生田「道重さんスパゲッティーを食べませんか?」3

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547名無し募集中。。。
>>364
「みんなぁー、心配かけてごめんねぇ」
開口一番入ってきたのは、勿論、休んでいた田中さん・・・れいなだった。
「わぁ、たなさたぁん!」
「田中さん、もう大丈夫なんですか?」
「れいな、おっそぉい!もう最終日だよぉ」
全員が嬉しそうな顔をしてれいなに駆け寄る。佐藤など、早速れいなに抱き付いて離れない。
久し振りに見るれいなは、確かまだ闘病中だというのに相変わらず笑顔を振りまいて、その場がぱあっと明るくなる。
「おー、生田。久し振りっちゃねぇ」
「田中さんも元気そうですね」
「元気、では無いっちゃけどね。れなまだ病気やし」
「そうは見えませんよぉ」
あーあ、衣梨奈も頬は緩みっ放しだ。
衣梨奈がふとさゆみを見ると、やっぱりれいなを見ながらにこにこ笑っている。
・・・あれ?もしかして、いつもと雰囲気が違うかな?いつもにこにこしてるけど、今日は笑顔まで違うように見える
何でやろ?・・・何だか、いつもよりふわっとした感じだ・・・。
二人に見とれていたんだろうか?隣に香音ちゃんが来たのにも気付かなかった。
「ねぇ、えりぽん」
「あれ?香音ちゃん、いつの間にそこに来たと?」
「もぉ、先刻から居たじゃん」
「そうやった?ごめんごめん」
「ま、良いけどね。それよりさぁ、やっぱり田中さん居ると雰囲気違うよねぇ」
「あ、香音ちゃんもそう思ったと?」
「うん、だってさ、道重さんも凄く嬉しそうだし。いつもより柔らかい感じだもん」
「そうやねぇ」
「やっぱり安心したのかな?田中さんの顔見て」
「そうかもしれんね」
548名無し募集中。。。:2013/02/15(金) 21:15:36.97 0
賑やかな空気は、食事中も続いた。
「さゆぅ、れな豚まんと、クリームパンもこれとこれとこれ食べたい」
「ちょっとぉ、れいな、あんたそんなに食べられるの?」
「んー、無理」
「じゃ、どうすんのよ?」
「だけん、れなこれだけ食べるから、あとはさゆが食べて」
「えー、さゆみもこんなに食べられないよぉ。・・・ちょっと誰か、食べるの手伝ってくれない?」
れいなは豚まんやクリームパンをちょっとずつ千切っては残りをさゆみの皿に乗せる。
さゆみはれいなの隣であれやこれやと世話を焼きながら、自分が食べ切れない分をみんなの皿〜主にれいなにくっ付いて離れない佐藤の皿〜にほいほいと乗せていく。
さゆみとれいなは特に仲が良いという訳でも無いと言うけど、やっぱり長年一緒に居たからか、二人の間には独特の雰囲気があるから誰も入ってはいけない。
・・・ま、二人に甘えて、二人の間に挟まっている佐藤は別だけど。
何だか面白くないな。別に道重さんも田中さんも誰のものでも無いし、衣梨奈は新垣さんに甘えられれば良いから妬いているって訳でも無い筈だけどな。
あれ?えりな何でそんなこと考えとるんやろ??
・・・などと思っていたら、れいながくるりとこっちに振り向いた。
「あ、そうそう、生田」
「はい?」
「その刀、ちょっと舞台ンときにれなに貸してくれん?」
「は?何するとですか??」
「さゆンこと刺すと。殺陣の最後で」
「え?田中さん、太鼓ですよね」
「ええやん。見てたら面白そうやし、あれ、すっごくやりたいんやもん」
「えーと・・・」
「生田、ごめん、もう好きにさせてやって。れいな、今日が最後だしね」
あ、そうか。田中さんはこの舞台には、もう立つことは無いんだ。
「分かりました。じゃ、えりなが倒れたらこの刀持ってってください」
「うん、ありがと!」
れいなは、ニカッといつものように笑う。釣られて衣梨奈とさゆみも苦笑いする。
たったこれだけなのに、二人と一緒の世界に居られたようで、何だかちょっと嬉しい。
549名無し募集中。。。:2013/02/15(金) 21:19:42.80 0
舞台袖で気合を入れ、出ていく。
れいなの背中を見るさゆみは、嬉しそうだけどちょっぴり淋しそうに見えた。
ふと、狂おしいほどに愛しく思った、あの夜のさゆみを思い出す。
衣梨奈を引き留めるときに腕に添えられた掌は、遠慮がちながらも震えていた。
濡れた洗い髪に隠れていったうなじは儚げで、思わず掌を添えずにはいられなかった。
月明かりに照らされた白い肌は、暗闇の中に浮かび上がりながら溶けてしまいそうだった。
思わず夢中になった衣梨奈に与えられる刺激を、唇を噛んで堪える表情は泣いているようにも見えたっけ・・・。
「道重さん?」
「あ、ごめんごめん。じゃ、行こうか」
傍で心配そうに顔を覗き込んだ衣梨奈の頭をポンと叩いて、さゆみも舞台に出ていった。
あのときとは全然違うけど、道重さんに触れられたのは久し振りかも。
そんなことを考えて、衣梨奈はちょっとだけ赤くなった。
その日の舞台は、本当に楽しかったと思う。
舞台上のみんなも、お客さん達まで、一緒に楽しんで笑い転げていた、と思った。
〜〜〜例え今日の出来がグタグタであったとしても〜〜〜


田中れいな様早期本復祈願を兼ねて長文保全です
あと、この度決定した“年に一遍カイヨウ生活♪”が決定したワタクシめの早期脱却も祈念して・・・