ソースは
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120813/bse1208131323000-n1.htm http://www.sankeibiz.jp/business/news/120813/bse1208131323000-n2.htm http://www.sankeibiz.jp/business/news/120813/bse1208131323000-n3.htm [1/2]
ノーベル賞学者のジョセフ・スティグリッツ教授の仕事部屋には、ウォール街の雄で
米大手銀シティグループを率いたサンディ・ワイル氏と歓談している写真が飾ってある。
10年前の晩餐(ばんさん)会で一緒だった際に、記念撮影したのだという。
スティグリッツ教授は格差是正運動の旗手で、昨年はウォール街占領運動に参加したことで
知られる進歩主義者である。「1%」と呼ばれる金持ち層、特にロビイングや回転ドアを通じて
>>107-110 ワシントンを“占領”してしまったウォール街のバンカーを嫌う。
>>111-116 ワイル氏は典型的な「1%」のバンカーではないか−。
>>117-121 筆者が「敵の写真を飾ってどうするのですか?」とスティグリッツ教授にたずねるとこう返ってきた。
「『(銀行と証券を分離させた)グラス・スティーガル法を廃止したのは失敗だった』と
>>122-127 サンディは最近反省している。許してやろうよ」
>>128-133 ■“転向”したワイル氏
>>134-138 米国でワイル氏の“転向”が評判になっている。
きっかけは同氏がテレビ番組で発した、「時代が変わった。銀行は分割すべきだ」
「(預金・融資の)銀行業務と(証券引き受けなどの)投資銀行業務は分けるべきだ」としたコメント。これはウォール街の天動説がひっくり返ったのに等しい。
ワイル氏はノンバンクの経営者にすぎなかったのだが、1980〜90年代に銀行・証券から
保険・運用までそろえたシティグループを築いた。以来、あらゆる金融機関がワイル氏をまねて、M&A(企業の合併・買収)を繰り返した。
「メガバンク教」の誕生である。
90年代末にグラス・スティーガル法が廃止され、金融機関のメガ化を認めた
グラム・リーチ・ブライリー法が制定されたのは、クリントン政権がワイル氏の動きに
追随したため。その後、同政権で財務長官を務めたロバート・ルービン氏はシティグループに移った。
「問題の本質は利益相反なのだよ」。このほど立ち話をする機会のあった米連邦準備制度
理事会(FRB)のポール・ボルカー元議長が、筆者にこう耳打ちしてくれた。ボルカー元議長は金融危機の反省から制定された金融制度改革法の肝をなす、金融機関の
自己売買を規制する「ボルカー・ルール」の提案者である。
21世紀に入って、米国はアナリスト問題、エンロン事件、金融危機を起こした不動産バブルと
数々の不祥事を経験した。根底にあるのは顧客との「利益相反」を利用した利己主義で、
ファイアウオールと呼ばれる部門間の情報遮断が無形化していたのをボルカー元議長は問題視している。
-続きます-