生田「道重さんスパゲッティーを食べませんか?」3

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703名無し募集中。。。
>>549
ダンスレッスンで心地良い汗を流した後の休憩中。
ガチャリ、という音で、何気なく開いたドアに目をやると
「どう?頑張ってる?」
「うわぁ、新垣さん!」
大好きな先輩の新垣さんが手に大きな荷物を持って入ってきた。
「ラボが終わってすぐリリイベ、ってのも大変だねぇ。はい、これ、差し入れ」
「わぁい、ありがとうございまぁす!」
大きな荷物は差し入れのおやつや飲み物だった。全員が嬉しそうに新垣さんに駆け寄る。
勿論、真っ先に傍に駆け寄ったのは衣梨奈だった。新垣さんの腕に自分の腕を絡め、擦り寄る。
・・・あーあ、これじゃ、この間の佐藤のことを甘えん坊だなんて言えないな。
「生田ぁ、あんたも相変わらずだねぇ」
「何がですか?」
「ほら、そういう甘えんぼなとこ。ほらほら、早くしないと差し入れ取られちゃうよ」
その言葉にくるりと振り向いて、差し入れの近くにいる香音に向かって叫ぶ。
「香音ちゃん、えりなの分も取っといて!」
「はいよ」
苦笑いをしながら香音が衣梨奈の分を確保する。・・・あ、お菓子、隣の奴の方が好きなんだけど、そこまで我儘は言えないかな。
704名無し募集中。。。:2013/02/19(火) 22:08:07.92 0
「新垣さんは、何かの打ち合わせですか?」
「うん、FCのイベントが今度あるからさ」
「えー、本当ですかぁ?じゃ、えりなも絶対参加します!」
「こらこら、何言ってんの。その日、あんたも仕事でしょ」
「仕事?」
「あんた達の握手会の日だよ、私のイベント」
日程を聞いてみると、確かに握手会の日がイベント当日だった。
「えぇー、何でこの日にしたっちゃろ・・・」
「仕方がないよ。会場の都合もあるし、スタッフさん達のことも考えなきゃ」
「それはそうですけどぉ・・・」
「ほらほら、そんな顔しないの。グッズは後であげるから」
「でもぉ、当日欲しかったっちゃん・・・」
「何よぉ、イベントはその日が最後じゃないでしょ」
「・・・ですよね!そうだ、えりな、行けなくても何とか参加します!」
「は?どうやって?」
「それは後で考えます」
「あはははは、あんたも相変わらずだねぇ」
腕を組んだ・・・というか衣梨奈が無理やり絡めた・・・二人を、みんなの笑いが包み込む。
705名無し募集中。。。:2013/02/19(火) 22:11:51.45 0
わいわいと賑やかなレッスン室に、また、誰かが入ってきた。
どうやら、他の仕事から帰ってきたらしいさゆみだった。
「あ、み・・・」
・・・え?
どうして?
さゆみは、淋しそうな眼差しで、切なそうな表情で、ふっと目を逸らした。
その様子に、衣梨奈は思わず、さゆみに呼びかけようとした声を飲み込んだ。
が、それも、他の誰もが気付かない一瞬のこと。
さゆみは次の瞬間、ぱあっと明るい優しい笑顔でこっちを向いた。
「あれ、ガキさん来てたんだ」
「あ、さゆすけ、お帰り。今度のFCイベントの打ち合わせがあったんだよ」
「そうなんだ。さゆみも、今仕事が終わってこっちに来たとこ」
「あらら、あんたも相変わらず忙しいねぇ」
「ま、今回は先方のオファーだからね。有難いし宣伝にもなるからできるだけ受けとかなきゃ、さ」
「・・・あんたが良いなら良いんだけどね。程々にしときなよ」
「うん、ありがと。・・・あ、これ、差し入れ?」
「そうそう。さゆすけも好きなのどうぞ」
「わぁ、ありがとう!じゃ、いただきまぁす!」
にこにことお菓子を選び出すさゆみを見ながら、衣梨奈はどうしても先刻のさゆみの眼差しと表情が心に引っ掛かっていた。
道重さん、何であんな顔したっちゃろ?
・・・ま、いいか。握手会が終わって一段落したら聞いてみよ。
そう、思ったのに。

何気ない明日が来ることが、奇跡だなんて思わなかった。
衣梨奈がさゆみと話をすることは、結局適わなかった。
その日、さゆみは、倒れた。


道重さゆみ様早期回復祈願を兼ねました長文です
前回のを書いてる最中にはまさか6期のお二人ともが倒れるとは思いもしませんでした・・・