演歌歌手の都はるみさんのヒット曲、「大阪しぐれ」をモダンジャズ風にアレンジしたらどうなるか、実際に演奏してみせたテレビ番組があった。
切々と歌うはるみさんの恋歌を、ピアノとギターなど小編成バンドでクールな器楽曲に仕立ててみせた
▼泥くさい浪花演歌も、ニューヨークの高級クラブで聴くような洗練されたジャズに化けさせる編曲の融通無碍(ゆうずうむげ)。
こんな演歌の聴き方もあると新境地をアピールするとともに、ビフォー・アフターの「整形手術」を演じる編曲の力を強調したかったのだろう
▼しかし聴きながら、違和感の連続だった。違和感こそジャズの神髄という聴き方もあるのだろうが、どこが大阪しぐれかと思わせるほど
原曲を換骨奪胎し、不協和音を多用する。みそ汁にバターを浮かべ、冷ややっこにソースをかけるようなミスマッチが重なった
▼みそ汁にはみそ汁の調味料があり、冷ややっこには冷ややっこの相方がある。料理の味付けに相当するのが音楽では和音(コード)。
演歌をはじめ日本人の耳に慣れ親しんだ音階は、5音で構成されるのが特徴である
▼7音の西洋音階のうち4番目のファと7番目のシの音階を抜く通称「よな抜き節」。正式にはペンタトニック・スケール。
日本の流行音楽も次々と新しいスタイルが生まれているが、演歌ばかりでなく多くのヒット曲の共通点は5音階を採用していることだという
▼そういえばAKBの曲も5音階を連ねる。AKBの友達感も演歌の未練もコードは日本人の心である。(前)
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