遥をなぎ倒そうとする。
ところが、遥の体を捉える事ができない。まるで風に舞う木の葉のように、攻撃をかわしていく。
「舞ちゃんしっかりしなよー!相手はガキンチョだぞ!!」
「言われなくてもわかってるっての!!」
千聖の言葉に反発しつつも、舞はあることに気づいた。
確かに遥は持ち前の敏捷性で舞の攻撃を避け続けている。しかし。
10発に1発くらいだろうか。鹿角は遥に確実にヒットしているのだ。
ただ、手ごたえがない。おかしい。目の前の標的はまるで無傷。その理由が、愛理の次の一言で明らかにな
る。
「舞ちゃん、三人の中に『透過能力者』がいるよ!!」
「ええっ!?」
愛理の分析は正しかった。
鈴木香音。ある特定の範囲内にある物体を透過させることが、彼女の能力であった。最初の舞の不意打ちも、
彼女が咄嗟に発動させた透過能力により完全に防がれていた。
三人が同時に飛ばされたのは、香音の能力を悟られないための演技だったのだ。
そして遥への攻撃も、香音が持つ透過能力によって無効化されていた。
加えて遥自身の素早さにより、舞は闇雲に空を切りつけているようなもの。
そんな。じゃあ舞の攻撃が当たるわけないじゃん…勝てっこないよ…
絶望感を覚える舞。
「キュート」、いやその前身である「キッズ」の中でも最年少の彼女は、庇護されることが当たり前の環境
にいたため、困難にぶつかると精神的に後ろ向きになってしまう面があった。
「こらー、ネガティブ禁止!!!」
そこへ、早貴の檄が飛ぶ。
思わず、はっとなる舞。
「実力じゃ勝ってるんだから、弱気はダメだよ!」
「なっきぃ…」
消えかけていた闘志の火が、再び燃え上がる。
そして次の舞美の言葉が、だめ押しとなる。
「その子の体力がなくなれば避け続けることはできないし、透過能力だっていつまでも続かない。がんばれ、
舞ちゃん!!」
「そっか。そうだよね!!」
再び遥に角を振るおうと、舞が立ち上がる。
その様子に苦い顔をするのは香音と衣梨奈だ。
「せっかく気持ちで勝ってたのに!」
「あの子、さっきよりも張り切ってるっちゃん」
しかし戦いの当事者である遥の瞳の光は消えていない。
むしろ舞の攻撃を待ってましたとばかりに待ち構える。
迫り来る剛角。
遥は強烈な一撃をすり抜け、そして片方の角をへし折った。
バランスを崩して尻餅をつく舞。
大人の腕ほどの太さのある角を、華奢な少女がいとも簡単に折ってしまった。
その事実が、信じられずにいた。
そんな…あんなか細い子のどこにそれだけの力が…どうして…どうして?!
「だったらこっちのほうでぶっ飛ばしてやる!!」
自らの疑問を払いのけるように、高くジャンプする。
元気っくんモードにおける最強の決め技「JAUP(ジャンピングアンドアップグレード)」。まともに喰
らえば命に関わる威力。
鋭く蹴り落としにかかる脚。だがそれは攻撃を交わしつつ、振り向きざまの裏拳を腿に入れた遥の前に崩れ
落ちる。勢いを急激に失った舞は、まるで失速する独楽のように派手に倒れた。
「…どうして、どうしてあんたみたいな非力そうな子にっ!!」
「はるにはさ、『視える』んだよね。あんたの弱点」
悔しさと怒りを露にする舞に対し、遥は事も無げにそう言った。
千里眼。
文字通り、千里の先まで見通すことのできる能力。
本来であれば、まったく戦闘向きではない能力だが、それを遥は強引に戦闘に応用した。
遠くを見渡す力のベクトルを、近くの、敵の体に向ける。
結果、遥は相手の体の弱点、どこを叩けば最も効率よくダメージを与えることができるのかを把握できるよ
うになった。俊敏だがスタミナや腕力のない遥にとって、その相性は抜群だった。
「舞はあんたに…あんたなんかに負けられないんだよ!!!!」
ついに舞の怒りが頂点に達する。不退転の決意を表すは、彼女の切り札「リアル戦闘くんモード」。まるで
網の目のように発達した角は、相手を捕獲するや否や細切れにしてしまうほどの鋭さを持っていた。
「弱点を見る間もなく挽肉にしてやる!!」
遥を包み込もうとしている角の檻の攻撃ポイントは無数、どこに触れても無傷ではすまない。
遥の素早さをサポートする香音の透過能力も、その全てをカバーすることはできない。
一瞬の静寂。
倒れたのは、舞のほうだった。
「あんた、えりのことすっかり忘れとったっちゃろー」
衣梨奈の能力である「精神干渉」。
相手の精神に付け入り、そして崩壊させる。防御するには自らの精神力の高さに頼るしかない、つまり物理
的には防ぎようの無い攻撃だが、逆に言えば自分よりレベルの高い能力者には通用しないということ。
ただ衣梨奈より実力者であるはずの舞は、感情を極限まで高ぶらせてしまい、そこに隙を生じさせてしまう。
敗因、それは舞があくまでも遥にこだわって他を見なかったこと。
舞は完全に攻撃の意思を奪われ、そして昏倒した。
「やった!倒したぞ!!」
「くどぅー、えりちゃんやったね!!」
「もしかしてうちら最強のトリオ!?」
相手が倒れるのを見て、喜びあう三人。
一対一では、とても敵わないであろう相手を打ち倒すことができた。
三人の能力の組み合わせの妙、そしてチームワークが導いた勝利。作戦を指示した愛佳の狙いが上手く嵌った
結果のことだった。
24 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 00:02:53.99 0
>>18-23 代理投稿完了
次スレが立ってからで構わないので、代理投稿お願いします
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「元気っくんホッパー」、某仮面ライダースレよりいただいてしまいましたw
25 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 00:35:32.25 O
乙です
チームワークでの勝利、さすがですね
26 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 02:02:19.55 0
次はれいなとベリの戦いかな?
27 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 06:22:59.61 0
スレ立ておつです〜
28 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 08:42:44.50 0
29 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 09:43:55.42 0
乙です
切り札名ワロタw
30 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 12:10:01.87 O
ヒルナントデス
31 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 12:54:07.12 I
スレ第78話では感想ありがとうございます。
落ちた今では再び読む事は叶いませんが、執筆の励みになります。
嘘 で終わった前回
投下開始↓
〜Help me!!〜 6
32 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 12:55:32.93 I
「……なぜお前達が立っている? 大石達が倒したはずだ!」
「あんたの仲間は、れいな達にやられたままやけん」
「どういう事だ? 確かに大石達がお前達を倒すところを見た……お前の能力か」
半田って人が私を見る
そう
嘘の風景を視せて、嘘の音を聴かせる
それが私の能力
「精神干渉≠ゥ……お前も、ダークネスに逆らうのか」
私は……
「なぜ逆らう!? 俺達は、能力者の為の世界を創れると言うのに!」
私の首を掴む手に力が入ってくる
私は、この人達の言う普通の人間として生きたい
世界じゃなくて自分を変えたい
「自分……だと?」
この人達は、あなた達と戦うためじゃなく私を助けるために来てくれた
私の事を知らないはずなのに、危ない目に遭っても立ち向かってた
世界を変えなくても良い
この世界には助けてくれる人がいるんだから
「俺は、救えないのか……」
私の首から手が離れる
33 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 12:56:32.53 I
「能力者を、救えないのか……」
半田って人が項垂れる
「この娘、解放してもらうけん」
いつの間にか田中さんが私の側にいた
「好きにしろ。俺は、俺達は……」
拘束を解いてもらい田中さんに支えられながら立ち上がる
「怪我はなかと?」
「はい。助けてくれてありがとうございます」
「気にせんで。れいな達が好きでやってる事やけん」
優しい顔
さっきまでの戦ってた顔と全然違う
周りの人達もすごく穏やかな表情をしてる
「あの、訊いても良いですか?」
「なん?」
「私の心の声≠ェ聴こえてくるって話なんですが……」
「共鳴≠フ事やね」
「共鳴≠ナすか?」
「普通は精神感応が使えないと心の声が聴けないっちゃけど、波長が合う人同士は聴こえるっちゃ。れいな達の心の声が聴こえるっちゃろ?」
田中さんが目を閉じて手を胸に当てる
私も真似してみる
34 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 13:00:21.22 I
(ちっちゃいなあ、かわいいなあ)
(能力使い過ぎて疲れたっちゃ)
(ウチも眠くなってきた)
(獣化は解いた方が良いのかな)
(変顔して和ませ……でも引かれたらハアー!)
(面白い事、面白い事……)
(こんちくわー! あ、夜だからこんばんちくわー!)
(誰もまともな事を言ってないし!)
「……プッ」
「あんたら笑われとうよ」
「そりゃそうでしょうね」
「みなさん、本当に普通の人なんですね」
でも、心の声ってさっきまで聴こえなかったのに
「どうして今は聴こえるんでしょうか?」
「あんたが自分の能力を受け入れたからっちゃろ。自分で言った世界じゃなくて≠チてやつ」
自分を変えたい、か
「そう思えたのは、みなさんが助けに来てくれたからです。本当にありがとうございます」
「礼はもういいっちゃ。それよりこれからどうすると?」
今までは何があっても、じっと耐えてた
助けて欲しくても、誰にも言わなかった
でも、待ってるだけじゃいけない
自分から立ち向かわなきゃ
この人達と一緒なら、きっと大丈夫
「出来れば、あなた達と一緒にいたいです」
35 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 13:01:24.81 I
「ええよ。ここにいる全員が色々あって集まってるっちゃん。みんなもよかろ?」
「「「「「「「もちろん!!!!!!!」」」」」」」
心の声を聴かなくても、心からの言葉だって伝わってきた
「ちょっと、顔がグシャグシャやん」
田中さんがハンカチを出して私の頬を拭く
やだ、なんで泣いてるんだろう
「ありがとうございます」
ちゃんと恩返しをしなきゃ
この人達の為に、私に出来る事をしよう
「あの……」
「フクちゃん、どうしたと?」
フクちゃんって人が怯えた様子で田中さんに声を掛けた
「……道重さんが、心の声で……」
「さゆが?」
みちしげ、さゆさん?
ここにいない人かな?
(私をこのまま独りぼっちにしておくわけ?)
36 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 13:02:59.41 I
「しまった! さゆ置いて来たままっちゃ!」
「田中さんヤバイっすよ!」
みんな慌ててる
偉い人?
それとも怖い人?
(あまりにも淋しい想いをさせ続けるのなら)
「生田! KY(空間誘導)でリゾナントに繋ぎ!」
「えー!? ここからどれくらいあると思ってるんですか!? 今日めっちゃ使って疲れてるんですけど!」
(私はどこか遠くへ飛んで行ってしまうよ?)
「うっさい! さゆ怒らせたらどうなるか知っとるっちゃろ!? れいなも底上げしちゃる!」
「うう……わかりました」
(ねえ、いいの?)
「「「「「「「「よくない!!!!!!!!」」」」」」」」
──空間誘導──スキップ
──共鳴出力──アンプリファイア
光の壁が現れる
「はよ入り!」
「「「「「「「はい!!!!!!!」」」」」」」
7人と1匹の人が壁に入って行く
37 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 13:04:18.26 I
「そうだ! あんたの名前は? まだ知らないっちゃん。さゆにも説明せんと」
そうでした
自己紹介がまだでしたね
「オダサクラ、小田さくらです」
38 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 13:08:45.84 I
投下完了↑
シングル『Help me!!』の参加メンバー全員の名前が出せました。
テンプレを無視した能力設定で混乱させていたらすみません。
39 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 15:52:37.21 I
あげ
40 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 15:55:16.74 O
>>24 更新乙彼
それってもはや千里眼とは言えないのではw
>>38 これで完結でしょうか?お疲れ様です
テンプレはあくまでテンプレで自由に能力設定していいかと
41 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 17:32:57.76 O
あげ
42 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 18:45:38.75 O
ほぜ
43 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 19:26:05.79 0
>>38 おちゅちゅ
Help me!!の台詞の部分が生かされてて良かったです
44 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 19:28:29.25 O
ぶっちゃけ新メンバーの能力設定なんて鞘師以外は固定されてないわけで
45 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 21:12:37.18 0
ふむ
46 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 22:12:33.73 I
固定された設定で書いてつまらないよりいい
47 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 22:20:34.75 0
ソッカー
48 :
名無し募集中。。。:2013/02/27(水) 23:36:30.84 O
りほりほを24時間監視する能力があってもいいと思うの
49 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 01:11:46.06 0
うむ
50 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 01:28:01.36 O
ほぜなん
51 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 02:49:19.31 O
はるなん
52 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 03:23:35.54 0
ところで水の無い干からびた場所で絶体絶命の鞘丸が自らの血を固めて作った刃で敵に止めを刺す話はまだですか
53 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 06:50:28.80 0
ピコーン
54 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 06:59:03.70 0
>>48 千里眼なら監視はできなくもなさそうだけどなw
ハo´ 。`ルにそういう趣味がなくてよかったw
55 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 10:09:10.15 O
おはナント
56 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 11:48:59.11 O
今日もランチから栄養をつまみ取るか
57 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 11:55:23.25 0
>>38 一日遅れでアレですけど乙でした
前章の終わりのウソダカラ辺りからさくらちゃんのターンだったわけね
さくらちゃんが自分の能力を受け入れたことで共鳴が始まったというくだりは王道ど真ん中という感じでよあったです
この話はこれで終わり?なんでしょうけどもしその気になったら第二章っぽいものをぜひ
58 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 13:13:43.19 0
昼ホゼ
59 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 15:34:23.34 O
3時のほぜん
60 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 17:30:04.43 0
よいしょ
61 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 19:01:19.81 O
あげまる
62 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 19:01:49.54 0
こんなスレまだあったのかw
63 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 19:44:19.77 O
細々と続いてるよ!
64 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 21:00:31.40 0
では細々と代理投稿など
喫茶リゾナントは今日も大忙し。
お皿を洗ったり、テーブルを拭いたり、玄関前を掃き掃除したり。
お客さん?あー…来たり来なかったり。でも、お店の質ってお客さんの数じゃないと思うの。レンジでチン
だけどおいしいお料理もあるし、たまに来る後輩たちも料理してくれる。極端に材料費が高くなったり安く
なったりだけど。
そんなこんなで、喫茶リゾナント三代目店主道重さゆみ、今日も頑張るぞ!
からんからん。
日も高くなってきてるけど、本日最初のお客さん。
高揚していたさゆみの気持ちは、肩まで伸ばした茶髪としゃがれた関西弁で急降下する。
「おー道重ー、ひさしぶりやなあ」
「何だ、つんくさんか…」
「何だって何や、失礼なやっちゃな」
まるで結婚式にでも行ってくるかのような白いタキシードが、相変わらず目に眩しい。
この人、つんくさんは先々代の店主、つまり愛ちゃんの知り合い。
胡散臭そうな顔してるけど、まあまあ信用できる人だ。
「あいつら…新人たちは元気でやってるか?」
「はい。最近はすっかりリゾナントに慣れていって」
「ま、ええことやな」
つんくさんは満足そうにそう言って、カウンターに腰掛けた。
能力者専門プロデューサー。
肩書きは聞こえがいいけれど、要するに能力者の斡旋業。
能力者を全国からスカウトしてきて、警察機関に紹介する。りほりほたちにこのお店のことを教えたり、愛
ちゃんやガキさんが警察組織にヘッドハンティングするきっかけを作ったりしたのも、つんくさんだった。
「今日はどんな御用ですか?そうだ、昔のメニューを復活させたんです。リゾリゾって言うんですけど、こ
れならさゆみにも作れ…」
「道重、これ、何やと思う?」
ノリノリで商売っ気を出すさゆみを無視して、カウンターの上に分厚い本を置くつんくさん。
わけがわからないので首を捻っていると、
「これな、ある筋から手に入れたスーパーアイテムやねん」
と、いつものどや顔を見せた。
いや、内容も言わないでどや顔されても。すっきりやで!とか親の顔が見てみたいとか言いそうになったけ
ど、さゆみは大人だから我慢した。
「スーパーアイテムって…」
「おう、よう聞いてくれたな。これはな、本に念じるだけで1日だけ、好きな能力が使えるようになる魔法の本。凄いやろ」
あまりにも漠然と、そして大きな話過ぎた。
そんなものがこの世に存在していいのだろうかと思うくらいに。
「まあ物は試しや。本の表紙に手え当てて、自分の欲しい能力を思い描いてみ?」
「あ、はい」
つんくさんの言ってることが本当なら、凄いことだ。
例えば史上最強の能力を手に入れたとしたら、今日中にダークネスの本拠地に赴いて組織全滅、なんてことが可能になるかもしれない。
けどどうしよう。
最強の能力って何だろう。
やっぱり愛ちゃんみたいに、全てを消し去る光の能力かな。
それとも、あの「銀翼の天使」が行使した、怖ろしい力。
いつか会ったいかつい顔をしたダークネス幹部のおばちゃんが使った、時を止める能力。
昔ガキさんから聞いた、愛佳よりも強い、数年先の出来事さえ予知できる神の能力。
あー、もう頭がこんがらがってきた。
ごちゃごちゃした思考を振り切って、思い切り手を本の上に叩きつける。
さゆみの欲しい能力、出て来い!!
そう念じつつ。
すると、本が一瞬だけ薄く光ったような気がした。
その様子を見て、つんくさんがにやりと笑った。
「成功したみたいやな」
「本当、ですか?」
半信半疑なさゆみに、つんくさんは本を開いて真ん中くらいのページを見せる。
そこには、キリスト教のマリア様みたいな人が、跪いた人の頭に手を翳している絵が描かれていた。
「これがお前の『治癒能力(ヒーリング)』の象徴や。本がお前の本来の能力を預かった、ちゅうことの証拠やな」
その言葉が正しければ、さゆみの中には1日限定で何らかの能力が宿っているはず。
でも、どんな能力なんだろう。
本に描かれた絵を見ながらそんなことを考えていると、再びドアベルが鳴らされた。
「こんにちは」
「りっりほりほ?!」
予期しなかった相手の登場。思わずさゆみはりほりほに向かって唾液の飛沫をかけてしまう。でも、りほり
ほはさゆみの顔を見るなり、明らかに「あれ、今日は田中さんじゃなかったんだ」的な表情になった。
「あれ、つんくさん。お久しぶりです!」
「鞘師か。しばらく見ない間に大きくなったなあ!!」
そしてすかさず話し相手をつんくさんにチェンジ。
地味に凹む。
そりゃスキンシップの行き過ぎはあったかもしれない。けど、最近はりほりほに引かれてるのが判るから控え
めにして遠くから盗撮してるくらいで我慢してるのに。
「あのつんくさん、折り入って相談が」
「おう、何でも聞いたるでえ」
「いや、ちょっとここじゃ」
「そなの?やったら外で話そか」
ちょっとここじゃ、の時にかすかにさゆみのことを見たような。
確かにりほりほのトレーニングウェアをこっそり拝借して枕に巻きつけて寝たのはやり過ぎだったと思うけど
、そこまで露骨に避けなくても。
和やかに談笑しながらお店を出て行くつんくさんとりほりほ。
一人取り残されたさゆみは、カウンターの中でうさちゃんピースをしながら泣いた。
●●●
とんでもないことになった。
確かにある意味最強かもしれないけど、でも…
さゆみが手に入れた能力が判明したのは、日も暮れかけた夕方の出来事だった。
どうせ暇だから2階の物置も掃除しようと思って、中の荷物の埃を払っていた時のことだ。
埃が鼻に入ったのか、くしゃみを荷物にかけてしまったのだ。
その飛沫を慌てて拭こうとしたその瞬間、さゆみはあるものを発見してしまった。
なにこれ。
最初は模様かと思ったけど、そうじゃない。
飛沫がついた場所に、目がある。
しかもこのかわいい完璧な形。間違いなくさゆみのものだった。
その証拠に、さゆみの頭の中のビジョンに、目から見えるさゆみの姿が。
さっそく実験開始。
すると驚くべき事実が発覚する。
唾液、くしゃみ。掛かった部分から出てくるのは目だけじゃなかった。
鼻、口、顔。試しに掌につけてみたら、人面瘡みたいになってしまった。
もしかしてこれが、さゆみが手に入れた能力?
こんなんじゃダークネスを倒すどころか、覗きくらいにしか使えないよ…
そこでさゆみは思い出した。
さっき、りほりほに誤って涎の飛沫をかけてしまったことを。
それはもう通学用のバッグから、靴から、制服から、あらゆる場所に。
一生懸命念じた結果がこれですか、というのはともかく。
どうせなら、とことん利用してあげようじゃないの。
71 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 21:05:40.36 0
>>65-70 代理投稿完了
後編はまたのきか……stop( ̄乂 ̄)ダメダメ!
72 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 21:13:12.52 0
細く長く
73 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 21:37:49.00 0
>>71 作者さんも代理さんも乙です
>>48あたりのレスから連想したんですかね
続きもぜひまたのきか(ry
74 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 21:38:00.62 O
譜久村さんのカニラのくだりですねw
75 :
名無し募集中。。。:2013/02/28(木) 23:14:33.44 O
>>71 更新乙です
まさかの能力バトルを期待してますw
76 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 00:04:49.56 O
あげ
発見
78 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 01:39:34.97 0
つぶされる
79 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 02:13:52.39 O
なにが?
80 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 06:14:22.47 0
圧縮ってことかい
81 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 06:22:52.86 O
おぱょ
82 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 08:24:10.43 0
はいおぱ4
83 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 11:19:46.72 0
お○ぱ○4?
84 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 12:46:08.66 0
昼保
85 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 14:24:24.11 I
昼保(2)
86 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 15:10:34.76 O
昼保(3)
87 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 15:28:06.40 0
(※)
・過去にあった一部の話の設定を踏襲したりしていますが単発の話と思ってもらえれば幸いです
・でも投稿は複数回に分けさせてください
・メンバー構成と時系列が現実とリンクしていなかったりもしますがそのあたりはご寛容のほど・・・
「“ドッペルゲンガー”ってやつじゃない?その人が見たの」
「ドッペル……?何ですかそれ」
湯気の消えかけたカップを手にしたまま、工藤遥は小さく首を傾げた。
「くどぅーが今話してた通りだよ。“もう一人の自分”みたいに自分そっくりな存在」
遥の問いかけに、ミネラルウォーターのグラスを片手にした鞘師里保が答える。
「もう一人の自分?そんなのがいるんですか?」
「いや、本当にいるかどうかは知らないけど。そういう言い伝えはあるよ昔から」
「そうなんですか」
この喫茶「リゾナント」に来る道すがら、遥は女子高生風の2人組が軽い言い争いをしているところに遭遇した。
内容を漏れ聞いたところ、1人が「さっきどうして無視したんだ」と詰り、もう1人が「身に覚えがない」と困惑しているようだった。
要するに、片方が「あんたに会った」と主張し、もう片方が「会っていない」と反論していたということらしい。
ひとしきり話題が尽きた後、ふとそのことを思い出して里保に話してみたところ、返ってきた答えが「ドッペルゲンガー」だった。
「あー!衣梨奈それ知っとーよ。本人が見たら死ぬってやつやろ?」
里保と遥の会話に、生田衣梨奈が賑やかに割り込んでくる。
「そうらしいね」
「ええっ!?死ぬんですか!?マジですか!?」
当然のように頷く里保に、遥はギョッとした表情で思わず問いかける。
「いやだから本当かどうかは知らないけどさ。そういう言い伝えなんだって」
「そうそう、都市伝説ってやつっちゃん」
「…都市伝説とはちょっと違う気もするけど」
もう一人の自分―――そんなものに出くわすのは、考えるだにあまり気持ちのいいものではなさそうだ。
見たら死ぬなんていうことになれば尚更―――
カランカランカラン
ちょうどそのとき、来客を告げる扉のベルが不意に打ち鳴らされ、遥は喉元まで出かかった悲鳴を何とか飲み込んだ。
思わずビクリとしてしまったのを誤魔化そうと、無駄に大きな動作で入口の方を振り返る。
そこには、青白い顔をした長い黒髪の―――
「どうしたのはるなん!?顔が真っ青だよ」
扉を開けてふらふらと店内に入ってきた飯窪春菜に、カウンターの向こう側から譜久村聖が驚いた顔を向ける。
「貧血みたいで…ちょっと気分が悪くなっちゃって……。あ、大丈夫ですありがとうございます。すみませんご迷惑をおかけして……」
慌てて駆け寄って体を支えた鈴木香音に感謝と謝罪の言葉を述べ、春菜は小さく頭を下げた。
新しく見つけたギャラリーで展示されていた現代画家の絵に一目惚れして鑑賞するうちに、急に気分が悪くなったのだという。
半ば意識を失ってしまい、事務所でしばらく休ませてもらってから帰ってきたらしい。
「大丈夫?家に帰らなくてもいい?」
「帰っても一人なんで心細くて。皆さんの顔を見る方が元気出ます」
心配顔を向ける香音に、春菜はそう弱々しく微笑む。
数日前、春菜はとある宗教団体から遥とともに逃げ出し――より正確には助け出され――「リゾナント」の仲間に加わった。
年齢は今この場で一番上だが、いわば“先輩”に当たる聖たちにはいまだに律儀に敬語で接している。
一歩間違えば卑屈にも映りかねないが、その姿はごくごく自然で、それが春菜の人となりを端的に表していた。
「2階で休む?香音ちゃん、はるなんについててあげてくれる?田中さんには聖から伝えとくから」
「分かった」
頷く香音に、自分も行くと遥が手を挙げかけたとき―――
カランカランカランッ
再び――先ほどよりもやや激しく――扉のベルが鳴らされた。
「見つけたっ……!あなた何者よ!まーちゃんをどこに連れて行ったの!?答えなさい!」
集中した全員の視線の先で、一人の少女が仁王立ちしている。
水平に突き出された手は人差し指がピンと伸ばされ、真っ直ぐ春菜を指差していた。
「っていうかそっちこそ何もん?」
呆気にとられた空気が流れる中、衣梨奈が何故か対抗心を燃やしたように指を突きつけ返す。
「あなたたちもその人の仲間?何を企んでるのか知らないけど、この石田亜佑美に見つかったからにはおしまいだからね!」
その大見得に言葉を返す者は今度は誰もおらず、必然的にシーンと静まり返る。
遥の心中と同様、店内にはどうリアクションすればいいのか戸惑っている空気が満ちていた。
「あの……私に…何か?」
その中でも最も戸惑った表情ながら、指差された当事者としての責任感(?)からか、春菜が恐る恐る口を開く。
石田亜佑美と名乗った少女は、若干自分がスベったような空気を感じたのか、少しだけ気まずそうに水平に伸ばしていた手を下ろした。
「…とぼけないで!まーちゃんはどこって聞いてんの」
そして、その気まずさを取り繕うように両手を腰に当て、春菜を睨み付ける。
目つきと口調こそ鋭いが、どこかずれたような空気が相変わらずその迫力を削いでいた。
「まーちゃん…と言われても……どなたですか?」
「佐藤優樹!この子よ!知らないとは言わせない!」
言いながら、亜佑美が自身の携帯を掲げる。
そこには、楽しそうな満面の笑みを浮かべた一人の少女の画像が映し出されていた。
……が、今時あまりないくらいに画素数が低めの小さい写真であるため、はっきりとは分からなかった。
「う〜ん……いえ、あの…すみません…お会いしたことはないと思うんですけど…」
それでも律儀に目を細めて懸命に写真を確認した後、春菜は申し訳なさそうに言った。
「あんたいい加減にしーよ!はるなんは今体調悪いんやけん大っきい声出さんで!」
衣梨奈が2人の間に割り込むようにして、負けずに大声を張り上げる。
その言葉に一瞬気後れしたような顔をしたものの、亜佑美はなおも食い下がった。
「私はこの目で見たの!あなたとまーちゃんが一緒にいるところ!」
「そんなこと言われても……」
―――ん……?
困惑の表情を浮かべる春菜に、遥はふと軽い既視感を覚えた。
あの表情、つい最近どこかで見たような―――
「…どうしても言わない気ね?じゃあこれならどう!?」
―――!!
一瞬の出来事だった。
扉の前に立っていたはずの亜佑美の姿は、いつの間にか香音の背後にある。
その手には、カウンターの上に置かれていたフォークが握られ、香音の首元に突き付けられていた。
―――能力者……!
緩んでいた空気が一瞬にして張り詰めた。
「“高速移動”……みたいだね、あなたの能力」
聖が静かな視線と言葉を亜佑美に向ける。
一瞬驚いたように見開かれた亜佑美の目が、その直後に警戒の色を強くする。
「まさか…あなたたちも何か特別な力を持ってるの?…でも私の“マッハスピード”には勝てないからね」
「ネーミングださっ!」
…張り詰めていた空気が一瞬にしてまた緩んだ。
誰もが心に浮かべたであろう思いを反射的に口にしてしまった遥に心なしか火照った顔を向け、亜佑美は手に持ったフォークを構え直す。
「う、うるさい!早くまーちゃんを返しなさい!この子が怪我してもいいの?」
赤くなった顔を店内の全員へ忙しく動かしながら、それでも亜佑美は強硬な姿勢を崩さない。
緩んだ空気に、再び微かな緊張感が漂う。
「あ、みんな、心配しなくていいよ。この人、私を刺したりする気ないから」
だが、それは他ならぬ“人質”の香音の、のんびりとした口調によって再び弛緩した。
「なっ……?い、言っとくけど私は本気――」
「無駄だよ。香音ちゃんがそう言うなら、そうなんだよ」
静かな声が、亜佑美の言葉を遮る。
その言葉の主――里保は、遥の前の席を立ち、ゆっくりと移動してゆく。
自分の方へと歩み寄る里保へと油断なく視線を注ぎながらも、香音に突きつけられたフォークを持つ手の力は明らかに緩んでいた。
「とにかく香音ちゃんを解放しなよ。そっちも話し辛くない?」
「…だからあなたたちがまーちゃんを返したらって言ってるでしょ!」
「う〜ん…じゃあ、こうしよう。うちに勝ったら、そっちの言うこと聞いたげる」
「……!?」
里保の突然の提案に、亜佑美は意表を突かれたという表情を浮かべた。
「ちょっと里保ちゃん何言ってんの?」
「あの、鞘師さん、私ほんとに知らないんですよ」
戸惑いの反応を返したのは、亜佑美だけではない。
店内にいる里保以外の人間は、全員困惑の様相を呈していた。
「ま、いいからいいから。で、どうする?石田亜佑美さんとやら。私と勝負するかね」
「…望むところよ。約束は守りなさいよ」
いつになくふざけた口調の里保に、亜佑美は怒りの視線を向ける。
「もちろん。ま、うちが勝つけどね」
亜佑美の怒りに油を注ぐようにそう言い、里保は挑戦的な笑みを浮かべた。
「鞘師さん、大丈夫なんですか?あの人の能力結構すごいですよ」
思わず口を挟む。
遥の“眼”でさえ、なんとか追える速度だった。
常人の動体視力では、あの移動速度を捉えることはかなり難しいだろう。
「んー…なんとかなるんじゃないかな」
「なんとかって…」
しかし、自信があるのかないのか分からないその言葉とは裏腹に、顔には不敵な笑みが浮かんでいる。
何だか妙に嬉しそうだ――と遥は思った。
「里保ちゃん、お店のもの壊さないでよ。聖が田中さんに怒られるんだから」
「うん、できるだけ」
「……壊したら道重さんに言いつけるから」
「…絶対壊さないようにします」
近くのテーブルを衣梨奈に手伝ってもらって動かすと、里保は亜佑美の方に向き直った。
「お待たせ。いつでもいいよ。受けて立とうじゃあないか」
「…随分自信満々ね。絶っっ対負かしてやる!一瞬で終わらせるから」
闘争心を剥き出しに、亜佑美が里保を睨み付ける。
もはや当初の目的を忘れ、里保に勝つことしか頭にないようにさえ見える。
かなりの負けず嫌いなのだろう。
「くどぅー、試合開始の合図よろしく」
「試あ……分かりました」
いつから試合になったんだよと思ったが、亜佑美の方も別に違和感を覚えていない風なので、黙って頷く。
「ではお2人は向かい合わせに。関係ない人は離れて」
遥の言葉に、店内で移動が行われる。
手首や足首をブラブラとさせ、首を回しながら里保と亜佑美が向かい合う。
「レディー………」
高々と両手を挙げ、肩幅よりわずかに広げる。
遥のその合図を受け、里保と亜佑美は構えの姿勢に入る。
次の瞬間、遥は思い切り両手をクロスさせながら叫んだ。
「ファイッ!!」
そして―――
亜佑美の言った通り、勝負は一瞬でついた。
「勝者……鞘師里保!!」
「いえぃっ!」
ガッツポーズを決める里保に組み伏せられたまま、亜佑美は呆然とした表情をしていた。
「何が起こったと…?」
呆然としているのは亜佑美だけではない。
当事者たち以外で今何が起こったのかを理解しているのは、なんとか“眼”で追うことができた遥だけだろう。
「膜……ですよ生田さん。鞘師さんは間に水の膜を張っていたんです」
里保の能力により、気付かないほどに薄く張られた水のカーテン。
先ほどまで飲んでいたミネラルウォーターの残りを利用したのだろうそれを、高速移動中の亜佑美は突き破った。
その瞬間にできる、「移動経路」の軌跡。
それを元に亜佑美の攻撃方向を察知し、カウンターの投げ技を決めた。
…言葉にすればそれだけのことだが、それを実際に実行できるのはさすがというしかない。
「この前田中さんがやってたのをヒントにね。高速移動中に何かにぶつかったら、きっと驚いて反射的に動きが鈍るだろうとも思ってさ」
「……その通りでした。参りました。完全に私の負けです。こんなすごい人に挑んでた自分が恥ずかしいです」
先ほどまで闘争心の塊だった亜佑美の瞳には、いつの間にか純粋な賞賛と尊敬の色が浮かんでいる。
「や、そんなことないよ、全然そんなことない。亜佑美ちゃんもすごいって」
照れたように手を振ると、里保は立ち上がり、亜佑美に手を差し伸べた。
同じく照れたようにしながら、亜佑美もその手につかまって立ち上がる。
――「亜佑美ちゃん」ってオイ
心の中でそう突っ込んだのは遥だけではないだろう。
「あー、オホン。いいでしょうか」
わざとらしい咳払いとやや不機嫌な声が、和やかな雰囲気を破る。
全員の視線が向いた先には、声同様に不機嫌な面持ちの香音の姿があった。
「で、何か忘れてませんか?」
香音の問いかけに一瞬首を傾げた後、亜佑美はハッとした顔になる。
「そうだ!まーちゃん!まーちゃんを返して!」
「ふりだしか!何のための時間だったんだよ今の!」
思わず突っ込んだ遥に何かを言いたそうにしたものの、亜佑美は結局悔しげに黙り込んだ。
自分が負けてしまったことの意味をようやく思い出したのだろう。
「あのですね、鞘師さんが勝ったから言わないってわけじゃなくて、本当に私身に覚えがないんです。信じてください」
そんな亜佑美を見かねたように、春菜が弱々しく声を掛ける。
ばつの悪そうな……でも反論したいような複雑な表情で、結局何も言えずに亜佑美は唇を噛んだ。
「その人は嘘言ってないよ、みんな。まーちゃんって子のことすごく心配してるし、はるなんと一緒にいるのを見たっていうのも本当みたい」
「えっ?」
思わぬ“援護射撃”に、亜佑美は驚いたように顔を上げた。
他の視線も、再び香音へと集まる。
「香音ちゃんがそう言うなら……そうなんだね」
先ほどの里保の言葉をなぞるような聖の言葉に、全員の頷きが返る。
「やけど……はるなんは会ってないんっちゃろ?」
「うん、はるなんも嘘は言ってない」
「だったらどういう……」
首を傾げながらそこまで言ったとき、遥の脳裏で一つの言葉が弾けた。
「まさか……ドッペルゲンガー……?」
同じくそれに思い至ったらしい里保が再び口にしたその言葉に、背筋が冷える。
もう一人の自分―――
本人が出会えば死ぬという―――
思わず春菜の方を見遣る。
そこには、相変わらず幽霊のように青白い色をした春菜の、怯えたような表情があった。
To be continued...(?)
98 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 15:41:02.67 0
>>88-97 ひとまず以上です
続きはまたのきか(ry
なお、“マッハスピード”は、某娘。RPGを(無断で;)元ネタにさせてもらっています
-------------------------------------------------------------------------------
↑ここまで代理投稿
99 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 17:18:39.07 0
おちゅ
話が転がっていく未来より現在何が起こっているかを知りたい
そんな話だった
100 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 17:42:51.54 O
乙です
マッハスピードw
101 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 19:13:09.06 0
ドッペルゲンガーとか不があるけど何か和むのはだーπのおかげかなw
続き待ってます
102 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 20:20:48.77 0
マッハステップだろ
103 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 20:34:59.48 T
文朱じゃないの?
104 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 21:45:36.68 0
じっちゃん乙
105 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 21:46:15.98 0
オッサンがおるなw
>>98 作者さん&代行さん乙でした
アクアキネシスを使ってマッハスピード(笑)を破った鞘師さんの機転が光ってますね
まーちゃんがどこに行ったのか
どんな風に能力を使うのか
続き期待してます
106 :
名無し募集中。。。:2013/03/01(金) 23:07:31.71 O
あげ
107 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 00:10:07.93 0
執筆中うるるるー
108 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 01:05:44.36 0
書き上げたー
推敲して明日投下します
109 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 01:36:14.29 O
楽しみ
110 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 05:11:12.54 O
日本の夜明けぜよ
111 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 06:25:24.73 0
前スレの赤の脅威って話が面白かった
112 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 08:00:19.30 I
新生リゾナンター(仮)良いですね
113 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 10:32:55.43 0
風が冷たい
114 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 11:47:06.38 O
さて投稿ラッシュの週末がやってきましたよ
115 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 13:07:01.63 O
ほ
116 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 14:02:22.51 O
ぜな
117 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 14:22:58.62 O
んと
118 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 15:46:08.37 O
あげ
119 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 17:39:50.50 0
ホゼナンターご苦労様
120 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 18:54:18.45 O
夜がくる
121 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 19:59:18.28 0
お話も来る
122 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 20:27:27.76 O
でもそうはならなかった!
「なんそれ?」
その日、リゾナントへとやってきた春菜は何やら小包を抱えていた。
「はい、あの、昨日家に届いたんですけど…」
箱に貼られた伝票には、届け先だけが書いてあり、依頼主の欄は全くの空欄だった。
「え、何これ。気味が悪いの」
「そうなんです。だから私も怖くて開けられないんですけど…」
「でも要冷蔵ってあるやん。食べ物じゃなかと?」
「そう思わせるカモフラージュかもしれないですよ」
意を決して小包を開くことにした。
一同を緊張感が包む。静寂の中、カッターの音だけが響く。
ゴクリ。
唾を飲む音が聞こえる。
そして開封した瞬間―――
ほのかに甘い香りが溢れた。
「…いちご?」
「…ですね」
緊張が“?”に変わり、一同が狐につままれたようになっている中、その空気を破った者がいた。
「わぁ〜!おいしそ〜!」
優樹がいちごに手を伸ばし、その一つをつまんで口に運んだ。
「んん〜!おいひ〜!…あれ?みんなどーひたの?」
優樹の行動に、あっけにとられる一同。
「いや、まーちゃん!毒とか入ってるかもわかんないんだよ!?」
「え?普通においしかったよ?」
仮に毒などが入っていたとしても症状がすぐ出るとは限らないので、いちごはひとまず冷蔵庫にしまわれた。
そして、春菜は心当たりを明かした。
「ストーカー!?」
「帰り道とかお家とか、誰かに見られてるような気がする時があるんです。気のせいかもしれないですけど…」
「絶対そいつやろ!?住所も分かられとるやん!」
警戒の為、春菜の帰路には誰かしらが付き添うことになった。
しかし、何らかの気配こそ感じるものの、ストーカーが姿を見せることはなかった。
何日か経ち、この日は亜佑美が春菜に付き添っていた。
同じ高校生で普段から仲が良いこともあり、自然と亜佑美が付き添うことが多かった。
「ただいまー」
「おじゃましまーす」
リゾナントへ経過報告に寄ったことで、この日は帰りが幾分遅くなった。
「今日もストーカー出てこなかったね」
「やっぱり気のせいなのかな…」
「そんなことないよ、じゃあ何でいちごが送られてくんのよ」
「ただ単に名前書き忘れただけかもしれないし…」
「う〜ん…。ねえ、顔洗うから洗面所借りるね」
「うん、いいよ〜」
洗面台の前に立つ亜佑美。蛇口をひねり、水を出す。
ジャバジャバと、顔を水にさらす音が響く。
「ふぅ。あれ、タオル…どこだ?タオル…」
その時、亜佑美の顔にタオルが触れた。
「あぁ、ありがと」
春菜が来てタオルを渡してくれたのだと思った。
顔を一拭きして、回りを見る。ところが、今タオルを渡してくれたはずの春菜の姿はない。
「…はるなん?…おかしいな」
そう呟いて正面の鏡に向かった瞬間だった。
「ヒッ!!」
亜佑美の口から、短い悲鳴が漏れた。
鏡には、その前にいるはずの自分の姿ではなく、見知らぬ女性の姿が写っていた。
全く状況が理解できない亜佑美。その時、鏡の中から両手がニュッと伸びてきた。
女性の両手が亜佑美の首を掴む。さらに女性の顔が、そして全身が飛び出し、完全にこちら側へ抜け出してきた。
「ぐっ…あなたは…」
「あなたは邪魔なの。私とはるなんの2人だけの世界。私ははるなんと双子になるの」
首を掴む手に一層力がこもり、亜佑美の顔は次第に苦悶に満ちてゆく。
その時、異様な物音に気付いた春菜が洗面所にやってきた。
「あなたは!?…彩ちゃん!?」
その声に、女性が春菜を見やった。そして、不気味に微笑んだ。
「うらあっ!!」
その隙をつき、亜佑美は女性の腹部に蹴りを一撃見舞った。
首から手が離れ、ようやく間合いを取った。
「彩ちゃんって言ったよね?誰?」
「美術館でお話しした人なんだけど…」
彩と呼ばれたその女性が立ち上がり、口を開く。
「彩ははるなんが大好きなの。はるなんと私の二人だけの世界に行って、そして双子になるの」
不気味な微笑みを浮かべたまま、さっきと同じようなことを口にした。
「何この人、頭おかしい…」
亜佑美がそう呟くと、彩花は顔を強張らせ、再び亜佑美に向かってきた。
「やめて彩ちゃん!こんなことしないで!」
キッ!と春菜は彩花に力を込めた視線を向けた。五感を奪って動きを止めようとしたのだ。
一瞬、彩花の動きが止まったかのように見えた。
しかし次の瞬間、地に伏せていたのは春菜だった。
??!!
驚く亜佑美。その隙をつき、彩花は再び亜佑美の首を掴んだ。
「見えないっ…!聞こえないっ…!」
床に横たわったままもがく春菜。
「あなた…はるなんに何をしたの!?」
「はるなんが悪いんだからね」
この人に話は通じない。早いとこケリをつけなければ。
「リっ…リオンっ…!」
空間が軋む。
大気が凝縮され、それはエネルギーを持った。
「GO!」
彩花の背後から飛び掛かる獅子。
その時、彩花がカッ!と眼をひん剥いた。
その瞬間、エネルギーが霧散する。獅子は消滅した。
「なっ…!」
「無駄よ」
先程の春菜といい、今といい、彩花は受けた能力やエネルギーをはね返すことができるらしい。
「彩ちゃんっ…」
はね返された能力が幾分軽減されたのか、春菜が2人の方を見やった。
「待っててはるなん。もうすぐ二人になれるよ」
「させるかぁっ!」
取っ組み合いになる亜佑美と彩花。
その時、彩花の首からロケットペンダントが外れ、春菜の方へ転がった。
手に取る春菜。
「これは…」
彩花の姿が霞がかかったようにぼやけ、そして消滅してしまった。
パリン!ガシャン!!
その時、洗面台の鏡が割れ、崩れ落ちた。
「何だったの…?」
「きっと、寂しい人だったんだよ」
そう言った春菜は、手にしていたロケットペンダントを亜佑美に見せた。
「この人が、ゆうかりん…なのかな?」
「きっとそうだよ」
そしてロケットペンダントも後を追うように消滅してしまった。
――もう通わぬ心だから もう届かぬ想いだから――
「あやちょ!あやちょ!」
「ん…?あ、花音ちゃんおはよ」
「おはようじゃないでしょ!また鏡の中でどっか行ってたんでしょ」
「うーん、そうみたい」
「まったく、しっかりしてよね、リーダー」
134 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 21:22:28.76 O
135 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 21:56:40.66 O
更新乙
あやちょこえー
と思いきや落ちに笑いましたw
136 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:02:19.61 0
>>65-70 の続きです
見られている。
私の感覚が、そう訴えていた。
見ている何かに気取られないよう、電信柱のカーブミラーを確認する。
誰も居ない。
おかしいなあ。確かに、なめくじみたいなねちっこい視線を感じるんだけど。
ちょっと、疲れてるのかもしれない。
違和感を疲れのせいにして、私は帰り道を急いだ。
広島の片田舎から出てきた私は、両親の伝手でとあるアパートを借りている。
ただ、若い娘の一人暮らしが心配なのか、大家に私の保護者代わり、はっきり言えば監視者をつけていた。それが鬱
陶しくて仕方ない。
アパートの前に差し掛かると、早速ご本人の登場だ。
「里保ちゃん遅いよ!!」
甲高い、何かの機械で加工されたみたいな声。
これで地声だというのだからびっくりする。
このおじさん、名前は照訓。照くんではない。紛らわしい名前だ。
137 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:02:53.59 0
「最近さあ、門限守れてないんじゃね?」
「うるさいなあ」
「うわ。何か俺に対する扱い冷たくない?!前の住人は鬱で説教くさかったけどもうちょっと扱いが丁寧だったんだ
けどなー!」
ごきげんようのコロぞうみたいな声を上げて非難する輝訓を無視して、アパートの中に入る。
私の部屋は2階の一番手前。建物が南向きなので日当たりがいいので、そこだけは気に入っている。
玄関を開けてすぐに鞄をベッドに放り投げ、続けてそのままベッドにダイブ。
つんくさんに色々話しているうちに、疲れちゃった。
リゾナンターの次期エースとしてのプレッシャー、外部の人相手じゃないと中々話すこともできない。鞘師も大変や
なあ、せやけど高橋も田中もそれを乗り越えて来たんやで、なんて言ってたけど。
乗り越えるしかない、か。
スー
あれ?
何の音だろう。
私の呼吸の音じゃないよね。
何だか今日は気持ち悪いことが多い。その変にぬめった感覚を洗い流したくて、私は急遽シャワーを浴びる事にした。
衣服を脱衣籠に放り込んでいる時も、変な音は聞こえてくる。
スーハーうるさいし、誰かが喋っている声みたいな音も耳に入ってくる。同じグループでそんなことしちゃダメなの、で
もそれが逆にいいの、みたいな。
やっぱり私はだいぶ疲れている。
うな垂れつつ、シャワールームの扉を開けた。
138 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:03:34.95 0
コックを捻ると、ちょうどいい熱さの流れが私を包み込む。
何だか今日は調子が悪い。こんな日はさっさと寝てしまうに限る。
そんなことを考えながら髪を洗おうとシャンプーボトルに手を伸ばしたその時だった。
手の甲に、変な模様。
いや、これは模様なんかじゃない。目だ。
その証拠に、私と目線が合うとその目らしきものは明らかに視線を逸らした。
おもむろにシャワーを当てると、驚く事に「なにすんの、やめるの」などと喋りだした。
何なんだこれは。
と言うか、さっきの声はどこかで聞き覚えがある。
確証は持てないが、とりあえず実験することにした。
手の甲を、そっと胸元に近づける。
スーハースーハー
今私の中に、はっきりと事実が見えてきた。
「何してるんですか、道重さん」
すると明らかにうろたえたような目は、
「みっ道重さんとか誰なの?知らないの!」
としらを切り始めた。
139 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:04:11.73 0
眩暈がしてきた。まさか、仮にもリーダーが、こんなことを…
きっと問い詰めてもあくまでも否定し続けるに違いない。そこで私はやり方を変えることにした。
「もしかして、ダークネス?」
「え、いや」
「道重さんの声真似までして、私を監視しようなんて!」
「そ、そうなの!さゆ…いや私はダークネス、貴様を監視するために取り憑いたのだ!!」
水軍流の兵法に、口を割らないスパイには敢えて嘘に乗り、ぼろを出させるというものがある。それを試してみたわ
けだけど、まさかこんなすぐに乗ってくるとは。
「というわけでりほりほ、敵のデータを取るために色々調べさせてもらうわよ!」
そんなことを言いながら、手の甲の目が二つになり、鼻が現れ、口が現れた。口の斜め横には、ご丁寧にほくろまで
ある。道重さん…
「まずは敵のDNAを採取するの!!」
完全に正体がばれていないと勘違いし、本能の赴くままに行動する変態。
手の甲が引っ張られるように胸に寄せられる。まずい、このままではペロペロされてしまう!
変態フェイスが私の肌に接触するまであと5センチ、というところで動きが急に止まる。
それもそのはず。私が咄嗟に胸元に水の刃を作り、突きつけたからだ。
140 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:04:47.36 0
「水のあるところで私を襲おうなんて、考えが無さ過ぎですよ」
「か、顔はやめて!」
愛刀「驟雨環奔」は部屋に置いてきたものの、シャワールームはまさに私の武器だらけ。道重さん、観念してもらい
ますよ!!
ところが、肘のところから変な感覚。
手だ。手が肘から生えてきて、シャワーのコックを閉めてしまったのだ。
「これで水は使えないの!サユミーン!!」
まるではるなんが愛読してる漫画のスタンドのような鳴き声をあげて、喜ぶ道重さん。
でも安心するのはまだ早い。水の供給は断たれたけど、この空間には大量の水がある。今更シャワーを止めたところ
で…
ぱちっ。
何かのスイッチが入る音。
とともに、天井の吸気口から勢いよく空気が吸い出される。換気扇のスイッチ!?
「さゆ…いや私の体液を浴びた箇所から、私自身を出せるってことを知らなかったみたいね。脱衣籠の制服から、別
の私が生えてきて換気扇を回させてもらったの!!」
「そんな!!」
141 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:05:25.51 0
部屋の外からクンカクンカスーハースーハーという怖ろしい音が聞こえる。
今外で何が起こっているのか、想像すらしたくない。
手の甲からは、明らかに道重さんとしか思えないような顔、さらに手と胴体まで生えてきている。もうダメだ!私は
最後の手段を取ることにした。
「能力発動!!」
「え?」
シャワールームが、光に包まれる。
そして、部屋の外から聞こえる、そして手の甲の変態があげる、イタイノー、クルシイノー、という叫び声。
「なんなのこれ、体が、引き剥がされるっ!?」
「私も実は、つんくさんの本で新しい能力を手に入れてたんですよ」
目の前の変態を退治するのに、最も有効な能力。それは。
私の半径10メートル以内に、道重という名のつくものが近づくことを禁ずる。ストーカー法もびっくりの能力だ。
「いやなの、まだ堪能しきれてないのッ!!!」
「卑しい変態よ、この罪は何にも替えられぬ!!!」
私が最後の決め台詞を叫ぶと、断末魔のようなサユミーンという鳴き声をあげながら道重さんは消滅していった。
142 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:06:04.30 0
●●●
もう少しで、もう少しでりほりほのしゅわしゅわぽんを!!
りほりほの謎の能力で、全てのりほりほを遠隔監視する術を失ってしまった私は悔しさと悲しみに打ちひしがれてい
た。
りほりほが私のことをダークネスの手先と勘違いしてくれた。
それがきっかけで、天使のさゆみと悪魔のさゆみが耳元で囁き始めたのだ。
「ひっひっひ。やっちゃえなの。どうせ何やってもダークネスの仕業なの。本能の赴くままにりほりほの柔肌を堪能
するの」
「いけないの。同じグループでそんなことしちゃダメなの。相手はいたいけな子供なの」
「何言ってるの。子供だからこそ色々教え込まなきゃいけないんだろうなの」
「そう言えばそうなの」
「やっちゃえなの」
「やっちゃえなの」
意外と合意は早かった。
とにかくその瞬間にさゆみはビーストと化した。
それなのに、まったく楽しめないまま終わってしまった。
と思いきや…
ん?まだ遠隔でどこかと繋がってる感覚がある!
まだ、桃源郷への道は閉ざされてなかった!ラピュタは本当にあったんだ!!
私は神経をその一点に集中した。
143 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:06:48.90 0
鼻が、りほりほの体臭を嗅ぎ当てる。
スー
やっぱり最高なのこの香り、そう、脂ぎったような酸っぱいような加齢臭…え、加齢臭?
「あー、あかんあかん」
遠隔操作の耳が、どこかで聞いたような関西弁を捉える。
まさか。
「さっき食ったお好み焼き、生焼けやったせいで腹の調子めっちゃ悪いわ…」
声の主は明らかにつんくさんだった。
どうやらあの時の私の唾液の飛沫が、つんくさんの衣服にも掛かっていたらしい。
プス…プププゥ…
やだっ何これ、くっさ!!
あんまり想像したくないけど、まさか飛沫がついた場所って。
「あかんもうしまいや…まさか40超えて漏らすことになるとは、あっあああああああああああ」
ちょ、やめ、きゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!
144 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:07:27.12 0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
迫り来る怖ろしい雪崩にかっと目を見開くと、そこはいつもの喫茶店のカウンターだった。
もしかして、夢?
私は、ほっと胸を撫で下ろした。
お店の時計を見ると、まだお昼前。
どうやらお客さんが来なさすぎて眠ってしまったらしい。
ダークネスとの攻防の日々で疲れているのだろうか。
私は寝汗で張り付いた衣服を剥がすように、ぐーんと背伸びをした。
からんからん。
あら、お客様。
いらっしゃいませえ、と言おうとした私は、来客者の姿を見て明らかに笑顔が引きつってゆくのを感じていた。
「おー道重ー、ひさしぶりやなあ」
「げ、つんくさん…」
「げって何や、失礼なやっちゃな」
先ほどの悪夢が生々しく蘇る。
背中に温い汗が伝うのがわかる。いや、あれはただの夢。そもそも一日だけ好きな能力を手に入れられる、そんな夢
のような話があるわけ…
「ところで道重、今日はええもん持ってきたで」
つんくさんが懐から取り出す、分厚い本。
今までのことが走馬灯のように頭を過ぎり、さゆみの意識はぷっつりと途絶えてしまった。
「…そんなにこの本がイヤやったんかなあ。スーパーアイテムになると思ったんやけど。『おいしいカレーの作り方』」
145 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:08:54.78 0
>>136-144 投稿完了
ちょっとアレな内容ですが代理投稿お願いします
----------------------------------------
以上代理投下終了
146 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:36:38.34 O
なんてオチだよw
147 :
名無し募集中。。。:2013/03/02(土) 23:58:17.82 0
>>134 このタイトルもしやと思ってググってみたらやっぱGLAYだったw
狼でよくネタになるあやちょの一途さが出てるかな
しかし最後の画像w
>>145 余裕でアウトだねw
気分転換になったならどうか本編の方を
148 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 00:55:44.83 O
>>145 ここでもぞんざいな扱いをされてるDELIくんに思わず涙がw
149 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 01:21:15.43 0
デリ君は屋根の上の白いキツネ
150 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 02:05:49.58 0
文章はうまいけど下品すぎてひく
151 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 06:03:11.67 0
まあタマにはイイじゃないか
あくまでタマにはだけどw
>>145 この手のおふざけに真剣に突っ込むのも無粋ではあるけど本の効果で新しい能力が生まれる場合本来の能力は本に預けるわけでしょ
だったら鞘師が水を操れるのはおかしい気もする
その片のルール設定を厳密にしてもう一度書き直そうかw
152 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 06:14:55.91 0
>>134 何の気なしに読んだらただのストーカー話だけど■■の設定と繋がってるとしたら哀しい話になるよねえゆうかりんとか
少しひねったバトルの展開も面白かった
153 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 07:31:53.73 O
今日はひな祭りやよー
154 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 09:54:38.88 0
いつの間にか三月
155 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 12:25:27.52 0
来月は遂に
156 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 12:56:04.52 O
今日も待ってる
157 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 15:02:28.34 0
待つ保
158 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 16:22:40.31 O
あげぇ
159 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 17:29:57.92 O
しつこくあげ
160 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 17:36:38.89 0
待つ保ミジメックス
161 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 17:42:15.56 O
書かナイチンゲール
162 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 18:43:43.03 O
あげあげしてる女の子私は羽ばたくよ
163 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:02:13.99 0
>>18-23 の続きです
闇が晴れ、光が満ちる。
足場の鉄骨、周りを覆う防護網、全てが鮮明に照らし出された。
友理奈は残念そうな顔をし、佐紀は桃子がしくじったのを悟り舌打ちをする。
発電設備が復活したことによる投光器の起動は、れいなにとってまさに反撃の狼煙であった。
しかし、それと時を同じくして桃子を除いたベリーズの全メンバーが最上階にたどり着く。
「残念でした。せっかく投光器をつけたのにね」
れいなの正面に立った雅が、その掌に炎を迸らせる。
その後ろで千奈美が、友理奈が、雅のサポートのために構えている。
右を見れば梨沙子が、左を見れば茉麻がれいなを捉えようと徐々に距離を縮めている。
圧倒的に不利な状況にあるれいな。
なのに、その表情には笑みすら浮かべている。
「もう笑うしかないってやつ?」
「そりゃそうでしょ。打つ手なしだもの」
茉麻がれいなの心情を推し量り、梨沙子が現在の状況を断じる。
れいなの笑みはやがて笑いに変わり、文字通り腹を抱えて笑い始めた。
164 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:02:49.76 0
「ねえちょっと、何がおかしいの?なんかムカつくんですけど!」
甲高い声で、自らの気分が害されたことを主張する千奈美。
堪えきれない、といった感じで笑い転げていたれいなは、一言だけ言う。
「いやいや。あんたら、おめでたいっちゃねーって思って」
「は?」
「まんまと罠に嵌ったのは、あんたらのほうったい!!」
れいなが、自らの足場に強烈な拳の一撃を叩き込む。
突然、れいなたちが立っていた足場が大きく傾く。それをきっかけに、鉄骨で組まれただけの建物はまるで地震
にでも襲われたかのようにがたがたと左右に揺れ始める。
揺れは徐々に大きくなり、そして限界点を迎える。
頑丈に組まれていたはずの鉄骨が、一気に崩壊した。
ただ闇雲に逃げ回っているわけではなかった。
追っ手から逃れながら、れいなは鉄骨の要である箇所のボルトを外していたのだ。
少しの衝撃で、足場が崩れてしまうように。
まるでジェンガを崩したかのように、ばらばらに崩落してゆく鉄骨たち。
当然、誰もが投げ出され、地面に向かって真っ逆さまに墜落してゆく。
このままでは全員タダではすまない。
咄嗟に友理奈が、メンバー全員を包み込むような形で重力操作をかけた。
165 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:03:21.04 0
急速に落下スピードが、弱まる。
巨大な鉄骨ですら、水の中を落ちていくようにゆっくりと、沈んでゆく。
あらゆる重力が軽減される、異空間。
もちろん、嫌でもれいなはその範囲に入ってしまう。
「熊井ちゃん、あいつだけ範囲から外して!」
「えっ!そんな器用なことできないって!!」
言ってはみたものの、あまりテンパらせ過ぎて友理奈の重力操作が狂い始めたら困った事になってしまう。なら
ば、この滞空時間中に相手を仕留めるしかない。
梨沙子が愛刀「氷室」を抜き、器用に浮遊空間を掻い潜りれいなに迫る。
「あんたが地上に着く前に、バラバラに切り刻む!」
「威勢がいいっちゃね、ピンク髪!」
この空間の中では飛び道具である「威舞」は役に立たない。
頼れるのは己の剣技のみ。
刀の射程圏内にれいなを捉えた梨沙子が、その凶刃を振るう。
常に氷の力を漲らせている刀、少しでもかすり傷をつけた瞬間、傷口は凍傷となり全身を蝕んでゆく。接近戦に
おいて、有利な立場にあるのは梨沙子。しかし。
166 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:03:54.41 0
当たらない。
この浮遊空間にも関わらず、れいなの動きは少しも阻害されない。
まるで通常時が如く、梨沙子の太刀筋はことごとくれいなにかわされる。
「なんで…あたしたちでさえこの浮遊空間は動き辛いのに!」
「んー、慣れた」
類稀な格闘センス。バランス感覚。
れいながまさにその持ち主であることを、梨沙子は渾身の蹴りを体に叩き込まれてようやく理解することになる。
増幅能力によって高められた蹴りの威力に、抗う事すらできずに梨沙子は気を失った。
「梨沙子!!」
「あと五人っと」
仲間が一人やられた。
身構えるベリーズのメンバーたちを他所に、れいなが上空に漂っていた鉄骨目がけて飛び出す。
鉄骨をがっしり掴んだれいな、まるで体操の鉄棒のように数回体を回転させたかと思うと、その勢いのままに下
方へと落ちていった。
その射程の先には。
重力操作能力の持ち主、友理奈。
能力が解除されれば、全員真っ逆さま。だから敵は、最後まで自分を攻撃することはないだろう。
そう高を括っていた友理奈は、れいなが自分に向ってくるのを見て泡を食う。
167 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:04:30.23 0
「ちょっと!こっち来ないでよ!!」
「だったら能力解除すれば?」
言いながらその距離を詰めてくるれいな。
元来友理奈は頭の回転が速いほうではない。能力を解除してれいなの動きを封じる。しかし一旦解除すれば全員
の身を危険に晒す事になる。
頭の中で描かれる天秤。どちらを取れば良いのか。
選択肢の結論が出ることはなかった。
回転の勢いを加えたれいなの右拳が、友理奈の腹に突き刺さったからだ。
友理奈の意識が飛ぶと同時に、重力が元に戻る。
再び速度をつけながら、全てのものが地面に向かって落下してゆく。
無論、れいなたちも例外ではない。
「あいつ、熊井ちゃんを!!」
「死なばもろともってやつかよ!!」
急激に落下していく感覚に、千奈美と茉麻が肝を冷やしながらも毒づく。
自分達にはいざとなれば茉麻の能力がある。軟体化した茉麻をクッション代わりにすれば激突の衝撃は大幅に軽
減されるからだ。
だが何の命綱ももっていないれいなにとっては、友理奈を倒したのはまさに自殺行為。
168 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:05:04.60 0
「飛び降り自殺の前に、焼死させてあげるよ!!」
パラシュートなしのスカイダイビング、躍り出るのは炎使い・雅。
隠れ蓑になる鉄骨は落下軌道にはない。人間火炎放射器によって、れいなは完全にロックオンされた。
「あんたのへなちょこな炎、リンリンに比べたら子供の火遊びやけん」
「言ってくれるじゃん、後悔させてあげるよ!」
挑発するれいなに向けて、掌を翳す雅。
溢れる炎、ただし灼熱の洗礼を浴びたのは、雅自身。
「あんたアホやろ。こんな下から風吹いてくるような状況で能力使ったら、そうなるっちゃろうに」
まず最初にれいなが警戒したのは、直接攻撃に長ける梨沙子。次が、炎による遠距離攻撃を得意とする雅だった。
しかしこの状況を逆手に取り友理奈の能力を潰すことで、雅の炎を封じることができる。と彼女がそこまで考え
るわけがない。ただ単に、ふわふわ浮かぶ能力が邪魔という理由だった。
ベリーズ、残り3人。
しかし、地面との衝突までの時間は確実に迫っていた。
落下した鉄骨が途中の防護網に引っかかり、網を引き裂きながらさらに落ちてゆく。
169 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:05:40.51 0
「やってくれるじゃん、でもそれ以上はやらせないよ!!」
れいなの上空で叫ぶ、千奈美。
この状況で幻視能力が何の役に立つだろうか。そう侮っていたれいなを前に、千奈美が自らの近くを落下してい
た鉄骨を掴み、そして思い切り投げつけた。
あの細腕のどこにそんな力が。
考える暇はない。避けなければ、鉄骨の軌道に巻き込まれてしまう。
回転しながら落ちてくる鉄骨を紙一重で避ける。いや、避けたはずだった。
予測を否定するのは、れいなの首根っこを捕まえる太い腕。
「捕まえた」
「しまった!!」
後悔するももう遅い。
千奈美は、幻術を使用して偽装していたのだ。
飛んできたように見えたのは鉄骨ではなく、れいな目がけ落下の軌道修正をした茉麻。
もがこうにも、既にれいなの両肩を力強い掌が掴んでいる。れいなを押さえつけながら落下する茉麻の背に、千
奈美が乗り込んだ。
「終わりだよ。安心して死んじゃって」
茉麻の肩越しから顔を現す、さも嬉しそうな顔をした千奈美。
諦めたかのように全身の力を抜くれいなを見て、自らが描いた結末は確かなものになる。そう考えていた矢先の
出来事。れいなは大きく息を吸い込み、そして叫んだ。
170 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:06:24.34 0
「…舐めるなぁ!!!!」
自分よりも一回りも二回りも体格の小さいれいなを押さえつけている茉麻。
だがこの時、掌から伝わる力は自分よりも遥かに大きなものを抱えているような錯覚さえ起こさせた。その一瞬
の怯みが隙を生む。
決してこじ開ける事ができないかと思わされるような剛力が、れいなの細い両手によって引き剥がされた。行使
することで、普段の何倍、何十倍もの力を発揮できる「増幅能力」。あっという間に茉麻のホールドを解いてし
まったれいなが、反撃に出た。
うつ伏せだった態勢を反転させて、一呼吸。
この一呼吸分、持ちうる力を爆発させる。
抉りこまれるような、右の正拳。それは、雨粒が土砂降りへと変わる最初の一滴に過ぎなかった。
次々と打ち込まれる、れいなの一撃。
対する茉麻は、肉体を硬化させて応戦する。れいなの攻撃の速さは経験済み、下手に追うより防御に回り相手の
自滅を待つほうが賢い。前回とは違い、全ての力を防御に回した今なら。手も足も出させないまま、地面と茉麻
のボディプレスの挟み撃ちにすることは十分可能と踏んだ。
事実、れいなの拳は茉麻の肉体にまったくダメージを与えていなかった。
加えて、地面到達まではあとわずか。
いや、茉麻の様子は明らかにおかしくなっていた。れいなの拳は止まることなく、茉麻の腹を打ち続けている。
皮しか捩れなかった一撃が段々と、筋肉にめり込んでゆく。
171 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:07:18.07 0
「まとめて、飛んでけ!!」
叫んだ勢いのままに、繰り出されるフィニッシュブロー。
おやつのカールみたいに折れ曲がる茉麻と、バランスを崩して足を踏み外す千奈美。茉麻が倒されたこと自体想
定外だった上に、気がつけばれいなは自分の目の前。
何をするつもり? 身構える千奈美にれいなは優しく微笑みかける。
「踏み台見っけ」
「はぁ?」
れいなは。
千奈美の肩に足をかけて、そこから更に高く跳躍したのだ。おまけに千奈美の顔に一撃を加えたのは、ご愛嬌。
くそ、まさか…ほんとに一人で全員倒すなんて…
失いゆく意識の中で、千奈美は自分達の認識の甘さを悔いた。
そう、単純に全員がかりで襲えば勝てる。そういう簡単な相手ではなかったのだ。
新たな踏み台を得て高く飛翔するれいな。
さらに、落ちていく鉄骨に踏み乗り、真横に飛ぶ。
飛んだ先は防護網、サッカーボールのシュートがネットに突き刺さるが如く、網は落下のエネルギーを最小限に
抑えた。
れいなが防護網に包まるのと、鉄骨たちが地面に次々と突き刺さるのは、ほぼ同時だった。
172 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:08:33.80 0
>>163-171 投稿完了
代理投稿お願いします
全員?ということで疑問に思われた方は、次回にて。
----------------------------------------
以上代理投下終了
173 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 19:49:00.59 O
帰ったら読む保
174 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 20:49:27.08 O
更新乙です
素でひとり足りないの気づかんかったw
175 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 21:24:12.14 0
保管庫の解説丁寧だな
176 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 21:47:06.97 0
作者「そこまで深くは考えてなかったんだけど…」
というような丁寧な解説をしてくれることもあるw
177 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 21:47:13.20 O
保管庫の関連作品辿るのも楽しい
いいシステムだ
178 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 22:20:03.25 O
ほぜなむ
179 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 23:16:06.74 0
管理人すごいな
180 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 23:50:24.56 O
最近続き物がまた増えてきて楽しみが増えたな
もちろん単発も歓迎
181 :
名無し募集中。。。:2013/03/03(日) 23:56:55.82 0
>>172 乙です
落下しながらのバトル目に浮かびます
れいな頼もしい
182 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 00:55:14.85 0
おやさゆみん
183 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 01:16:25.53 O
おやぷみ
184 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 04:54:14.12 0
おぱよん
185 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 08:10:57.32 0
早起きやな!
186 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 11:50:48.48 O
昼保全
187 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 13:51:59.31 O
まだまだ昼保全
188 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 15:11:38.60 0
支援
189 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 18:12:23.73 0
助太刀
190 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 19:37:44.04 O
浮上
191 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 21:39:06.42 0
希望は捨てない
192 :
名無し募集中。。。:2013/03/04(月) 23:20:20.64 0
さよならじゃない
193 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 01:00:01.97 O
まだこれで最後じゃない
194 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 02:55:23.22 0
夜保全
195 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 05:13:03.38 O
早朝保全
196 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 07:24:16.01 0
ずいぶん静かだな
197 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 11:19:05.49 O
嵐の前の静けさ
198 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 12:53:03.80 O
嵐ということは大量投稿か!
199 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 15:00:23.33 0
荒らしイラネ
200 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 15:06:39.98 O
そっちかよ!
201 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 16:08:57.39 0
次が丁度80話だしそこで終わろうぜ
もうネタ切れだろ
202 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 17:04:31.75 0
>>163-171 の続きです
「舞ちゃん!!」
勝利に湧くリゾナンターたちを他所に、キュートの四人は倒れた舞に駆け寄った。
気を失ってはいるものの、命に別状はない。ただ。
実力上位だったはずの舞が、相手が三人がかりとは言え敗退してしまった。このことは、残されたメンバーたちに
相手への警戒心を強める結果となる。
「次はあたしが行く」
「なっきぃ!」
力強い言葉とともに立ち上がったのは、キュートの中間管理職的存在の早貴だった。
それに対し、抗議するがごとく立ち上がったのは二番手になるはずだった千聖だ。
「ちょっとなっきぃ!次は千聖って決まってるんだから」
「最早そういうこと言ってられる場合じゃないから。あいつらは、全員あたしが倒す」
互いに譲り合う気配はない。
心配そうにリーダーのほうを見る愛理。舞美の答えは、至ってシンプルだった。
「二人でいこっか。相手は意外とやるみたいだし、うちらも気合入れてかないとね」
早貴と千聖はしばらく顔をつき合わせていたが、やがて何かに納得して二人でリゾナンターたちのもとへ向っていった。
203 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 17:05:03.61 0
一方、リゾナンターサイドもまた全員が無傷というわけではなかった。
特に、ずっと動き回っていた遥の消耗が酷い。
勝利の喜びを分かち合っていた三人だったが、遥が倒れこんだことで慌てて救護班が駆けつける結果となった。
「もう。くどぅーは無理ばっかりするんだから」
リーダー道重さゆみから「借りた」治癒能力で遥の体力を回復させる、聖。
複写能力を持つ聖が、一度に保有できる能力は三つ。そのうちの一つの枠を、メンバーの傷を癒す事のできる治癒
能力に充てていた。
「悪りぃ…対能力者戦のデビュー戦みたいなもんだから、つい調子に乗っちゃって」
「ついついはしゃいじゃったんだよねー、イヒヒ」
「うるさいなあまーちゃんは!自分が子供だからって人のことを子供扱いすんな!」
優樹の茶々に突っ込める元気はあるものの、本調子には遠い。
ここは、メンバーチェンジが無難だろうと聖たちは考えた。
「くどぅーの代わりに、私が出ます!」
挙手したのは、後発組の最年長にあたる春菜だった。
戦闘系に向く彼女の能力は、遥の代打としては最適だろう。
204 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 17:05:37.56 0
「うん。じゃあ香音ちゃん。えりぽん。はるなん。お願いね」
「了解っ!!」
元気よく返事し、空間の中央に進む三人。
ところが、そこには人の影はなく。
その代わり、大きな姿見がそこにあった。
「なに、あれ?」
「あはは、戦う前に鏡チェックしろってことっちゃろか?」
怪しむ香音と、お気楽な発言をする衣梨奈。
しかし、春菜は既に姿見の危険性を肌で感じ取っていた。
「みなさん、伏せて!!」
大声で叫ぶ春菜。
その声に差し迫るものを感じたのか、二人も慌てて地面に伏せる。
果たして春菜の直感は正解だった。
鏡から飛び出す、無数の念動弾。標的を見失った弾はそのまま背後の壁にめり込み、小さな穴を開けた。直後、鏡
の中から声がする。
「なんだよぉ。さっきので全員仕留めたと思ったのに」
鏡に、キュートのメンバーの一人である千聖が映っている。
思わず後ろを振り向く春菜たちだが、彼女の姿はない。
「そんなとこ見たってダメだって。だって、千聖は鏡の世界にいるからね」
205 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 17:06:22.35 0
全員が耳を疑う。
鏡の世界にいるとは、どういうことを意味してるのか。
「意味がわからんと。頭悪そうな顔のくせに」
「生田さん、きっとあの人は、自分が鏡の中にいるってことを言いたいんだと思います」
「鏡の世界!?」
驚く香音に、春菜は首を振る。
「でも、鏡の世界なんてないはずなんです。ファンタジーやメルヘンじゃないんですから」
と、彼女は愛読書のある漫画の台詞を引用して言った。
が、言いつつも矛盾したものを感じる。私たちの能力自体、ファンタジーやメルヘンに属する存在じゃないのかと。
「だったら話は早いと!あの鏡、ぶっ壊す!!」
衣梨奈が鏡に向って走り出す。
両手には、いつの間にかグローブが装着されていた。
「衣梨奈、あれからいっぱい練習したとよ!」
「おいちょっと、お前何するつもりだよ!?」
無鉄砲に突っ込んでいく衣梨奈の勢いに押され、千聖の念動弾を打つタイミングが遅れる。
それを見透かしたように、両手を広げて鏡に向ける衣梨奈。
鏡は、ピアノに絡め取られてギチギチと音を立てていた。
206 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 17:06:56.57 0
「あれ、新垣さんの!」
「いつの間に会得してたんだよー!!」
遠くで見守っていた聖と里保も、衣梨奈の新しい「攻撃方法」に驚く。
精神攻撃は、あくまでもサポートにしか向かない。その役割を主力級に高めたのが、衣梨奈の先輩にあたるリゾナン
ター前リーダー・新垣里沙であった。グローブに仕込んだピアノ線を敵の体に絡ませ、ピアノ線を通して精神攻撃を
仕掛ける。さらに、線の鋭さで切り刻む。
自分と同じような力を持ちながらも物理的攻撃力を手に入れていた里沙は、衣梨奈の憧れだったのだ。
「くそ、何だよ!まさか鏡を壊すってんじゃないだろうな!やめろ、いややめて!!」
「面白い前振りっちゃねー、えいっ!」
命乞いをするかのような千聖を無視し、衣梨奈がピアノ線に力を込める。
線が這った場所から亀裂が入り、姿見はばらばらに破壊されてしまった。
「一丁あがりっと。なんね、大したことない連中」
得意顔で、ピアノ線をグローブに収納する衣梨奈。
同期の活躍に喜ぶ香音。だが、春菜の表情は冴えない。
「はるなん、どうしたの?」
「あの、私が読んだことある漫画だと…鏡をばら撒くのはまずいんです!」
「でもそれって漫画の話でしょ?大丈夫大丈夫」
あっはっはと豪快に笑いながら、春菜の背中を香音がぽんぽん叩く。
それでも、五感を研ぎ澄ました春菜の危険信号は鳴り止まない。
207 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 17:07:32.99 0
「生田さん!早く!こっちに戻ってきて下さい!!」
「えー、はるなん何急いでるとー?」
「いいから、早く!!」
訝しがりながらも、春菜たちのほうに向って歩いてゆく衣梨奈。
春菜の感は、またしても正しかった。けれど、彼女たちは既に敵の罠に嵌っていた。
「はーい残念でしたー。もう遅いよー」
声は。
周りのあちこちから聞こえていた。
そう。春菜の言うとおり、ばら撒くのはまずかったのだ。
春菜たちの周りには、ばらばらになった鏡の破片が。その一つ一つから、千聖の声が聞こえていた。
五感集中によって春菜が捉えた鏡の破片には、こちらに向って手をピストルの形にしている千聖の姿が映っていた。
「危ない、伏せ…」
「避けられるかよっ!一斉掃射!!」
鏡の中の千聖が、春菜たちに向って念動弾を発射する。
散らばった鏡の千聖が、同時に射撃するということは。それは。
標的となった三人に、雨あられの銃弾が降り注ぐという事だった。
208 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 17:08:40.56 0
>>202-207 投稿完了
代理投稿お願いします
タイトルですが、ここで「リゾナンターΧ(カイ)」に変更しようと思います
いつまでも仮のままでは申し訳ないのでw
----------------------------------------
以上代理投下終了
209 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 17:29:21.42 O
>>202 勝手にスレを私物化すんなカス
終わりたいならお前1人で終われよゲス野郎
210 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 17:38:16.30 0
自演下手やなw
>>208 作者&代理乙
真っ向からの能力バトルもいいね
211 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 17:45:23.93 O
いや
>>201さんの言うことは正しいよ
思い出はきれいなままにしておきたい
珠玉の作品群揃いだった全盛期と比べて今や保全だらけで投稿される話もレベル落ちが激しい
そもそもリゾナントブルーのオリメンは2人しかいないしこんなのもう俺たちが作り上げたリゾスレじゃないよ
次で終わらせるべき
212 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 18:18:22.27 0
213 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 18:34:38.57 O
少なくともここに投稿してる人間は終わらせたいなんて思わないだろ
御託はいいから早く大多数がこのスレ終わらせたいソースを持って来いよ
214 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 18:59:54.49 0
>>209が見えない
あぼ〜んキーワードに何か引っ掛かっているようだw
215 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 19:09:59.65 0
何でもかんでも自演自演で全く話が進まないよなこのスレw
自分に同調しない批判的なコメントは全部自演
もういいかげん諦めろよ
このまま惰性で続けるのは本当に良くない
それに作品を待ってるって言う人がいるけどその状況はこの先スレが進んでも変わらないでしょ
216 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 19:28:58.76 0
俺はいいと思うよ
マンネリ化してるし
ただ、いま途中の話が80話で終わらなかった場合のことだけは決めてた方が良いと思う
217 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 19:33:25.96 O
>もういい加減に諦めろよ
言ってる意味がわからない
お前独りの意見で何を諦めなきゃなんないの?
>このまま惰性で続けるのは本当によくない
誰にとってよくないの?お前独りにとってよくないんだろ?
自分独り楽しめないからって終わらそうって横暴じゃないの?
個人的感情で暴れてるくせにみんなの代表みたいな面するなよ
218 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 19:46:05.07 I
「面白い作品を待ってる」と言う解釈で良いですか?
219 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 19:46:29.56 0
>>211 言いたいことは分かったけどいっこだけ聞きたい
>俺たちが作り上げたリゾスレ
リゾスレを作り上げたのって具体的に誰?
220 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 19:48:21.50 O
古参はこんなスレ早くなくなればいいと思ってるから
これ以上俺たちの思い出を穢すんじゃあないよ
221 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 19:48:23.46 0
終末によくある風景だなw
222 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 20:00:31.02 0
夢を抱いて暮らしを背負って
今僕らは少し風邪をひいたのかもしれないね
夢を見続け暮らしを続ける
その為には少し休むべきなのかもしれないね
生まれては消えてゆく妄想の銀河
初めての呼吸を思い出すには少しだけ眠りにつこう
初めての呼吸で目覚めた時こそ素晴らしい朝が来る
夢の為に暮らしの為に
ずっと闇と戦い続けてきたのでしょう
夢の為に暮らしの為に
ずっと光を求め続けてきたのでしょう
生み出されては消えることのないトラウマの渦
初めての呼吸はもう二度とないけれど思い出したいから
初めての呼吸で目覚める朝の為に今夜は眠ろう
223 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 20:01:36.18 0
224 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 20:02:14.26 O
225 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 20:45:08.59 O
>>208 更新乙です
彼女がスナイパーな印象はなかったんですがいざ読んでみるとこれはこれでありですね
226 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 20:46:34.86 0
>鏡は、ピアノに絡め取られてギチギチと音を立てていた。
ここ想像してつい吹いたw
227 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 20:48:21.49 0
80で区切りをつけよう
81まで延ばしてはダメ
何故ならそうするとまた惰性でもう少し続けようと思うから
228 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 20:50:31.57 0
>>217 何でお前がスレの代表みたいになってんの?(笑)
皆がどう思ってるか分からないのにお前の個人的な感情で勝手に結論つけるなよw
229 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 21:11:20.66 0
誰もスレを立てなければ終わり
誰かスレを立てたら続行
どうでしょう?
230 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 21:12:56.33 0
どうもこうもそうなるよw
231 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 21:15:02.71 0
どうもこうもないっすよ
232 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 22:09:18.94 0
233 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 22:11:12.35 0
何となく終わるよりはきちんと区切りをつけた方がいいと思うけどね
234 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 22:43:47.00 0
皆がそれで良いならいいんでないの
ただ感想会はしたいが
235 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 22:45:25.37 0
保全のトレンドは討論か
236 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 22:56:43.16 0
討論になってないがw
237 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:06:58.69 0
238 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:07:32.07 0
未来へのパスが久々にでましたよー
239 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:07:45.11 0
ミドルパス出すなw
240 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:08:00.89 0
241 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:08:14.52 0
242 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:09:09.35 0
終わらせたくない人います?(笑)
243 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:10:12.00 0
でも未完の作品はどうすんの
244 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:13:27.76 0
未完の作品を全部挙げられるなら(笑)さんの話真剣に聞いてもいいよ
245 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:22:21.54 0
>>244 未完の話が全部上がるころにはまた新しく未完の話が出てくるから終わらないんじゃないかな(笑)(笑)
246 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:25:58.88 0
がんばってスレ住人のふりしてもこんな程度のことですぐバレるんだよホントの住人にはw
247 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:26:23.21 0
ほっとけよ
こういうやつは言っても絶対無駄
通じないよだって狼住人だもん
やらせたいやつは勝手にやらせとけばいい
後で引き際見失ってやっぱりあの時やめとけば良かったって後悔するんだから
248 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:29:33.62 0
元々キチガイの集まりだもんなw
このスレに限ったことではないが
249 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:32:44.94 O
未完のやつは次で打ち切りでいいよ
頑張って終わらせるなり放棄するなり自分のサイトで書くなり好きにして
俺らリゾスレ運営は一切関わらないからw
250 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:35:59.92 0
いやそれはマズイwwww
80話までで終わらない作者さんは言ってください
251 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:37:28.51 0
保全頑張り杉だろお前w
252 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:39:35.86 O
いやそれ俺じゃないから
別のdionだろw
253 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:41:38.43 0
スレを続けたいって言ってる人ってカッコいい事言ってるように聞こえるけど
まとめてくれる人の事とか考えたことあるのかな
自分達はただ読んでるだけの癖にね
254 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:43:22.88 0
いいんじゃん?俺はかまわんよ
255 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:44:17.16 0
256 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:52:11.92 O
閉店なんだよ
いつまでも客ヅラしてないでとっとと出てけ
このスレで最後にしてやってもいいぞ?w
257 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:52:48.64 0
嵐の前の静けさじゃなく荒らしの前の静けさだったか
258 :
名無し募集中。。。:2013/03/05(火) 23:59:24.08 O
このスレ存続させようとしてるほうが荒らしだろw
259 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:00:56.81 0
な電話だろ?
260 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:03:12.80 0
261 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:03:46.04 0
酷い自演を見た
262 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:04:43.22 0
続けたいっていう人はその理由を言ってよ
逃げないでさ
263 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:05:08.89 0
お前住人じゃないやん
264 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:05:38.02 O
面白いから続けて
265 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:05:41.95 0
266 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:05:44.43 O
存続か廃止か投票すればいいんじゃね?
俺ら古参の答えは決まってるからやる意味ないんだけどな
267 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:06:38.09 0
古参のソースは?
268 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:06:58.26 O
古参だけど続けて
269 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:07:34.50 0
270 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:08:58.10 0
271 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:09:04.56 0
272 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:09:54.00 0
続けるに一票
273 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:10:07.44 0
>>269 逆に聞くけど70話以降の作品なに知ってる?
274 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:10:31.95 O
存続に一票
275 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:10:43.94 0
投票のじかあああああああん
276 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:11:05.89 0
277 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:11:32.27 0
孫族だな
278 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:11:38.01 O
もちろん続けるに一票入れます
279 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:12:32.55 0
投票ってこのスレでじゃねーよwww
280 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:13:04.97 O
かつてリゾスレを賑わわせた古参作者たちがブログやTwitterで何言ってるか知らんのか
もう終わらせてくれとか潮時とかそんなんしか言ってないぞw
281 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:13:18.40 0
え?古参なのに初代管理人の名前も知らないの?
282 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:13:50.88 0
こんな時間にこんな沢山人がいる訳ない
後は言わなくても分かるな?
283 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:14:16.85 O
284 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:15:00.66 0
最初の作品も言えず初代管理人の名前も言えない自称古参の電話
285 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:15:38.96 0
286 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:15:58.03 0
287 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:16:28.03 O
結局答えられないんだもんなあ
288 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:17:08.38 0
自称古参答えられなくて涙目
289 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:17:12.21 0
ほらみろここの奴らは初期の10数話で時が止まってんだよ
つまり飼育みたいなもん
290 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:17:54.14 0
あれ古参の設定は捨てたの?
291 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:18:25.16 0
>>288 そんなに悔しかったのかよw
深夜にどんだけ連投すれば気が済むんだ
292 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:18:49.80 0
古参だからそろそろ潮時だって設定捨てたらイカンでしょ
293 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:19:27.45 O
wが悔しそうに連投中
294 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:19:43.75 0
続けたい人(おそらく自演君)は何で続けたいのか言ってみてよ
未完の作品があるからはダメだよ?w
295 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:19:59.36 0
典型的なかまってちゃんだなあ
296 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:20:16.75 0
297 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:21:01.73 O
初代管理人の名前は?w厨答えられる?
298 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:21:06.47 0
このスレにガキしかいないことはよく分かった
299 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:21:38.09 0
古参の設定捨てたよおいw
300 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:22:37.53 0
だって古参どころか住人じゃないもん答えられないよ
301 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:23:02.51 0
羊のノリだね・・・
302 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:23:41.91 0
狼では未完=名作って噂があるが
303 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:23:50.87 0
荒らしなんてこんなもん
304 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:25:12.33 0
このスレを終わらせたい自称古参が涙目と聞いて
305 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:26:16.52 O
終わらせたい人は何でそこまで終わらせることにこだわるのかのほうが不思議だわ
興味なくなったら見なきゃいいだろうに
306 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:26:48.74 0
荒らしたいだけだから聞かなくていいよ
307 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:27:14.39 0
308 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:27:37.03 0
また自演
309 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:41:08.59 O
荒らしが去ったところで営業再開といきますか
310 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 00:58:55.79 0
深夜にこんな伸びる訳ないのに・・
311 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:04:24.41 0
どっちにしろキチガイしかいないからこのスレ
まぁこのまま続けててもこれ以上スレが良くなるとは思えないけどね
312 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:08:38.26 0
とキチガイが
313 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:09:48.24 0
スレ嵐とか久々だなてかここ数年記憶にないわ
314 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:15:12.74 0
ほらやっぱりこうなるだろ?荒らしと荒らしがぶつかり合って話にならないんたよ
基本このスレの奴らは自分の耳に心地いい話にしか耳を傾けない
315 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:16:13.61 0
あれ古参の設定止めたの
316 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:17:17.03 O
古参じゃないのバレたからね
317 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:18:54.90 0
作品書く人とスレ立てする人がいなくならないと終わんないよ
318 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:21:11.29 0
電話とセットで自演するのやめたのか?手を抜くなよ
319 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:35:04.34 0
そんなに連投しなくても1レスにまとめればいいのに
320 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:35:43.94 0
酷い自演だなw
321 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:41:25.63 O
何か昼間からずっと念仏みたいに諦めろとか惰性はよくないとかぶつぶつ言ってるやつがいるけど誰に向かって言ってるんだろう
書き手と読み手が相互納得してスレ立ててるんだから本来外野が口出せるはずないのに我が物顔でしゃしゃり出てきてるのが不思議だな
322 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 01:48:45.50 0
「スレの存続を!」
323 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 02:54:47.02 O
なるようにしかならないっすよ
324 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 05:57:44.43 O
おはなんと
325 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 07:12:13.94 0
おぱよん
326 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 08:39:28.81 0
てす
327 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 08:40:36.71 0
規制解けてる
328 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 09:38:18.65 O
俺の長文感想の出番か
329 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 11:21:43.86 O
感想は三行でいいってかつての偉人が言ってた
330 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 13:07:18.61 O
昼飯くん
331 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 13:12:54.91 0
>>208 生田がガキさんのピアノ線使いを継承するというのはいいアイデアだなあ
でも状況を悪化させた生田はアホやね
332 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 13:51:04.31 0
100レス以上前になってるw
333 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 15:02:34.64 0
初代管理人君(笑)が連投してたからね
やつは何と戦っていたのだろう
334 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 16:49:57.58 0
てすと
335 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 16:50:55.00 0
やった!書き込めるぞ!!
336 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 17:02:55.94 0
自分もスマホの規制解けてることにさっき気付きました
337 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 18:16:14.36 0
雪解けとともに春が来る
338 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 20:01:06.15 0
みんなお帰リンリン
339 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 20:59:50.10 0
ただ春を待つ
340 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 21:31:12.94 O
ただいまんまん
341 :
名無し募集中。。。:2013/03/06(水) 22:44:58.36 O
浮上
342 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 00:21:05.09 0
よっと
343 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 01:16:22.72 I
「小田さくらは、リゾナンターと合流しました」
「予想通りと言うか、予定通りと言うか」
「今度は私達にも戦わせてよ」
「この間も行ったでしょう?」
「今度は5人で。ほら、向こうも11人になって強くなっただろうしさ」
「うーん……あなたはどう思う?」
「しばらく待つのが良いと思います」
「だってさ」
「えー、どうして?」
「11人体制が落ち着くまで待てば、より協力な相手として戦えると思います」
「そっか。じゃあ待ってる! いいよね?」
「はいはい好きにして。時期が来たら連絡よろしく」
「またね!」
コツコツコツコツ……
「……私の知る9人のリゾナンターはもういない。リゾナンターは変わり続ける。私には止められない。私はただ、私が出来る事をするだけ。世界の為に、能力者の為に」
344 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 01:31:42.10 I
345 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 03:50:56.23 O
ふむ
346 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 06:40:41.71 0
5人で?
うーむ誰だろう…
347 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 07:20:50.20 0
347ゲット
348 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 08:07:53.89 0
5人ということは伝説のシャ乱Qが復活するのか!
349 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 10:14:54.61 O
伝説のしゅうメンバーの復活か
350 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 12:04:34.37 O
ひるあげ
351 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 12:57:27.63 0
だいぶん暖かくなってきたな
352 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 13:35:03.50 0
>>344 これは想像が膨らみますね
5人と言えば種を撒いた5人か色物おっさんの5人しか思いつきませんがw
353 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 15:34:37.72 0
あたたかいびるの日射し
354 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 17:44:44.52 0
モグラの話
355 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 19:19:11.34 O
はらへりなんと
356 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 20:37:48.34 0
ぐーぐー
357 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 21:11:29.50 0
「さくらっきょは、リゾナンターと合流したらしいで」
「ま、予定通りやな。予想通りっちゅうか」
「今度は俺らの出番やろ」
「せやかて、お前今でも嫁の稼ぎで暮らしてるんやなかったか?
「あほ!ちゃんとバイトしてるわ!ファミマで週3回の夜勤でな!!」
「そなの?ごめんね」
「ま、久しぶりに再結成もええかもな。向こうは11人おることやし」
「お前どう思う?ちょっとそのハゲかけた頭で考えてみ」
「誰が生え際が後退せーじゃ!それはともかく、俺は待ちやな」
「えー、なんで?」
「11人体制が落ち着いたほうが、殺りがいがあるやん」
「そらそうや。ほな、それまでしばらく様子見とこか」
「好きにしたらええ。時期が来たら連絡くれや」
「ほんじゃ、よろしく!」
コツコツコツコツ……
「……俺の『創った』9人のリゾナンターはもうおらへん。リゾナンターは変わり続ける。俺には止められへん。俺はただ、俺が出来る事するだけや。世界の為に、能力者の為に」
358 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 21:14:22.64 0
359 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 21:25:31.07 0
うっぜえw
誰が誰かわかる自分が悲しいw
360 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 21:28:02.14 O
そなの、ごめんねwwwwww
361 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 22:13:38.12 0
このスレでシャ乱Qが5人だったことを知ってる人間がどれくらいいるんだろう……
362 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 22:28:44.40 0
DJ Shuuのことだからこんなにいうんだぞ
363 :
名無し募集中。。。:2013/03/07(木) 22:49:23.94 I
>>343です
リゾナントしていただき光栄です(笑)
364 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 00:01:38.94 0
おやすみなさやし
365 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 01:07:39.42 O
おやすみナント
366 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 03:41:27.30 O
おやさゆみん
367 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 06:51:58.28 0
おはようよう
368 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 07:48:33.94 O
ういーっす
369 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 11:07:01.25 0
しょうがない
370 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 11:55:10.90 O
馬追い人
371 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 13:49:09.31 O
ひるあげ
372 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 16:00:41.60 O
夕あげ
373 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 17:13:04.46 0
電車の中からホ
374 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 18:18:10.14 O
りほり保
375 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 19:17:00.56 O
夜がきた
376 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 21:01:22.41 0
あんなに伸びてたのにね
377 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 21:06:01.57 O
明日に向け力を温存してるのですよ
378 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 22:07:03.32 O
夜がやってきた
379 :
名無し募集中。。。:2013/03/08(金) 23:02:56.11 O
そして朝がくる
380 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 00:03:05.34 O
まだ早いだろw
381 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 01:15:02.28 0
というわけで寝る
382 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 01:19:49.13 O
明日の大量投稿夢見ておやすみ
383 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 03:59:29.33 O
寝れなぁい
384 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 07:00:35.09 0
起きた
385 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 09:57:34.90 0
グラタン揚げ
386 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 11:06:56.75 O
今日も花粉ひどいなあ
387 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 12:23:33.55 O
昼くうべ
388 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 13:35:00.53 O
ほぜ
389 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 14:22:00.89 O
あたたかい
390 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:02:37.99 0
月
391 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:08:28.86 0
>>202-207 の続きです
「くそっ、物質透過!!」
寸分違わず自分達を狙ってくる弾に、香音が自らの能力を展開させる。
ただ、一度に透過できる回数は限られている。能力の限界を示すかのように、端緒となる一撃が香音の左
肩を打ち抜いた。
「ああっ!!!!」
無力。
鏡の中の狙撃手が放った大量の銃弾が、次々に三人の体を打ち抜いてゆく。
香音の能力による弾数の軽減も、50発弾を撃たれるか100発弾を撃たれるかの差にしかならなかった。
「まーちゃん!!」
聖が、傍らにいた優樹に向って叫ぶ。
事は急を要する。空間の中心で踊っているかのような三人に、優樹の能力が発動した。
優樹が強く念じると同時に、背後に白い手袋をした巨大な二つの手が現れる。
それらが弾かれたように飛び出し、銃弾の雨に晒されている春菜たちを捕捉。次の瞬間には優樹たちの前
に運び込まれていた。
392 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:09:02.36 0
瞬間移動。
大まかに分類すれば、優樹の能力の名前はそういうことになる。
が、何でもかんでも移動できるわけではない。「先生」と彼女は呼んでいるのだが、先生が瞬間移動を実
行するのにはいくつかの制約がある。
まず、優樹自身が移動させる物体または人物のことをよく知っていること。
次に、移動する先は常に優樹の目の前だということ。
最後に、優樹自身を移動させることはできないということ。
欠陥だらけの瞬間移動ではあるが、今の場面のように便利な面もある。
少なくとも、春菜、香音、衣梨奈の命は救われた。
銃弾に貫かれ痛みで呻く三人を、聖が治療に掛かる。
「フクちゃん、様子は…」
「うん。香音ちゃんの透過能力で、急所だけは外してるみたい」
駆け寄る里保の問いに、傷口に手かざしをしながら答える聖。
しかしその表情に精彩はない。
「だけど、香音ちゃんが…」
他の二人に比べて、明らかに香音の傷がひどい。
恐らく。全ての銃弾を回避する事が不可能と悟った香音が、身を挺して衣梨奈と春菜を守ったのだろう。
春菜たちが意識を取り戻したのとは対照に、香音は未だ夢に魘されたままだ。
393 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:10:35.69 0
鏡の中の…鏡の中に人が…
うわごとのように繰り返すその言葉。
それが気になったのか、聖は衣梨奈と春菜に聞いた。
「鏡の中に人がって、どういうこと?」
「あの…鏡の中にキュートの人が映っていて、一斉に念動弾を放ったんです」
「きっと、鏡の中に入れる能力者っちゃね」
鏡の中から攻撃をしかけてくる狙撃者。
それが本当ならば、自分達に攻撃手段はない。
ただ、何かが引っかかる。それを、春菜が指摘した。
「でも、基本的に能力者は一つの能力しか持てないはずじゃ」
「だよね。私の複写能力は別として、はるなんの言うように一人が複数の能力を所持してる事はありえ
ない」
聖は相手の陣営に目を向ける。
そこで、違和感の理由がはっきりする。もし聖の推測が正しいとすれば。
「えりぽんは下がってて。次は私とはるなんと、あゆみちゃんで出る」
自分が出るしかない。
治癒役を温存、という愛佳の策からは外れてしまうけれど、このまま全滅してしまうよりはましだ。
第一、突破口を開く能力を持っているのは、自分しかいない。
聖の決意は堅かった。
394 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:11:15.22 0
「聖!何でえりが外されると!こんな傷、大したことないけん!!」
外されてしまった衣梨奈が、不服の声をあげる。
同じ条件なのに、春菜が再び登板するのも納得いかない。
言葉に詰まる聖、そこへ里保が助け舟を出す。
「えりぽん、フクちゃんはえりぽんを温存してるんだよ。メンバー唯一の精神攻撃ができるえりぽんは、
次の戦いに取っておいたほうがいいってね」
「…そう?」
「世界一の能力者を目指してるんでしょ?」
「そ、そうっちゃね。わかった。聖、後は衣梨奈に任せてがんばってきて!」
恐ろしく単純。だがそこが彼女のいいところでもあり。
衣梨奈の見てないところで、里保が聖に目配せ。ごめんね、口だけ動かしてから、聖は鏡の破片が散乱し
ている場所まで歩いていった。
「譜久村さん、どうするんですか?回復役の譜久村さんがいなくなったら…」
「うん。だから、勝負は一瞬」
三人が手も足も出ずにやられてしまった惨劇を見ていた亜佑美が、不安げに聖に訊ねた。
その不安を和らげるよう、言い含めるように聖は自らの作戦プランを明かす。
395 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:11:54.59 0
「あゆみちゃんは、中の狙撃手が狙いをつけられないように、できるだけ破片を遠くへ散らばして。相手
が『弱点』を晒したら、私の能力で一気に攻める」
「なるほど。遠くへ破片を持っていく事で念動弾の軌跡の隙間を大きくするんですね!さすが譜久村さん
です!」
春菜が目を輝かせながら、そんなことを言う。
ただ、今はそのよいしょに気を良くしている場合ではない。
最初の行動が間違っていれば、計画自体が水の泡になりかねない。
ゆっくりと、一番近い鏡の破片へと歩いてゆく聖。
そして、突然、走り出した。
急に向かってくる相手に、小躍りして喜ぶ鏡の中の千聖。
「自殺志願者はっけーん!」
破片を手にした聖。
しかしすでに銃口は聖を狙い照準を定めていた。
鏡から手へ、電流のような何かが走る。
「あゆみちゃん、お願い!」
「オッケーです!!」
千聖が念動弾を発射するより速く、亜佑美が動いた。
聖から鏡の破片を奪い、空に向かって放り投げる。
396 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:12:39.89 0
「バーカ!そんなやり方で千聖の攻撃が避けられるかよ!!」
発射される弾。
しかし亜佑美はそれを、恐ろしくキレのいい動きでかわす。
「まだまだいくよっ!」
避けきった地点から、さらに移動。
別の場所にあった鏡の破片を、力いっぱい蹴り上げた。
そこからさらに横に跳び、別の破片を足払いで散らばせる。
それらすべてが、目に止まらない高速の動き。
「何だこいつ、狙いが定まらないじゃんか!」
憤る千聖。
ぶれる照準を何とか調整しつつ、打ち出した念動弾による一斉射撃。
それも、軌道の隙間が広げられたものとなり、亜佑美にいともたやすくかわされてしまう。
亜佑美の動きは止まらない。
高速移動。それが亜佑美の能力。彼女の動きについてこれたのは仲間内では田中れいなしかいない。里保
でさえ、奇策を使わなければ高速移動を捉える事ができなかった程。増してや鏡の中にいる相手には亜佑
美の影さえ踏むことはできない。
ひとつひとつ、確実に破片を飛ばしてゆく亜佑美。
鏡の中の人物にダメージが与えられるわけではない。ただ。
聖の言う弱点が露になるまで、踊り続けるだけ。
針の振り切れたダンスマシーンになろうと、彼女は心に決めた。
397 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:13:12.80 0
一方、再び千聖の射程圏外まで移動した聖と春菜は。
「はるなん」
「はい」
「少しでも変な特徴のある破片があったら、聖に教えて」
「わかりました」
五感強化。
視覚。触覚。聴覚。味覚。嗅覚。
これら任意の感覚を一時的に強化できるのが、春菜の能力。
さらに、相手の五感を一時的に奪う事も可能。つまり、彼女の能力の本質は、自分もしくは相手の五感
に作用する力だった。
春菜の意識が、亜佑美の弾き飛ばしている鏡の破片へと集中する。
鏡には全て、狙撃手である千聖の姿が映し出されている。
見た目には何の違いもない。
一方、亜佑美の高速移動できる時間は刻一刻と少なくなっていた。
人知を超えるスピードを繰り出す高速移動、体力の消耗は尋常なものではない。
踊る。踊り続ける。鼓動が、止まるまで!!
それでも亜佑美のキレはまったく落ちない。
業を煮やした千聖が、ついに最終手段に出た。
398 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:13:45.47 0
「狙いがつかなきゃ、大量にバラ撒いてやるよ!!」
千聖は、ありったけの念動弾を発射しようとしていた。数撃ちゃ当たるの論理だ。
ただしこの場合、亜佑美はもちろんのこと、味方であるキュートのメンバーにも被害が及ぶ。まさに諸
刃の剣が振り下ろされようとした時、春菜が叫んだ。
「譜久村さん!あれです!今あゆみんが蹴り上げた鏡の破片です!!」
「わかった!!」
普段の聖からは想像もつかないような、猛ダッシュ。
天高く舞い上がる鏡の破片をジャンプしながらキャッチすると、そのまま鏡の中へと吸い込まれていっ
た。
鏡の破片から導かれた世界。
そこは、外の世界を反転させただけの異空間。
そこに、鏡の世界の「主」はいた。
「何で、この場所に?どうして…私がここにいるってわかったの?」
何も無かったはずの場所から、ゆっくりと姿を露にしてゆく小柄な少女。
その表情には、焦りの色が浮かんでいた。
399 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:14:30.98 0
「私の能力は『複写』。3つまでなら、人から得た能力をストックできる。その枠をね、一つだけ空け
ておいたんだ」
「それで私の能力を使って鏡の中に。でも、鏡には全部千聖の姿が映るようにしてたのに」
「…匂い、ではるなんが見つけたの」
見た目は全て一緒でも、その人間の匂いまでは消す事はできない。
春菜の強化された嗅覚が、狙撃手を影で操る指揮官を捉えたのだ。
追い詰められた。
そう感じたのか、少女 ― 早貴 ― が一歩、後ずさる。
「私の能力が、そんな決め打ちみたいな方法で破れるなんて」
「ううん。決め打ちじゃないよ。ヒントはいっぱいあった。それはさっきの閉ざされた空間の中であな
た一人が姿を消してたこと。それに、あなたの居場所だって」
「な、なによ」
「随分昔にね。ある人に教わったことがあるの」
聖は、懐かしそうに、ある人物の顔を思い浮かべながら言う。
「『能力は、人の願いに呼応して発現するものなんだよ』って。あなたの能力は鏡の中の世界を作り出
すこと。相手が決して手を出すことができない場所を作る人は」
「……」
「本心ではいつも、どこかに隠れていたい。引っ込み思案」
400 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:15:11.10 0
相手の持つ能力から、聖は早貴の本来の性質を見抜いていた。
もともとはグループの中でも後ろからついていくことの多かった早貴。年長メンバーが任務で相次いで
命を落とす中、気がつけばサブリーダーの役割を与えられていた。立場上前に出ざるを得ないことが多
くなり、人が変わったかのように積極的になってはいたが。
「人間、魂までは変えられないんだよ」
決定打となるはずの聖の言葉。
けれど、それを聞いた早貴の顔には笑みが浮かぶ。
「魂は変えられなくても、考え方は変えられる」
早貴の背後に浮かび上がる、無数の鏡。その中で、人差し指を聖に向ける無数の千聖。
「鏡の中に入る能力しか持たない私が、何の手も打ってないとでも思った?最早絶体絶命ってやつ、これ。
あんたの能力のストックは、あと2つ? ゆーても、攻撃手段になる能力は…なさそうだよね!!」
確かに昔は引っ込み思案のなかさきちゃんだった。けど今は違う。
舞美ちゃんの、キュートの願いを叶えるために。私は変わったんだから!!
相手の命運を握った感触と、自らの使命に早貴の感情は高揚していた。
401 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:22:27.18 O
対照的に、あくまでも冷静に早貴を見つめる、聖。
その瞳を彩るのは、包み込むような優しさと、そして敵を断ずるほんの少しの厳しさ。
「いつも、どこかに隠れていたい。あなたはまた、隠れてる」
「まだ言うつもり?!私はどこにも隠れてなんか…」
言いかけた早貴が、急に目の前に現れた少女の姿を目にして戦慄する。
「この子、いつの間に!!」
「あなたの能力、忘れたんですか?」
早貴は考えていなかった。
自らが外敵の撃退策を講じていたように、相手もまた攻撃手段を用意していたことを。
聖は絶好のタイミングで春菜を鏡の中に引き入れたのだ。
そして早貴は突如の不意打ちに対応できずに、鳩尾にきつい拳をまともに喰らう。
「無意識かもしれないけど、あなたは味方の援護射撃範囲の内側に移動してた。位置さえ予測できれば、あ
なたの虚を突くのは簡単だった」
膝をつき、その場に倒れる早貴。
なっきぃ何やってんだよー!というぼやきとともに、次々と消えてゆく鏡の中の千聖たち。
鏡の中の空間は急速に安定を失い、そして聖たちを排出しつつ消えていった。
402 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:24:34.04 O
>>391-401 投稿完了
代理投稿をお願いします
--------------
代理投下終了
最後猿さんでしたので携帯から失礼しました
403 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 16:27:05.79 O
更新乙です
フクちゃんに昔助言してくれた人って誰なんでしょうか?
気になります
404 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 18:05:40.05 0
ほ
405 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 19:21:13.42 O
ほ
406 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 19:41:32.24 O
ほ
407 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 20:54:28.58 0
お上品な笑いかたですね
408 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 21:37:56.25 O
おいしょ
409 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 21:53:38.19 O
ほ
410 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 22:39:04.38 0
ある日、忘れものをとりに
それだけのつもりで通りすがった
それから私たちはこの部屋で
悲しい涙や、うれしい気持ちから
グラフティーを綴りだした
こうして私たちはこの街で
たくさんの出会いも別れもあった
たくさん見届けてきた
いつもと違って見えた景色
なにひとつ見逃したくなかったから
偶然の風景を忘れぬように
大人になってずいぶん経ったけど
あの頃の かよわきエナジー
なつかしい かよわきエナジー
忘れない かよわきエナジー
どうにか元気でいるから
思い出のままにはしたくないから
まだまだ世界は続いていくよ
いつか夢は醒めてしまうけど
物語の終わりは淋しい夜のはじまりだから
楽しい夜をはじめたいんだ
かよわきエナジーは
けがれない心でいたがるから
かよわきエナジーのまま
大人になってしまった私たちだから
411 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 22:42:02.39 0
>>410 「かよわきエナジー」
孤軍奮闘?する携帯ホゼナンターへ3月9日にサンキューを捧ぐ
412 :
名無し募集中。。。:2013/03/09(土) 23:02:26.28 0
>>402 作者さんも代理さんも乙
このシリーズ一人一人が活き活きしてる
413 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 00:02:56.24 O
読む前ほ
414 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 01:02:49.06 0
>>402 フクちゃんの能力ストック設定は新しいですね
私もどこかで使ってみたいですw
415 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 01:50:39.04 0
416 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 04:31:21.67 O
おは
417 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 06:57:40.25 O
おはナント
418 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 09:15:10.60 O
日曜の朝いかがお過ごしですか
419 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 09:41:40.68 T
朝からたこ焼き焼いて食べてます
420 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 11:52:12.27 O
昼保
421 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 13:30:43.64 0
resonant
422 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 15:08:41.45 O
たまにリホナントが恋しくなる
423 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 16:48:57.67 0
分かるw
424 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 16:52:06.63 0
か弱き乙女を泣かしちゃならない
か弱き乙女を泣かしちゃならない♪
425 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 16:54:41.47 0
ネタ書くとまたからまれるんじゃ
426 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 18:11:46.92 0
あげなんと
427 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 18:29:13.89 0
あげじゃあ
428 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 19:01:47.25 0
人見知りするのが残念なタイプ♪
429 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 19:03:06.06 0
普段通りしてると叱られるタイプ♪
430 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 19:19:03.80 0
この1か月で投稿減ったけどやっぱ決算時期だからか
431 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 20:33:11.36 O
うむ
432 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 21:46:04.12 0
書く暇なくてすまないホゼナント
433 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 22:45:18.56 0
待ってるぜ
434 :
名無し募集中。。。:2013/03/10(日) 23:55:37.21 0
ロマンチスト・エゴイスト・ホゼナント
435 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 01:25:40.10 O
おやすみ
436 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 06:26:30.49 0
おはす
437 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 09:14:02.78 0
俺のスマフォが火を吹くぜ
438 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 11:05:04.60 O
お昼休み
439 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 12:09:22.33 0
「報告は以上です」
「ご苦労、下がっていいぞ」
「では、失礼」
「ダークネスの『首領』か。食えない奴だ」
「特にあの、決して我々に魂までは売り渡してないぞとでもいいたげな目」
「気に食わんねえ!」
「まあよいではないか。肚の内はどうであれ、我々に貢献してくれているのは確か」
「だが、そろそろ手に余り始めているのでは?」
「ご安心を。奴らを潰す手立てなら、いくらでもある」
「例のちっぽけな喫茶店の連中か」
「いや。実はうちの組織で、新しく対能力者部署を立ち上げたんですよ」
「ついにか!それは頼もしい」
「先日、『彼女たち』に会ってみたんだが。期待できそうだね」
「保険はかければけれるだけ有効か。おっと。そろそろ先方との商談の時間だ」
「相変わらずお忙しい。まあ、私もこれから政府関係者の方との会食があるんだが」
「みなさま表の顔が素晴らしいですからね。私くらいのものですよ、暇を持て余してるのは」
「ご冗談を。永田町のご意見番、今でも健在だそうで」
「ははは。では私から先に失礼するよ」
「ごきげんよう」
「私もこれで」
「お疲れ」
440 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 12:11:15.84 0
>>439 保全代わりに
「悪しき魂の会合」投稿しました
441 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 12:45:47.92 0
闇の王道ですなw
442 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 13:55:04.30 O
保全作乙
なんだか他の連載作にもリゾナントしてきそうな設定ですね
443 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 14:46:04.39 0
凍った水たまりを避けて歩く、マフラーが声を奪う。
憧れ夢を詰めた新しい日々、その矢先の寒い日だった。
春の匂いが雑踏の中で、今か今かと待ちわびてる頃。
全てを根こそぎさらってく映像をテレビは映す。それ以上は見れなかった。
遥か遠くの空と風の向こうから、涙拭う温もりを求める声がする。
私たちは何ができる?私たちは何をするべき?
正解はまだわからないけど…。
「あっ、月だ!」
「えっ?あっ本当だ」
真昼の空に独り浮かぶ月の姿。
明るい中では意味のない、わずかな光かもしれないけれど。
今世界のどこかは夜で、その光を頼りにしている人がいる。
それを主張することもなく、真昼の月は静かに浮かんでいる。私たちは真昼の月のように、人知れず世界を柔らかな光で満たしたい。
カランコローン
「あれ?みんなおそろいなの?」
「8人で揃って来るなんて珍しいんじゃなかと」
「んふふ、たまたまですよー」
あの年に出逢った私たちだから。
その時が私たちのスタートだったから。
今日はあの時に帰る日。
明日を強く生きていく為に、あの時に帰る日。
444 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 14:47:07.64 0
445 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 15:24:04.15 O
乙です
あれから二年ですね
446 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 16:06:22.13 0
1レスで見事なものだ
447 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 18:06:31.59 0
空の青さを繋ぎたい
448 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 19:14:58.89 0
・・・セヨ・・・・アオ・・・イニ・・・セヨ
アオイオモイにキョウメイセヨ!!
蒼い想いに共鳴せよ!!
「・・・共鳴せよ」
そう呟き、ゆっくりと開かれた鞘師の眼に映ったのは真っ白い見知らぬ天井
「ここは・・・どこ?」
体を起こした鞘師の両手にはふかふかのベッドの感触
ブゥゥゥンと低く響き渡る空気清浄機の音もかすかに香る塩素の消毒剤の臭いも覚えがない
「私はなにをしていたんだっけ?」
起き上がった鞘師はつい今しがた寝ていたベッドの周囲を見渡した
ベッドの端にいつも身につけている愛用のペットボトルホルダーを見つけ、手を伸ばす
腰に付けたペットボトルホルダーの中の液体がちゃぽんちゃぽんと軽やかな音をたて静かに揺れる
四方白い壁で覆われた長方形の部屋。広さはホテルの一室程度といったところか
室内には先程まで横になっていたベッドと小さなテーブルと一脚の椅子があるのみ
天井の高さは4m程度と普通と比べわずかに高い程度で、換気口などは見当たらない
「そうだ・・・香音ちゃんと買い物にでかけたんだよね」
学校帰り二人でウインドウショッピングし、屋台のたこ焼きをわけあった
他愛もない話で笑いあって盛り上がり、リゾナントに向かうことになって・・・そこから記憶がない
「香音ちゃんはどこ?」
一目で見渡せるこの部屋の中に誰かが隠れられるスペースは存在せず、あえて隠れる理由もない
ただ・・・『室内』に限ってだけだが
「やっぱりあのドアから外に出るしかないのかな」
目の端に入ったなんの特色のない普通のドアが開けてくれとばかりに圧倒的な存在感を放つ
449 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 19:15:30.25 0
重厚感のある金属で作られているわけでも、宗教的な装飾も付けられていないのに、ドアから感じる奇妙な違和感
ここにいるということがまず異常なのだ
というのも鞘師自身がなぜここにいるのか何一つとして心当たりがないからだ
しかし、何もない部屋にただいるだけでは何も進まない
とはいえ・・・この状況で恐怖や不安を感じるなというのは酷であろう
「なんだかゾンビが出てくるゲームみたい。このドアを開けたら何かが飛び込んでくる、とかないよね?」
リゾナンターの鞘師とはいえドアになかなか脚が進まない。いや進めたくなかったというのが正しいのだろう
これがゲームなら室内に何か武器や攻略のヒントとなるアイテムが存在していてもおかしくないだろう
事実を述べるならば武器ならもう手にしていた。愛用のペットボトルホルダーである
しかしベッドの下からも机の裏からも椅子の裏からもこの状況を説明しうる情報は得られなかった
手に入ったのは結局ペットボトルホルダーと机の裏に貼ってあった特段変わりないBと書いてあるシールだけ
水もない、食料もない、おまけに鞘師自身の鞄もない。外と連絡する手段はない
自分でこの現状を打破しなくてはならない−それが鞘師の導きだした答えだった
「香音ちゃんを探さなきゃ」
ドアノブに手をかけゆっくりと回す。音をたてることもなくゆっくりとドアが開く
開かれたドアの隙間から割り入ってくる光はない。少なくともドアの外は屋外ではない
何が起きても大丈夫なようにゆっくりと、そうゆっくりとなんの抵抗もなくドアは開いた
ドアの先に広がっていたのはまたもや白い壁に囲まれたホテルのエントランスほどの開かれた空間
ささやかなダンスパーティが開かれてもおかしくないくらいの広さだが、何も装飾品は置かれていない
床は大理石なのだろうか、天井から下げられたやたら大きなシャンデリアの光を反射している
壁は鞘師が今出てきた部屋と同じ壁紙で覆われ、いくつかのドアが打ちつけられている
1,2,3・・・・自分自身が開けたドア含め全部で8枚、部屋はお互い4組ずつ向かい合うように造られている
「正八角形の舘」
脳裏に浮かんだのはかつて日本でブームとなった推理小説の「舘」シリーズ
奇妙な舘で起こる不可思議な事件の数々。鞘師自身は読んだことはないがその情報だけ聞かされていた
ゾンビが出てくるゲームに奇妙な構造の建物が揃うだけで不安が否が応でも増えていく
450 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 19:16:03.04 0
扉の後ろに何かが潜んでいる恐れがあると思い最後の最後まで気は抜けなかった
ゆっくりと自分の周囲に気を張ることを忘れず、扉を閉める
「何だろう、これ」
閉じられた扉には金属プレートが打ちつけられており、『/』と印が彫られていた
スラッシュと日本語に正すと読まれるその文字は強調するように凹凸が付けられている
これは明らかに誰かが何らかの目的をもって造られたものであることは誰が見ても明らか
他の扉にも目を凝らして見ると同様のプレートが貼られている
鞘師のいた部屋の両隣のプレートは『―』と『|』
「いちといち?それともよこぼうといち?」
皆目見当つかないものの、部屋があるということはその中に何かがあるのかもしれないことの裏返し
もしかしたら香音がいるのかもしれない、そんな期待も僅かに抱かれた
とにかく入ってみなければ何も進まない。鞘師は左隣の『−』のプレートの部屋の前へと歩を進めた
扉は鞘師の『/』の部屋とまったく同じ材質、大きさであった
そのプレート以外にはなんの特色もないただのドア
「・・・いきなり開けるのは危ないかもしれない」
開けようとしてドアノブに向けた右手を途中で止める
ペットボトルホルダーから水が飛びだし、鞘師の右手に棒状になっておさまる
水限定念動力―通称、アクアキネシスが鞘師の能力
液体ならばなんでもあやつることができる能力。水を棒状にも刀のようにも、はたまた盾にも変形できる
右手の水の棍をくるくると右へ左へと鮮やかに回転させ、一旦ぴたりと止め、構えの姿勢を向ける
そして頭上から扉へと思いっきり強く打ちつけた
扉はバリバリと音をたてあっけなく崩れ、プレートがゴトンと音をたて床に落ちる
壊された扉の向こうには鞘師のいた部屋とほとんど同じ光景
真っ白い壁と一組のテーブルとイス、そしてベッド、その上に横たわる人影
「香音ちゃん!」
探し人の姿がそこにあった
451 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 19:16:35.56 0
部屋にはまだ入れない。部屋の中に仕掛けられたトラップの可能性が頭をよぎる
四角い部屋とはいえ、壁の中に何もないとは言い切れない
水の棍で何も仕掛けられていないことを確認しながらゆっくりと香音のもとへと近づいていく
改めて眺めると部屋の構造がまったく鞘師のいた部屋と同じ構造だと気がつく
ベッドの位置からテーブル、椅子、扉の配置が全く同じなのだ
鼻につく消毒剤の臭いも空気清浄機の音も同じ。ホテルのように統一されているようだ
「香音ちゃん!香音ちゃん!」
鞘師はベッドで仰向けに寝ている香音の体を大きく揺さぶって起こそうとする
呼吸はしているようで胸が大きく浮き沈みしている。唇の血色も悪くない
服の乱れもなく、怪我をしている様子もない
「う〜ん、うるさいんだろうね・・・もうちょっと休みの日くらい寝かせて欲しいな」
「香音ちゃん!おきて!休みじゃないよ!おきて!」
なおも大きく揺さぶる鞘師に対して香音はねぼけているのか目をこすりながら起き上がろうとする
「・・・あれ?里保ちゃん?おはよう、あれ里保ちゃんの家にお泊りしたんだっけ?」
「そうじゃないって!香音ちゃん、痛いところない?」
質問の意図がわからない香音は首をかしげ「別に何ともないんだろうね」と答えた
「それより、ねえ、里保ちゃん、ここどこ?香音のカバン知らない?」
周囲の白い壁や荷物がないことにようやく気がついた香音はベッドの下にないか覗き込んでいる
「ごめん、私も分かんない。ベッドの下に何かあった?」
「何もなかった。ここどこなのか里保ちゃんもわからないんだ・・・あっ!」
香音が何かを見つけたようで大声を上げた
「どうしたの?香音ちゃん何か見つけたの?」
「扉が壊されているんだろうね!里保ちゃん!大変だよ!何か化け物がいるんだろうね」
何も言えなくなった鞘師は黙って椅子に座りこんだ
しかし香音もなにも分からないことが判明した
(一体ここはどこでなんのためにここにいるんだろう?)
鞘師は椅子に座りカバンを探そうと必死な香音を目で追い始めた
「カバンないよ〜どこ〜香音の携帯どこ〜」
452 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 19:17:07.50 0
必死で荷物を探すため布団の中にもぐりこむ香音に鞘師が声をかける
「ねえ、香音ちゃん、何か覚えてない?昨日の記憶とか」
「う〜ん、里保ちゃんと一緒だったことくらいしか覚えていないんだろうね」
布団からひょっこりを顔を出して答える
「あのね香音ちゃん、これに思い当たる節ないかな?」といって鞘師は扉のプレートを差し出す
『−』とかかれたプレートを受け取り「なにこれ?」と問いかける
「この部屋の扉にかかっていた・・・・と思われるものなんだけど」
思わず扉を壊したのは自分であると言ってしまいそうになり思わず云い直す
「う〜ん、まずこれどっち向きなの?縦向き?横向き?」
香音はくるくるとプレートを持って回し始めた
そこで鞘師はプレートの裏になにか小さく書かれていることに気がついた
「香音ちゃん、ちょっとそのまま持っていて」鞘師は顔を近づける
「『すずきかのん』」
「え?香音の名前がかかれているの?やったあ」
小さく刻まれていたことになぜか誇らしげに喜ぶ香音と訝しがる鞘師
(これにはやはり何かの意味があるんだ。こんなことをするのは・・・やはりダークネスなのか?)
ダークネス・・・超人的な力を持った選ばれし者たちにより理想的な社会を作り上げろうとする謎の組織
そして、これまで何度となく敵対してきた、彼女達リゾナンターの宿敵
しかしダークネスの仕業とするにはどうしても腑に落ちないことがでてくる
(なぜ、私達を生かしているのか?そしてなんのためにここに集めたのか?そしてここは何のための施設なのか)
組織の大きさから考えるにリゾナンターは簡単につぶせるにも関わらず『あえて』潰しに来ない
むしろ成長を楽しんでいるような素振りさえあったと元リーダーの高橋も新垣も語っていた
ダークネスのリゾナンターへの対応は一貫性に欠けており、目的は未だに謎
453 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 19:17:39.45 0
必死で頭を巡らせ考えていると香音が「ん?」と声をあげた
「香音ちゃんどうしたの?」
「今ね、どこか近いところからえりちゃんの笑い声がした。探しに行こう!」
鞘師には全く聞こえなかったが、それがたとえ気のせいでも動くことに意味がある
「こっちなんだろうね」と鈴木が先頭に立って向かった先は鞘師の右隣、プレート『|』の部屋
改めて目を細めてみると、他の5つの部屋にも同様のプレートが取り付けられるのが確認できた
この隣の部屋には『\』のプレートがやはり同様に張り付けられている
これまでみた4つの部屋のプレートはいずれも違う形をしている、後で調べる必要があると鞘師は感じた
「ほら、やっぱりえりちゃんがいるんだろうね」
「まって、香音ちゃん!危ないよ!何があるのか分からないのに開けちゃダメだよ」
不用意に開けようとする香音をたしなめたが、意も介さず思いっきりドアを開けた
ドアの向こうでは生田が携帯を手に持ってにやにや笑っていた
「んふふ〜♪あ、香音、里保やん!やっほ〜おはよ〜」
こちらに気付いたのか携帯から目を離し大きく手を振ってきた
「おはよ〜えりちゃん」「お、おはよう、えりぽんなにしてるの?」
不可思議な笑いに鞘師は生田が奇妙な状況に耐えられないために精神を病んでしまったのではないかと危惧する
「え〜知りたい?んふふ♪えりね、目が覚めたらねここにいたとよ、あ!ここどこかわからん?
それでね、とりあえずなにかないかなって探したらコートの中に携帯があったと!
カバンはないのに携帯だけがあったと!これって奇跡やない?
それで困ったから新垣さんに電話しようとしたら、つながらなくて・・・新垣さんに拒否されたと!
それでショックをうけて、新垣さんになぐさめてほしくて画像フォルダの新垣さん写真をみてたと」
あまりのKY加減に状況側がむしろ浸食されるのではないかとすら感じる正常な生田の姿に安堵の溜息が洩れる
ただ生田の話が本当ならば外部との連絡は付けられないことになる
何かあった場合には誰にも頼ることが出来ない状況であることが少なくとも判明した
道重にも田中にも連絡することが出来ないのだ。全て自分の力で解決しなくてはならないのだ
454 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 19:18:11.47 0
しかしKYな生田はともかく比較的常識人の香音がいきなり部屋を開けたことに鞘師は違和感を感じた
「あのさ、香音ちゃん、もしさ、部屋開けていきなり怪物いたらどうしたの?途中に罠があったらどうするの?
香音ちゃん一人じゃ対処できないこともあるかもしれないから次からはもうちょっと慎重に行こうよ
私達大事な仲間なんだからね」
「・・・そうだね、ごめんね里保ちゃん。えりちゃんの声しか聴こえなかったから大丈夫だと思ったんだろうね
でも確かに何かあったら困るから、次からは気をつけるね」
素直に香音は鞘師の忠告に首を縦に振って笑い返した
「ところでやけど、他のみんなはどこにいったと?」
新垣写真によって元気を取り戻した生田の言葉で、鞘師はこれまでの状況を簡潔に伝えた
自分達も心当たりがないこと、ここがどこかわからないこと、プレートのこと、そして他にも扉があることを
「それなら、全部の部屋を見に行くと!聖がおるかもしれんやん」
3人で残りの5つの部屋を調べると、生田の予想通り一部屋につき一人の仲間がいた
生田の右隣、『\』の部屋には譜久村
その右隣、プレート『−』の部屋には飯窪
更にその右隣、または鞘師の正面の部屋、プレート『/』には石田
鞘師の2つ左、鈴木の部屋の左隣の部屋、プレート『\』には工藤
その左の部屋、工藤の隣の部屋、プレート『|』には佐藤
鞘師の部屋を起点として時計回転に鞘師、鈴木、工藤、佐藤、石田、飯窪、譜久村、生田の部屋
もちろん8つの部屋の構造はすべて同じで、どこにも外とつながる出口はみつからなかった
すなわち・・・
「どこにも出口がないってことっちゃね。あ〜あ、どうすると〜」
KYな主は大きく手を広げ仰向けになった
「静かにしてください、生田さん!まあちゃんが起きてしまうじゃないですか!」
石田が生田に注意すると生田は小さく胸の前で手を合わせ謝った
息はしている、脈もある、怪我もしていないのになぜか佐藤は目を覚まさないのだ
これからのことについて相談しなくてはならないという譜久村の提案もあり8人は佐藤の部屋に集まった
「まあちゃん、大丈夫でしょうか?」
石田はしきりに佐藤の様子を気にしており気が気でいられないようだ
455 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 19:18:43.01 0
「だーいし!少しは落ち着いて!だーいしが焦ったってなんも変わらないんだから!
年上なら年上らしく堂々と構えていろよ!」
ハスキ―ボイスが石田に突き刺さり、石田はバツが悪そうに俯き黙ってしまう
そういう工藤も内心不安なのだろう無意識に佐藤の右手を握ったままだ
「しかし、一体ここは本当に何なのでしょう?出口もありませんでしたよね」
美術が得意な飯窪が建物全体の見取り図を工藤の部屋になぜか置かれていたメモ帳に描いている
正八角形の建物に8つの扉。しかしどこにも出口がない
「私達どこから入ってきたんでしょうか?」
出口がないということは入口もないということ。そう、彼女達は一体どうやって連れて来られたのか
「くどぅの千里眼でもこの建物の中しか映せないなんてここは本当に私達がいた世界なんでしょうか?」
千里眼の能力を持つ工藤ならば自身が届かない範囲まで情報を集めることが出来る
―それにも関わらずこの建物の外は工藤曰く「真っ黒」でなにも視えないという
「とにかくみんなが覚えている最後の記憶をまとめることにしましょう」
8人のまとめ役となりつつある譜久村の提案もあり一人一人が順々に話し出す
鞘師と香音はお互い一緒にいたこと、工藤は格闘訓練中、石田は能力の練習中
生田は携帯のメール、飯窪は画集を読んでいたこと、譜久村は先輩と相談していたこと
それぞれの記憶を飯窪がまとめて文字に書き起こすが
「なんも共通点ないとね」生田の正直な発言がすべてを物語る
「そうですね・・・私もこういったことは初めてですし」と語るは譜久村
「まあちゃんはどうなんでしょうか?早く目覚めてくれればいいんですけど」と石田が佐藤の手を握る
ここに連れられてきた目的―それが誰にも皆目見当がつかない
何をするのか、何をさせられるのか−不安と恐怖が渦巻く中、突然ドシンと地響きがおこる
「な、なんなんだろうね?」
「じ、地震?やだ!地震怖いよ」
「違うっちゃ、さっきのは何かが落ちたような揺れっちゃん!」
「!! みんな、ホールに行きましょう!」
そういい工藤は一人部屋の入口のドアへと向かい、扉に手をかけた
456 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 19:19:14.30 0
「待って、遥ちゃん!せめてみんなに何が『視えた』かを伝えてからにし・・・」
そこまでいいかけて譜久村は言葉を失い、工藤と眠っている佐藤を除いた6人も凍りついた
工藤によって開かれたドアの先にそれは立っていた。
【 ピ ピピピ ・・・ ピ ピピピ 】
「こ、これはなんなんだろうね!!」
「鈴木さん、みたらわかるでしょう!ロボットですよ!ロボット」
扉の前に立ちはだかっていたのは自分達よりも、扉よりもはるかに大きな四足歩行型ロボット
「なんでこんなのがここにおるっちゃ!さっきまでおらんかったやろ?」
「そんなこと私に言われてもわかりませんわ!こんなこと初めてなんですから」
ロボットの肩に備え付けられたレーザーが標準を合わせるべく動きまわる
「そんな!まあちゃん、はやくおきてください!逃げないと危ないよ」
「・・・」
天井のシャンデリアが重厚感ある鉄の胴体を照らし、照らされた体には恐怖でひきつる工藤の顔が映る
「くどぅ、速くそのロボットから離れてください!レーザーに狙われたらひとたまりもありませんよ!」
慌てふためくメンバー達を尻目に鞘師は一人、ただ冷静に覚悟を決めていた
謎の洋館に集められた私達8人、そこに現れた謎のロボット
出口はなく、逃げ場もない。敵の目的は不明だが、あのロボットから私達を始末する気なのは疑う余地はない
少なくとも私はまだ死ぬ気はないし、誰も死なせない
それならすることは一つ、戦って、生き抜く。そして、この状況から抜け出すんだ!
静かにロボットに向けられた二つの眼には熱い「生」への執着の炎が燃えたぎる
【ピ ピピ ・・・ モクヒョウ ハッケン モクヒョウ ハッケン サイサツシマス】
抑揚のない電子音が静かに響き、赤い二つの光が8人を見下ろした
457 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 19:19:49.27 0
>>448-456 「米」の第一話です。読み方はまだ明かしません。前話で軽く予告していた話ですw
出オチにならないように頑張って書いて行きます
主役は鞘師さんです。別に鞘師さん推しではなく、理由があるので他メン推しはご理解ください
次回は一ヶ月以内に上げれればいいんですが期待しないでください
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上代理投稿しました
458 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 20:29:09.21 O
更新乙です
ミステリー仕立ての謎解きものですか
続き待ってます
459 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 21:14:09.18 O
読む前ほ
460 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 22:19:31.53 O
あげ
461 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 23:10:50.96 0
くたばるものか
462 :
名無し募集中。。。:2013/03/11(月) 23:55:06.13 0
ノットデッド
463 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 01:25:27.35 0
作品がたくさん上がってて嬉しいw
464 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 01:39:59.99 0
リンリンの誕生日・・・
465 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 02:02:05.14 O
作品書きたかったけどパソコン修理中なんだ…
遅くなったけどリンリンおめでとう!
466 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 02:23:45.82 0
リンリンはよく知らないんだ
「ばっちりでーす」これで勘弁してくれおめでとう
467 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 02:31:35.36 0
リンリンって実際バッチリでーすとか言うの?
バッチリンリンじゃね?
468 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 03:09:56.97 0
ジュンジュンがバッチリデース言うのは聞いたことあるw
469 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 03:17:43.41 0
リンリンと小田ちゃん誕生日1日違いなのか
なんかネタに使えそうかも
470 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 06:07:43.29 T
バッチリでーすは初期の頃言ってた
471 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 08:11:21.68 0
刃千吏
刃千史
472 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 11:37:09.62 O
昼食デース
473 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 12:25:46.52 0
>>468 コメントで追い込まれたジュンジュンがパクったときだな
474 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 12:40:27.22 0
そんなことあったっけw
あの頃の思い出たくさんあるけどそれは記憶にない
475 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 13:34:39.84 0
ハロモニ@の卓球の回だな
ようつべでも見れる
476 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 14:37:52.62 0
プシュン!はめっちゃ覚えてるw
477 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 16:25:40.74 0
何もかもが懐かしい…
478 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 17:34:03.16 0
バッチリンリンはよく言ってる
479 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 17:44:02.83 0
「オリジン弁当」の方が多分もっと言ってるだろうな
480 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 19:43:37.58 0
川*^A^)<リンリンのバッチリプレートはイカガ?
(客)<じゃあそれ一つ
川*^A^)<ハーイ!バッチリデース!お待たせシマシター!
(客)<おー早いね
(;客)(なんかオリジン弁当っぽいけど気のせいかな…)
481 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 19:54:50.62 0
自演
482 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 20:02:08.00 0
巡回乙
483 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 21:05:36.95 0
リンゴジュースを出さないとは
紳士揃いなスレだ
484 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 22:25:41.34 0
ソッカー
485 :
名無し募集中。。。:2013/03/12(火) 23:56:22.15 0
ホゼナンター参上
486 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 00:20:35.85 I
『〜Help me!!〜』の作者です。
この場で伝えて良いのかわかりませんが、タイトルを『Help me!!』に変えてもらう事は可能でしょうか?
487 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 00:43:11.20 0
保管庫の表記を変えれるかという意味だったらわりと簡単に変えれます
最終の意思確認が出来たら変えてしまいますといっても明日の夜になりますかね
488 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 00:57:56.76 I
>>487 ありがとうございます。お時間ある時で構いません。保管庫の表記変更よろしくお願いいたします。
『』でタイトルを囲うので、〜〜は余計でした。
489 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 01:15:44.18 0
>>488 了解っす
っていうかむしろこちらが『』で囲ったのが余計でしたかね
『Help me!!』より〜Help me!!〜の方がイメージに合ってるのなら『』を取っぱらいますがw
490 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 05:39:15.09 0
おぱよん
491 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 06:54:24.77 0
君さえ居れば何もいらない
492 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 07:43:54.97 I
>>489 リゾスレと言えば『』なので先人に倣わせてください。
今後ともよろしくお願いいたします。
493 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 08:25:13.98 0
『〜Help me!!〜』から『Help me!!』へのタイトル変更に伴う作業完了
あと…5がスレ別分類から抜けていたのを修正
作者の人申し訳なかった
494 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 09:36:11.24 0
保管庫スゲーなマジで
495 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 10:03:19.95 O
保管庫ありがとう
作品書くのに過去作参考にしたりするんで助かってます
496 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 11:30:24.87 0
昔の作品との繋がりまで書いてあるのがすごい
497 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 12:54:53.69 0
保
管庫
498 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 13:20:10.72 O
保田管庫
499 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 13:49:29.87 0
「たーんっ!」
「亜弥ちゃんか。どうしたの?なんかうれしそう」
「中澤さんから召集かかったよ」
「なんで?」
「小田ちゃんだっけ。最近リゾナンターに合流した子。あの子がさあ、”ダブル”なんだって」
「はぁ?保有能力が二つある、ってこと?信じらんない」
「まあね。でも実際にその力で、アップアップさんたち倒したみたいだよ」
「あっそ。で?うちらに総攻撃でもかけろって?」
「たぶんね。小田ちゃんが完全に目覚めないうちにってことでしょ」
「ばっかばかしい。美貴はパス。そんなのやぐっちゃんとかあそこらへんにやらせとけばいいじゃん」
「それがねー。中澤さん、お尻に火が付いちゃったみたいでさ」
500 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 13:57:24.81 0
「どうせあのおっさん連中にせっつかれてるんでしょ」
「だろうねえ。ま、とにかく青筋立ててすごいことになってんの」
「あはは。見てみたいわ、それ」
「よっすぃーや飯田さんもあわてて走ってたよ」
「ふうん。で、亜弥ちゃんはどうすんの?」
「あたしは行ってみようかな。なんかおもしろそうだし」
「あんたそういうの好きだもんね。美貴も、行けたら行くわ」
「うわー、すっごい消極的」
「だってなんか屈服してるみたいで嫌じゃん。美貴は誰にも何にも従わない」
「さっすが氷の魔女ミティ様だね」
「なんか今バカにされた気がする」
「っと。そろそろ出ないとね。じゃ、待ってるから」
「…行っちゃった。ま、顔だけでも出してみますか」
501 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 14:01:17.17 0
502 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 15:28:44.44 0
松浦の方が暗殺者でたんの方が殺人狂かなw
503 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 15:49:47.45 O
更新乙
まさにGAMですねw
504 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 16:38:16.26 0
>>501 乙です
おっさんからのリゾナントがここまで広がるかw
505 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 18:03:02.91 0
たんって誰だと5秒考えてしまった
506 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 19:51:21.66 O
あげ
507 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 21:01:50.01 0
ほぜ
508 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 21:28:16.22 0
ほ
509 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 22:26:41.51 O
>>501 ミティ「あそこらへんに〜」
言いそうで坪ったw
510 :
名無し募集中。。。:2013/03/13(水) 23:18:29.11 0
沈んじゃって許してにゃん
511 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 00:11:36.56 0
保全
512 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 00:33:44.18 0
蓬莱
513 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 01:17:04.67 0
おやぷみなさい
514 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 01:23:22.30 I
>>493 『Help me!!』作者です。
お手数おかけしました。本当にありがとうございます。
探しやすくて読みやすい保管庫、リゾスレの存続はあなたなしではありえません。
515 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 02:18:55.76 0
ねるなんと
516 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 06:06:19.02 O
おはナント
517 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 06:29:58.85 0
いつのまにやら半ばを過ぎて
518 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 07:58:33.06 0
よせばいいのにはしご酒
519 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 08:33:57.36 O
気がつきゃ公園のベンチでごろ寝
520 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 09:30:38.86 0
植木等がいるな
521 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 10:55:43.39 0
川* ^_〉^)
522 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 11:18:06.77 O
どうしたまーちゃん
523 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 12:54:20.31 0
ホワイトデー
524 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 13:32:23.81 O
それは君が見た光
525 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 14:04:07.93 O
ぼくが見た希望
526 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 15:14:58.16 O
ホワイトデー
527 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 16:07:26.67 O
それはふれあいの心
528 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 18:23:42.48 0
しあわせの蒼い共鳴
529 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 20:02:52.13 0
喫茶リゾナントの提供でお送りしたんやよ
530 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 20:12:23.25 0
二つの戦いにようやく終わりが見えかけてきた気がw
では続きを投下します
>>391-401 の続きです
しばらくは落下した鉄骨による土煙でもうもうとしていた建設現場だったが、視界が晴れるとともに、れいなは大きな違
和感に気づく。
あいつらが…いない!?
そう。
れいなが空中戦で叩きのめしたベリーズのメンバーたちが、忽然と姿を消しているのだ。
あの速度で落下し地面に激突していれば、身動きすることすら不可能なはず。
周囲の様子を窺っていると、頭上から声がした。
「…やっぱり、一筋縄ではいかないみたいね」
「あんたは!!」
れいなの居る場所からはるか上方に、その女は浮かんでいた。
鉄骨の枠組が崩壊した時に姿を消していた、ベリーズのキャプテン。
「でも、これからあんたは地獄を見ることになる」
佐紀が言うとともに、背後に六つの顔が浮かび上がる。
雅。茉麻。千奈美。友理奈。梨沙子。そしてれいなとは戦っていない桃子までいた。
「ベリーズは、7人でひとつ」
「その意味を、その身で理解しな」
「ようこそ、うちらの世界へ」
「もう逃げられないよー」
「『七房陣』は既に、あんたを捉えてる」
「死んじゃっても、許してにゃん」
六人の顔が、六つの光の玉となり、れいなに襲いかかる。
避けようとするれいな、だがそれよりも速く光の玉がれいなの体に纏わりついた。
「なにこれ、動け…ん…」
抵抗する事もできずに、そのままれいなは光の渦へと呑み込まれていく。
「れいなっ!!」
大きな声で呼びかけたのはさゆみだった。
階上から轟く、隕石でも落ちてきたかのような大きな音に目を覚まし、心配になって地上に上がってきたのだ。
そして目にしたのは、六色の光に包まれているれいな。
「さ、ゆ?」
「今助けるから!」
れいなのもとに走り、その手を掴もうとするさゆみ。
しかし、手ごたえはなく空を切ってしまう。
「あんたの相手は後でしてあげる。こいつを始末してからね」
佐紀もまた、光となり、先にれいなを溶かしつつあった六色の光に合流する。
そして七色の光の塊になったれいなは、そのまま光の収縮とともに消えてしまった。
「れいな!れいな!!」
荒廃した建設現場に、さゆみの声だけが木霊していた。
黄色い、部屋。
包んでいた光が消えると同時にれいなの視界に飛び込んできたのは、薄い黄色の壁紙。
小さな、部屋だった。品の良さそうなテーブルに、黄色のバラが飾られている。椅子に座り、微笑んでいる、
ベリーズのキャプテン・佐紀。
「おぱょ」
「!!」
咄嗟に後ずさり、戦闘態勢をとるれいな。
しかし相手は動じることなく、テーブルにあったティーポットをティーカップに傾けている。
「ようこそ、『私の部屋』へ? お茶でも、飲む?」
「…遠慮しとく。そんなことしてる暇、ないけん」
「あら。残念」
佐紀が、飾られたバラの花にふぅ、と息を吹きかける。
凄まじい衝撃。理解のできない力によりれいなは吹き飛ばされた。
飛ばされた先にあった黄色の扉が開き、外へ弾き出された形で床に激突してしまう。
「あいたた…何が、起こったと?」
辺りを見回すれいなは、先ほどとは別の部屋にいることに気づく。
赤。赤をふんだんにあしらった部屋。壁に描かれた大きな電球の絵と、棚に飾られてる唇のオブジェがいかにも
ポップだ。
「何してるんだゆー」
「あんたは…?」
椅子に座っている、一人の少女。手には、魔法使いが持っているような、杖。
西洋の血が入っているかのような顔つき。どこかで見たことのある顔。
だが、明らかにれいなが知っている彼女とは違う。
「いや、でも明らかに小さいし、痩せ」
「失礼なこと言ってんじゃないんだゆ!」
小さな少女 ― 梨沙子 ― が、杖を振るう。
すると唇のオブジェが開き、そこから猛烈な風が吹き荒れた。
「くっ!これは!?」
「体の芯まで凍らす冷気だゆ」
風が、れいなの体温を急速に奪ってゆく。
視界が、意識が白に覆われてゆく。
猛吹雪が去った後にれいなが見たものは、先ほどとはまったく別の部屋だった。
今度は、紫。
紫の絨毯に、紫の壁。紫に塗られた鹿の頭を模したレリーフ。
その部屋の中心にいるのは、派手な顔つきの炎使い・雅。
「あんたか!」
「ベリーズワールド、楽しんできなよ!」
手から揺らぐ、炎。
雅が、れいなに向けて紅蓮の息吹を吹き付ける。さらに、鹿のレリーフの口が開き、そこからも火炎が放射さ
れた。狭い部屋での二方向からの攻撃。このままではれいなのローストの完成だ。
あんなところに扉が!!
目ざとく紫色の扉を見つけたれいなが、俊敏な動きで移動し、扉を開け放つ。
そこはやはり、小さな部屋だった。
オレンジ。
まるで太陽のような温かみのある色に囲まれた部屋に鎮座するのは。
「ようこそ、千奈美の部屋へ」
幻視能力の使い手が軽く手を挙げると、彼女の後ろに飾られてあった紙人形が、そして絵の中の人影が、ゆらりと動き出す。
「これも幻術とかいな!」
「幻かどうか、試してみなよ」
襲いかかる三体の異形。 試しに体勢を屈めて足払いを繰り出すと、手ごたえとともに異形たちが倒れてゆく。
幻術じゃ…ない?
考える間もなく、さらにその後ろから紙人形が飛び掛ってきた。
右の紙人形にローキック。
真ん中の紙人形に返しのミドルキック。
左の紙人形にはそこから二段のハイキック。
倒した先に、更に四体の紙人形が。
この狭い部屋の中では、きりがない。
判断したれいなが、さらなる突破口を見出す。
勢いよく開かれる、オレンジの扉。
その先もまた、小部屋。今度は青に染められた部屋。
「もう、次から次へと…こんなの、好かん!」
と言っては見たものの、今度の部屋には誰も居ない。
青いベッドが、部屋の真ん中に置かれているだけだ。
「どこに、どこにおると?!」
今までの部屋には、ベリーズのメンバーが待ち構えていた。
ここにも必ず、誰かがいるはず。
れいなの勘は、正しかった。正しかった、が。
背後から、巨大な手が襲来する。
あっという間にれいなの体を掴んだその手は、れいなごと遥か上空へと上がってゆく。
体をぎゅうぎゅうに握り潰されたれいなが見たものは、大きな、目。
いや、れいなの何十倍もの大きさになった茉麻の目だった。
「気分はどう?逃げられるものなら、逃げてごらんよ」
意地悪く微笑む茉麻。
れいなは自らの力を増幅させ、強力な握力から開放されようとするが、びくともしない。
体の大きさが、あまりにも違いすぎる。
「くそ、開かん!この馬鹿力っ!!」
「ほら、次の部屋が待ってるよ」
今度は茉麻がれいなの首根っこを摘んで、大きな木枠の窓まで持ってゆく。
足をじたばたさせて抵抗するも、開けられた窓の外へと放りだされてしまった。
「あ痛っ!」
そのまま尻餅をつき、したたか尻を打つれいな。
部屋の色は、緑。鉢植えに植えられた観葉植物と、壁に描かれた観葉植物の絵。
見ている暇もなく、体を浮かせられた。
「重力操作!ってことは…」
「はい、正解です」
ぬぼっとした声とともに、本物と偽物、二つの観葉植物の枝がれいなに向かって伸び、そして動きを封じる
ように巻きつく。
「さてどうしましょうか。ここでゆっくり死んでく?それとも違う場所で死ぬ?」
「どっちも…お断りったい!!」
絡みついた枝葉を引きちぎり、友理奈に向き直る。
すると友理奈は、
「あーあー、だめじゃん。植物だって生きてるんだから、大事にしないと」
などととぼけたことを言い始めた。
「れいなだって生きて…」
「はいはい。お楽しみはこれから」
突如として、襲いかかる観葉植物の枝。それも、先ほどとは違い無数の枝の集まり。
勢いのままにれいなを突き飛ばし、隣の部屋へと追い出した。
「くそ、一体どうなってると!!」
「おかえり。随分早かったのね」
振り返るとそこは、黄色い部屋。
最初に顔を合わせた佐紀が、優雅に紅茶を愉しんでいる。
「あんた、説明しい!」
「言ったでしょ。ようこそ、『私の部屋』へって。正確に言えば、『私たちの部屋』だけど」
「はぁ?それってどういう」
「『ベリーズ七房陣』。あなたは、決してここから逃れられない」
佐紀の目が、かっと見開かれる。
れいなの体に、強い衝撃。
逆らい難い力により、れいなはまたしても扉の向こうに飛ばされてしまった。
飛ばされた先の部屋の椅子やらテーブルやらをなぎ倒し、床に転がるれいな。
「あたたた…今度はどこに飛ばされたとかいな」
立ち上がろうとしたところを、下からの蹴りが襲う。
咄嗟に後ずさるが、今度は背後の敵から組み付かれる。
ホールドを解き、渾身の肘打ちを食らわしながら、二方が見える場所へと移動した。
「今度は、二人?」
「ここは『あたしたちの部屋』だゆ」
「あたしたちの世界。何でも叶う、世界」
右に、先ほど対峙した幼い少女の姿をした、梨沙子。
そして左に、凍てつく刃を構えた大人の姿の、梨沙子。
「ほんとは魔法使いになりたかったんだゆ」
「望んで得た能力じゃない。けど、氷を操る能力は…私の能力」
れいなを挟み、二人の梨沙子が仕掛ける。
心の臓めがけ突き出された鋭い突き。魔法の杖が生み出す、氷の吹雪。
どちらを先に倒す。右か。左か。
だがれいなは、バックステップから大きく後ろに宙返り。
「逃げたゆ!!」
「でもここは小さな部屋、あの勢いじゃ天井にぶつかる」
「あんたらに付き合ってる暇なんかないけん、強行突破!!」
天井を蹴破れば、部屋の中にいる人間より優位に立てる。
れいなの強烈な蹴りが、天井の化粧板を破壊。そのまま上方に飛び上がるかと思えた。
だが。
「ずるは許さないゆー」
またしても得体の知れない力が、れいなを叩き伏せる。
墜落し床面に激突したれいなが移動したのは、またしても紫の部屋。
「また来てくれたんだ」
「来たくて来たわけじゃないと!!」
雅が嬉しそうに、れいなに向け炎を放射する。
それを右に避け、懐に近づくと思い切り手首を掴みあげた。
「な、何すんのよ!」
「そんなに燃やしたかったら、全部燃やしぃ!!」
急に矛先を変えられた炎の奔流が、紫の壁を、絨毯を嘗め尽くす。
あっという間に火の海と化した部屋。
「だからさあ、無駄なんだって」
「はぁ?」
呆れたようにため息をつく雅を睨み付けるれいなだが、既に相手が雅ではないことに気づく。
「ここは『あたしたちの部屋』」
千奈美が現れるとともに、部屋がオレンジ色に変わってゆく。
「あんたが好きにできる世界じゃないんだよ」
千奈美から茉麻へと変化する、人影。
「抵抗は無駄なんだよね」
部屋がグリーンに染め上げられ、そこからさらにピンク色のハートマークが目立つ部屋へと変わってゆく。
「田中さんは、二度とここから出られないんですぅ。うふふふ」
友理奈から変化した桃子が、ぬいぐるみを抱いて微笑む。
それをきっかけに矢継ぎ早に変わる部屋。変わる人影。
黄色、赤、紫、オレンジ、青、緑、ピンク、黄色、赤、紫、オレンジ、青、緑、ピンク、黄色、赤、紫、オレンジ、青、緑、ピンク。
佐紀、梨沙子、雅、千奈美、茉麻、友理奈、桃子、佐紀、梨沙子、雅、千奈美、茉麻、友理奈、桃子、佐紀、梨沙子、雅、千奈美、茉麻、友理奈、桃子。
れいなの頭に激しく入り乱れる、色、声。
視覚から、聴覚から忍び込む情報が、心を激しく攪乱させる。
終わらない「七房陣」。
一瞬とも、永遠とも言えない時間の中でとうとうれいなは叫び声をあげた。
「もう、やめり!!!!!」
黒。
まったくの黒に覆われた。
新しい世界。
けれどそこは、最終地点。
七つの光に包まれた、黒い闇。
その闇に、れいなはずぶずぶと呑み込まれてゆく。
「お疲れ様。でもここが終着地だよ」
黄色い光に包まれた佐紀の、優しく残酷な声が聞こえた。
541 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 20:28:35.01 0
542 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 21:37:53.40 0
>>541 作者様 代理人様 更新乙です
さすが10年目のベテランたちw隠し玉がありましたね
543 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 22:24:09.09 O
読む前ほ
544 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 22:25:38.32 0
>>541 乙です
ベリーズもしぶといねえ
この苦境をどう逃れるのか続き待ってます
545 :
名無し募集中。。。:2013/03/14(木) 23:50:24.02 0
あげ
546 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 01:44:30.89 0
ねるなんと
547 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 05:58:14.58 O
寒い朝
548 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 07:54:06.60 0
爽やかな朝
549 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 08:21:54.10 O
おぱょ
550 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 09:38:36.30 I
清水さんおはようございます。
551 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 12:24:13.36 0
明日は俺の誕生日
552 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 12:45:04.43 0
おめでとう
見ない間におおきくなったな
553 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 12:57:36.23 0
リゾナントを借り切ってパーティーだ
554 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 15:11:38.14 O
うむ
555 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 15:35:30.47 0
誕生日だけにうむと生むをかけたかやるな
556 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 16:51:38.71 0
鞘師はりほりほを産む機械
557 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 17:52:02.46 0
なんのこっちゃw
558 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 18:48:41.05 O
明日から大量投稿の週末だ!
オラわくわくしてきたぞ!
559 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 20:18:15.34 0
死守
560 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 20:27:48.07 0
水守
561 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 21:01:34.07 0
米沢守
562 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 22:03:24.62 O
なんか急に冷えてきたな
昼間暑いくらいなのに
563 :
名無し募集中。。。:2013/03/15(金) 23:15:13.19 0
おあげさん
564 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 00:29:03.64 0
おやすみなんと
565 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 02:27:23.93 O
ぬん!
566 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 02:27:28.68 0
ねるなんと
567 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 05:43:40.66 0
寒くて目が覚めたなんと
568 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 07:00:19.13 0
寝たままだったら危ないとこだったな!
569 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 08:28:24.04 O
おはようさん
570 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 10:40:03.12 0
久々にあげなんと
571 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 13:18:18.89 0
およよ
572 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 13:33:12.27 O
ゆーても
573 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 15:21:16.71 O
ほい
574 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 15:43:21.11 0
12期メンバーオーディション「未来少女オーディション」
10〜17歳までの女性。4/30締切。
575 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 16:50:37.49 O
さゆが…
576 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 17:54:41.50 O
流れに負けずあげ
577 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 19:02:08.42 O
もういっちょ
578 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 20:07:54.74 0
12期か
寺田さん攻めるな
579 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 20:20:41.02 O
9月発表かな
580 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 21:42:38.06 0
ちふれしひ
581 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 22:46:18.24 O
ほぜ
582 :
名無し募集中。。。:2013/03/16(土) 23:24:45.43 O
なんと
583 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 00:45:25.56 0
また新たなリゾナンターが誕生するのね
584 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 00:48:25.55 0
ぜんぜん関係ないんだけど現役引退問わずリゾスレ作者さんのブログが知りたいので
紹介していただけるとありがたいです
585 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 01:25:49.98 0
寝るナント
586 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 01:58:45.98 0
>>584 仮にも2ちゃんねるに個人ブログ晒すのはどうかと思うのよ
自力で探してねとしか言えん
数はほとんどないと思うけどw
587 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 02:38:27.99 0
そんな敷居高くねーよw
588 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 03:16:31.15 O
Wikipediaの作者紹介ページにいくつか作者さんのブログも載ってたはず
ほとんど古参の方だけどw
589 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 03:38:16.81 0
どうせ放置
590 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 04:06:25.96 0
そもそも新しい方たちはブログやってるかどうかもわからんしな
見てみたい気もするがw
591 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 06:57:31.91 0
SNSしかやってない
592 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 07:59:10.39 O
おは
593 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 09:04:01.10 0
よん
594 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 09:59:04.72 0
>>531-540 の続きです
早貴の敗退。
その事実が、残されたキュートメンバーの表情を固くする。
こちらが三人なのに対し、リゾナンターの戦闘可能人数はその倍。
固く目を閉じ、沈黙していた舞美が、口を開く。
「愛理。千聖。『あれ』、使って良いよ」
愛理と千聖の顔色が変わる。
「でも舞美ちゃん、あれはまだ」
「大丈夫。二人なら、できる」
舞美は愛理の手を両手で掴み、眼差しを向ける。
「あれ」の話が出た時には不安で覆われていた心が、ぱあっと晴れてゆくのを愛理は感じていた。
「そうだね。やらなきゃ、わかんないよね」
「よしっ、じゃあ一発ぶちかましていきますか!」
千聖もまた、愛理以上にプレッシャーに飲まれて後ろ向きな気持ちになっていた。
しかし、舞美の一言がスイッチングとなる。二人なら、できる。
やらなければならない、キュートの理想の実現のために。
もう、迷いはなかった。
愛理が、千聖が、リゾナンターが待ち構える戦いの場へと赴いてゆく。
595 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 09:59:39.31 0
対する若きリゾナンターたちも、決して楽観視できる状況ではない。
香音が倒れ、遥も体力を大幅に消耗してしまった。亜佑美も先ほどの高速移動の酷使が響き、疲労が激しい。今後のことも考えると
聖が二人に治癒の力を使うことはできない。戦闘にまったく向かない優樹を除けば、戦えるのは聖、衣梨奈、里保、春菜の四人。
「今度こそえりが出るっちゃん!あのちびをボコボコにしてやるけん!!」
鼻息荒く、衣梨奈が拳を握る。
春菜もまた先ほどのリベンジとばかりにやる気を出している。
「決まりだね。私と聖ちゃんはあの人に集中しよう」
言いながら、遠くの舞美に目を向ける里保。
舞美が相当の使い手であることは、里保自身肌で感じ取っていた。だからこそ、意識を集中させる。
いつでも、懐の刀を抜けるように。
衣梨奈と春菜。
愛理と千聖。
空間の中央で対峙する、二組の少女たち。
「へえ。今度はこそこそ隠れて狙撃せんとね?」
「うるさいばーか。お前なんて正面からやっつけられるっての」
互いに火花を散らしあう、衣梨奈と千聖。
「勝たせて、もらいますよ?」
「うん。負けないから」
対する春菜と愛理は、言葉の裏に闘志を滲ませる。
全員に共通する言葉、それは「勝利」の二文字のみ。
596 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 10:00:14.96 0
千聖が、両手をピストルの形にして衣梨奈たちに向ける。
先手必勝。発射された念動弾が空気を割きながら、二人の眉間を狙い飛んできた。
両脇へと回避する二人だが、その隙に愛理が前方へ、千聖が後方へと移動する。
「生田さん、おそらく前の子は何らかの直接攻撃方法を持ってます!」
千聖がどちらかと言えば、誰かのサポートを得て能力を行使する戦い方を好むことを、春菜は肌で感じ取っていた。そして愛理とと
もに取ったフォーメーションは、まさしく前衛の攻撃に対する援護射撃のためのもの。
「おっけー!」
衣梨奈が、両手を翳してピアノ線を展開させた。
下手に突っ込めばピアノ線に触れた瞬間、精神破壊能力が襲う。
しかし愛理は一歩も動くことなく、にへらと笑みを浮かべている。
「…なんかむかつくっちゃけど」
まるで挑発してるかのような愛理に、衣梨奈は苛立ちを隠せない。
何かを隠してる。
相手の余裕から明らかではあるが、直情型の彼女にとってはただまどろっこしいだけだ。
「いいと。お望みどおり、正面突破!」
「生田さん!?敵の罠ですよ!!」
「世界一を目指す能力者は、退かん!媚びん!省みん!!」
春菜の制止も聞かずに、愛理へと突っ込んでゆく衣梨奈だが、突如その足が止まる。
愛理は先ほどの位置から、動いていない。ただ、口をゆっくりと動かしている。その様子は、まるで歌っているかのようだった。
597 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 10:00:46.83 0
「どうしたんですか!?」
「何か知らんけど、動けん…」
様子を変に思った春菜が、話しかける。
脂汗を垂らし、立ち尽くしている衣梨奈。
そこを、後方の千聖が狙い澄ましたかのように念動弾を放つ。
春菜が弾けるような瞬発力で、衣梨奈の体を攫い、後方に下がった。
衣梨奈は悔しそうな表情で愛理を睨み付けるが、当の本人はまたしても緩んだ笑顔を見せている。
「あいつ、何したとかいな。急に、体が動けんくなって」
「大丈夫です。謎は、解けました」
再び、春菜が愛理たちのほうへ向く。
その表情は、自信に満ちていた。
「私があの子の相手をします。生田さんは、後ろの子を」
「あ、うん。わかった」
半信半疑の衣梨奈を他所に、春菜が走り出す。
目指すは、愛理。余裕を持っていた愛理が、春菜の接近を許した時に、初めて表情を引き締めた。
「あれ、どうして」
「あなたの能力は、『音波操作』ですよね?生田さんを連れ戻した時にわかりました」
春菜の言うとおり、愛理は音波を自在に操る能力者だった。歌っているように見えたのは、衣梨奈を近づけさせない音波を発してい
たため。
低周波の防護壁をまともに突破しようとした衣梨奈は、その影響を受け、動けなくなってしまったというわけだ。
598 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 10:01:18.40 0
そしてそのことに気づいた春菜は。
五感のうちの聴力をシャットダウンし、音の壁を無力化した。
あとは、相手を「歌わせない」ことに専念するだけ。
愛理が春菜の妨害を受けている隙に、衣梨奈が前線に飛び出す。
原理はわからんっちゃけど、平気みたい!
低周波が発生していた地帯を通り抜け、千聖目がけて突っ走る。
「げ。あいつ!」
「今度こそそのあほ面、泣き顔に変えてやるけん!」
狙いを定め、ピアノ線を射出。
しかし敵もさるもの、体を転がす大胆な避け方で絡め取られるのを防いだ。
「ちょっと何しとっと!大人しくえりの『新垣さん仕込みの』操糸術の餌食になりぃ!」
「なるわけないだろバカ!お前こそ千聖の100発100中の念動弾に打ち抜かれろよ!」
さらに転がった先から体勢を整え、衣梨奈に指先の銃口を向ける。
至近距離からの射撃は、圧倒的に千聖の有利。
「格の違いってやつを、見せ付けてやるよ!!」
来る!しかも複数!!
指先に集まる光の大きさから弾数を想定した衣梨奈。脳裏に、最初の戦いにおいて無数の念動弾に打ち抜かれた恐怖が蘇る。
苦し紛れか、衣梨奈が自らの前にピアノ線を張り巡らせる。
ただその脆弱な結界では、強力な銃弾を防ぎきれないのは明白。
599 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 10:01:55.14 0
打ち出した念動弾の数発が、線を断ち切る。
軌道から身を避ける衣梨奈だが、そこを狙われてしまえば身体能力に関しては常人よりやや上程度の彼女に回避の術はない。
次々と、千聖の狙撃が続く。
かと思われたが、何かに気づき大きく後ずさる。
「何ね。気づいとうと?」
「ちくしょう、小賢しいマネしやがって!!」
千聖が避けたのは、自身に向かって弾け飛んだ鋭い曲線。
千聖が念動弾で断ち切ったピアノ線だった。
衣梨奈はわざと線が切れやすいように、線の結界を必要以上に強く張っていた。切れるぎりぎりの張力で張られていたピアノ線は、
限界を迎えるとともにその切っ先を千聖に向け飛んできたのだ。
刻まれた恐怖を前に、後退していた衣梨奈の心は、ぎりぎりのところで踏みとどまった。
ここで自分が倒れてしまえば、戦況がより不利な状況に傾いてしまう。とともに倒されてしまった遥や香音、亜佑美の仇を討つこ
とができなくなってしまう。
その思いが、彼女に勇気と逆転の一手をもたらしたのだった。
再び、互いの距離を広げた二人。
状況は振り出しに戻っていた。
一方、愛理を接近戦に持ち込んだ春菜は。
刃物のような何かで、切り刻まれた衣服。腕から流す鮮血が痛々しい。
その様子を見ている愛理は、だらしない笑顔を見せる。
600 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 10:02:26.95 0
「あたしの武器が低周波だけだと思ったでしょ。ところが。違うんだなあ」
「確かに。油断してました…」
五感強化によって聴力に力を集中していた春菜は、自分を切り裂いた何かの正体に気づいていた。
高周波。音波を操る事ができるのなら、出せても不思議ではない。
懐に近づき、近接攻撃によって音を封じる。春菜の作戦は上手くいっていたかのように見えた。しかし、愛理は近接時の攻撃
方法も持っていたわけである。
「でも。私が近づかなければ、あなたも攻撃できませんよね?」
「だね。攻撃なだけにこう、げき的なことをしないとね」
寒いギャグを挟みつつも、愛理は春菜に向かって微笑む。
この人、まだ何かを隠してる。
春菜は相手が隠し持つ切り札の存在を警戒する。
「愛理、いったん集合」
「ほーい」
千聖の呼びかけに、愛理が応える。
愛理が千聖に、千聖が愛理に近づくことで膠着状態は一旦解かれることとなった。
「はるなん、大丈夫!?」
「私は大丈夫です。高周波による攻撃と言っても、威力はそう高くありませんでしたから」
衣梨奈と春菜も同じように、一組になって体勢を固める。
相手の仕掛ける攻撃に対しては手も足も出ないのが実情だが、相手も条件は同じ。つまり、先に突破口を見つけた側が勝利す
る。春菜は、そう考えていた。
601 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 10:03:42.18 0
>>594-600 投稿完了
少し長くなるので途中で切りました
お手数ですが代理投稿お願いします
----------------------------------------
以上代理投下終了
602 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 11:47:36.35 0
>>601 更新&代理乙
某世紀末覇者風えりぽんがいいですな
「未来少女は私やろが」に通じるものがw
603 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 13:18:54.10 O
読む前保
604 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 14:16:21.74 0
なかなか戦略的な戦いが繰り広げられてるじゃないか
605 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 15:22:50.38 O
世界一の能力者……
その使い方はいいのかw
606 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 17:20:51.36 0
ぽ
607 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 18:22:20.80 O
ぽ
608 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 18:49:21.58 O
ぽ
609 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 18:50:31.01 0
豆がほしいか
610 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 19:53:13.13 0
(・e・)
611 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 20:05:30.47 O
つまりそろそろガキさんものを書けってことですか
612 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 21:24:27.46 0
なるほどねw
613 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 22:28:14.05 0
R-infinityはもう来ないの?
614 :
名無し募集中。。。:2013/03/17(日) 23:23:28.47 O
続き物かもんな
単発も歓迎
615 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 00:03:51.00 O
からのあげ
616 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 00:06:48.30 0
インフィニティは絶対彼氏。の初日に合わせるくらいに投下したかったのですけども
間に合いませんでどうも申し訳ありませんです・・・
フジコまでにはなんとか・・・!
617 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 00:38:57.87 O
待ってますよw
618 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 01:13:39.54 0
ほげなんと
619 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 01:21:06.33 0
唐揚げ
620 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 01:27:39.03 0
621 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 03:07:19.92 0
愛などいらぬ
622 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 03:44:58.78 0
|||9|‘_ゝ‘) <お師さーん もういちどだけぬくもりを・・・
( ・e・)<えーい まとわりつかないっ
623 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 04:59:55.47 0
ねるなんと
624 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 06:32:56.77 0
625 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 08:12:45.88 0
他の途切れてるシリーズの作者さんたちも待ってるよ!
もう需要がないなんて思わないで!
ほんとに待ってるから!
626 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 10:15:02.93 0
新しいものも懐かしいものもいいね
627 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 12:20:18.94 0
♪お昼の時間だリッゾナントー イェイイェイ!
628 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 13:44:24.03 0
だーいしはしゃぐのもほどほどにしなさい
629 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 14:21:49.21 O
あげ
630 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 14:28:09.94 0
>>594-600 の続きです
春菜の、聴力強化した耳が空間のほんの僅かな音の変化を察知する。
愛理が攻撃準備に入っている証拠だった。
間違いなく仕掛けてくる。
春菜は衣梨奈に向き直り、その危険性を知らせる。
「生田さん、気をつけて!あの人たち、攻撃してきます」
「わかっとう!!」
衣梨奈もまた、相手の高まる気配に最大限の警戒をしていた。
大技が来る。それを、凌がなければならない。
愛理と千聖に目を向けると、二人が攻撃態勢を取っているのが見えた。
「かぁーっ、実戦で使うのはじめてだからさ、緊張するなあ」
「大丈夫だよ。舞美ちゃんがそう言ってくれたんだもん」
「…だよね」
珍しく顔を強張らせる千聖に、愛理が励ましの言葉をかける。
幼い頃にダークネスに拾われた二人には、いや、今は倒れている舞や早貴にとっても、リーダーである舞美の言葉は道しるべであり、心の支えでもあった。
その彼女が大丈夫だと言ってくれた。疑う余地は、ない。
631 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 14:29:25.60 0
「いくよ千聖!」
「おっけ!!お前らこれでも喰らいやがれ、名づけて『奏式幽世(かなしきヘブン)』!!!」
叫び声と同時に、千聖がこれでもかというくらいに念動弾を打ち出した。
一見ただの無差別攻撃に見えるそれ。衣梨奈が、防護のためのピアノ線を張り巡らす。
だが、春菜の目が、耳が向かってくる念動弾の危険性を察知する。
「あれを、あれを受けたらダメです!!」
「え?」
唸りを上げて迫ってくる念動弾。
その一つ一つが、愛理の操る高周波を纏っていた。
当然、その威力・攻撃範囲は通常の念動弾のそれをはるかに上回る。
最早攻撃範囲から逃れられない春菜と衣梨奈は、「奏式幽世」の餌食となってしまった。
体を巻き込まれ、鋭い衝撃が全身を襲う。全てが切り刻まれ、鮮血を噴出させる。
その威力は最早、音響兵器と言っても過言ではなかった。
「はるなん!えりぽん!!」
念動弾になぎ倒される二人を見て、思わず叫び声をあげる里保。
しかし、念動弾の勢いは衰えることなく、さらに里保たちに向かって牙を剥く。
632 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 14:30:03.62 0
里保、聖、優樹はともかくとして。
極度の疲労から眠ってしまった遥、亜佑美、目を覚まさない香音。特に透過能力を使用できる香音が倒れているのはまずい、
いや、彼女の能力をもってしても攻撃を無効化できるかどうか。
ここは自分が凌ぐしかない。
堅い決意をもって、里保が腰のホルダーから水の入ったペットボトルを取り出す。そして徐に、鞘から抜いた愛刀「驟雨環奔」に水を垂らしていった。
使い手が達人であれば水を友とし、その能力を最大限に発揮すると言われている魔性の刀を、里保は力強く握り締めた。
「はあっ!!」
袈裟懸けに、空に向かい刃を振るう里保。
前面に、大きな水の膜が生成されていく。無防備に突っ込んでくる念動弾はその勢いを失い、消えてゆくのみ。でも、そうはならなかった。
まるで存在を迎え入れるかのように、接触した部分から穴を広げてゆく水の壁。
念動弾を包み込む高周波が、水を弾き、次々と突き抜けてゆく。
猛り狂った銃弾たちが、一気に里保たちに襲い掛かろうとしていた。
まさかの全滅。
想定していなかった事態に、聖は固く目を瞑る。
自分達の力では、敵わない相手だったのか。深く、沈んでゆく心。
それを引き上げたのは、里保の誰かを呼ぶ叫び声だった。
「まーちゃん!!まーちゃん!!!」
え…まーちゃん?
ゆっくりと目を開けた聖が見たものは。
優樹が、自分達に背を向けて、立っている姿だった。
手足を大きく広げて、後ろのみんなを守るようにして。
だが、受けたダメージが尋常ではないことは、足元の大きな血溜まりからして明らかだった。
まさか、瞬間移動を使ったの?
任意の人物を、自らの前に移動することができる、優樹の能力。
彼女自身が存在を熟知していれば対象は、人に限ったことではない。物体も、そしてエネルギーも。
優樹は、迫り来る念動弾を全て、自らのもとに引き寄せていた。
「ふくぬらさん、さやしすん。だい…じょうぶ?」
振り向いた優樹が、優しく微笑む。
念動弾に切り裂かれ、ぼろぼろになっても。彼女の笑顔の輝きが失われることはなかった。
けれど、そのまま糸が切れたかのように、ゆっくりと崩れ落ちる優樹。
「まーちゃん!しっかり!しっかりしてよ!!」
里保が珍しく、感情を露にして倒れた優樹にすがりつく。
その姿を見て、聖は自分が大きな過ちを犯していたことに気がついた。
― この力は、使っちゃだめだよ。…みたいになりたくないでしょ。―
温存。禁忌。
そんなことを、言っている場合ではなかった。そんな生温い考えで勝てる、相手じゃなかった。
聖は、激しい後悔の念を抱くように、自らの体をきつく抱きしめていた。
「凄い威力だね。うちらじゃコントロールしきれないくらいに」
大技を放った千聖が、肩で大きく息をつく。
愛理との合体技「奏式幽世」は、二人の予想を大きく超えた威力でリゾナンターたちを蹂躙した。
遠目から見ても、おそらく全滅に近い状況だと千聖は判断した。
「舞美ちゃんたちも無事みたいだし、最初の試みとしては成功だったんじゃない?」
愛理が、後方の舞美たちに目を向ける。
「奏式幽世」はリゾナンターたちだけではなく、味方である舞美たちにも襲い掛かっていた。ただ、笑顔で親指を立て
る彼女の様子から、どうやら被害はなかったようだった。
「これで終わりかな?」
「まって、まだ誰かが立ってる」
千聖が、念動弾がなぎ倒し尽くした場所に人が立っているのを見つける。
体をぼろ雑巾にされ、長い髪を前方に垂らして、それでも立っている少女がいた。
春菜は、全ての気力を振り絞ってその場に立っていた。
「どうする、千聖」
「あんな死に損ない、千聖一人で十分っしょ」
共に出ようとする愛理を制し、千聖が前に出る。
ふらふらとこちらに向かってくる春菜、しかし千聖にとってはただの動く的だ。
「なんかさあ、こういうゾンビゲーあったよね」
嘲笑いつつ、両手を合わせ照準を春菜の頭部に合わせる。
右に、左にゆっくり揺れながら近づいてくる相手にとどめを刺すだけ。
ゆっくりと息を吐き、狙撃に意識を集中させる。
と、千聖の視界から春菜が消えた。
上空に飛び上がった春菜は、先ほどまでの瀕死の動きからは想像つかないほどの俊敏な動きで千聖に迫り来る。
「騙したな!!」
両手を離し、二丁拳銃の要領で銃弾を撃ちまくる千聖。
だが、春菜の動きは止まらない。勢いが衰えない。
触覚をシャットダウンすることで、今の春菜は痛みをまったく感じない。
逆に言えば、死に繋がるような損傷を知覚することができなかった。
それでも、構わない。私のこの働きが、チーム全体の勝利に繋がるのなら。
いくら銃弾を打ち込もうが、足を止めない春菜。
さすがの千聖も直接やり合うのを避けるため、回避行動を取ろうとする。が、足元に絡みつく何かによって動
くことができない。何事かと思い自らの足元を見ると、一本のピアノ線が何重にも巻きつきながら、遠くの衣
梨奈の手まで伸びていた。
「あいつ!!」
「お仕置きの時間ですよっ!!」
それに気を取られている隙に、春菜に胸元を掴まれた。
もう、逃げられない。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!!!!!!!」
目まぐるしい春菜の拳の応酬。
拳の触覚をなくすことで、限界を超えたパンチのラッシュを加えることが可能となる。
皮膚が裂け、拳の骨が折れても殴り続けることをやめない春菜の前に、抵抗すらできないまま千聖は遠くに吹
き飛び、そのまま動かなくなった。
「千聖!!」
圧倒的に有利な立場にいた千聖が、あっという間にやられてしまった。
同時に春菜も倒れるのを確認し、吹き飛ばされた千聖のもとに愛理が走る。
これでもう「奏式幽世」は使えない。残りのリゾナンターと戦う際は別の方法を考えなければならない。だが、
愛理の思考はそこで中断される。
ずん、と空気が重くなるような感覚。
辺りを見回す愛理。相打ちのような形で倒れたはずの春菜がもたらしているものか。
いや違う。横たわっている彼女からは気配を感じない。
とすれば、向こうか。
愛理が、遠くへと視線を移す。
そこには、こちらのほうを強く睨む一人の少女がいた。
「確かあの子は、能力複写の…」
だが、愛理が確認しているのは治癒能力と、早貴から複写した鏡の中に入る能力の二つだけ。どちらも、愛理
にとっては恐れるに足りない能力。
じゃあ、何でわたしが、こんなに気圧されてるの?
空気の変化を感じた時から、愛理の心を覆う暗い雲。
理由はすぐに判明した。
聖の長い髪が、風にゆられ靡き、やがて逆巻き始める。
「許さない。あなたたちは、絶対に許さない!!」
かつてリゾナンターに、自由に流れる風のような少女がいた。
そして今聖が使っているのは、その少女が行使していた力と同一のもの。
風使い。それが聖のストックした、三番目の能力。
何があっても使うまいと決めていたその能力が、開放される。
「聖ちゃんそれは亀井さんの…!駄目だよその力を使ったら!!」
「ごめんね里保ちゃん。でも」
この力を使わないと、あの人たちには勝てない。
その言葉は、聖の中へと飲み込まれていった。代わりに、独り言のように呟いた。
「きっとあの人に、亀井さんに出会った時からこの力を使うことが決まってたのかもしれない」
切り裂くほどの鋭い風を纏い、聖が愛理に近づいてゆく。
なるほど、あの子の切り札は「風使い」か。
こちらにまで届いてきそうな猛烈な風を前に、愛理は推測する。
もちろん、黙って接近を許す愛理ではない。
瞳を閉じ、「歌」を歌う。
低周波の破壊力に床が崩れ、大小の瓦礫が聖に向かって飛んでいった。
その流れに乗るようにして、愛理自身も聖に襲いかかる。
接近した時に、高周波で相手を攻撃する算段だった。
瓦礫が風の勢いに負け、舞い上がる。そこへ愛理が鋭く聖のもとへと迫る。
発せられる高周波。
しかし、聖はまったく怯まない。
生きている限り、耳が存在している限りはこの能力が通用しないはずはない。なぜ聖に攻撃が効かないのか、
その理由を愛理はすぐに理解することになる。
風を操りながらも、口から、そして全身から血を噴出させる聖。
体が、能力についてこれないのだ。
そして体を伝わり流れ落ちるはずの血が、聖の周りで赤い水玉のようにふわふわと浮いている。
「まさか、真空状態!?」
聖の周りだけが真空になるよう、風の流れが作られていた。
全ての音がシャットダウンされた状態では、愛理の能力が通用しないのは自明の理だ。
暴風とともに、聖が愛理に近づいてゆく。
遥。香音。亜佑美。衣梨奈。春菜。そして優樹。
彼女たちに対する申し訳ない思い、そして、自分自身を許すことができない感情。
もしメンバーを率いていたのがさゆみだったら。れいなだったら。ここまでの犠牲は出なかったかもしれない。
それら全てが、吹きすさぶ暴風となって聖の周りを取り囲んでいた。
その一方で愛理は、聖の懐に飛び込むことを決意する。
今の彼女はさながら小さな台風、迂闊に近づけは大ダメージは避けられないが。
このままでは、鋭い風に刻まれるのを待つだけ。なら、やるしかない。
愛理は、聖に向かって高くジャンプした。
無謀な行動。もちろん風の壁を突破することができずに、切り刻まれながら上空に飛ばされる。
全身に傷を負いながら、天高く舞い上がる愛理。その表情には、笑みさえ浮かぶ。
それが、狙いだった。
上から、聖の頭がよく見える。
今の聖が小さな台風なら、「台風の目」は必ず存在するはず。
急降下して聖の背後に降り立ったことで、その推論は正しいことが証明された。
すっ、と巻き付くように聖の体に腕を絡める愛理。
「えっ!!」
「こうやって体を密着させれば、音が伝わるよね?」
愛理がにへら、と笑いながら、聖にありったけの高周波を流した。
全てを振動させ、破壊する音の波。
だが、次の瞬間に倒れたのは聖。そして、愛理自身だった。
「あれ…なんで…?」
「傷の、共有」
亀井絵里の能力を行使するということ。
それは、彼女の切り札中の切り札である「傷の共有」を使用するということでもあった。
自ら受けた傷を、相手にも与える。
その力は絶大であるがゆえに、使用した側のダメージもまた、大きい。
聖が目を見開き、大きく吐血する。
能力の反動が、心臓に達した証拠。
絵里はこの能力を酷使した結果、心臓に大きな病を抱えることとなり、今もなお深い眠りについたままだ。そ
れだけ、危険な能力だとういうこと。
禁忌とされるのは、理由があるから。
でも。禁忌を破ってでも、勝たなくちゃいけなかったんだ。
床に倒れる聖の表情に、迷いはなかった。
641 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 14:37:17.44 0
642 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 15:10:34.41 0
>>641 作者さんと代理さん乙
くぁwせdrftgyふじこlp・・・どうなるんだよこの話・・・
643 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 16:04:15.40 O
更新乙
まさかあの人の力を出してくるとは
644 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 17:22:26.24 O
家帰って読むためにささやかな保全
645 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 19:06:50.69 O
保全
646 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 20:29:16.97 O
どすん
647 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 20:56:28.01 0
>>641 乙ですた
敵味方とも仲間への思いが伝わってきました
次回はれいなの方カナ
648 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 22:06:11.95 0
春の雨
649 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 22:16:34.95 O
花粉緩和
650 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 23:00:33.04 O
吠えろ
651 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 23:48:19.70 0
>>641 フクちゃんの昨日の鼻血は能力使ったからか
にしても暴走フクちゃんかっこいいいな
サードインパクト起こした初号機みたいだ
652 :
名無し募集中。。。:2013/03/18(月) 23:50:07.20 0
しんやばんぐみをぼぅっとみてる
653 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 01:07:46.88 0
今帰ったにょん
何気に奏式幽世の当て字が気に入ったw
654 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 01:26:10.06 0
トリプルプルいいことがあった
655 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 01:51:48.30 0
ふくちゃんのおっぱいトリプルプル
656 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 02:25:36.37 0
もひとつおまけにおっぱいラッキーが来そうな感じ
657 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 02:30:27.05 0
今週の週末だな・・・
658 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 04:56:52.29 O
期待
659 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 06:50:48.75 0
期待期待どんくらい
660 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 07:50:34.51 0
ガキπくらい?
661 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 09:41:04.14 0
悲しみがこだましとーwww
662 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 12:13:54.65 0
いいことあるさ
663 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 12:19:51.28 0
664 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 12:19:58.00 0
a
665 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 15:02:29.67 0
666 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 15:03:30.14 0
「あーはっは!やれやれ!徹底的に破壊しろ徹底的に!」
ここではないどこかの世界。
その世界は危機に瀕していた。
「闇の帝国・ダークネス」を名乗る組織が、世界を闇に呑みこまんと再び動き出したのであった。
今日も、一つの街がダークネスの一個師団によって襲撃されていた。
「ダークネスに、そしてこのミティ様に跪け愚民ども!」
師団を率いているのは、元祖やられ役ならこの人、氷の魔女ミティ。
「うるせーてめぇ!誰が元祖やられ役だ!全身凍らせて叩き割ってやんぞコルァ!」
「お前の方がうっさいんじゃ!」
「!?」
こんなものに何レスも割いてはいられないと、早くもミティの前にいつものごとく女性たちが姿を現す。
「煌めく光の共鳴!リゾナントイエロー!」
「吹き荒ぶ風の共鳴!リゾナントオレンジ!」
「轟く雷の共鳴!リゾナントレッド!」
「滾る水の共鳴!リゾナントパープル!」
「燃え盛る炎の共鳴!リゾナントグリーン!」
「猛ルパンダノ共鳴!リゾナントインディゴ!」
「6人揃って…」
「「「「「「共鳴戦隊・リゾナンター!!!!!」」」」」」
そしてこれまたいつものごとく、「みんなお馴染み!」的なドヤ顔の名乗りとポーズが決まる。
667 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 15:04:04.85 0
「まだやんのかよこれ!まさか需要があると思ってんじゃないだろうな?」
「黙れ!クソ脇役が!スレタイ読めっつってんだよドグサレがッッ!!」
「口悪っ!」
「愛ちゃんは新しい子たちどころかベリキューまで活躍しているのにご立腹みたいですよ?」
「ああ、『Χ(カイ)』な。互いに駆け引きの応酬の能力戦がおもしろ―――」
「何がΧ(カイ)やねん!かっこええねんクソッタレ!あんなジャリども(仮)で十分やったんや!」
「いやお前、それはなんとなく某UUG(仮)にも失礼じゃね?」
「そんな踏み台にもならないド脇役グループ知ったことじゃないし」
「その発言を蒸し返すのは危険だからよせ!っていうか謝れマジで」
「リゾナントブルーAnother Versにはクジュッキもベリキューもアプガもそして藤本サンも出てナイ!そうでショウ!?」
「だから出てねーよわかってるっつーの!しつこいんだよ!いいだろ別にあれから想像が広がったんだから」
「何故出テイナノイカ。ソレハオ前ガソノ少シ前ニ岩盤浴デ脱退シタカラダ!」
「うるせー!そこも蒸し返すな!」
「大体ダークネス幹部会議からの新参メンバーどもとベリキューのバトルってプラチナ舐めてんのかよ!」
「いやちゃんと読めよ!根底にちゃんとリゾナンターオリメンへのリスペクトあっての話だろうが」
「リゾナンターにオリメンとか新メンとかあらへんねん!リゾナンターはオンリーメンや!」
「何うまいこと言ってんだよ!でもだから最低でも全員揃って言えっつってんだよそういうことは!」
「全員?もうそろってますよ?」
「だから!田中と道重!それから新垣がいねーだろっつってんだよ!」
「田中と道重?ああ、あいつらか。あいつら『Χ(カイ)』で活躍してるから嫌い」
「嫉妬じゃん!単なる嫉妬じゃんそれ!お前らも出たいだけじゃん!」
「あと新垣とか言うとったっけ?あいつ仲間とちゃうやん。スパイやん」
「そこだけは不動なんだな…」
「オ前ノ岩盤浴ハ失敗ダ!」
「蒸し返すなっつってんだよ!っつーか別に失敗じゃねーよ今幸せだよ!」
「じゃあ成功デスね」
「いや成功っていうと語弊があるけど……って何の話だよ!何しに来たんだよお前ら!」
「あんたを倒しに来たに決まってるやろ!どこぞのジャリどもと違って瞬殺したるさかいなあ!」
「テメーコラ上等じゃねーか!」
ミティの体から怒りのオーラが立ち昇る。
668 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 15:04:48.40 0
「テメーらいつまでもこのスレの中心でいられると思ってんなよ?」
その言葉と同時に、ミティの周囲におびただしい数の鋭い氷柱が浮かぶ。
「うおらぁぁ!!!」
そして、気合の声ともどもそれらが一斉に、みんなお馴染み共鳴戦隊・リゾナンターへと襲いかかった。
間髪を入れず、みんなお馴染み共鳴戦隊・リゾナンターオンリーメンたちは素早く息の合ったフォーメーションを取る。
「いくよみんな!」
「おっけ!!これでも喰らいやがれ、名づけて『奏式恋之旋律(悲しき恋のメロディー)』!!!」
「ってめちゃくちゃパクってんじゃねーか!台詞までモロパクリじゃねーか!何がオンリーメンだ恥を知れ!」
「『喰病之幻想(暗闇のファンタジー)墓無恋終結(はかなく恋も終わり)眠続蹴非終結(眠り続けるエンドレス)……』」
「ってまだ続いてたのかよ!技名長すぎ!そしてなんか不吉!」
「なにしろオリジナルやからのー」
「認められるか!っていうかまずお前らその曲参加してねーだろうが!こんなときだけ都合よくあいつらの使うのかよ!」
「ソレガ共鳴ダ!リゾナントダ!」
「やかましいわ!謝れ!なんだかんだお前らが一番その言葉に泥塗ってるっつーの!」
「まー愛佳はこの中で一人だけあの曲参加してるけどねー。ねえ、愛佳?」
「う、い、いや、そやけどコンサートでは参加してませんよ!足折れてたんで!むしろ参加せえへんためにヘシ折ったったんで!」
「必死か!」
「うっさい!田中とか道重とか新垣とかあんな胸のないヤツらと一緒にすんな言うてんねん!」
「胸の話は今関係ねーだろ!」
「必死か!」
「うるさいわ!っていうかお前が言うな久住!」
「私ならいいデスか?」
「それはそれでムカつくからやめろ!」
「♪つまんないなわかってるでしょ」
「♪このままじゃダメってことも〜……ってうるせーよ!このままじゃっつーか最初っから何もかも全部ダメだろうがこんなもん!」
「じゃあ終わるわ!」
「完全に逆ギレじゃねーか!最悪かお前ら!」
669 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 15:05:33.40 0
かくして、ダークネスの野望は今日も食い止められたのであった。
共鳴という名の絆により、街の平和は守られたのであった。
代わりに何かが失われた気がすることには触らない約束になっているのであった。
明日も力を合わせて戦えリゾナンター!
世界の未来を希望で満たせリゾナンター!
共鳴戦隊リゾナンターの勇姿は今でもみんなの心の中に!
いつまでもみんなの心の中に!
>>665-669 『共鳴戦隊リゾナンター 三度』
あの 本当にごめんなさい・・・
おやつ代わりの保全なので許して下さい
670 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 17:46:59.26 O
読前揚げ
671 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 18:35:51.59 0
面白いんだがこの顔ぶれが揃う機会がもうないんだろうかと思うと切なくもあり
672 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 18:37:42.19 0
更新おつさま
久々のオリメンwの活躍が読めてよかったです
673 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 19:08:37.26 0
おやつおいしかったですw
なんか初めて愛佳の怪我を笑い飛ばせた気がするよ
674 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 20:45:54.14 0
675 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 20:56:39.36 0
どこまでが本音やらw
676 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 22:23:34.82 0
ほ
677 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 22:24:22.12 0
ho
678 :
名無し募集中。。。:2013/03/19(火) 23:11:31.11 0
ほにゃん
679 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 00:30:54.32 O
>>669 更新乙です
大丈夫
リゾナントの9人が活躍できる話だってきっとある…はず!
680 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 01:57:12.99 0
寝るなんと
681 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 04:30:58.49 O
おは
682 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 05:10:23.16 O
朝からあげ
683 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 06:52:32.99 0
朝サラダ
684 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 08:51:39.72 0
朝たこ焼
685 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 10:46:24.73 O
昼なんと
686 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 10:49:07.24 0
昼早いな
687 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 12:08:57.21 0
加速
688 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 12:20:49.43 O
ほ
689 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 14:12:29.92 0
今日は守りに徹する
690 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 14:14:38.44 O
保守
691 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 15:29:40.40 O
ほぜなんと
692 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 16:38:06.55 O
あげ
693 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 17:20:45.32 0
静かな休日ですね
694 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 17:33:41.37 0
海軍の街で共鳴集会
695 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 19:02:48.28 0
もぺぺ
696 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 20:34:44.74 0
ほ
697 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 21:26:48.55 0
ぜ
698 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:05:04.47 0
>>630-640 の続きです
相手の精神を捉え、閉じ込め、闇に沈める。
それが「七房陣」の正体。
ベリーズの七人の精神の波長が揃うことが、発動の条件。
そして発動になくてならないのが、キャプテン清水佐紀の「調律能力」であった。
精神干渉の一種であるこの能力は、各メンバーの精神に働きかけ、一つに纏め上げることを可能としていた。
もちろん、発動までの道のりは容易ではない。
七人の気持ちが一つとなることでようやく発動することができる、要求されるハードルの高い技。
それだけに、効果は絶大だった。
「くそっ、このっ!!」
コールタールのような闇の中に、もがきながら沈んでゆくれいな。
闇の底が発する重力に引きずられながらも、抵抗をやめないれいなに七人のメンバーはため息をつく。
「ねえ、もういい加減に諦めたら」
梨沙子が目を細めて、れいなに語りかける。
「そうそう。無駄な抵抗はやめて、さっさと消えてください。そのほうが、楽ですよ?」
「うちらの『七房陣』に捉えられたら、たとえダークネスの幹部級でも逃げられない」
続いて友理奈と千奈美も、れいなに向かって言葉を投げる。
その様はまるで、浮上するものの頭を押し付けるかのよう。
699 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:05:36.85 0
「こんな、こんなもん、すぐ抜け出せるけん!!」
それでもれいなは闇を掻き、黒を分けて這い上がろうとする。
ひと掻きするごとに、少しずつではあるが、身体が闇から抜け出しつつあった。
はじめは嗤っていたメンバーたちも、その決して諦めない意思に恐れを抱き始める。
「…どうする?」
「陣を強める。みんな、意識を集中させて」
茉麻に訊ねられた佐紀が、指示を出す。
14の瞳が閉じられた瞬間、れいなに纏わりついていた闇が、濃さを強くした。
必死に抵抗する手が、足が。
ぬめる闇に絡め取られてゆく。文字通りの逆らえない力で、れいなを底なしの闇の奥へと引きずり込もうと
していた。
「いかん、もう、限…界……」
口が、鼻が、目が、闇に塞がれる。
そして、最後のあがきのように天に差し出した掌すら、漆黒に呑まれようとしていたその時だった。
「れいな!!」
どこからともなく、聞こえてくる声。
紛れもない、さゆみの声だった。
700 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:06:08.89 0
「なにこれ、どこから聞こえてくるの!?」
「落ち着いて、ただの思念の声だから!」
うろたえる友理奈を、千奈美が宥める。
ただ、彼女自身も不安を隠す事はできない。ベリーズが誇る「七房陣」が他者の干渉を受けたことなど、今まで一度も
なかったのだから。
「…さ、ゆ?」
「さゆみが、さゆみがれいなを助けてあげるから!だから、れいなも!!」
さゆみは、一人取り残された建設現場で必死にれいなの意識を掴もうとしていた。
共鳴。
能力者の数だけあるとすら言われている特殊能力の中でも、リゾナンターだけが持つとされる力。互いの意識の波長が
合いさえすれば、どんな離れた場所でも意識を通わせることができる。
そしてついに、れいなの意識の在処を捉える事ができた。
「さ、ゆ。さゆ。さゆ!さゆ!!」
「れいな!れいな!!」
ついに二人の意識はがっちりと結びついた。
れいなの本来の力が、目を覚ます。
普段は自らの身体能力に使われる「増幅能力」。その全てが、共鳴の「増幅」に注がれた。
701 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:06:40.78 0
「何!?何なのこれ!!」
経験した事のない事態に、苛立ち叫ぶ雅。
れいなとさゆみの共鳴が、密閉されたこの場所を揺るがしはじめる。
メンバーたちが焦り、顔を見合わせた。
その感情の根底は、「七房陣」が破られてしまうのではないかという、不安。
だが。
「大丈夫だよ」
差し迫った状況に似合わない、高く柔らかい声。
桃子が、メンバーひとりひとりの肩に手を置き、言葉を添える。
「共鳴増幅がみっしげさんと田中さんの絆の力なら、『七房陣』はうちらベリーズの絆の力。だよね、キャプ
テン?」
桃子の言葉で、佐紀はあることを思い出す。
自らの生みの親である、Dr.マルシェこと紺野博士とのやりとりを。
702 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:07:11.90 0
●
キッズプロジェクト。
それが彼女たち人工能力者たちに与えられた題名だった。
身寄りの無い十五人の少女たちに人工的に能力を付与し、様々な臨床実験を経た後に、正式にダークネスの戦闘員として
採用する。
要は体のいい人体実験じゃないか、と揶揄するものもいたが、プロジェクト責任者であった紺野は意にも介さなかった。
十五人のうち、早期に能力が定着した八人がチーム名「ベリーズ」の名を与えられ、試験的にダークネス幹部である『詐
術師』の下に就くことが決定した。
正式な辞令が下される前の日のこと。キャプテンに任命された佐紀は、紺野の呼び出しを受けて本部の研究室へと赴いて
いた。
「まずはおめでとう。と、言いたいところですが。私には、あなたの、いや、あなたたちの能力について説明する義務が
あります」
ギム、という難解な言葉に佐紀は顔を顰める。
無理もない。当時10歳そこそこの少女に、義務の意味など理解できるはずもなく。
「そう固くなる事はありませんよ。医者が患者に薬を処方する際の説明みたいなものですから、楽にして聞いてください。
さあ、そこに座って」
「は、はい」
703 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:07:44.04 0
言われるままに、パイプ椅子に腰掛ける佐紀。
それまで研究室の壁に貼られた設計図やホワイトボードに綴られた難解な計算式に心躍らせていた気持ちが、あっという
間に萎んでしまう。
「佐紀さん。あなたは『共鳴能力』というものを知っていますか?」
「あの、私たちの先輩が持っていたという力のことですか?」
「間違ってはいません。i914もまた、共鳴能力を有した個体でしたからね。ただ、本来は一部の限られた能力者にしか使
うことができない、途轍もない力のことを言います」
そして書類やレポートで乱雑に散らかっている机の僅かなスペースに置かれたコーヒーカップ。
手に取り、少しだけ口に含み、喉を鳴らす。
「その力を、正確に言えば『力の種』ですが。あなたたちに付与しました」
「ええっ!?」
研究員からは、佐紀の能力は「メンバーの精神に干渉し、纏め上げる力」と説明されていた。食い違う紺野の言葉に、佐
紀は戸惑いを隠せない。
「心配する事はありません。あなたなら、あなたたちなら。きっと使いこなすことができる。その日を、楽しみにしてい
ますよ」
眼鏡の奥の瞳を細め、微笑む紺野。
佐紀にはその時の紺野の表情が印象的で、いつまでも忘れることができなかった。
704 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:10:10.38 0
●
思えば、あの時紺野が言っていた「共鳴能力」は、今自分達が行使している「七房陣」のことを指していたのではないだ
ろうか。ならば、勝算はある。
「あたしたちが。あたしたちの歩んだ道が、あの二人に負けるわけ…ない!」
「キャプテン」
「あいつらの絆より、あたしたちの絆のほうが強いってこと。今から証明しよう?」
言いつつ、自らの右手を差し出す。
するべき事は、全員に伝わっていた。
花が咲くように、ひとつ、またひとつと手が重ねられてゆく。
「ベリーズ七房陣、行くべっ!!」
そして、七人の声が重なった。
七つの力が、互いに繋がり集まり、また七人に拡散してゆく。
波のように寄せては返すことで加速した力が、れいなとさゆみの共鳴を押さえにかかった。
「なあっ?!」
身体から闇が剥がされつつあったれいなが、再び押し寄せる波に呑まれる。
その影響は、遠く離れたさゆみの意識にも強く出てしまう。
705 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:10:42.72 0
「この感じ、まさかあの子たちも『共鳴』を…きゃあっ!!!」
自分達に襲いかかる「力」の正体に気づいたさゆみだが、直後にその力に意識を攫われる。
れいなと意識をつなぎ合わせたということは、さゆみの意識もまた同じように闇に呑まれてしまうことを意味していた。
れいなが闇に捕らえられていく感覚が、さゆみにも伝わってくる。
そして自分の意識もまた、波に呑まれようとしている。
三人で共鳴能力を行使したことは、度々あった。
さゆみ、れいな、そして今はいない亀井絵里。時を同じくしてリゾナンターとなった彼女たちには、いつの間にか同期の
絆のようなものが生まれていた。
そしてれいなとさゆみを繋ぐ存在。それが絵里だった。
性質が違う二人が、手を繋ぎそして心を通わせる。二人の間にはいつも、ふにゃりとした笑顔で二人を見守り、包み込む
絵里の存在があった。
だが、絵里はあの日を境に深い眠りについてしまった。
もう、れいなとさゆみを繋ぐものはいない。
いや、彼女たちはまるで絵里の抜けた穴を埋めるかのごとく、それまで以上に互いのことを気にかけるようになる。
それまで一匹狼のように自由気ままに動いていたれいなはリーダーとしてのさゆみを気づかうようになったし、さゆみも
またれいなの我の強さを認めるようになった。
706 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:11:16.10 0
それでも、あの子たちの繰り出す「共鳴」には敵わないというの?
さゆみは自問自答する。
そんなことは…絶対にない!!
さゆみが自らの共鳴を大きく揺らしてゆく。
それが、れいなへと伝わり、彼女の共鳴増幅能力によってさらに大きな揺れへと変わる。
リゾナンターの一員として、喫茶リゾナントに通うようになってからも。
れいなの心は、どこか孤独だった。
けれど、それは街の不良として喧嘩に明け暮れていた時から抱えていたこと。
リゾナントで仕事の話はするけれど、それ以外は一人でいることが多かった。
絵里とさゆみと三人でいても、どこかで自分が孤独であるという感情が心の奥底にはあった。
それが、絵里の喪失でがらりと変わる。
近い人を失うことで、はじめて孤独の寒さ、人といることの暖かさを感じるようになった。
それを教えてくれたのが今の若きリゾナンターたちであり、そしてさゆみだった。
れいなはもう、昔のれいなやないと!!
れいなとさゆみ、二人の想いが大きくなり、ベリーズの「七房陣」をばりばりと潰してゆく。
圧倒的な力。これがダークネスが恐れる共鳴の力か。
全員の心が、目の前の恐怖に心を折られそうになる中、佐紀が大きく叫んだ。
707 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:11:47.90 0
「あたしだって、あたしたちだって、共鳴の力が使えるんだ!じゃなきゃ、あの辛い日々をみんなで越えて来た意味がな
い!!」
その言葉で、全員がはっとなる。
ある程度人工的に与えられた能力の制御、操作方法が確立された時期に結成された「キュート」と違い、彼女たち「ベリ
ーズ」は試行錯誤の連続だった。
精神の限界まで追い詰められるような人体実験。過酷な任務。それは、仲間の一人が命を落とすほどの熾烈さを極めた。
それを耐えてここまで来れたのは、彼女たちには夢があったから。
七人の思いに呼応し闇が、一気に溢れる。
うねりや波どころではない。全てが、闇に満たされた。
あがくことも、抜け出すこともできない。なぜなら既に、闇に取り込まれているからだ。
れいなは、さゆみは。自分の身体が、ゆっくりと闇に溶けてゆくのを感じていた。
黒。
黒。
黒。黒。黒。
磨かれた鏡面のように滑らかで、他の何かが介在しようがないほどに純粋な、闇。
れいなは。さゆみは。自分がどこにいて、どうなっているのかすら理解できなかった。
理解しようとする意思さえ、消えてゆく。
それはまるで日が落ち、夜が来るように自然なことのように思えた。
おやすみなさい。
誰かが、そんなことを言っているような気がした。
708 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:12:20.31 0
光を見たような、気がした。
黒く染められた一面に落とされた、たった一滴の白。
それが、段々と拡がってゆく。
れいなの、さゆみの意識が目を覚ます。
それぞれの手が、誰かの手に握られていた。
「そんな!完全に消し去ったはずなのに!!」
二人の意識が息を吹き返すのを感じた佐紀が、大きく叫ぶ。
これまでよりもっと激しく、「七房陣」が揺り動かされる。
そして限界点を迎えた陣に、亀裂が走った。
それをきっかけに七つの部屋が、闇から炙り出される。
ひび割れ、崩れかけ、色あせてゆく部屋。
テーブルとティーカップ。電球の絵が描かれた壁。紫色の絨毯。人が描かれた絵本。青いベッド。観葉植物。ピンク色の天幕。
部屋を構成するもの全てが、まるで亀裂に飲み込まれるようにぼろぼろに崩落し、消えていった。
消えてゆく部屋と同じように、闇を取り囲んでいた七人の光がひとつ、またひとつ消えてゆく。
梨沙子が、友理奈が、信じられないものを見るような表情で消えてゆく。
茉麻が、千奈美が、雅が、悔しさを顔に滲ませて消えてゆく。
桃子が、何かを言いたげな顔をして、消えてゆく。
「こんなの、認めない…認められるわけが…」
そして佐紀自身も、消えてゆく。
闇を象る器が、粉々に砕け散るのを見届ける事もなく。
709 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:13:33.29 0
>>698-708 更新完了
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以上代理投稿致しました
710 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:16:21.20 0
>>669 突っ込みの流れがいいから面白いなあw
ジュンジュンとリンリンも元気にやってるみたいだから
またあのやりとりが見たくなった。
オリーメン作品もまだまだ待ってるヨー
711 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 22:26:55.16 0
>>709 共鳴同士のぶつかり合いはグッと来た。
お互いが何かしら理由がある戦いほど胸が熱くなることはないね。
712 :
名無し募集中。。。:2013/03/20(水) 23:57:25.44 0
おやすみなんと
713 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 00:13:26.81 0
生田・・・
714 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 01:10:34.55 O
>>709 更新乙です
やっぱりあの光は……なんですかね
続き期待してます
715 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 04:49:43.56 O
おは
716 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 06:46:53.65 0
共鳴は続く
717 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 07:29:59.61 0
と、共鳴するぜ俺も
718 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 09:27:08.68 O
共鳴あげ
719 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 11:47:28.84 O
おひる
720 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 13:13:31.37 O
ほぜ
721 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 14:24:54.74 0
722 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 16:40:41.38 0
がきさぁ〜ん
723 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 16:41:10.90 0
ノノ*^ー^) <きずの共有ならぬずつうの共有ですよ?
_, ,_
ノ|c| ・e・)
724 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 18:36:40.04 O
ガキカメや
725 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 18:59:32.45 0
>>721 これって泣いてるのかな?それとも悩んでる?w
726 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 19:09:12.99 O
久しぶりにガキカメ読みたくなった
727 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 19:52:22.00 0
スマホにしたのか
728 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 21:20:53.83 O
ほ
729 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 22:31:27.27 0
カメホ
730 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 22:47:28.92 0
つまり亀保
731 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 23:43:03.77 0
ヤススとカメのカプ小説待ちか
732 :
名無し募集中。。。:2013/03/21(木) 23:51:12.08 0
何そのマニアックな組み合わせ
まあヤスがパパイヤプリン食わされて撃沈するんだろうけどw
733 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 00:52:39.12 0
パパイヤ寒天が喫茶リゾナントの名物メニュー
734 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 01:40:03.16 0
おやすみなんと
735 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 05:11:40.63 O
おは
736 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 07:01:15.13 0
なんと
737 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 09:09:30.92 0
すっかり春だな
738 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 10:41:49.80 0
はるなとはるか
739 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 11:45:44.36 O
飯藤は宗教団体に捕まってる話が面白かったな
740 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 13:07:11.10 0
飯藤てw
741 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 14:44:10.56 O
はうはる
くどぅなん
ジョピース
お好きな中からどうぞ
742 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 16:12:49.74 0
ひるあげ
743 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 16:27:17.72 0
もう割と夕方っすw
744 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 18:18:59.06 0
夜だ!
745 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 19:43:21.88 O
↑↑
746 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 20:40:11.53 0
さゆおもろいな
747 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 22:26:29.34 0
ポロリ
748 :
名無し募集中。。。:2013/03/22(金) 22:55:33.23 O
あげまる
749 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 00:08:00.77 0
なのだよ
750 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 01:39:25.31 T
うちのゴミPCは暫定保管庫でフリーズしちゃう保
751 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 04:51:52.17 0
そりはなんとも
752 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 06:56:02.59 0
抱いてフリーズゴーオン
753 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 08:02:59.10 0
愛をくださーい
754 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 10:58:12.36 T
鶏だしうどんでうええおええ
755 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 12:11:17.34 O
ヒルほ
756 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 13:53:38.17 O
ぽ
757 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 14:52:20.04 O
ぽ
758 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 15:38:12.53 0
ぽ
759 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 15:49:55.26 0
人がいませんなあ
760 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 16:02:50.02 0
年度末は何かと忙しいからなー
761 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 16:46:23.62 O
4月になったら毎日投稿するから許してにゃん
762 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 18:01:03.48 0
ウソついたら針千本のーます
763 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 19:27:54.50 0
針千本爪の間に差し込む方が効果的ですわ
764 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 20:09:27.75 0
ジュンジュンがそういうの得意そうだなw
765 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 21:06:29.29 T
ソッカー
766 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 21:50:25.62 0
針刺スゾ>川´・_o・)つ―
767 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 21:54:48.39 0
プシュン!!>川´・_o・)つ―
768 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 21:55:11.18 0
鍼ならやってほしいけどw
769 :
名無し募集中。。。:2013/03/23(土) 22:50:11.70 O
パンダだけに笹針(馬用の太い針)打たれるぞw
770 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 00:18:22.76 0
刃千吏も拷問技術もってそう
771 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 01:45:56.43 O
ハーハッハ!はいソーですハイ!
772 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 06:35:05.53 0
リゾナンターから拷問受けたい
773 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 07:29:08.15 0
>>771 針だけにsewとかけるとはリンリンのダジャレレベル上がりすぎ
774 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 08:11:29.69 O
もしかしたらリンリンのふりしたアヤカかもしれない
775 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 08:46:54.48 0
な、なんだってー!
でもアヤカとリンリンって顔立ち以外似てないよねw
776 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 09:02:28.54 0
お金持ちなとことか?w
すごく初期の頃コミカルものでリンリンとアヤカを絡めたネタがあったのを思い出した
777 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 10:01:35.44 O
>>343 の5人の正体がわかったな
リンリンになりすましたアヤカ率いる最強の外人部隊
778 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 11:11:33.06 0
まさかの正体w
そして全員の名前言えないわごめんなさい
779 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 11:52:26.02 O
日本語も英語も話せるバイリンガル − アヤカ
文字通りの部隊のエースポジション − チェルシー
褐色のアサッシン − エイプリル
小さな核弾頭 − ミカ
圧倒的な破壊力 − ダニエォ
以上公式プロフより
780 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 13:12:06.60 O
ぽ
781 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 15:07:30.63 0
ほぜ
782 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 15:16:41.08 O
なん
783 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 16:22:47.16 0
ソー
784 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 18:24:49.23 0
川VvV)<レフアさん・・・
785 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 19:15:57.06 O
レフアは2期メンだから…
786 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 19:44:51.73 0
ココナッツにもオリメンとかあったのか…
でも申し訳ないけどどうでもいいw
787 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 20:39:23.31 0
あげ
788 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 21:36:18.65 O
ほぜ
789 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 22:47:23.50 0
だほ
790 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 22:47:55.07 0
回を重ねるごとに長くなってゆく番外編を投下します
反省はしてますが更正はしません
『リゾナンターΧ(カイ)』
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/696.html の番外編です
-------------------------------------------------------------------
丘の上にある病院は、まるで中世の白亜の城のようだ。来るたびに、そう思う。
けれど。新垣里沙はこうも思うのだった。
治る見込みのない患者にとっては、永遠に出られない監獄なのではないか、と。
里沙の後輩の亀井絵里がこの病院に転院してから、もう2年近くになる。
腕のいい脳外科医がいる、という噂を聞きつけた当時の喫茶リゾナント店主・高橋愛が絵里をこの病院に転院させた。
それから、時は流れた。愛はリゾナンターを辞め、里沙も追うようにしてあの喫茶店を離れていった。その間彼女は、絵
里を見舞いにこの病院を何度も訪れていた。
病院の白壁が、オレンジ色に染まっている。
予定外の「仕事」が入り、見舞う時間が大幅に遅れてしまっていた。面会時間は夜の8時まで。時間は十分ではないが、
やるしかない。
ただ、その前に、担当医にも話を聞かなければ。
里沙は手馴れた感じで面会名簿に名前を書き、ナースステーションへと足を運んだ。
「あらぁ里沙ちゃん、久しぶりじゃなーい!」
顔を見せるなり、太めの中年女性が嬉しそうに声をかけてくる。
彼女はこの病院の看護師長で、里沙も随分と世話になっていた。面会時間を過ぎていたにも関わらず、内緒で病室に通してくれたのも一度や二度ではない。
「ご無沙汰してます」
「またカメちゃんに面会?」
「ええ、その前に、先生とお話を」
「そうなの? じゃあちょっと待っててね」
看護師長が、内線で担当医と連絡を取る。
ちょうど外来が途切れて時間が空いているとのこと。里沙は一礼してから、脳外科の診察室へと急ぎ足で向かった。
病気でもないのに、診察室に入るというのは、妙な気分だ。
特に、目の前に白衣を着た医者がいるとなおさらの事だ。
部屋の奥にある窓からは、カーテン越しに沈みかけの夕陽が見えた。
「新垣さん、久しぶりですね。お仕事、忙しいんですか?」
里沙の姿を見つけて、担当医は相好を崩す。
肩にかからないくらいの長い髪、彫りの深い顔。おそらく世間的には美形の部類に入るだろう。ただ、里沙はどうもこういうタイプが苦手だった。
「ええ、まあ」
「お疲れみたいですね。顔色があまりよくないみたいですが。ピクルス、食べます?」
そう言いながら、椅子をくるりと回して机の上にあったピクルスの瓶を手に取り差し出す。
て言うか何で診察室にピクルス? と突っ込みたい気持ちを抑え里沙は首を横に振った。
「で、今日はどういったご用件で」
「カメの…亀井絵里の病状について、聞きたいんです」
12月24日の夜。
「銀翼の天使」の襲撃の前に、成すすべもなく倒れていったリゾナンターたち。
まさに死の淵に立たされた彼女たちを救ったのが、絵里だった。
持病である心臓の病。なるべく負担をかけまいと、普段は使っていなかった「風を操る能力」をその場で暴発させる。
結果、「銀翼の天使」を撃退することはできたものの、絵里は心臓に途轍もないダメージを負うことになった。
そして現在に至るまで、目覚めることなくずっと眠っている。
「そうですね。あれから、2年でしょうか」
医者は一つ、息を吐いてから、言った。
「残念ながら、亀井さんの病状は2年の間、良くも悪くもなってない。平行線です」
「平行線…」
予想していた答えと、寸分の互いもなかった。
里沙が絵里に感じていることと、医者の意見は、まったく一緒だった。
医者は無言のまま里沙の顔をじっと見つめ、それから席を立って窓のカーテンを開けた。
強烈な西日が、里沙の頬を差す。
「医者はいい。人の命を救える。我々は、その使命に感謝しなくちゃならない。だから、最大限の手は尽くします。医者としての、誇りと良心を懸けて」
「よろしく、お願いします」
少なくとも、脳外科という分野においては彼に頼る他は無い。
里沙は、深く、頭を下げた。
絵里のいる病室へと向かう、里沙。
外はすっかり薄暗くなっている。時間は、あまりない。
里沙の足音だけが響く廊下で、彼女は妙な人物に声をかけられた。
「どーもー!!」
見知らぬ、女。
まさか、敵?
警戒する里沙を他所に、挨拶をした女はこちらへと近づいてくる。
まったく知らない顔、いや、この顔はどこかで見たことがある。里沙が思い出す前に、女が自分で名乗りをあげた。
「はじめましてー吉川友でーす!!」
「え?」
吉川友。
なるほど、テレビで見ていたから見覚えがあったのか。
確か、最近売り出し中の新人アイドルで、里沙の後輩である久住小春と同じ事務所に所属していたはず。その彼女が、どうしてこんなところに。
神経を鋭く、研ぎ澄ます。が、その前に友に両手を掴まれた。
「もしかして、あなた新垣さん?」
「は?」
「小春ちゃんから聞いてますぅ!すっごくいい先輩だって!!」
そう言いながら、ぶんぶん両手を上下に動かす友。
あまりのテンションの高さに、やや腰が引けてしまう。
「そんじゃ、ごゆっくりどうぞー!!アディオース!!」
最後は満足したような顔をして、去っていってしまった。
なんなの、あの子。
まるで一瞬で通り過ぎた嵐に見舞われたかのように呆気に取られていた里沙。
ただ、手を触られた時に読み取った意識の中に、悪意はなかった。もしかしたら、小春に何か言われてここに来ただけなのかもしれない。
里沙は気を取り直して、再び病室に向けて足を進めた。
病室のドアを開ける。
中では、いつものように絵里が眠っていた。
「ったく。あいかわらずぽけぽけ顔して寝てるんだから」
言いつつ、近くからパイプ椅子を出してきて座る。
枕の横にあるテーブルには着替えと、開きっぱなしの雑誌が。あの子が差し入れしてくれたんだろうか、と想像しつつ、里沙の目は雑誌の記事にいく。
― 今、大評判の占い少女。その占いの脅威の的中率とは?! ―
そんな煽り文句とともに、水色のお姫様みたいなドレスを着た若い女性の写真が掲載されている。
馬鹿らしい。そんなの、あたしにだってできるっつーの。
毒づきつつ、雑誌を乱暴に閉じる。実際、里沙の能力を使えば、占いと称して相手の内面を探る事など容易だった。
絵里は、すやすやと眠っている。
まったく意識がないとは思えないほどに。
あの日あの時。里沙が「銀翼の天使」に喫茶店の場所を教えなければ。
今もなお絵里を包み込む悪夢を防ぐ事はできたのだろうか。
罠に嵌められた。言葉にすれば、簡単なことなのかもしれない。けれど、その結果引き起こされた事態は、取り返しがつかないくらいに、深刻で。
― 実験は…失敗だったみたいですね。―
「銀翼の天使」を引き取りにやってきた白衣の科学者は、確かにそう言った。
失敗、と言う割にその顔には厭らしい笑みが浮かんでいた。その時、里沙は悟ったのだ。
また、この子の恐ろしい戯れに巻き込まれたのだ、と。
自分も、リゾナンターのメンバーも、そして「銀翼の天使」自身も。
かつて裏切ってしまった仲間たちを、再び裏切る形になってしまった。
それにも関わらず一言も里沙を責めなかったのは、里沙が「銀翼の天使」に寄せていた想い、実の姉妹かそれ以上の感情について知っていたからに他ならない。
ただ、周りは許しても、里沙は自分自身を許せずにいた。
愛がリゾナントを離れて僅か1年足らずで自分もリーダーを辞したのも、それが遠因だったのかもしれない。
そして、仕事の合間を縫ってこの病院を訪れ、絵里に「処置」を施すのも。
彼女に対する、せめてもの罪滅ぼし。
そしてあの喫茶店から絵里を奪ってしまったことの贖罪だった。
病室の窓の外からは、外灯の光が漏れ出している。すっかり夜になってしまったようだ。
面会時間が終わる前に、済ませないと。
里沙は愛用の革手袋を外し、手のひらを眠っている絵里の額にそっと載せた。
同時に、里沙の体を突き抜ける衝撃。
里沙と、絵里の意識が繋がった合図だった。
精神干渉。
幼い頃に発現し、ダークネスに入ってからはひたすら対人攻撃用として鍛え上げられた能力。それが今は、人の心を治すために使っている。
「こんな能力、なくなっちゃえばいいのに」
ダークネスの養成所で、幾度と無く吐き出された言葉。けれど、今なら言える。この能力があって、本当に良かった、
と。
絵里の意識にアクセスした瞬間、里沙の脳裏には複雑に絡み合った無数のコード、それにコードが差し込める無数の
差込口が浮かぶ。これが今の絵里の意識のイメージ。コードが抜けてしまって、中枢が機能していない状態だ。
里沙は、頭の中で、このコードを差込口に接続する作業を、毎回、行っていた。
差込口とコードの正しい組み合わせを探り当てる確率は、絶望的なまでに低い。なのに、接続する事ができるのはたった一度だけ。
それ以上は、里沙の精神がもたない。
まさに砂漠の中から一粒の砂を見つけ出すような行為だが、成功すれば、脳外科医の施す治療効果が飛躍的に高まるのは間違いない。
希望がある限り、里沙はこの果てしない行為をやめるなんてことは絶対にできなかった。
当たりをつけたコードに精神を集中させたその時だった。
里沙がイメージしていた、絵里の意識がノイズが走ったテレビ画面のように揺らぎだす。
電気が弾けるような音が、断続的に続き、次第に揺らぎが大きくなってゆく。
ちょ、何?!
慌てふためく間もなく、里沙自身の意識が、どこかへ吸い込まれていった。
まるで、空けられた穴から、水がゆっくりと流れ出すかのように。
そして里沙は、完全に意識を失った。
799 :
名無し募集中。。。:2013/03/24(日) 22:57:16.30 0
800 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 00:28:04.13 0
>>799 乙
吉川とか占い師とかも絡んでくるのかしら
続きに期待ですわ
801 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 00:33:51.69 0
更新乙です
その脳外科医さんは病は処方しませんよね?w
802 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 00:49:42.11 O
>>799 更新乙
久しぶりの組み合わせですがそれだけじゃ終わらない予感がしますね
803 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 03:05:10.97 0
寝ます
804 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 05:10:48.20 O
起きます
805 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 07:47:24.05 0
囁きます
806 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 08:17:11.79 O
おはやう
807 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 09:35:15.63 0
808 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 10:15:10.27 0
>>799 書いた人&代理人乙ですた
他の作者の作品に登場してくる天使の中の人は敵であってもそれなりの人間性を有してる風に描かれてるのにこの話の中の天使は一味違う
純粋なのか無垢なのか自分の強さを楽しんでるっぽいところがヤバいですなそれを操ってる?白衣の人も
そんなヤバい人から仲間を守ったカメが目覚める時が来るのか
続き…期待してもイイよね
809 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 11:36:31.17 O
ただのカメオ出演かもしれんけど真野ちゃん出演は素直に嬉しいw
810 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 13:00:58.92 O
あげ
811 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 13:29:19.21 0
>>790-799 の続きです
閉じられた意識の蓋が、再び開かれる。
目覚めてすぐに、里沙はここが病院でないことに気づいた。
辺りを見回す。
里沙の前には、複雑に絡み合った無数のコードが張り巡らされていた。その奥には、コードが差し込める無数の差込口の開いた壁が。
まるで、里沙のイメージを具現化したような世界。
いや、里沙のイメージの中に彼女自身が入り込んだような。
そこで里沙は思いなおした。
ここは病院とは別の場所であって、そうではない。
ここは…カメの意識の中の世界…
そう思える根拠があった。
一つは、自らが絵里を「処置」する際に描く世界と寸分違わずの光景が拡がっていること。
そしてもう一つ。
この場所は、世界中のどんな場所よりも絵里の存在を強く感じることができるということ。
ただ、何がこの状況を招いたのまではわからなかった。
カメの意識にアクセスしているうちに、あたしの能力が強化されたのかも。
そう思った瞬間、じゃあこれってカメ特化の能力なわけ?どんだけ?と自らに突っ込みを入れることを忘れない里
沙。ともかく。この具現化された世界でならば、もう少し多くの回数のコード接続を試す事ができるはず。
目の前に垂れ下がってるコードに手をかけようとしたその時。
里沙は、自分以外にこの場所に人の気配があることに気づく。
懐かしい、それでいてずっと感じることができなかった、気配。
「もうガキさーん、こんなとこで何やってるんですか?」
この気の抜けたような、甘い声。
間違えようがない。途端に、体の奥底から熱いものがこみ上げる。それを抑えながら、声のしたほうへ振り向き、
「あんたねえ。いつまで寝てんのよー」
とおどけたように背中で言ってみせる。
きっと振り向いたら、溢れる想いがこぼれてしまうから。
「絵里はまだまだ寝たりないですよぉ。ねむーい、なんちって」
「ったく、もうぽけぽけなんだから…」
里沙の肩が、震えていた。
絶望的と思える状況でも、決して彼女を救うことを諦めることができなかったのは。
風船のようにふわふわとした、暖かいこの声を、もう一度聞きたかったから。
「そろそろ。起きなきゃだめだと思ったんです」
「えっ?」
「さゆが、れいなが。新しいリゾナンターたちのために、頑張ってる。だから絵里も、寝てる場合じゃないんです」
「ちょっと、カメ、もしかして」
思わず、振り向いてしまった。
そこには、あの頃いつも見ていた、飽きるほど毎日見ていた、ふにゃっとした笑顔があった。
「ただいま。ガキさん」
もう限界だった。
気づいた時には、里沙は絵里の胸の中でわんわん泣いていた。
ずっと堪えてきたのに。ずっと、我慢してきたのに。彼女が倒れた、あの日ですらも。
「あはは。ガキさんも本当は甘えん坊なんですよね。絵里、知ってましたよ?」
言いながら里沙に両腕を回す、絵里。
暖かい。
その温もりに包まれて、里沙は何度も絵里の名前を呼んだ。
「そんなにかめかめ呼ばなくても大丈夫ですよぉ。だって…」
絵里はゆっくりと微笑み、唇の形を作る。
814 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 13:31:26.46 0
だって、嘘だから…
816 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 13:44:19.77 0
またなのかw
817 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 14:15:55.82 O
>>815 乙です
まさかの展開?最後の言葉が気になります
818 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 15:47:33.41 0
おいwwwwwwwwwwwwwwww
819 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 16:07:56.70 0
その言葉を聞かせないで!
私のライフはもうゼロよ!
820 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 16:13:21.39 0
821 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 17:15:07.31 0
続きに期待だな
822 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 17:29:58.28 0
823 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 17:30:53.92 0
www
824 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 18:27:16.83 0
まさかまたオリオン座のことを思い出すとは思わなんだ
続きは…大丈夫だよね?w
825 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 19:30:03.71 O
リゾあげ
826 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 20:04:17.87 0
気になる更新が来てますが鮮度を逃すと痛いので
827 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 20:05:26.41 0
「ここで会ったが百年目。おまえが次期リーダー候補筆頭の藤村みずほだな?」
「いえ譜久村聖ですけど」
たまたま街を歩いていたリゾナンターたちの前に現れたのは、毎度おなじみ魔女のミティ。
今日は後ろに謎の外国人風女性6人を引き連れている。
「・・・こほん。とにかく、今日という今日は許さねえ。おまえらにうちらの怒りを思い知らせてやる」
「怒り・・・ですか」
「そうだ!こいつらをバカにしやがって!ただじゃ済まさねえ!」
美貴様の号令に合わせて、後ろにいた6人が進み出た。
ミティ陣営・計7人と、現リゾナンター9人が向かい合う。
ちなみにみっちげさんはリーダー特権で一足早く帰宅、たなさたんは体調不良でそもそも結石である。
「ほら、欠席って書こうと思ったのに結石になっちまったじゃねえか。あいつの不健康が変換にもにじみ出てんだろ。ちゃんとメシ食えって言っとけ」
「ここで田中さんの体調を気遣うなんて・・・。藤本さんって最初はちょっと怖い印象ありますけど、本当はすごく優しい女性なんですね!」(ハイトーン)
「うっせーよ隙あらばゴマをすろうとすんじゃねーよ固めんぞ」
「しかもツンデレ!萌えですね!きゃー!」(ハイトーン)
「うぜえ・・・・・・」
深々とため息をついて、気を取り直すミティ様。
「調子こいてんなよガキどもが!行くぞ、“ハワイアン戦隊ココナッツ”!」
「日本語も英語も話せるバイリンガル − アヤカ!」
「文字通りの部隊のエースポジション − チェルシー!」
「褐色のアサッシン − エイプリル!」
「小さな核弾頭 − ミカ!」
「圧倒的な破壊力 − ダニエォ!」
「唯一の2期メンバー − レフア!」
「「「「「「我ら、ハワイアン戦隊ココナッツ!」」」」」」
828 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 20:06:17.29 0
「いや、ほとんど本スレ
>>779のコピペじゃないですか」
「自力で考えるのがめんどくさかったんだろうね」
「うるせえ!どいつもこいつもなめやがって!ココナッツが『どうでもいい』だと!?
おまえら誰の屍の上で歌ったり踊ったりできてると思ってる!?」
「・・・少なくてもココナッツさんではないですよね」
「かぁー、嘆かわしい!おまえらには足りない!先人への感謝とリスペクトが足りないよ!」
なんだかよくわからないが、美貴様はキレている。
ココナッツがどうでもいいと言われたことに対してキレている。
念のため断っておくが、ノンフィクションの藤本美貴さんはこんな口調で怒ったりしないし、こんなにココナッツ娘への愛が深いわけでもない。
せいぜい、昔「ハロプロに入って一番悲しかったことは?」のアンケートで「レフアさんがハワイに帰っちゃったこと」と答えたくらいである。
「ったく、ふざけんなよゴルァ!そこまで言うからには、今後一切ゴルフ中継中に『今見切れた谷原の奥さん美人だな』とか思うんじゃねーぞ!」
「ココナッツ娘を知らない人は、日本ゴルフツアー通算9勝(※2013年開幕時点)の谷原プロの奥さんがアヤカさんだなんて知りませんよ」
「なにかの拍子に赤い日記帳のMVのダニエルを見て、『なにこのぎこちない外国人www』とか思うのも禁止!」
「あのMVはむしろ後藤さんの幼さと丸さにびっくりする人のほうが多そうだから大丈夫です」
「ふと反捕鯨に目覚めて、トッドさんちの娘と仲良くやろうなんてのも許さねえ!」
「国際的にデリケートな話題はやめてください。っていうか、いくら聖がハロヲタでも
この一連のツッコミは無理があると思うんですけど。完全に中の人の主張になってる気が」
「中の人のことは嫌いでも・・・フクちゃんのことは嫌いにならないでぐだざい゛!」(声マネ絶叫)
「stop( ̄乂 ̄)ダメダメ!」
“あっちゃんと言えば稲葉のあっちゃん”な中の人の主張が一段落したところで。
ココナッツの6人は銃を構える。
さる神戸の貿易商から手に入れた改造品だ。
その威力は、市場に出回っている正規品とは比べ物にならない。
「外人部隊の恐ろしさを見せてやる!くらえ!」
829 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 20:07:26.76 0
「まずい!市街地で銃撃戦になんてなったら一般の皆さんにご迷惑が!」
「くっ、こうなったら仕方ない!みんな、練習した新フォーメーションの準備を!」
「まさ、A面とB面どっちのやつかわかんなーい」
「今度のは4月17日発売でどっちもA面なんだよ、まーちゃん!」
「よし!今回のフォーメーションは先に完成したほうで!」
「了解っす!」
「じゃー逆三角の形に並んで、っと」
「必殺!“ブレインストーミング”!!」
赤と青の波動が渦を巻いて、ココナッツとミティに向かっていく。
赤と青、時折二つが混ざる箇所の色は紫。
この三つのカラーから、“ブレインストーミング”は次代のリゾナンターを背負って立つであろう
鞘師石田小田の力を中心に据えた新必殺技、と見る動きもあるかもしれない。
しかし、この物語は実在の人物・団体とはまったくなんの関係もないファンタジーである。
“ブレインストーミング”の中核となる力は他にあった。
「うわああ!の、脳が・・・!」
「Nooooooo!」
「ブレイン(=脳)、ストーミング(=荒れ狂う)。えりぽんの“精神破壊”を、はるなんの“五感共鳴”で脳に直接感じてもらいました」
「・・・本当のブレインストーミングは、集団で新たなアイデアを出し合う方法という意味の専門用語らしいですけどね。
『現状の日本が先に向けて進んでいく為にこの世の頭脳を集結させて、みんなで知恵を持ち寄り、
なんとかこの混沌から脱却出来ないか!という願いを込めた』って、お好み焼きくさいおじさんが言ってました」
「小田ちゃん、どこで知り合ったの、そんなおっさん」
830 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 20:08:41.01 0
「ちっきしょー!覚えてろー!」
捨て台詞を残して、ふらふらしながらミティとココナッツの面々は帰っていった。
あまりに足元がおぼつかないので、遠目に見てる分には若奥様たちが飲んだくれて千鳥足といった感じである。
家庭のあるメンバーばかりなのに大丈夫だろうか。
家に帰った彼女たちが、パパや旦那さんやお子さんに渋い顔をされないことを祈ろう。
「やったねみんな!道重さんと田中さんがいなくても敵を撃退できたよ!特に司令塔の道重さんがいないのは痛かったけど」
先輩がいなくてもなんとかやれることを示せて、譜久村は嬉しそうだった。
そんな譜久村を横目に、石田はこっそり鞘師に話しかける。
「あの、鞘師さん。精神破壊とか五感共鳴とかそれっぽいこと言ってますけど、本当のところ“ブレスト”って
生田さんとはるなんが全力で振り付けやりながら『サボってないで拗ねてないでこもってないでこっちにおいで』とか歌ってるだけですよね?
なんであの人たち、そんなことであんなにダメージ受けちゃってたんでしょう?」
「えっと・・・いや、あの・・・その・・・・・・」
泳いだ鞘師の目線の先には、得意げに胸を張る譜久村と生田飯窪の姿が。
「やっぱり道重さんがいないダメだよね!“ブレスト”の威力も半減!」
「でも私たち頑張りましたよね!今すごく達成感でいっぱいです!」(ハイトーン)
「やっつー!これでまた世界一のリゾナンターに近づいたー!」
か弱き乙女を泣かしちゃならない。
か弱き乙女を泣かしちゃならない。
敵が参ったのは怪音波を脳に直接叩きこまれたせいだなんて言っちゃならない。
りほりほは呪文のように呟きながら帰ったそうな。
831 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 20:10:09.95 0
>>827-830 『ココナッツにブレスト、そしてミキティ一夜限りの復活ライブ成功おめでとう』
古きも今もハロプロが大好きです
本当です
多少の悪ふざけはご愛嬌ということで
832 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 20:36:04.75 O
>>831 更新乙です
まさかココナッツ娘。をネタにするとは脱帽ですw
833 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 21:28:42.64 T
乙でございます
忘れた頃にメロンもお願いします
834 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 22:42:04.79 O
メロンあげ
835 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 22:48:35.74 0
836 :
名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 23:28:09.69 O
リゾナントの新メニューですか
実際おいしいの?
837 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 00:26:52.64 0
味見はしとらんっちゃ
838 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 01:43:30.29 O
おやすみなんと
839 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 03:15:28.83 O
>>815 ひとまずと言うことは続きがあるんですね?…
またバッドエンドかと思ったw
まあそういう話も大好物ですが
840 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 05:06:51.91 O
おは
841 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 07:26:21.00 0
YO!
842 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 09:44:47.79 0
______
/\  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
 ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄
| |
/ \
843 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 11:28:28.80 0
愛しいあの人はお昼ごはん何食べるんだろ
844 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 12:02:31.99 O
お嬢様スパゲティですわ
845 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 13:07:31.04 0
846 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 13:15:50.36 0
847 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 13:27:31.60 0
バッドエンドといえば何?
848 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 13:36:27.34 0
最近作品がいっぱいきて嬉しい
849 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 13:46:45.38 0
おっぱいー期待ー♪
おっぱいー期待ー♪
850 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 14:29:50.88 O
まずはコールドブラッドとかConfortAtionが思い浮かぶな>バッドエンド
メンバー同士討ち系は必然的にそうなっちゃうんだけど
851 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 15:05:53.04 0
コンフォートレーション
終わり
852 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 15:07:57.10 0
バッドでもハッピーでもエンドを迎えているのは立派
853 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 15:22:35.01 0
854 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 15:24:12.54 0
ノリo#`ゥ´リ<パッドエンド!
855 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 15:31:03.79 0
ConfortAtionの圧倒的バッドエンド感に憧れますw
856 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 15:44:37.97 0
てか ConfortAtionってバットエンドじゃねーしww
857 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 15:46:34.85 0
愛ちゃんが↓
858 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 15:47:41.89 O
捉え方は人それぞれだ
どういう形にしても三人がああなった時点で個人的にはバッドエンドだな
859 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 16:04:16.34 0
短編だけど「消滅のdrop」なんかも
これもバッドエンドかそうでないかは人それぞれだろうね
860 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 17:22:15.59 0
新宿からあげ
861 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 17:31:51.01 0
862 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 17:53:23.36 0
リゾナントのMV久しぶりに見たらめっちゃカッコいいな
思い出補正とかあるかと思ったら記憶の中よりカッコよかった
863 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 17:55:49.46 0
水のない干からびた場所で絶体絶命の鞘師が自らの血を固めて作った刃で敵に止めを刺す話まだ??
864 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 18:36:25.29 0
もう定番ネタだなそれw
865 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 19:42:57.10 0
ということは誰でも使っていいんだな
866 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 19:44:48.05 0
867 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 20:50:45.92 O
あげ
868 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 20:57:08.46 0
傷の共有的な展開?
869 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 22:10:50.76 0
>>862 ダンスショットばかりを見ていたけど
通常のMVを見たら小春のイキイキした、挑戦的にも思える眼差しにちょっこしやられた
870 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 22:54:42.51 0
リゾナントブルー的なMVもまた撮ってほしいね
871 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:13:59.12 0
最近のMVはダンスシーンがカッコいいのはいいんだけどイメージシーンが物足りんな
872 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:26:52.57 I
「……ここは? あーし、どうなったんや?」
「お前は死んだ」
「あんた誰や?」
「私の介入により命を失わずに済んだ」
「人の質問に答えんかい」
「その命をあの8人の為に使う気はあるか?」
「8人? 12人の間違いやろ」
「……使う気はあるか?」
「愚問やね」
「では私に従え」
「何でや?」
「今のお前は能力が使えない。ここから出る事も出来ない」
「……選択権はないみたいなもんやな」
「時が来たら呼ぶ」
「……消えた。あいつも瞬間移動≠使うんか……どういう訳かあーしは能力が使えない。命は助かったけど、こんな何もない所に閉じ込められるなんてな。みんな無事かな……あ、ご飯とかどうするんや?」
「リゾナンターは変わり続けなければならない。全ては我らの未来の為──」
873 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:27:31.17 I
874 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:32:22.55 0
仮面サイダー・鞘師里保は改造人間である。 彼女を改造したダークネスは、 世界征服を企む悪の秘密結社である。
仮面サイダーは、人間の自由のためにダークネスと戦うのだ。
875 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:34:33.98 0
恐怖・いっちょかみ女 ― 仮面サイダー誕生の巻 ―
876 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:37:45.21 0
「あー、そのゲーム、おいら昔から好きだったんですよぉ」
「小さいころからその漫画が大好きで、単行本は絶対買ってます!」
「おいら実はオリメンなんですって」
少しでも自らの付け入る隙があれば、事実を盛ってでも入り込もうとするいっちょかみ女。
彼女はダークネスの送り込んだ怪人だった。
こんな時、正義のヒーローがいたら!
誰か、ヘルプミー!!
877 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:42:10.02 0
878 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:42:34.64 0
「…はっ!誰かに呼ばれた気がする」
「気のせいなの。でもそうやってびっくりした顔のりほりほもかわいいの」
「そうですわね。赤ちゃんみたいですわ」
「何をしてるんですか道重博士とフクちゃん助手!こうしてる間にもダークネスの怪人が」
「ダークネスとかどうでもいいの。りほりほはさゆみたちの改造手術を受けるべきなの」
「は?だってもう私一度ダークネスに無理やり手術を」
「細かいことはどうでもいいの。それより今自分が置かれてる状況を見るの」
「えっちょっと手足が縛られてる!」
「里保ちゃんが寝てる間に一服盛って差し上げましたわ」
「フクちゃん助手、なんてことを…」
「とにかくこれでりほりほは障り放題なの。さあ、覚悟するの」
「いや、ちょっと、やめ、あああああああああああああああ」
879 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:44:00.69 0
880 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:51:25.41 0
寝るぜ
また明日の朝に会おうぜ
881 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:53:16.87 0
おい怪人はどうなったw
882 :
名無し募集中。。。:2013/03/26(火) 23:58:19.98 0
まぁあの怪人ならどうせ大した実害は出ないからいいんじゃないかな
883 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 01:29:15.29 0
おやさゆみん
884 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 06:26:04.99 0
おぱよん
885 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 07:57:14.43 0
ははこ
886 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 10:19:44.14 0
ははろー
887 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 10:32:12.07 O
ぽ
888 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 11:42:42.62 0
888げっつ
889 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 12:54:43.92 0
今週中に次スレに突入しそうな勢いですな
890 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 14:17:52.19 0
完走して次スレがよいですね
891 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 15:23:25.40 0
892 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 16:50:53.16 0
ほぜなむ
893 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 17:46:20.45 O
4月まであと少し
894 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 17:49:12.34 0
はくしに戻すリゾナンター
895 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 18:58:40.18 0
白い闇か
896 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 19:41:41.00 0
りほりほのパンツを履くロリ
897 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 19:44:10.91 0
履くな!
898 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 20:01:16.38 0
仮面サイダー・鞘師里保は改造人間である。 彼女を改造したダークネスは、 世界征服を企む悪の秘密結社である。
仮面サイダーは、人間の自由のためにダークネスと戦うのだ。
899 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 20:03:48.65 0
恐怖・元シンデレラ女 ― リゾナントストーンの秘密の巻 ―
900 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 20:08:38.49 0
「元シンデレラー、れぼりゅーしょーん♪ ばーんばーんばーん♪」
突如街に現れた、かつてシンデレラの生まれ変わりと名乗っていた怪人。
シンデレラを辞めたはずなのに大して変わらない芸風はともかく、ばーんばーんと言うたびに
プスプスとアイドルにあるまじき音がお尻のあたりから漏れてくる。
後輩すら悶絶するその激臭に、街は大パニックだ。
こんな時に正義のヒーローがいたら!
誰か、ヘルプミー!!
901 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 20:18:28.90 0
「はっ!誰かに呼ばれた気がする」
「気のせいなの。でもそう大げさに驚いてみせる表情もかわいいの」
「子役さんみたいな可愛さですわ」
「道重博士とフクちゃん助手、そんなことを言ってる場合じゃないんです!早くいかないと」
「大丈夫なの。そんなことより今日はりほりほの脇腹をこしょこしょする実験なの」
「そんなのどうでもいいです!第一このスレはリゾナントブルーのスレなのに、全然関係ない話じゃないですか!!」
「それを言われると二の句がつげないですわ」
「いやついでよ!これじゃリホナントネタと大して変わらない…」
「甘いわねりほりほ。あなたの腰のベルトにつけられている石を見てみなさい」
「これはもしかして仮面サイダーの能力を支えるみたいな効果の?」
「そう。名付けてリゾナントストーンなの。さっそくこの石に意識を集中させるの」
「わかりました!えーい!」
「あーん♪もっとなの」
「は、はい。ええーい!!」
「ああーん♪」
「道重博士…これは」
「りほりほが石に念じると、石と石が共鳴してすごいパワーが解放されるの。ちなみにさゆみはおまたに石を」
「股の機械かよ!フクちゃんも何か言って…」
「ちなみに私は両胸に石を装着ですわ。さあもっと念じて♪」
「もうダメだ!!」
902 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 20:19:43.51 0
903 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 20:36:51.07 0
アホスwww
904 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 21:21:43.69 0
二の句が継げないの用法が違う
905 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 22:39:59.81 0
フクちゃんだからしょうがない
906 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 22:49:41.77 0
フクちゃんのソロDVD出るからゆるしてにゃん
907 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 23:54:34.49 0
>>811-814 の続きです
カメが、帰って来た。
心のどこかでもしかしたら叶わないのではないかとさえ思っていた夢が、叶った。
伝わってくる温もりは、それが幻ではないと里沙に感じさせる何よりの証拠だった。
しばらく再会の喜びに浸る里沙だが、
「なんだかガキさんのこういうの、貴重だよね」
という絵里の一言を聞き、我に帰って体を離す。
とともに、恥ずかしさからか顔を赤くした。
「とっとにかく。どうして急に意識が戻ったのよ。さっきまでぽけぽけっとした顔で寝てたのに」
「んー、ガキさんの愛の力?」
「あのねえ…」
「たぶん、絶望的なまでに低い確率が当たっちゃったんですよ」
ぐへへ、と笑いつつ絵里。
つまり里沙が繰り返してきた、砂漠で一粒の砂を見つける作業が功を奏したということなのだろう。
相変わらずの楽観的、適当。でも実に彼女らしい。
「まったくあんたって人は。それじゃとっとと帰るよ?あたしもこう見えても忙しいんだから」
「はーい」
恐らく、自らの意識を絵里から切り離せばこの世界は解除されるだろう。
瞳を閉じて意識を集中させる里沙の耳に、あーっ!という間抜けな叫び声が聞こえてきた。
「なになに?!いきなりどうしたの?」
「あのー、絵里大事なこと言い忘れてました」
「もー…手短にね」
呆れつつも、絵里の言葉を待った。
ふにゃりとしていた彼女の表情が、急に堅くなる。
「ガキさん…絵里のこと、いつも看てくれてたんだよね。きっとそれが、絵里の意識を呼び起こしたんだと思う。本当にありがとう」
「カメ…」
別にお礼が言われたくて、やってたわけではなかった。
仲間として、そして間接的に傷つけてしまった絵里への罪悪感から。
それでも。
「はいはい。お礼もいいけど、あんたが寝てる間に色々あったんだから。田中っちもさゆみんもずっと待ってたし、これからさぼってた分働いてもらわないとね」
照れ隠し。言葉を矢継ぎ早に発していないと、また目が潤んできてしまいそうだと思った。
そう一日に何度も失態を見せてたまるものか。
が、それだけでは終わらなかった。
「それでですね。絵里、ガキさんにお礼がしたいんです」
「えー、後で病院で話聞くからいいよ」
「今じゃなきゃダメなんだってば」
「しょうがないなあ。で、何?」
里沙の頬に、何かが走った。
伝わる痛みと、流れ落ちる一筋の、赤。
思考が、目の前で起こったことについていけない。
「え?どういう…」
「ガキさん。絵里のお礼…受け取ってくれますよね?」
絵里は、もう笑ってはいなかった。
瞳に宿るのは、憎しみの色。
「あんた、一体何を」
「だって絵里が昏睡したのは、ガキさんのせいじゃないですか」
今度は、先ほどとは比べ物にならないくらいの、鋭い風。
紙一重の差でよけると、後ろから接続コードが切断される派手な音が響いた。
「あの日。ガキさんが『銀翼の天使』を呼ばなきゃ、誰も傷つかなかった。小春も、愛佳も能力を失う事はなかったし、ジュンジュンやリンリンも国に帰る必要なかった」
「そ、それは…」
里沙は反論できなかった。いや、反論のしようがなかった。
全てが絵里の言うとおりだった。あの日、ダークネスを抜けてきたと会いに来た『彼女』を匿うためにリゾナントの場所を教えなければ、あんなことには。
激しい後悔の念に駆られる里沙を、さらに絵里が追い詰める。
「『銀翼の天使』に喫茶店の場所を教えなければ、ねえ。本当にそうなのかな?」
「え、どうして…」
「ここはガキさんの意識の中であるとともに、絵里の意識の中でもあるんですよ?ガキさんの考えてることは全部、わかっちゃうんだよね。それはともかく。本当にそう思ってます?」
「それは」
「だってガキさんって、元を正せばダークネスの裏切り者じゃないですか。そんな人を招きいれたこと自体、間違いだった。そう思いませんか?」
触れられたくない。忘れたい。
けど、決して忘れられない。忘れてはいけないこと。
里沙はリゾナンターのサブリーダーであるとともに、ダークネスのスパイでもあった。
直属の上司である「鋼脚」の指示に従い、組織が手に入れられない能力を持つリゾナンターたちの動向を監視し逐次報告する。
リーダーの高橋愛を支え、かつリゾナンターたちを指揮するサブリーダーの地位にありながら、その宿敵であるダークネスに情報を流す二重生活。
それは、半ば囚われの身となっていた「銀翼の天使」の身の安全と引き換えにした苦汁の選択でもあった。
だが、彼女自身にリゾナンターに対する強い愛着が芽生えてゆくとともに、スパイという立場は安定性を失ってゆく。
そしてとある事件をきっかけに自らの出自を明らかにした里沙は、紆余曲折の末にメンバーたちに赦され、認められることで苦難の道に終止符を打つ。
それは一方で「銀翼の天使」の安否を脅かすことにも繋がった。
だから、「追っ手から逃れてきた」彼女を里沙は受け入れ、喫茶リゾナントに招いたのだ。
「だって、だってしょうがないじゃない!!!」
不安。後悔。悲哀。苦悶。
やり場のない気持ちが、叫びとなって里沙の心にこだまする。
それすらも、絵里は糾弾する。
「開き直ってますね?でもそれは盗人猛々しいってやつですよ、ガキさん。あなたがいなければ、みんな幸せに暮らせていたんだから」
「もう、もうやめて…」
「今度は現実逃避ですか。しょうがないですね」
大きく肩で息をつく絵里。
それを合図としたかのように、周りの景色が変わってゆく。
俄かに、空から花びらが舞い落ちる。
赤。白。黄色。色とりどりの花に囲まれた場所。
「なんでこんなことが、って思いました?だって、ここは絵里の意識の中なんですよ?何ができても当たり前じゃないですか」
絵里は、目にしみるような赤いドレスを身に纏っていた。
右肩に飾られた薔薇の花のようなデザインが目を惹く。華やかなネックレスやイヤリング、髪飾り。肘まであるレースの手袋。
まるでこれから晩餐会にでも行くような格好だと里沙は思った。
「別に晩餐会になんて行きませんよ。そういうガキさんだって、似合ってますよ?そのドレス」
言われてから、はじめて自分の服装も変わっていることに気がついた。
絵里のものとは違い、少し短めのスカート部分が特徴的なドレス。青の生地と、左肩から右下にあしらったファーの色がコントラストを作っている。
怪訝な表情で、絵里を見る里沙。
最早言葉は必要ない、とすら思えてきた。
「何をするつもり?ですか。決まってるじゃないですか」
絵里の周りの花が、突風で散らされる。上空に舞い上がる、たくさんの花びらたち。
幻想的とすら思える光景は、逆に今置かれている状況が夢や幻ではないことを里沙に思い知らした。
「そういえば絵里たちって、戦闘スタイルは違えど、実力的に近い評価でしたよね。ちょうどいいじゃん、ここで決着つけましょうよ。因縁も、過去の清算も、何もかも」
やるしか、ないの?
もたらされた現実に違和感を感じながらも、両拳にあるピアノ線の感触を里沙は何度も確かめていた。
花びら舞い散る、この世のものとは思えないような美しい空間。
散った花びらが、床面に張られた水に浮かび、ゆらゆらと揺らめいていた。
突然その揺れが、鋭い軌道によって断ち切られる。
絵里が、風の刃を水面に走らせたのだ。
左にかわした里沙、しかしあまりの鋭さに完全には避けきれず、足先を軽く掠めてしまった。
赤い筋が、水面に浮かぶ。
「もし、意識の中で死んだらどうなるか、なんて考えてませんか?教えてあげますよ。意識の中で死んじゃったら、ガキさんは二度とここから出られません。だから、必死になって避けてくださいね」
さらに、風の刃を立て続けに飛ばしてくる。
頭の中の激しい逡巡が、里沙の避けるタイミングを僅かにずらす。
「ああっ!!」
「今のは骨に達しちゃったねえ。ガキさん、スパッと切れたら一生足は動きませんよ?」
左の脛から、痛々しい傷口が姿を現した。
もう少し避けるのが遅かったら、本当に脚が切断されていたかもしれない。
薄く笑う絵里の表情から、それが本気だという事を感じ取る。
ならば、自分も覚悟を決めるしかない。
里沙は、水面を全速力で駆け抜ける。
「やっとやる気になってくれましたね!おいで、ばらばらに切り刻んであげる!!」
絵里が、周囲に風の刃を纏う。
鋭い剃刀のような渦が、花びらを巻き上げながら壁となり立ち塞がる。
このまままともに突っ込めば、文字通りの細切れと化す。
「無駄だって!だって絵里はガキさんの動きが」
勢いよく噴出した風の軌跡が、水面を割る。
だがそこに里沙はいなかった。絵里が想定していた動きとはまったく違う動きで、まっすぐにこちらへと向かってゆく。
「えっ…読めない?」
里沙の全ての心の動きを把握していたつもりだった絵里は、急に相手の心が見えなくなっていることに気づいた。が、時既に遅し。
凶刃に絡め取られないよう、体勢を低くし、身を屈める様な形で風の渦に飛び込む。
頭と腹、致命傷となる部位を守りながら渦の中を駆け抜けた里沙。その手に握られたピアノ線の先に、絵里が絡め取られていた。
「カメが願うなら。いつでもあたしはこの首を差し出す」
「ちょっとまって、うそでしょ、絵里のこと…本気で」
顔を蒼くさせ、涙目になって訴える絵里。
里沙は小さく、首を振る。拳を握り、そして力の限りに強く、引いた。
「でも、あんた『たち』なんかに差し出すほど、この首は安くない」
文字通り、絵里はずたずたに切り裂かれた。
糸に絡められた赤い花の飾りが、ぽとりと落ち、水に浮かぶ。
そして、絵里は切り裂かれながら、笑っていた。
915 :
名無し募集中。。。:2013/03/27(水) 23:59:54.84 0
916 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 00:18:04.13 0
>>915 投稿&代理乙です
なるほどそうきましたか
『たち』ってことはまだ終わりじゃないんですね
続き期待しております
917 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 00:31:45.73 0
おお!ガキさんが勝ったか
918 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 00:44:11.80 0
ノlc|*・e・)<だってしょうがないじゃないか!
919 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 01:16:00.82 0
えりりん・・・
920 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 02:18:56.16 O
>>915 乙です
舞台は「ララバイゲーム」からの引用でしょうか
決闘にマッチしててよかったです
921 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 04:41:53.01 O
おやぷみ
922 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 06:10:57.30 0
おはりぞ
923 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 06:20:44.29 O
激しく続きが気になるぞい
924 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 07:30:49.29 0
ララバイゲームか!
何で気付かなかったんだろ
925 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 08:25:02.26 O
おはなん
926 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 10:42:51.32 O
ほぜ
927 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 11:48:00.89 0
ひるまえじゃけえ
928 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 11:54:10.59 O
ひるなん
929 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 12:53:10.75 0
昼保
930 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 14:28:56.13 O
おやつ保
931 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 15:21:40.82 0
つまり里保
932 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 15:23:49.11 O
変態リーダー自重
933 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 16:30:25.78 0
変態リーダー道重と読んだ
934 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 18:06:45.79 O
よるなん
935 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 19:23:43.26 O
と
936 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 20:29:19.34 O
ま
937 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 21:32:30.55 O
と
938 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 21:36:47.95 0
ダイエット
939 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 22:55:32.58 0
保全で埋まるか1000レス
940 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 23:29:14.54 O
いやさ保全作があるさ
941 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 23:56:05.73 0
この街はいつも切ないリズムをかかえたまま
重たい空が街の熱を奪う
窓の向こうを見つめたまま
悲しみばかり形になってゆく
そうやって歩いてきた
いつからだったろうか
ずいぶん歩いたなぁ
靴もボロくなった
明日消えてしまうかもしれない世界
永遠に続くかもしれない世界
だけど一つだけ確かなのは
命は限りあるものだから
上手に描いて 色を塗って 消えないようにする
942 :
名無し募集中。。。:2013/03/28(木) 23:57:04.32 0
言葉は魔法で 心は広がる海で
そこに日常の 雲が広がってゆく
涙がこぼれて 悲しい順に雨になる
聞こえる雨音は こだまする悲しみか
耳をすませば 遠くで聞いた声で感じたい やさしさを
信じたい いつの日か
雲のすき間から走り出した光り
心の闇を照らしながら
涙をひとつ抱えていく
雨のち晴れを待ってる
まだ悲しみがこだまする
943 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 00:00:30.31 0
944 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 01:55:39.56 O
おやすみなんと
945 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 02:57:16.46 0
ネムス
946 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 06:01:33.39 O
今スレは何も投下できないまま終わるかな
947 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 07:28:36.70 0
そんなのいやん
948 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 10:21:08.48 0
いやん いやん
949 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 11:37:42.40 0
重ピンクがいるな
950 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 13:10:09.21 O
いやんソープ
951 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 14:21:47.97 I
残り50をきった!次のスレは誰が立てる?
952 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 15:55:01.43 O
携帯なんでヨロピクピクヨロ
953 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 15:56:44.85 0
タイミング超バッドで立てられないごめんなさい
954 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 16:16:54.68 0
955 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 17:59:59.89 O
ほぜなん
956 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 19:06:25.98 O
はるなん
957 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 19:50:42.32 O
あげ
958 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 20:45:08.51 0
ただ春を待つ
959 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 21:33:24.40 O
ハル?
960 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 22:56:01.55 0
>>907-914 の続きです
腹を抱え、喉が張り裂けんばかりに笑う、絵里。
しかしその表情は掛け違えたボタンのような違和感を露にしていた。
「なるほどね。もうばれてたんだ。なら気づいた時に言えばいいのにね。演技して損しちゃった」
「いやいやいや、でも『新垣さん』の演技もアカデミー賞ものでしたよぉ?」
絵里の、いや、絵里を象った何かから聞こえてくる、二つの声。
「でもいつばれちゃったんだろ?」
「新垣さん、心を読まれまいと自分の精神にプロテクトかけてた。きっとヒントはそこにある」
狂気に顔を歪めながら、交互に二種類の声を出すそれは、まさに悪夢そのものだった。
「…ここがあたしの意識でカメの意識でもあるなら、あたしにもあんたの行動が読めるはず。けどそれはできなかった。つまり、最初の前提が嘘か、あんたがカメであることが嘘かのどちらか」
「もし後者なら、心にプロテクトをかけたら読めなくなるはず、か」
「まあね。それに、あんたカメにしちゃちょっと頭良すぎだから」
比較的早い段階で、里沙は相手が絵里の姿を模した偽物であることを見抜いていた。
そして、相手が心を読むことができる能力を持っていることも。
それでもなお、彼女の決断は遅れた。絵里の姿を、声を模したものに手をかけることを。
「でもまあ、案外嬉しかったんじゃないですか?嘘だとわかってても」
「だよね。カメェーカメェーって。感極まっちゃったって感じ?」
「いい加減にしなさいよ。いつまでもカメを騙るのはやめて」
里沙が言い放つと、絵里だった何かはまるで霧のように散ってゆく。
色とりどりの花に囲まれた景色もまた、花びらが散っていくかのように消滅する。
景色すらも、偽物。里沙が纏わされていたドレスもまた、本来の形に戻ろうとしていた。
複雑に絡まり、もつれ合うコードが段々とはっきりした形で現れる。
そして絵里の代わりに現れたのは、二人の女だった。
「さすがは元リゾナンターのサブリーダー」
「お見事っ!!」
二人とも、里沙の見たことのある人物だった。
一人は、病院の廊下で。そしてもう一人は、雑誌の中で。
「はじめまして。私、新宿のシンデレラことサトリです」
青いドレスを着た、童顔の女が名乗る。
「どうもー!さっきお会いしましたよね?吉川友でーす!!」
大人びた顔だちの、黄色い衣装を身に纏った女。
小春の所属している芸能事務所の、後輩。
962 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 22:57:15.04 0
「…ねえ、あんたたち」
「っと。ちょっと待ってください」
サトリが、一歩前に出る。そして、
「あなたの心を…さとります♪」
と両手の四本の指で四角を作り、妙なポーズを取った。
サトリの顔に、厭らしい笑みが浮かぶ。
「新垣さん。あなた、私たちのことをダークネスの手先か何かと思ってますね?」
「!!」
「違いますよぉ。私たちは、新垣さんと同じ、警察関係者なんです」
「は?あたしあんたたちなんて…」
再び前に出るサトリ。
指で囲った四角を、対角線上に反転させる。
「さとります。知らなくて当然です。だって私たち、警察のお偉方が新しく立ち上げた部署のメンバーだから」
そう言えば。
里沙を引き受けたクライアントから聞いたことがあった。
警察が、愛や里沙から学んだノウハウを元に、能力者だけの特殊部署を設立したという話を。
「その人たちが、たちの悪い嫌がらせをしに来た、って解釈でいいのかな」
「まさか。きっかたちにもちゃんと目的はありますから」
友が、大げさに両手を振る。
彼女が小春と同じ事務所にいるのもおそらく、何らかの目的があってのことだろう。里沙は何となくそう感じていた。
「目的って何よ」
「単刀直入に言いますね。それは、亀井絵里を永遠に目覚めさせないこと」
サトリの言葉が、理解できなかった。
未だ深い眠りにつく絵里にさらに鞭を打つ行為に、何の意味があるのだろうか。
「何のために、って思いました?それは、彼女の力をダークネスに悪用されたら困るからです」
「そうそう。『傷の共有』って使い方によっては恐ろしい能力だからねえ」
確かに。
絵里を目覚めさせる事ができる人間がダークネスにいたとして、彼女の力を組織のために利用するとするならば。これほど
危険なことはない。
だが、それは絵里を永遠に眠り姫にしていい理由にはならない。
「だから、新垣さん。あなた、邪魔なんですよ。ここで消えてください」
「ま、きっかとまのちゃんがいれば楽勝でしょ」
「ちょっときっか!私は今は『サトリ』なの!」
「ごめーん、あははは」
964 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 22:58:27.92 0
笑いあう二人。
里沙はそれが、自らを、今の状況を嘲笑っているかのように見えた。
両手のピアノ線が、強張ってゆく。
「あたしも時間、無駄にしたくないんだけど。そろそろ、行くよ?」
サトリと友は里沙の表情を目にし、それから軽蔑した表情を見せる。
「もしかして。うちらとやり合う気っすか?」
「新垣さん、あなたの行動は全部読まれちゃうんですよ?だって私、サトリだから!」
先ほどの風の渦への突入によって、里沙は決して小さくないダメージを負っていた。
その上、心を読む能力者が相手だ。簡単な戦いにならないのは明らかだった。
サトリが懐に忍ばせてあったナイフで自らの周囲を切り始める。ぶつぶつと音を立てて切れてゆく、何か。
偽者の絵里と戦う際に巧妙に仕掛けたはずのピアノ線による罠が、全て見抜かれていたのだ。
「さっき心にプロテクトをかけてた時に、周りにピアノ線を張ってましたね?でもそんなの無駄無駄、今の新垣さんの考えてることは全部お見通しなんだかから。きっか、やっちゃって」
「はいはーい」
友が、邪悪な笑みとともに呼び出すのは。
ショートの髪。慈愛を帯びた表情。それなのに色のない、瞳。
里沙があの日見た「銀翼の天使」。突如現れたそれは、あの時の彼女を再現していた。
965 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 22:59:19.31 0
「この力で、さっきのカメもどきも作ってたんだ」
「新垣さんの『悪夢』を呼び出しちゃいました。思い出すでしょ、あの日のこと。その恐怖をもう一度味わえるんだから、きっかに感謝してくださいねー?」
悪夢召喚。
相手の心の傷を形にし、使役する能力。
里沙にとって、トラウマとも言うべき12月24日の惨劇を友は具現化したのだ。
「うわぁ。新垣さん、びびってますね?いいですよ、そういうの。心の読みがいがあります」
「じゃ、いきますか。イッツショータイム!!」
天使が背中の羽を広げる。
きらきらと輝く羽の一枚一枚が、狂気を帯びていることを里沙は知っていた。そして覚えていた。
「これ、ホワイトスノーって言うんでしたっけ。もちろん本家の力なんて全然出せないけど、あんたを消すには十分でしょ。そんな感じ〜」
体の奥底から湧き上がる、黒い恐怖。それはあっという間に、里沙の心を支配した。
勝ち誇る、友。
しかしそれはすぐに引きつったものに変わる。
「あれ?ちょっと。体が、動かない」
「…『銀翼の天使』を呼び出したのは正解だったけど、不正解だった。恐怖の感情に塗りつぶされて、心が読めなかったでしょ?」
966 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 22:59:54.41 0
サトリが切断したはずのピアノ線が、友に巻きついていた。
いわゆる、ロープマジックの応用。切断されてもいい場所だけを相手の目の前に晒し、別のピアノ線を手繰り寄せる事で再び結びついた線が、友の体を拘束したのだ。
ぎりぎりと体を、喉を締め付ける糸。
たまらず友は「銀翼の天使」を戻してしまう。
「やっぱりそうそう上手くはいきませんね」
言葉とは裏腹に、サトリに見える余裕。それは自らの「武器」に対する、絶対的な自信。
手にしたナイフを、ゆっくりと里沙へと向けた。
「でも。あなたがきっかを切断する隙を見て、このナイフであなたを刺す。あなたの行動は全て読める。このナイフは、避けようがない」
「やれるものなら」
言ってはみたが、サトリの心を読む能力に対抗する術を里沙は持っていなかった。
最初の時は相手が油断していたから、心を防護することで対応できた。
次に、本能的に湧き上がる感情が、心を隠してくれた。
でも今は、どうすることもできない。銀色の刃が、まるで里沙の心臓に収まるのが当然かのように、妖しく輝いていた。
「心が降参してますよ?やっぱ私最強♪」
満面の笑みを浮かべ、サトリがゆっくりと近づいてくる。
一歩、一歩。その過程を楽しむかのように。
その歩みが、はたと止まる。
サトリが、困惑した面持ちで辺りを見回し始めた。
「え、何これ。ヒャクマミ?意味わかんない。ちょっと黙ってて!ああうるさいうるさいうるさい!!やだ、やめてよ!!」
明らかにうろたえているサトリ。
そしてそれは、縛られている友も一緒だった。
やがて二人は白い光に包まれ、消えてゆく。
はじめ何が起きているかわからなかった里沙だが、すぐにそれが誰の仕業かに気づいた。
「もう。気づいてたんだったら、さっさと出てきなさいよ…」
「えー。だってー」
不服そうに登場するのは、この空間の主。
明らかに眠たそうな顔はいつものこと。
「起きれなかったんですって。今こうやって表に出てるのも偶然だし」
「偶然ってねえ」
今度こそ、本物の絵里。
里沙は胸を張って信じることができた。
「て言うか、ガキさんひどくない?本物の絵里はそんなに頭良くないって」
「だってそうじゃん。あんた計算とかできないでしょ?」
「そりゃ、そうですけど。でもまあ絵里は絵里なりに考えてるんですけどね」
肯定しつつも、ふて腐れる絵里。
やっぱり本物は違う。ぽけぽけ感というか、適当感がずば抜けている。
里沙は改めて、後輩のある種の才能に感心するのだった。
「あのー、誰かに呼ばれてたような気がするんですよ」
「いきなり何言ってんのよ。この状況であたし以外に誰があんたを呼ぶの」
「うーん。よく覚えてないんですけど。なんか助けなきゃ、みたいな感じで」
「まったく。相変わらずカメはぽけぽけぷぅなんだから」
くにゃっとした笑顔は、あの日のまま。
もし、悪夢から作られた絵里が隣に並んだとしても、確実に自分は本物を選ぶだろう。
そう、自信を持って言い切ることができた。
ふと里沙が絵里の顔を見ると、段々と姿がおぼろげになっていくのが見て取れた。
どうして、などとは思わない。
絵里はあくまでも、一時的に「呼び出された」だけ。それは彼女の消えゆく意識が物語っていた。
「ガキさん、またお別れだね。久しぶりに会えて、嬉しかった」
不意に、悲しげな表情を見せる絵里。
里沙は、そんな彼女に。デコピン。
「いたっ?」
「・・・何言ってんのよ」
「ガキさん」
「あんたが何度眠ろうが、あたしが何度でも叩きおこしてあげるんだから」
「あはは。お願い」
額を押さえながらも、その顔には笑顔が戻っていた。
笑顔とともに、絵里の体は緩やかに薄くなり、やがて一陣の風と共に完全に消えていった。
ふと気がつくと、そこはもう絵里の意識の中ではなかった。
見慣れた白い部屋、白い病室。
絵里は、何事もなかったかのように眠っている。
一方、里沙のほうは疲れが酷い。先ほどの出来事が夢ではなく、現実に起こった出来事であることを物語っているかのようだ
った。それを後押しするように、
「意識の中に入り込んだ私たちを、強制排出。そんな芸当ができれば、ダークネスに乗っ取られる心配はないみたいね」
病室の入口に立つ、二人の女。
サトリと友は、忌々しげにこちらに鋭い視線を送っていた。
「まだやる気?疲れてるけど、相手できないことはないから」
「待って待って。きっかたちはもうこれ以上やり合う気はないっすよ!」
慌てながら、両手を振る友。心からの言葉ではなさそうだが、里沙としても本音はその言葉に乗ったほうが得策ではあった。
「今回は私たちの負け。戦うステージの主に敵に回られたら、勝ち目なんかないし。でも、これだけは覚えておいて」
サトリが、里沙の両の瞳を視線で射抜く。
冷たい氷のような、悪意。
「私たち『エッグ』は、あなたたちより優れてるってこと。いつか、証明してみせるから」
気分が悪くなるような置き土産を残し、足早に去るサトリたち。
その言葉の真意を里沙が知る事になるのは、まだ、先の話。
970 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 23:05:04.23 0
971 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 23:25:19.61 O
更新乙です
まさかの○PECネタとは恐れ入りましたw
972 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 23:33:37.84 0
>>970 作者さん代理さんおつです
嘘だからが嘘でよかったですw
世界の全体像が見えてきたようなまだまだ謎なようなですが本編と繋がってくるのも楽しみにしています
973 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 23:40:26.61 0
嘘だからが嘘だったとかズルいだろう
974 :
名無し募集中。。。:2013/03/29(金) 23:41:35.84 0
サトリン里芋スイスイスイ♪
悟って御里がサトポッポ♪
975 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 00:16:12.54 I
>>970 作者様 代理様 乙です
意外な人物が登場し驚きました
ベリキュー以外も書けるとは……恐れ入ります
976 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 01:04:23.83 0
嘘だからは言ってる人間は本当だったんだけどその存在は嘘だったけど
本物が登場して嘘が嘘になって嘘が本当になった
言ってて頭が痛くなってきたw
977 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 01:32:34.99 0
仮面サイダー・鞘師里保は改造人間である。 彼女を改造したダークネスは、 世界征服を企む悪の秘密結社である。
仮面サイダーは、人間の自由のためにダークネスと戦うのだ。
978 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 01:33:36.32 0
恐怖・美勇伝女 ― 変身!仮面サイダーの巻 ―
979 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 01:46:41.63 0
完
980 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 01:47:29.59 0
平和だった街に暗雲が立ち込める
泣く子も黙る粛清人とその手下AとB、伝説の美勇伝の再結成だ!
「今年はついに美勇伝の復活!」
「おお、いいですね。素晴らしい」
「何か心がないよね発言に。絵梨香はいつもうわべばっか」
「いや、そういうわけじゃないですけど…」
「さっきから誰かさん黙ったままだよねえ?」
「え?うちですか?」
「黙ってれば自分が攻撃されないとおもってるんだよね。唯はそうやってすぐ逃げる」
「もうかなわんなあ…」
お局様のいつものネチネチ攻撃で、美勇伝AさんBさんの精神は崩壊寸前!
こんな時に正義のヒーローがいたら!
誰か、ヘルプミー!!
981 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 01:54:12.63 0
「アチシを呼んだかしらん?ウッフン」
「その声は!?」
982 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 01:56:27.71 0
「はっ!誰かに呼ばれた気がする」
「気のせいなの。りほりほはそんなところに行く必要ないの」
「えー…またこのパターンですか。ワンパターンじゃないですか、いい加減」
「王道と言ってほしいですわ」
「ああ、王道ですよね。邪道の中の」
「それより、りほりほ。その格好のままで飛び出すつもり?」
「どういうことですか」
「里保ちゃんはまだ仮面サイダーに変身できないってことですわ」
「そんな!博士、教えてください、どうすれば変身できるんですか!!」
「りほりほがそこまで言うなら、ほかほかTシャツと引き換えに」
「殴りますよ」
「冗談なの。ちょっとした変1ギャグなの。じゃあまず変身ポーズから伝授するの」
「お願いします」
「まずそこでしゃがんでみて。そうそう。おまたは閉じてるの」
「こう、ですか?」
「はぁぁぁん、可愛いの(スー)」
「いやいや、床に体育座りしてみてですわ」
「はぁ。こう?」
「うぅぅんかわいいよおぉぉああぁぁ」
「ダメだこりゃ」
983 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 01:57:57.48 0
984 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 02:28:15.88 0
寝るナント
985 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 02:33:17.43 0
986 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 02:52:34.70 O
おやすみなさやし
987 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 03:54:03.07 0
ナンダカンダで今スレも充実してたな
988 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 06:57:40.87 O
おは
989 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 08:01:28.25 0
あとは保全で1000までいくか
990 :
1:2013/03/30(土) 08:34:01.04 0
991 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 09:52:49.30 0
乙です
今スレは「リゾナンターΧ(カイ)」の作者さんが大奮闘してましたね
次スレは新しい風とか3×3+1とかバリアブルブレイドとかの続きにも期待
992 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 10:19:49.71 0
俺のおもろいやつも待ってて
993 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 10:40:29.61 0
いんふるえんざぶれーどまだぁ?
994 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 11:26:08.58 O
来月はR−Infinityも来るぞ
995 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 12:17:58.76 0
フジコまでの約束なんだっけ?w
996 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 12:34:15.59 0
こうして見るとまだまだ書いてくれる作者さん多いなあ
ありがたいねえ
997 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 13:08:36.84 0
あ
998 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 13:09:06.26 0
い
999 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 13:09:27.40 0
し
1000 :
名無し募集中。。。:2013/03/30(土) 13:09:32.21 0
う
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。