リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 71話

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1名無し募集中。。。


  iVi.    ,iVi    悪魔は二本の指を立てた両手の甲を、自分の額の両端につける。
  (cソノハヾn.'
 / 从*▼。.▼)l <「イエエェッス!!うぅさちゃあーんっ!ぴいいーーーーーーーーーーーっす!!」

「リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第70話『「リゾナンター。大好き」』より

前回のお話はこちら↓
リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 70話
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1338816840/

リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ@wiki
http://www39.atwiki.jp/resonant/

第1話から20話までのログまとめ
http://resonant.web.fc2.com/

まとめサイト
http://resonant.pockydiary.net/index.html

まとめサイト Ver.2
http://resonanter.blog47.fc2.com/

リゾナントブルーAnother Vers(ry 暫定保管庫(まとめサイト3)
http://www35.atwiki.jp/marcher/

掲示板 (感想スレ、作品題名申請スレ、あとがきスレ他)
http://jbbs.livedoor.jp/music/22534/

テンプレ>>2-8くらいまで
2名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 07:33:05.32 0
3名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 07:34:33.57 0
リゾスレ初心者向けQ&A

Q.このスレについて教えて!
A.このスレはモーニング娘。36thシングル「リゾナント ブルー」のPV(Another ver.)から想像に想像を膨らませて生まれたスレです
 作者一人ひとりによって設定は異なりますが、大まかに共通している設定は
 【超能力を持つ「リゾナンター」を名乗る少女たちが仲間同士心を通わせつつ「ダークネス」を名乗る敵の組織と戦う】といった感じです

Q.どの話から読めばわかりやすい?
A.テンプレ>>1の過去ログまとめで第1話(第1スレ)に目を通すことを推奨。
スレの雑談では『蒼の共鳴』http://resonant.pockydiary.net/index.cgi?field=44の名がよく上がります。但し一大長編ですけどねw
2周年を記念してスレの住人が色んな質問に答えているスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/22534/1271246993/も参考になるかと

Q.メンバーのキャラ設定は?
A.作者個々によって違うが多くの作品で共有している設定は以下の通り

 高橋愛…………リゾナンターのリーダーで戦闘も強い実力者。喫茶店のマスターをしている
 新垣里沙………リゾナンターのまとめ役?だがその正体は「ダークネス」から放たれたスパイ。後に真の仲間となる
 亀井絵里………心臓病を患っておりよく入院している。さゆみと親友
 道重さゆみ……絵里と親友。心の奥には「さゆみの姉・さえみ」という別人格が眠っている
 田中れいな……喧嘩最強でリゾナンター屈指の武闘派。愛の喫茶店で住み込み店員をしている
 久住小春………売れっ子芸能人。何も考えていないように見えて案外熱血だったりするかも
 光井愛佳………家庭の内外で孤独を感じていたところを愛に救われた。リゾナンター随一の常識人
 ジュンジュン…パンダに変身する一族の生まれ。変身が解けると裸になる
 リンリン………パンダ一族を守る組織「刃千吏(バッチリ)」の一員。ギャグセンス以外はエリート
 譜久村聖………出てきた設定は、能力複写、サイコメトリー、譜久村財閥のお嬢さん、未来から来た24歳など
 生田衣梨奈……出てきた設定は、無感情、植物と会話できる、KYの空気感染など
 鈴木香音………出てきた設定は、物体をすり抜ける、すごい聴力など
 鞘師里保………出てきた設定は、水軍の家系の末裔、御神刀使い、念動力(水限定)など
 飯窪春菜………出てきた設定は、はう、ラブベリーナ魔法学院最終学年、ジョジョバカ
 石田亜佑美……出てきた設定は、幻獣使役、蒼の剣士、ぺったん、貧しさが憎い
 佐藤優樹………出てきた設定は、サトウマサキことサトウマサキ
 工藤遥…………出てきた設定は、強いリーダー志向、千里眼(クレヤボヤンス)
4名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 07:35:06.63 0
<よくわかる!? リゾナントスレの世界観図説>


リゾナンター派(多数派)─┬─ダークネスと闘う超能力少女たちだよ派(鉄板路線派)
               │  ├ダークネスは悪の組織の名前だよ派(暗闇=敵だよ派)
               │  │ └ラスボスの名前でもあるよ派(ダクネチュ様派)
               │  ├実は前身となる正義の組織があったんだよ派(OGメンはかつての味方だよ派)
               │  │ ├方針転換して悪の組織になったので新組織を立ち上げたよ派(見解の相違派)
               │  │ └組織はつぶされ現メン(の一部)が生き残ったんだよ派(正義の組織再興派)
               │  └前身はなく愛ちゃんが一から始めたんだよ派(OGメンは最初から敵だよ派)
               │    ├最初に見つけた仲間はれいなだよ派(同居人優先派)
               │    ├最初に見つけた仲間はガキさんだよ派(娘。加入順優先派)
               │    ├最初に見つけた仲間はガキれな以外の子だよ派(基本にとらわれないよ派)
               │    └愛ちゃんは美少女コレクターだよ派(百合愛好派)
               │
               ├─モーニング娘。をやりつつ敵と闘うよ派(鉄板路線派「かなしみ戦隊」系)
               │
               ├─政府直属の能力者集団だよ派(独自路線派「共鳴者」系)
               │
               └─その他(各種独自路線派)

リゾナンダー派(少数派)─┬─戦隊モノのヒーローなんだよ派(特撮愛好派)
            │   ├各自のイメージカラーが個人の戦隊カラーになってるよ派(LLはどうなったの派)
            │   └リゾナンカーとセットで使いたいよ派(とことん特撮派)
            │
            ├─スレが始まった時はこっちだったんだよ派(原理主義)
            │
            └─その他(各種独自路線派)

“ター”でも“ダー”でもどっちでも派(穏健派) ─┬─面白ければなんでもいいよ派(内容重視派)
                              │
                              └─シリアスとギャグで使い分けるよ派(こだわり作者派)
5名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 07:36:00.92 0
【今まで出てきた能力まとめ】

高橋愛:精神感応(リーディング) /瞬間移動(テレポーテーション)/光使い(フォトン・マニピュレート)
新垣里沙:精神干渉(マインドコントロール)
亀井絵里:傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ) /風使い(ウィンド・マニピュレート)
道重さゆみ:治癒能力(ヒーリング)
  さえみ(姉人格):物質崩壊(イクサシブ・ヒーリング)
田中れいな:共鳴増幅能力(リゾナント・アンプリファイア)
久住小春:念写能力(ソートグラフィー) /幻術(ハルシネーション)/発電(エレクトロキネシス)
光井愛佳:予知能力(プリコグニション)/心の浄化(ハート・プリフィケイション) /水守(みまもり)
リンリン:念動力(サイコキネシス)/発火能力(パイロキネシス)
ジュンジュン:念動力(サイコキネシス)/獣化(メタモルフォシス(トゥ・ビーストorパンダ))

譜久村聖 :能力複写(リプロデュスエディション) /残留思念感知(サイコメトラー・オブジェクトリーディング)/液状化(リキュエファクション)
生田衣梨奈:精神妨害(マインドジャミング)/精神破壊(マインドデストロイ)/植物と会話(スピリチュアル・トーキング) 
鞘師里保 :水限定念動力(アクアキネシス)/水軍流の達人
鈴木香音 :非物質化(ディマテリアリゼーション)・物質透過(ペネトレイト)/超聴覚(ハイパー・ヒアリング)

飯窪春菜:五感共鳴(センス・リゾナント)/魔術(マジック)
石田亜佑美:幻獣召喚(イリュージョナル・ビースト)
佐藤優樹:瞬間移動(テレポーテーション)/死霊魔術(ネクロマンシー)
工藤遥:千里眼(クレヤボンス)/精神??(マインド・ブラスト)

6名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 07:37:03.31 0
ジュンジュン獣化参考画像
ttp://resonant.pockydiary.net/file/panda.jpg

喰らってくたばれ!
必殺!
ttp://resonant.pockydiary.net/file/helpme.gif

【喫茶店リゾナントイメージ】
間取り
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/142-1.gif ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/784-1.jpg ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/785-1.jpg
本日のランチ
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/155-1.jpg ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/156-1.jpg
タウン誌紹介文
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/383-1.jpg

【TV・映画イメージ】
リゾナンター予告イメージ
http://jp.youtube.com/watch?v=wSVKqpCYrQs
リゾナンター予告編・i914Ver.  ※血液等の映像が含まれますので苦手な方は見ないほうがいいです
http://jp.youtube.com/watch?v=TEsl4BjQ8sA
リゾナンターの予告編パート2/映画風
http://jp.youtube.com/watch?v=9Rvh02cQQoI&fmt=6
リゾナンター/共鳴セヨ
http://jp.youtube.com/watch?v=3m65hxrvduY
リゾナンター予告編/ダークネスVer.
http://jp.youtube.com/watch?v=OkFqDKBJUBg&fmt=6
リゾスレ一周年記念動画
http://www.youtube.com/watch?v=VBgPc_o1u0E&fmt=18
The loneliness of the girls
http://www.youtube.com/watch?v=4IAclB1_-zs
リゾナンターOP
http://jp.youtube.com/watch?v=EXNriFUNuUY
7名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 07:37:52.57 0
【初代まとめサイトで投稿日順に読む裏技】

まとめサイトの[検索]で「(1)」とか指定すると、第1話(1スレ目)の作品が投稿日順に並びます(降順)
(投稿日=まとめサイト掲載日時であり、スレ投下日時ではありません)

ただし、次回予告についてはシングルの順序と合わせるために
順番に並ぶように投稿日をいじってあるのでこの限りではありません

このスレに初めて来たから様子がわかんないよ、って人にはイイかも

※時々検索結果に違うスレの作品が混じりますが、本文中に張ったリンク(例:(01)123)を拾ってしまうためです


【まとめサイトVer.2で投稿日順に読むには】

タグでスレごと(第○話)の作品群を見ることができます。
登録日の順になっているのでそこからたどっていけばおk


【代理投稿を依頼するときのお願い】

したらば掲示板のアク禁スレに作品を上げるときは対処方法の指示も書いてください
例えば
・規制食らったので転載してほしい
・レス数多いから掲載を手伝ってほしい
など

転載する人は必ず投下する旨をアク禁スレに宣言していってください
(投下かぶり防止のため。宣言が同タイミングなこともあるのでリロード&しばらく待つのも大事)
8名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 07:38:33.23 0

川*’ー’) < テンプレの設定やまとめサイトを参考にして自由に想像するやよ
ノ|c| ・e・) < 登場人物の能力やストーリーの背景・設定は作者さんの自由なのだ
ノノ*^ー^) < シリアル路線でもコメディ路線でもお好きなものどうぞ
从*・ 。.・) < AAを使ったものや1レス完結ものでもOKなの
从*´ ヮ`) < 他の作者さんの設定を流用するのもありっちゃ
ノリo´ゥ`リ < 気に入った話の続きや繋ぎの話を書いてみるのもありカナ☆
川=´┴`) < プロットを書いて他の作者さんにストーリーを書いてっておねだりしてもええで
川*^A^) < アーでも書いてくれるかは作者さん次第ヨ
川´・_o・) < ソッカー



作品投稿の際、10レスを越える場合は連続投稿規制(バイバイさるさん)がかかるので注意。
それから1レス当たり最大32行までしか入らないのでそれも注意。



ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_coming.jpg

君の作品を待ってる



<※初めてスレを訪れた方へ>
 お勧めの作品やわからない用語については遠慮なく質問してみてください
 スレに何人もいるであろう「生き字引」が24時間以内に答えてくれるでしょう(多分)
9名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 08:29:18.61 0
>>1
おつでやんす
10名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 09:09:24.95 0
>>1
おつですわ
飯窪さんやダーイシの設定に悪意と愛情を感じましたわ
11名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 09:41:42.99 0
>>1
新スレ乙です
12名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 10:00:34.06 0
次回予告
              -〜の為 外出の際は十分お気を付け下さい-
    幸せな気持ちを続けるつもりが 憂鬱な話題が流れ 私はリモコンのスイッチを押す

          今日も《れいなちゃん》が遊びに来てくれた そしてお決まりの
          -れいなちゃんのmail-『明日も遊びに行っていいと?(*´∀`*)』
        -わたしからの返信mail-『いいよ』『でも気を付けてね さっきコンビニ
        行こうとしたら テロ事件があるからってお母さんに止められちゃった』
  -れいなちゃんの返信mail-『心配しすぎ!大丈夫だよ〜あいぼん 前より心配症になったね』

             ・・何気なく れいなが使った『前より』と言うコトバ・・

いつか れいなちゃんがボソッと言っていた事・・・ ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro17099.jpg
「前のあいぼんは『れいな』って呼んでたっちゃ」・・分からん!前の私ってなんだろう・・分かんないよ
     ・・たまに れいなちゃんが今の私の行動は違うって指摘するんだ 前はこうだったって
      でも 私は前からこうだよって・・前から まえ?・・おかしいな・・うーん昔の思い出
       あまり 記憶がないなぁ・・どうしてだろう?ねえ どうしてなん? れいなちゃん

                       写真はあるのに

    いつか聞いてみようと思うんだ 前の私の事を れいなちゃん わたし・・後悔はしないよ
        『もうこんな時間かぁ ヨシっ!明日も楽しい思い出イッパイ集めようっ!』


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「青春コレクション」

            【決して 戻らぬ思い出なら…せめて 残らず集めさせて】
        『そうだ!明日は《れいな》って呼んでみよう フフっ ビックリするかな』
13名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 10:34:46.71 0
乙です
れいなとあいぼんっていうのも初期からの流れですよね
1レスの積み重ねが大河を作っていってる
14名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 12:10:42.07 0
新参なんで昔からの流れはわかんないけど【決して戻らぬ思い出なら〜】のくだりは切ないな
15名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 13:04:13.92 0
>>1
スレ立てとテンプレの加筆乙です
まあちゃんのネクロマンシー(死霊魔術)はちょっとそぐわない気がしないでもない
まあでもこれで正解なのだが

>>12
昨晩スレが落ちたから土曜日の出撃ですね
百以上の予告編を書き続けてきたかなしみの人だから成立する話ですね
おつでした
16名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 13:05:31.48 0
忍法帖で修行してきたままだったので下げてたw
17名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 14:45:40.09 0
どれあげとくか
18名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:03:05.06 0
遅ればせながらスレ立て乙
19名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:26:54.59 O
ご無沙汰しておりました
www39.atwiki.jp/resonant/pages/173.html
の続きです
20名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:33:47.11 O
ごめんなさいURL貼れてないけどRとRの続きです
21名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:34:25.82 0

第7話 ふるさと



「なんで、ばあばが撮った写真がこんな所に」

軽い頭痛があった。
愛の古い記憶が、愛に何か大切な事を教えようとしているかのように疼く。
優しくて苦いその大切な何かの輪郭に、もう少しで手が届くかという時、ドアをノックする音が愛の思索を打ち切った。
振り向くと、後藤真希が着替えのすんだ愛の姿を眺めていた。

「結構似合ってる。愛ちゃん」
「愛ちゃん?」
「愛ちゃんって、呼ばれてるんでしょ。だから私も」

「呼び方なんか」と吐き捨て、愛は後藤に詰め寄る。
何故自分の写真が、それも十年も前の写真がこのダークネスの基地にあるのかと。
後藤はその質問に直接は答えず、愛に付いて来るよう促しながら背を向け、部屋を出た。

「どこ行くんや」
「一番深い所」
「は?」
「そこに、真の闇がいる」

愛の困惑をよそに、後藤はスタスタと歩みを進めていく。
小走りになって愛は後藤に追いつき、質問を続けた。

「いるって、何が?」
「真の闇。ダークネスよ」
「ちょっと待って。ダークネスがいるって、ダークネスは人間なんか?」
「そう。その人に会って欲しくて、愛ちゃんにここまで来てもらったんだから」
22名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:35:23.79 0
不意に、後藤が立ち止った。
後藤の視線の先、通路の突き当たりのエレベーターの扉が開き、中から一人の女が姿を現した。

(ガキさん……?)

違う、錯覚だ。里沙がこんな所にいる訳がない。愛は目をすがめてもう一度女を見た。
事もあろうに愛が里沙と見間違えたのは、安倍なつみであった。
風貌はまるで似通ってないのに、何故なつみを里沙と見間違えたのか。
眉間に苦みを走らせながら、愛は自らに問うた。

理由はすぐに分かった。張りつめ方だ。
体の奥からどうしようもないものが溢れて、その場にへたりこみそうになるのを何とかこらえているような――
指先で突いただけで、弾けて空気にとけていってしまいそうな――
時々里沙が誰にも見つからないように、そんな張りつめ方をしていた。

(何を、こらえて……?)

すれ違うなつみの横顔に、愛は何か尋ねる言葉はないかと想いを巡らせようとした時、
後藤が静かな声でなつみに語りかけた。

「お別れ、してきたの?」

振り向いたなつみの瞳の闇色が、微かに震えているように見える。
少しの間をおいて、なつみは口を半ば開き、後藤に何か伝えようとしたが、なかなか想いが言葉のかたちにならない。
きっと、心を言葉にしようとすると、泣き出してしまうからかもしれない、と後藤は悟った。
後藤は無言で、夏の夜空を思わせる瞳でなつみを見つめながら、紡がれるであろう言葉を待っている。
そして

「雪が降ったら、その時は――お願い」
23名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:36:09.01 0
ようやくにしてなつみから発せられた言葉を聞いた時、後藤の横顔に一瞬の影が差した。
去っていくなつみの背中と後藤真希の横顔を隔てる距離が徐々に広がっていく。
呼吸すらはばかられる静寂の中で、愛は今自分がひとつの別れに直面していると悟った。
そして後藤は、なつみを見送ってしばらくの沈黙を置いて、意を決したように愛に振り向き、言った。

「愛ちゃん、エレベーターに乗って」

エレベーターの向かう先は、真の闇。




ぱっ、と世界が開けるような。
上手側の舞台袖からステージに入った時、新垣里沙はそう感覚した。
見上げた天井に吊られた地明かり用の灯体の白い光が、里沙の頬を照らしている。
公演をやっていない今ですらこれだけ光に溢れているのなら、コンサート中はどれだけ色鮮やかな世界になるのだろう。
里沙は、決戦を目の前に控えた極度の緊張状態で、不意にそんな事が気になった。

(もし違う生き方があったら、こんなステージで……)

――歌う事が出来たら、どれだけ素敵だろう。
里沙は舞台の空気を呼吸しながら、ふと、心を遊ばせた。
それは、これまでくぐり抜けてきた数々の死線がもたらす落ち着きと、一人残してきた久住小春の事が心の中で絡み合っているせいか。
それとも、決戦を前にした精神の緊張を解きほぐす彼女なりのウォームアップか。
どちらにしろ、コンサートホールのステージ壇上から、客席を埋め尽くす人影を目にした時、里沙は胸の奥に芽生えた甘美な想像を打ち切った。

客席に整列しているのは、政府特務機関Mの特殊部隊――通称FRONT(戦線)――の隊員達である。
肩にM制式の多目的アサルトライフルを掛け、最新型のケブラー製耐衝撃コンバットスーツに身を包んだ五百の精鋭達は、
里沙の覚悟に共鳴するかのごとく、一糸乱れぬ動作でリゾナンターに対し敬礼の構えを取った。
ザッという動作音と共に、隊員達の気迫と正義感がホールの空間を、思わず息をのむのも躊躇われるほどの静謐な緊張に包みこんでいく。
24名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:36:47.68 0
「すまんな、こんな所まで呼び出して」

里沙は客席を見つめたまま、ステージ奥に姿を現した中澤の言葉に振り向きもしない。
近づいてくる中澤の足音へ向けて、里沙は言った。

「彼らを秘密裏に一所に集めるため、でしょうか」
「それもあるけどな」

中澤は里沙の隣に立ち、軽く息を吐いて、口元に透き通るような微笑を浮かべた。

「見せたかった」
「え?」
「あいつらにリゾナンターを。そして、あなたたちに共に戦う仲間を」

「仲間……」呟いて里沙は、中澤裕子という人間がますます分からなくなった。
中澤はダークネスから姿を消して以来、十年の歳月を費やしこれだけの部隊を組織したのだ。
それは偏に中澤の手腕と卓越した統率力の産物であろうが、それに伴う労苦も計り知れない。
中澤も戦い続けてきたのだ。
中澤裕子もまた、なつみや里沙と同じように、孤独の死闘を積み重ねてきたに違いない。
その労苦と死闘の結晶を――

「M特殊部隊FRONT。十三個小隊520名を、これよりリゾナンターの指揮下に委ねます」

――その言葉は、里沙にとって予想外であり、予想通りでもあった。
里沙は振り向いて中澤の顔を見つめたが、その表情から真意を読み取るのは難しい。

「本気ですか?」
「たった九人でこれまでよくダークネスと戦ってきてくれたリゾナンターに対しては、これでも全然足らんやろ」

そう言って中澤が里沙達リゾナンターを見やった時、一瞬、その瞳がほんのわずか揺れた。
久住小春の姿が無い。それに気付いた時、無意識のうちに小春の姿を探したためだ。
25名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:37:30.28 0
そしてその“揺れ”を――中澤が今さら小春の不在に気付いたという事実を――見逃す里沙ではない。
つまりそれほどまでの緊張の中決戦の日を迎えていると、新垣里沙に見透かされた。

「小春なら来ませんよ」

コンサートホールの閉鎖された空間に、初夏の風が吹いたような錯覚を中澤裕子は覚えた。
それほどまでに里沙の声は涼しげであった。
中澤の奥歯をプレッシャーという名の苦みが走り抜ける。

「それは何故かと訊いたら、答えてくれるか?」

いくばくかの茶目っ気を含んだ視線で中澤を見つめながら、里沙は軽く首を横に振った。
中澤の背筋を冷たいものが滑り落ちていく。
常人には感知することすら至難であろうわずかな瞳の“揺れ”の隙間から、里沙が自分に心理戦を仕掛けてきている事を察したからだ。

「小春は私たちの切り札です。簡単には教えられません」

ほう、と呟きを漏らしながら、中澤は里沙の言葉を咀嚼する。
やはり里沙が小春を連れてこなかったのは確固たる目的があっての事だったのだ。
最終決戦としても差し支えのないこの運命の日に、リゾナンターにとって貴重な戦力である久住小春を敢えて欠けさせる新垣里沙の一手。

――その一手を知りたければ、そちらの手の内を全てを明かせ。

という意思が里沙の言葉の奥から強烈に匂い立つ。
サイコ・ダイバーと渾名されるその凄味がまるで抜き身の刃のように、中澤の喉元に付きつけられる。

「たった一晩で、随分頼もしゅうなって」

半ばおどけたような言い方であったが、中澤のその声の奥には驚嘆の色が見え隠れしている。
中澤が感じ取っている凄味と不気味は、自分と五分以上の駆け引きを演じてみせている里沙からだけではない。
この切所で里沙の背後に立ったまま、沈黙を守り続けている6人のリゾナンターに対してもそうだ。
その沈黙は、覚悟と信頼によるものか、それとも――?
26名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:38:30.76 0
(今さら考えてみた所で埒が明くもんじゃない、が、この状況で何を?)

常識では測れない何かを狙っているに違いない。
それは果たして、中澤裕子と、安倍なつみ、飯田圭織が織上げたリゾナント・ブルー計画という運命を越えて飛翔し得るものか。
もしそうならば、奇跡は――奇跡?

「奇跡を起こそうとでもしとるんか」

思わず、まるで童女のような顔で中澤は胸中に浮かんだ問いを口にした。
対する里沙は、母親がわが子に向けるようなまなざしで背後に立つリゾナンター達を見やり

「私たちがダークネスを敵に回して今日まで生き延びてこれただけでも、奇跡です」

と、よく通る声でそう言った。確かに里沙の言う通りかもしれない。
薄い刃の上を行くような旅路を、気の遠くなるような長い日々を費やしてようやくここまで来たのだ。
光と闇の決戦の今日この日に、これだけの戦力を結集させられたその事自体が、既に奇跡の領域に足を踏み入れている。
中澤はそう思いなおし、心に立ちこめたもやを払った。

「では、更なる奇跡を掴むため、こちらの誠意を見てもらおう」

先程とはうって変わって別人のように成熟した女の顔で中澤はそう言って、
空間裂開能力を発動し、ホリゾント(舞台奥の壁)に大型の金色の輪を出現させた。
するとほどなくして、光の輪から数人の技官と、無数のケーブルで大型の装置に繋がれた金属製の椅子が姿を現した。

「あれは?」
「リゾネーター。切り札よ」




エレベーターのディスプレイに数字を打ち込む後藤真希の後姿を見ながら、愛はかけるべき言葉を探していた。
何から尋ねればいいのか、あまりにも分からない事が多すぎる。
27名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:39:17.91 0
「何から話そうか」

その様子を察したのか、後藤が振り向いて愛に声をかけた。
と、同時にエレベーターが静かに地下深くへ降りていく感覚があった。

「最深部まで結構かかるから、その間に聞きたい事あったら言ってね」
「あの……」

先程のなつみと後藤の別れの場面が、妙に心を疼かせていたが、愛は敢えてそれは聞くまいと思いなおし、
慎重に言葉を選びながら、十年前に祖母が撮った自分の写真が、何故ダークネスの本部にあったのか。
その理由を問いただした。

後藤は愛の問いを目を閉じながら反芻し、しばらくの間をおいて、ぽつり、ぽつりと語りだす。

「昔……ずっと、昔ね。愛ちゃんや、私が産まれるよりも前に、一人の能力者がいたの。
そしてその人は、ずっと心を痛めていた。どうしてこの世界はこんなにもかなしみで溢れているんだろうって」
「かなしみで……心を」
「その人はこの世界に溢れるかなしみを少しでも減らそうと世界を守るための戦いに身を投じた。
そうするために自分は強大な力を持って生まれてきたのだと信じて。
 初めは孤独な戦いだったけど、いつしか同じ志を持った人たちが彼女の意志に共鳴して、その人を中心にひとつの組織が生まれた」
「組織って、まさか……?」
「そう。ダークネスよ」
「ダークネスが、世界を守るために作られたって?」

「馬鹿な事を」と吐き捨て、つくならもっとマシな嘘をつけと言わんばかりに愛は後藤を睨みつける。
後藤はその視線を避けようとはせず、微かに瞳を潤ませながら言った。

「どんなに残酷な事も、時としてその始まりは善意によってもたらされるのよ」
「言い訳なんかしたって、お前らのやった事は――」
「許される事じゃない。でも、人にはやらなきゃいけない事がある。やり遂げなければならない事が」
28名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:40:57.86 0
後藤の脳裏には今も鮮明に七年前に獣人の一族を襲った惨劇の光景が焼き付いている。
あの日以来、一時たりとも後藤は許さなかった。
圧倒的な力で獣人たちの命を次々と奪っていった安倍なつみ、そしてその虐殺を止められなかった自分自身を。
なつみの真意を、リゾナント・ブルーの全貌を知るまでは――

「愛ちゃんにも、やってほしい事がある」
「なんや、私がやる事って?」
「許す事」
「はあ?さっきから訳の分からんことばかり!あたしは何であの部屋にばあばが撮った写真があったのか聞きたいだけや!」
「許してあげるって、約束して。じゃないと……」
「もう!いい加減に……!?」

――どうか、許してあげてね……

言葉が走った。
不覚をとり、安倍なつみと後藤真希によって愛が組織に攫われた際、途切れる寸前の意識が聞いたなつみの言葉だ。
「許してあげて」――誰を?誰を許せと?


【これより先はこちらのBGMと共にお読み下さい】
http://www.youtube.com/watch?v=xYTFbs0TJuQ


「痛っ……!」

記憶のうごめきが、痛みとなって愛のこめかみを疼かせる。
心の奥深に封印された甘く苦い日々が、愛に何かを訴えかけている。
「思い出せ、あの愛とかなしみを」と。

「誰を……許せって?」
「真の闇、能力者ダークネス。そして、愛ちゃんの、お祖母さんを」
「あたしがばあばを?何で――」
29名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:42:53.33 0
――その人は、ダークネスの生みの親なのよ

あの時のなつみの言葉を思い出すと同時に、稲光のように過去と現在を繋ぐ一筋の道が愛の心に浮かび上がる。
ダークネスの生みの親――ダークネスを生んだ親――即ち――母親。
能力者ダークネスの母親。そして――

「あの人が……あの人があたしの」

幼き日の記憶、つい先ほどまで見ていた夢の中で泣き喚く愛をかなしそうに見つめていた一人の女。
彼女に愛は抱きしめてほしかった。
愛は彼女を愛していた。彼女も愛を愛していた。だから

――愛してる!

と、言葉で、声の限りを尽くして、愛を抱きしめたのだった。
ありったけの愛とかなしみで、愛を抱きしめた。
温もりと呼ぶにはあまりにもかそけき記憶が、愛の胸に蘇る。

「……i914、ダークネスが生んだ能力者。――あたしは、ダークネスの娘。闇から生まれた光」
「愛ちゃん、思い出したの……?」
「あたしは、あたしは……」

愛の両の目から、二十年にも及ぶ封印から解き放たれた思いが零れ落ちる。
時を越えた涙がほろほろと頬を濡らしていく。
霞む視界の向こうに浮かぶ母の頬をさするように、愛は虚空に震える手を伸ばし、そして張り裂ける思いが絶叫となり、愛の口から迸った。

「愛されていた!」

愛はその場に崩れ落ち、胸の前で両手を強く握りしめた。
親が子を愛するという、あまりにもありふれた、世界中でただ一つの思いを、当たり前の奇跡を。
愛は祈りにも似た姿勢で、震える思いを握りしめる。
そして、唇から漏れる嗚咽の声を聞いた時、愛は今自分が泣いていると知った。
30名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 16:53:52.39 0
>>21-29
『R-Infinity(7) ふるさと』
お目汚しでございました
作中に曲を貼るというBGMの人の手法をみのり、もとい、ぱくりました
御不快になられたら申し訳ありません

という訳で今シリーズの主役新垣里沙のモデルであります新垣里沙さんについての耳寄りな情報なんですが
なんと今、新垣さん主演舞台「みのり」が池袋シアターグリーンで絶賛上演中だそうです!
7月10日までやっているそうです行ける方は行きましょう!
想像を絶する新垣さんのかわいらしさがアナタを待ってるぞ!
31名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 17:35:27.27 0
なんだガキさんの舞台の宣伝か(違
リゾナンターと特殊部隊の閲兵式
蘇った愛ちゃんの記憶
どれもが手に取るように伝わってきた
続きを熱望

「みのり」には行けないw
32名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 17:44:34.17 0
>>30
乙です
続きを読めて感無量
33名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 17:51:12.92 0
>>30
どれだけ待たせる気だ!…という怒りが読むうちにやっぱり大好き!いくらでも待つわ!になる不思議
これが恋かしら!

明らかになりつつある謎も含めて気になりすぎる続きをいつまでも待ってます
34名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 18:39:11.26 0
まぁ基本的な発想ではあるが


http://ameblo.jp/takahashiai-blog/entry-11296132572.html

■愛ちゃんがスパーヒーローになれば、どんなパワーが持ちたいか?

瞬間移動
35名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 19:24:59.32 0
さすがだな
36名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 19:40:00.97 0
スパーヒーローというのがミソだな
瞬間移動で湯気煙る大浴場を跳び回って年少のメンバーを襲うリーダーの姿を思い浮かべたよw

>>30
いろんな作品で描かれてきた高橋愛のかなしみが「ふるさと」の曲で溶けたように感じた
まだまだ見えない終局へ向かって進み続けて欲しい
37名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 19:49:50.00 0
>>36
読みたいなその話w

>>30
このシリーズにBGMは意表を突かれたけどすごくはまっててよかった
サビの「涙止まらなくても」の部分と重なってくる感じが
38名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 20:45:12.96 0
>>30
世界を救うために結成されたダークネスとリゾナンターが何故戦わなければいけないのか
その謎が明らかになったとき愛はどうするのか
完結の日が待ち遠しいけど来て欲しくない
39名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 21:32:58.84 0
前スレ昨日の昼以降に作品あがってました?
40名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 22:37:28.19 0
昼以降は上がってないかな
昨日の夜中の代理投稿がラスト
41名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:12:16.66 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/636.htmlつづき


-------

古びた倉庫の中で、黒い髪を伸ばした女はひとり佇んでいた。
もうそろそろ決着はついただろうかと考えながら、暗い室内にあるひとつの窓を見る。
四角く切り取られた空が眩しい。もうすぐ秋が始まるのかと考えていると、急に倉庫の扉が開いた。
どうやら作戦終了のようだと胸を撫で下ろすと、そこには想定外に人物が立っていた。

「やっと見つけましタダ」

そこには、体にいくつかの傷を受けたリゾナンターであるジュンジュンが立っていた。
女は思わず「なんで?!」と叫んだ。

「どうして、此処が分かったのよ!」

ジュンジュンが大袈裟に肩を竦めると、そのすぐ後ろからリンリンが入ってきた。
彼女もまた同じように怪我を負い、頬からは一筋の血が流れていた。

「簡単な計算と勘デスヨ」

そうしてリンリンはニコッと笑った。
42名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:13:02.26 0
-------

屋上を駆け降りたジュンジュンはそのまま息を切らしながら街を走った。
ふと隣を見ると、いつの間にかリンリンもそこにいた。

「どうしてついてきた?」
「あなたを護ることが盟約ですから」

思わずジュンジュンは脚を止めた。
彼女の瞳には一片の迷いもない。ただ純粋にジュンジュンのことを信頼しているのが伝わってくる

「それに、逃げたわけじゃ、ないんでしょう?」

リンリンの笑顔にジュンジュンもまた苦笑した。
恐らく彼女も、なんらかの言い訳をして、愛と里沙の元を離れたのだろう。
ジュンジュンのような言い方をしたのであれば、彼女の信頼も地に堕ちてしまったのかもしれない。
その信頼を取り戻すには、結果を示すかしかない。

「亀井さんと光井さんに連絡取れる?」

その言葉だけで意図を理解したのか、リンリンはポケットから携帯電話を取り出した。
数コールのあと、相手は電話に出た。

「あ、光井サンどうも。あの、つかぬこと聞きますケド、いま、能力使えマスカ?」
43名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:13:56.18 0


愛佳の答えを聞いたふたりはそれぞれ別々の方向へと走り出した。
いま、愛佳と絵里は同じ病院内にいて、ふたりとも能力を使える状態にあった。
ジュンジュンとリンリンのいるこの地点ではまだ、能力は発動しない。
此処から病院までの距離はおおよそ3キロ。先ほどいた場所から此処までの距離はおおよそ1キロ。
単純に計算しても、“能力封鎖(リゾナントフォビット)”の有効範囲はさほど広くないことが分かる。
ジュンジュンとリンリンが別方向へと走り、それぞれの能力の発動できる距離を知ることができれば、おのずと、能力者のいる場所は特定できる。


「能力の使える3地点は円周上に結ばレ、その円の中心にいるのガ、能力者」
「つまりそれガ、此処ってことデスヨ」

説明を終えたリンリンは頬の傷を指でなぞった。
赤い血が指先に付着し、それをぺろりと舐める。鉄錆の味はどう考えてもまずい。

「此処の近辺にダークネスの人ガいましたダカラ、確信もてたんですケドネ」

その言葉に女はハッとした。
いま、このふたりの受けた傷は、自分を警護するダークネスたちと闘って受けたものだということに気付く。
そして、警護者を失った自分が追い込まれているということにも気付いていた。
“能力封鎖(リゾナントフォビット)”を発動しているとはいえ、相手はふたり、しかも此処を警護していたダークネスを倒している。
勝ち目なんて、あるわけがなかった。

「私を……倒すの?」
「そう、なりマスネ」

ジュンジュンとリンリンはそう言うとぐっと構えた。
女は自身の敗北を悟ったのか、戦意を喪失し、抵抗する様子は見せなかった。
44名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:14:52.47 0
「……なんであなたたちは闘うの?」

急に向けられた言葉にジュンジュンは眉を顰めた。
追い込まれた人間が土壇場で世迷言を離すのはよくあるパターンだった。戦術のひとつとしては美しくはないが悪くない。
だが、それがあまり予想しなかった言葉であったため、女の言葉を急がせた。

「なんのために闘うの?私たちを倒しても、まだまだ大勢の敵はいるし、力が強大だってことも知ってるでしょ?」

自棄になっているのか、女は饒舌だった。
耳を傾けるべきか、さっさと殺すべきか悩んだが、結局女の好きにさせることにした。

「あなたたちのやってることは、無意味なのよ!」
「無意味かどうか、決めるのはあなたじゃない」

女の言葉に被せるように発せられた言葉にジュンジュンはピクッと反応した。
リンリンは真っ直ぐに女を見つめ、重苦しい言葉を吐いた。

「あなたたちに正義があるように、私たちには私たちの正義がある。護りたいものがある。だから闘うんです」

リンリンはそう言うと一気に女との間合いを詰めた。
懐に入ったかと思うと、右の拳を腹に突き立てる。「ぐぁっ……!」という鈍い声が響いた。
そのまま間髪入れずに膝を砕くと、女は無様に地面に倒れた。
リンリンは女に馬乗りになると、両手を首にかけ、全体重を乗せた。

「私は、護りたいんです……この世界を……ジュンジュンを」

女はリンリンの両手首を掴んで抵抗する。
じたばたと脚を動かし、悶えるが、リンリンはぴくりとも動かなかった。
45名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:17:13.23 0
ジュンジュンはただその様子を黙って見つめていた。
彼女の云う「正義」を思う。
絶対唯一の正義なんてものは存在しないから、世の中には戦争が起こるし、政党だってコロコロと入れ替わる。
ある立場での正義は、ある立場での悪にしかならない。だから世界はいつも不均衡でズレている。

だからこそ、彼女は云う。
自分の信じる、護りたい正義のために闘うのだと。

それはジュンジュンも同じだった。
護ってくれる彼女のために、護りたい世界のためにジュンジュンは闘う。
果たしてそれが正しいかどうかなんて分からない。きっとリゾナンターの正義は、ダークネスにとっては悪だから。
でも、ダークネスにとっての正義がリゾナンターにとっての悪だとしたら、やっぱりジュンジュンは、「闘う」という選択肢を選ぶしかない。


女はごほっごほっと鈍い咳をし、口の端からは白い唾液を垂れ流した。
顔がどんどん欝血し、どす黒く変化していく。下腹部からは僅かに液体が流れ、水溜りをつくっていた。

「ごめんなさい。これが私の正義なんです―――」

リンリンはそう言うと、一気に体重を首の一点に乗せた。
ごきんという鈍い音のあと、女はびくっびくっとなんどかエビのようにのた打った。
手首を握り締めていた指はだらしなく垂れ下がり、地面に落ちた。それきり女は動かなくなった。

生命のある人間からただの肉の塊と化したそれを眺めながら、リンリンはゆっくりと立ち上がる。
ジュンジュンはゆっくりと彼女に近づく。リンリンは黙ったまま、横たわっているその肉の塊を見つめていた。
なにか言うべきなのか思考したが、結局なにも言わずに、先ほどまで生きていた女の目を閉じさせてやり、自分も目を瞑った。
祈る神もいないくせに、自分が殺したくせに、ふたりは暫く黙ったまま彼女の亡骸とともにいた。
46名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:19:08.07 0
-------

れいなが再び体の異変を感じたのは、ジュンジュンがいなくなってから20分後のことだった。
そろそろ脚が砕け、地面にひれ伏すというとき、体の中が温かくなっていくのを感じた。
いままでにない感覚に思わず震えたが、先ほどのような欠落的な印象はなく、その感覚を受け入れた。
懐かしくて、優しいその感触に、れいなは手を伸ばし、ぎゅうと抱きしめた。

空気が変わった。
どくんと心臓が大きく鼓動を打ち、なにかが中に入ってきた。

「……まさか…?」

異変に気付いたのは女も同じようだった。
東の方角をじっと見つめるが、その先になにがあるのだろうとれいなは疑問に思った。

さゆみは待ってましたといわんばかりに右手を広げ、地面を叩いた。
びしっという音のあと、地面に裂け目ができたかと思うと、男たちの足元が崩れ去っていった。
足場をなくした男たちは逃げることも叶わずに重力の法則に従い、そのまま階下へと落ちていった。

「“物質崩壊(イクサシブ・ヒーリング)”……ということは、能力、使えるみたいだね」

さゆみの言葉にれいなはハッとした。
先ほどから胸に溢れたこの感覚は、自分の能力が戻ってきたことを意味していたのだと気付く。
ずっと傍にあり、一瞬だけ失ってしまった懐かしい感覚に、れいなは思わず「おかえり」と呟いた。

「あー…あとでみんなまとめて病院だね。まあ骨折くらいだし、だいじょうぶでしょ」

さゆみは階下に落ちた男たちを見つめて呟いたあと、視線を女へと戻した。
足場を崩したおかげで敵は一気に減り、残るは能力者である女ただひとりだった。
47名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:20:09.05 0
「ジュンジュン、“能力封鎖(リゾナントフォビット)”の使い手、倒してくれたみたいだね」
「……え?」
「れいな、まさか本気でジュンジュンが裏切ったと思ってた?」

「あれかなり良い演技だと思ったのにー」とからかうように笑うさゆみにれいなは背中にイヤな汗をかいた。
頭はさほど良くないれいなでも、なんとなく分かることがあった。
ジュンジュンはれいなやさゆみを護るために、わざとこの場を離脱したというのだろうか。
仲間割れに見せかけて、敵を騙して安心して能力者を倒しに行けるように。
まさか、と思うが、それ以外にしっくりくる説明ができない。

「……マジか……」
「マジだよ、れいな」

さゆみの言葉にれいなはがくりと肩を落とした。
自分はどれだけジュンジュンを信頼していないというのだろう。彼女はこちらを信頼して、たったひとりで敵を倒しに行ったというのに……
こんな脆い絆じゃなかったはずなのに、どうしてれいなはジュンジュンを疑ったのだろう。

「っ…バカな!」

女は膝を叩き、地団太を踏む。
納得いかないというように唇を噛み、天を仰ぐ。

「あいつが……あいつがやられるとか、そんなわけない!」
48名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:20:46.85 0
「でも現に、さゆみたちは能力が使えるの。あなたこそ、そろそろ限界じゃないの、“精神干渉(マインドコントロール)”」

さゆみがそう言った途端、女は顔を歪めた。
こめかみを押さえ、数歩後退りする。どうやら、能力の限界が訪れたようだった。

「どうする?さゆみたちふたり、相手にできる?」

形勢逆転とはこのことだった。
“精神干渉(マインドコントロール)”の能力はいま確実に弱まっている。
愛たちが相手にしている人間たちも徐々に能力の支配から解放されるはずだった。
目の前の女も、術の撥ね返りのせいか、自分の脳に大きなダメージを受けていた。
能力の復活したさゆみとれいなふたりを相手にできるほどの力が残っているとは到底思えない。

「はっ……あんたらに殺されるなら、自分でケリをつけるわ」

女は口汚くそう言うと、れいなたちに背を向け、屋上の端へと走った。
そのままひょいと柵を越えると、くるりと振り向いた。
彼女がなにをやろうとしているのかは火を見るより明らかだったが、当然、ふたりは止めることはしない。

「じゃあね、バカなリゾナンターさん」

それだけ言うと、彼女は迷うことなく、飛んだ。
飛んだとは比喩表現ではなく、そのままの意味だった。
彼女は広い空へと歩を進め、ふわりと一瞬ではあるが宙に浮いた。そのまま重力に従い、地面へと落ちる。
風を切った音のあと、ぐちゃりという音がふたりの耳に届いた。
49名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:21:55.23 0
-------

彼女は地面に叩きつけられ、血の海の中で眠っていた。
有らぬ方向に四肢を曲げた姿を見下ろしたあと、ふたりは愛たちと合流した。
その場には、ジュンジュンとリンリンの姿もあった。

「だいじょうぶだった?」
「ハイ、リンリンが来てくれマシタダカラ」
「ごめんね、ふたりに無茶させて……」

さゆみと愛、そして里沙はふたりの行動の意図が分かっていたのか、笑顔で話をしている。
どうやら裏切ったと思っていたのはれいなただひとりであり、掛ける言葉もなかった。
ばつが悪そうに口ごもり、目を合わせられずにれいなはぼんやりと突っ立っていた。

「田中サン、ゴメンナサイ」

だが、急にジュンジュンから謝罪の言葉が飛び出し、れいなは面食らった。

「説明しないデ勝手に動いてゴメンナサイ」
「いや……れなも……ジュンジュンたちのこと、ちゃんと、信じて、やれんかったけん……」

直後、仲間たちから次々にからかいの言葉が飛んできた。

「もー。ジュンジュンとリンリンが裏切るわけないの」
「田中っちは良くも悪くも単純だからねー」
「まあれいならしいっちゃそうやけどね」

殊勝に謝ったかと思えば次々と受ける言葉の矢にれいなは引き攣った笑みを見せた。
ただ今回ばかりは自分の心の問題であり、なにも言い返すことなくそれを素直に受け入れた。
50名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:23:02.31 0
「なになに、れーななんかやらかしたの?」

すると、いつの間にか来ていたのか、絵里と愛佳がそこにいた。
病院を抜け出してきたのだろうかと思ったが、そんなことを聞く余裕もなく、言葉が交わされる。

「そうなの。れいなったらジュンジュンとリンリンが裏切ったって勘違いして本気で凹んでたの」
「あははっ、それマジバカじゃーん」
「まあでも、敵を騙すには味方からって言いますしねぇ」

それでもいろいろと言われるとれいなも段々と腹が立ってくる。
完全なる八つ当たりだとは分かっていても、れいなは苦虫を噛み潰した顔で首の後ろをかいた。

「やかましかっ!仕方なかやろ、いろいろあったっちゃから!」

その言葉に一瞬、場の空気が凍った。
それがなにを意味しているのかは明白だった。だれもがみな、久住小春のことを考えていた。
意図せずに異動が決まり、突然目の前から消えてしまった小春。
彼女の意志も、想いも、なにひとつ知ることなく奪われてしまった日常と、大切な仲間の存在。
失ったものの大きさと、これからどうなるのだろうという計り知れない不安にだれもが苛まれていた。

「ま、いろいろあったからこその8人やろ」

だが、その空気を敢えて壊すように、愛は明るく声を出した。

「変わるもんもあるけど、変わらんもんやってあるやろ」
51名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:23:42.11 0
そうして愛はふいに右手を差し出した。
突然のことにきょとんとしていると、なにかを察したのか、里沙がその手に手を重ねた。
それでなにか気付いたのか、里沙の手の上に絵里、絵里の上に愛佳、愛佳の上にジュンジュン、ジュンジュンの上にリンリンと手が重なっていく。
リンリンの手の上にさゆみが手を重ねると、れいなも同じように手を重ねた。
そして最後に愛が再び左手を重ね合わせた。

「なにがあっても、リゾナンターは、変わらんよ」

愛はニコッと笑い、全員の顔を見回した。
これから先のことなんてなにも分からない。なにがあるのかなんて想像もつかない。
変わることは当然あって、永遠なんて存在しないことくらい分かる。

だけど、それでも、それだからこそ、変わらないものだってある。
根底に存在して消えないものは、確かに此処に在る。

この場にいる8人の手、そしていないけれども確かに乗せられた9人目の小春の手をしっかりと感じ合った。
オレンジ色の夕陽が沈む中、8人の影は円となって伸びていく。
重なりあった影は静かに共鳴し、夜の闇へと溶けていく。
切なくて哀しい色ではなく、確かな意志をもった“蒼”は9人の中で静かに燃え上がった。



the new WIND―――circle of resonant
52名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:26:33.32 0
間違えてラストにタイトル入れてしまいました…
「the new WIND―――circle of resonant」です
新参者なので能力疎外といえばあの人、というのが分からなかったですm(__)m
もともとの予定通りダークネスは名無しの人物にさせていただきました
53名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 23:53:49.79 0
>>52
新しい作者さんですか
断末魔の描写とかなんかすごいと思う(怖いけどw)
これからもよろしくです
>>40
ありがとう
昨日えりぽんに精神崩壊くらってスレ見てなかった
54名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 01:36:28.69 0
寝る前ホゼナント
55名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 03:23:53.89 0
>>52
ダークネスはぬっ殺すけど〆は爽やかなギャップが面白い
能力阻害があの人だったら命乞いをして隙を見てキャハハと逃げたかも知れぬ
56名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 05:02:42.54 O
明日読みます
おやすみなんと
57名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 06:43:02.11 O
■愛ちゃんがスパーヒーローになれば、どんなパワーが持ちたいか?
瞬間移動
58名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 06:54:32.64 0
>>52
面白かった
敵を名無しにしたことでとどめを刺すリンリンの凄みとかが感じられた気がする
59名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 08:38:09.16 O
懐かしくて新鮮って不思議な感じがする
まだ続いていく物語に期待してます
60名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 11:14:22.67 0
日曜お昼前のほっ
61名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 11:32:14.51 0
Rさんの続ききてたか
正直もう絶対ないと諦めてた
最後まで書ききってほしいな
62名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 12:59:24.91 0
作者間では『みのり行きます?』がブーム
63名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 13:09:45.21 0
一人だけでしょうw
64名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 15:21:53.09 0
ほぜなんと
65名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 17:05:39.68 0
夕方なんと
66名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 17:40:46.06 0
夕食なんと
67名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 18:48:09.70 0
ボスからの指令

「リゾナントの新メニューを作るんや」
68名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 18:56:18.66 0
川*’ー’) <新メニュー『THE 摩天楼パフェ』やよ
ノ|c| ・e・) <・・・珍しくまとも

川*’▽’) <高さは驚きの123m!
ノ|c| ・e・)<うん、どうやって作るか考えよう
69名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 20:00:11.80 O
スカイツリーにあやかったパフェもあるしいける


わけないw
70名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 21:13:54.39 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/632.html#id_d0b7ea62の九期話の続き

 「――― みーずきっ」
 「うわひゃあっ」
 「なにしてんの?こんなところにへばり付いて」
 「な、なんだえりぽんか。驚かさないでよ。なんでいるの?」
 「質問を質問で返すなんて聖ひどいっちゃねえ。んー?あそこにいるのって確か敵怪人…」
 「えりぽん」
 「冗談っちゃん、えーとそうだそうだ、香音ちゃんだ。でも隣は知らない子。
 制服もみたことないし、もしかして侵入者っ?」
 「違うよ、ええとあの子はその、友達なの、そう友達っ」
 「そうなの?じゃあ別に隠れることないっちゃない?おーい、そこの二人ー」
 「あっ、ちょっとえりぽん!……もおKYっ」

譜久村は飛びだした生田に叫んだ。
結果的にその声で二人に気付かれたのだが、生田が携帯を構える。

パシャリ。
携帯を顔から離すと、鞘師に向けて笑顔を浮かべた。

 「見かけない子っちゃね。名前はなんて言うの?」

突然の訪問者に鈴木はうわっと思った。
生田衣梨奈、何故ここに?
その背後から出て来た譜久村が慌てて生田の肩を掴む。

 「ご、ごめんね二人共っ、その、盗み聞きしようなんて思ってなくて…」
 「何言っとうとよ、壁にへばりついとったやん」
 「わー!わー!」
 「ねえそっちに行っても良いっ?」
71名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 21:14:24.38 0
その言葉とは裏腹にがっつりとはしごを上って来る生田。
鈴木は慌てて箱をポケットに突っ込むと、鞘師の影に隠れるように移動する。
生田の後に上がってきた譜久村は気まずそうに笑顔を浮かべていた。

 「へえ、こんな所上がったの初めてだけど、良い景色っちゃねえ。
 で、あんたはどこの子?えりなはここの学校の2年っちゃけど」

鈴木と譜久村が鞘師に視線を注ぐ。
すると、鞘師は薄く笑顔を浮かべて、こう言った。

 「初めまして"えりなちゃん"。
 今度ここに転校することになった鞘師里保と言います」

 *



 「――― 知ってる?なんかさ、転校生くるらしいよ?」

黎明学園一年の生徒達は、朝一番、教室に入った瞬間から
この話題で盛り上がっていた。
ただその盛り上がりは普通とは少し違っていて。

 「転校生ってマジ?」
 「だってさあ今って…」
 「だよねえ…」
 「まだ"四月"でしょ?」
72名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 21:14:59.11 0
四月に入学式があり、その一週間後に一学期の始業式。
さらにその約一週間後が、今日。五月に入ろうという下旬だ。
ちなみに天気は相変わらずの晴天。
気温も高くなく風もゆるやかで、たいへん気持ちのよろしい一日が始まる予感。
中学生活は始まったばかりだ。

それなのに、転校生がやってくる。
妙なタイミングなのもあって、その騒動は他のクラス、他の学年にも飛び火しようとしていた。
そんな中で一番気になるのは。

 「ていうかオトコ!?オンナ!?」

それぞれがそれぞれに想像、妄想を膨らませる。
ああだこうだ、イメージは拡大していく。
ただ大概、冷たい現実。

日常の中のちょっとした刺激的な出来事は、そうやって幕を下ろす。
そのはずだった――― 。


 ――― 何を言い出すんだこの子は。

きょとんとする生田に、どう反応すれば良いのか判らない鈴木と譜久村。
鞘師はさも当然のようにドヤ顔を隠さない。

 「新しい学校が気になって、ちょっと忍びこんじゃったの。
 ここはあまり人も来ないから、丁度いいかなって思って」
 「…あはっ、そっか転校生かあ、やることが大胆っちゃねえ」
73名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 21:15:36.31 0
生田も笑う、鞘師の言葉に何の疑いも見せずに、純粋に受け止めていた。
そんな二人をよそに、鈴木とその隣に移動してきた譜久村は変に焦っている。
肩を掴まれた。

 「ねえ、転校ってホント?」
 「いや、今初めて聞いて…ていうかなんでみずきちゃんがいるの?」
 「私は里保ちゃんに用があって……それを言えば香音ちゃんだって。
 ずっと寝込んでるから今日も休むってお母さんから聞いてたのに」
 「あーうん、治ったから大丈夫だよ。ほら、このとおり」
 「そ、そうなの?でも気分悪くなったら言うんだよ」

笑顔を含めて表したのが良かったのか、譜久村の優しさにほんわりとした鈴木。
半分は嘘で半分は本当。
ただ説明するにはいろんな意味で面倒くさい。
ふと、視線に気づいたかと思うと、鞘師がこちらを見ていた。
鈴木ではなく、譜久村の方に。

 「フクちゃん、私に何か聞きたい事があるんでしょ?」
 「え?あ、ええと…」
 「良いよ、ここで話してもらっても」
 「でも二人が…」
 「なになに?なんの話?」

鞘師の言葉に戸惑う譜久村は、だが他の二人の視線も集まる。
口にした時点で遅し。
自分の知らない顔ではないというのもある。
諦めたように一呼吸つき、おもむろに口を開いた。
74代理募集中。。。:2012/07/08(日) 21:16:45.16 0
>>70-73
以上です。
4人の出会いは偶然のように歩き出す。

>>30
やっと洞窟から出て来ましたねおかえりなさい(殴

----------------------------ここまで。
75名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 22:18:35.79 0
>>74
乙です
フクちゃんの包容力とナマタのKYぶりは伝わってきた
76名無し募集中。。。:2012/07/08(日) 23:33:04.81 O
よるなんと
77名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 00:30:04.86 0
お休み前の保
78名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 01:40:32.22 O
>>74
何を聞くんだろう?
79名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 01:57:43.21 0
>>74
このお話のナマタはかなりナマタらしくて好きだw
80名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:23:42.13 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/621.htmlの続き
「誰ぁれが焼豚じゃーーーーーーーーーーーーーー!!!」

”焼豚”その一言で私の中で何かがプチっ、とキレた
持っていた”箱”を片手に持ち大きく振りかぶり、漏電ウルフマンに狙いを定める
リゾナント町内会ソフトボール選抜ピッチャーの強肩とコントロール、とくと味わえ!!!

ぶんっ!・・・ガコンっ!

鈍い音が響く
私の手から放たれた”箱”は鋭いスライダーの軌道を描いてウルフマンの頭をもろに直撃した

「ぐあぁああああっ!痛ってーーーーーーーーーー!!!テメェぶっ殺す!!!」

ジュラルミン製の”箱”の角が当たったらしく頭からピューと血を噴出しながらウルフマンが吼える
バチバチバチバチ・・・ウルフマンの全身に青い電流が今まで以上に激しく走り始めた。ヤバっ!

ウルフマンに背を向けて走る
丁度、サヤシが剣を構えてこっちに走りだしたところ
ヤバいヤバい、これは間に合わないかも
背後からはバリバリと電流のチャージ音
足元は雪、思ったように上手く走れない

「食らえっ!」

ウルフマンの咆哮
ゴロゴロゴロ、真上から雷の音!落ちてくる!

ビシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

オワタ・・・雷鳴の音に私は頭を抱えて座り込んだ
焼豚は嫌だぁ!むしろ最後に焼豚食べたいっ!
81名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:24:15.31 0
ゴロゴロゴロ・・・
雷が落ちた後の余韻の音

ん?確かに今雷落ちたよね?
でも何ともない・・・どこに落ちたの?
ほけーと考えていると背後から絶叫が聞こえた

「うわぁあああっ!何だコレはぁ!電気が止まんねぇ・・・うおっ!?」

振り返るとそこには悶絶するウルフマンの姿
ウルフマンの全身を走っていた青い光、帯電していた電気が
ある一点に向けて放たれて・・・いや、吸収されてるというべき?

ウルフマンの電気は全てそのある一点・・・”箱”に向けて漏れ出していた
まさに漏電ウルフマン?いやいや!これはどういうこと?

「止めろーーーーー!」

遠くから声が響く。お頭?

「早くそれを止めろ!そいつにエネルギーを与えるな!」

結果的には助かった・・・助かったけど何かマズいことが起きているらしい

「魔力のコアは胸の中央ですっ!そこを貫いて!」

イイクボさんの甲高い声に反応して、サヤシが立ち止り剣を水平に構えた

「伸びろっ!」

紅の刃がウルフマンの胸に向かって真っ直ぐに伸びていく
しかし、その刃はウルフマンには届くことはなかった
82名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:24:50.85 0
「くぅえあぁ、嫌だぁ!お、俺はまだ・・・誰か・・・止めてく・・・キャ、キャイ・・・」

ウルフマンの身体がどんどんと痩せ細り、まるで乾物のように干からびていく
そしてあっという間に干物になった身体はひび割れて、ボロボロと崩壊してしまった
サヤシが伸ばした紅い刃はウルフマンの身体が風化した後を空振りの形で通過していく

>Charge Complete

「クソっ!間に合わなかった!」
「コアを、魔晶石を処分しないと!」

お頭、そしてイイクボさんが慌てた様子で滑り降りてきた
よくわからないけど二人ともなんで焦ってるの?結果オーライじゃん

「お前!一体何を企んでいる!?」

お頭が箱に向かって話しかけている
その一方でイイクボさんは崩壊したウルフマンの残りカスをガサガサと漁る

「何ねコイツら?寒さでアタマおかしくなったと?」

お前には言われたくないだろ・・・けど二人のいきなりな奇妙な行動
これは後で詳しく話を聞くべきなんだろうね

「かのんちゃん!」

サヤシが駆け寄ってきた。
膝に手をついて前屈みにハァハァと息を切らせながらじーっと私を見つめている
明らかな疲労の色・・・
獣人達との戦い、ダーイシとの真剣勝負、雷を避けて全力ダッシュ
そりゃ疲れて当然だろうね
83名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:25:15.83 0
「サヤシ、大丈夫?」
「私は大丈夫。かのんちゃん・・・」
「ん?」
「アリガト・・・」
「あったー!コアありましたぁ!」

サヤシが聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で発した言葉は
イイクボさんの甲高い声に掻き消された

イイクボさんの手には真っ黒な大粒のダイヤモンド・・・アレがコア?

「とうっ!」

いきなりイイクボさんがその黒ダイヤを宙に放り投げた
そしてブツブツと呪文を詠唱しながらまるでイナバウアーのような奇妙ポーズ
イイクボさんの拳に渦を巻いた茶・・・いや、チョコレート色のエネルギーが集束していく

「ふぉおおおっ!神秘の波紋!茶色の波紋疾走(ChocolateOverDrive)っ!」

そっくり返った奇妙な体勢から放ったイイクボさんの拳は落下してきた黒ダイヤを精確に捉えた
チョコレート色のエネルギーが弾け、パリーンという音と共に砕け散る黒ダイヤ
砕けたダイヤからは真っ黒なエネルギーが吹き出し、霧散していく
へ?何今の?私達はただただその様子をぽかーんと見つめていていることしか出来なかった
暫しの間の後、KYが口を開いた

「・・・茶色なのかチョコレート色なのかハッキリした方がよかよ」

ツッコミどころはそこかい!そうじゃねぇだろう!

「カッコの付いてる英訳が読み方なのでチョコレート色ですっ!」

そんなことはどうでもいい!今の行動は一体何だ!
84名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:26:05.08 0
「何とか言えよこんにゃろ!オラぁ!」

”箱”を叩いたり蹴飛ばしたりしているお頭を放置して私はまずイイクボさんから事情聴取を始めることにした

「今いったい何が起こったの?どうして漏電ウルフは死んだの?」
「ええっと、あの箱の事はよくわかりませんけどどうやら魔晶石の魔力が暴走したようですね」
「暴走の原因は?」
「それはあの箱が関係してるんじゃないかと・・・ただ強大過ぎる魔晶石は制御不能になっても不思議ではありません」
「魔晶石って何?」
「高位の魔導師だけが作成できる魔力をエンチャントした石です。恐らく作ったのはヘケートでしょう」

魔力?エンチャント?よくわからないけど魔法というものは確かに存在してそれを操る者が居ることは事実なんだろうね

「ヘケートって何者?」
「1000年以上前に私達の世界で魔法大戦を引き起こした暗黒の魔女です。9人の光の勇者に破れて行方不明になっていましたが・・・」
「さっきからこっちの世界とか私達の世界とか言ってるけどイイクボさんは一体どこから来たの?」
「皆さんの世界の海と大地の間にある世界、エルダーアインから来ました」

海と大地の間の世界・・・う〜ん、どっかで聞いたおとぎ話のような
にわかには信じ難いけど現実に魔法を見せられちゃ信じざるを得ないかもしれんね

「ところで卒業試験がどうこう言ってたけど」
「あ!そうなんです!実は卒業試験の課題がですねぇ、そのヘケートを倒すことなんですよ!」

そ、そうなんですか・・・いや、倒すことなんですよと言われましても・・・
えっ、ちょ!突然イイクボさんが手揉みをしながらスリスリと身体を寄せてきた

「いや〜、しかし皆さんお強い。こちらの世界に皆さんのような勇者が居るとは思いませんでした」

何か嫌な予感がするんだけどこれって

「そんな皆さんにお願いなのですが私の卒業試験をですねぇ・・・」
85名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:26:54.64 0
「何ダークネス出すと?額によっては引き受けちゃる」

急にKYが話に割り込んできた。お前、また金かい!

「こちらの世界の通貨は持ち合わせておりませんがこれを・・・」

イイクボさんが重そうな茶色い袋をKYに渡す
すぐさま袋を開けるKY・・・ジャラっと音が鳴る

「こ、これは・・・全部金貨!!!」

KYの目が¥マークになった

「契約成立っちゃ!魔女だか何だか知らんけど大船に乗った気持ちでよかとよ!」
「有難うございますぅ〜、これはこの世界の武器ですか?カッコいい!いやぁ実に頼もしい!」

まぁ元々金で動くハンター、KYともこれでお別れかな・・・
魔女がどうこうとか私達には関係ないし仕方がないんだろうね

「かのん!りほ!魔女狩りっちゃよ!」

ハァ???
私とサヤシは全く同じタイミングでズコーっ!とコケた
何で私達が?しかも呼び捨て???

「サヤシさぁん、ヘケートってすっごく悪い奴なんですよぉ。放っておくとこの世界が闇に包まれちゃいますよぉ」

私達の様子を見てサッ、と素早くイイクボさんがサヤシに擦り寄った
この女・・・この短時間でそれぞれの性格を見抜いてる!?ただの変な魔法使いと思ってたけど侮れない!
86名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:27:39.73 0
「光の勇者・・・って言ってたよね?」
「はいぃ、私達の世界の伝説の勇者なんですよぉ!」

サっ、サヤシが話に乗ってる!これはヤバい!

「その9人って光を操ったり傷を癒したり獣に変身したりするの?」
「えっ!サヤシさん何で知ってるんですか?前に私達の世界の人間に会ってるんですか?」

・・・光の戦士。確かに私達の世界にもそんなおとぎ話はあるけど

「光のタカーシャイ、傀儡使いのニーガッキー、風のエリン、癒しのサユーミン、預言者ミッツ、雷鳴のコハルーン・・・」

イイクボさんが光の勇者達について語り始めた
似てる・・・私達の世界の光の戦士になんか似てる

「緑炎のリンコ、神獣のジェイジェイ・・・そして共鳴のレイナード。これが私達の世界の光の勇者です」

どういうこと?偶然にしてはあまりに私達の世界の伝承と似過ぎてる
もしかして・・・みんな同一人物?

「わかりました」

ずっと黙って聞いていたサヤシが口を開いた
へ?わかりましたって何がさ!?

「恐らく私はその魔女と戦う宿命。光の戦士を継ぐ者として」
「ちょ!サヤシ何言って・・・」
「そうです!私達は光の勇者が成し得なかったことを果たす宿命を負ってるんです!」

ど、どこまで調子がいいんだこの女!!!
そうだ!お頭!何とか言ってやってよ・・・ってオイ!
後ろを振り向いた私は重大な事実に気付いた
87名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:28:09.10 0
「ず、ずびばぜんでじだ・・・もう追及じまぜん・・」

お頭が身体のあちこちからプスプスと煙をあげて倒れている!
その足元にはビリビリと帯電してる”箱”!
私は慌ててお頭を抱き起こす

「一体何があったの!?」
「ぎをづけろ・・・ごいづの正体は・・・」

ガクッ、と項垂れてお頭は気を失ってしまった
箱・・・明らかに何らかの意思を持った存在。世界を変える力の正体って一体・・・

「あらあら大変!皆さんお寒いでしょうしコテージ用意しますね」

イイクボさんが懐から小さな家の模型を取り出した
いや、そんなオモチャを用意されても・・・って!?
ボンっ!
イイクボさんが模型を地面に投げつけると煙と共に突然目の前に木製の小屋が現れた!
なんじゃこりゃあ!
サヤシもKYもさすがにポカーン、としている
これも魔法?あまりにもご都合主義のインチキじゃないか!

「ちょっと!これ何よ!?」
「はい?魔法のコテージですが何か?1個3000ギルで道具屋に売ってる」

何かじゃねぇ!しかもどっかで聞いたような通貨だし完全にパクりじゃないのか!

「とりあえずダーイシ達が戻ってくるまで中でゆっくりしましょう。お話はそこで」

確かに・・・寒い。それは間違いない
色々納得いかないしインチキ臭いけど中でゆっくりするのは賛成だ
しかしダーイシ達はいつ戻ってくるんだろうね・・・
88名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:29:01.35 0
「ちょ!私の服〜!」

ひらひらと谷底に舞い落ちていく私の服・・・な、何してくれとるんじゃ〜!

「ブフォ、スマンのぅ」
「スマンのぅじゃない!早く取って来い!」
「マサキ、行ってくるのじゃ」
「了解っ!ぴょこぴょこ〜、ジャーンプ!」

何で子供に取りに行かせる・・・その翼は飾りかお前ら

「飾りじゃ」
「!?」

なん・・・だと?コイツ、まさか・・・

「随分と生真面目なんじゃのぅお前さんは。だが果たしてお前さんの友はそんなことを望んでおったのかどうか・・・」
「うるさいっ!勝手に私の中に踏む込むな!」
「ブフォ、余計なお節介だったかのぅ。ただ、『後ヲタノムダ』の意味はもう一度だけ考えたほうがよいぞ」
「貴様ぁ!!!」

ブンっ!放った銀牙の一撃は虚しく宙を切った。当然か、”読まれている”のだから
お前に何がわかる・・・私とアイツの何が・・・

「どーん!ただいまっ!」

ぐはっ!背後からの衝撃・・・またやられた!

「はいっ!取ってきたよいっちょうら!」

別に一張羅じゃない!・・・だが大切なものだ。この服を着てアイツの望みをせめて果たしてやることがせめてもの私なりの償い。
あの日あの時アイツを止めなかった・・・いや、くだらない掟に縛られてアイツを助けてやらなかったことへの
89名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:29:27.73 0
ふむ、やはりしっくりくる。やはりこの服でないとな。

「ね〜だーいし、なんかその服ダボダボじゃない?」
「うるさい!服はある程度余裕があったほうがいいだろう」
「特にむねのあたりとか・・・」

あああっ!聞こえないっ!何も聞こえないぞっ!
それ以上言ったら子供とはいえ容赦しないからな!

ケーン!ケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーンケーン

ん?鳥の声?山々に響いて鳥の声がいつまでもこだましている
しかし・・・最初の声は近かったが
一瞬、私達の上を影が横切る。鳥・・・鳥なのかか?
鳥にしては影が大き過ぎる!まさか!

「ケーン!やっと見つけたぞ天狗の一族!その青のお陰でようやくわかったぜ!」

陽光をバックに羽ばたいているのは半分鳥、半分人間の異形の姿・・・汚れし血の獣人っ!

「ブフォフォフォフォフォ、わざわざ御苦労なことだのぅ。魔女とやらには『断る』と伝えておくのじゃ」

”ちち”が腕を組んで高笑いしている・・・獣人の心を読んだのか

「なっ・・・テメェ人が要件言う前に答えを出すんじゃねー!」
「やめておいたほうがいいべ。ウチらと戦ったらアンタ晩御飯の焼き鳥になるべさ」
「ケーン!それはどうかな?」
「!?」

鳥獣人が空中を旋回して突撃してきた・・・速いっ!
90名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:30:10.87 0
「ぬうっ!」

バッと鮮血が飛び散る。”ちち”の肩口から赤いしたたり・・・やられたのか!

「ちちうえー!」
「ヒャッハー!”読めた”から何だ?ヘケート様配下最速のこの俺様の攻撃を避わせるわけがねぇ!」

隼、の獣人か。確かに最速、狙いも精確だろう。
私の剣速を持ってしてもマトモには掠らせることも難しいかもしれない
あの手の輩を倒すにはそれなりの覚悟が要りそうだ。自然と銀牙と月光を持つ手に力が入る

「お前達、下がっていろ。奴の相手は私がする」
「ブフォ、小娘・・・無茶をするでないぞ」

チッ、また”読んだ”のか・・・悪趣味な父上殿だな
だがこの私があんなモブ獣人に負けるはずがない!

「ケーン!お前、噂の蒼の剣士か?調子に乗ってんじゃねーぞド貧乳が!」

カチーン

お前は今、最も言ってはならない一言を言ってしまった
絶対に・・・絶対に生かしてはおかん!!!

「熱くなるでない!怒りに任せて倒せるほど容易い相手ではないぞ!」
「うるさいっ!無様にやられた貴様がわかった風な口を利くな!」

再び鳥獣人が旋回し、突撃の構えを見せる
ヒットアンドアウェーが奴の戦法
ならば下手に避けようとせず正面から爪の一撃を受ける覚悟で相討ち狙いだ!
91名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:30:51.11 0
「ケーン!・・・行くぜっ!」

さぁ来いっ!掠らせることさえできれば銀牙月光の力でお前の身体は消滅する
獣人から少しも目を逸らさず、意識を集中する・・・来たっ!
もう少し・・・もう少し・・・来いっ!・・・ってオイ!

「やっぱやーめた。テメェ何か企んでるだろ?」

私の目の前直前で鳥獣人は方向を変え、再び飛び去っていく・・・読まれた?

「ブフォ、お前さんは顔に出過ぎじゃ。”悟り”の力が無くともそれじゃバレバレじゃわい」

うるさいっ!戦い方はこれだけじゃない!
逃げる奴が相手なら逃げる相手なりの戦い方がある!
銀牙と月光の柄を連結、変形させ・・・投げるっ!
私に背を向けた貴様の負けだっ!

放った一撃は鳥獣人の背中を捉えた・・・かに見えた
しかし獣人はその寸前で突然急降下した

「おおっと!だが風を切る音でバレバレだぜそれはヒャッハー!」

旋回した鳥獣人が羽ばたきながら中指を立てる
ほぼ同時に宙を切り、虚しく戻ってきた銀牙月光を片手で受け止める
・・・これはマズい。このままでは長期戦になってしまう
こんなモブ獣人との戦いでこれ以上紙面を割くわけにはいかない!
銀牙と月光を分離させ、交差させる

「吼えろ!銀牙!月光!」

共鳴剣・・・音速の一撃なら奴も回避できないはず
周囲を銀牙と月光の気高い咆哮が満たす・・・山彦の反響効果でいつも以上の威力が発揮できそうだ
92名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:31:14.32 0
「おおっとコイツは何かヤバそうな雰囲気だな!ずらからせてもらうぜヒャッハー!」

バカめ!発動までの間に突っ込んでくればお前にも勝機があったものを
だがお前がすぐに背中を見せる臆病者であることまで折り込み済みだっ!

「共・鳴・剣!HowlingBlade!!!」

クロスさせた銀牙と月光を同時に振り抜く
放たれた衝撃波が地を抉り、宙を音速の速さで切り裂く
銀牙と月光の間で共鳴した音を集束させ衝撃波を放つ最大の奥義
これで葬ってもらえるなんて光栄に思え!

「ケ、ケェーン!な、何だコレ・・・うわぁああああああっ!」

衝撃波が逃げようとする鳥獣人の背中を捉えた
遠くの方で羽が舞い、四散するのが見える
恐らく粉々になって骨すら残るまい・・・

「たーまやー!」

後ろでマサキが緊張感のない歓声を上げる
汚ねぇ花火だ・・・

「あらぁ!晩御飯のオカズが粉々になっちゃったべさぁ!」

・・・いや、ホントに食う気だったのか?
コイツら一体何者だ?天狗の一族、とかさっきのモブは言ってたが

「貴様ら、一体なぜ獣人に・・・」
「ブフォ、おやおや、今日は千客万来じゃのぅ」
93名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:31:34.27 0
!?風を切る音・・・この音は!

ビシュッ!寸前で反応した私の頬を風が掠める
直後、ピッと頬が裂け生暖かい血が私の頬を染めた

風裂剣・・・この技は

「やっと見つけた。久し振りダーイシ!」

お前か・・・ドロシーの番犬、いや番狐
94名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 04:33:59.58 0
>>80-93
以上、VariableBlade 第四話「卒業試験と音速の剣」でした

最後のレスが中途半端ですが次回予告のようなものと思ってまずはここまで
いや、書いてる途中に力尽きただけなんですが

あと拙作のせいでテンプレが変なことになってスミマセン(特に10期辺り)
95名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 05:08:26.90 0
>>94

濃密すぎてお腹一杯になったw
次回を楽しみにしてます
96名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 06:15:01.39 0
エッグとか10期に詳しければネタの意味がわかるのだろうがそうでなくても面白かった
97名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 07:04:01.22 0
次回予告
                     -キュィィィーーーーーーーーーィン-
            未確認飛行物体(UFO)襲来!!緊張が走るリゾナンター指令本部
               『アンノウン捕捉 目標はゆっくりとこちらに移動しています』
            慌しくなる中 1人亀井絵里は冷静に目標飛行物体の正体を確認する

ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro18252.jpg
           (あ あれ絵里のパンツだ…干しておいたハズ…ですヨ?なんで浮いて…)

        『目標…は見間違いでなければ…その…女性の下着に酷似した形状をしています!
        ……どういうことなの?』「えっと…その通りだと…」『まさか油断させるつもりでは!』
            「いやいやいや…あの〜あれ絵里の〜えーと UFPなんちゃってっ?」
    ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro17101.jpg 「なに言ってるのカメは!敵の最新兵器なのよ!
       油断しない!混乱は敵の思う壺だわ!気を引き締めなさいよ 分かった?!」散々である
     なんだか少しずつ木っ端恥かしくなって来た亀は 風のチカラで目標を遠ざけようとするのだが…
           『目標反転!急速に後退していきます!このままではロストします!!』
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen4728.jpg ttp://aewen.com/momusu/kamei/img/aewen2576.jpg
         「まずい!!(本部のデータをハッキングされたかもしれない!)追跡せよ!!」
   「ええ〜〜!!」行動が裏目に出て まさかのリゾナンター現場出撃 自パンを見られると焦った亀は
     体への負担を顧みず 風のファイナルモード【困尻撒】を発動!P空中分解という形で証拠隠滅
          街にキラキラと純白に煌くパンツの雪を降らすのだった・・・『目標…ロスト…』
           以降この事件は共鳴七不思議の1つ『UFP』と数え恐れられるのであった


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「キラキラ冬のシャイニーG」

ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro6215.jpg
                 「どうだチカラの操作には慣れてきたか?Gよ・・」
       『はい 様々な物体を落としたり 浮かばせる事も出来る様になってきました 順調です』
                    -キュィィィーーーーーーーーーィン-
98名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 08:00:32.47 0
アホスw
99名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 08:05:18.07 0
>>94
待ってたよ
相変わらずの弾けっぷり面白かったです

>>97
あたら名曲をなんというw
Gはやっぱあの人なんか?
100名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 09:50:49.49 0
ラストが不穏にもかかわらず脱力感パネェw
101名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 11:10:40.04 O
電車内で読むんじゃなかったww
102名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 12:53:48.72 0
キュイーーーンてw
103名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 14:35:27.21 0
PPPのUFP
104名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 16:04:20.27 0
未確認飛行ぽけ
105名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 17:41:37.28 0
亀のぽけは確認済み
106名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 18:05:15.36 0
カメのパン○を確認する役は俺が
107名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 19:44:03.23 O
とりあえず阻止
108名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 20:51:20.53 0
なんとしても阻止
109名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 21:19:05.27 0
>>97
困尻撒wwやられた!当て字もお見事ですねこれは

>街にキラキラと純白に煌くパンツの雪を降らすのだった・・・
この期に及んでちょっと綺麗な感じで締めようとするその姿勢に
無意識のうちに“敬礼”の姿をとってしまいました
110名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 21:31:07.39 0
愛ちゃんがニュース読んでるシーンだけでも見たい
111名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 22:08:45.52 0
112名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 22:22:39.73 0
パンツが飛んでるニュースを伝える愛ちゃん
113名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 23:27:16.79 0
今夜はカメのPの夢を見たい
114名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 23:51:07.18 0
テロ〜ン
115名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 01:24:32.43 O
パソコンから画像貼付けるのってどうやんの?
116名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 03:34:23.62 0
(〜^◇^)<ダークネスオリメンのおいらが深夜の保全してやる
117名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 07:11:16.11 0
ほぼオリメンさんお疲れ様です
118名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 08:19:10.99 0
おはなんと
119名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 09:15:46.16 0
次回予告
                 リゾナンターの行く手を阻む 少女が2人
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen3764.jpg ttp://aewen.com/momusu/takahashi/img/aewen10684.jpg
「!この娘達です あの時一緒にいました」「残りいっぺんにやって来るとは私もすごーく愛されている事」
         「な〜に言っちゃてんのよ愛ちゃん!それヤバイじゃないのよ 2人よ2人」
       しかしこの2人はまだ自分の能力に慣れていないと言うか マヌケと言うのだろうか
            今まさに戦いながら自らのチカラを確かめている様子であった
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen6056.jpg
    「あっこんな事も出来るけん!香音ちゃん」「わッ!いいな〜いいな〜私はね〜〜ほら^^」
   しばし様子を見るリゾナンター達・・・・結果 生田が植物の成長・操作能力を確認 鈴木は…?
   すると生田が「私 香音ちゃんの物をすり抜けられるチカラの方がいいな〜」と仲間にKY発言
 「どうなんだろうね…てっ衣梨奈ちゃんダメじゃんか〜言っちゃ〜」「えっと愛さんてどの方ですか〜?
      倒さないと うんと怒られちゃうんで」「わはは 愛ちゃんも変なのに愛されちゃった事」
             [能力を把握したリゾナンターに敵は勝ち目は無かった]
既に予知していた香音が地面に潜る行動 れいながアスファルトを熱し J&Lが瞬間移動で押さえ込む
       そして生田が植物を放とうとする前に再びれいなの炎が取り囲んだのだった


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「愛され過ぎることはないのよ」

ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen6428.jpg
      「やっぱダメじゃん衣梨奈ちゃんのせいだよー!トンコツラーメンおごりだよ!」
          「え〜〜!でもあたし やっぱりそっちのチカラの方がいいとぉ〜
       触ってる人や物も自分と一緒にすり抜けられるし 少し透視も出来るでしょ」
      「だ か ら 言っちゃダメだから〜〜でも潜ったら息出来ないんだよ知ってる?」
         「うそ〜〜」「本当〜〜」「やだ〜〜きもい〜〜」「キモくないから〜!」
          揉める2人を ヤレヤレ…なマリコの放つ浄化の光が包み込んだ

  「やだ〜〜なにこれキモ眩しい〜〜」「でも包まれるんだろうね」『うるさい黙って浴びるッ!!』
120名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 11:57:11.27 0
h
121名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 13:18:12.62 0
>>119
間抜けでかわいい刺客だこと
122名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 13:58:08.03 0
>>119
むしろなんで刺客に選ばれたんだw
123名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 14:54:14.87 0
かわいいから許す
124名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 15:30:14.89 O
なにしに来たんだw
125名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 17:22:08.97 0
ほっ
126名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 18:57:30.07 0
蒸しますなあ
127名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 20:16:24.69 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/636.htmlつづき



れいなはなにもなくなった右手をぼんやりと見つめた。
確かにいまのいままで、この掌の中には新しい能力の結晶である刀が存在していた。

この能力が目覚めたのはつい最近のことだった。
確かな予兆はその前から会ったのだが、明確に形を成して現れたのはこの2週間のことだった。

「なんで……いまやっちゃろ」

れいなはひとりそう呟いて天井を仰いだ。
あの頃見上げていた青空よりもずっと狭い白い天井に辟易する。
ぶら下がった蛍光灯はずいぶんとくたびれていて、そろそろ交換しないことにはいまにも切れそうだった。

「もっと早く……欲しかったっちゃん…」

ここ2週間で現れた、周囲に存在する気を集中させ、ある物体へと具象化させる能力。
それ自体は嬉しいのだけれど、どうしていまなのかを考えさせた。
あの夏の終わり、久住小春の異動から始まったリゾナンターを巡る一連の事件の中で、なぜこの能力は目覚めなかったのか。
そうすればもしかして、未来は変わっていたのではないかとれいなは思う。

あり得た未来。
存在したかもしれない未来を、れいなは思う。

きっとそれに、手が届くことはないのだろうけど―――
128名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 20:17:40.66 0
-------

喫茶リゾナントは平日の昼間だというのに繁盛していた。
こういう日に限って、愛と里沙は別件の仕事があるとかで店を開けている。
れいなは厨房でパスタをつくるために鍋を振る。

「れいなー、オーダー入ったよー」

さゆみの声にれいなは「はーい」と声を出した。
同じく厨房のジュンジュンがオーダーを受け取り、料理に入る。
今日は売り上げが伸びそうだなと思いながら、れいなはパスタを盛りつけ始めた。



ランチ営業がひと段落したのはその2時間後のことだった。
れいなはアイスコーヒー片手に屋上に上がり、ぼんやりと夕暮れ空を見上げた。
秋とはいえ、まだまだ暑い日は続く。天に鎮座する黄色い太陽もまだ熱く輝いていた。

「田中サン見っけ」

明るい声の方をふと見ると、そこには自分よりもずいぶん背の高い彼女がいた。
ジュンジュンはニコッと笑うと断りもなくれいなの隣に腰を下ろした。彼女もまた、れいなと同じようにアイスコーヒーを手に持っている。

「今日混んデ大変ダタネー」
「……うん」

れいなは気のない返事をするが、ジュンジュンはまだ笑ったままだ。
あの闘いがあった日以来、れいなはなんとなく、ジュンジュンのことを正面から見ることができなかった。
「いろいろあったから」という理由があるにせよ、れいなはジュンジュンのことを疑い、彼女が裏切ったと思い込んでいた。
実際はそんなことはなく、彼女は同じリゾナンターのために、新たな能力者を倒しに行っていたのだ。
129名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 20:18:44.28 0
信じ切れなかったこと、疑ってしまったことに、れいなは恥じた。
そんな薄っぺらい信頼感とか絆をもって、リゾナンターとして闘っていたわけじゃないのに。

「田中サン今日ヒマ?」

急に話を振られれいなは「は?」と返す。
色を持った言葉が帰ってきて嬉しかったのか、ジュンジュンは先ほどよりも楽しそうに笑った。

「新メニュー考えようヨー。バナナ使った新メニュー売ろうヨー」
「それジュンジュンが食べたいだけやろ?」
「ソンナコトナイヨー」
「急にたどたどしくなっとぉよ」

れいなは苦笑しながら肩を竦めた。
季節の変わり目とはいえ、メニューの考案は現在のマスターである愛に任せている。
案を出すことに問題はないが、なぜ急にそんなことを言い出したのか、れいなには不思議だった。

「ネー、田中サンいまからつくろうヨー」

ジュンジュンはれいなの肩を激しく揺さぶる。
華奢だとか可愛いとか自分で言う割に、彼女の力は予想以上に強い。れいなの体はブンブン揺れ、思わず酔ってしまいそうになった。

「分かった、分かったっちゃ!」

れいなはありったけの力で彼女を振りほどいた。
もしかして肉弾戦だと意外にも接戦になるのかもしれないなとれいなは苦笑した。

「ワーイ!じゃあバナナいーーっぱい入れた料理つくってネ」
「結局バナナ食いたいだけやん……」
130名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 20:19:36.75 0
れいなが肩を落としたのも束の間、ジュンジュンはすくっと立ち上がり、入口へと歩いた。
早く早くと急かす彼女にれいなも仕方なしに重い腰を上げた。
相変わらずジュンジュンはニコニコと笑ったままで、どう言葉を返して良いか分からなくなり、れいなは頭をかく。

きっと彼女は、自分よりも随分大人なんだろうなと思った。
身を挺して仲間を護ろうとしたのに、その仲間に疑われたこと、もしれいなが同じ立場だったら、とてもではないが納得いかない。
子どものように怒り、理不尽にその矛先を仲間にぶつけてしまったのだろうと思う。
でもジュンジュンはそんなことをしない。疑われることも覚悟し、敵を倒すためにひとりで走り出した。
彼女は自分たちを信頼してくれていたのにと、れいなは下唇を噛んだ。

「田中サン優しいダヨ」

未だ黙ったままでいるれいなに対し、ジュンジュンはニコッと笑ってそう言った。
顔を上げて彼女の瞳を見つめると、その姿はやはり大人びていて、真っ直ぐで、とても綺麗だと純粋に思った。

「田中サン仲間のこと大切ダカラ、ジュンジュンのこと、怒鳴ったんデショ?」

ジュンジュンは先ほどから変わらぬ笑顔を見せる。
秋の切ない風に彼女の長い黒髪が靡いている。
れいなよりも年上で、身長も高くて、恐らく胸も大きいジュンジュンは、すべてを包み込んでくれそうな気がした。

「間違ってナイヨ、田中サン」

だが、それに甘えてはいけない。
れいなが一瞬でも、仲間を疑ったのは事実だったから。
131名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 20:20:22.44 0
「……怒りぃよ、もっと」

でも、れいなから出てきた言葉は、意図に反したものだった。

「れなはジュンジュンを疑ったとよ?裏切ったって、信じとったのにって!もっと、もっと怒りぃよ!信頼しろって、そんな容易いもんやないって!」

上手く言えないから言葉が沈む。
出てきてほしい、伝えたい想いは深くに潜まり、なんの意味もない理不尽な怒りが込み上がる。
こんなことが言いたいわけじゃないのに。口を突くのは子どもっぽい思いばかりだった。

「あのとき、おんなじコト田中サンしたラ、ジュンジュン疑ったカモしれなイ」

ジュンジュンははっきりとそう言い放つと、れいなの右手を握った。
両手でぎゅっと握られた手は温かくて、優しくて、何処か懐かしい感じがしてほっとする。
高ぶっていた感情が自然と落ちていくのが分かった。

「久住サンいなくなっテ不安ダタカラ、これ以上仲間減るのイヤダ思ったダ」

ジュンジュンはれいなの手を握ったまま、そっと自分の額まで持っていった。
身長差があるため、れいながつま先立ちになってしまいそうなので、ジュンジュンは少しだけ腰を折る。
額にこつんと手が触れる。指先に確かに感じたその想いが、れいなの記憶を呼び覚ます。
あれ?前にもこんなこと、なかったっけ?と。
132名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 20:21:20.49 0
「デモ、田中サン叫んダときに思いましタ。田中サンは絶対裏切らなイ。仲間がいちばん大事ダカラ」

そうしてジュンジュンはれいなの手を下ろす。握られた手はまだ離れない。
彼女は今日見た中でいちばん優しく微笑んだかと思うと、れいなに言葉を渡した。

「ジュンジュンは、田中サンのこと信じてル。ダカラ、田中サンもジュンジュン、信じて」

ジュンジュンの真っ直ぐな瞳に、れいなはただ頷いた。
ごめんとも、ありがとうとも云えずに、ただ神妙な面持ちで頷く以外に術はなかった。
そうだ、とれいなはふと記憶の扉を開ける。
もう顔も思い出せない、声も、名前も、すべては後付けの記憶でしかないのかもしれないけど、とれいなは思う。

先ほど感じた瞬間の記憶、ジュンジュンの優しい温もりは、幼いころにれいなを抱きしめてくれた、母親のそれと、重なった―――


れいなはなんどか確認するように頷くと、瞳の奥に熱いものを感じた。
おいおいウソやろと誤魔化すように空を仰いだ。
相変わらず空は青くて、綺麗で、なんだか無性に腹立たしくなる。
どうして人がこんなにも悩んだり、苦しんだり、哀しんだりしているのに、空はいつも青いのだろう。
少しくらい呼応して、雨でも降れば良いのにと八つ当たりしてみたくなった。
133名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 20:22:13.25 0

「田中サン泣いてルー?」
「な、泣いとらん!」
「可愛いー!泣いちゃってルー!」

先ほどまでは大人びて母親のような目をしていたのに、いまは意地悪なお姉さんのような目でジュンジュンはれいなに絡んだ。
ああ、もう、なんやっちゃ!とれいなはジュンジュンの手を離した。
いままで傍にあった温もりがなくなって、少しだけ、寂しかった。

「あー、いたいたー!」

そのとき、屋上の扉が威勢よく開き、ついでに小うるさい声が飛んできた。
道重さゆみはわざとらしく頬を膨らませれいなたちに近づいてきた。

「ふたりともちょっと来て。これからじゃんけんするから」
「……なんの?」
「買い出しじゃんけん。食材が足んないの」

そう言うさゆみに急かされるようにれいなとジュンジュンは屋上を後にする。
屋上の扉が閉められたかと思うと、先ほどまで青かった空に急に雲がかかり始めた。
天の中心に鎮座した太陽は、少しずつその雲に覆われ始めた。
134名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 20:24:53.55 0
ひとまず此処までになります
前回書き忘れましたがのさゆの“物質崩壊”は別人格でなくさゆ本来の能力として使わせてもらいました
その他いろいろ勝手な設定もありますがご容赦くださいm(__)m
135名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 21:43:54.89 O
読む前のほ
136名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 21:45:47.04 0
>>134
いっぱい出てくる「空」っていう言葉が個人的にすごい好きです
二人のセリフが見事に脳内再生されまくる俺キモス
137名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 22:33:45.22 O
確かに空とれいなの対比というか情景描写がうまい
2人の会話も綺麗だな
138名無し募集中。。。:2012/07/10(火) 23:48:34.21 0
ふぅ
139名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 01:13:04.74 O
母親のくだりがなんか好きだ
おつおつ!
140名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 02:04:46.97 0
>>70-73 の続き。

 「――― なあ香音、転校生が職員室に来てるって。見に行こうよ」
 「…あたしパス」
 「なんだよ、ノリが悪いなあ。クラスの仲間になるヤツなんだから
 もうちょっとハリキっていこうぜ?」
 「いいよ別に、あたし知ってるもん」
 「え?いつ?どこで?オンナ?オトコ?」
 「女の子」
 「マジかッ!なら友達になるしかないフラグだな!」
 「んー?んーそうだね」

いつもなら一緒に騒ぐ所なのだろうが、鈴木は逆に溜息が漏れた。
転校生が来るのは良い。
彼女の言うとおり、友達になっていろんな話を聞くのも良い。
鈴木自身、それはきっと楽しいものだとも思っている。
だから多分きっと、なんとなく、だ。

 「私ね、"みえる"んだ。場所とか物に残ってるものとか。
 二人には言ったことがあるでしょ?私のチカラ」
 「確かさいこめとりーってヤツっちゃんね。すごいメジャーな超能力」
 「なんかバカにされた気分…」
 「あ、ごめん。ごめんってみずきー」

『接触感応 -サイコメトリー-』
物体、物質に残る残留思念を"触れる"という条件のみで読み取るという
テレビでも重宝されてきたあの超能力だ。
141名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 02:05:06.49 0
小さい頃は手に触れたもの全部を読み取っていたことで苦労したと
譜久村本人から聞かされたことがあり、鈴木がチカラを打ち明けるための
きっかけにもなっていた。

 「テレビなんかでもよくやってるじゃない、証拠を見つけるとか、あんな感じのを想像して。
 ただ知りたかっただけなの、なんであんな事になったのか。友達だから。
 そしたら、里保ちゃんが、見えたの、最初は確信はなかったんだけど
 あの子の話す女の子がね、里保ちゃんに似てるなって、それで…」
 「試してみる?」

鞘師は自分の掌を差し出して、呟いた。
譜久村は先にそれをされるとは思わなかったらしく、戸惑いを浮かべる。
表情を崩さない鞘師にもう一度視線を向けて、グッと顔を強張らせる。
 
微かに指を伸ばし、それを彼女が引っ張った。



ざわつく教室。
時刻は午前八時を過ぎていた。

 「今日からみんなと一緒に勉強することになった――― 」

担任教師が教壇に上って、隣に立つ彼女にゆっくり視線を下ろす。
自己紹介をしなさい的なうながしだった。

 「……………あ、あれ?」
142名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 02:05:31.38 0
だが彼女は、担任の思いやりやら尊厳やらを片っ端から無視して、じーっと教室の様子を
今日からクラスの仲間になる生徒達の様子を、観察するようにゆっくり見渡していた。
鈴木は目が合う前に見もしない教科書でガードする。
別に嫌では無いのだが、反射的に、ただ、なんとなくだった。

 「まあ、そうだなあ、いきなりだから緊張してると思うが…」

しかし緊張しているのは担任と、生徒たちの方だった。
小柄な彼女はやたらと幼い。
なのに立ち姿や伝わってくる雰囲気は、オトナびている。
自分達と同い年の中等部1年、制服は新しく新調した、この学校の校章が付いている。

なんというかもう、猫でもうさぎでもトナカイでも被ってるほど完璧な空気だ。
そしてようやく。

 「鞘師里保です。はじめての街で不安と戸惑いで、ちょっとドキドキしてます。
 みなさん、どうかよろしくお願いします」

まるでカンニングペーパーでも食べたようにしっかりした口調で、鞘師は言った。
嘘くさいものは嘘くさいが故に本当っぽく見えるものだ。
その努力のかいあってか、数ヶ月で彼女は"優等生"としての地位を築く事になる。
多分、良い意味で。


 
 「――― ッ」
 「ど、どうしたと聖」

鞘師の手に触れた途端、ものの数分も経たずに譜久村は泣き崩れた。
鈴木はもはや傍観者側に立っていた。
143名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 02:05:52.18 0
 「里保ちゃん、これは、本当の事なの?」

鞘師は表情を崩さず、ゆっくりと頷いた。
譜久村が"みた"光景が一体どんなものだったのかは鈴木には分からない。

 「ねえ里保ちゃん、私にも何か出来ることはないかな?
 里保ちゃんはそのためにこの学校に来てくれたんでしょ?」
 「聖、全然話が見えんっちゃけど、えりな達にも説明してよねえ香音ちゃん?」

生田が不意に、傍観者だった鈴木を引きずりだしてきた。
それに「え?あ、うん」と変な相槌を打ってハッと口をつぐむ。

 「えりぽん、この学校はね、危機に直面してるの。
 でもやっと判った、多分、私達がやるべき事なんだ。
 何でか判んないけど…私達がしなきゃいけない気がする」

譜久村の珍しくもある真剣な眼差しを伏せる姿に、生田は何を思ったのか
彼女の肩を優しく触れた。
そして何かを決めたように、というよりは何かを期待した眼差しで口を開いた。


 「つまり事件やね、聖。いよいよえりなの本領が発揮するときが来たあああ!」

というより両腕を空に突き上げて叫んだ。嬉しそうだ、心の底から喜んでいる。

 「ちょ、えりぽん、これは遊びじゃないんだよっ。それに私まだ何も説明してない…」
 「危機に直面してるってことはそういう事態ってことやろ?
 この学校を狙ってる敵がおるってことっちゃん。で、えりな達は何をすればいいと?」
 「……突きとめるんだよ、この事件の"真犯人"を」
144名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 02:06:23.22 0
――― 昼休み時間。チャイムと同時に一緒にしようとした女子や、休み時間に
 できなかった質問タイムを今度こそおっぱじめようとたくらんでいた男子が振り向いた
 ときには、鞘師の姿はすでになかった。

というより、休み時間のたびに居なくなっている。何故か鈴木香音と一緒に。

 「なんでみずきちゃんを巻き込んだの?」
 「フクちゃん自身が決めたんだよ、私はただ問い掛けただけ。
 フクちゃんもまた、『共鳴』したヒトだったんだ。えりなちゃんはまだ興味本位ってとこかな」
 「りほちゃん、なんか楽しんでるよね」
 「そうかな?」
 「そうだよ」
 「うん、でも、ちょっと嬉しい」
 「え?」
 「一緒に戦ってくれる人達が出来て、多分、嬉しいんだよ――― ありがとう」

鞘師はそう言って、笑った。
何故彼女がそんな事を言ったのか、鈴木はこの時、判らなかった。気付かなかった。
どうしてこの4人だったのかも。
鞘師の笑顔が少しだけ、寂しそうだったのも。

こうしてこの日を境に、鈴木は実に日常的で、非日常な生活を送る事になる。

 ――― 携帯の画面には鞘師と鈴木の二人が映っている。
 "彼女"はようやく出会えた待ち人を見つめるように、嗤った。
145名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 02:10:36.88 0
>>140-144
以上です。
これでストック分は上げ終わったので少し潜ります。
いろいろとぼかしてる部分は追々。
※4人の人物像は1年前、10期加入前のイメージを参考中。

あ、あとwikiの方のタイトルが名無しから『-Qualia-』
と明記してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。

-----------------------------------ここまで。

以上、代理投稿でした。
学校の危機とかジュブナイル的で好きなノリです
早く続き読みたいと思わせる作品の一つです
146名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 04:10:11.17 0
川‘〜‘)||<見える・・・オリメンの私が来た以上貴方達に未来はないわ
147名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 06:26:20.13 0
>>134
情景の描写とか過剰すぎずきれいですね
れなジュンの会話も自然と入ってきました

>>145
壮大な物語になりそうな予感
鞘師と一緒に戦うことで香音がどんな非日常を体験するのか
続きを待ってます
148名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 08:45:56.92 0
おぱよん
149名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 09:25:08.58 0
次回予告
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10319.jpg
   香音ちゃんが変顔ばかりしている リゾナンターに入ったんだから モーニング娘。としても
  活動していかなければならない アイドルは変顔なんかしちゃいけないんだよと注意する聖
               「いいのいいの それより聖ちゃん ほら」
        見上げると雪がちらついている ズッキは仔犬の様にはしゃいで
              追いかける私の体に粉雪は薄く残りゆく
             「ちめたいっ!」「もう風邪ひくよー 帰ろう」と
     雪を落としてやる聖の悴む手を 香音は自分のポケットへグイと仕舞い込んだ
      -あたたかい香音のポケットの中で 私の指はいろいろなお菓子と出逢う-
    キャンディー ガム コレは…りほちゃんに貰った食玩だぁ…自然に笑が溢れてゆく
        ・・・ん!?これは溶けたチョコレートぅぅ・・・探索はここまでにしとこう

ttp://aewen.com/momusu/tanaka/img/aewen6086.jpg
   地下のトレーニング室 愛とれいなが休憩をとっている れいなは愛の肩をマッサージ
   「愛ちゃん 結構こっとるっちゃね〜」と言いつつ れいなは愛の表情を盗み見ている
    それをさらに様子をみている聖がいた(えっと…高橋サンと田中サン つ つまりッ
      愛×れいな…で えっと えっと=はっ!好ッ! す すッ!!き……あうあう)
               -譜久村聖が導き出した答え それは?-
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10605.jpg
         「アっアイドルがそういう事しちゃいけないと思いますッッ!!」
        と言いつつも 内心ワクテカが治まらない フクちゃんなのであった


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「雪/愛×あなた≧好き」

ttp://aewen.com/momusu/tanaka/img/aewen6087.jpg ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10453.jpg
・・・目が点の2人が見つめる中 カーーと紅くなった聖の身体の体温が 肩の残雪を溶かした・・・
150名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 10:32:01.67 O
おつおつ!
フクちゃんのハロヲタというかちょっぴり変態チックなところが好きw
151名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 10:52:22.13 0
かわいい画像貼るねえ
152名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 12:30:03.63 0
>>149
おちゅ
季節感はないけどイイ予告編だった
153名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 14:09:28.74 0
おつ
154名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 16:21:39.40 0
http://iup.2ch-library.com/i/i0685563-1341991117.jpg

「ジュンジュンを放せ!」

http://iup.2ch-library.com/i/i0685562-1341991117.jpg

「動くな!動くと、お前の大切な神獣の頭が吹き飛ぶぞ!」

http://iup.2ch-library.com/i/i0685563-1341991117.jpg
「もしも、ジュンジュンに指一本でも触れてみろ。お前の命はない。」

保全代わりダヨ。
155名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 18:08:05.83 0
獣化して喰っちゃえよ
156名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 19:36:26.80 O
そんな実も蓋もないことを…w
157名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 19:44:21.43 0
敢えて囚われの身となっている乙女心を理解して>女の子
158名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 20:56:36.30 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/634.html#id_974c21bb 「闇に哭く」の続き

―数分後。 落ち着きを取り戻したマルシェに対してダークネスが調子こいてやらかしてしまったことの謝罪をしている。
マルシェよりも大量の白濁液をブッカケられながら、謝罪の言葉一つかけられなかった美貴はおかんむりだ。

「つーか、お前のそれは何だ。 ダークマターなんて大層な名前ついてるからてっきり漆黒の闇色をしてるかと思ったら、白白のヌルヌルじゃねえか」
「それはしょうがないよ。 暗黒物質というのは、存在を確認できないことからつけられた象徴的なネーミングなんだから」

誤爆で受けた精神的慰謝料として、3ヶ月分の給与を残業扱の20パーセント増しで算出してもらうことになったマルシェが、さっそく雇用主のフォローに回る。

「とはいうものの、お前たちがダークマターに拒否反応を示した気持ち、わからないではない」

…そう、あれはスレが完走することなくdat落ちしたというのに、新スレが立たない空白の期間のことだ。

「オイオイ、いきなり回想シーン始まったぞ」
「まあそこは能力バトルの定番ってことで大目に見て上げようよ」
「えっ、これって能力バトルだったのかよ。アタシはまたグダグダの三文コメディだとばっかり思ってた」

…何回「リゾナント」で検索しても引っかからん。 何故誰も新スレを立てん。もう共鳴は続かないというのか?

「言ってる自分が立てりゃいいじゃねえか」
「でも最近スレを新しく立てたら荒れちゃうことがあるじゃない」
「だからびびって立てれませんってか。 あれぐらいカワイイもんじゃねえか」

…ワシが弱いからスレが落ちたのか? ワシにチカラがないから新スレが立たんのか?

「んなもん関係あるわけねえじゃんか。住人が減ったから落ちるんだよ」
「でもそれを言うなら住人が今の倍以上居た時だって落ちたことはあるけどね」
「結構なことじゃねえか。スレが落ちるっていうのはみんな仕事に学業に全うな人生を送ってることのあらわれだろうが」
「それを言っちゃおしまいだよ」
159名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 20:57:27.71 0
…聞こえるぞ。 壮途半ばにして朽ち果てた哀れなスレの呻き声が聞こえるぞ

「さっさと病院行けよ」
「ダークネス様は想像力が豊かな方だから」
「お前いやにあいつの肩を持つじゃねうか。もしかして出来てんじゃねえのか」
「ちょっと!変なこと言わないでよ。 それだったら美貴ちゃんだって」
「アタシがどうかしたって!」
「スキンシップが激しいじゃない」

…闇よぉぉぉぉぉ! そんなに苦しいか。正義の名の下で理不尽に蹂躙されたお前の痛み、このワシが受け止めよう

「わけわからんオッサンにいきなりそんなこと言われたって闇も困るよなあって、おいコラッお前何笑ってんだ」
「笑ってなんかないってば。 ダークネス様の深く篤い思いに感動し、ちょっと、頬突っつかないでってば」

…闇よぉぉぉぉぉ! 哭くがいい。誰も見向きもしないお前の悲しみ、このワシが代弁しよう

「つーか、今思ったんだがアタシの立ち位置って別によっちゃんでもよくね? ちょっと当たりをやわらかくして一人称をアタシとオレの混合で使い分けて、以降脳内変換」
「だったら科学者繋がりで私も保田さんにバトンタッチする」
「お前は看取ってやれ。 お前だけは最後まで見届けてやれ。 月給2割増しにしてもらったんだからそれぐらいの義理はあるだろう」
「それはさっきの精神的な慰謝料だから。 あっ、それより今年の夏は社員旅行に参加するんでしょ。 場所は去年と同じ利曽南島だけど」
「何かゾッとしねえな。 利曽南島なんてググってみても引っかからないぜ」
「それが意外とお得の穴場だったのよ、利曽南島」
「でも腰痛が治ってねえし、どっちかというと湯治場の方がいいんだけどなあ」

…うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
闇の王であるワシですら抑えきれないチカラの奔流を感じるぞ。

「あれっ、変だな。アタシ何か涙が出てきた」
「正直あそこまでいくと痛々しいよね」
「少しぐらいは優しくしてやった方がいいのかなあ」
160名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 20:58:34.99 0
…待てっ! 焦るな! 奔るな! 
オマエの黒の意志はワシが引き継ごう。
この世界の全てを闇色に塗り替えてみせよう。
だからっ、カタチを顕せ!
ワシの前に姿を現せ!
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。

「また吠えたぞ、こいつ。 おおっ、伸ばす、伸ばす」
「でもこういう無意味な文字を伸ばすと大容量コピペ荒らしとして運営に報告されるから、程々にしておかないとね」

闇の王の痛々しい独白が途絶えた。
息遣いが激しくなっている。

「だ、大丈夫ですか、ダークネス様」

如才なく気遣を見せるマルシェに対して鷹揚に手を振ると、口を開く。

「それがはじめてダークマターを実体化した瞬間だった」

オイッと言いかけた美貴はマルシェに肘で突かれて思い出した。
まぁ少しは優しくしてやっか。
乱暴な言葉遣いがデフォルトではあるが、やろうと思えば出来る女だ。

「あのように激しくダークマターを射出されてはさぞかし、玉座もさぞやひどい有様になったでしょう」
「いや、それがそうでもない」

ダークマターの初めての実体化は掌の上に突如出現する形で起こったという。

「ということは、つまり」
「そう掌からあの白くてドロドロした液体が溢れてきて、まあ床が汚れたことは汚れたが部屋中にぶちまけるということはなかった。 ただその時パソコンでコンノさんの新着水着フォルダーを開いていたから、一瞬ドキッとしたけどな。あれこれは粗相してしまったかなって」
161名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 20:59:44.72 0
白い液体、水着フォルダー、粗相という言葉を聞いてマルシェの顔が険しくなった。

「あっ、あの勿論そんな変なことはしてないしね。 ただコンノさんの美しい肢体をスクリーンセーバー代わりにして愛でていたという」

「待てぇぇぇぇっ」

険のある視線で闇の王を睨みつけたのは美貴だ。

「色々言いたいことはるが、一番聞き捨てならないのは紺野の水着フォルダって部分だ。 どういうことなんだ、オマエ。 昨年の社員旅行にはお前も不参加だっただろうが」
「ああ。 せっかくの社員旅行だというのに闇の王を目の当たりにしては、みんな羽が伸ばせないだろうと思ってな」
「だったら、なんでこいつの新着の水着フォルダがお前のパソコンにあるんだ。 あぁ? もしかしてプライベートで撮影会でも開いてるのか。 あっ、もしかしてアタシお邪魔だったかしら」

後はごゆっくりと部屋を立ち去ろうとする美貴の腕をマルシェが掴む。

「美貴ちゃん、誤解だったら」
「誤解もなにも今、コイツがはっきりと」

不審そうに首を傾げていたダークネスが得心したように手を叩く。

「ああ、こいつはすまん。 紛らわしい言い方をしてしまったな。 ワシが開いていたのはコンノはコンノでも石原さとみさんのそっくりさんとしても有名なグラビアアイドル今野杏南さんの新着水着フォルダだったのだ」

くだらねえ。 美貴は吐き捨てた。

「散々引っ張っておいて何そのオチ。 石原さとみのそっくりさんAVにでも出てる女なんだろうが」
「このド腐れ外道の牝豚がめがぁぁぁぁっ!! その腐れ口を塞ぎやがれぇぇぇ!!」

今日最大の大音量でダークネスが怒鳴る。

「今野さんはそんな人じゃない。 2012年の日テレジェニックにも選ばれてる期待の新鋭だ。 石原さとみさんのそっくりさんというのもネットの住人が騒ぎ出してのことで本人が売りにしてるわけじゃない、それに…」
162名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 21:00:38.59 0
「そっくりさんAVというのは作るのが意外に難しい。 歌手だったら楽曲の衣装を真似すればいいが、女優となったらドラマの当たり役…」

闇の王の言葉が途絶えたのは、一推しの科学者が冷たい視線を自分に注いでいるのに気づいたからだ。

「あのっ、言っておくが別にワシは言うほどAV好きっでわけじゃ…」
「いえいえ。 ダークネス様のマニアックな博識ぶりには感服しましたわ。 さあ続きをお聞かせください」

言葉とは裏腹の冷たい拒絶。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 見敵必倒、ダークマターーーー!!」

進退極まった闇の王のヤケクソの一撃が科学者を直撃した。

「…アハハハハハ、違いますよ。 ダークネスのドクターマルシェなんかじゃありませんよよよよよ」
「助けてくれ、誰かこのグダグダなループからアタシを助け出してくれ」

美貴の悲痛な声が虚しく響く。

― 十数分後、ようやく落ち着きを取り戻した会議室の中で三人の登場人物が話し合っている。

「ともかく、ちゃんとやろう。 ちゃんとやらなきゃダメだ、アタシたち」
「これだけ空虚な展開というのも珍しいよね」
「そもそも展開なんかがあったとはワシには思えんのだが」

お前が言うなと言わんばかりの視線を浴びて、闇の王は意気消沈とする。

「とにかく話を戻そう。 オマエがはじめてダークマターの実体化を果たした時のことだ」
「ああ、そうだった。掌いっぱいの白濁した粘液を見てワシは思ったよ。 これはヤバイって」
163名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 21:01:12.38 0
まあ、それはそうだろう。
グラビアアイドルの画像を前にして、掌から白くてドロドロした液体を溢れさせている男の姿を想像した美貴は思う。
変態だ。
しかも、黒覆面をしている。即刻射殺してもいいレベルだ。

「まだその時点ではワシはダークマターが最強最悪の能力者殺しだとは知らなかった。 ただの白くてドロドロした液体を顕現させるだけの能力だと思っていた」
「いやっ、もうその能力者殺しの設定とかやめとけって」
「まあワシの話を最後まで聞け。 嬉しかった。 ただの白くてドロドロした液体を出現させるだけの異能であったとしてもワシは嬉しかった」
「ダークネス様…」

王は気遣わしげに話しかけてきたマルシェに頷いてみせる。

「望みもしない異能を持って生まれてきたた故に苦しんだお前には悪いが、それでもワシは嬉しかった。 余人には出来ない異能をはじめて手にしたのだからな。 だが同時にヤバイと思った何故なら…」

流石に息を飲んだ美貴とマルシェは闇の王の言葉を待った。

「何故なら、こんなに動きの乏しい能力ではアニメ化されないではないか」
「アホかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

美貴は叫んだ。腹の底から息を振り絞って叫んだ。

「ただのおっさんが白くてドロドロした液体を掌の上に載せてるオッサンをアニメにしようっていう物好きがどこにいるよっ! セルの無駄遣いだ!」
「そうだ。 いくら闇の王と呼ばれるワシでもアニメ業界ではぽっと出のルーキー。 派手なアクションがなければアニメ化までこぎつけられん」
「いや、違ぇよ。 そうじゃなくてな」
「エウレカセブンAOなんてエウレカセブンの続編ってことで制作されてはいるが、戦闘シーンは毎回毎回大味な火力戦で動きが乏しいんだよ。 あれじゃニルバーシュがボードに乗ってる意味がねえんだよ」
「いや。 制作費とかきつくて細かい作画とかできねえんじゃんねえのか。 それよりもだ…」
「大体あのヒロインがいかんのだ。 オープニングでは空に羽ばたこうとしてるアオに後ろからしがみつきおって。 あいつがアオを地上に縛り付けてるんだ」
「いやいや、オープニングなんてアイキャッチ優先で適当だろう、普通。そんなことよりもだな…」
「それに何、あのヒロイン。自分の意志で敵にホイホイついて行きおってからに。あんな尻軽女などにヒロインの資格はない!!」
164名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 21:02:17.09 0
うへっ。
流石に辟易した美貴はそれでも、アニメ好きのマルシェに闇の王の言ったことの真偽を問うた。

「マジでか?」
「う〜ん、尻軽とか寝取られとかは置いといてヒロインが敵のボスキャラと行動を共にしてるのは事実だよ。 ただ気絶した主人公の垣間見た幻覚と現実が混在して描かれているのでどこまでが真実なのか」
「しかし、深夜アニメとはいえそういう展開はキツイな」

二人が話している間も闇の王はフレアこそ真のヒロイン、でもフラグ折れちゃったしな。 年増のレベッカさんも捨てがたいと勝手なことを喚き散らしている。

「黙っとけ!」
「しかしトラパーの風が」
「いいか、何が白けるって知らないアニメや漫画のネタを得々と続けられることほど白けることはねえ。 正直アタシもジョジョとかわけわかんなかったんだから」
「いやだがエウレカセブンという冠を背負ってる以上は…」
「いいじゃねえか。 イヤなら見るな。 とにかくだっ、要するにお前はただ白くてドロドロした液体を掌の上に出現させるだけじゃ地味だから、勢いよく放出できるように修行したってことでおk?」
「そういうことだ。 しかしその白くてドロドロした液体がダークマターという未詳物質で、最強の能力者殺しであるという事実がわかった今となってはあの苦労も何だったんだろうなって感じだな」
「オマエ、馬鹿なの」

美貴の言葉の剛速球が闇の王を直撃した。

「最強の能力者殺しって何寝言言ってんだよ。 散々ぶっかけられたアタシやマルシェがピンピンしてんじゃん」
「え」

フリーズした闇の王はそれでも反駁した。

「しかし、実験台になってくれた「俺」や「髭」は一体?」
「あんなもんオラオラとぶっかけられたら大抵の人間は具合が悪くなるっつーの。 いいか、オマエは確かに異能を手にしたかもしんねえ。 でもそれはこの世界の矛盾を解決する暗黒物質でもなければ、最強最悪の能力者殺しでもねえ」
「だったら、なんだというのだ」
「白くてドロドロした液体をぶっぱなす能力だろうが」
165名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 21:02:53.20 0
うわぁぁぁぁぁぁぁ。
おのれのアイデンティティを木っ端微塵に打ち砕かれた闇の王が絶叫した。

「くそっ、くそっ。 この世界には真実なんて存在しないのか」

そこはトゥルースをかぶせようや。
突っ込もうとした美貴だったが、闇の王の落胆ぶりを目の当たりにすると流石に気の毒に思ったのか、心のこもっていない慰めを口にする。

「くそっ、くそっ」
「まあいいじゃんか。 アレはアレで人を驚かすぐらいは出来るだろうし。 それに一応液体だから火とか消せんじゃね。 あ、あと非常用の水とか」

あんなもの誰も好んで口にするとは思えないが、とりあえずこの場さえ取り繕ったらさっさと退散だ。
まだ時間は夕方の六時前。
急いで行けば髪も切ってもらえるだろう。
問題は着るものだ。
マルシェに調達してもらうつもりだったが、その本人がダークマターだかなんだかにまみれてしまっている状態だ。
ここは何とかエサで釣って商店街に行かせて…。

「恐れながら、まだそうと決まったわけではないと思います」

失意の中にいる王を励ますように科学者は言った。
折角収まりかけてるのに何話蒸し返そうとしてるんだ。
制止しようとする美貴を無視してマルシェは話し続ける。

「ダークネス様が具現化されたダークマターが能力者に対して極めて有効な反物質であるという仮説はまだ崩れてはいないと思います。何故なら…」

うんざりしきった美貴と嘆くことを止めたダークネスに見つまられたドクターマルシェを少し照れた。

「何故ならかつてのわたしは現在の道重さゆみ同様の治癒能力者でした。 しかし光に背き闇を歩くことを決めたあの日、癒しの光は私から消えてしまいました」

そう言って寂しく笑ったドクターマルシェこと紺野あさ美の姿は白濁液まみれで滑稽だった。
166名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 21:04:46.83 0
>>158-165
『闇に哭く』の四回目でしたか?
いい加減飽きてきたのであと2回ぐらいで終わりますw

167名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 21:31:54.32 0
此れだけグダグダにできる勇気がすごいw
でも何故だろう続きは常に気になりすぎる
168名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 22:44:45.54 0
アタラシーノキテルワー
169名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 23:08:22.98 0
無駄に濃密な話だw
170名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 00:15:45.48 0
飽きたから終わるって発想が凄いなw
171名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 01:57:35.36 0
おやすみまえのほぜなんたー
172名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 05:04:27.72 0
おぱよん
173名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 07:01:37.43 0

風が騒いでいた。
昨日の夜から窓を叩き、まるでだれかを呼んでいる気がした。
だからというわけではないけれど、こんな早朝に屋上に出てみた。


風が騒いでいた。
喧しく叫んでは走り抜けていくその姿はなんとなく、カッコいい。
はためいて揺れるシャツの音も嫌いじゃない。


風が騒いでいた。
やっぱり私は、呼ばれている気がした。
174名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 07:02:12.12 0
両手を広げて胸一杯に息を吸い込む。
夏の匂いを運んできた朝の風は心地良い。

一歩、前に踏み出してみる。
背中を押されるように体が前に動き、いつの間にか、柵にまで到達していた。
この柵を越えたら―――なんて昔のことをボンヤリと思い出す。
ああ、そんなこともあったね。っておばあちゃんみたいだと笑った。

柵を握り締める右手が震える。
怖いのだろうか。
恐れているのだろうか。

そこに在る、闇を?
そこに在る、死を?


いや、違う。


「……まだ、早いよ」


恐れているのは、弱い自分だ。


「諦めるには、早すぎるよ」


そう呟くと、一歩後ろに下がった。
風が体を押すが、それに抗うように振り返り、入口へと歩く。
髪が靡いて鬱陶しい。
175名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 07:03:20.11 0
ふとその気配に目を開けると、そこには息を切らせた彼女が立っていた。
一瞬だけ目が泳いだ気がするが、私の目を見てなにかを悟ったのか、困ったように笑った。

「なんか、視えた?」
「いえ……ただの、杞憂です」

彼女はそう言うと私に歩み寄り、右手をぎゅっと握った。
少しだけ震えている彼女の手は確かに温かくて落ち着いた。

「風が、啼いてたんで……」

そうして彼女は少し寂しそうに微笑んだ。
杞憂という意味が分からないんだけど、と聞くことはバカバカしいからやめにしておこう。
とりあえず、心配してくれてることは分かったから、それで良いや。

「風が呼んでた気がしたけど、違ったみたい」

私はそれだけ言うと、彼女といっしょに屋上を後にした。


―――まだ、すべてを諦めるには早いから


未来に抗う叫びのように、風が啼いた。
176名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 07:05:17.12 0
>>173-175 「風の行く末、未来への路」

純然たる保全小ネタです
色々不完全燃焼だけど保全だし許して下さいm(__)m
177名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 07:09:51.30 0
色々想像させられて胸が締め付けられる話ですね
でも懐かしさや温かさも覚える空気感でした
178名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 08:22:13.55 0
>>166>>176の違いにワロタ
179名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 09:05:15.21 0
>>176
主人公の胸の苦しみが伝わってきますね
風の向きによってここからまた幾つか別のお話が生まれていきそうですね

皆さんいつも感想有難うございます かなしみ戦隊ですが季節は冬〜春過ぎ頃の設定ですm(__)m
合唱の使用画像沢山集まり過ぎて10期までいますが今は脳内消去でよろ↓
180名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 09:06:23.09 0
次回予告
        ニュースは更に激しさを増す謎のテロ爆破事件を流す 現場映像にはクレーターが…
        テレビの横ではコタツにうずくまるカメがいた この季節になるといつもコタツに入って
         出ようとしない 春先になってもまるで変わらない まるでコタツを背負った亀である
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              「カメ〜れいな知らない?れいな何処にも見当たらないんだよ〜」
     「え〜〜絵里は知りませんよーずっとここにいたもんね〜 最近ちょっと身体の調子良くないから
   もうちょっと寝かして下さいよ〜(この前チカラ使い過ぎましたよ?)」「もーちょっとカメぇ 大丈夫なのかい?」
「大丈夫 大丈夫 寝たら治りますってっ ガキさん何か眠れる歌って下さいよ 一発効くやつ頼みますよ? じゃッ!」
      良く眠れる歌って…あんた幾つよ それ子守唄でしょ!と考えたが適当に歌ってあげる里沙
ttp://aewen.com/momusu/kamei/img/aewen3190.jpg ttp://aewen.com/momusu/kusumi/img/aewen2823.jpg
   歌声になんだなんだと集まって来たメンバー達によって 歌は次第に合唱へと変わっていくのであった
              アンコール!小春も仕事帰りにマイタンバリン持参で参戦
ttp://aewen.com/momusu/kamei/img/aewen1839.jpg
                   「も〜〜これじゃあ眠れませんヨぅ〜〜〜」

           ・・・端の方で『ヘッくしょんっ!!!』聞きなれたクシャミが聞こえる・・・


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「コタツの歌〜jyuken story〜」

ttp://aewen.com/momusu/tanaka/img/aewen7141.jpg
  実は朝一 中で丸くなっていたれいな 合唱に参戦したメンバーの足に押されて 外へと押し出されていた

ttp://aewen.com/momusu/takahashi/img/aewen10641.jpg
          愛は歌いながらTVをチラリと見る…(この事件 もしやあの占師と関係が…)
181名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 09:47:22.70 0
不穏な空気がありつつも平和なこたつ合唱団が良いですねw
カメちゃん眠そうだww
182名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 11:41:07.41 O
>>176
ふたりの少女の想いが微妙に交錯してるのがなんか切ない…
183名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 12:56:59.00 0
>>180
いつのまにか賑やかになってるリゾナントの雰囲気が良いですな
184名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 14:39:54.38 0
カメのあの顔が必死にUFPをロストさせた結果だと思うと笑いが止まらないw
185名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 16:06:01.39 0
>>180
1番後ろの右から2番の子カワイイな
186名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 17:52:37.74 0
ほっ
187名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 19:14:25.84 0
>>185
この中から一人だけ選ぶとか勇者か
188名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 20:32:00.25 O
ノ|c| ・e・) <ぬん
189名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 21:36:21.54 0
みゅん
190名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 22:29:52.24 0
柴ちゃんがいるな
191名無し募集中。。。:2012/07/12(木) 23:20:10.38 0
ほぜ
192名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 00:45:10.18 O
おやすみっちゃ
193名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 01:52:04.83 0
秘密を握るのも悪くないものだ
194名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 02:31:19.65 0
>>193
な、何の秘密だー!
195名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 02:51:50.73 0
さゆみんお誕生日おめでとー
196名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 02:59:41.98 0
そしてそんな日に規制解除の自分おめ!
197名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 05:08:59.02 0
おぱよん
198名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 06:45:08.30 0
おはさゆみん
199名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 07:31:23.48 O
さゆおはー
200名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 07:44:28.79 0
皆さんは気付いていました?
保管庫で作品紹介が始まっていること
201名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 09:36:41.01 O
あの作品紹介好きw
202名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 09:52:33.48 0
新規さんにも解りやすいし
作者さんも嬉しいと思うの
203名無し募集中。 。 。:2012/07/13(金) 10:05:24.89 O
どうもカナリアの人です。いつの間にかシリーズになってるw
続きを書くのに、まだ時間が必要だけど俄然強めにやる気が出てきたの。
从*・ 。.・)
204名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 10:06:48.52 0
次回予告
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen9988.jpg  ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10340.jpg
                     優しい声が聞こえる 優しく明るい声が
         喫茶リゾナントの店員さんも更に4人増えて賑やかだ!特に鞘師と鈴木は明るい
               (先程のTVで流れる事件で悩む私の心も吹き飛ばす位に)

ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen4838.jpg
    でも鞘師は最初みんなと打ち解けず リゾナントの隅で1人サイダーを寂しそうに飲んでいる事が多かった
ttp://aewen.com/momusu/li/img/aewen3615.jpg ttp://aewen.com/momusu/michishige/img/aewen5718.jpg
    「いっぱいバナナ食べて強い子になるダヨ」「りほりほ可哀想なの…でも一人でいるという事は私にとって
好都合なの…うふふふ」先輩達も思いは違えど鞘師の事を気にしている様子 そんな私も鞘師の事を気に留めていた
      その頃は彼女にとって対照的なズッキの超天真爛漫な所が苦手のようで 香音が賄いで出された
       スパゲティーで口の周りを豪快に汚した時 服の袖でゴシゴシするのを鞘師は見ていて嫌だった
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen3953.jpg
           ある日 香音の体がぶつかり鞘師は顔と服を零したサイダーで濡らしてしまう
       雫がシュワシュワと音を立て 細かな気泡を作りながら 親友を流れ落ちる間に香音は思う
                 [知っていた 鞘師がサイダーをどれだけ好きなのかを]
         大好きな物を台無しにし汚してしまった…自分でも大好きな食べ物を落とされたら
               すごく嫌だ・・・悲しい・・・と考えるうちに泣き出してしまう香音
                  心が凹んで 体までズブズブと床に沈み込んでいく

                すると鞘師は指で涙をぬぐってあげると さらに なんと・・・
ttp://aewen.com/momusu/takahashi/img/aewen9997.jpg
                「あちゃ〜 またリゾナントに元気が増えちゃったか〜〜」


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「元気+」

              ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen3954.jpg 「うふっ」
                そう 鞘師は服の袖で自分の顔を・・・・ごしごしっ!!
205名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 12:04:28.68 0
改めて思った
りほりほはかわいい
206名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 13:29:07.46 0
どこかメルヘンチックで微笑ましい話ですね
207名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 14:52:58.29 0
画像と予告があってるね
208名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 16:39:51.85 0
13日の金曜日
209名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 17:09:06.97 0
決戦は金曜日
210名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 18:25:17.17 0
朝がまた来る
211名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 18:48:10.88 0
その中でいくつもの夜が犠牲になる
212名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 19:49:19.26 0
その繰り返しさ。
213名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 20:38:46.15 0
何度でも
214名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 21:57:52.41 0
未来予想図
215名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 22:56:31.25 0
きっと何年経ってもこうしてかわらぬ共鳴を・・・
216名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 23:47:24.13 O
仲間とだから…
217名無し募集中。。。:2012/07/13(金) 23:51:29.93 0
晴れたらいいね
218名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 01:16:02.55 0
おやすみ
219名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 02:44:30.61 0
『-Qualia-』の作者です。ようやく規制が解除されました(涙
長編紹介に並べてもらえるなんて凄く嬉しいです。
ありがとうございます。
ただその、9期ファンとまでは行かないのですがこれまで書いてきた
ものよりも力を注いで頑張りたいと思います(平伏
ちなみに <しゅわしゅわ〜ぽんっ らしいです。
220名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 03:13:23.36 O
>>200
おいおいすごいなぁ
単発のやつとかネタより説明の方が書き込まれてるじゃん
221名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 06:11:04.69 0
h
222名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 07:56:48.04 0
おぱよん
223名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 08:27:18.42 0
波濤逆巻く夜の海を進む高速船の船橋に一人の少女が駆け込んできた。
高橋愛 ― 特務機関Mの研修生である彼女は新たに編成される特殊部隊フィフスのアタッカー候補だ。
  
愛は今まさに行われている卒業試験を中止するよう、指導役の吉澤ひとみに訴えに来たのだ。
試験の内容は発達中の低気圧に向かって進む船のデッキに掲げられたMの隊旗を夜明けまで風雨から守りぬくこと。

  「麻琴は昨日から熱っぽいし、あさ美ちゃんは足を挫いてるし」
  「で、お前は一人だけこうして船の中で休憩か。 意外にちゃっかりしてるな、期待のホープさんは」

吉澤の毒舌に鼻白みながらも、今行っていることは能力犯罪者を取り締まる為に結成されたMの試験としては相応しくないことを訥々と訴える愛。
  「そりゃ、お前らが第一線に配備されたとして、雨風の中で旗を守りきるなんて任務は有り得ないわな」
  「だったら…」

少しばかり他人と違う能力を手にしたことだけで、神様気取りになって社会のルールを破る凶悪な能力犯罪者は、取り締まる者に対して情け容赦が無いという経験則を吉澤は告げた。
  「その一方で現場を知らないずっと上の奴は能力者のことを魔法使いやスーパーマンのように思ってるみたいだしな」

言ってみれば外憂内患なMの一員がここぞという場面で頼れる武器とは?
  「自分の力?」
  「違えよ、優等生。お前がどれだけ凄くたってお前一人で出来ることなんてたかが知れている」

この終了過程はそれを見つけ出すための場であることを告げた吉澤は愛に確認した。
  「いいのか? 今この瞬間も吹きっさらしのデッキの上で他の奴らは旗を守り続けてるんだろう。 いいのか、お前はそれで?」

弾かれたように船橋を飛びだしていく愛の背中を吉澤の声が追ってくる。

次回、暁の戦隊 世間じゃ三連休かもしれなけどこっちは仕事だぜクソッSP「ザ☆ピ〜ス!」

  「隊訓斉唱!」
  「われらの拳は明けの明星。闇を照らし悪を打ち砕く。われらの拳は正義のてっち痛ぇ〜」
  「HO〜ほら行こうぜ そうだみんな行こうぜ」

それはまだ彼女たちがほんとうのかなしみを知らなかった頃の青春の1ページ。 あの日守り抜いた旗は今も心の中に翻って…。
224名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 10:23:38.38 O
225名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 12:26:29.79 0
h
226名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 14:49:58.08 0
>>223
タイトルがヤケクソだなw
227名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 16:14:36.76 0
>>223
このスレではレジェンド的な位置にあるフィフスもこの曲のときはいなかったと思うと改めて歴史を感じる
それでいてあの旗を必死に守る若かりし日の彼女らの姿が浮かんでくるような…
過去があって現在があるんだなあ
だから未来のためにお仕事ファイトです
228名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 16:27:24.91 0
>>226
ザ☆ピ〜スのPVで雨風の中で頑張る水兵さんっぽいシーンがあったから書いてみたのですがかな〜り力不足でしたw
かなしみ戦隊が完結するまで似たようなフォーマットの暁は待機してようと思ってました
ですが…これだけ魅力に乏しいと逆にかなしみさんの予告編と並行しても混乱を招くってことはなさそうなことを今理解しました
明日から1レスずつ不定期に投下させてもらうことに決めました
ラスボスの後藤さんにちなんでスレが510番台を下回ったときに保全代わりに出没させていただきます
長文失礼ですた
229名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 17:02:19.24 0
カチッ カチッ カチッ

『なあ あゆみん うるさくて仕方ないんだけど。やめてくれないか、そのふたを開け閉めするの』

なに?ああ、ごめんなさいね。気がつかなかったわ。いけない、いけない
あなた、嫌いだもんね、これが

『ん〜まあな、耳に響くからな。そのクセやめたほうがいいって。女の子らしくないぞ』

クセはなかなか直らないのよ。あなたにもクセの一つや二つあるでしょう

『まあ、あるけどな鼻をクンクンいわすとか。それに三つ子の魂百までというしな』

それってどういう意味なの?

『なんだ、そんなことも知らないのか?幼時の性格は、年をとっても変わらないということだな
 先代はこういうことも知っていたんだぞ。あゆみんも頑張らないと』

ウソだね。ウソだ! ウソだ!絶対ウソだ!ウソだね!そういう記憶ないわ!絶対違うから

『・・・なああゆみん、少しは先代を認めてあげろよ。いくらあんなことがあったからってさ
 先代もあゆみんのためを思ってだな・・・』

うるさい!私は今勉強中なんだから、リオンは筒の中に戻っててよ!

『はいはい、わかりましたよ、ご主人様』

管狐:イタチとねずみの中間くらいの大きさで竹筒に入るくらいの小さい妖怪
   東北地方の一部にも伝承されており、個人ではなく家に憑くものとの伝承が多い
   飼うと裕福になると言われており、人の心や考えていることを悟る力があると言う
230名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 17:07:21.87 0
>>229
前スレにて一度リオンに攻撃されたので保全に書いてみました(笑)
■■シリーズのだーいしの話からなんかこんなイメージ湧きました
だーいしがきつねっぽいからかもしれないけど、なんか管狐が浮かびました
231名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 17:48:55.97 0
>>228
再開歓迎

>>230
先代とかいろんな想像を誘う話だな
232名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 18:54:25.10 O
久々にほぜなんとしてみる
233名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 20:17:39.17 O
この老いぼれも、ホゼナントさせてくだされ
234名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 21:37:28.30 O
新参ほぜなんたー
235名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 22:44:20.10 O
酔いどれほぜなんたー
236名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 22:51:52.10 0
梅酒の水割りを一杯
237名無し募集中。。。:2012/07/14(土) 23:30:21.98 0
情熱のキスを一つ
238名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 00:15:39.43 O
愛されすぎることはないのよ
239名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 01:48:19.68 0
ほぜほぜ
240名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 03:08:39.15 0
からあげ
241名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 06:05:44.99 0
モーニングコーヒー呑もうよ
242名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 08:46:50.51 0
>>228です
スレが落ちてたので保全がわりに投下しまっす

いちおう http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/574.html#id_38ae232f の続きです
興味のある方はどうぞ
243名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 08:48:15.69 0
黒崎記念病院に囚われている鈴木香音を救出すべく動き出したリゾナンター。
Mで潜入工作の経験がある愛と里沙、病院内部の構造を知っている里保の三人が救出に向かう。
深手の傷を負っている愛佳と衣梨奈、負傷者の治癒で力を使い切ったさゆみが残るリゾナントは絵里と小春が守る。
そして…比較的体力に余裕のあるれいな、ジュンジュン、リンリン、聖は愛たちの潜入を助けるため、病院から離れた場所で陽動作戦を行うことになった。

なかば黒崎の私兵と化した警察を混乱させるべく、重要拠点に設置されている防犯カメラ群をストップさせることにした四人は二手に分かれた。
れいなと聖の組はビルの壁面に半身を埋没させている女を見つけた。

女の名は三好絵梨香。 【不可視】能力者岡田唯と共に、石川梨華の直属武官として働く【瞬間移動】能力者だ。
魂が抜けたような絵梨香から何とか事情は聞き出した。
後藤真希との決戦に備えて、中澤裕子を奪還すべく警視庁内部に潜入した際に、空間を捻じ曲げる異様なチカラを感知した絵梨香は一人逃げ出してしまった。
パニックで座標計算を間違ってしまいめり込んでしまったビルから抜け出そうとしても、力は発動しないという。

 「大事な任務も大切な仲間も放って逃げた報いがこのザマさ」

絵梨香は自分のことを楽にしてくれるようれいなに頼んだ。
自分を恐怖させた能力者、後藤真希に見つかる前に。 裏切った仲間に粛清される前に。

頬を打たれた痛みが絵梨香の言葉を止めた。

次回、暁の戦隊 第13話「まごころの道」

 「あんたがこんなところで一人落ち込んでる間も、あんたの仲間はあんたが来ることを信じて戦っとるかもしれん」
 「私には無理さ。 あんたたちのリーダーみたくGのプレッシャーに耐えながら、何人もの仲間を引き連れて長距離を跳ぶなんて」

追い続けてきた高橋愛の背中との距離は全然縮まってない。 だけど自分は諦めず追い続けていくと告げたれいなは聖を伴って次の目的地に向かう。

 「今度リゾナントに来んね。 れいなの淹れたコーヒーおごっちゃるけん」

…ちくしょう、あんなチビでペチャパイのくせにすべてを知ってるみたいなこと言いやがって

まごころの道を歩いていくれいなの後ろ姿を見つめる絵梨香の目に強い光が…。
244名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 08:49:58.27 0
>>243
『暁の戦隊 第13話「まごころの道」』
再開していきなり美勇伝の曲とか反省してる
245名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 08:52:07.76 0
あと美勇伝の二人の能力設定とか「黒い羊」から頂いております
設定を借りても面白さははるかに及びませんが保全の一環として見逃していただきたくw
246名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 10:29:32.50 0
>>243の続き 
 …何じゃ、この二人の動き。 まるで敵を相手にダンスしとるみたいじゃ

体力温存のために地下鉄で黒崎記念病院を目指していた愛たち香音奪還チームは、目的地の二つ前の駅のホームで警官に発見された。
ドアが閉まる直前に飛び降りて、地上へと向かった三人はパワードスーツを着用した警視庁特殊部隊の歓迎を受ける。
傷の癒えきっていない里保を真ん中に挟んだ愛と里沙は、ぐるぐる回りながらパワードスーツの部隊と激突する。

鉄の塊に弾き飛ばされながら、回り込む。
鉄の鎧の動きを読みながら、翻弄する。
愛たちの奔放な動きについていけない特殊部隊はお互いを攻撃しあい、同士打ちで倒れていく。

  「何故、止めを刺さん。 放っておいたらまた追っかけてっくるぞ」
  「今はあんたの友達を助けることが最優先だから! それにこの連中だって上の命令で仕方なく動いてるだけだし」
  「しかし…」

不満そうな里保に里沙がかつて所属していたMの隊規を教えた。

“我らの拳は明けの明星、闇を照らし悪を打ち砕く。 我らの拳は正義の鉄槌、守るべきものある限り決して開かれることはない”

  「人間には善にも悪にもなりうる無限の可能性がある。 戦う意志を失った持たない相手への攻撃はただの暴力に過ぎない。 もし再び戦う意志を見せたならば、その時は打ち砕く」

  …そんな悠長なことを言うておったら、味方が傷つくばかりじゃ

突然、愛の動きが鈍った。 入院していたブランクはやはり身体にこたえるようだ。

  「しばらく、かわります。 傷は治りきってませんけど、あなた達よりも若いし」

次回、暁の戦隊 第14話「Moonlight night〜月夜の晩だよ〜」

鎧をはずし、鋭く舞いながら里保は守る重さ、守られる強さを体感していた。 
そんな里保の頭上で月が輝いている。
247名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 12:14:09.19 0
暁の戦隊、乙
248名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 12:20:50.40 0
>>246
おちゅちゅ
愛ガキ鞘の3人のライブが思い浮かんだ
熱いぜ暁
249名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 13:33:18.36 0
暑いデスナ

保全のかわりに>>243 >>246の続き
250名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 13:34:11.62 0
  …くそっ、やばいぜ

喫茶リゾナントを包囲しているディフェンダー・オブ・ザ・フラッグの隊長、若本は焦っていた。
喫茶店を襲ってガキをさらってくるだけの簡単な仕事の筈だったのに、もう一時間以上も膠着状態が続いているのだ。
視界を塞ぐ突風を掻い潜って、建物に手をかけた途端感電する隊員たち。
街の守護者を名乗ってはいるが、元々は都知事黒崎が施行した暴力団対策条例で行き場を失った無法の徒の集団だ。
しくじったら自分の体でケジメを取らされてしまう。

暗然とした面持ちで小指を撫でていた若本は、幼稚園児ぐらいの少年に反感の込もった視線で見られていることに気づく。

  …ちっ、交通封鎖は行っているはずだがな。 待てよこのガキは近所に住んでやがるのか。 だったら使えるな…

  「夜中にお部屋を抜け出すなんていけないボクちゃんでちゅねぇ〜」

言葉巧みに少年を捕まえると、喫茶店の中にいる人間に呼びかけた。

  「大人しく、扉を開けて俺たちを中に入れてもらおうか。 さもないとこのガキがどうなっても知らないぞ」

ドア越しに中の狼狽が伝わってくる。

  「わかっちゃいないなあいつらは。 俺たちに逆らったところで敵いっこねえってことが」

軽口を叩きながら隊員の方を見やった若本は、大半の隊員の足元が凍結しているのを目の当たりにした。

  「ああ、テメーはわかっちゃいない。 アタシの大事なボーイフレンドに手を上げる罪の重さをテメーはわかっちゃいねえ」

次回、暁の戦隊 第15話「ボーイフレンド」

イィーッと奇声を上げながら黒の戦闘員たちが凍結を免れた隊員に襲いかかっていく。
若本の手から逃れた少年の頭を撫でながら、氷の魔女は断罪する。

  「さあっ、街の守護者の隊長さんよ。 テメーの罪を数えな!!」
251名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 15:00:14.12 0
  「魔女だあ〜。 こいつは魔女だ。 そしてこの喫茶店の連中は魔女の仲間だ」

藤本美貴の魔術とダークネス戦闘員の攻撃で大半の隊員を倒されたディフェンダー・オブ・ザ・フラッグの隊長、若本が叫んでいた。
交通封鎖が解け、集まりだした野次馬の中からそれに呼応する声が。
美貴たちの手を逃れたディフェンダーの隊員たちが、近辺の民家から調達した衣服を身に付け、町の住人を装って若本の扇動を助けている。

  「そうだ、俺も見たぞ。 その魔女があの喫茶店から出てくるのを」 「許せねえな。 ディフェンダーのみんながあんなにひどい目に」
  「きっとあの喫茶店が魔女のアジトなんだ」 「いつも街の治安を守ってくれているヒーローを今日は俺たちが守るんだ」

たくみなアジテートに色めき立つ町の人々。
この事態を引き起こした張本人の藤本美貴はというと不穏な成り行きをニヤニヤしながら見守っている。

  「こんな喫茶店なんか叩き壊してしまえ」

街の住人を装ったディフェンダーの隊員がリゾナントに迫ろうとした時、立ちはだかる影が。
間賀時男 ― 喫茶リゾナントの常連客にして女の太腿の違いがわかる男だ。

ディフェンダーの隊長、若本が子供に危害を加えようとしたところを魔女が助けに入ったのだという事実を告げて自制を訴える間賀。
しかし住人を装った隊員や血気に逸る町の人々は間賀に手を上げようとする。
今度、その手を握って制止したのは、リゾナントの常連客であるタクシーの運転手だ。

  「今夜は商売にならないから、この店で夕食を取って上がりにしようと思ってたら、何の騒ぎなんですか一体」

運転手はパジャマ姿の住人の中にディフェンダーの隊員と同じ制式ブーツを履いている者が多数いることを指摘した。

次回、暁の戦隊 第16話「HEY!未来」

  「この街は私たちを育ててくれました。 この街で子供たちも未来に向かって育ってゆくんです。 そんな大切な場所で一時の感情に走ってはいけない」

間賀の言葉で真実に触れた町の住人たちは、ディフェンダーの隊員たちを取り押さえた。
その様子を見届けてから間賀は腰を抜かした。 そんな間賀のPCには女性の太腿の画像データが7GBばかり。
女の太腿にはだらしないが、為すべき時に為すべきことをする気概を持つ。 間賀とは要するにそういう男だ。
252名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 15:01:59.36 0
>>243 >>246 >>250-251

急にでかけなくちゃならなくなったんで保全戦線を一時離脱します
後はよろしく
253名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 15:19:41.19 0
任せとき
254名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 15:45:25.20 0
>>252
かなしみさんの予告編とはまた違った味わいで面白い
あと同じ楽曲をどう料理していくかそれがまた楽しみ
255名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 17:42:03.61 0
暁さんの続きも来てる。
最近の作品ラッシュが半端ないけど面白いから許す。
256名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 17:44:09.50 0
つべの次回予告総集編みたいなw
257名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 18:24:37.70 0
7GBパネェ
258名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 18:40:15.23 0
面白い作品ラッシュで自分の稚拙な話なんか出せないw
もし皆さんが息切れするようなことがあった時の為にお話練りに練っておきます
259名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 19:10:09.31 0
>>258
そんなこと言わずに見してみぃハァハァ
260名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 19:28:20.02 0
>>252
間賀さん男だな
お友達になって秘蔵のファイルを共有したいw

>>258
恥ずかしがらずに見せてご覧 
261名無し募集中。 。 。:2012/07/15(日) 19:47:00.89 O
>>258
自分も、そんな中、投下したよ。大丈夫だよ。
待ってます。
262名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 20:01:59.59 0
自分のだけあんまりレスつかなかったらどうしようとか不安になるのは分かるw
263名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 20:05:56.38 0
ちゃんと感想書くから安心しておくれ
264名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 20:17:01.71 0
>>258
オレの素直な気持ちを>>258に伝えるよ…
受け取ってくれるか?
265258:2012/07/15(日) 21:23:43.15 0
お前らw
ひとまず今途中なのを完結させねば
そしてついさっきまた新しい話のテーマを思いついた
266名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 22:25:49.11 O
さあさあ見せるのだ
267名無し募集中。。。:2012/07/15(日) 23:26:47.67 0
文章だけを見ると皆そういうのお好きね。

>>258
楽しみにしてます。自分も続きをば。
268名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 00:30:19.53 0
ほぜほぜ
269名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 01:20:03.02 O
今日も雨が降っていた。
大地を潤すはずの天の恵みは、局地的に降り続き、人々に甚大な被害を与えていた。

こういう雨はあまり良くないと直感的に思う。

アスファルトを濡らしたことで、特有の匂いが鼻をつく。
夏の雨は爽やかだが、どこか危うさも秘めている。
嵐を起こし、街を覆うのも夏の雨だとぼんやり考えた。


風で雲を動かすことはできなくはない。
しかし、自然の摂理に反したことはあまりしたくない。
270名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 01:21:17.28 O


そのとき、ふいに雨が止んだ気がした。
見上げると、そこには小さな傘が差してあり、持ち主である彼女は寂しそうに笑っていた。

「風邪、引きますよ?」

いつだったか、風が騒いだ日にも彼女は現れた。
私はクスッと笑うと「そうかも」と返した。

「なんかね、空見てると落ち着くの。雨に打たれるのも好きなんだぁ」
「だからって体に悪いですよ。せめて傘さしてください」

彼女の意見はもっともで、私は大袈裟に肩を竦めた。
271名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 01:23:00.58 O
相変わらず彼女は、私に優しい。
というか人に優しい。
そこまで気遣いせずとも、私はだいじょうぶだよと伝えたいのだが。

「………此処にいますから」

私がぼんやり考えていると、彼女はふいに重苦しい言葉を吐いた。
思わず「え?」と返すと、彼女は切ない瞳をこちらに向けていた。
その瞳は確かに、雨に濡れていた。

「みんな此処にいます。絶対、あなたをひとりにはしません」

それは何処までも真っ直ぐで何処までも力強い言葉だった。
明確な意志をもった言葉は光り輝き、優しさと温もりを放ちながら心を揺らす。
それは小説やドラマで聞くようなセリフに近い。
しかし付与された意味はそれよりも、もっと重い。
272名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 01:24:26.46 O

「……守ってくれる?」

わざと試すように訊ねると、彼女は目を細めてニッと笑った。

私よりも年下で、生意気な笑顔を持つ彼女だか、それでも彼女の放つ温もりは私を包み込んで離さない。
優しい香りを持った彼女はふとした瞬間に私の隣で笑っている。

「喜んで」

その笑みは不敵なくせに温かい。
なんだかそれがとても生意気で腹立たしくて
でも結局は優しくて、私はどうしようもなく笑ってしまった。


あーあ、結局また、助けられちゃったねと呟くと、お互い様ですという言葉が返ってきた。
273名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 01:25:17.87 O


雨はやまない。
天に居座るのは重苦しい黒雲ばかりだった。

だけど確かに、青空はその上にある。

見えない場所に輝いた空を、私は確かに瞼の裏に映していた。



そこにいる仲間のために、もう少しだけ足掻いてみようかと、走り去った風に呟いた。

だれにも聞こえないような小さな決意は
激しい雨と風に流されていったが
確かに彼女はそれを汲み取り、聞こえない振りをして遠くの街を見た。



きっともうすぐ、晴れそうだった。

274名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 01:28:04.83 O
>>269-273
「風の行く末、未来への路、つづいていく青空」


純然たる保全小ネタです
酔っ払い&携帯からなんで改行ミスとかあったらすみませんm(__)m
275名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 01:38:07.79 0
>>274
綺麗な情景描写で心が洗われるようです
私にはこういうの絶対書けないので憧れます

某携帯ゲームの順位争いで荒んだ心にし沁みました
276名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 06:21:41.63 0
おはあげ
277名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 09:06:11.13 0
おはっす
278名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 09:21:27.51 0
>>274
助け助けられて少しだけ前向きになって
ため息が出るぐらいすてきな話やな
高湿度による不快指数が少し下がったわ
279名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 11:31:54.51 O
このシリーズ好きだわ
280名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 13:07:37.10 O
ほぜなんと
281名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 15:30:29.58 0
なか卯からあげ
282名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 16:55:01.04 0
電車移動中
283名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 18:12:06.48 O
実家でまったり
284名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 19:05:50.75 0
携帯用のブラウザが変ですわ
285名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 20:34:39.16 0
ホゼナンター参上
286名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 21:03:44.20 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/641.htmlつづき


-------

愛佳は椅子に座りながらランチ営業の収支決算をしていた。
まだまだ暑い日が続くせいか、喫茶店で涼んでいこうという客は多く、今日の売り上げは伸びていた。
愛佳の脚はまだ万全ではなく、現場には復帰していない。怪我の容体を考えると当たり前といえば当たり前だった。
小春よりも軽傷であるとはいえ、左脚の膝から下はぐちゃぐちゃだった。
神経が繋がっていることが奇蹟だと医者に言わしめたほど、彼女の脚の損傷は激しかった。
逆に言えば、腹部の方はいくつかの内臓が傷ついていたものの、あの闘いから1ヶ月経ったいまでこそ順調に回復はしている。
そうは言っても、現場復帰など到底先の未来のことだとは分かっていた。

結果、愛佳を除いた5人でじゃんけんをして、負けた人間が買い出しに行くという原始的な方法を取ることになった。

「えー、私負けたダ」

そうしてジュンジュンのひとり負けが決定し、買い出し係に任命された。
公平なじゃんけんでは文句を言っても仕方ながない。リンリンからメモを受け取り、この暑い日差しの中でスーパーまで歩くことにした。

「じゃあ、気をつけてね」
「分カリマシタ」

さゆみの声を背に受け、ジュンジュンは喫茶店の扉を開けた。
少しだけ弱めの西日が射しこんできたその瞬間に、愛佳の脳内に微かなヴィジョンが現れた。
明確な色を持たず、不定形なその未来に、愛佳は思わず「ジュンジュンっ!」と声を出した。
呼ばれた彼女は「ハイ?」と振り返る。その瞳は恐れも迷いも持たず、愛佳はなんと言って良いのか分からなくなった。
287名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 21:04:38.58 0

「なんか……視えたと?」

れいなの不安そうな言葉に愛佳は自信なさげに頷いた。
ハッキリとしたヴィジョンが視えたわけではない。あまりにも曖昧で不確かなその未来は、伝えるには早計過ぎる。
だが、愛佳には小春を救えなかったという負い目があった。
もし自分の視た未来がなんらかの形でジュンジュンに関わり、彼女を危険な目に遭わせるというのなら、それはなんとしても避けなくてはならない。
あんな風に、仲間が傷つくのはもう嫌だった。

「だいじょうぶダヨ光井サン」

そんな愛佳にジュンジュンはニコッと笑いかけた。
彼女がどれほどの苦しみを背負っているか、ジュンジュンには分かっていた。
あなたのせいじゃないと言われても、彼女がそれを気にしないわけはない。
未来が視えるにもかかわらず、それを避けられないのは、愛佳にとって屈辱というよりも、絶望だった。
なんのためにこんな能力があるんだと責めるのは、だれもが同じだったから。

「全部ハ視えてないンデショ?」
「ハッキリとは…でも、でも、いまのはなんか…」
「じゃあリンリンがいっしょに行くデス」

声を上げたのはリンリンだった。
此処で押し問答をしていても埒が明かない。手っ取り早いのは単独行動でなく、ふたり以上で動くことだと判断した。
リーダーがいない現状、最終判断を下すのはリゾナンター個々人だった。
だれもがみな、不安は少なからず抱えているが、いつまでも動かないわけにもいかない。

「ふたりとも、なにかあったらすぐに連絡して」

さゆみがそう言うとジュンジュンとリンリンは元気よく頷き、今度こそ扉を開けて外に出た。
先ほどまであんなに晴れていたのに、いまは随分と暗くなっていた。どうやら一雨きそうだなと考えていると、扉が閉まる。
もう二度と、あの扉は開かないんじゃないかとか、そんなはずもないのに、なんとなくれいなはそんなことを考えてしまった。
288名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 21:05:16.15 0
-------

その出来事は買い物を済ませた直後に起きた。
スーパーを出たふたりは、あまりにも異様なその空気に思わず立ち止まり空を見上げた。
いまにも降り出しそうな黒い雲が天井に居座り、ぎらりと睨みをきかせていた太陽を覆い隠していた。

「なんだと思う?」
「分からない……この重苦しい空気は、たぶんダークネスだと思うけど……」

肌でぴりぴりとイヤな予感を覚える。
こんな不穏な空気は久しぶりだなとリンリンは思った。

「とにかく、リゾナントに戻ろう。此処は人が多すぎる」

そうしてジュンジュンは足早に歩き出した。
リンリンはその背中を慌てて追いかける。何処か遠くで雷が落ちる音が聞こえた。

まさか、小春と愛佳が対峙した敵が傍にいるのだろうかと考える。
それにしては、こうも分かりやすく自分の気配を前面に出してくるだろうか。
普通はもっと気配を消して、急襲するのがダークネスの戦術のセオリーのはずなのに。
289名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 21:06:11.95 0
瞬間、だった。
いままで感じたこともないような真っ黒いオーラにジュンジュンとリンリンは同時に天を仰いだ。
自分たちの数メートル先のビルの屋上から、こちらを真っ直ぐに見下ろす影を見つけた。

思わず足が竦んだ。
先日対峙した能力者たちとはわけが違う。
あまりにも強大で、あまりにも深い闇を背負ったその男に、なにも為す術がなくなってしまった。
必死に思考を止めるなと震える膝を奮い立たせ、ふたりはジリッと後ずさる。

「……商店街から離れよう。一般人を巻き込むことはできない」

幸いにも男はすぐさま攻撃してくる気配はなかった。
なにを考えているのかは読めない。それに加え、明確な殺意があるようにも見えなかった。
いったいなにが目的なのかは分からないが、目を逸らさぬまま、じりじりと後ろに下がり、路地へと入った。
すぐさまふたりは走り出した。
あんな敵、いままで対峙したことがなかった。

「あいつが久住さんを襲ったやつ?」
「恐らくはそうでしょう。光井さんの言っていた黒いオーラとも重なるし」

ふたりは街中を駆け抜ける。
入り組んだ路地を右へ左へ。行き止まりにぶつからないように塀を越え、再び走る。
商店街から充分な距離を取ったところで振り返るが、男の姿は見えない。
先ほど感じた強い気配も消えていた。
290名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 21:07:01.97 0

リンリンは息を整えながら現状を報告しなくてはと携帯電話を取り出す。
すると、再びその気配を感じた。
まさかと思い顔を上げると、数メートル先に男はいた。
真っ黒いマントを観に纏い、顔を隠してステップを踏む男はこちらとの距離を測っているのか、まだ攻撃してこない。

「いつの間にいたんだよ……」

リンリンは思わず苦笑すると、男はすっと手を上げた。
なにをする気だと思っていると、手は肩の高さまで上がり指先がすっと動いた。
眉を顰めた瞬間、手にしていた携帯電話が破壊された。突然音を立てて砕けた物体に、リンリンは思わず目を見開く。
なにが起きたのか、全く理解できなかった。
自分が持っていた右手が震えているのが分かる。それは恐れではない。もっと物理的な理由がある。
これは……感電?

思考を働かせる余裕など与えてはくれなかった。
男は一歩踏み出したかと思うと、リンリンの懐に入り込んだ。
突然の襲来に左脚で応戦するが、男はひょいとそれを躱わしたかと思うと、再び距離を取る。

「冗談キツいね……ふたりで勝てるかな?」

ジュンジュンは苦笑すると、手にしていたスーパーの袋を地面に置いた。
相手は小春と愛佳を完膚なきまでに叩きのめした男だ。勝率なんて、見えるはずもない。
だが、逃げるという選択肢は、相変わらず存在しない。
291名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 21:07:34.69 0

ジュンジュンは右脚で地面を蹴ると、男へと距離を詰め、大きく振りかぶる。
男の左頬を捉えようとした拳は空を切り、間髪入れずに左から腹を狙う。しかし、それも即座に躱わされる。
男との距離を取った瞬間、ジュンジュンは自分の携帯電話をリンリンに投げた。

「連絡!早く!」

そうしてジュンジュンは再び男に殴りかかった。
男はステップを踏んで拳を避け、徐々に後ろに下がる。
しかし、それは決してジュンジュンが圧しているからというわけではない。むしろ形勢は、男の方が有利でもあった。

「ジュンジュン!」
「良いから早く!」

リンリンを軽く睨みつけると、ジュンジュンは右脚で地面を抉った。
微かに宙に舞った小石が男の顔面に突き刺さり、男は数歩下がる。
此処で畳みかけることを決めたジュンジュンは再び右脚で男の足首を蹴り倒した。
バランスを崩した男は後方に倒れこむ。彼女は地面を蹴り、男に馬乗りになろうとした。
292名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 21:08:13.28 0
-------

れいなの携帯電話が鳴るのと、愛佳の脳内に突然のヴィジョンが現れたのはほぼ同時だった。
彼女の不穏な空気を感じ取ったのか、周囲の視線は愛佳に向くが、れいなは携帯を取る。

「リンリン、どしたと?」
「いま朝陽地区3丁目の路地裏で闘ってマス!久住サンと光井サンを襲ったあの男デス!!」

最後まで言葉を聞く前にれいなは立ち上がった。
椅子にかけてあった上着を手に持ち、「すぐ行く!」と電話を切った。
愛佳は短く息を吐き、苦しそうに机に伏していた。何事かと絵里が背中をさするが、過呼吸を起こしているのか、声が出ない。

「絵里とさゆは残って!れなは行くけん!」
「まさか、あのふたり……」
「説明はあとっちゃ!」

れいなはそう言うと喫茶リゾナントを飛び出した。
雷鳴が聞こえ、いまにも冷たい雨が降り出しそうな街をれいなは走り出した。

「ダメ……いか、ないで……」

愛佳が苦しげにそう呟いたのは、だれにも届くことはなかった。
さゆみは急いで厨房から紙袋と水をもってきて愛佳に渡す。
とにかく愛に連絡をしなければと携帯電話の電話帳を呼び出した。
293名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 21:09:04.73 0
今日は此処までです
つづきもがんばります
294名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 21:52:53.08 0
実に緊迫感溢れる展開だ
続きを待っているよ
295名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 22:00:18.16 O
前回までのあらすじ
わたしルビー!
魔法の国、ジュエルランドでさらわれた皆を助けるために人間界にやってきちゃった!
ジュエルペット
毎週土曜朝9:30放送中!
みてね〜


ハo´ 。`ルv<おい亀井ぃ
録画出来てねーじゃねーか何してんだよ

ノノ*^ー^) <すみません姫
アナログ世代なもので

ハo´ 。`ルv<バカたれ!
番組選んでボタン押すだけだろーが!

ノノ*^ー^) <す、すみません
すぐ新しいテレビと交換いたします

296名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 22:02:31.35 O
ハo´ 。`ルv<違う!お前の脳を交換してもらえ!
何さりげなくテレビの方に問題があるみたいな言い方してんだ
最新型だ

ノノ*^ー^) <ごめんなさい
お詫びにこのテレビと傷の共有をするので許して下さい

ハo´ 。`ルv<やめろ!傷の共有やめろ!
なんでお前は何でもすぐ傷の共有をしたがるんだ!傷の共有病か!

ノノ*^ー^) <傷の共有で人を救うこともできるのです
ハo´ 。`ルv<おーい、じっちゃん!
今すぐこいつを解雇してくれい

ノノ*^ー^) <わわわかりましたわかりましたっ
次からは気を付けますハイ
ハo´ 。`ルv<最初から素直にそう言えばいいんだよ

ノノ*^ー^) <でも姫がこんなに熱くなってるの久しぶりに見ました

ハo´ 。`ルv<え?

ノノ*^ー^) <だって姫、いつもどことなく寂しそうだったから

297名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 22:04:41.08 O
ハo´ 。`ルv<お前・・まさかハルの気持ちを掴むためにハルの持ち物に傷の共有を?

ノノ*^ー^) <えぇ、電化製品や筆記用具やパンツ・・様々なパンツを通して姫の思いが伝わってきました
本当は不安だったんですよね?

ハo´ 。`ルv<亀井・・

ノノ*^ー^) <では姫、参りましょうかね

ハo´ 。`ルv<ど、どこへ・・

ノノ*^ー^) <ジュエルランドへ

ハo´ 。`ルvoO(あぁやっぱこいつふざけてるわ)


298名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 22:09:40.43 O
>>295-297
ほぜ
あーやっぱ携帯からだと改行ミスっちゃいますね
wikiの説明カッコよくして下さってありがとうございます
http://noid.s43.xrea.com/apuroda/img/up21842.jpghttp://noid.s43.xrea.com/apuroda/img/up21841.jpg
299名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 22:12:03.16 0
>>293
史実通りにいくとすればこの後の流れは・・・。。・゚・(ノД‘)・゚・。

>>298
超次元で面白いです
ジュエルペットとか懐かしいw
300名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 22:15:25.57 O
301名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 22:35:17.48 0
次回予告
            今日もモーニング娘。のコンサートは大盛況!!最後に手を振って退場
        その時 ふとれいなはピカピカのサイリウムを振り返すお客さんが スゴーく羨ましく見えた
ttp://aewen.com/momusu/tanaka/img/aewen6968.jpg
     「次回のコンサートで私達もサイリウムを振ろう!お客さんとモットモット一体になれるったい!!」
           思いがけないれいなからの提案に驚きながらも つんく♂P は快く了承する

        当日 れいなの考えは的中しメンバーもお客さんもノリノリで盛り上がって行くのだった
      終盤 メンバーたちは戦隊物のソードの形をしたサイリウムに持ち替える れいなの案である
そして戦隊リゾナンターの寸劇を披露する これにはリゾナンターまで見られた!とお客さんは大興奮の大満足
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen3943.jpg
           調子に乗ったズッキとりほりほは MC時にもチャンバラでサイを振り回す!
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen8523.jpg
              「今宵の斬鉄剣は一味違うじゃけぇ!ひゃっっほーーーーい♪」
         愛が注意するが案の定 手を滑ったサイリウムが会場に・・しかしお客さんからは
          メンバーのサイがゲット出来たと歓喜の声 その偶然の行為が受けたようだ
         さらに調子に乗る2人にれいなが悪乗りして会場へとサイが投げ込まれていく
    次第に歓喜は悲鳴と怒号へと変わっていく オタの穴という穴にサイが刺さっていっていたのだ
               『アーーーーーーーーーーッ!!!』会場は大パニック!
            生田はその凄惨な光景を右から左にじっくり見渡すと こう呟いた

ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10486.jpg
    「わあっ!会場があんなに綺麗・・先輩!ファンの方と一体になるってこの事だったんですね!」


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「元気ピカッピカッ!」

       終焉後 特設野戦病院にて愛佳がファンの傷を癒やし 里沙がトラウマをケアしたので
           現在ファンクラブに この件に関してのトラブルや訴えは起こっていない
           …しかしこの後 サイリウム等を激しく振り回す行為は固く禁止される…
     -リゾオタ達はこの禁止行為の本当の理由を知らぬまま 今日もすやすやと眠っているのだ-
302名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 23:05:47.00 0
ハライテーwww
そしてそういえばそういう世界観でもありましたw
303名無し募集中。。。:2012/07/16(月) 23:53:46.22 O
ぶっ飛んでんなww
304名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 01:04:59.21 0
>>301
『やらないか』を思い出したww
305名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 02:48:30.55 0
>>298
なんてミスマッチ、でもどこかやみつきになるようなw

>>301
もうなんか笑うしかww
306名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 05:23:51.83 O
朝からほぜなんと
307名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 06:30:45.34 0
おぱよん
308名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 08:09:17.72 0
>>293
ものすごく真っ当というか骨太の作品になってきた気がする
どんな運命がメンバーを待っているのか
続きをまってます

>>298
イイ話だなあ

>>301
穴という穴とはどういうことなのか詳しく聞かせてもらいたい
こういう面白いネタもかなしみ戦隊の魅力ですね
ピンクの悪魔の新作も見てみたい気が
309名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 10:37:14.66 0
スレも気温もアツいぜ
310名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 12:18:39.99 0
>>252の続き
311名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 12:19:25.36 0

愛たち香音救出チームの潜入を助けるべく陽動工作を行っているジュンジュンとリンリンは敵と交戦していた。
敵の名は…後藤真希。
パジャマ姿のままビルの高層階から飛び降りてきた後藤は片手で携帯を操りながら二人を翻弄した。

  …こいつ、やばいぞ。 
  …この人とは一二度対峙したことはあるけど、その時とは身にまとってる空気がまるで違う。

  「君たちに良いお知らせがありま〜す」

襲撃されたリゾナントが無事であることを告げた後藤は愉快げに笑っている。

  「クロちゃんも尻に火が点いちゃったね」

理解不能な後藤の真意をジュンジュンが問いただす。

  「お前の目的は何ダ」
  「私の目的は私を殺してもらうこと…かな?」
  「勝手に一人で死んでクダサイ」

リンリンの投じた火球は大きく的を外した。

  「ここで君たちを完璧に潰しちゃえば、愛ちゃんも本気で私のことを殺しに来てくれる…かな?」

後藤の右足が道路を踏みしめる。
重力操作で衝撃を増幅された一撃は半径10mのアスファルトを踏み砕く。
一転、減少させられた重力。
後藤と共に宙に舞い上がったアスファルトの破片は火花を上げきらきら光りながら地上に降り注ぐ。

次回、暁の戦隊 第17話「ペイント イット ゴールド」

「君たちを華やかな色に染めてあげるよ。 抵抗せずにラクになりな」
312名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 12:22:32.02 0
  …君たちは勇敢に戦ったよ。そんな君たちに敬意を表して全力で潰す

眼下の敵、ジュンジュンとリンリンに粉砕したアスファルトの破片が直撃するよう重力を操作しながら後藤真希は思う。

  …結局、君たちは違ってたのかな

後藤の脳裏に浮かぶ光景。
それは自分と対峙した九人の戦士の凄惨な死に様と壮絶な生き様。 収束するピンク色の光。 そして…。

  「後藤ーーーーーー!」

高さ90mのビルの縁に立って地上を見下ろしていた後藤の上方から聞き覚えのある声がした。
降ってくる身体、顔を掠める拳、口内に広がる鉄の味。

  「れいなー。 一体どうやって?」

少し遅れてどさりと着地する人影。

  「キミは梨華ちゃんのオマケの…誰だっけ?」
  「絵梨香、三好絵梨香。 闇を駆けるテレポーター」

かなり無理な瞬間移動だったらしく、うええおええとえづいている。

「あの中国のお友達も頑張ってくれてはいたけどさ。 でも何か物足りなくてね」

さあ始めようとれいなに対して身構える後藤に声をかけたのは、三好絵梨香の同僚である【不可視】能力者岡田唯だ。

「中澤からの伝言をお伝えします。 こちらの腹は決まった。 都庁で待つとのことです」

次回、暁の戦隊 第18話「Take off is now」

唯からの伝言を聞いた後藤はれいなたちとの再戦を約して飛び立った。 その後ろ姿を見送るれいなの顔に戸惑いの色が。
313名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 12:23:52.23 0
>>311-312
『暁の戦隊』の第17話と18話
全部で30と少しになりそうですかね
314名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 12:58:27.51 0
現メンOGメンリゾオリメンが交錯して話が進んでいくのが胸アツです
他ユニットからのゲストの2人が胸厚なのは言うまでもなく
並行して進むストーリーがどう収束していくのか楽しみ
315名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 15:13:07.60 0
ごとーさんにも暁の未来はくるんだろうか
316名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 15:39:09.60 0
>>313
乙でした
第1シーズンのホッコリした話が好きだったのですが最終決戦へ向けての高まりを感じましたわ
317名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 17:36:57.62 O
梅雨明けほぜ
318名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 19:17:04.46 O
台風ほぜなんと
319名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 21:04:43.66 0
スレが650番台まで落ちてたので>>313の続き
320名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 21:05:45.32 0
黒崎記念病院の周辺道路に到着した愛たち香音救出チームは夥しい警官の数に目を剥いていた。
千に達しようかという人垣の前には当初の潜入プランを白紙に戻さざるを得ない。
里沙によれば愛の【瞬間移動】は移動先の安全が確認できないと、罠に嵌りかねない諸刃の剣だという。
まして里沙と里保の二人を連れてでは負担が大きすぎる。

事態を打開するには自分の【アクアキネシス】が最適だと考えた里保は自分が警官たちを足止めすることを申し出た。
水道管を破裂させて作り出した奔流で警官隊を混乱させて、愛たちが潜入する隙を作るという。

  「仲間の命を奪おうとしたわたしを許すあなたたちのことです。香音ちゃんだけでなく全部の子供たちを解放するんでしょう」

だから自分の案内など不要だという里保は、それでも香音の特徴を伝える。

  「目がくりっとして元気がはちきれそうな子を見つけたら伝えて下さい。 わたしは自分の…ひゃぁっ」

里保が奇声を上げたのは、忍び寄った何者かに抱きつかれたからだ。
吉澤ひとみ ― 自分の体重の49パーセントまでの物質を空間転移させることのできる【転移】能力者だ。

  「Oh,ベイベ、ベイベェ。 若い命を散らすようなことを言うもんじゃないぜ」

警視庁内に潜入した仲間が動きやすいよう警官をおびき出した結果が、愛たちにとっては不利益な事態を招いたことを指摘した吉澤は警官隊の手薄な一帯を愛に告げた

  「ここはアタシのステージだからな。 オマエらにオイシイところを持って行かれたくはねえんだよ」

吉澤の真意を諮りかねながらも愛たちはその場を後にせざるを得なかった。
後に残った吉澤を警官隊のサーチライトが照らす。

次回、暁の戦隊 第19話「Mr.Moonlight〜愛のビックバンド〜」

  「あんなちっこいやつが私がやりますだって。 泣かせるんじゃないぜ」

投降を促す警官隊に吉澤は突進する。 OK今夜は踊るぜ〜!!
321名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 21:08:27.11 0
>>320
『暁の戦隊 第19話「Mr.Moonlight〜愛のビックバンド〜」』

一旦締めておきます
322名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 22:07:41.57 0
おちゅちゅ
ザ☆ピ〜スの予告ともつながってるかな
こっぱずかしくなるぐらい熱い展開が好きだ
323名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 22:10:57.11 0
男前!いかすぜ!!
324名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 22:52:19.60 0
サボティまぁちゃん推しのお知らせ
325名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 23:00:40.39 O
>>324
kwsk
326名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 23:02:40.39 0
ラジオで当選してたねw
あのサボティなんだろうか
327名無し募集中。。。:2012/07/17(火) 23:23:50.13 0
次回予告
       LAでアメリカ軍所属の試作ガイノイド【coconut】が起動実験中に暴走事故を起こす
                すぐに派遣される阿久博士とガイノイドペッパー警部達
           リーダー機のミカ・ドットを始め目標の数体は目からレーザービームという
       アメリカンで結構やんちゃな装備があり ペッパー警部ですら簡単には近づけないでいた
  上空ではAプランの回収失敗時には Bプランの全体破壊命令を受けたアメリカ軍AC130が待機中だ・・
     阿久悠博士は出来れば傷つけずに目標を沈黙させたいと考える その思いは彼女達も同じッ
          まず あの高出力レーザー兵器をなんとかしないと・・・止める方法とは・・・
      新しく加わった新メンバー4人のガイノイド 彼女達の機能の中に道を切り開く鍵があった
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen9301.jpg
        メンバーのミズキが挙手!彼女の機能は水だ…そうか! ミズキはレイナと協力し
 発生させた水蒸気が辺を包み込む さらに濃い霧を噴出させ メンバーを包み込みながら目標に接近していく
     『おい!霧は無駄だぞ!目標には高性能レーダーも付いているんだ!すぐに蜂の巣だぞ…』
        レーザーによる攻撃を浴びながら進んで行くメンバーにアメリカ軍は困惑するが・・
   『お…おい…なぜ進む…日本のガイノイド達はどうして倒れないんだ! …つっ続け!チャンスだ!』
   接近!サエミが目標心臓部を即座にスキャン メンバー達は1点集中で回路のみを焼き停止させた

      アメリカ軍兵士達が心配そうにメンバー達へ駆け寄って来る 無事を確認し上がる歓喜!!
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen9471.jpg
        「光学兵器は この濃い霧の中では威力は弱まってしまうんです 少し痛かったですが」
       その後 のなりゆきでアメリカ軍が用意してくれた会場でライブを開くペッパー警部がいた


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「女が目立ってなぜイケナイ」

ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen8790.jpg
              「リゾナンターさん達はこんなに素敵な事をしているんだ!」
ペッパー警部初めてのライブに感動 その日のLAライブはきっと リゾナンターよりも目立っていたに違いない
328名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 00:27:48.43 O
フクちゃんの活躍イイヨイイヨー
329名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 00:35:04.63 0
ミカ・ドットw
330名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 00:35:13.79 0
どんなその後のなりゆきがあったんだかw
331名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 00:47:27.76 0
早朝。どんよりとした曇り空。
集合住宅の屋上。柵の外側に佇む少女。


お母さん、いつも一緒に行ってたスーパーが見えるよ。あの日も私が起きたら一緒に行くんだったよね。
私の学校も見えるよ。もう、あんな所なんか行かないんだ。
お父さん、ごめんね。さようなら。
お母さん…。


視線を下に向けたその時、一人の少女の姿が目に止まった。
立ち止まり、こちらを見ているようだ。


見かけない子…。私と同い年くらいかな…。
早くどっか行ってくんないかな…。人に見られたくないからこの時間にしたのに…。


こちらの視線に気付いたのか、少女は前に向き直り、歩き出した。
332名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 00:49:05.92 0



よかった…。どっか行った…。

眼下の地面を見つめる。


…ふぅ。
お母さん、ごめんね。私、今からそっちに行くよ。


バッ


少女は空中に飛び出した、その瞬間――


ザッパーン!!!!


!?!?!?!?!?


地面に横たわる少女。でも、生きてる????
どこも痛くない????
ただ、全身がびしょ濡れだった。
周囲のアスファルトの地面も濡れている。建物の壁や近くに停めてある車にも水しぶきが掛かっている。
でも、ここにこんなに水の出る所なんてない。
自分がついさっきまでいた屋上を見上げる。
333名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 00:50:16.39 0



私、あそこから落ちたはずなのに…??


タッ


不意に足音が聞こえ、身構えた。見ると、さっきこちらを見ていた少女のようだった。
彼女は口を開いた。

「ダメだよ」
「え…?」
「あんなことしちゃダメだよ。私、見てたよ」
「見てたって…飛び降りたのを?」
「そう」
「…じゃあ、私、一体どうなったの?」

彼女は空を見上げた。

「今日みたいに、雨の降りそうな日はなんとなく分かるんじゃ」

じゃ…?どこの子?この子…

「命にかかわる、気持ちの乱れを」

何言ってんのこの子?
334名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 00:51:25.21 0
「どんなことがあっても、自分から死を選んじゃダメだよ」
「…あなたに何が分かるの!?」
「うん。あなたのことは何も知らない。どんなことがあって飛び降りようとしたのかも知らない。でも、自分から死を選んじゃダメだよ」
「もう生きてたって、いい事なんてない」
「そうかもね」
「!?」
「あなたが、ここにいる限りはね」


ブロロロロ…
牛乳配達だろうか、1台の軽ワゴン車が集合住宅の敷地に入ってきた。
車から降りた男性が、一瞬こちらを見て怪訝な顔をしながらも、建物の中へ入っていった。


「世界は、あなたのまわりだけじゃない。今あなたがいるここは、あなたのいるべき所じゃない」
「じゃあ、どこへ行けばいいの!?」
「ここではない、どこかへ。どこかに、あなたの幸せな未来がある世界がある」
「だから、それがどこなの!?」
「それは分からない。でも、私も私のまわりの世界しか知らなかった。だけど、仲間に出逢えた」
「仲間…?」
「一緒に、幸せな未来を目指せる仲間」
「…。」
「きっといつか、どこかで出逢えるよ」

そう言うと彼女は、立ち去っていった。

…クシュン!

そう言えば、びしょ濡れだった。
…帰ろ。帰って、シャワー浴びよ。

小さな事からだが、少女は再び生きようとしていた。
335名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 00:52:50.22 0



「あれ?鞘師?」
「あ、光井さん、おはようございます!」
「おはよー。どしたん?こんな早くにこんな所で」
「いやー、なんか目が覚めちゃって。散歩してました。それ何ですか?」
「あーこの野菜?リゾナントで使ってもらおうって思ってん。さっき採って今行くとこなんやけど一緒に行く?」
「はい!」
「あれー!?」
「どうしました?」
「あの池、水が全然無い!結構広いのに。昨日通った時は普通に水あったんやけど。鞘師何か知ってる?」
「さあ?何ででしょうね」
336名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 00:59:27.59 0
>>331-335
「ここではない、どこかへ」
なんだかちょっと衝動的に書いたものです。
飛び込み競技のような考え方で、飛び込んだ先に飛び込み台のプールの深さ並みの水の塊があったイメージです
337名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 01:24:04.19 0
>>327
暁さんもかなしみさんも次回予告だけど両方とも半端ネエ。
>>336
豪快なりほりほ素敵なの。
338名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 02:32:49.92 O
リーダーがいるな
339名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 02:54:06.42 0
何この作品ラッシュw とりあえず古オタは>>313でこんなの思い出したw

http://www.youtube.com/watch?v=iXXFoMeAvY4

でもみんなイイよイイよ〜!
340KD061198132244.ppp.prin.ne.jp:2012/07/18(水) 06:48:42.93 0
>>336
最後の鞘師と愛佳の会話がいい味出してるね
341名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 07:57:00.89 0
GLAYやな
342名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 08:29:13.54 0
タイトルはね
ありがちといえばありがちな話だけどこうしてカタチになると心に染み入るわ
343名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 11:11:33.18 O
暑いなんと
344名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 12:49:08.85 0
>>336
何かイイ話ですね
また何か書きたいという衝動が湧いたときは是非

でスレが510番台まで落ちたところに来たので>>320の続きをば
345名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 12:49:41.52 0
  …あいつら何のつもりだ。 せっかく人が貴重な情報を教えてやったのによう

リゾナントを襲撃した一味が一掃された後でリゾナンターと接触した美貴は、後藤真希を倒すために練られた計画を明かした。
幹部級の能力者で結成したチームによる襲撃と無人戦闘機ジェットストライカーによる空爆の二面作戦だ。
空爆の被害がリゾナントのある町に及ぶ危険性があることを告げた上で地下に避難しているように言い残した美貴はダークネスの戦闘用車両に乗り込んだ。
その車窓からリゾナンターたちがどこかへ向かって歩いていく姿が見える。 方角的には都庁の方に向かうようだったが…

  「このボケナスどもが。 お前らごときがあの後藤に敵うとでも思ってるのか」
  「私たちは後藤さんと戦うつもりはありません。 でも愛ちゃんたちが向かった黒崎記念病院も都庁の方角にあるんです」

美貴の言葉に答えた絵里はリゾナントの防衛戦で疲労困憊していた。
それは小春やさゆみも同じだった。
愛佳や衣梨奈に至っては足を引き摺っている。

その様子を見て舌打ちした美貴は同乗していた戦闘員たちに下車を命じた。
そして自分がハンドルを握ると、空いたスペースをリゾナンターたちが使うように促した。

  「勘違いすんなよな。 アタシは後藤の奴に一発お見舞いしてやるために行くんだ。 でもまあどうせ向きは同じだから乗せてってやる」

下車させられて戸惑う戦闘員に美貴は告げた。

  「お前ら名前もない能無しのモブキャラどもがここから先に向かったところで生き残れやしねえ。 だから…ここでクビだ」

イィと不平を表す戦闘員に美貴は最後のお別れを言った。

次回、暁の戦隊 第20話「大切」

  「まあ、それでもなんだ。 今日は助けてくれてありがとうよ。 お前らみたいな奴でも大切なもんがあるんだろう。 そいつを守りに行きな」

走り去る戦闘用車両、残された戦闘員たちの胸に去来するGの脅威から解放された安堵感、そして弱い自分を苛む無力感。
346名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 12:50:28.84 0
  「香音ちゃ〜ん」

黒崎記念病院に潜入を果たした鞘師里保は単身、別館へと続く通路を走っていた。
能力者の卵の子供たちが囚われている区画から香音の姿が消えていたのだ。
里保には思い当たる場所があった。
それは脱走を試みた子供たちが懲罰を受ける別館の一角だ。
愛や里沙の制止を振り切って走り出した里保。 跡を追おうとする愛たちを事情を知らぬ警備員が阻む。

別館に入ったところで隔壁が降りた。
通路の先に居るのは、子供たちの監視役を務めていた寺田光男だ。
傍らのケージに閉じ込めた香音に銃を構えながら寺田は言った。

  「排水管と給水管を操作した。 この区画にお前の飛び道具の材料になる水は無いで」
  「水なら…有る」

里保がガブりと噛んだ指先から寺田目掛けて一筋の血槍が伸びた。
肩を貫かれた寺田の手から銃が落ちる。

  「許さん。 お前だけは許せん」

ケージの中から見える里保の貌の変化を見た香音はそれを危ぶんだ。

  …このままじゃ、里保ちゃんが人殺しになっちゃうよ

何とか止めなければと声をかけても里保に届いた様子はない。
香音は以前亜麻色の髪をしたパジャマ姿の女に話しかけられた言葉を思い出した。

  …君を助けることの出来るのは君自身だからね

次回、暁の戦隊 第21話「すべては愛の力」

これまで感じたことのない力が漲ってくるのを香音は感じた。 その根源は里保を助けたいという愛の力だった。
347名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 12:51:56.55 0
>>345-346
『暁の戦隊』第20話&21話
これからはベタな展開が続きますw
348名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 15:02:57.78 0
お茶の時間で読むナント
349名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 15:09:39.35 0
今さらだけど寺田氏が下衆すぎるw
350名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 17:18:11.65 0
ある意味おいしい役どころなのかもw
351名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 17:56:09.46 0
夕暮れほ
352名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 19:45:48.63 0
夕食ぜ
353名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 20:30:26.07 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/641.html#id_0b8a4f76つづき

-------

ジュンジュンは男に馬乗りになろうとする。
しかし、男は右腕を突きだし、ジュンジュンの腹を突き刺した。
重力の法則も相まって、腹部に重く入った拳にジュンジュンは思わず声を漏らした。
よろめきながらも男と距離を保つが、男はゆっくりと立ち上がり、彼女を蹴り飛ばした。

「ジュンジュンっ!」

彼女は勢いそのままに壁に背中から激突した。
後頭部を打つ脳震盪を起こしたのか、彼女は力なく崩れ落ち、ぴくりとも動かなくなった。
リンリンは彼女に駆け寄りたかったが、男が腰にぶら下げた太刀に手を伸ばしたことでそうもいかなくなった。
男は鞘から刀身を抜く。
一点の曇りもない刀身は確かに綺麗だと思った。

瞬間、男はリンリンに距離を詰めたかと思うと、一気に刀を振り下ろした。
リンリンは慌てて下がるが、切先は肩を掠め、微かに肉を切っていた。
苦痛に顔を歪めるが、次の瞬間には男は再び間合いに入っていた。
冗談だろう?と思う間に、刀は左脚を捉える。
骨ごと切り落とされそうになったとき、リンリンは男の手首を蹴りあげて距離をはかった。

「―――っぐぁ゛……」

完全に避けきることはできず、左脚の1/3に刀は入り込んでいたようだ。
出血の量はさほど多くはないが、楽観視している余裕もない。
リンリンは痛む左脚を引きずって確かな距離を保つ。
想像以上の強さに動揺が隠せないが、退くわけにもいかない。
れいなと連絡は取れたから、もうすぐ何人かが援護に来てくれる。それまではせめて立っておかなければならない。
354名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 20:31:03.76 0

男はなんどかステップを踏んだかと思うと、右脚で地面を軽く蹴った。

―高い!

何処からその跳躍力があるのかと驚愕したのも束の間、男は刀を振り下ろした。
刃はリンリンの体に触れることはないまま、地面へと突き刺さる。その周辺のコンクリートは抉られ、その力の強さを目の当たりにする。
リンリンはとにかく時間を稼ごうと右手に気を集中させる。
なんどか心の中で発動の言葉を呟いたあと、再び斬りかかってきた男に右手を突き出した。

突如、男の周囲、半径1メートルが焔の盾で包まれた。
“発火能力(パイロキネシス)”のおかげで、なんとか時間を稼ぐことができそうだった。
さほど長時間にはならないだろうが、せめてジュンジュンが受けた傷を回復させるまでには……

そう考えたときだった。
焔の盾が真っ直ぐに突き破られた。
リンリンは慌てて避けると、飛び出した男は一足で再び懐に入ってきた。

「早い……っ!」

男の刀はリンリンの額を掠めただけで終わったが、最も皮膚の薄い部分だったせいか、血がどろりと滲み出た。
すぐさま後ろに下がるが、血は止まることなく溢れ出し、リンリンの瞳に流れた。
視界がぼやけたことに慌ててこすると、その先で、男は刀を天高く振り上げていた。
此処から男までの推定距離は3メートル弱。その位置から振り下ろしてなにをするつもりだと考えるが、男は構わず刃を振った。

355名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 20:31:40.31 0

瞬間、膝が折れた。

「っ―――あ゛ああぁ!!」

なにが起きたのか、分からなかった。
あれほど離れた地点からの攻撃など、無意味だと思っていた。
もしなにか飛び道具があるにしても、躱わせないはずがないと思っていた。

しかし、現実にはそうはいかなかった。
男の刃から発せられた“なにか”は、リンリンの左脚に直撃し、その膝を折らせた。
先ほど受けた傷を抉るように痛みはさらに深まり、のた打ち回る。

―この感じ……やはりさっきのは……

あの男が3メートル離れた地点から刀を振り下ろして攻撃できた理由は、居合切り―――カマイタチの原理で説明はつく。
ただ問題は、あの男はそれに加え、別の能力も有しているということだった。

痛みを叫びながらリンリンは先ほど破壊された携帯電話を思い出した。
携帯電話が破壊されたとき、リンリンは確かにその手に「電気」を感じた。
最初は、内蔵された機器が破壊の衝動でなんらかのショートを起こし、その電気を手が感じたのだと思った。
だが、いまの男の太刀筋を見て考えが変わった。

356名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 20:32:11.45 0

あの男は、自分の刀でカマイタチ現象を起こすとともに、その空気間に“雷”を発生させていた。
やはりあの男も能力者であることは間違いない。
“雷の刃”を発生させるなんて、普通の人間にできることではない。

「あぅ゛……」

しかし、相手の攻撃が分かったところで打開策はなかった。
左脚は完全に動かなくなり、“発火能力(パイロキネシス)”を使おうにも、先ほどのように突破されてしまう。
仲間が来るのを待とうにも、その前に斬られてしまうのが目に見えていた。

いよいよ此処までかと下唇を噛みながら男を睨みつけていると、男の周囲に多量の石礫が飛んでいった。
何事かと思うが、それがジュンジュンの“念動力(サイコキネシス)”だと気付いたのは直後のことだった。
男は刀で石礫をひとつ残らず叩き落とすと、リンリンに背を向け、ジュンジュンと向き合った。

「お前ノ敵はこっちダヨ」

そうしてジュンジュンは腹部を押さえながらも、くいっと人差し指で挑発すると、脱兎のごとく走り出した。
男は数秒の間をもったものの、手負いのリンリンには興味をなくしたのか、その背中を追いかけた。

「ジュンジュン!ダメ!!」

なにが起きたのかを漸く把握したリンリンは叫んだが、そのときにはもうふたりとも目の前から姿を消していた。
冗談じゃない、神獣を護る神官の立場である自分が、その神獣に護られるなど言語道断だった。
リンリンはふたりを追い駆けようとするが、左脚は死んだまま、立ち上がることもできずにいた。

357名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 20:32:42.76 0

「なんで……こんなときにっ!!」

リンリンはシャツをちぎると、傷口に荒っぽく巻きつけ、とりあえずの止血を行った。

護りたいと思った。
自分の大切な世界を、大切な仲間を、大切な人を。
此処で生きているだれもの笑顔を護りたくて、だからリンリンはリゾナンターとして闘う日々を選んだ。
正義がなにか、悪がなにかなんて分からない。分からないけれども、護りたいものがあるからリンリンは闘う道に走った。
そうであるからこそ、あの日の女にそう叫んだのだ。

「ジュンジュンっ!!」

こんなところで、痛みに泣いている場合じゃないんだとリンリンは必死に叫んだ。
未だに鮮血を垂れ流す脚を拳で叩き、半ば強引に立ち上がった。

358名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 20:33:44.25 0
>>353-357
とりあえず此処までになります
この章は少し長いのですがもう少しつづきます

----------------------------------------此処まで 代理投稿でした
359名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 21:20:46.38 O
帰ったら読む!
360名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 21:47:34.64 0
りん子ーーーーーーーーーーーー!!応援してるぞ!!
361名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 23:02:48.00 O
どんな運命でも受け入れようとは思うが
この先を考えると胸が痛む…

おつ!
362名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 00:26:34.77 0
先が楽しみなお話の一つ
363名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 00:30:10.29 0
時は過ぎゆく
364名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 01:46:22.95 O
始まりの9人から小春が異動、そしてジュンジュンの身に迫る危険か……
とにかく次回を待つ
365名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 04:17:35.16 0
次回予告
     今日も私は大好きな先輩達との訓練の後 お気に入りのサイダーなんかを飲んで どのメーカーのが好き? とか
   香音ちゃんのやつ炭酸抜けてるよウフフとか言って笑うの そして夜は素敵な夢なんか見ちゃったりして明日を迎えるの
                           - でも そうはならなかった …ね -
            【世の中は 既に狂っている そう 今や 包丁を持ちストレートに駆け寄って来る殺人鬼より
          人形や得体の知れぬ物体を握り締め じっとコチラを伺う者の方が よっぽど恐ろしい時代なのだ】
         ああ…何と言う事だろう 今 私の前にゆらゆらと立つピンク色の女は間違いなく 後者に当たるだろう
            女…いや悪魔は言う「キスしたいの」あぁ『殺してやる!』より何倍も恐ろしい言葉であろうか
     -唇による犯罪- 3度現れしピンクの悪魔はスヤスヤと眠っていた新メンバーのうち3人を既に攻略 -キスによる再殺-
    ttp://aewen.com/momusu/michishige/img/aewen5308.jpg 「ふふ とっても柔らかいの〜香音ちゃんもあんなに幸せそう」
   蝶の羽ばたきの様に手足を激しくバタつかせて痙攣する鈴木 やがて動きは止まり…白雪姫の眠りを目覚めさせるどころか
     生気は抜け 更に深い眠りへと誘ってしまった いともたやすく行われるエゲツナイ行為に思わず目を背ける そして遂に
 生き残っていた少女鞘師にも魔の唇が迫ろうとしていたのだった 恐ろしさに震える唇は ルアーの動きに惹きつけられる魚の如く
      悪魔を挑発する「もう 辛抱たまらんの!!」その時 既に洗脳(変態に)されていた聖が起き上がり悪魔に言い放つ
      ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen9577.jpg 「お待ちください 変態を統べりし女王 ピンクの悪魔様ッ
     その少女の持つ唇は『真紅のリホリップ』しかるべき儀式を持ってすれば…」 悪魔の唇は里保の唇を逸れて首筋へ
           「黙るのミズキ!フフフっ分かっているの すぐに奪ってはつまらないの この真紅のリホリップ
         (覇王の唇)は私がゴットピンクへと転生する為に必要なの 少し焦ってしまっただけなの……ミズキ?
         あなたはお酒はまだだめなの」「いいえ 私は酒に酔ったのではありません あなたに酔ったのですわ
       ピンクの悪魔サイコー!」「2人共な…何をいっているんじゃ……」奇跡的に少女に与えられた少しの時間
          この時間も奇跡でさえも 団地妻ミズキに言わせれば これもまた淫果の流れといったところか
 ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10133.jpg 「大いなる変態の刻……“桃魔の儀”を執り行う!里保を祭壇へ!!」
     少女の足元には気を失ったメンバー達が積み重なっている ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen6473.jpg
  「その者達はピンクの悪魔様が積み上げてきた快楽の犠牲 悪魔様…それでも なおピンクの悪魔様の目にあの唇が何よりも
眩しいのなら あの少女をも快楽の贄とし 一言唱えさせるのです “捧げる”と さすれば頂より天に昇り立つ 変態の唇を授からん!」


次回かなしみ戦隊リゾナンターV(変態ハンタ〜前編)「情熱のキスを一つ」

           少女鞘師の理解を超常する恐ろしく異様な世界が展開してゆく 無事にこの快楽の宴を
         生き延びる為 少女はどうあがき もがいてゆくのか? すべては淫果の流れの中に…………
366名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 04:18:21.28 0
ベルセルクファンの方 申し訳ないm(__)m↑
367名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 06:09:52.54 0
アホなことをwww
後編が待ち遠しくもあり恐ろしくもあり
368名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 08:01:01.44 0
元ネタは分からないけどとにかく怖いわw
369名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 08:22:43.87 0
>>365
ステーシーのネタだけでも大概濃いのにそこにベルセルクをかぶせますかw
この結末を見届ける勇気が無い
370名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 10:37:07.65 0
この愛を見届けてなの
どこまでも見届けてなの
371名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 12:53:03.10 0
ほっ
372名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 14:34:27.38 0
唇に真実は宿る
373名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 15:28:54.99 0
梅雨明けしたというのに今日も雨が降っていた。
こういう日は脚が軋むので苦手だった。
風力はゼロ、ジメジメとした湿気が病室内を包み込み、体力を奪っていく。

「暑い……」

私は痛む足を引きずって冷凍庫から氷嚢を取り出した。
クーラーをつけてしまえばある程度は解消されるのだろうけど、人工的な風はどうも苦手だった。
かといって雨が入ってくるので窓を全開にするわけにもいかない。
どうせ風力はゼロなので、開けても意味がないのだが、気休め程度に開けてみた。

私は汗を拭ってベッドに上り、足首をじっと眺めた。
腫れているわけでも、変色しているわけでも、まして骨が飛び出しているわけでもない。
しかし、「左距骨疲労骨折」という診断を受けたこの脚は、激しい運動には耐えられない。
以前のように仲間とともに一線に立って闘うことができないのが、歯痒かった。

「……みんなといっしょに、居たかったんやけどね」

私はそう呟くと、氷嚢を足首に乗せ、ベッドに横になった。
額に汗がべったりと貼りついて気持ち悪い。しかし、これ以上起きていると、余計なことばかり考えそうで、私は目を閉じて眠ることにした。
374名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 15:29:34.01 0


どれくらい、眠っただろうか。
前髪を揺らす優しい風を感じ、私はゆっくりと目を開けた。
“風”………? 風力が上がったのだろうかと上体を起こす。
すると、ベッド脇の椅子に座り、くるくると指先で空中に円を描いている彼女の姿が目に入った。
彼女は私と目があうと、「おはよー」と笑った。

「なに、してるんですか?」
「んー?お見舞いに来たらメッチャ部屋が暑かったからさー。少しは涼しくなるかなって」

そうして彼女は人差し指をふわりと天井に向けたかと思うと、くるりと回転させた。
風が私の前髪を撫で、少し隙間の空いた窓から外へと流れていった。
相変わらず、ジトッと重苦しい雨は降り続いている。

「脚、痛む?」

彼女はすっかり溶けてしまった氷嚢を掴むと、冷凍庫から新しい氷を入れる。
私は左脚をさすりながら、「落ち着きました」と返した。この言葉は、嘘ではない。寝る前よりも、ずいぶん楽になった。
氷で冷やしたおかげ、だけではないなと私は思った。
375名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 15:30:10.46 0
「風のおかげ、ですよ」

私が本心を伝えると、彼女は氷嚢を手渡し、照れたように笑った。

「そう言ってくれると嬉しいな。いっつも私、助けられてるから」
「そんなことないですよ。私こそ、あなたにはお世話になってますから」

彼女は心臓に、私は左脚にそれぞれ爆弾を抱えた。
ふたりは同じ病院に入り、一線で闘うリゾナンターたちの後方支援に回っている。
同じ場所に立つことはできないからこそ、見えない裏方として仲間を助けるという仕事はやりがいも誇りもある。
ただ、もどかしさも当然そこには存在して、どうして自分がこんな傷を受けなくてはいけなかったんだろうと悔しさも募った。

「まだ雨多いね、梅雨明けしたのに」

彼女は部屋に風を通しながら間延びした声で窓を見た。
外は黒い雲に覆われて重苦しい空気を携えている。雨はまだ上がりそうにはなかった。
彼女の瞳に、外の街はどう映っているのだろうかと考える。
この雨も、この空も、彼女の心と同じような色なのだろうか。

「明日は、晴れると良いなぁ…みんなでさ、お弁当持って屋上で食べたりしてさ、なんか青春って感じしない?」

彼女はくるりと私に向き直ると、そうやって笑って見せた。
その瞳は何処か寂しげで、だけどこの前屋上で見たような哀しみの色は少なかった。
もしかすると少しだけ、彼女の中でなにかが変わったのかもしれない。
376名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 15:31:02.66 0
「ねぇ、愛佳ちゃん」

彼女―――亀井絵里は自分のカバンの中をごそごそと漁り、一冊の本を手に取ると、私に見せにくる。
タイトルはズバリ、「手作りお弁当100選」だった。

「明日さ、みんなでご飯食べようよ。私とお弁当つくってさ」

亀井さんはニコッと笑うとその本をぱらぱらとめくる。
色彩鮮やかなページには、いくつもの魅力的なお弁当が並んでいる。そういえば最近、料理してないなぁ……

「亀井さん、料理できましたっけ?」
「そこはほら、愛佳ちゃんが教えてくれたらがんばりますよ?やればできる子ですから絵里は!普段やらないだけで」
「…いつもがんばりましょうよ」

私はそうして亀井さんに笑いかけるとページを覗きこんだ。
好き嫌いの多いメンバーが数人いるだけに、みんなを納得させるようなお弁当をつくるのは大変そうだと思う。
というか、別にピクニックに行くわけでもないのに、どうしてお弁当をつくらなくてはならないのだろう。
しかも料理があまり得意ではない亀井さんといっしょに……

「タコさんウィンナーとかつくれるかなぁ……あっ、玉子焼きは絶対だね!」

だけど、とも思う。
亀井さんの前髪は相変わらず風で揺れていて、それを見ると、まぁ良いかとも思ってしまう。
これほどまでに優しい風を吹かせてくれたのなら、それに応えたくなってしまった。
たまに狭い病室から、広い空の下へ歩いていくことも大事だよねと私は思う。
377名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 15:33:04.52 0
「愛佳ちゃんはなにが得意?」

亀井さんがそうして話を振ってきたので、私は少しだけ生意気に笑って言った。

「……ご要望があればなんでもつくれますよ」
「おー、言ったなぁ!じゃあメチャクチャ面倒なのリクエストしちゃうからね!」

私の答えを聞いたあと、亀井さんは真面目な顔で本を睨みはじめたので、私は思わず笑ってしまった。

窓の外に視線を向ける。雨はやっぱりやんでいなくて、重苦しい空気も変わっていない。
だけれど、少しだけ、微かな青空が私には視えていた。
良かった、明日はちゃんと晴れてくれそうだと私は嬉しくなった。

「おにぎりの具はなにが良いですか?」
「梅干し!」

亀井さんらしいその答えに、私は顔をくしゃりと崩して笑った。
378名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 15:35:35.60 0
>>373-377
「風の行く末、未来への路、つづいていく青空、そこにいる仲間と」

純然たる(ry
この2人の組み合わせが何気に好きってだけなんですm(__)m
379名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 17:14:49.30 0
癒やされるわ
380名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 18:58:20.45 0
俺にも風をお願い
381名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 19:36:50.61 O
私と彼女のやり取りが自然で優しくて良い
私と彼女が今までと逆というのもなかなか面白いです
382名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 20:37:45.40 0
>>378
熱い話もいいけどこういう涼やかな話もいいですねえ
この組み合わせは『オレンジ』や『17才の悩み』が印象深いです
あと折り鶴の話と

まだこの2人のやり取りに触れられて幸せです
383名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 21:55:02.34 0
オレンジ好きよw
384名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 22:13:30.67 0
爽やかな風〜カモン!
385名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 22:33:37.18 0
またガス会社のひとが・・・
386名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 22:42:20.16 0
呼ぶなよ!絶対に呼ぶなよ!!
387名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 23:28:14.03 0
      ,.---─---──--、..,
  i" ̄>´ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ`:、
γヽ.,,i"ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ`:、
ヽ ,i"______________゙i
          ☆ノノハ   ♪
      ♪  ヽ川*^A^)ノ  おサカナくわえた
           (   (        ドラネコー♪
        ♪   )  つ ⌒ ヽ  ♪
           (__(~(__(  旦
  |ミミミ| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:::!
  |ミミミ|   /             :::|
  |ミミミ|      ●      ●   :::!
  ∧ミ∧ *        ○     :::/   ソッカー
 /ミミ/ミミヽ、__     ―      /
        `'''-----------'''"
388名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 23:56:34.96 0
来やがったよでかいのがwww
389名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 00:04:44.65 0
次回予告
      -取り返しのつかない変態行為 そのドス黒さは闇よりも更に深く 今よりピンクの時代が始まる-
ttp://aewen.com/momusu/michishige/img/aewen5308.jpg ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen8694.gif
         「さあ りほりほ りほりほから捧げると言うの たった一言 私に唇を“捧げる”と言うの!
          りほりほの口からその言葉を聞きたいの たまらない征服感で私を満たすの!!」
        「さッ…さ………」「そうなの」「さ……」「そう 早く言うの 私にその唇を プレゼントするの」
             「さっささッサイダーーッ!!」「!?サイダー?何を言っているの??」
         「そっそうです喉が乾いてしまってっ あの 上手く言えないんです とっ取ってきますっ!」
    「まぁいいの 逃げようと思っても りほりほの行動は予知で分かるの 最後のサイダー良く味わうといいの」
         震える足で冷蔵庫へとサイダーを取りに行く あぁこのサイダーは奇しくも道重先輩が
          プレゼントしてくれた物だ…ビンに私の脅えきった表情が写る これが最後の一本
 ラストサイダー…ファイナルシュワシュワ……なんだ……絶望に震える手がサイダーのビンを激しく揺すっている
            悪魔の元へと戻る間 戻った後も震えは治まらない 更に増してゆくばかりだ
   「あら あら あら〜そんなに震えちゃって 可哀そうになの でも大丈夫もう直ぐそれは快感の震えと変わるの」
           【変態の接合点では 時に予測できぬことが起こる ごくごく微少ではあるが…】
            先程の悪魔の言葉によって増した手の震えが少女の運命を変えたのである
     ビンの栓を抜こうとした瞬間 栓とサイダーが勢い良く発射され それは悪魔の目を直撃したのだった
   意識外からの攻撃!悪魔は予知能力があった しかし里保の行動予知ばかりに集中し気を取られていた為
        自身の危険予知に手を抜いていたのだ…まさか まさかサイダーが攻撃してくるとはっ!?
         「目がぁ〜〜〜目がぁぁ〜〜〜〜!!何と言う事なの!?全てを把握していたと思って
         油断していたの!私がりほりほに酔っていたというの?恐ろしい娘ッ…りほりほ!!!」
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10345.jpg  ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10145.jpg
  少女は叫んだ「わ〜どこかへ居なくなれ〜ッ!しゅわしゅわぽんっ!!」堪らず闇へと身をくらますピンクの悪魔
     「悪魔様ぁ待って下さい〜〜ミズキを置いてかないで〜」少女はこの狂宴から生き延びた たった一人


次回かなしみ戦隊リゾナンターV(変態ハンタ〜後編)「わ〜MERRYピンXmas!」

           -今でも少女の首筋にはピンクの烙印が残る……悪魔のくちづけの痕が-
もしも あなたがピンク色の悪魔に襲われたなら サイダービンを持ち こう一言唱えればいい【しゅわしゅわぽんっ】と…
390名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 00:08:25.74 0
バカヤローwwww
391名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 00:16:11.77 0
ムスカwwwwwwww
392名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 00:49:43.63 0
ひどいwwwwwwww
393名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 01:05:39.54 0
なんたる才能の無駄遣い
394名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 02:49:52.13 O
寝る前に読むんじゃなかったww
395名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 04:22:11.84 0
目がぁ 目がぁぁ
396名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 06:55:43.37 0
罪を数えた方がいいなw
397名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 08:30:20.35 0
昨晩は悪い夢を見たw
398名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 11:34:32.16 0
夢から覚めて
399名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 12:55:50.32 0
>>347の続き
400名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 12:56:30.02 0
  …どうして負けたくないんだろう

里保ちゃんを働かそうとしていた連中は、里保ちゃんが思い通りに動かない腹いせに私のことを苛めて泣かそうとしたけど、負けたくはなかった。
だからおどけて、自分でもどうかって思うぐらいおバカな真似をした。

  …どうして寂しくなるんだろう

里保ちゃんと話をしてる時はとても楽しいのに、仕事を押し付けられた里保ちゃんが出て行ってしまうとあんなに寂しくなるのはなんでなんだろう。

  …どうして私がいるのでしょう

私なんかがいなければ里保ちゃんはあいつらから逃げて自由に生きれたのに。 なのに、なんで私は生きてきたんだろう

  …私がいて 君がいる

それは私は里保ちゃんと二人で駄菓子屋に行ったり、プリクラを撮ったり、いっぱいいっぱいおしゃべりをしてそして…二人で生きていたいって

寺田は嫌な奴だけどそれでも殺したらいけないんだ。 里保ちゃんの手を汚させたらいけないんだ。
だから、私が止める。 ひとつひとつ山を越えていくように、こんなケージなんか。

  「香音ちゃん」

抜けられるはずのないケージから抜け出た香音を見て里保が驚いている。

  「ば、化物やで、ぐぇっ」  隙をついて拾った銃を二人に向けた寺田の腕が折れ曲がる。

次回、暁の戦隊 第22話「私がいて 君がいる」

  「違う、これが香音ちゃんの何ら恥じることのない個性【物質透過】能力さ」

亜麻色の髪をした後藤真希が寺田の腕をへし折っていた。
401名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 12:57:12.40 0
 「愚民どもが」

都庁の執務室のモニターに映る都庁前に詰めかけた群衆に、都知事黒崎は毒づいた。
喫茶店に差し向けた自警団の連中がしでかしたヘマが、現場にいた人間のツイッターによって拡散したのだ。
それ以上に痛かったのは突如ネットに発信されたこれまでに犯した違法行為や不正の証拠。
どうやら先日、中澤裕子が潜入した際に、何らかの爆弾を仕掛けられたようだ。
その際に拘束した中澤も警視庁から奪還されたらしい。

  …中澤があっさりと捕まったのも、コンピューターに仕掛けたウイルスから目を逸らせる為だったんだろうな、女狐め。

しかし黒崎は落胆しない。 何故なら彼には切り札があるからだ。

  …最強のG。 お前が私の元に舞い降りてから運命は私に味方するようになった。 あんな愚民どももダークネスの連中も鎧袖一触だ。

黒崎は後藤の携帯の短縮をプッシュした。

                    ・
                    ・
                    ・

その頃、後藤真希は黒崎記念病院の別館で鞘師里保、鈴木香音と対峙していた。

「ちょっとこの子のことが気になってたから、戻ってきたんだけど頼もしい王子様がいるじゃん」

後藤に腕をへし折られた寺田は苦悶している。
402名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 12:58:06.45 0
  「いったい、あんたは」
  「あたしのことより、キミたちはとっとと逃げな。 もうじき戦争が始まるよ。もう私は私を抑えられる自信がないからさ」

言い残すと後藤は壁を破壊して宙に飛び去っていった。

  「あの女、恐ろしい」 「でも私には優しかったんだよ。 それに今もどこか寂しそうだった」

                     ・
                     ・
                     ・

後藤の携帯につながると黒崎は都庁前の状況を伝えた。

  「ほいほ〜い。 クロちゃんが決して捕まらないように逃がしてあげるね」

そうじゃない愚民どもを押しつぶして、自分の脅威を知らしめるんだと言おうとした黒崎の耳が捉えたのは向こうから切られた携帯の発信音。
次の瞬間、都庁が揺れた。
地震かと思った黒崎だが、揺れはすぐ収まった。
しかし今度は上昇感と耳鳴りが絶え間なく襲ってくる。

まさかと思って窓際に近寄った黒崎の口から悲鳴が漏れた。
都庁の上層部が崩落して、対テロ対策用として核シェルター仕様であつらえた執務室が空高く登っていく。

次回、暁の戦隊 第23話「Fly away」


重力から解放されて上昇を続ける執務室を見送りながら後藤真希は嘲った。

  「アタシなんかに全てを委ねるからこういうことになるんだよ。 飛んでっちまいな」

黒崎を乗せた執務室から興味を失った後藤真希は都庁のあった場所を見つめた。
そこには彼女が待ち望んだ戦いが待っているはずだった。
403名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 12:59:16.98 0
>>400-402
『暁の戦隊』でした
404名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 15:23:56.97 O
おつおつ!
405名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 15:29:11.52 0
相変わらず熱々
406名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 17:00:16.66 0
後ほど読ませていただこう
407名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 17:02:35.57 0
ごとーさんのクロちゃん呼びがなんか萌えるw

この後の激突は…どうなるんだろう
もう「9人」じゃないってところも含めて気になります
408名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 18:56:33.59 0
ほぜん
409名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 20:13:12.92 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/641.html#id_7750f343つづき


-------

“念動力(サイコキネシス)”を使い、男の周りに鉄骨を落としてみたが無意味だった。
斬れないものはないといわんばかりの男の刀は、さながらアニメの世界の代物のようだと苦笑した。

「冗談キツいねホントに……」

ジュンジュンは口角を上げて自嘲気味に笑うが、どうもそういうことを言っている場合ではない。
男の体中から発せられるオーラは常人のそれを超えている。
常軌を逸したとも言える男の背負う闇は暗くて深い。なにが彼をそこまで追い込ませたのか、ジュンジュンには理解できない。
最も、世界を崩壊させようとしているダークネスの考え自体、ジュンジュンには分からないのだが。

と、ふとそこで思考を止めた。
なにか、唐突に違和感を覚える。
その“なにか”に関しては、実に曖昧で不定形で、確信は持てなかった。

男は首の骨をゴキッと鳴らすと、一歩ずつこちらに近づいてくる。
その態度は十分な余裕を感じさせ、思わず怯み、思考を止めざるを得なくなった。
先ほどリンリンが電話してから10分が経過していたが、援護が来る気配はまだない。
せめてあと10分は間を持たせたいが、果たしてこんな強大な敵に勝てるのだろうかと一瞬弱気になる。
410名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 20:14:05.31 0
雨が落ち始めた。遠くで雷鳴が聞こえるのと、刀を男が振り上げるのはほぼ同時だった。
ジュンジュンは一瞬早く“念動力(サイコキネシス)”を発動させ、周囲の瓦礫を持ち上げる。
振り下ろす直前に男に瓦礫の雨を降らせるが、いとも簡単に弾き飛ばされ、石礫がジュンジュンの頬を掠める。

なにか良い方法はないかと思案していると、男は刀を鞘にしまった。
訝しむように男を見るが、先ほどリンリンを襲ったカマイタチを仕掛ける気だとすぐに分かった。
果たしてその威力がいかほどのもので、何メートル先の障害まで攻撃の対象とできるのか不明である以上、男に背を向けるのは危険だった。


―――ジュンジュンの夢ってなん?


ふいに、頭の中にれいなの声が聞こえた。
そう、それは今日のように喫茶リゾナントの屋上でのんびりと時間を潰していたときのことだった。
アイスコーヒーを片手に雑談し、その会話が唐突に途切れたとき、彼女はそんなことを聞いてきた。
どうしてそんなことを急に聞くのだろうと思ったけれど、そのときの彼女の瞳があまりにも哀しみを映していたので、聞き返しはしなかった。


男の刀が空を切った。
ジュンジュンは“念動力(サイコキネシス)”で鉄骨の壁をつくる。
しかし、カマイタチはその壁を突き破ってきた。
距離をはかる前に、カマイタチがジュンジュンの右肩に、折れた鉄骨の破片が腹部に襲いかかる。

「っく!」

思わず数歩後退するが、体勢を立て直す前に男は間合いに入ってきていた。
ジュンジュンは迷わずに右の拳を突き出すが、それは空を切り、代わりに男は背中に回り込んでいた。
まずいと思った瞬間には遅かった。
男は背中を真一文字に斬るように刀を走らせた。
411名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 20:14:57.41 0
「っああ゛ぁぁあ゛!」

ジュンジュンは膝を折って痛みを堪えるが、男は容赦なく彼女の傷口を蹴りあげた。
前のめりに地面に伏したその姿は無様とも言えるが、すぐに立ち上がることは叶わない。
背中から流れ落ちる鮮血が見る見るうちに地面に沁み込んでいく。
男はジュンジュンの肩をぐいと蹴って転がすと、ジュンジュンは天を仰ぐ形になった。
硬い地面が背中の傷口に突き刺さって痛みが増していく。

降り注ぐ雨が頬に当たって痛いが、ひんやりとして何処か気持ち良かった。
男はジュンジュンを見下ろすと、手に持っていた刀を再度握り直し、首に刃を定めた。


―――ジュンジュンの夢は、バナナをたーくさん食べることダヨ


再び、記憶が邂逅した。
れいなの問いに対し、ジュンジュンは至って真面目に答えてみたが、それが彼女には不満だったのか、眉を顰めていた。
「そんな怖い顔しないでヨー」と笑ってみせると、「ジュンジュンはそればっかやねぇ」と苦笑してくれた。


―――じゃあ、田中サンの夢ってなんですカ?


きっと、彼女が私に聞いてきたのは、なんらかの理由があると分かっていた。
れいなは特に意味もなく、こんな質問をしてくるような人じゃない。
ジュンジュンの質問に対し、れいなは困ったように青空を見上げながら「なんかいなねぇ…」と呟いた。
412名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 20:15:46.57 0

―――好きなときに好きなだけ、みんなと安心して寝ること、かな?


彼女が普段から、あまり睡眠を取れていないことは知っていた。
それは、ダークネスとの闘いの日々に慣れ過ぎて、急襲を恐れ、無意識的に睡眠を取らないような体になってしまったのかもしれない。
だが、自分の「好きなものを好きなだけ食べたい」という夢を小馬鹿にした彼女に対し、ジュンジュンもまた、「小さい夢ネ」と返した。
それが相当不満だったのか、れいなは「ジュンジュンにだけは言われたくなか!」と口を尖らせた。

その話はそこで終わったが、やはりあのとき、なにがあったか聞くべきだっただろうかとジュンジュンは思う。
彼女がなにを抱えていたのか、なにを考えてあの質問をぶつけたのか、訊ねるべきだっただろうかと。


男は刀をすっと持ち上げる。
雷が落ち、周囲が一瞬真っ白に光る。刃が雷に照らされ、綺麗だと思った。
起き上がる気力はもう残っていない。少ない体力は戦闘で削り落され、血とともに流れ切ったのだとジュンジュンは思った。
このまま動かずにいれば、きっと振り下りされた刀によって首を撥ねられることは分かっていた。
「走馬灯」という言葉があるが、先ほど邂逅したれいなとの会話はまさにそれなのだろうかと考えた。

「………バカじゃないの」

そうして呟くと、ジュンジュンはいつの間にか笑っていた。
それは自嘲ではない。気が狂ったわけでもない。
なにを勝手に決め付けているのだろう。自分はいままで、なんのために闘ってきたというのだろう?
正義のためとか、世界平和のためとか、そんな大きいもののためにジュンジュンは毎日を送ってきたわけじゃない。
自分は血塗られた家系の末裔だと思っていた。神獣として幼いころから鍛練を強いられ、笑うこともなく、楽しいこともなかった。
呪われた子ども、呪われた血だと、護りたくもない世界のために、なぜ闘うのだと思ったこともあった。
413名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 20:17:11.70 0
「―――私が護っているのは、そんなものじゃない」

男が刀を振り下ろした瞬間、ジュンジュンの体は光に包まれた。
一瞬なにが起きたのか把握できなかったのか、男は刀をぴたりと止め、数歩下がった。
ジュンジュンはなにか詠唱すると、ゆっくりと立ち上がる。
相変わらず背中からは血が流れ落ちるが、不思議と痛みはなかった。

「私が護っているのは、仲間と信念だ」

詠唱が終わると、光は急速にその輝きを失っていった。
ジュンジュンの体から光が消えると、そこに立っていたのは紛れもなく、神獣だった。
異形の姿となり、世界を護るのだと教え込まれてきたが、ジュンジュが護っているのは世界ではなかった。
私たちは仲間だと、なんの恐れもなく手を差し伸べ、ともに闘ってきた、あの蒼い共鳴で結ばれた彼女たちのために、ジュンジュンは闘っていた。
ジュンジュンが護っているのは、仲間と、自分を突き動かす信念なのだ。

「まだ、終われないよ…」

かつて、見たこともない異形の姿を目にして、驚かなかった相手はいない。
だが、男はさして驚嘆することもなく、ただ黙って神獣となったジュンジュンを見た。
その光景に、ジュンジュンは先ほど覚えた違和感の正体に気付きかけていた。

男の体中から発せられるオーラが常人のそれを凌駕していることにジュンジュンは気付いていた。
ダークネスがなにを考えて、彼をリゾナンターたちに向かわせたのか理解できないと感じていた。
そこにこそ、違和感があった。
ジュンジュンとリンリン、ひいては、久住小春や光井愛佳は、彼を無意識のうちに「ダークネスの一員」だと認識していた。
見たこともない男であるにもかかわらず、いままでの経験上、彼女たちはそう判断した。
しかし、実際はそんな根拠、何処にもないのだ。
414名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 20:18:42.59 0
そうなるとひとつの仮説が生まれる。

この男はダークネスの意志とは無関係に動いているのではないかと―――

「だとしても、斃さなきゃいけない相手だよね」

ジュンジュンがそう呟いて一歩踏み出すのと、男が間合いを詰めたのは同時だった。
体を低くし、下から突き上げるように拳を出すが、男は一瞬早く間合いを空けてそれを避ける。
畳みかけるように体を反転させて攻撃を繰り出した。神獣となったことでいままでよりもスピードは格段に上がる。
立て続けに攻撃をかけたことが功を奏し、ジュンジュンの左脚は男の右の腹を捉えた。
男は一瞬タイミングを外されて避けきれず、そのまま後退した。焦りも戸惑いも感じられないが、このまま押し切ることをジュンジュンは選んだ。

神獣になった分、スピードは上がるが体力の消耗も早い。
長期戦になった場合不利になるのはこちらだが、この機を逃すわけにはいかない。
左脚を軸にして立ち、ぐるりと体を回転させ、その勢いのまま右脚で顎を蹴り上げた。
鈍い音のあと、男は宙に舞い、そのまま地面に伏した。
顎の骨が砕けた手応えはあった。ジュンジュンは右手で手刀をつくると、そのまま男に振り下ろす。
しかし、男も迷わずに刀で応戦し、噛み合う。

ギリギリと刀同士が鍔競り合っているなか、男はなにかを呟いていた。
それが確かな詠唱だと気付いたときにはもう遅かった。
遠くで雷鳴が聞こえた直後、神獣となったジュンジュンの体に雷が直撃した。

悲鳴にならない悲鳴をあげた。
体中に走った電撃に声すらも失い、ジュンジュンの獣化が解けた。
骨という骨、筋肉という筋肉、神経という神経が傷つき、痛み、砕け、泣いていると分かった。
自然界で発生したものではなく、人工的な小さな雷であったのが不幸中の幸いだった。
それでもジュンジュンは雷を受け、瀕死の状態にあった。
415名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 20:19:54.21 0
男は地面に伏せるジュンジュンを見下ろし、再び刀を構えた。
ジュンジュンはそれでも闘う意志を捨てようとはせず、必死で指先を動かした。
眼前に確かな「死」が迫る。それなのに何処か心は穏やかで、恐怖すら感じなかった。
爽やかな風が吹き抜けている気がする。こんな気持ち、生まれてから感じたことあっただろうかとぼんやり思う。

ジュンジュンの頭の中に、れいなのすねた顔が浮かんだ。
子どもっぽくて純粋で、そして少しだけ生意気なれいなのことが、ジュンジュンは好きだった。

―田中さん、笑ってごめんね。田中さんの夢、大好きだよ

男は刀を振り上げる。
ああ、間に合わないかもね、田中さん。とジュンジュンは目を閉じる。


―私もいつか、みんなと同じ時間に、静かに眠れる日が来たら良いね


雷鳴が聞こえる。
雨が頬を伝い、まるで泣いているかのようだった。
血で汚れた刀はゆっくりと、振り下ろされた。
416名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 20:22:31.33 0
「the new WIND―――李純」でした
つづきも早めに頑張ります
417名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 21:40:51.01 0
自分が斬られたように痛みを感じる戦闘シーンだなあ
この続きが知りたい
418名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 21:49:06.03 0
>>416
男の正体が少しだけ見えて来たものの
その理由がまだ浮き彫りにならないのがもどかしい。
久し振りの高まりを感じつつ、続き待ってます。
419名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 22:10:58.35 0
次回予告
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen8578.jpg ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen7455.jpg
               ズッキはとっても食いしん坊である 戦闘中すぐにお腹が空くらしく
 ポケットには緊急用チョコレート 即蘇生バタークッキーなどの高カロリーおやつがこれでもかと積み込まれている
                   育ち盛りの彼女にとって 欠かすことは出来ないし
           それらを幸せそうな笑で頬張る姿は 皆の緊張感をいい意味でほぐしてくれる
             そんなあっぱれな笑顔や行動を取るところがムードメーカーであるから
         食べるなとは言えないが…倒した敵にまでお菓子を配るのはチョットやめて欲しいな
勝利のポーズもまだなんだから…カッコがつかないではないか…まあ……そうじゃのぅサイダー1本で許してあげよう

               ああそうだ メンバーで回転ずしを食べに行った話があるんだ
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen8576.jpg
           あの時は好物の皿が連続して回って来たそうで その皿達にひっ付いて行き
         自分も回転しているようだった 他のお客さんがビックリしていたよ 仕切りをすり抜け
          壁をすり抜け調理場まで抜けて1週してくるんだから…あと食べるのも凄く早くて
   あのポケポケさんと言われている亀井さんにまで ttp://aewen.com/momusu/kamei/img/aewen3137.gif
       『よくカメ!』って 注意されてたなぁ…まあ……そうじゃのぅサイダー1本で許してあげよう

      今日も回転ずしで打ち上げ おっ!私の大好物が連続で皿に乗って流れて来るではないか!
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen5386.jpg
        ヨシヨシ 分かってるじゃないか!流石!気が利くじゃないか香音ちゃん!!……でも
                多分 分かって無いだろうから教えてあげるね香音ちゃん
    そのジュースはサービス品じゃないから勝手に自販機から能力で抜き取って並べるのは良くないよ


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「あっぱれ回転ずし!」

  まあ……そうじゃのぅ ふふッお菓子1個で許してあげよう -犯罪です 良い子はマネをしてはいけません-
          ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen8566.jpg 「………だめかぁ〜」
420名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 23:19:46.43 0
犯罪ですよりほりほww
421名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 23:31:16.36 0
最近の自販機の近くには監視カメラがついてたりだな
422名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 01:15:04.76 0
寝るなんと
423名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 03:29:13.76 O
ジュン子……(´;ω;`)
424名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 06:18:16.69 0
おぱよん
425名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 08:24:45.36 0
>>419
香音ちゃん表情が豊かだわ

>>416
心情とか書き込んでるから読んでる方ものめり込んじゃうね
続き待っとります
426名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 11:14:24.56 0
Ho
427名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 13:18:01.38 0
ZE
428名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 13:55:50.85 0
n

>>419
じゃのうとか鞘師の広島弁はおかしみがあるのう
429名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 15:41:25.62 0
しゅわしゅわぽん
430名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 17:30:41.24 O
あげとこ
431名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 17:48:09.61 0
>>403の続き…ではなく番外編みたいな感じで
432名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 17:49:00.64 0
それは鈴木香音がリゾナンターの仲間入りをしてからしばらく経った日のことだ。
落ち着き先が決まるまでリゾナントで暮らすことになった香音は店の中から聞こえてきた「おぱよん」という言葉で目が覚めた。
マスターの高橋愛にその意味を尋ねたが、曖昧に笑って教えてくれない。

   …だったら自分で調べるしかない。

翌朝、いつでも能力を発動できるようにして店に隠れていた香音は2階から降りてくる足音を耳で捉えた。
【物質透過】でリゾナントの壁に身を潜めた香音が目にしたのは、蒼色のフード付きジャケットをまとった田中れいなの姿だった。
フードを深く被ったその姿は悪っぽくてカッコいい。 
そう思った香音の耳があの不思議な言葉を捉えた。

店外に向かい「おぱ」と田中れいながよびかけると、まるで合言葉のように「よん」という返事が戻ってきた。
香音にはその特徴のある声に聞き覚えがあった。

  …今の声って月島きらりちゃん

解錠されたドアから入ってきた月島きらりこと久住小春は、れいなから受け取った赤色のジャケットをまとうと、店内の片隅にある収納庫へと入っていった。
好奇心を抑えきれず収納庫に潜入した香音は正義の味方リゾナンターのもう一つの顔を目にしてしまう。
それは様々な色のジャケットを身にまとったおっぱい四天王。
おっぱい元帥を名乗る新垣里沙、おっぱいマスターを名乗る道重さゆみ、おっぱい大将軍こと久住小春。
そしておっぱい太郎と呼ばれパシリをさせられている田中れいな。

おっぱいは大きければいいってものではない。形とか色つやとか色々あるじゃん。
あっ、別に自分が小さいからってこんなこと言ってるんじゃないからね。 私着痩せするタイプだけど脱いだら凄いんだから。

涙を誘うようなおっぱい元帥の言葉に呼応して「おぱ」「よん」と斉唱する他の四天王。
おっぱい大将軍は巨乳が売りのグラビアアイドルの写真集に映ってはいけないモノを念写して、出版社に損害を与える計画を立案した。
バストを強調した服を身につけたギャルの体毛を成長昂進させて羞恥刑に処そうと企むおっぱいマスター。
おっぱい太郎と和解してそのチカラで増幅させた【精神干渉】で世の男性どもにおっぱいのデカい女は頭が空っぽという考えを植え付けようとするおっぱい元帥の高笑いが響く。

次回、暁の戦隊夏休みこどもスペシャル『乙女のタイミング』
  …どうやって戻ろうかな 部屋に戻るタイミングを逃した香音は音を立てて四天王に気づかれたのであった。
433名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 17:49:43.45 0

  ビリり!!

物音を立てて気づかれてしまった香音はおっぱい大将軍の起こした弱電流に驚いて壁の中から飛び出してしまう。

  「大丈夫、怪我してないよね」

そう言って顔を覗き込む小春の顔はとても優しげだ。

  …こんな優しい人が何故おっぱい大将軍になんてなってしまったの。

  「おぱっ」「よん」「おぱっ」「よん」
  「待って下さい。皆さんは正義のヒーローなんですよ。 なのにこれじゃあ悪の組織みたいです」
  「正義とはひとつじゃない。 戦って勝った者の掲げる旗印だけが正義となる。 これすなわちおっぱいレボリューション」なり

どうやら元凶はおっぱい元帥だと察しをつけた香音はつぶらな瞳で新垣里沙を睨みつける。

  「お願いですから、こんな馬鹿な真似はやめてください」

少女の純粋な願いもおっぱい元帥には届かなかった。

  「巨乳は悪。 今時代は美乳。 美乳よりもむしろ微乳。 あっ、だけど私Cだから」
  「超超超 いい感じ 超超超超いい感じ」
  「Oppai Revolution yeah yeah yeah yeah yeah yeah yeah !!」

乱舞する四天王を前に香音は覚悟を決めた。

「だったら私があなたたちの目を覚ます」

次回、暁の戦隊夏休みこどもスペシャル「恋愛レボリューション21」

負けるな、香音。 正義の旗は君と共にある。 おっぱい四天王の野望を打ち砕け!!
434名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 17:51:05.04 0
>>432-433
まあやっつけ仕事なんで曲のセレクトとか甘いという自覚はありますw
435名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 18:20:05.98 0
朝方見かけるおぱよんという書き込みにはこんな背景があったのですな
436名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 18:38:58.67 0
れいなだけなんか違わないかw
437名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 19:09:12.11 0
このスレを見ると乙女はあのポイントは
どんな事があっても譲れないステータスなんだと思うから凄まじいw
438名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 20:24:38.38 0
屋根スレに出張してるひと手をあげなさいw
439名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 20:25:41.65 0
440名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 20:26:24.51 0
あ、カブったw
441名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 20:39:58.21 0
つまり皆さんもあちらによく行ってらっしゃるのねw
442名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 21:55:43.02 0
同じ頃に始まったんですかね確か
一度ぐらいネタを書き込みたいと思いつつ実現はしていないw

ってわけで>>403の続きです
443名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 21:56:31.36 0
後藤真希の【重力操作】によって破壊された都庁上層部。
宙高く舞い上がった都知事執務室付近の構造物が瓦礫と化して、地上めがけて落下していく。
その中途に位置する都庁の残骸の上に立つ人影一つ。

「"Jacob’s Ladder”」

安倍なつみの思念を乗せた言の葉は、金色に輝く蝶の姿を借りて、高く高く舞い上っていく。
落下してきた瓦礫と交錯した輝く蝶は、粉々に砕け散って都庁の残骸の上空に展開した。
不規則に落ちていく瓦礫に生まれる規則性。

【シャイニングバタフライ】
因果律に介入し、未来を書き換える安倍なつみの能力が奇跡のような偶然を生み、偶然を超えた必然が周囲を支配する。
都庁に激突した瓦礫が宙に跳ね返り、ぶつかり合っていくうちに一つの物体を形成することで、地上への被害は避けられた。

  「相変わらずデタラメで素晴らしい能力だね」
  「後藤、もう一度考え直さない?」
  「私を止めたいなら、なっちが私のことを殺してよ」

安倍なつみの元に降り立とうした後藤真希を制止したのは裂開した空間から姿を現した中澤裕子だった。

  「天使を血で汚すわけにはいかん。 お前の相手はウチらや!」

次回、暁の戦隊 第24話「シャイニングバタフライ」

都庁の残骸を中心に放射状に広がった天使の梯子にダークネス幹部チームが集結した。
444名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 21:57:12.84 0

  …後藤のやつ口ほどにもないな。 それとも一撃でやられた藤本がだらしなかったのか?

都庁上層部に展開した"Jacob’s Ladder”上で、戦闘を繰り広げているダークネス幹部チームの吉澤ひとみは敵となった後藤真希の戦いぶりに眉をひそめていた。
格闘戦最強の誇りを捨てた石川梨華が、三好絵梨香と岡田唯のサポートを得て繰り出す遠距離からの念動刃攻撃で、ボロ切れのように宙を舞う後藤。

  …強いチカラほど能力者への跳ねっ返りが強いって法則発動でお疲れちゃんなのか? だったら武器庫のセレクトを誤ったな

中澤裕子の【空間裂開】で制作した空間に設置した武器庫に用意してある得物は銃が少なめだ。
後藤の【重力操作】で弾道を捻じ曲げられることを想定して、銃火器は牽制程度にしかならないと踏んだのだ。
左右一丁ずつ手にした15連発のベレッタM92Fでは最強のGを撃ち落とすには心もとない。
もっと殺傷力の強い銃火器を用意しておくべきだったか?

  …念動刃で吹き飛ばされながら、ダメージは最小限に抑えてやがる。 姐さんの【空間裂開】は射程が短いし安倍さんに無理はさせらんねえ。、やっぱ首に縄をつけてでも藤本を連れてくるべきだったか

危険を冒しての近距離からの念動刃の連発で後藤を"Jacob’s Ladder”の縁に追い込んだ梨華が吉澤に合図を送った。
二人との距離を詰めながらリロード用の弾倉を宙に投げ、装填されている9mmパラベラム弾を梨華の手元に【転移】させる。

  「堕ちろーーーっ」

15発の9mmパラベラムが梨華の念動の力で後藤に叩き込まれた…筈だった。
しかし吉澤が目にしたのいは、銃弾を体に受け体を朱に染めた三好絵梨香と岡田唯の姿だった。
そして、石川の背後に回った後藤真希。

吉澤は武器庫から【転移】させたハンドグレネードの安全ピンを抜くと、信管を装着した爆薬が満載の武器庫に再転送した。
そして意を決すると武器庫で起きた爆風を後藤真希のいる座標に【転移】させる。

次回、暁の戦隊 第25話「その出会いのために」

限界を超えたチカラの発動で、吉澤の中の何かが壊れた。
薄れゆく意識の中、思い起こす同期、石川梨華との出会い。 そして別々の道を歩くことになった高橋愛たちの顔。
  …まっ出会いにありがとうだな 未来は笑顔で暮らせっかな…
445名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 21:58:55.93 0
>>443-444
『暁の戦隊』
色々言い訳したいこともありますが全ては完結してからということで
446名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 22:48:55.23 0
あとでゆっくり読む
447名無し募集中。。。:2012/07/21(土) 23:30:40.26 0
暁さんラッシュはまだまだ続く!
448名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 00:47:46.50 0
ほぜなんと
449名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 01:04:28.07 0
>>445
おっぱい四天王の激ウザさと本編の緻密な能力設定の差が凄すぎる
続きを待つ
450名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 02:00:02.51 0
危なっかしい手つきでリンゴの皮をむく彼女を、私はハラハラしながら見守る。
絶対に指を切る予感がする。そんなのわざわざ視なくても分かる。

「いったぁ!」

案の定、彼女は指を切った。
だからやりますよって言うたのに…と思いながら、私はベッドから降り、絆創膏を渡した。
彼女は切った指を口に咥えながら「うー」と不服そうな声を上げた。

「出来そうな気がしたんだもん」
「じゃあ気のせいですね」

私がそう言うと彼女は拗ねたような、何処か寂しそうな目をする。
お気持ちだけ頂きますよと、彼女からナイフとリンゴを受け取り、皮をむき始めた。
リンゴの皮むきなんて、小学校の家庭科で習わないのだろうかと思うが、聞くことは、やめにしておいた。

「はー…相変わらず上手いね」
「料理好きなんで、いつの間にかこうなるんですよ、やってたら」
「絵里はいつまで経ってもそうならないよ」
「だいじょうぶですよ、その内できますから」

私は皮をむき終えると、適当に何分割化に切っていく。
芯と種を取り、ゴミ箱へ捨て、用意していた皿にリンゴを乗せた。
451名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 02:00:47.24 0
「お見舞いなのにやってもらっちゃってごめん」
「構いませんよ。むしろ来てくれるだけ嬉しいですから」

そうして私が笑うと、彼女も漸く笑ってくれた。
私は皿を台の上に置き、ベッドに座った。彼女もすぐ隣に椅子を出して座ると、ふたりでリンゴを頬張る。
このリンゴは当たりなのか、妙に甘くて美味しかった。彼女はシアワセそうに目を細めて「おいしーい」と笑った。

私も思わず目を細めたが、瞬間、左脚に痛みが走った。
時たまやってくる軋みに思わず顔を歪めると、彼女は心配そうにこちらを見ていた。

「やっぱ…痛い?」
「ん、平気です……もしかしてまた雨が降るのかもしれんですね」

そうして私たちは窓の外を見た。
今日は晴れているのだが、遠くの方に大きな雲が見える。あれが雨雲なのだろうかとぼんやりと思った。
ふと脚になにか温もりを感じた。目をやると、彼女が指先で私の痛む箇所にそっと触れていた。

「ダメですよ、亀井さん」
「うへへぇ、バレた?」
「“傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ)”…使ったら絶交って言いましたよね」
「絶交はやぁだぁぁぁ」

そうして彼女は使おうとしていた能力を閉じると、駄々をこねるように暴れた。
本当にこれで私より年上なのだろうかと思うが、事実なのだから仕方がない。
452名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 02:01:27.49 0
リンゴを齧りながら、最初に怪我を負った日のことをぼんやり思い出す。
あの日も彼女はこうして、私の脚を指先でなぞり、その能力を使おうとしていた。


―――“傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ)”使うのだけはやめて下さいね


―――だって…この傷……


―――使ったら絶交です亀井さん


―――ぜ、絶交って…


―――亀井さんにこれ以上、重荷背負わせたくないんです


カッコ良いことを言っているなとは思うが、何処か心の中では期待していたのかもしれない。
この傷を、彼女が受け取ってくれることを。自分ではない誰かに、移動させてしまうことを。
自分だけが楽になることを戒めるように、私は彼女に能力を使わないでと言った。
「絶交」なんて子どもっぽい約束まで取り付けたけど、それでも彼女は使わなかった。
453名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 02:02:06.84 0

「……早く、良くなるといーね」

彼女はそう呟くと私の脚をなんどかさすった。
彼女の微笑みは優しくて、温かくて、見ているだけで安心する。
私は「はい」と笑うと、リンゴを食べ終えた。甘酸っぱい味が口内に広がる。


―――本当は、あなたの病気を共有したかった


彼女の持つ、“傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ)”を使いたかったのは事実だった。
でも、それは自分の怪我ではなく、彼女の抱える心臓病に対して使いたかった。
彼女の抱えた病気を私も共有できれば、少しでも彼女の痛みを軽減できるんじゃないかって、そんなことを思った。
そんなムリな話を言おうものなら、彼女はなんて答えるだろう。

「そんなことしたら、愛佳ちゃんとは絶交だからね!」

そうやって本気で怒鳴るんやろうかと思いながら、リンゴを食べ終えた彼女をぼんやり見つめた。
やっぱり、絶交はいややなぁと苦笑すると、彼女は不思議そうな目をこちらに向けた。
その目はつぶらで輝いていて、やっぱり私より年上に見えなくて、私はまた笑ってしまった。
それが不服だったのか、彼女は頬を膨らませたあと、もうひとつリンゴを齧り始めた。
454名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 02:05:33.02 0
>>450-453 「ひと粒のリンゴ」

純然(ry
タイトルが長くなるのも不格好なので変更しました

治癒能力使えよってツッコミはナシですw
傷の共有も微妙に改変していますがそこも新参者だと思って目を瞑っていただけると幸いですm(__)m
455名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 06:31:17.94 0
とことんこの二人の顔合わせが好きなのですね
でもカメに傷の共有を使って欲しくないという思いは分かるわ
456名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 10:17:52.96 0
ひとまず
457名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 11:37:44.49 O
傷の代わりにリンゴを共有か
「恋ING」のような爽やかさもちょっとあるね
458名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 11:44:07.34 0
>>454
おちゅ
愛佳の脚の傷はさゆの治癒能力で(ry
相手の傷を分かち合って痛みを和らげたいという二人の姿がよいですなあ
459名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 12:55:16.26 0
>>454
乙です
一連の話の題名がどこまで長くなるか楽しみにしてたのですがw
なんか優しい話ですね
460名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 12:59:19.07 0
治癒能力は戦いで負った傷に対してだけ使うイメージだぜ
普通の生活での傷は普通に生きてる証なんちゃって
461名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 14:59:46.50 0
カッコいいことをいう
462名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 16:36:18.19 0
行列待ちのほ
463名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 18:23:57.07 0
暑いよ
464名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 19:28:01.14 0
>>445
これ映画化してほしいなあ
465名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 20:55:45.41 O
スレ死守
466名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 21:50:09.59 0
ネタが思いつかないほぜなんと
467名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 22:36:34.75 0
ブラバラだよー
468名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 23:03:49.73 0
くどぅーの蹴りが炸裂してたなw
れいなに次ぐ武闘派w
469名無し募集中。。。:2012/07/22(日) 23:55:55.41 0
ヤイ
470名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 00:44:49.34 0
ヤシ
471名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 02:04:23.52 0
おやすみずき
472名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 03:33:31.39 O
おやすみなんと
473名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 05:13:35.78 0
おぱよん
474名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 05:51:25.22 0
次回予告
           -光井家の古る蔵から発見されし古文書『奇天光大百科』-
   そこに記された遊具 かつてキテミツ斎が発明した寿司雀を現代に蘇らす事に成功した
    【説明しなければならない!キテミツ斎とは江戸時代の発明家であり 全自動雀卓を
完成させたが 「怪しげな術を用いて世間を騒がせた」 として捕まり 死ぬまで座敷牢に軟禁される
 …が自分の発明を密かに『奇天光大百科』として書き残し子孫に伝えた かなしき奇才である】
          雀牌はシャリ!握るは『カラクリセクシーオトナ雀ロボ ハロ助』
      【ここで再び説明しなければなるまい!卓とカラクリはキテミツ斎の生き様に
   感涙した大山田博士が 専用の鼻眼鏡をかけ古文書を解読 見事作り上げたのである】

   そして繰り広げられる能力者達による神々の遊び その遊びに正々堂々という言葉は
      微塵も存在してはいない 代わりに堂々と行われる能力によるイカサマ……
         そしてオシオキである脱衣 里沙やさゆみが恥じらいながら……
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen8648.jpg
   新メンバー4人の内2人は堪らず鼻血による大量出血 病院へと搬送されたばかりだ
やがて 数百年の刻を経て繰り出される伝説の技 『推し一色!』『共鳴宝燈!』『お寿司無双!』
ttp://aewen.com/momusu/li/img/aewen3433.jpg ttp://aewen.com/momusu/qian/img/aewen2962.jpg
           ついに沈黙を守って来たリンリン&ジュンジュンが動いた
          その時 里沙の凄い視力が捉えた 驚愕のイカサマとは……


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「くら寿司ビッくらポン!」

ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro17101.jpg
  里沙は見た!瞬間移動で牌であるシャリの中に大量のバナナが積み込まれたのを…
     『まさかあれは…刃千吏返し!!!危険よ!ゲームを止めてーーー!!』
       だが…ハロ助は無言でぐちゃりくちゃりと握り配牌を繰り返すのみ
   【出された牌は残念ながら≪………ぅ≫美味しく召し上がらなければならないッ!
 勿論 泣いても鳴いても≪…うええおええ≫美味しく召し上がらなくてはならないッ!!】
475名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 06:40:41.68 0
色々ひどいwww
476名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 06:55:27.73 0
大山田ナツカシスw
477名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 10:36:11.40 0
ジュンジュンのポーズがなんかエロいw
478名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 12:21:48.95 0
お昼はお寿司をいただこうかしら
479名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 15:12:20.37 0
セクシーオトナ雀がジワジワくるw
480名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 17:26:20.57 0
よくもまあこんな話を思いつくものだと感心
481名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 19:49:20.61 O
おっと
482名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 20:43:33.31 0
どっこい
483名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 21:23:54.67 0
ところが
484名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 22:15:02.60 0
どっこい
485名無し募集中。。。:2012/07/23(月) 23:22:56.16 O
り保り保
486名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 00:21:04.09 0
セクシーオトナ雀…

 ヽ(;ω;`)ノ めぐぅ!めぐぅ!
   ノ_ノ
((( < < )))
487名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 02:36:05.33 O
ねる
488名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 02:38:14.04 0
想い人はいつでも心の中に…
489名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 04:00:34.35 O
夢の中でまた逢えるように
490名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 06:10:52.19 0
悪夢の中じゃなきゃいいですね
491名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 06:42:17.30 0
たとえ悪夢でも構わない
あなたと会えるのなら
492名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 07:26:51.89 0
次回予告
            敵は能力で突如巨人化 巨大な腕でメンバー数人がなぎ倒され負傷
   すぐにリーダーとサブリーダーはメンバーの救出へ向かい 作戦変更で中距離戦闘を取ろうとするが
             ttp://aewen.com/momusu/mitsui/img/aewen3967.jpg「ァぐぅ!」
        愛佳が足に重症を負っていたのだった 自分を治す事が出来ない彼女は1人孤立
         さらなる攻撃で巨大な足に今や潰されようとしていた 治癒能力者の危機迫る!
    このままリゾナンター総崩れかと思われた時 メンバーの1人が能力を駆使し危機を乗り越える
     重症の愛佳が敵の攻撃を走って回避!?なんと愛佳の足に植物のツタが何重にも巻き付き
  彼女の動きをサポートしていたのだ しかしさらなる攻撃が 愛佳の救助へと接近していた里沙に迫った!
 大切な先輩を守る!再び能力を発動!敵は鋭いトゲの茨が邪魔で 里沙に攻撃を上手く加える事が出来ず
     戸惑っている その間に接近していた生田は相手の口を抑えると大きな耳に何事か呟いた…
         やがて敵能力者は能力を解き小さくなると 何故か脅えるように投降したのだった
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10419.jpg
       「危険を承知で光井さんを助けに行った新垣さん尊敬します!大好きです!推します!」

   【報告 里沙から愛ちゃんへ 最近私を変に推しててうざかったり いつもKYな事を言ってる生田だけど
       結構仲間思いでいい奴なのかもね リゾナンターの未来は明るいよ〜 ……ああ そうだ
     あの時 あの娘が敵に言った事分かったよ 最後にこう言ったんだってさ そりゃ縮まるわってッ】


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「未来の太陽」

ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10182.jpg
 「やっぱ大きくなると恐竜みたく感覚が鈍くなると?気づかんかったもんね…あっ結構広がっちゃてますね!
栄養が良かったと?あ!そか今日 天気やけんね!えっと ほら^^体の中が引っ張られて動くのが分かると?」
  そこでやっと巨人の小さな脳髄は理解したのだ 今まで邪魔してきた植物がどこから生えているのかを

         『………このまま 引っこ抜いちゃっても いいんですか?この根っこ………』
493名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 08:03:05.26 0
何このーミットパープル
この予告編シリーズならではの設定が生きてますね
494名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 11:53:47.53 0
生田こえぇw
495名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 12:53:53.07 0
三枚目の表情がかわいいけどこわい
496名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 12:57:53.54 0
動画だとそうでもないけど静止画だとちょっと 
(((( ;゚Д゚))) ガクガクブルブル
497名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 14:10:02.75 0
いつか下剋上があるんじゃないかとwktk
でもえりぽんはガキさんを目指してるこの状態が好きそうだけど。

そういえば今日のイベントで曲の合間にガキさんのうちわを
取り出してきたらしいw
498名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 16:06:07.02 0
保全するよん
499名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 17:48:08.38 0
祭り囃子を聞きながら保
500名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 19:13:24.27 0
生祭り
501名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 20:46:25.05 0
生田怖ぇぇ
502名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 22:02:01.46 0
熱帯夜〜ん
503名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 23:11:23.25 0
裸族でほぜなんと
504名無し募集中。。。:2012/07/24(火) 23:47:11.42 0
えりぽんに種植え付けられたい
505名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 01:12:51.28 0
ねるなんとぉ
506名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 03:16:53.55 0
えりりんぽん
507名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 05:01:23.43 0
暑くて目が覚めた
508名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 07:18:51.85 O
( ・e・)<お早うなのだ
509名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 09:07:52.91 0
暑いねえ
510名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 09:10:36.21 0
次回予告
                   【その願い 叶えよう!】

ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro6215.jpg
   私は産まれたのだ 母を誑かした兄を消し 世界を修正する為に私は生まれたのだ
      名前? ミティ ミキ ヘケート… そんな物 どうだっていいのだ くだらない

私は兄に向かって数々の光を送り込んだが 兄の強大な闇に虫けらの如くかき消されて行く
  使えると思った大陸の男もただの強欲な欠陥品 自分の能力に溺れ 泡となって消えた
       どこかに良い素質を持った者はいないのか いた あの女だ 高橋愛
     チカラを与えあれから数年 成長したか?仲間はどれだけ集まったのだ?
        兄は強い だからその溢れんばかりの愛でもっと仲間を集めよ
             そして闇を滅ぼすほどの光の共鳴を起こせ

                【但し…我が 願いの 糧となれ】

      そして兄は消滅した…さぁ後は必要の無くなったこの女達を消し去り
     母の望む世界に修正するだけだ…だが 兄を倒す程まで成長した組織
        あの学者女に与えたチカラでは失敗したか…さすが傑作品
          しかし 次の作品で魔法使いごっこは 終わりにしようか
     …いつから眠っていないのだろうか 少し遊び疲れたのかもしれないな
            そうだ もう少し 私はもう少しで眠れるだろう…

次回かなしみ戦隊リゾナンターV「男と女のララバイゲーム」

         世界を深闇で操っていた女 だがこの女はまだ知らない
               兄が残した光と 共鳴の本当の力を

                 【我が 願いも叶えられる】
511名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 09:49:50.96 O
遂に動き出したか…
512名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 11:45:57.11 0
相変わらずふざけた話との落差がすごい
どう繋がっていくのか楽しみです

ところで・・・「女と男の」じゃなかったですっけ曲名w
513名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 13:51:13.19 0
ギクッ
514名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 14:08:45.47 0
おちゃらけてるようで壮大な物語の一面もあったんですね
515名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 16:06:03.32 0
ほっ
516名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 18:41:29.25 0
じぇ
517名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 20:18:40.17 0
暑いですわ
518名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 21:38:14.63 0
溶けそうなんだろうね
519名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 23:17:57.28 O
誰か涼しくして
520名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 23:55:01.89 O
从*´ ヮ`) <PVでれいなが歩いていたのは煙突でした
521名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 00:14:34.74 0
煙突?w
522名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 01:50:15.18 O
ニュアンスは通じるが全然違うww
523名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 06:21:56.01 0
れいならしいボケだったねw
524名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 07:33:00.91 0
次回予告
          大阪でのコンサート打ち合わせの後 メンバー達はつんく♂に連れられて
            ごっつ美味いと言う鉄板焼きのお店に行く事となり 大はしゃぎだ!
             しかし ここでも寿司に続き食べ物による争いが勃発してしまう
             中でも里沙VS愛佳のもんじゃ焼き対決は 壮絶なものとなった
ttp://aewen.com/momusu/mitsui/img/aewen3673.jpg
            「あら新垣さん それ作り方ちゃいませんか〜土手ありませんやん」
        すると新垣家風もんじゃには 土手が無いと言うではないか そんな答えに愛佳は
             「けったいな〜自分にも土手あらへんいうのに……」とツッコミ
  即座に鋼鉄ヘラが飛び交う地獄絵図と化し ここに新垣家と光井家のもんじゃ1時間戦争が始まった
      何とか出来上がった土手無しもんじゃ 確かに美味いし最終的には見た目は変わらない
       しかし認めたくない愛佳は 私は私の信じるもんじゃ焼きを作るんや!と燃え上がる
ttp://aewen.com/momusu/mitsui/img/aewen3678.jpg
       「私が1番 ヘラを上手く扱えるんや!!」愛佳は吼える!!若さ故のあやまち……
        チョットした攻撃ではびくともしない様な立派な土手を作る愛佳に対して 里沙は
    「土手なんて飾りじゃん最後は崩しちゃうんだからね!それが愛佳には分かんないんだろうね」
戦争は泥沼の様相を呈し膠着状態に入る 1時間あまりが過ぎ 材料そして人の心が底をつきだすのだった
            その時 謎の第三勢力が禁断の戦法によって 戦局を大きく動かす
         上空より飛来する巨大な黄色い食材 メンバー達は彼女の行為に恐怖した


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「大阪美味いねん」

              -飛び散るもんじゃ 飛び散った両家の伝統 そして思い-
ttp://aewen.com/momusu/li/img/aewen3403.jpg
  大阪美味いねん戦争はJJの個人的な欲望食材による『バナナ落とし』によって幕を下ろしたのだった

   …その頃 遥上空宇宙でも事件が起きていた ソユーズをはじめ国際宇宙ステーションISSなどが
   起動を離れ 乗組員がポットで緊急脱出していた そして衛星の不調 行方不明が起こり始める…
525名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 08:12:11.45 0
短い予告の中にいろんな要素が詰まってるなあ
526名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 11:06:08.57 0
ガキさんの胸くらい詰めてあるね
527名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 12:30:51.07 0
詰めててあの程度なのかというw
関西人はもんじゃ焼きとかにそんなこだわりはないんじゃないかと思いながらつい笑ってしまった
528名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 14:30:25.96 0
DVDマガジンの月島ロケのときが初めてって言ってた…ようないなかったようなw
とにかくガキ愛佳の殺伐もなかなかいいものだ
529名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 14:39:19.67 0
土手のあるなしが絡んでるだけに殺伐を通り越した修羅場が見られそうだ
530名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 17:50:27.99 0
暑いよ
531名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 17:53:07.60 0
RとRの一場面を思い出したw
532名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 18:57:15.65 0
関西の方はお好み焼きやたこ焼きのひっくり返すことに
命を賭けてそうなイメージがあったりなかったり。
533名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 19:18:56.01 0
もんじゃなんてゲ○みたいなもん食えるかがデフォw
534名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 19:33:46.22 0
>>532
さすがに命まではかけないけど
サクッとひっくり返せると嬉しいわな
535名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 20:03:29.29 0
>>524
「もんじゃ1時間戦争」でなんとなく感じてはいたが・・・w
バナナで人口の半分が死に至らしめられるのですねw
536名無し募集中。。。:2012/07/26(木) 22:06:32.64 0
ビールが飲みたい
537名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 00:00:42.84 0
日が変わった
538名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 00:21:53.87 0
リゾナンターの面々は花火大会に行く日程でも立ててるのかな?
539名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 00:27:14.69 0
たまには闘いを忘れた平和な時間も良いね
540名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 00:40:05.64 O
神宮に行くけん
541名無し募集中。 。 。:2012/07/27(金) 01:03:23.31 O
『声を奪われたカナリア』

忘れている人がいるかもしれませんが、前スレの続きなの。从*・ 。.・)
542名無し募集中。 。 。:2012/07/27(金) 01:04:40.93 O
『声を奪われたカナリア』

忘れている人がいるかもしれませんが、前スレの続きなの。
从*・ 。.・)
ずれた。正しくはこちらです。すいません。
543名無し募集中。 。 。:2012/07/27(金) 01:08:49.89 O
ベンチに座っている彼女の目線に合わせて、私は、ゆっくりと言った。

「いいか?今日、あんたと病院に行けなかったのは嘘を付いたんじゃない、仕事が急に入ったからなんだ。分かるか?」

「うんわかるよ。じゃあどうして嘘をついたの?」

「何の?」

「私がさらわれるまで明日香ちゃんはダークネスだったことを隠してた!どうして!?ぴーぃ!」

彼女は子供のようにわめいている。私の顔を見てくれていない。
言葉が足りない私がいけないことは分かっている。
しかし喋れるようになったのは最近だ。
544名無し募集中。 。 。:2012/07/27(金) 01:10:09.61 O
でも、彼女を落ち着かせるには包み隠さず話さないといけない。
めんどくさいけど彼女は
『嘘』が大嫌いなんだ。

それでも私は彼女を巻き込みたくなくて…。

「あんたにダークネスのことを話さなかったのは脱走した時に罰として声を封じられたんだ。分かるか?」

「分かる。さらわれた時に男の人が言った」
「そう。だから喋りたくても、あんたに話せなかったんだ」

すると、彼女が俯いた。

「ごめんね」

「何がごめんなの?」

「私ばかり明日香ちゃんを責めちゃったの…」

「仕方ないよ。私が黙ってたんだから」

「ごめんなさい」
545名無し募集中。 。 。:2012/07/27(金) 01:11:26.62 O
「謝るのは私のほう。結局今日も、あんたを巻き込んだ。守れなかったんだ。チカラが暴走した時も、あんたに止められる。実際、守っているのは私じゃなくて普通の日常生活ができているのは、あんたがそばにいるからなんだ。ありがとう」

私は彼女の手をとった。
軽くにぎってみた。
彼女の体は私と変わらないくらい小さいのに、指はピアノを弾いているからか、一本一本が太くて力強い。

彼女の手のひらをプニプニしてみた。

手のひらは弾力がありながら柔らかい。
クセになりそうだ。

彼女の顔を見た。

彼女の目は丸くて、くりくりしててかわいらしい。
ショートに切りそろえた黒く真っ直ぐな髪も実に彼女らしい。
546名無し募集中。 。 。:2012/07/27(金) 01:12:40.48 O
「明日香ちゃん、今から病院行こう?」

「いいけど予約の時間すぎたから待たないといけないよ。それでもいい?」

「いいよ!明日香ちゃんと一緒だもん!待ち時間の間に売店寄ろうよ。ホットドック食べたい!」

「はいはい」

私は彼女の手が離れた時、手袋を外していたのに気がついたから履こうとしたんだけど彼女が…。

「今日は、そのままでいいんじゃない?」

私は手を止めた。

「どうして?チカラがいつ暴走するか分からないから制御装置つけとかなきゃ…」
「やだ!だめ!そのままがいい!」

彼女は、いきなり私の手をにぎった。

「ちょっ、何だよ!」

彼女は、そのまま私の手を引いて私が乗り捨てた自転車が置いてある場所へ向かった。

嫌な予感しかしない。
まさか乗せてけって言うんじゃないだろうな?

「明日香ちゃん後ろに乗せて?」

上目使いで私におねだりをする。
嫌と言えない自分が憎い。

「はいはい。分かりましたよ、お姫様」
547名無し募集中。 。 。:2012/07/27(金) 01:14:14.92 O



彼女は今日始めて手袋を外した私と手を繋いだ。
今までいっぱい手を繋ぐ機会はあったかもしれない。

けれど私は照れくさかったのか後ろめたかったのか、どちらの気持ちか分からないけれど、繋いだことはなかった。

だけど彼女は今、簡単にやってのけた。
私が何年もしぶっていたことを――――――
548名無し募集中。 。 。:2012/07/27(金) 01:15:25.80 O
―――カナリアは12年間、地上の天使に嘘を付いていました。
―――地上の天使はカナリアの全てを受け入れました。
―――カナリアは、もう二度と嘘を付かない、約束は絶対に守ると誓いました。

―――カナリアは二人の天使と約束の橋を繋いで、本当の自分を取り戻しました。

私は弱い。

弱いから自分を守るために嘘をついた。
だけど本当に強かったのは彼女の方だった。
自分の体をかわいそうとは思わないで『これが私なんだ』と受け入れたから嘘つきな私を受け入れたのかな?
それとも別の理由があるのかな?

彼女を想うと胸がポカポカしてきた。
そんな自分に苦笑する。


今度、彼女をあの喫茶店に誘って聞いてみよう。


おわり。
549名無し募集中。 。 。:2012/07/27(金) 01:17:34.57 O
以上です。
『声を奪われたカナリア番外編』
まとめの人も読んでくれた人も、ありがとうございます。
しょっぱなから、ずれたりして、まだ精神的に落ち着かないので、またROMに戻ります。
550名無し募集中。 。 。:2012/07/27(金) 06:06:16.46 0
お疲れさまでした
最後何かあたたかくって印象的なお話でした、
また帰ってきてくださいね、待ってます

・・プニプニしたいお
551名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 08:02:37.33 0
>>549

前半のグダグダ感(誉めてます)から綺麗な結びに繋げたものだと感心する
ま気が向いたときにまだこのスレがあったら投下してねん
552名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 11:02:04.67 0
次回予告
『まただ この夢…待つんだれいなっ!!何処へ行くんだ!?待てっここにいてくれ… あと あと一分だけでいいからっっ!!』
          【娘を最初に怖いと思った事?…それは夢 夢の中 れいなは私と妻の間で手を繋いで歩く
ttp://aewen.com/momusu/tanaka/img/aewen6826.jpg
           …れいなの目が鈍く光っているのに驚き 声をかける『れいな?』 瞬間… ≪バスンッ≫
       近くで 嫌な音と臭い それは私と妻の腕が ワ レ ル 音 れいなは赤黒く炭化した2人の腕だった物を
           握ったまま歩き続けている 一人 《ヒュゥぅぅゥうぅー》 今度は何か空気の漏れる様な音
        その音が自分のノドから漏れているのに気が付くと 目が覚める 妻も同じ夢を見ていたんだ……
           それ以来 私達はれいなを恐れる様になり暴力を…そしてあの娘は家を出ていった…】

                東京へれいなに会いに来ていた両親が敵の攻撃に巻き込まれてしまう
             敵は同じ発火能力者 れいなは過去の両親の姿が過り 能力で戦う事を拒絶する
              そんなれいなに敵の攻撃が迫る その時 両親がれいなの体を抱きかばった為
ttp://aewen.com/momusu/tanaka/img/aewen6392.jpg
      背中に痛々しい火傷を負ってしまう どこか どこかで見た光景…… 『れいな?』 目が… ≪ドクンッ!≫
      -まずい- 愛は過去にれいなが暴走した事が脳裏を過る …愛がれいなを止めようと行動した時だった
       『高橋さんから聞いているよ れいなが火を使える事 そして その火は沢山の命を救って来た事を』
      両親が娘に語り掛ける 『見せてご覧』 手の平に小さな火を灯す『ほられいな お前の火は 青くなったり
    赤くなったり 燻ったり こんなに表情豊かで こんなにあたたかい…』れいなの鈍く光っていた目は やがて……

  空港 両親を見送る そこで家族3人が見つめる揺らめき ttp://aewen.com/momusu/tanaka/img/aewen6418.jpg
                「もぉーリゾナントの仕事が残っとるけん!はよ帰らんといかん!」
         『待ってれいな あと少しだけ あと あと一分だけでいいから 一緒に見つめていたいんだ』
                『私からもお願い れいな あと少しだけ もう少しだけ このまま…』


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「愛して愛して後一分」

                             「うん…いいとよ」
           見詰める先 娘の手の平の揺らめきに照らされる3人の心 もう消える事は無い
        【もう一人で 前を歩かせやしない 三人で歩いていく れいなを真ん中に 手を繋ぎながら】
553名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 12:55:51.10 0
たった1レスでお腹いっぱいになるクオリティ
554名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 13:13:28.61 0
ファーストシーズンの殺伐から4年越しの和解…!
トリビュート動画なんかも思い出しました
555名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 15:26:28.28 0
れいにゃーーーっ
言ってみたくなった
556名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 17:11:49.97 0
うる
557名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 19:26:17.84 0
ho
558名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 20:26:31.96 0
暑いよ熱いよ
559名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:57:36.02 0
ほじぇほじぇ
560名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 23:14:55.83 0
にゃんとにゃんと
561名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 23:15:55.88 0
今は保
562名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 00:15:23.48 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/641.htmlつづき


れいなは深く息を吐くと、目を閉じた。
世界が闇に覆われ、自分という存在の確認すらも危うくなる。
それでも、田中れいなは確かに此処にいるのだと認識するように、れいなは自分の周囲に気を集める。

頭の中で確かな刀のイメージ像をつくる。
集まった光は映像となり、右手に力を込めた。

瞬間、右手の中に再びあの刀が現れた。

刀身が真っ直ぐに伸びた綺麗な刀は、何処か蒼みを帯びている。
光と気を集めてつくられたれいなの刀は、“共鳴”という単語がよく似合う気がした。


「……終われんよ、やっぱ」


れいなはぼんやりとそう呟くと、刀を握り締める。
久住小春が異動を告げられたあの日から変わっていった日常は、それでもいまもなおつづいている。

在りえた未来は遠くに消えゆく。
確かに存在する現在は目の前にある。
れいなが此処にいる限り、つづいていく日常を失くすことなんてできない。


たとえばそこに、だれ一人いなかったとしても―――
563名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 00:16:08.95 0
-------

病院の屋上にはれいな、さゆみ、絵里、愛佳、そして里沙の5人がいた。
いつだったか、小春が大怪我を負ったときも、こうしてリゾナンターたちは病院の屋上に集った。
決定的に違うのは、この場にいるリゾナンターの人数が、あの日よりも圧倒的に少ないことだった。

れいなが落ち着かないようにその場を行ったり来たりしていると、屋上の扉が開かれた。
全員の視線がそちらに向く。
そこに立っていたのは、リーダーである高橋愛だった。
れいなは迷わずに愛に歩み寄った。

「……いま、正式に決定した」

愛が重苦しい口を開く。
れいなは先を促すように黙っていたが、その拳は確かに震えている。
里沙は確認するように「それは…つまり?」と言葉を発した。愛はそれを受け入れて頷くと言葉を吐いた。

「ジュンジュンとリンリンは、本日23時59分を以ってリゾナンターから異動する」

愛が言葉を言い切った瞬間、れいなはその胸倉を掴んだ。
ギリッと歯を食いしばり、鋭い目で愛を睨みつけた。
564名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 00:16:42.53 0
-------

雷を受けたジュンジュンは神獣化が解け、ただの人間に戻った。
瀕死の彼女にとどめを刺そうと、男は刀を振り上げた。


刀が振り下ろされる寸前、火球が雨を裂いて男に向かってきた。
男はそれを避けると、火球を投げた人物に目を向ける。
そこに立っていたのは、脚から大量の血を流しているリンリンと、たったいま現場に駆け付けたれいな、そして別任務から急行した愛だった。
れいなは地面に倒れているジュンジュンを認めた瞬間、迷わず男に突進した。

「貴様ぁぁっ!!」

激高、という言葉が的確だった。
れいなの中に沸いて出た感情は、怒り以外の何物でもなかった。
ジュンジュンを助けることも、リンリンに肩を貸すこともせず、れいなは男に襲いかかった。
怒りに身を任せ攻撃しようとするれいなに対し、男はなんら動揺せずに、ひょいと体を躱わした。
れいなは止めることなく攻撃を続けるが、形勢が悪くなったと判断したのか、男はそのまま背を向けて走り出した。
565名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 00:17:29.65 0
「待てお前!!」
「追うなれいな!」

そのときれいなは、助けるということをしなかった。
ジュンジュンに声を掛けることも、手を伸ばすこともしなかった。
頭の中を支配していた怒りの感情に任せ、れいなはただ男を殺すことしか考えていなかった。
れいなが男を追っている間、愛とリンリンはジュンジュンに駆け寄った。

「ジュンジュン!しっかり!」

愛はジュンジュンの怪我の状況を確認した。
全身に雷を受け、骨や肉が砕け、削ぎ落とされている。
皮膚に激しい炎症が起き、爛れたそこからは微かに腐敗が始まっていた。
一刻の猶予もないことを悟った愛は、全身に光を集めると、リンリンとジュンジュンを抱え、“瞬間移動(テレポーテーション)”した。
れいなのことも気がかりだったが、いまはそんなことを考えている場合ではなかった。


愛は病院へふたりを搬送すると、すぐに専属の医者に治療を命じた。
医者たちはすぐさまふたりを診療台に乗せると、手術室へと走った。
病院の外ではひどい雨が降っていた。
愛はふたりが手術室へ入っていくのを見届けると、再び現場へと“瞬間移動(テレポーテーション)”した。
怒りに任せて治療義務を怠った彼女を怒鳴るべきか悩んだが、結局愛は、彼女を連れ戻すだけに留まった。
566名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 00:18:48.66 0
-------

ジュンジュンとリンリンが男に襲われて1週間が経過していた。
幸いにもリンリンの怪我は順調に回復していったが、ジュンジュンの意識はまだ戻っていなかった。
あれほどの失血をし、雷を受けながらも、生きていることが奇蹟的であった。
しかし、脳の器官を一部損傷したのか、生命反応はあるものの、意識は回復していない。
あと1週間様子を見て、なにも変化がなかった場合、最悪の可能性、つまりは植物状態も考えられた。

そんな中、リゾナンターたちは病院の屋上に集っていた。
昨日、愛がちらりと話していた、“上”の決定事項の確認をするためだった。

「ジュンジュンとリンリンは、本日23時59分を以ってリゾナンターから異動する」

愛から“上”の決定事項を伝えられた途端、れいなは彼女の胸倉を掴んだ。

「……なんでそういうことになるとや」

この状況は、小春の異動が決まったときと全く同じだった。
あの日もこうして屋上で、異動に納得がいかないれいなは愛に食ってかかった。

「そんなん意味ないやろ!これ以上仲間減らして、なんがしたいとや!」

567名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 00:19:18.53 0
れいなの怒りは最もなものだった。
上層部がなにを考えているかは昔から分からなかったが、今回とそして前回の異動に関しては、あまりに唐突であまりに謎が多かった。
なぜその異動先を残ったリゾナンターに伝えないのか。小春の代わりになぜだれもリゾナンターに加入しないのか。
なぜここまで性急に、異動が繰り返されているのか。
まるでこれでは、“上層部がリゾナンターを消滅させようとしている”ような勘繰りさえしてしまう。

「直接会わせぃよ!れなが聞いちゃる!愛ちゃんじゃ頼りにならん!」

れいなが激しく詰め寄ったのを見て、里沙はあの日と同じように彼女の腕を掴んで止めようとした。
しかし今日は、里沙よりも先に愛がその腕を取った。
だれもが予想だにしなかった展開に、れいな自身も驚いた眼を見せた。

「れいなの方こそ、頼りないんじゃない?」
「……なんて?」
「あのとき、重症のジュンジュン放っておいて敵を追い駆けるとか、普通じゃないね」

愛の冷たい言葉にれいなは眉を顰めた。
確かに、彼女の言うことは事実だった。れいなは怒りに我を忘れ、ジュンジュンを助けず、男を追った。
結果的に愛が病院に搬送したから事なきを得たが、あの場に愛がいなかったら、確実にジュンジュンは命を落としていただろう。

「仲間とか言う割に、れいなって自分のことしか考えてないんじゃない?」
568名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 00:19:51.25 0
その言葉にれいなはカッとなった。
頭に血が上り、思わず右腕を振り上げた。
れいなの右腕は、愛の左頬を捉えることなく、彼女の左手の中に吸い込まれた。

「反論できないで殴るなんて、図星?」
「違うっ!」
「なにが違う?仲間を助けないで敵を追い駆けて、それでなにが仲間なの?」
「話をすり替えんな!」

れいなは矢継ぎ早に受ける言葉に怒鳴り返すが、愛は冷静に切り返していく。
掴まれた拳をギリギリと愛は締め付ける。その力はとても強く、振り払えない。

「……私だって納得はしてない。してないけど、受けとめるんだよ」
「なんでや!なんで受けとめんといかんとや!愛ちゃんがそんな聞きわけの良いことしとるから、仲間が減るっちゃないとや!」
「田中っち!」

それ以上言うなと言わんばかりに、里沙がふたりの間に入った。
愛とれいなを引き剥がそうとするが、ふたりは里沙には目もくれずに黙って睨みあいを続けていた。
その瞳は実に対照的だった。

「“上”の居場所教えぃよ……れなが直接会って話す」
「だから私も知らないって言ってるでしょ?」
「……殴ってでも、聞きだすけんな」
569名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 00:20:28.84 0
れいなの瞳は憎しみで彩られ、愛の瞳は哀しみで彩られていた。
噛み合うことのない会話は平行線を辿るが、決着をつけなくては終わることがない。
れいなは愛の左手を振り解くと、胸倉から手を離した。
彼女が愛と本気で闘おうとしていることくらい、だれが見ても明らかだった。
愛は黙って彼女を見つめたまま、少しだけ距離を取った。

「まさか……」

里沙に離れるように手で合図すると、愛は前髪をかきわけた。
冗談でしょ?とさゆみは心の中で呟くが、一触即発な空気は変わらない。
れいなは怒りを全身に纏ったまま、一歩下がったかと思うと、右脚で地面を蹴り上げた。
愛はその場から動かずに彼女の攻撃を受けとめることを選んだ。
れいなは勢いそのままに右の拳を突き出した。

瞬間、だった。
愛とれいなはほぼ同時に弾き飛ばされた。
それは、互いが互いの攻撃を受けたからではなく、別の第三者の介入があったからであった。

愛の方はくるりと後方に一回転し見事な着地を決めたが、れいなは見事に吹き飛ばされ、無様に腰から地面に落ちた。
それはちょうど、小春の異動のときに見せた尻もちと同じだった。

「ってぇ!」

再び腰を強打したれいなは以前よりも大きな声で叫んだ。
愛は、ふたりを弾き飛ばしたその存在へと目を向ける。
彼女は肩で息をしながら、こちらに右手を向けていた。隣にいたさゆみは怪訝そうな目で、彼女を見ていた。
570名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 00:21:07.34 0
「……絵里」

愛がそう呟くと、れいなもその方向へと目を向けた。
絵里は右手を突き出して愛とれいなの間に小さな風の空間をつくりだしていた。
その風の空間を一瞬にして外へと弾き飛ばすことで、ふたりをほぼ同時に突き飛ばしたのだ。

「……やめてよ、もう」

絵里はそうして泣きそうな瞳を向けた。
なにを言わんとすかくらい、彼女を見れば分かった。
愛は下唇を噛むと、小さく「ごめん」と呟き、体中に光を集めた。
それが愛の能力“瞬間移動(テレポーテーション)”だと気付いた里沙は慌てて引き止めるように彼女の腕を取った。
愛と里沙はふたりしてその場から消え去った。
未だに納得のいかないれいなは「くそっ!」と地面を殴った。

「…絵里?!」

だが、さゆみの声でれいなは慌てて体を起こした。
絵里は先ほどふたりを弾き飛ばした際に能力を使いすぎたのか、それとも体力を失ったのか、膝を折っていた。
れいなとさゆみが慌てて駆け寄って絵里を支えるが、彼女は荒い息をしたまま目を開こうとしなかった。

「運ぶっちゃ!」

ふたりは急いで絵里の肩を抱え、病室へと走り出した。
571名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 00:22:35.58 0
>>562-590
とりあえず此処までになります
ちょっとペースが落ちるかと思います…申し訳ないです

----------------------------------------此処まで

以上したらばからの転載
572名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 01:28:45.30 0
インリーン
573名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 04:24:58.57 0
574名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 07:36:21.03 O
読み進めるのが苦しいなぁ…良い意味で
575名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 10:30:25.19 O
暑いなんと
576名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 10:34:56.86 0
>>571
乙です
なんか胸が痛くなるような展開ですね
不可解な指示を下す上の方の真意とか謎の敵の正体にれいなが迫る時は来るのか否か
続き待ってます
577名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 12:12:08.50 0
おつ!
どういう未来が待ってるんだろ……
578名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 14:21:14.11 0
>>445の続き
579名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 14:21:58.17 0
ダークネス幹部チームと後藤真希が激戦を繰り広げる都庁付近の地下駐車場に一台のワゴン車が止まっていた。
車内でタブレットを操作しているのは後藤真希に対する空爆作戦を任されているドクターマルシェこと紺野あさ美である。
戦況をモニターで確認しながら、無人戦闘機ジェットストライカーをステルスモードに移行させる。
感覚系の能力者ではない後藤真希に気づかれることなく接近することができれば勝機はあるはずだ。
不意に車体を叩かれて驚いた紺野は外にいるのが藤本美貴だと分かるとロックを解除して車内に迎え入れた。

  「今お前がジェットストライカーの管制権限を握ってるんだろう。 空爆なんて馬鹿な真似はやめとけ」
  「ここまで来たなら引き戻せないよ。 吉澤さんがやられたけどピンチというのはまさにチャンスだし」
  「声が震えてるぞ、ビビってんじゃねえのか」

実戦経験に乏しい紺野が空爆のゴーサインを出すのは重荷であることを説く美貴。

  「でも、誰かが後藤さんを止めないと」
  「それは後藤の尻を蹴り飛ばすことが出来る人間のやることだ。 お前のやるべきことは変な発明をして大飯をかっ喰らうことだ」

吉澤の捨て身の攻撃は後藤が創り出した小型の擬似ブラックホールで無効化された。
その際の影響で都庁付近が弱震に見舞われたことを告げた紺野は空爆以外に方法はないことを主張するが…。

  「あいつが、あのおせっかいの高橋がこんな事態を見過ごしにするはずがないだろう、それにアタシが…」
  「後藤さんに手もなく捻られて、お情けで逃がしてもらった美貴ちゃんに何が出来るというの?」
  「あの時と今とじゃ事情が違う。 今のアタシは守りたいものがあるってことに気づいちまった」

紺野からタブレットを受け取った美貴はジェットストライカーの編隊を、一機を除いて基地に帰投させた。

次回、暁の戦隊 第26話「READY! KICK OFF!!」

地上に着陸させたジェットストライカーに乗り込み戦場に向かう美貴に紺野が尋ねた。

  「美貴ちゃんが守りたいものって一体?」
  「こんなアタシでも慕ってくれるクソガキども。 そして…」

離陸する為キャノピーが閉じられた所為で、大食らいのお前の笑顔だという言葉は届かなかった。
580名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 14:24:07.04 0
黒崎記念病院で一堂に会したリゾナンター。
その視線の先には後藤真希の【重力操作】によって上層階を破壊された都庁の無残な姿があった。
後藤と対峙したれいな達や藤本美貴と接触した絵里からもたらされた情報からのっぴきならない事態が進行中だということを理解した愛。

  「これがダークネスの中での単なる仲間割れだったら静観するんだけど…」

結果的に自分たちを助けてくれた吉澤や藤本への複雑な思いが愛をためらわせたが、大半の仲間が傷ついているという事実は重い。

  「みんなはリゾナントに帰って、不測の事態に備えて。 私は幹部チームと後藤真希の戦いの行方を見届ける」

愛の指示はあっさりと無視された。
各々のリゾナンターも今起こりつつある事態が、世界の危機に繋がるという事実を肌で判っていた。
皆の固い決意を知った愛は新たな指示を下す。

  「全員であの戦場に赴いたって、後藤さんに瞬殺されるだけだと思う。 だからアタッカーとサポートチームに分ける」

里沙の助言も入れて各メンバーに的確な支持を下していく愛を見ながら光井愛佳は予感していた。

  …来たわ、この展開。 どう考えたってウチはサポートかリゾナントで待機やで。

自分が戦力にならないことは判っている愛佳だったが、もし愛にリゾナントでの待機を命じられたら拒否するつもりだった。
他のリゾナンターへの指示を終えた愛は愛佳に告げた。

  「ええ〜っ、マジですか」

そこにいた全員が耳を疑った。
愛は都庁上層階に赴く自分への動向を愛佳に求めたのだ。

次回、暁の戦隊 第27話「まじですかスカ!」

  「最悪の場合、後藤真希を撃ち落とす。 その時愛佳には私の目になって欲しい」
581名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 14:25:47.86 0
限界を超えた能力を行使した結果、戦闘不能に陥った吉澤ひとみ。
身動き一つできなくなった彼女の目に映ったもの。

後藤真希の掌の上。
局地的に重力を歪めて創り出した小型のブラックホールが、武器庫で起こした爆発の衝撃を吸収してしまった。
凝縮させた黒い球を握りつぶした後藤に石川梨華が襲いかかる。
【念動力】を自分の肉体に作用させることで、驚異的な破壊力を手にした石川の一撃は後藤に容易く受け止められてしまう。
【重力操作】によって増大した負荷を支えきれず、崩れ落ちる石川に更なるチカラが加えられ…

  …やめろ、もう勝負はついただろう

自分でも甘いと思いながら、言葉にならない思いを抱く吉澤。

  ― そして時間は止まる。

中澤裕子の【空間裂開】によって都庁の残骸内部に作られたトーチカを蹴破った保田圭が後藤真希に迫る。

  …私が止めていられる時間は8秒を越えるか越えないぐらい。 一度時間を止めてしまえば、次に止められるようになるまでに1分以上のインターバルが必要

後藤真希との戦いで二度目の機会は訪れないことを予測した保田はナイフを手に後藤との距離を詰める。
絶大な後藤の能力が暴走することを考えると手傷を負わせるだけではダメだ。
確実に即死に追い込むには、直に後藤の脳幹にダメージを与えなくては…。
時間が動き出す前兆を感じ取る前に、静止した後藤の元へたどり着いた保田は惜別の思いを込めてナイフを振り上げる。

  「時間が止まったんなら真っ暗で何も見えないのかと思ってたけどちゃんと見えるんだね。 これって脳が覚えてる残像?」
  「後藤、あんた私が静止させた時間の中で動けるまでにチカラが成長したっていうの!」
  「今、この静止した時間の中で動けるのは圭ちゃんと私だけ。 でもこれからは私だけの時間だ!!」

次回、暁の戦隊 第28話「LIKE A GAME」

動き出した時間の中で吉澤は後藤に倒された保田の姿を目にした。
そして今の後藤真希にとって自分たちとの戦いは、ちょっとしたゲームに過ぎないことを理解した。
582名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 14:26:33.15 0
>>579-581
『暁の戦隊』
暑くて筆が進まない
583名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 15:18:53.67 0
ごとーさんつえー…!
そして紺美貴もえー!
584名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 16:01:50.33 0
壮大な戦いだなあ
リゾナンターも参入してのバトルの行く末が気になりMAX
585名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 16:03:02.06 0
>>582
あっつ〜
これだけの後藤無双ぶりを見ると説得力のある勝ち方なんかなさそうに思えるがさて?
そして紺美貴とはいいものです
586名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 18:10:59.98 O
あつぅ〜い。読む前にあげとくよ〜い♪
587名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 19:02:50.39 0
26話と28話の曲が分からない勉強不足だ
588名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 19:05:04.08 0
28話のは後藤さんのシングルのカプリング曲だから最近のヲタには少しマニアック
但し当時の後藤さんのキャラにばっちりハマった名曲
589名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 21:07:11.95 0
なるほどありがとう
今度聴いてみよう
590名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 21:27:57.42 0
ちなみに26話のは娘。8thアルバムの吉澤さんソロ曲
591名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 22:32:49.11 0
よしざーさんのソロ曲は第25話「その出会いのために」
26話のは音楽ガッタスの会場&通販限定シングルな
592名無し募集中。。。:2012/07/28(土) 23:52:53.66 0
593名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 00:56:29.72 O
あっちぃ
594名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 03:03:01.70 0
地球を冷ますんだ
595名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 06:10:35.13 0
さますざます(クレオパトラ)
596名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 08:33:05.68 0
おぱよん
597名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 10:38:36.05 0
出たなおぱよん
598名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 12:48:31.97 0
ばいーん
599名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 14:36:01.85 0
電車の弱冷の中で人心地
600名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 15:57:03.81 0
熱いとしかいいようが
601名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 17:43:56.70 O
ラーメン屋からほぜなんと
602名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 18:52:16.99 0
リゾナントで冷たい料理が食べたい。
603名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 18:58:00.67 0
冷な麺ください
604名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 19:20:16.48 0
暑いよぉ
605名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 19:32:17.53 0
よし、皆で流しそうめんでもするか!
606名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 19:34:20.62 0
川*^A^)<流しソウメンってナンデスカ?
607名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 19:37:33.80 0
中国のそうめんって揚げてから煮るんだよね。
608名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 19:53:31.54 0
     。        。
      。   ノハヽ  。 ゚
  ノハヽ  ('从*´◇`)')
 ノリ*´ー´リ   (   ノ
( ̄∪∪ ̄υ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
.  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
609名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 19:59:24.53 0
水遊びも良いねぇw
610名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 20:56:41.79 0
壁紙張り替えた
611名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 21:37:02.51 0
水浴びカワイイな
シャワー浴びてくるかな上げ
612名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 22:29:17.85 0
ほぜ
613名無し募集中。。。:2012/07/29(日) 23:50:06.50 0
プール遊びかわええw
614名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 00:17:40.03 0
カメラはどこなの
カメラはどこなの
615名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 01:27:00.40 0
t
616名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 01:33:27.35 0
>>614
リーダー乙w
617名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 03:48:46.41 0
寝るなんと
618名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 06:29:05.39 0
おぱよん
619名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 07:28:47.60 O
一人の朝
620名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 08:19:47.88 0

                          \  /
                          ─ ○ ─
                             /   \
    /⌒ヽ  (⌒ヽ、                  (⌒ヽ、
    (        )         , ⌒ヽ     (    )
 ゝ                   (    .'   (       ヽ⌒ヽ 、
      /⌒ヽ        )     ゝ    `ヽ(           )                
 傘 ⊂ ̄ ̄ ̄⊃   傘傘傘   傘傘  傘傘傘 傘傘傘        `ヽ          
 ̄ ̄ ノハ;゚ ゥ ゚)  皆喜んでくれるかなーハウハウ  ̄ ̄ ̄ ̄      
v v /  つ∪___ ザクザク v v v v v v v v v v v v v v v v v           
v v し'⌒∪  ̄M  ザクザクv v v v v v v v v v v v v v v v v            
v v v v v v v v v v v v v v v v v v v v v v v v v v v

※保全用にSATOYAMAを見てなんとなくw 野菜はリゾナントへ発送予定。

----------------------------------

したらばからの拾いもの

621名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 10:07:30.71 0
キャワ
622名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 11:04:37.80 0
次回予告
ttp://aewen.com/momusu/kamei/img/aewen2501.jpg
     絵里は再び身体の調子が悪くなって来ている事を 恐れていた
    辛い身体 瞳に力は無く 錘がぶら下がっているかの様に瞼が重い
  だが敵の連戦は容赦無く続いていく ((…私は何時まで持つのだろうか…))
    新たな敵が能力で毒の霧を発生させ メンバーを徐々に追い込む
  絵里が愛に何度か合図を送るが それに愛は答えようとはしないでいた・・
        彼女の身体が弱っている事に気付いていたからだ
何とか絵里に無理をさせずにと…しかし 次々と咳き込み倒れていくメンバーに
         絵里は初めてリーダーの命令に背いて行動する

ttp://aewen.com/momusu/kamei/img/aewen2279.jpg
   たとえ私の心臓が駄目になっても 私は皆を リゾナンターを守る!!
        絵里は下がった瞼を大きく開き 渾身の風を吹かす
        霧の塊が大きく ぐるりと揺らいで消えていくと共に

          ……絵里の身体も グラリと揺らいだ……


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「大きい瞳」

ttp://aewen.com/momusu/kamei/img/aewen2673.jpg
 (皆が起き出すのが霞んで見える あは…無事だったんだぁ良かったぁ…)
      大きい瞳が 大きく開かれた瞳が ゆっくりと閉じていく
ttp://aewen.com/momusu/kamei/img/aewen2674.jpg
        「あぁ…皆が駆け寄って来るのが…分かるよ
        風の揺ら…ぎで…しっかり 分かる…よ……」
623名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 11:50:40.21 0
えりぃぃぃぃぃ!!!
624名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 12:29:40.46 O
同じような展開使おうとしてたら先越されたな
って冷静に分析してるけどえりぃぃぃ!(T-T)
625名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 12:35:32.10 0
>新たな敵が能力で毒の霧を発生させ

ガス会社にダークネスのスパイがいたってことか!
626名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 12:57:33.08 0
波乱の展開だな
627名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 15:27:10.86 0
あげておくねん
628名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 17:28:06.02 0
今日も熱い
629名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 19:27:20.27 0
ほほほ
630名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 19:27:24.99 O
優しい風が吹くと良いんだが…
631名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 19:30:00.53 0
川´・_o・)<・・・・・・
632名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 20:11:05.77 0
あんたの風キツイからやめてw
633名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 20:39:43.25 0
川*^A^)<押すなよ押すなよみたいなアレですね ハイハイ
634名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 20:53:06.32 0
やめれww
635名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 22:08:58.99 0
ほじぇ
636名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 23:02:10.79 0
ハニー色だそうですぜ皆さん
637名無し募集中。。。:2012/07/30(月) 23:26:10.24 0
ハニーシロップって事ですか?
638名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 00:01:21.43 0
いえハニートラップです
639名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 01:06:26.49 0
簡単に言えば黄色なのかなあ。
640名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 02:10:44.33 0
薄黄色であって黄色ではありません!(ハイトーン)
641名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 05:09:10.47 0
♪おぱよん
642名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 08:05:07.57 0
チッパイが4つ
643名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 09:58:27.83 0
飯窪さんスウィートやな
644名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 12:10:50.07 0
薄黄色(ハニーイエロー)のオーバードライヴ
645名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 13:16:10.52 0
ほっ
646名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 14:53:56.48 0
どうしても食べ物の能力を連想させられるのは飯子だから?
647名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 15:00:18.51 0
 ピコーン!!
川*’ー’) <チョコレートとハチミツをかけるやよ!

ノ|c| ・e・) < ・・・何に?
648名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 16:01:37.08 0
判ってらっしゃるクセに
649名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 16:07:11.32 0
从*・ 。.・) <りほりほにかけ……

ノ|c|* ・e・) <言わせねーよ
650名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 17:52:53.81 0
熱いわね
651名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 20:11:58.07 0
おっとと
652名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 20:42:41.27 0
夏d・・・ゲホガホ
653名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 20:46:37.66 0
>>649
リーダーやめてくださいリーダー
654名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 21:07:19.33 0
このスレにおいてはさゆがリーダーと呼ばれることに違和感が
655名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 21:21:33.16 0
アンカミスだと思ってたw
なんか無条件にリーダー=愛ちゃんだと思ってるね確かに
スレの外では道重リーダーに馴染んでるのに
656名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 21:55:21.80 0
次回予告
         -テロ事件に急展開!? 小学校の爆破予告! 一連の事件の犯人か?-
       犯人は大胆にもリゾナンターへ交渉を持ちかけ 無茶な要求を繰り返すのだった
    男にはリゾナンターを相手にする自身があった 全身に盗み出した対能力者用特殊装甲を
       着込み能力を無効化 そして左手に爆破装置を持ち 右手の指がスイッチを弄ぶ
       『俺がこのスーツを盗み出し 爆弾を作り 仕掛けるのにどれだけ苦労したと思う?
        お前達は楽でいいよなぁ 邪魔な奴を吹き飛ばしたかったら手をかざせばいい
      嫌味な豪邸を燃やしたければ念じればいいんだからなぁ…なぁ お前達だけズルイだろ
      おい 俺はお前らの様なチカラが欲しいんだよ どうすればいい 早く答えろよぉぉ!!』
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen7374.jpg
     「教えてあげましょうか?ねえ香音ちゃん…ちょっとポッキー貰うよ」「りほちゃんっほい〜」
    『分かってるだろうがお前らのチカラは今の俺には無効だ オカシナまねをすれば…ボンだぜ』
         「そうですねぇ 貴方は中々用心深くて強い能力者になれるんじゃないですか」
         鞘師の持つポッキーが男のスーツを手足から胸 首へと怪しく撫で動いていく
        『大人を誘惑しているつもりか?聞こえなかったのか オカシナまねをしたらと・・』
 「でも……すこし間抜けでしたね これではあの女の人はチカラくれないかも」『なに?今なんて言った小娘』
   犯人の一見完璧に見える装甲 しかし鞘師にはただの動きにくいスカスカな服にしか見えなかった
     そう 浮き出た手首の血管 そして装甲の繋ぎ目から僅かにチラリと覗く首筋の頸動脈が…
「そんな左手で大丈夫ですか?装置ちゃんと持てますか?まだ痛くないですか?斬れ味良過ぎましたか?」
           犯人の左手からいつの間にかドクドクと流れ落ちる紅 『??貴様!!』
  直ぐに犯人の右指がスイッチに移動するが 首の異常に気付き 右指はスイッチから離れると首を触る
     「はい そうです もう直ぐ血が吹き出すでしょうからしっかりと右手で圧迫してくださいね…
大丈夫 装甲と言っても柔らかい素材みたいですからアナタでも上手に圧迫出来る筈ですよ『な!クッ!?』
     あ ごめんなさい左手神経は切ってありますから左指でスイッチは押せません…あしからず」
      「そして貴方が右指でスイッチを押そうと 首から手を離そうものなら 貴方は命を落とす」
         『なッ…な…』いつしか状況は逆転 リゾナンターが犯人を要求していくのだった


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「まじですかスカ!」

ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen8565.jpg
      「爆弾の場所を教えて下さい そうすれば愛佳さんが傷に手をかざし 貴方の命を救う」
657名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 23:27:25.95 O
読む前にほ
658名無し募集中。。。:2012/07/31(火) 23:29:27.40 0
最後の鞘師の表情が良い
659名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 01:01:59.21 0
「なにをお願いするの?」と彼女は言った。
「お願いごとを言ったら叶わないから言わない」と私は返した。
「つまんない」と彼女は言う。
「つまんなくていーんだよ」と私は笑う。
660名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 01:04:04.28 0
お願いごとなんて決まってるんだ最初から


どうかいつまでも平和でありますようにと―――


青臭くても、そう願うんだ。



恥ずかしいから、言ってやらないけど。
661名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 01:06:52.51 0
「まーちゃんは決まってるよ!」と彼女は言う。

派手に神様を起こすように鈴を鳴らして手を叩いた。

「明日もみんなで仲良くいられますよーに!」
662名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 01:08:57.06 0
そうして彼女は目を瞑って三回くらい同じことを言っていた。
神様に念押しするようにしているその姿は、やっぱり青臭いんだけど、嫌いじゃない。

「ねー、くどぅーはぁ?」

彼女は目を開くとしつこく聞いてきた。
隠すのも恥ずかしいけど、いまさら話すのも恥ずかしいから、やっぱり内緒にしようって思う。
663名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 01:13:50.94 0
「おみくじで大吉出たら教えてあげるっ!」と私は言った。
すると、「まーちゃんも引くぅ!」と彼女は走り出す。
無邪気な彼女を見ていると、きっと彼女は大吉を出すんだろうなってぼんやり思う。

小さくなる背中を見つめながらいちど振り返る。
神様は私たちのお願いを聞いてくれるだろうか。

「ケチケチすんなよっ!」と悪態をつき、私はまーちゃんの背中を追いかけた。
664名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 01:21:23.57 O
>>659-663
「季節外れのお参りに」

なぜかラベル下がって短くしか書き込めないわ猿食らうわで最後は携帯からm(__)m
無邪気なようで本気で未来を願う2人が書きたかったんですw
665名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 01:22:10.97 O
レベルでしたorz
666名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 02:01:39.40 0
一定を過ぎるとまたレベル1に逆戻りですしね、乙でした。
この年で平和を願うなんて、何気にしっかりした子達やで(涙)
667名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 03:17:08.76 0
その未来を支えるのは彼女たちなんだな
668名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 06:57:10.94 0
繋いできた昨日
そして繋いでいく明日
このスレにもそれを語るだけの説得力があるねw
669名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 08:39:34.35 0
いろんな未来を想像してきたよねえ。
670名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 10:44:20.66 0
それでも現実は想像をときに越えてゆく
671名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 12:11:13.66 0
もうすぐ生放送
672名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 14:27:56.14 0
 ピコーン!!
川*’ー’) <ぶっかけうどんやよ!

ノ|c| ・e・) < ・・・チョコレートとハチミツの話の続きじゃないよね?
673名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 15:45:11.02 0
どう考えてもまずそうな…w
674名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 17:50:37.97 0
うどんスイーツか
洋と和のコラボレーション♪
675名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 18:04:52.32 0
ナマタがいるなw
676名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 19:30:56.13 0
コラボレーションというかもはやレボリューション
677名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 20:18:59.19 0
チョコ☆カナ?
ギュッとしたらむっにゅむっにゅ溶けちゃって
ハ☆チ☆ミ☆ツ
絡ませて つやとろ テッカテカ
いつか君と食べたい
チョコ☆ハニー☆う☆ど☆ん
678名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 20:21:13.81 0
メニューにすんのか?w
679名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 21:33:46.06 0
次回予告
                      満月は獣化能力者をより狂暴にさせる
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro17108.jpg  ttp://resonant.pockydiary.net/file/panda.jpg
         「今日は満月ダヨ リンリン気を付けろ!(こんな日に限って見回り当番が回ってくる)バウ!」
   「アイヤ!ジュンジュン言ってる傍から獣化して服破けてるヨ 気を付けるネ……(ん!こんな日に限って敵に…)」
      『俺は鼻が効く 近いな 高橋は何処だ答えろ 獣化していて答え辛いカ?なら力尽デ戻シテヤロウッ!』
敵は巨大な黒犬への獣化と衝撃波が能力 獣化状態のスピードはかなりのもの そして人間状態で放つ衝撃波は凄まじい
 人間で受けた傷を 獣化時の満月で強化された再生能力で逃げながら回復する厄介な相手だった そう今夜の月は…
       リンリンは空へ舞い上がる 翼は大きくたくましい いつもより体が軽い だから逆に操作が難しい
         ほら地上の1.5倍ジュンジュンは理性を失いかけて立ち回りが悪くなってる ……でも
          -敵はかなりのサイキッカーだ リンリンの羽が空中で毟り取られ 月下に羽が舞う-
             (……でも アナタも運が悪いネ!こんな月夜の晩に私と出逢うなんて!)
    リンリンの羽は瞬く間に生え替わる しかも攻撃的なフォルムとなって「こいつの攻撃は!(人に戻らねば
受けきれない!?)』『怪物め!なんだそのチカラは!?空の神になったつもりか!イカロスは堕ちてしまえばいいッ!』
    獣化を解き 最大のチカラで男がいくらリンリンの羽を毟ろうと 次々と形を変え より優れた羽が生えていく

                  ≪やがて月夜に照らされる そのリンリンの姿は≫
 『ああ…あれは神だ…俺は神を…生み出してしまったのか…』横から自分の胴より太い2本の腕が抱き締めてくる
     逃げようとする男の足は既に千枚通しの様な羽で固定されて…《メリ メキッ メキキッ …パキッキッッ 》
       鳥神は急降下し ジュンジュンに抱かれ戦意喪失の男の心臓を 嘴で一突きにしようと…その時
ttp://aewen.com/momusu/qian/img/aewen2158.jpg
       「リンリンそこまでダヨ」「はっ!?自分を失っていたのはワタシだたネ…ありがとうジュンジュン」
            「良かったダナ 今日は満月ダ 自分の再生能力を信じろ 死にやしないダヨ」

        立ったまま気絶している男に 月夜を覆い隠さんばかりの羽が いつまでも降り注いでいた


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「Moonlight night 〜月夜の晩だよ〜」

          服は暴走により はちけ飛び ほぼ全裸の2人はリゾナントで しこたまお説教中
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro18262.jpg  ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro18259.jpg
    「だって今日は 月夜の晩デス 仕方ないネ」「アァそうダナ 月夜の晩ダヨ 気にするな」そう今夜の月は…
680名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 21:39:05.23 0
さあ 満月だぞ
さあ 満月だぞ
681名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 22:34:36.47 0
もっさん乙

というか
なんでしょうかこんなに幻想的なのにこんなに狂暴性に溢れるのは
世界観が深くてまだ底が見えないねえ
682名無し募集中。。。:2012/08/01(水) 23:06:15.86 0
不思議な味わいの予告編ですこと
683名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 00:09:47.25 0
お互いを守ろうとするジュンリンの関係性がヨイね
実際の月齢もにらんで投下してきたんだったら芸が細かいことだ
684名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 02:18:31.63 0
月がきれいな夜におやすみなんと
685名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 03:15:45.08 0
今日は夜でも月が輝いてて明るく見えるね。
雲もはっきり見えるくらいだ。
686名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 04:40:17.50 O
そしてまた朝が来る
687名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 06:22:28.02 0
空青いなあ
688名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 07:50:03.10 0
月夜の獣化…惹かれる響きですね
同じ曲が基でも暁戦隊とのテイストの違いがまたイイ
689名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 10:52:11.81 0
暑いホゼナント
690名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 10:55:52.67 O
やる気が奪われる暑さだな
691名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 11:53:46.89 0
俺、昼休みに帰ったら代理投稿するんだ…
692名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 12:10:46.32 0

ずっと前だけを向いて生きてきた。
だから、落としてしまったものを振り返ることはできなかった。



休日の繁華街。
人が行き交う大通り。
大きな買い物袋を抱えた、幸せそうな親子連れとすれ違う。
親子はしっかりと手を繋いでいた。
聞こえてくる会話はとても仲睦まじそうで、なんの関係もないこちらまで自然と笑みが零れてくる。

武器密売組織のアジトを殲滅した帰りの出来事だった。


場面が切り替わり、自宅。
リュックサックにたくさんの荷物や菓子を詰め込んで、何度も何度も中身を確認する幼い自分。
何日も前から、友人と遠くへ遊びに行く約束をしていた。
その前夜だった。

『“仕事”だ。頼むぞ』

約束が果たされる日は、ついぞ訪れなかった。
693名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 12:11:29.90 0

父の片腕として生きると決めてから、リンリンは失ったものを数えることをやめた。
学校へ行って友達を作って笑ったり悩んだりしながら日々を平凡に過ごしていく幸せはもう手に入らない。
だけど自分には、戦ったり守ったり嘆いたり悲しんだりしながら手に入れた今の幸せがある。
そう思っていた。そう思うことにしていた。

しかし、ふと立ち止まり考えることがある。

“それは本当に正しい選択だったのか?”

普通の人生を諦めてまで。時に本心を押し殺してまで。
貫かねばならないことだったのか。
納得のいく答えは出せていない。

自分で選んだ道を後悔したくない。疑問なんて持ちたくない。
それでも迷いは消えなくて。
振り返ることも前を向くこともできず、リンリンは膝を抱えて座り込む。
過去も未来も怖かった。
もう何も見たくなかった。



『・・・リンリン?』

膝頭に顔を埋めていると、遠慮がちに聞こえる懐かしい声。
しばらく忘れていた、しかし決して聞き間違えたりしない大切な人の。

顔を上げる。

『何してんの?こんなとこで』

朗らかに笑う愛が、そこにいた。
694名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 12:12:28.64 0

闇の中に閉じこもっていた身には、なんてことないこの笑顔ですら眩しい。
まともに愛の顔を見ることができず、再びリンリンは目線を下げた。

「何もしてない、何も・・・できないんですよ」

目を閉じるまでもなく、数々の場面が頭に浮かぶ。
言いたいことを我慢した記憶。
手に入らないものを知って涙した記憶。
ひたすらに他人をうらやんだ記憶。
数え上げればきりがない。

愛と再会を果たしても、リンリンの心を覆う闇は晴れなかった。
これまで自分が歩んできた道が間違いだったというのなら、自分はこれからどこへ進んでいけばいいのだろう。
どうすることもできず、ただその場に座り込む。

「私は・・・間違えてしまったのかもしれないですね。無理にこの道を選ばなくたって、私たちは父子でいられたはずなのに」

父だって、この道を強制はしなかった。
むしろ、まだ幼かった自分にも容赦なく接することで戦いの中に生きることの厳しさを諭してくれていた。
歯を食いしばってまで耐える必要なんてなかったのだ、初めから。

「今まで私は、なんのために・・・・・・」

今更やり直しなんてきかないのに。
失ったものが、あまりにも多過ぎる。
695名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 12:13:32.14 0

『・・・じゃあさ』

きつく膝を抱えたリンリンの上に、ぽつりと言葉が落とされる。
リンリンは微動だにしない。
構わず愛は続けた。

『あたしたちと出会ったことも、間違いだった?』

聞こえてきた言葉が、別世界の言語のように思えた。
意味が呑み込めない。
落ちていかない。
耳元に引っかかって離れない。


リンリンの前で、再び記憶の断片が渦を巻いた。

海を渡ってきた自分。
ジュンジュンと出会い、愛たちに迎えられ、新しい仲間と新たな関係を築く。
辛いことも泣きたくなることもあった。
けれど、笑っていた。
記憶の中に見る自分はいつだって笑顔で仲間たちとの日々を過ごしていた。
後悔なんて微塵も感じさせない、幸せそうな顔で。
696名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 12:14:32.38 0
「間違い・・・・・・」

記憶の波が引いていく。
リンリンはゆっくりと顔を上げた。
世界を覆う闇も目の前に立つ愛も通り越して、ここではないどこかをぼんやりと見つめる。

「間違いじゃない、です」

焦点の合っていない瞳とは裏腹の、はっきりとした口調で言い切った。

たとえ自分の選んだ道が間違いだったとしても、そこに至るまでの何かまで意味がないとは思わない。
出会えた仲間も、思い出も。
悲しい記憶も、苦しんだ経験も。
それらすべてが今の自分。
無駄なことなんて何一つないのだと、今ならちゃんとわかるから。

「愛ちゃん。私は、あなたたちと出会えてよかった」
『うん。あたしもリンリンと会えてよかったよ』

もう座り込んでいる理由なんてない、リンリンは立ち上がって手を差し出した。
愛も同じように手を差し出す。
この世界の“異物”である愛は、リンリンの手を握ることができない。
しかし、二人の手は確かに重なった。
触れることは叶わなくても、今はそれで充分だった。

「一つお願いがあります、愛ちゃん」
『なに?』
「私は寂しい思いをいっぱいしてきました。だから今までの分を取り返すくらいの楽しい思い出を、これからも一緒に作ってください」

愛は一瞬、面食らったようだったが、すぐに笑顔になって言った。

『喜んで』
697名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 12:15:19.66 0


いつか祖国に帰ったら、父にも同じことを伝えよう。
あの堅物な父とて、始終一貫して総統の顔をしているわけではないはずだ。
国籍も年齢も違う彼女たちと心を通わせることができたのを思えば、今から父との距離を埋めることが不可能だとは言い切れない。



消えていった愛の代わりに、愛のいた場所には小さな女の子が立っていた。
肩を震わせ泣いている。
リンリンは手を伸ばし、見覚えのあるその少女の頭を撫でた。

「悲しいけど、もうしばらくの我慢だよ。いつか何もかも分かち合える仲間に会えるからね」

言い聞かせながら、リンリンは彼女たちの顔を思い浮かべていた。
そう、少しばかり単純で騒がしくて。
けれどもしっかりと心を通わせた、愛すべき仲間たちの顔を。
698名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 12:18:41.46 0

>>692-697
『ダークブルー・ナイトメア〜10.クロスロード』

===

ようやくレベルが上がったかなというところでCookieがぶっ飛ぶという現象にいい加減心が折れました
いつでも構わないので代理お願いします


==================

ということでここまで代理投稿しました
暑さのせいか代理しながら目から汗が…

心が折れたなんて仰らず
あなたには愛すべきリゾスレ仲間たちがいるよ!
699名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 12:57:43.78 0
>>698
乙です
単独で読んでも完成度の高い話ですがもう一度最初から読み直してみたいと思った
700名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 14:40:10.13 0
リンリンの闇のカタチ編はここですね
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/289.html

>「私は寂しい思いをいっぱいしてきました。だから今までの分を取り返すくらいの楽しい思い出を、これからも一緒に作ってください」
この部分が現実の愛ちゃんとリンリンの関係と重なってグッときました
楽しい思い出…作れたよね?リンリン…
701名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 16:45:19.77 0
バッチリデース
702名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 18:35:34.48 0
(T T)
703名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 20:07:52.28 0
ほぜほぜ
704名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 21:53:59.09 O
あとで読む!
705名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 22:25:41.49 0
次回予告
                       『日本ボイン化計画を知っているだろうか?』
              『それは胸悲しき3人が立てた ボンキュの誓いによる壮大な計画である…』
          里沙 小春は枯れた凡奇湯が1年に1度 僅かな時間だけ湧き出るという事実を突き止める
           この情報を得る為にどれだけの金 時間 そして大勢の尊い命が犠牲になっただろうか…
             だがその尊い犠牲の為にも我らは かの地へと急ぎ向かっていた 凡の刻は近い
 やがて温泉地特有の臭いと蒸気が地面より立ち込め始める 暫く歩いた時だった 里沙は誰かにつけられている事に気付く
ttp://aewen.com/momusu/niigaki/img/aewen12608.jpg  ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro6215.jpg
          「女性の方ですね 蒸気で顔は分かりませんが 目的は同じのようですね…ボンを求める者に
          悪い人間はいないと ババちゃんがいつも私に言い聞かしてくれていました 共に参りましょう」
             やがて謎の女も語りだすのだった『母は私にチカラを 素晴らしい魔力を授けた…が
          唯一授からなかったモノがある それはボンだ!そしてそれは 私がチカラを与えた者の中にも
    ボンを手に入れられる様な 魅力的な能力は生まれる事は無かったのだっ!だが その先にそれは確かにある』
                   「言ってる意味は良く解らんが 何だか凄く大変ですね」
           …意気投合する3人は誓いを立てる ボンキュの誓いを…そして話は弾んでいった
ttp://aewen.com/momusu/kusumi/img/aewen2593.jpg
  「そうなんです 言ってやったんですよ!なら聞くが お前が今まで着けてきた乳パッドの数を覚えているのかッ!てね」
       「見直した!よく言った感動した!」『分かるよ若いのに苦労してるなお前たちも… 私も人間共に
        言ってやったわ 入ると言ったら 既に入浴は終わっている!と』「やる〜〜」『そ そうかフフッ』
〈皆自分を曝け出した 笑った 泣いた 悩みを打ち明けた しゃにむに駆け パラダイスの待つ聖地へと3人は突き進んで行った〉

 -あぁ 皆ボインになればいい 日本だけでなく世界が皆ボインで溢れれば 争いや苦しみなど消えて…そうだボインになろう-
 よく分からないテンションの中で里沙の頭が思った《日本をボインにしてしまえ》まずは我ら3人から……しかし だがしかし


次回かなしみ戦隊リゾナンターV(凸凹ウルトラ前編)「シャニムニ パラダイス」

   -おそらく2人の知らない 里沙しか知らない情報が1つある- ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro17101.jpg
      この2人は同じ悩みで打ち解け誓いを交わした仲間だ…なのに私は…なのに私は仲間にあの事を
    言うべきかで悩んでいる…いや自分だけ幸せになろうとしているんだ…あの事実を知ってしまったから…
      【湧き出る凡奇湯の湯量は1人分しか無い事を】 そしてのちに書かれる有名な書にはこうある…
 【ニイガキリサの胸があと3cmボンだったら歴史は変わっていた】そう この後に起こる悲劇も起こらなかったであろう…
706名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 22:41:40.90 0
>>698
リンリンの過去って現実もリゾスレも似てるんだよな
707名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 22:53:21.17 0
>>705
なにから突っ込めば良いのかわからんよw
708名無し募集中。。。:2012/08/02(木) 23:49:50.75 0
ここにきてこの顔合わせが実現するか
後編は涙なくして読めないでしょうねw
709名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 00:52:52.28 0
ミキ様そうとう怖そうな存在だったのになんじゃこの展開はw
710名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 02:36:00.84 0
ねるなんと
711名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 05:26:59.77 0
よーいしかわ@YO_sann
RHRHしっかりキチンと発言の合間に見せるムキになって「これはこう!」みたいなとこがチビ姉ちゃん(笑)。
そこここに香音ちゃんとの共鳴を見せたりするのがけっこうキュン。ラストは道重リーダー。
結局この人にあふれるのは愛なんだ、自分とグループへの。素敵。 #morningmusume
712名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 06:38:50.43 0
いまいち意味が読み取れんw
713名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 09:50:48.09 0
暑いよ苦しいよ
ねえねえ誰か
714名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 09:58:47.06 0
>>711
RHRHってりほりほの事かな、チビ姉ちゃんってw

>>713
かき氷もってきたヤシ
715名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 12:12:14.05 0
RHRH俺もかき氷たべたいよRHRH
716名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 14:09:55.98 0
かき氷にしてくれる魔女ならちょっと上にいるよ
頼んであげよっか?
717名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 14:21:16.08 0
氷の人と水の人が絡む話ってあったっけ?
718名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 15:17:17.22 0
>>717
RHRHの方は↓掌編付きイラストであったのを記憶してます

第54話 『共鳴異能 鞘師里保』
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/340.html


あと…これ↓とw

第63話『影法師』-2
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/543.html
719名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 16:46:34.59 0
どもども
720名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 18:41:27.00 0
直帰中のほっ
721名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 20:17:07.57 0
直帰します
722名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 20:20:37.27 0
エリック亀三を思い出す
723名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 20:24:31.15 0
まいどありぃ〜
724名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 20:58:26.09 0
亀造だった
725名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 21:15:53.45 0
えりりん免許取ったみたいね。
726名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 23:05:10.66 0
ノノ*^ー^)<リゾナンカーの運転はまかせろですよ?
727名無し募集中。。。:2012/08/03(金) 23:38:56.89 0
次回予告
      立ち上る蒸気は少しづつ濃くなっていく(伝えなければ仲間に…あの事実を伝えなければならない……でも)
                 しかし里沙の脳裏に過去の出来事が蘇り湯煙の様に思考を煙に巻く
     《すいません新垣さんッ!》とダンスレッスンで必要にぶつかるフクπ≪カマキリ!チョウチョ!≫とかする度に
         揺れるズッキのボン そして其の度に揺れる私の心 同じ人間だというのに…なんなのこの違いは
     私は平たい胸族だというの!?そうだ…2人に教える事はない 私が1人入れたら良いのだ これでいいのだっ
ttp://aewen.com/momusu/kusumi/img/aewen2742.jpg  ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro18245.jpg
         「新垣さんどうしたんですか?体調でもわるいのカナ☆彡?もうすぐですよ頑張って下さいよぉ」
             「う ううんなんでもないよ小春 楽しみだねぇ(いかん!気取られてはならないのだ)」
           「あっそうだ私が先頭を行くよ 道には詳しいからさ〜(何としても先に辿り着き入れねば)」
     更に視界は悪くなり やがて湯煙が立ち上る もう凡奇湯は目の前だ 3人の胸は高鳴る「ごめんなさい皆ぁっ!」
     里沙は駆け出した 2人を置いて 走りながら衣服を脱ぎ捨てる 何度も練習した この時の為に 全裸で駆ける!
     湯煙りを掻き分けながら 次第に鮮明になっていく秘湯凡奇湯 さあ今 私は忌わしき過去からやっと卒業します
        里沙の足が湯に浸かろうとした時 足先が何かに触れる その何かには口があり 人の言葉を喋った
 ttp://aewen.com/momusu/niigaki/img/aewen12301.jpg 「あっ 愛しの新垣さんお先ですぅ!」「ちょ なんであんたがここを…」
      「私ぃ 新垣さんの知らない事なんて無いんですよぉ!昨日寝言で言ってたじゃないですかぁ ここに行くって
        いやぁ 忍び込んだかいがありましたぁ〜でも本当は新垣さんの入った湯に浸かりたかったとぉ!うふ
でも逆にあたしの入った湯に新垣さんが入るという制服感が…ゴクリッ!いや〜想像しただけで これが高鳴るって言うんですか?
    もう熱く胸がボンっ!!て膨らみますよぉ〜!」「・・・・・」「きゃ新垣さぁん裸なんて私には刺激が強すぎますよーー!
       良かったら私のマイクロファイバータオル使って下さいぃ!うひひ!絶対家宝にするけん!きゃ!きゃ!」
      湯は当然 空気の読めない人によって溢れ もう湧き出る事は無い ショックのあまり里沙は《バタンキュッ!!》
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro6215.jpg
        『やはりそうだ!人間など信じた私がバカだった!!う うわあああああああぁぁぁチクショーメーー!』
      謎の女は泣きながら湯煙に姿を消していった 2人もいっその事 消えてしまいたかったであろう 湯気の様に


次回かなしみ戦隊リゾナンターV(凸凹ウルトラ後編)「泣きだすかもしれないよ」

                里沙が想像した新しい世界の形も 日本ボイン化計画と共に消滅した
ttp://aewen.com/momusu/niigaki/img/aewen10755.jpg  ttp://aewen.com/momusu/kusumi/img/aewen2167.jpg
       「な〜〜ま〜〜〜た〜〜〜〜ぅぅぅ ぅ……私…泣き出すかも…しれないよ…」「もう……泣いてるカナ…」
       死骸の如く横たわる里沙の眼からコンコンと湧き出る涙を 小春はただ見つめる事しか出来なかった…
728名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 00:34:45.75 0
小春と鞘師が八景島シーパラダイスで戦うそうです
729名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 00:35:09.20 0
里沙は湯煙の中にナマタを見つける!!w
730名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 02:32:52.59 O
ナマタww
731名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 05:51:50.17 0
喫茶リゾナントの地下にある鍛錬場で私は天を仰いだ。
ずっと動いていたせいか、息が切れる。
まだ鍛錬を始めて間もないのに、体力が全く追いつかない。

「こんなんじゃ……ダメなのに」

下唇を噛むが、私の膝は折れることを要求していた。
結局それに従い、私はため息をついて腰を下ろし、天井を仰ぐ。
短く息を吐きながら、昼間のことを思い出す。



太陽がじりじりと睨みを利かす午後、私は敵と遭遇した。
下っ端中の下っ端だったのか、男は図体は大きいものの、大した能力者でもなかった。
私はチャンスだと思った。いままで先輩たちとともに行動してきたけど、今日はたまたまひとり。
自分の力を存分に発揮できるのだと意気込んだ。

戦闘自体はものの10分もかからなかった。
図体が大きい分、振りも大きいために隙が多く、私はあっさりと相手の懐に入り込み、顎を砕いた。
力はまださほついていないが、小刻みに拳を入れたことで、相手は膝を折った。
私はできる。私でも勝てる。充分な戦闘要員になれるのだと私は勝ち誇った。
732名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 05:52:44.39 0
だが、相手に背中を見せた瞬間だった。
男は何処から取り出したのかその手にスイッチを握っていた。
それが自爆装置の起動スイッチだと気付くのにはものの5秒も必要なかった。

何処に自爆装置があるのか、起動まで何秒かかるのか、なにも把握できなかった。
私が思考を止め、脚さえも止めてしまったとき、男の指先が動く。
スイッチが押される瞬間、私は右から走ってきた人に抱きかかえられ、そのまま転げるようにビルの陰に隠れた。

激しい爆音と爆風が走る。
耳を伝い脳の奥へとじんと痛みが走り、直後に上からチリチリとなにかの破片が落ちてきた。

「だいじょうぶと、工藤?」

私が目を開けたときに降ってきた優しい声は、私の最も尊敬する人のものだった。
彼女は優しく笑って髪についた破片を払い落としてくれる。

「なんで、此処にいるんですか?」
「んー?愛佳から聞いたんよ。工藤がひとりで闘ってるって。やから急いで来てみたと」

彼女はそうして立ち上がるとビルの陰から男を見た。
彼は当然のようにバラバラになり、その肉体は欠片すら残っていなかった。
人肉の燃える嫌な臭いが鼻をつき、彼女は「うぇー」と鼻をつまんで現場を確認する。
733名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 05:53:31.39 0
「……なんで、ですか?」

そんな彼女を見て私の中になにかが燃え上がる。
間違っているのに、こんなの私の思い上がりでしかないのに、どうしてか、止められない。

「私ひとりじゃ信用できませんか」
「んー、そういうことやないけんさ」
「じゃあなんで来たんですか!私ひとりでも闘えました!勝ってました!」

私はまるで子どものようにそうやって訴える。実際、私はまだ13歳と子どもなのだけれど。
自分に過失がないように、あなたが来なくても勝てたんだと、なぜか駄々をこねた。

「田中さんに来てもらわなくても…充分に」
「れなはお邪魔やったかいな?」
「そうじゃないですけど……私は、立派なリゾナンターの一員です」

認められたかった。
はるか遠く、ずっとずっと先を行く先輩たちの背中に追いつきたかった。
弱いところなんて、見せたくなかった。
いつまでも、新人なんかじゃない。

「知っとぉよ、だから来たんよ」

私が子どものようにそう叫んでも、田中さんは笑ったままだった。
少しだけ困ったような、少しだけ寂しそうな笑顔をつくって、田中さんは返した。
734名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 05:54:25.36 0
「仲間やけん、いっしょに闘おうって思ったっちゃん」

田中さんはそうやって目を細めて笑うと、私に近づいてきた。
てっきり怒られるのかと思ったけれど、彼女はぽんぽんと私の頭を撫でてくれた。

「仲間が闘っとぉけん、れなもいっしょに闘う。ひとりよりふたりの方が良いやろ?」

それだけ言うと、田中さんは歩き出した。
私は振り返ってその背中を見る。急に気恥ずかしくなった。
田中さんは仲間だって認めてくれていたのに、自分だけ、空回りしていたんだと。

でも、どうしても、焦ってしまう。その背中を見ているだけでは物足りない。
ずっとずっと前を行くあなたたちに追いつきたくて、肩を並べたくて、もっと前に進みたくなる。
同じ目線で、同じ高さで、同じ距離を、同じ時間を共有したかった。

「ほら、帰るよ工藤」

呼ぶ声がして、私は「はい」と駆け出す。
それはやっぱりまだまだ遠くて、高くて、手は届きそうもないなって思った。



「あーーー……もう」

私は大の字に寝そべった。
735名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 05:55:12.10 0
同じ場所にたどり着くには、自分を高めていく以外にない。
そのためには精一杯努力するしかないんだ。自分の能力を、もっともっと研ぎ澄ましていかなくてはいけない。
肩を並べて闘いたいってそう思う。
あの人と同じ場所で、同じものを見ていたい。

「はーっけーん」

そうやって感傷に浸っていると、大抵現れるのがこいつだ。
顔を覗き込んできた彼女は肩まで伸びた髪を耳にかけると「もー探したんだよ」と言った。
別に探される義務もないんだけど。

「なんの用?」
「どぅーに宿題教えてほしくて」
「自分でやれよ、そんなの」
「自分で考えて分かんなかったから教えてほしいのー」

彼女はそう言うと私の横にぺたりと腰を下ろした。
どうせ宿題教えてという割に、全部私のを写すに決まっている。いままでの経験から私はそう考えた。
その割に成績が良いのは彼女のほうだ。どうも人生はうまくいかない。かみさま不公平です。

「じゃー、まーちゃんと勝負する?」

突拍子もない言葉を理解するのに数秒必要だった。
私の脳みそは不測の事態に対応するのが遅いようだ。そのせいで今日も危なかったのだが。
736名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 05:56:05.02 0
「まーちゃんが勝ったら宿題教えて」
「……勝つわけないじゃん」
「分かんないよ〜、まーは強い子ですよぉー」

小馬鹿にするように彼女はくるくると指を私の前で回して見せた。
その態度が非常に腹立たしくて、私は勢いをつけて状態を起こし、立ち上がった。
勝負する気なんてさらさらなかったのだが、私がぐっと伸びをすると、彼女も髪をひとつに束ね、準備体操を始めた。

「能力使うのナシね、手合せだけ」
「はーい」

私の提案に元気よく彼女は手を挙げた。
こういうところはやっぱり、彼女は子どもだと思う。
というか、歳相応の態度なのだろうかと考えながら、私は構えた。



決着は18分後についた。
彼女は肩で息をしながらずるずると膝を折り、床に腰をついた。
思ったより時間がかかったなと思いながら、私も息を整えて腰を下ろす。

「はぁー……やっぱどぅーは強いなぁ」

彼女は「へへっ」と私に笑って言う。
なんだかその笑顔は悔しさとかが滲み出ていなくて不思議な感じがした。
737名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 05:57:04.44 0
「まだまだだよ。田中さんとかに比べたら、私なんて全然…」
「どぅーはだいじょうぶ。絶対、田中さんに追いつけるよ」

そんなことを言われると悪い気はしない。
別に深い意味はないのだけれど、彼女に言われるとなんだか本当にそうなりそうな気がする。
実際、田中さんには追いついてみせる、絶対にあの背中を超えてみせる。
と、そこまで考えて私はハッとする。
もしかして彼女は励まそうとしているのか?
わざわざ鍛錬場まで降りてきて?宿題という口実をつくって?

「どぅーならできるよっ!」

そうして彼女は笑って、がんばれと言いたいのか両手をぎゅうと握ってきた。
その仕草はやっぱり歳相応なのだけれど、私はなんとなく気恥ずかしくなって顔を逸らす。
なんだ、いちばん子どもなのはやっぱり私かと口をもごもごさせる。

「……宿題、やろっか」

私がそうして立ち上がると、彼女はきょとんとした顔のままこちらを見上げていた。
目なんて絶対に合わせてやらない。どうせ凄く情けなくて、顔なんて真っ赤に染まっている気がしたから。
738名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 05:57:54.71 0
「ほら、早く行くよ」

歩き出した私を認めると、彼女は慌てて立ち上がり追いかけてきた。

「捕まえたー」

と、私の背中をどんと押してくる。
彼女は追いつくのが早い。きっと、私よりも前を行くことがあるのかもしれないななんて思ってしまう。
だけど、だからこそ、負けたくなかった。
あの小さな背中に、追いつきたいから―――



「………で、此処のXにさっきの数字を代入すれば良いんだよ」

私が教科書を読みながら彼女に説明したが返事はなかった。
あれ?と彼女を見ると、視線を落としたまま、ぴくりとも動かない。手に持ったシャーペンはいまにも落ちそうだったが。
人に頼んどいてその態度はなんだと、私は眉をひくひくと動かし、その耳元で叫んだ。

「起きろ優樹ぃ!」
「うわぁ!もー、どぅーうるさいぃ!」
「宿題やれよちゃんとぉ!」

結局今日も、まーちゃんは私のノートを丸写ししそうな気がした。
739名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 05:59:45.60 0
>>731-738 「遠い背中を」

ちょっとレベルが上がりましたw
在り来たりですが保全代わりにどうぞ
740名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 07:31:54.50 0
早朝から乙やで!
741名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 10:02:53.57 0
9期10期の学力ってどんなだろ
742名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 12:02:52.96 0
マクドかわいいね
743名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 14:01:33.02 0
果てしなくお久しぶりです、XOXOシリーズの作者です。
おそらくもう忘れ去られていると思いますが完全なる自己満というわがままで続きを載せます…
ナンバリング的には
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/479.html
の次なのですが話の流れ的には
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/425.html
の続きになります。
744名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 14:03:10.94 0
1時間。
60分。
3600秒。
この戦いにかけられる時間はおそらくそれぐらいだろう。
ただそれは、里沙の能力次第で如何様にも変わる。
攻撃は最大の防御とはいうものの、戦闘を進める第一条件として防壁の維持に意識を割かなければならない現状において、一気呵成に攻めることは不可能だ。
里沙の出方に合わせてこちらもスタイルを変えながら微かな隙間を衝くという持久戦を展開するほかない。

――なぁなぁそっちから手だしてくんないとどうしようもないんだけど――
――何言ってるんですか、そんな馬鹿な真似する阿呆がいるとでも?――
――それって結局馬鹿なの、阿呆なの?ーー
――雑談するくらいの余裕があるなら仕掛ければ良いじゃないですか――
――それこそそんな馬鹿なことする阿呆がいるかってんだ――
745名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 14:04:22.54 0
外からは、ただ粛々と対峙しているだけに映るこの血戦。
手塩にかけた我らの「子供」とこのような戦いを繰り広げようとは想像もしていなかったが、実際にそうなってみれば意外と楽しんでいる自分に気づいた。
反逆者を始末するという任務、それだけではない。ある種の親の気持ちというのだろうか、それも吉澤の昂りに一役買っていった。

−−その前に子供を殺そうとする親心なんて存在しないか、いや一種のプレイか?―
−−まったく変なこと妄想しないでください―

そのとき、鋼線内の抵抗がわずかだが弱まったことに気づいた。じりじりと紫外線が柔肌を焼くように侵入を深くしていくが、速攻で猛烈な反撃を喰らう。
しかしその攻撃に若干の焦りを感じ取れたということは、気の弛みは里沙の作戦でもなんでもなく自然な衰退であったということだ。
746名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 14:06:02.43 0
何がきっかけだ?

高レベルの念動力も同時に形成し続けている吉澤より、どう考えても精神の残量はあちらの方が圧倒的に余裕があるのだ、純粋な浪費が原因とは考えられない。
それならば里沙の精神に何らかのショックが働いた、そう考えるのが無難だ。

−−お前なんか特殊なプレイが好みだったりする?−−
−−いい加減にしてください本当にもう―

微動だにしない。むしろ若干強まってしまった。だが、これで奴の綻びを完璧に捕まえた。
長所は弱点にもなりうる、典型的な分析を忘れていた。

−−(『安倍さん、そのガキどこから連れてきたんですか』)―
−−(『かわいいでしょう。圭織と外に出た時に見つけたのよ』)―
−−!!!!!!!−−

新垣里沙。赤子の頃からのダークネス育ち。
それは正真正銘のキャリアの証であると同時に、組織に全てを握られていたということ。

−−(『よしざわさん!みて!すぷーんがこんなにまがっちゃったの』)―
−−これは・・・・・・−−
747名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 14:07:51.67 0
考えれば簡単なことだ。ここに乗り込んでくるということは過去を全て決別しなければならない。
もちろん里沙は決別し、克服したつもりでここへ来たのだ。しかしそれは所詮つもりでしかなかった。人間簡単に過去を捨てられるものではないのだ。
それは吉澤当人が一番理解していることで、精神系の使い手が最も攻めるポイントでもある。
里沙に対し、最も精神的に効果のある打撃、それは”ここ”で育ち、信頼を置き、なによりも愛していたという事実に他ならない。
表面ではいくらでも取り繕おうとも、純粋な心と心のぶつかり合いなのだ、そんなものは何の盾にもならない。

ただひたすらに自らの感情を込めることなく、ただ純粋に里沙の成長の記憶を本人にぶつけ続ける。


−−(『見て!お人形さんが動かせるようになったの!』)―
−−(『飯田さんがね、教えてくれたんです。私を拾ってくれたのは安倍さんと飯田さんだって』)―
−−(『吉澤さん、今度手合わせお願いしていいですか?やっと自由に動かせるようになったんです』)―
−−(『安倍さんを守るために、いいえ、安倍さんが望む世界のために私はいるのです』)―
748名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 14:09:45.46 0
瞬間、鋼線の抵抗がゼロになった。
持ちうる限りの精神力を駆使し、鋼線の支配権を奪い取ると同時に自らを守っていた念動力を解いた。

−−−言っただろ…?勝ち目のある戦いしかやらねぇってよ−−−
−−−−−貫け−−−−−

そう命じようとした直前、とんでもない突風が吹いた。あまりに突然だったその風は、後ろからではなく前から来るものだった。
あまりの衝撃に命令を忘れた吉澤を、支配とか関係なしに全てを飲み込む風圧は一気に里沙側に吸い込んだ−−−−

(『…なら…ってくれる……』)
(『そんな…そん……とって…』)
(『高…愛は………そういう運命……』)

−−−これは…安倍さんと新垣…?あれは飯田さん…?−−−

(『私は…私は…………』)
(『これ……組織の命令ではない……未来の為の……の宿命……』)
(『高橋愛を……伐しなさい』)

−−−高橋愛を……殺す…?−−−

−−−アノ……新垣ガ−−−−?−−−


せつな、胸部に突然の鈍痛が襲い目の前にいた三人が暗転する。
一気に意識が引きずり出されていき里沙の思考から抜け出す瞬間−−−微笑むあいつの姿が見えた−−−
749名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 14:11:02.51 0
「…俺の血って、ちゃんと、赤かった、んだな……」
「−−−−−−−あなたも人間ですから」
「…なんだ、よっ…さっさと、とどめ、させよ…Mじゃ、ねぇっつった、だろ、かっ…!」

胸に刺さっているこいつを抜けば、息の根は止められる。そんなことは分かっている。
だけど。

「驚いているんでしょう?支配したはずなのにどうして?って思っているんじゃないんですか」
「簡単なっ、初歩すぎる罠に…はまっ、たんだよ……基礎中のっ、基礎にな…」

私の過去を盾に来られた時、正直厄介な手で来たと思ったのは本当だった。
それは間違いなく私の弱点で、それも私の予想外でもあったから。
ただ幸運だったのは、最前線に吉澤さん本人の意識が含まれていなかったこと。
記憶を盾に形成するのに集中していた吉澤さんは、私が自ら自陣に引き、相手を閉じ込めることで逆に意識をのっとろうとしたことに気づかなかった。
私を攻める為に形成した盾が、私の心を読み取る邪魔になるとは、あの状況では判断がつかなかったのだろう。
750名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 14:16:24.73 0
「逆にあのまま持久戦に持ち込まれてた方が私は嫌でしたよ、何の作戦も練れないですからね」
「くっそ…確かに途中、からっ…強弱だけで、判断つけて、ったから…な…」

溢れた血液が二人の足元を染める。むせ返るほどの生の匂い。

その発信源は今から絶えようというのに。

「さいごに…いっこ、きいて、いいか…」

鋼線を掴む力を入れ直し、目線で続きを促す。

予想は、ついている。

「お前は……だれに、忠誠を、ちかってるんだ…」

−−−−鋼線よ、我が手元へ−−−

鋼線が戻ってくると同時にコロシアムに響き渡る断末魔。
鮮血の泉に歩み寄り、その中心にたたずむ家族の目を閉じる。

−−−−−私は、私の意思で、ここに来たんです−−−−

ふいに落ちた透明な雫が、赤いクラウンを作って、消えた。
751名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 14:19:43.29 0
>>744-750
XOXO -Hug and Kiss- (4-d)

間があいて本当に申し訳ありませんでした。
それでは。
752名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 14:26:30.36 0
>>751
おおおおおおお!!
諦めかけてた続きが来てる!!!
後ほどもう一回最初から読みます!
753名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 15:04:41.74 0
ナイトメアに続いてxoxoも来たか

>>743
忘れたりはしなかったけど半分あきらめていた続きが読めて嬉しい
そしてこう言える機会がまたきたことも嬉しい
終章まで書き上げられることを心から待ち望んでおります
754名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 17:00:40.89 0
>>739
くどぅーが我武者羅だった頃のれいなを思い出す半面、その本人が
かなり冷静になったなあと思ってしまった。

>>751
おかえりなさい。
大集合で作品が毎日投下されるとにぎわいが増しますね。
755名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 18:46:26.41 0
>>739
歴史は繰り返されるというかキャラは受け継がれてゆくというか
こういう話もいいものですね

>>751
吉澤の精神攻撃を守りに徹することで破ったガキさんの強さが眩しいそれと優しさ
自己満上等
最後まで書き上げる気持ちがあるならつきあいますぜ
756名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 20:27:44.58 O
最年少の2人の話が妙に懐かしくてイイ
757名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 21:30:15.54 0
このスレに居ると最初に思うのって懐かしさだよね。
758名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 21:45:34.34 0
>>698
リンリンが歌う「我的歌声里(私の歌の中)」の日本語部分。
『あなたの笑顔、あなたの香り、あなたの声、思う度に涙がどんと溢れてく。
止められない。どうか私のこの歌、空越え、海越え、きみ届け。
どうか幸せでいてね。いつかはきっとまた会えるよね。』 
http://changba.com/s6464684
759名無し募集中。。。:2012/08/04(土) 22:53:29.90 0
こ こ ま で き て お と し て な る も の か
760名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 00:29:32.89 0
ほじぇほじぇ
761名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 00:30:28.61 0
>>758
泣ける… 

でも下にある「道重惠里菜」が気になるw
762名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 02:12:23.81 0
おやさゆみん
763名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 04:31:47.41 O
おやすみずき
764名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 06:38:47.00 0
おはりん
765名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 09:15:12.35 O
ちょっと冷房効きすぎた電車からほぜ
766名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 11:23:15.92 O
あっちい
767名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 12:24:03.30 0
股関を醒ますんだ!
768名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 14:47:25.26 0
なーつはこーかんがー
769名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 16:15:01.31 0
エロい思念を察知したがし
770名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 17:47:36.90 0
りぞりぞ
771名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 19:25:39.40 0
俺の出番か
772名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 19:54:14.01 0
伐採される前に逃げた方が…おや誰か来たようだ
773名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 21:19:53.34 0
>>772さんは無事かしら
774名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 22:33:21.50 0
へんじがない
ただのしかばねのようだ
775名無し募集中。。。:2012/08/05(日) 23:44:59.83 0
寝るっす
776名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 00:48:07.14 0
次の人スリーセブンだいいな
777名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 01:42:12.22 0
うへっへ
778名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 05:24:57.33 0
♪おぱよん
779名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 07:39:07.46 0
次回予告
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10677.jpg  ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10678.jpg
      生田はリゾナントで独り言をしている事が多々ある 私はグルグルと生田の周りを見渡すが誰もいない
   KYで温泉の時の恨みもあるが これには少し心配な里沙がいた ちゃんとシャキっと教育してあげないとなぁ…
   しかしその後も生田の独り言は無くならないでいた それどころか最近戦闘中にも独り言をしているではないか
大丈夫かと見守る里沙だったが ある事に気付く 生田が独り言をした後には何故かスムーズに戦闘が終了していくのだ
初めての場所 複雑な地形でも生田の頭の中に詳細なマップが有るかの様に行動出来ている 敵の裏を突く動きが出来る
          謎は深まるばかりだが 実はこの娘とんでもなく切れ者なのではと里沙は思うのだった
       その他にもツタを目標に巻き付けることによるターザンの様な高速移動でスピードも申し分ない

      【里沙から愛ちゃんへ 生田の能力追加報告 どうやらね植物操作の延長上で習得したらしいんだけど
       植物の成長と呼吸による酸素と二酸化炭素濃度を変化させ対象を中毒や気絶させる事が可能…
          でもまだ上手く出来ないし時間もかかる無差別型の能力だから実戦にはまだ遠いわ
           私らまで頭がグルグルクラクラしちゃうんだもの けど中々強力よね凄いと思うよ】
       報告中 里沙は生田に声を掛けられる  ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen9690.jpg
          「あっ!お友達が言ってたんですけどぉ 新垣さんはきっと水が足らないんだろうって」
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro17101.jpg
「ん?何よぅいきなり??」「だから全然膨らんでないんだって…新垣さん何の事なんでしょうね?あっ今も言ってる」「!!」
     グルグルと鬼の形相で周りを見渡す里沙 だがやはり誰もいない 誰もいないのか?生田の独り言なのか?
         観察する新垣 すると時折 生田がチラリとある物を見ている それは小さなサボテンであった
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen6283.jpg
          「あのぅっ!今すぐ水買ってきます!えっと〜新垣さんだと 2リットル位必要ですか!?」


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「グルグルJUMP」

ttp://aewen.com/momusu/niigaki/img/aewen12014.jpg
        【報告 あの子 植物と意思疎通も出来るみたい…でももう褒めたりしないんだからあのKYめ!】
   あの時 サボテンを睨んだとき ちょっとだけビクッと飛び上がった様な気がした…「ふんっ水やりやんないゾ!」
780名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 08:31:38.21 0
ナマタつえー!
色んな意味でw
781名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 11:22:31.84 0
2リットルの算出根拠が知りたいw
782名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 13:15:21.30 0
大好きなガキさんのことだからしっかりした根拠があるのだろう
783名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 15:18:16.81 0
あっても嫌だなw
784名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 15:21:24.87 0
グルジャンをこう料理したかw
話数的にラストスパートですかね
完走を祈ってます
785名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 17:18:31.81 0
暑いよ
786名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 18:37:58.03 0
暑けりゃ冷ませばいい
787名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 20:04:06.32 0
もっさん 氷頼むわ
788名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 21:53:34.82 O
ほっ!
789名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 23:03:01.84 0
ZE!
790名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 23:14:26.87 0
ナ!
791名無し募集中。。。:2012/08/06(月) 23:51:43.88 0
ん?
792名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 00:51:46.60 0
こつ!
793名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 01:18:59.63 O
おいww
794名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 04:43:58.40 O
おやすみずき
795名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 06:44:19.00 0
おはるなん
796名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 08:42:55.41 0
次回予告
              あの爆弾魔は取調べで 散発する爆破テロとの関係を 否定している…
                 なら 誰が? 何故? 高橋はカウンターで一人事件を考える
            やがて思いはメンバーの事へと向かうが… 今も 病院で眠り続けている亀井
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro18248.jpg
「愛佳の足の怪我…絵里の…絵里が ねえ絵里が倒れたのは 私が無理やりにリゾナンターへ入らせたからなんでしょ?
  愛佳だって…さゆだって…私が誘ったんだ…そして怪我させたのは やっぱり私の…ねえ ねえ 私が皆を危険に…」
   『『いや お前はよくやった よく仲間を集めた だがもう集める必要は無い 十分愛され そして愛しただろう…』』
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro17097.jpg
                        「いや!もっと もっと ai が欲しいよ」
        「絵里起きて……私は強がっているだけ 本当は本当はもっと皆の愛が欲しい安心したい
      愛してくれる仲間が必要なの…あれ?もっと?今のリゾナンター…これは本当に私が望んだ形?」
              『『ほら もう休むといい もう眠るといい もう……… …いい』』「・・・・・・」
           【…世界は この現行世界は 愛は この哀歓哀歌は 魔女の呪いか それとも…】

         愛の弱りきった心を敵の能力者が襲った 心には鎖が巻かれ 愛までもが眠り続ける
                 メンバーの声にも反応は無く 衰弱していく 愛の心と身体

       リーダーの危機に現れたのは 以前 愛と夢の世界で敵として戦ったと言う女 イシグロだった
     この女を信じても良いのだろうか?本当は高橋への復讐劇ではないのか?そしてメンバー達は…

  『夢魔(インキュバス)は既に私が始末した 今から沈没した心をドリームキャッチする 上手くサルベージしなさい
    でも私は愛に1度敗北している その彼女の作る夢 手強いわよ(愛の精神がここまで…何があった?)』
         女のチカラを借りリゾナンターは愛の夢へとダイブする そこは 想像迷宮世界だった


次回かなしみ戦隊リゾナンターV(この仲間の無事を本気で願ってるんだよッ!前編)「もっと愛してほしいの」

                『私はあんた達にチカラを貸すわ さあ行くわよ目を閉じなさい』
   《…あの時 愛が私を見捨てずサルベージしたように 今度は私とあなたの仲間で 救い上げてみせるわ》
797名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 11:12:25.10 0
aiiiiiiiiiiii
798名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 11:19:07.24 0
タイトルがド真ん中を示している(涙
799名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 13:16:35.46 0
一緒にいてね
800名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 15:53:50.53 O
あげ
801名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 17:38:29.09 0
イシグロさんとか初登場だっけ?
集団でのダイブとかどうなるんだろう
802名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 19:31:23.69 0
彩っぺは初だったかと
803名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 19:31:49.52 0
聴くなら FM 802
804名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 21:01:21.25 0
------ヅッ 赤坂よりマル能発生 マル能発生。付近住民への避難を開始。至急現場へ急行せよ。繰り返す赤坂よりマル能・・・-----

マル能の言葉が聞こえた瞬間には赤色灯を付けアクセルを踏み込んでいた。
隣にいる相棒の愛理はドアに体を押し付けながらもスピーカーを使って道をあけるよう誘導している。
誰よりも早く現場に到着し、能力者を逮捕したかった。
普通と少し違った能力があるというだけで過信し、犯罪行為にも簡単に手を染める憎き能力者たち。
自分達が至上と心底思い、一般人を無能、非力とし、残虐な行為もいとわない。
こんな奴らさっさと全員殺してしまうべきなんだ。

能力者と呼ばれる人間がいつから“いる”のかはわからない。
それでも事件が表面化し始めたのは2008年4月13日から始まった『粛清』事件からだ。
2008年4月13日 都内某所にて男性遺体が発見。現代の科学では解明も実行もしえない切断方法での失血死。
同16日 都内某所にて男性遺体発見。遺体は氷漬けにされており、熱湯をかけても炎で炙っても解凍することが出来なかった。
以降、数日起きに不可思議な事件が発生していた。
警視庁ははじめ一般の事件と同様に捜査していたが、捜査が進むにつれ常軌を逸している事件たちに解決の糸口を発見できずにいた。
805名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 21:02:13.44 0
あげ
806名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 21:02:23.95 0
解決ではなく、解明の糸口が見えたのは最初の事件より1ヵ月以上も後の2008年5月22日だった。
深夜にパトロールをしていた同期のエリカが不審な男性に職務質問をかけたのがきっかけだった。
その男は覚せい剤を打った直後のように目は血走り、口から泡を吹きながら意味不明の文言を並べていた。
所轄に連れ帰り、薬物検査をするが反応はなし。
しかし、まともに会話が出来ない。
精神錯乱者として処理しようとした矢先、大勢の署員が見守る中その男は宙に浮いた。
備え付けの防犯カメラで何度も繰り返し見た映像。
その男は何もない所で確かに浮いていた。

「粛清せよ。裏切り者は粛清せよ。我々の任務遂行に仇なす者共よ、凡人共よ、よく聞け。
我々は粛清を続行する。立ちはだかる者共々、木っ端微塵に叩きのめす。言葉通り木っ端微塵だ。
我々が神より与えられし、この能力。これを使い集め世界を混沌へ陥れるのだ。
それこそが我々が望むユートピアだ。粛清せよ。裏切り者は粛清せよ」

スピーカーを使っているかのような大声で男は叫んだ。
そして・・・周りに何もない状態-----当たり前だ。空中に浮いていたのだから-----その状態から首から頭部が吹き飛び、唖然としている署員の目の前で今度は体ごと発火した。
この3分に満たない映像はたちまち警視庁上層部より内閣に報告された。
時の総理大臣は「隠蔽しろ」と指示し、警察は全力で隠蔽にあたった。
807名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 21:03:50.84 0
しかし、2009年2月26日。
能力者が郵便局に人質をとり立てこもる事件が起きた。
郵便局と路上の防犯カメラより犯人が能力者であることは判明していた。
そこでPECT(exceptional power corresponding team特異能力対応チーム)が出動した。
私とエリカ、栞菜の3人だ。
その頃は何をどうしていいかわからない上層部が形だけ作ったPECTに私たちを配属させ、関連するとされていた事件を詳細に記憶させていた時だった。
この時点では能力の多様性も、攻撃の方法も、何もかもが分からなかった。
そんな私たちを現場に出してどうやって解決しろと言うのか・・。

今までの事件により特異な殺害方法ばかりに目をとられていた。
能力は物理的なものだと疑う余地もなかった。
実際郵便局に進入したのは能力を使い、入り口を破壊したからだった。
それを見ていた私たちは機動隊と似たような格好をし、郵便局へと近寄った。
内部の状況を窺い知るためだ。

パンッ

乾いた音が響き渡ってすぐに私は音がした方向へと走り出した。
エリカが無表情に栞菜を見下ろしていた。
手には拳銃が握られており、栞菜の右足から地面に向かって血が流れていた。
その時、私は叫んでいたように思う。
だけどその声を自分で認識する前にもう一度銃声が鼓膜を振動させた。
エリカは栞菜の左足を撃った。
808名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 21:04:52.13 0
私はすぐさま麻酔銃をエリカに向かって発射した。
対能力者用の麻酔銃だ。
エリカはすぐに昏睡し、地面に倒れた。

まわりの警官に合図を出し、2人を運び出した途端、中から数人の郵便局局員が警官に向かってきた。
まるでゾンビのように。
もうわけが分からなかった。
とりあえず攻撃してくる者全てに麻酔銃を打ち込んだ。
私の目の前でばたばたと倒れる局員。
襲ってくる局員がいなくなった時に郵便局を見ると、中はもぬけの殻だった。
騒ぎに乗じて犯人は奪い取った金を持ち逃げ去ってしまったのだろう。

局員を保護し、エリカと共に後日事情聴取をするとみな口をそろえ「覚えていない」の一点張り。
何時間も粘り聞き出した結果、精神を操られた可能性が高いということだった。
「真っ黒なモヤが胸のあたりからこみ上げてきて頭の中を占領する」
全ての人間が共通して証言した。
能力には精神を操るものも含まれる。
それが判明しただけでも一歩前進だった。
この事件は「226事件」としてPECT内では重要な案件の1つとされている。
栞菜は結局この時受けた傷がもとで辞職し、エリカは精神操作中の不幸な過失事故として3ヶ月の停職になった。
私自身へのお咎めは全く無かったが、PECTのチームリーダーは外された。
というか、3人だけのお飾りチームではなくPECTとして本格始動するに当たり増員し4つの班に細分化したのだ。
私はその1班のリーダーをしている。


809名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 21:05:39.41 0

立ち上げ当初は何も分からず、任務として与えられたから能力者を追っていた。
だけど今は違う。
私は心の底から能力者が憎い。
栞菜を辞職に追い込み、エリカを眠らせた能力者達が憎い。




世界を混沌へと陥れる?
やってみろよ。その前に必ず私が---私たちがお前達を捕まえて、殺してやる。
810名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 21:07:12.32 0
>>804-809
ttp://www35.atwiki.jp/marcher/pages/186.html
リゾナンター外伝 能力者を憎む女刑事 に触発されて書きました。
なので、作者様がよければ 能力者を憎む女刑事Uとさせてください。
舞美のイメージは「らん」の殺陣時の表情ですw

---------------------------------------------------------ここまで代理投稿
811名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 21:30:20.60 0
ベリキューはあんまり分からんが乙
代理も乙
812名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 22:47:00.14 0
あとでよむなんと
813名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 22:57:46.55 0
2012.08.07
質問
もしも、もう一人の自分がいたらどうしますか?
答え
工藤 遥  ていこう…(汗)
6 名無し募集中。。。 2012/08/07(火) 12:12:03.53 0
「ていこう…(汗)」ってなんや
ハルちゃんまだ何かに抵抗するつもりなんか
17 名無し募集中。。。 2012/08/07(火) 12:16:03.88 0
ある日クローンが「私にそっくりなクローンがいるからみんな注意して」と皆に話す
焦って皆の前に出て誤解を解こうとするも皆信じようとしない。クローンによる自分乗っ取りが完成する

工藤はこの事態に抵抗しようとしているのだと思う
40 名無し募集中。。。 2012/08/07(火) 12:21:34.39 0
工藤A「ハルは一人でいいんだよ!」
工藤B「お前が消えろ!」

佐藤A「じゃあ負けた方をまーちゃんがもらうー」
佐藤B「えっ、じゃあまーちゃんももらう!」
90 名無し募集中。。。 2012/08/07(火) 12:45:37.20 0
もう一人の自分と死闘する工藤
814名無し募集中。。。:2012/08/07(火) 23:26:57.61 0
>>810
まさかこの作品をリゾナントしていただくことになるとは・・・

スピンオフとしてシリーズ化しようと思い、断念していたのですができることなら続きを
見てみたいです。
815名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 00:20:47.97 0
ねるなんと
816名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 00:29:45.60 0
ぶるー
817名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 01:37:42.62 0
>>801
凄いのキテルー この本編の外伝の続きも待ってたりします。

>>813
王道だけどトッペルゲンガーみたいな感じなのかなwktk
818名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 04:50:28.52 0
>>810
およ、この話続き読みたいわ
819名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 06:50:07.17 0
おぱよん
820名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 08:15:04.81 0
>>817
つい最近フォーゼでそんな展開見たぞ
821名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 08:22:36.74 0
>>820
展開といい結末といいまさに王道だったねw
822名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 09:04:07.37 0
次回予告
       愛の夢世界は 1度侵入した私の精神体に免疫が出来ている 夢に拒絶され 私は入れない
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro17097.jpg
             「夢の中での死は・・・精神の死よ 私の中で永遠に彷徨いたかったの?」
           あの言葉が女の頭を過る『…あんた達うまくやりなさいよ 必ず 帰ってくるんだ』
 リゾナンターの夢へのダイブは 病院の中から始まった 泣く赤ん坊 その中で 玩具の指輪をはめた2人の赤子に
里沙は何故か懐かしく思うのだった… 夢の世界は迷宮 その上 水中を進む様な手応えだ 上手く歩く事すら出来ない
 『あんた達は慣れてないから 動きずらいでしょう水の中の様に 流れる川をイメージしなさい そして魚が泳ぐ姿を』
               女の助言によって いくつかの困難を乗り越えていくメンバー達
          次にたどり着いたのは青鈍色に輝く占いの館 聖達はここに見覚えがあるという
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen5681.jpg  ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen5680.jpg
         「と言う事は…高橋さんはここを知っていたと言うの?」「やはり高橋さんも…ここで」
       そこで鍵を手に入れるメンバー 鍵?宝箱の鍵?この鍵は…そして古いラジオカセットから
        再生された声が響く 懐かしい声のバックに聞き慣れた物音 これはコーヒーを入れる音
ttp://aewen.com/momusu/niigaki/img/aewen9801.jpg
    「…宝の眠る箱… そうだ!この鍵はリゾナントの扉の鍵だ 愛ちゃんはリゾナントにいる!いくよ皆!」
               途端に前の道が崖の様に裂けると下へ下へと沈み込んでいく
 『マズイ 愛の精神が沈み始めた 拒絶の波も来るぞ!あんた達も奥だっ深層へと降りて逃れろ もう時間がないぞ』
          更に深い層へとダイブするが 今度は今まで倒した数々の敵幻影が襲い掛かる
     里沙は敵の相手をするメンバー達に鍵を託され 1人喫茶リゾナントへと辿り着くのだった 鍵を回し
          眠る幼い姿の愛を抱き抱えると メンバーと合流 生田のアリアドネの糸の如く
          伸ばしていたツタを辿り 徐々に狭まり始めた迷宮世界から脱出を開始した!
      『早くッッ 急げリゾナンター!その光に飛び込め』しかし 光は既に小さく通る事が出来ない
 -女の脳裏に またあの言葉が黄泉がえる だ か ら 女は愛に叫んだ この娘らを 愛を 救いたかったから-
      『夢の中での死は・・・精神の死だ! 愛(お前)の中で永遠に彷徨わせたかったのかッ!?』


次回かなしみ戦隊リゾナンターV(この仲間の無事を本気で願ってるんだよッ!後編)「宝の箱」

ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen5689.jpg
            光が収縮を停止する 今 鞘師の刃が 光の差す壁を 切り開いていく
823名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 10:59:21.81 0
元の話はSSの「夢の中」でしたよね確か
さらにその元ネタは悪魔城ドラキュラですっけ?w
今回のは画像がまたすごくいい感じですね
9期メンバーと愛ちゃんとの関係性がグッときます
824名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 13:32:37.79 0
dat落ちはスレの死よ
825名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 13:44:51.21 0
泣けるぜ…。
次回予告ですらこの破壊力か。
826名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 13:58:33.49 0
>822
「夢の中での死は精神の死だ」というかつて自分に投げかけられた言葉を叫ぶイシグロさんが熱いぜ
827名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 15:30:54.29 0
いろんな伏線がつながっていくのを目の当たりにするのは気持ちのいいものだ
828名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 17:58:51.77 0
夕暮れリゾナント
829名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:41:19.64 0

・夕方の保全を兼ねて読み切りを一つ上げさせてください
・66話324『―Coolish heated aqua―』http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/566.htmlと(一応)対になっています
・↑同様にあまり気持ちのいい話ではないですので予めご了解の上お読みください
830名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:42:05.44 0

ようやく日は陰りつつあるものの、「熱の島」となったコンクリートジャングルは、昼下がりとさほど変わらない熱気を湛えている。

纏わりついてくるようなその空気の中に混じった「雑音」に、鈴木香音は小さなため息を吐いた。
ただでさえ熱気と湿度で不快極まりない思いをしているというのに、それ以上に不快な思いをしなければならないらしい。

 ――まだあきらめてなかったんだ

つい、そんな言い訳めいた独り言を心の中で呟く。
煩わしさを理由にひと気のない裏路地を選んで歩いていた自分が悪いことは、誰に指摘されるまでもなく分かっている。
だが、いつだったか鞘師里保に対して一人歩きをやめるよう偉そうに意見した手前、せめてそれくらいはしておかないとばつが悪い。

「何か用ですか?」

立ち止まり、そう言いながら後ろを振り返る。
その視線の先には誰の姿もない。
だが、香音の耳には、そこに立つ人間の気配がはっきりと“聞こえ”ていた。

「…想像以上にすごいんだね、あんたの“超聴力(ハイパー・ヒアリング)”」

中空から聞こえてきたその返答が終えられる頃には、香音の目に2人の姿が映っていた。

涼しげな色合いのノースリーブとショートパンツに身を包み、大胆にその小麦色の肌を露出させた若い女が1人。
同じく涼しげながら、体のラインを隠すようなゆったりとしたワンピースを纏った、対照的に真っ白な肌の若い女が1人。
この街のどこにでもいそうな2人組だった。

「美晴(みはる)ご自慢の“不可視化能力(インビジブライズ)”も形無しみたいだね、この子相手じゃ」
「私は別に自慢なんてしてないけど。亜由菜(あゆな)と一緒にしないでくれる?」

姿を現した2人は、香音そっちのけで緊張感のないやりとりを繰り広げている。
だがその実、それが張りつめた緊張の糸の上で為されている会話であることは、香音にとっては明白だった。
831名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:43:05.78 0

「さて、えっと…鈴木香音ちゃんだったよね?」
「だったらなんですか?」

小麦色の方がそろりと入れてきた探りを、不機嫌な声で切って落とす。
さすがに無愛想すぎたかもしれないが、分かり切っていながらわざわざ尋ねられるというのはあまり愉快ではない。

「そんな尖んないでよ。別に敵対したいわけじゃなくて、どっちかというとその逆なんだから」

やや鼻白んだ様子の小麦色の女に代わり、白い女がそう笑みを向けてくる。
作ったような色はなく、ごく自然な笑顔だった。

「私たちと一緒に来ない?香音ちゃん。ううん、来てほしい。…だよね?亜由菜」

白い女はそう言いながら、執り成すように小麦色の女の肩を叩く。
照れたような笑いを返した後、小麦色の女も香音に笑顔を向ける。

「ま、急にそんなこと言われても困るだろうけどさ、でも絶対に悪い話じゃない。“仲間”もたくさんいるし」

“仲間”の部分にやや強めのアクセントを置いた意図は明白だった。

「要するにわたしの“耳”が欲しいってことですか?盗聴とかするのに便利ですもんね」

皮肉な言葉ながらも、皮肉な口調にはならないように、できる限り淡々と返す。
ただ、若干ため息交じりになってしまうのは避けられない。

「…それは否定しないし、否定できない。あなたの能力を得ることで、私たちの可能性がすごく広がるのは確かだから」

それまでと一転、真面目な顔になった白い女がそう頷く。
声や言葉にも、それに伴って真摯な色が滲んだ。
832名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:43:46.76 0

「でももちろんそれだけじゃない。鈴木香音という一人の人間そのものを、あたしたちは必要としてる」

白い女の言葉を継いだ小麦色の女の表情も、ひたむきなものになっていた。
切実に自分のことを必要としているんだろうなと、そう思わせる姿だった。


「…わたしの能力について言っておきたいことがあります」

一つ小さく息を吐いた後、香音はそう言って2人を交互に見遣った。
その言葉を色よい返事と見ていいのかどうか、判断しかねているらしいのが伝わってくるが、構わず言葉を続ける。

「さっき『想像以上にすごい』って言ってもらいましたけど、もしかしてさらにそれ以上かもしれません」
「そうなんだ。どれくらいのすごさ?」

いまだ香音の意思を判断しあぐねているのが、明確に“聞こえて”くる。

「例えばちょっとくらい離れてても、心臓がどんな風に脈打っているか、“聞こえ”るくらいには」
「なっ!?心臓の音……!?」
「そこまで……!?」

まさに「さらに想像以上」であったらしく、2人の顔に驚きの表情が浮かんだ。
だが、それ以上の想像を働かせるところまではまだ至っていないらしい。
香音の“耳”に届く心音が、それを物語っている。

「心臓の“音”って、正直なんです。どんなに…嘘や演技が上手な人の心臓でも」

その言葉で、2人はようやく香音の言わんとしていることを悟ったらしかった。
「あなたたちの『嘘』や『演技』は、心臓の音を通じて最初から筒抜けです」と、そう言われているのだということを。


「目的は、わたしじゃなくって里保ちゃんですよね?」
833名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:44:33.36 0

間を置かずに発したその不意の問いかけに、2人から明確な「答え」が返ってくる。

すなわち――
今回の香音への接触が、鞘師里保を手中にしたい人物の意を受けてのものであることを認める“音”が。

何度かの苦汁を経て、直接里保本人を攻略するのではなく、周囲の人間を利用するやり方に変えたということなのだろう。
これまでその方法に手を出さなかったのはせめてもの仁義だったのかもしれないが、なりふり構っていられなくなったらしい。
里保に何度か手ひどく拒絶された後、ここのところしばらくは接触もなかったのだが―――

「まだあきらめてなかったんだ」

無言ながら“雄弁”な2人に向けて、先ほど心の中で呟いた言葉を今度ははっきりと声にする。

 ――これで少しは格好がついたかな

そう思いながらも、正直なところどこか負けたような気がするのは否めない。
元より、自分は里保との交渉の材料でしかないということなのだから、格好がつくとかつかない以前の問題かもしれない。


「…甘く見てたな。大したもんだ」
「ほんとね。ここまでとは思ってなかった」

しばらくの沈黙の後、2人がため息交じりの言葉を発した。

「せっかくの熱演が無意味だったのはショックだな。でも演技しなくても、あんたにかける言葉自体はそう変わんないよ。なあ、美晴」
「そうね。…改めてお願いする。私たちと一緒に来てもらえないかな?今回の目的は確かに里保ちゃんだったけど、あなたのことも本気で欲しくなった」

表情と口調、そして心音が初めて不協ではない和音を奏でる。
ただ、それは本音と建前が一致しているというただそれだけのことであって、香音にとって不快な“音色”であることに変わりはない。

「わたしの返事も、そっちが嘘を吐いててもほんとのことを言ってても変わんないです。断ります」
834名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:45:11.24 0

そっけない言葉を返すと同時に、空気が張り詰める音を香音は“聞い”た。

「『来てくれない』なら『連れて行く』しかないな。腕ずくでも」
「仕方ないね。来てもらうのは決定事項だから」

瞬時に「戦闘態勢」に切り替わった心音をバックに、小麦色の女の手元で微かなノイズが走った。
ノイズと同時に歪んだ空間に手が差し込まれ、素早く引き出される。
その手には、いつの間にか一丁の拳銃が握られていた。

「“転送(トランスポート)”――あたしの能力。ちなみにこいつはベレッタM87って名前。あたしの心臓に訊いてくれてもいいけどホンモノだからそのつもりで」

空間の歪みを経由して手元に運んだらしいその小型自動拳銃を片手に、小麦色の女が薄笑みを浮かべる。
先ほど、白い女が小麦色の女に対して、能力を自慢しているといったようなことを言っていたが、むしろ自慢したいのは拳銃のようだ。
本物かどうかは心音を確かめるまでもなかった。

「さて、じゃあこの状況でもう一回返事を聞かせてくれる?」

香音に向けてピタリと照準を合わせながら、小麦色の女が勝ち誇ったように笑う。
それなりの訓練を受けているのか極度の銃器マニア故なのか、構えは堂に入っている。

「こんな街中で撃つはずがないなんて思わないでね。逃げるのなんて簡単だし」

言いながら、白い女は自分の半身を再度透明にして見せた。

「なるほど……色々考えてあるんだ」

少し感心したような独り言を呟いた後、香音はそれまで無愛想だった顔に、初めて笑みを浮かべる。

「断ります」

そして――にこやかな表情のままそう言い切った。
835名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:46:26.54 0

「そっか……そういうことなら仕方ないな。怪我はさせたくなかったんだけど」

言葉とは裏腹に、小麦色の女の表情は生き生きとしている。
銃を手にしてからこっち、撃ちたくてうずうずしていたのだろう。

「できれば殺さないようにしてよ、亜由菜」
「なるべくそうする」

興奮を隠しきれないといった表情を浮かべながら、小麦色の女は引き金にかけた人差し指に力を入れていく。
高ぶっているらしい気持ちとは反対に、香音に合わせられた照準は微動もしない。
そこは素直に感心した。

「これがラストチャンスだけど、どう?気が変わった?」

今さら変わったんて言わないでよと言わんばかりの表情で、小麦色の女が再度問いかける。
相手の希望通りの答えを返すのは癪だったが、やむをえない。

「変わるわけないです」
「そうか」

 キンッ―――

「!?」

次の瞬間、響いたのは騒々しい破裂音ではなく、甲高くもささやかな金属音だった。

「折れ…た…?」

呆然とする小麦色の女の足元に、小さな欠片が転がっている。
自慢のベレッタM87の引き金部分だった。
836名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:47:22.48 0

「ちょっと、亜由菜。手入れ不足なんじゃない?」

苦笑いをしながら、白い女が小麦色の女の肩を小突く。

「そんなはずないって!この間も―――」
「ま、それは後。仕切り直してよ」

不服そうだった小麦色の女だが、渋々といったように反論を飲み込む。
再びノイズが走り、その手元の空間が歪む。
一瞬の後、手の中には先ほどとはまた形状の違う、今度は銀色に鈍く光る拳銃が握られていた。

「悪いけど、もう一回は訊かない。いい加減時間も押してるし」

ほぼ同時に、引き金に力が加わる。

 ギンッ―――

「なっ――!?」

先ほどと同じように折れたトリガーに目を見開いた後、小麦色の女は思わずといったように香音へと視線を移した。
白い女も、今度は小麦色の女に苦言を呈することはせず、同じく香音に目をやる。

「わたしの能力についての話、さっきはまだ途中だったんですけど、続きを話してもいいですか?」

自分に向いた2つの視線に対してそう言うと、返事を待たずに言葉を継ぐ。

「わたしの能力のこと“超聴力(ハイパー・ヒアリング)”って言ってましたけど、それって違います。別に耳がいいわけじゃないんで」
「違う…?だけどあんたは実際……」
「そうですね、100m先のひそひそ話も聞こえますし、心臓の音の微妙な変化も分かります。でもそれは“優れた聴力”によるものじゃないんです」

今日一番の笑顔を浮かべ、香音は虚空に手をかざす。
837名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:48:15.13 0

「“音”です」

何もない空間を撫でるようにしながら、香音は歌うように一言そう言った。

「音……?」
「そう、わたしは“音”を愛し……“音”に愛されてるんです」

その言葉に小麦色の女が首を傾げかけた直後、鋭い破裂音が響いた。
それを追いかけるようにして、絶叫が重なる。

「亜由菜っ!?なに!?どうしたの!?」

白い女が、絶叫しながら片手を押さえてうずくまった小麦色の女の肩を抱く。
そしてすぐに何が起こったかを知ったらしく、元々白い顔がさらに蒼白になる。
暴発し、飛び散ったS&Wのレディースミスは、小麦色の女の手に深刻なダメージを与えていた。

「“共振破壊(リゾナンス・フラクチャー)”ってやつです。壊すだけのつもりだったんですけど、すみません」
「くそぉぉっっ!!」

血走った眼を香音に向け、小麦色の女は血まみれになったもう片方の手を中空にかざす。
ノイズ――歪み――出現する新たな拳銃。

「!!」

だが、利き腕ではない方の手でそれでも素早く構えたシグザウエルP220は、次の瞬間バラバラに分解して散らばった。

「人には……今まで向けたことないんです。でも、どうなるかは大体わかります」
「ひ……」

ただの部品の群れになった自慢のコレクションを、愕然とした表情で見ていた小麦色の女の顔がその一言に青ざめる。
戦意は完全に喪失したらしかった。
838名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:49:03.40 0

「わ、分かった。あきらめる。あなたにも里保ちゃんにも二度と近づかない。約束するから……」

同じく逃げ腰になっている白い女が、必死の表情を香音に向ける。
つい今しがた殺されかけたばかりの相手とはいえ、命まで奪うのは少し気の毒に思えた。

「かっ―――――」
「ッ!?美晴!?どうした!?おい!美晴!」
「すみませんけど殺しました」

突然倒れ伏した白い女にすがるようにしていた小麦色の女が、香音の方を激しく振り返る。
その顔には、表現のし難い感情が渦巻いていた。

「里保ちゃんが言ってました。自分の能力を詳しく知られるのは危険だって」
「てめえ!よくも……よくも美晴をっ!!」
「だから……すみません」
「あああぁぁぁっっ!!!」

香音の言葉の終わり際、咆哮とノイズが重なる。
様々な感情が乗ったその旋律のハーモニーは、なかなか綺麗だと香音は思った。

   *     *     *

 ――人に向けるとこういう風になるんだな……

心臓に、そして脳にそれぞれダメージを与えてみたが、思った以上にあっけないというのが率直な印象だった。
そして、できることならこの先二度と聞きたくない“音色”だとも。

「すみません。でもわたしが危険になるってことは、里保ちゃんも危険に巻き込むってことだって今日わかったから……。それは絶対避けないと」

申し訳なさそうな表情を浮かべながらそう言うと、香音は再び何事もなかったかのように歩き出す。
黄昏迫るコンクリートジャングルを歩く香音の体を、思い出したように熱気が包んだ。
839名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 18:51:07.67 0
>>829-838

『―Silent noisy timbre―』

キャッチフレーズは「Kanon Suzuki ― Killing Sound(殺戮の“音色”)」です(そしてスルーでいいです)


能力の拡大解釈は前回同様ご容赦のほど…
あと、科学的な真面目ツッコミはしないでください
香音ちゃんの喋りがイマイチらしくないことへの批判は甘んじて

*以下超余談
前回の締めレスの折、敵を冗談でくどぅーとまぁちゃんに見立てたらちょっと受けたので
調子に乗って今回の敵は「はるな」と「あゆみ」のアナグラムにしてみました
もちろん名前だけのお遊びであって完全なる別人です
小麦色の人も白い人も巨乳です
840名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 20:30:59.31 0
落ちるまで後少し
841名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 21:10:33.23 0
>>839
>香音ちゃんの喋りがイマイチらしくないことへの批判は甘んじて

余裕で脳内再生できましたけどw
むしろ一歩ひいてるときの香音っぽいと思う

>小麦色の人も白い人も巨乳です
ばいいいいいいいいいいいいいいいいん!
842名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 22:38:11.91 O
此所で落とすかっ!
843名無し募集中。。。:2012/08/08(水) 22:48:14.88 0
>>839
あれ、小麦色の人って巨乳だったっけブフォアア(吐血
じ、自分的には音響兵器みたいな感じで読んでました、乙で、す…(倒
844名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 00:09:14.65 0
眠い
845名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 00:27:08.51 0
夢の中へ
夢の中へ
846名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 00:39:29.30 0
行ってみたいと思いませんか
847名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 00:55:18.06 0
ふふっふー
848名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 02:10:56.86 O
さぁ悪夢の中へ
849名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 05:29:24.85 0
ナイトメアー!
850名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 07:07:19.65 O
夢から醒めたかい?
851名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 08:05:35.80 0
次回予告
            愛を深層から救出に成功したメンバー そして自分を取り戻した愛
   愛はメンバーが通った夢の道筋を遠くから見ていた そして魔女が全てに関わりがあると確信する
  あの魔女から真相を聞き出し決着を付ける 次は私達から仕掛ける 私が狙いならば乗ってくるはずだ
    リゾナンターは倒した敵能力者達に 決戦の場所を魔女へと伝えさせる為 わざと逃がすのだった

 -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -

ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro6215.jpg
       「決着を付ける?人間が少し調子に乗りすぎた様だな にしてもお前達全員で行って
         どうして逃げ帰ってくるのだ?けして劣らぬ能力を与えたはずだよな…ああ?
       それに何だ?何でお前達が 私を攻撃する?」『ど どうもこうも 体が勝手に動いて…
      あいつ等あなたの予想を超えて……あれ…何かこの季節にしては 寒すぎない…か?』
「そうか 奴らの中にマインドコントロール出来るのがいたか…ふん仕返しというワケかよ」『ど どうすれば…』
   「あ?ねー ミティ固めちゃおっかな〜?欠陥品は固めちゃっていいよねぇ〜」『ミッティさ…ま……』
「高橋 お前を消す事が私の目的だと考えているな だが真の目的はお前ではないのだよ……なあマキよ!」
『はい… 計画に必要な数 質量の確保ほぼ完了します …もうスグです… 終わらせましょう 全てにおいても』
      「ただ終わらせるのではない 新たに始めるのだ 近々 愛との戦いも良い時間を稼ぐだろう
      さあ 兄さんには出来なかった計画…私が代わりに成し遂げようぞ 終わりの始まりは近い」


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「寒いから冬だもん!〜どうもこうもないっすよ ミティ〜」

ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro6215.jpg
       「くくッ ふふふ…出来れば あの傑作もこうして いつまでも眺めておきたいものだなぁ」
      魔女の傍らには 良く出来た冷たい人形が転がっていた 時が止まってしまったかの様に
852名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 11:02:32.92 O
クライマックスなのかまだまだ波乱が続くのか…
853名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 12:57:25.27 O
おっと
854名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 14:23:43.25 0
            〃ノ_ハ_ヽ
            ノd|*・e・)| <続きが待ち遠しいのだ
            (_」=L ̄)
        ―‐日~-.、γ ̄)
     (´        )※※ミ
      [i=======i]
855名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 16:35:29.72 O
色々待ち遠しい
856名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 17:25:08.19 0
ご無沙汰です。
『-Qualia-』の作者です。http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/577.html
ストックが溜まってきたので近いうちにまた投下させて頂きます。
誰も待ってないであろうお話ではありますが、よければお付き合いください(平伏
857名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 17:26:56.24 0
また賑やかになるね
858名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 19:25:19.85 0
おっとっと
859名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 20:11:52.33 0
忙しかったり新たに書きたい話が出来たりで途中のままの話が自分も…
860名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 21:05:27.17 O
気長に待つさ
861名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 22:32:44.66 0
ひっそりhttp://www35.atwiki.jp/marcher/pages/652.htmlつづき


-------

「反省してる?」
「ハイ、シテマス」
「ウソでしょ。すーぐバレるようなウソつくんだかられーなは」

絵里が倒れて1時間後、彼女は意識を回復させた。
れいなは自身の責任を感じて絵里を介抱している。結果、こうしてベッドの上に寝る絵里に叱られているわけだが。
いっしょに絵里を運んださゆみは、空気を読んでか愛佳と別室で話をしていた。

「……暴発、したと?」
「ああ、さっきの?たぶんね。気付いたら詠唱破棄で風が起こってたし…」

先ほどふたりを止めた“風の空間”は、絵里の能力の暴発だった。
絵里は意図せずに風を巻き起こし、ふたりを弾き飛ばしたようだった。どうりでれいなが受身を取れないはずだった。
どちらにせよ、絵里の能力が暴発したことで、絵里の肉体に大きな影響を与え、絵里はこうして倒れたのだった。
れいなは素直に自分の失態を反省した。
862名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 22:33:43.65 0
「ごめん……絵里」
「愛ちゃんに、でしょ?れーなだって、ホントは分かってるんでしょ?」

絵里の言葉にれいなは首を垂れる以外になかった。
愛の言う、現場放棄は事実だった。ジュンジュンが倒れていたにもかかわらず、れいなは怒りに身を任せ、男を追い駆けた。
再び愛が現場にやってくるまで、れいなは男と闘いを続けていたのだ。
それでいて、よく仲間がどうとか言えたものだと自分でも分かっていた。ただ、それでも納得は出来なかった。
あんなにすんなりと“上”の決定を受け入れることが、れいなにはできない。

「でも、嬉しかったよ」
「え?」
「絵里も正直、納得してなかったから」

そうして絵里はいたずらっ子のように笑う。
絵里自身もまた、今回の決定には納得していなかった。だが、彼女は協調を重んじるためか、決して歯向かったりはしない。
だからこそ、大人のやることに口出すれいなが、羨ましかった。
れいなは急に褒められてもどうして良いか分からなくなり、手持無沙汰になったまま、椅子に腰かけた。
無意味に脚をブラブラとさせると絵里はクスッと笑った。
れいなはその姿を見て、いつか彼女に聞かれた質問のことを蒸し返す気になった。

「この前言ってた話なんやけど」
「……ごめん、なんだっけ?」
「闘いたくないのが絵里の夢ってやつ」
863名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 22:35:21.43 0
それを言うと、絵里は自分の記憶を掘り起こし、「あぁ」と呟いた。
どうやら記憶力の悪い彼女でもその話は覚えていたらしく、れいなはホッとする。

「れなだって、闘いたくないっちゃよ」

れいなは重苦しく言葉を吐いた。
絵里はいつだったか、自分の夢は、この心臓が治ることよりも、闘いの日々が終わることだとれいなに告げた。
生まれつき心臓が弱く、だれよりも「死」に近い場所にいる絵里の口からそんな言葉が聞けるなど、れいなには意外だった。
しかしそれよりも、絵里が言った「れーなは、闘うの、好き?」という言葉の方が、突き刺さった。

「でも、闘わないかん現実があるやん。実際、小春も愛佳もジュンジュンもリンリンも、ダークネスに襲われて重症っちゃ。
れなたちがアイツらを斃さんと、こっちがヤられてしまうやん」

闘うことが喜びだとは思わない。
だけど、そうすることでしか道は拓けない。
究極とも言える二者択一を、どう選べというのだろう。

「れなは絵里みたいに、大人じゃないっちゃ」
「え?」
「闘わんで済む方法とか、れなには分からん」

れいなはばつが悪そうに目を逸らした。
864名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 22:36:02.05 0
きっと絵里は、れいなより大人なんだろうとれいなは思う。
先日、それこそジュンジュンと最後に会話した日のことが思い起こされる。あの日もれいなは、ジュンジュンは大人なんだなと感じた。
というよりも結局の、自分がだれよりも子どもなんだなと痛感する。
絵里の言うことが理想論だということも分かっている。けれど、その理想を叶える方法を考えるのが大人じゃないのかと思う。

「でも、絵里はれーなみたいになりたいよ」

絵里の言葉にれいなは眉を顰めて向き直った。
彼女はクスッと笑い、少しだけ撥ねている前髪を弄りながらそう話した。

「情に厚くて子どもっぽくて、だからこそ直進するれーなみたいに、なりたい」
「……バカにしとる?」
「してないよぉ。だから今日も愛ちゃんに言ってくれて少し嬉しかったんだって」

絵里の言葉をやはり素直に受け取ることはできず、れいなは頭を下げた。
結局は、互いにないものねだりなのだろうかと思いながら脚をぶらつかせた。
865名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 22:36:44.44 0
-------

「あなたがキレちゃだめでしょ」
「反省してます……」

河原の傾斜にしゃがみ込み、愛は里沙の説教を受けていた。
無意識のうちに彼女は、里沙を連れて此処まで飛んできていたらしい。
人気のない場所ではあるが、川に光がキラキラと反射し、夕陽の沈む瞬間が見れるこの場所が愛は好きだった。

「田中っちも言いすぎではあるけどさ」
「れいならしいやろ、あの言い方も」
「まあそうだけどね」

ふたりはそうして静かに流れる川を見つめていた。光が反射して目を細める。
そうしていると、ずっと前から気になっていたことが、徐々に明確な形を成して頭の中で構築されていく。

「……1ヶ月で3人の異動はさすがにおかしいと思う」

愛がぽつんとそう呟くと、里沙はなにも言わずに頷いた。
ふたりとも“上”の行ってきた1ヶ月の人事異動には疑問を抱かざるを得なかった。
確かに小春は大怪我を負って入院したが、意識はちゃんと回復した。ちゃんと療養すれば、現場復帰だって可能だったはずだ。
しかし、それを待たずして“上”は、小春を異動させた。
そして今回、瀕死の重傷を負ったジュンジュン、そして神官であるリンリンの異動を決めた。
怪我の具合で言うならばリンリンは数日休めば闘える状態にある。にもかかわらず、彼らは有無を言わさず異動させることにした。
866名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 22:37:30.55 0
「異動先も言わない、そして理由も明確じゃない。田中っちがキレるのもムリないって」

上層部の考えが全く読めない。
いままでだって、なにか分かっていたわけではないが、今回の件に関しては特に、である。
新たに出現した強大な敵の正体も、未だ不明である。いったいなにが起きているのか、だれにも分からない。

「9人のリゾナンターが活動しはじめてどれくらい経つっけ?」
「……もうすぐ4年じゃないかな。なんか長いのか短いのか分かんないけどさ」

里沙の答えに愛は静かに頷きながら考える。
川は静かに流れつづける。それはまるで、時の流れと同じように。留まることはなく、ひとつの海に向かって流れる。
変わらないものはない。人も、時代も、いつかは終わりを告げる―――

そう思った瞬間、愛の頭の中でひとつの仮説が弾けた。
まさか?と思うがそれを否定できるほどの材料はいまはない。
確信はない。だが、いちど頭の中に浮かんだ仮説は徐々に膨らんでいき、遂には全体を占めていく。

「あのさ…ガキさん」

口に出すことが危険だとは分かっていた。
そうすることで、余計に確信を深めてしまうことに繋がる気もする。
いったいなぜ、それでも愛は口にしたのだろう。

「世代交代って、あるんかな?」

考えたくもなかった、リゾナンターをバラバラにしてしまうというその結末を―――
867名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 22:40:02.80 0
>>861-866 とりあえず此処まで
ストックが足りないのでペース落ちて申し訳ないです
つづきも早いうちに頑張ります
868名無し募集中。。。:2012/08/09(木) 23:29:07.62 0
そう来るか…。
時代が変わると自然とこういう流れになるよね。
でも続きが気になるのはいつでも同じ。
869名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 00:39:36.96 O
あとで読む!
870名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 02:12:58.78 O
れなえりのやり取りも複雑だが愛ちゃんがそろそろ真理をつくのかな…
気になる
871名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 03:23:02.75 0
>人も、時代も、いつかは終わりを告げる―――

リゾナントの9人はまさに時代の寵児というか牽引者だと思う
だからこそ変わってほしくない半面、変わるものを受け入れるのも運命かと複雑な気持ち
とにかく続きを待つ
872名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 05:26:16.06 0
おぱよん
873名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 07:31:40.07 0
次回予告
          散発するテロ…だが外出禁止例を破ってまでも胸の高鳴る方へと向かうオヤジ達がいた
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10193.jpg
    『ナマタ君 チミは何だ その…生やす事が出来るらしいねぇ〜 偉いねぇ〜 こうフサっとかね!どうかね!?』
             「ハイッ!ザワッと出来ますよー」『え!?ザワッとかね!それは 素晴らしいっ』
            『さあ やってくれたまえ君!』生田に突付けられた頭頂部「え?ここにですか……」
         《新しいメンバーの能力を聞きつけたオヤジ達が 期待を胸に集結した 大いなる勘違いをして》
           「あのぅ 危険だと思います おすすめ出来ません」『何?危険 フフっ…ナマタ君 大丈夫さ
           ワシらは既に リゾナントへ来るまでの道のりでサバイバルを乗り越えて来ているのだ!』
                  - だが オヤジ達の本当のサバイバルは ここからだったのだ -
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        「あの〜イクタなんですけどぉ^^;」『ナマタでもナマポでもどっちでもいいんだよーーッッ!!!』
     「ヒィッ!」『…ハっ!?…すまぬ とにかく 宜しく頼む』我先にとライバルを押し退け 頭を生田へと差し出す
     暫く悩んだ末 生田は空気を読んだ 「(そうだ この人達は芸人さんなんだ! だから 頭に生やすなんていう
     体を張った笑いを…)よーし 衣梨奈も頑張るポンッ!!」生田は全員の患部にパラパラと種を蒔き始める
       『ん?(これは 新しい育毛剤かな?土台から育てようとしているのか…本当にすばらしい娘だなぁ)』
          「えいッ!根が奥に入るけん 少し痛みますね〜」『痛ッ!?こんな痛みむしろご褒美サ!
    (根を奥に?毛根を奥に入れるという事ですね分かります オジサンそういう思い切ったプレイ 嫌いではないゾ)』

     数時間後 頭頂部にカイワレとモヤシを生やした男達が 泣きながら喫茶リゾナントから飛び出す姿が見えた
                   痛みと引き換えにオヤジ達が得た物は かなしみであった
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                      「それじゃあ 皆さん営業頑張ってポンッ!!!」


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「ライバルサバイバル」

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「わっ聖ちゃん聖ちゃんほら見て!頭にもやしが生え…」「シっ!花音ちゃん指差したらだめだょ……チラッ…アラヤダ す ご ぃ」
                     - 今宵はかなしみモヤシ酒 人ともやしの狭間道 -
                 今夜 少女からのテロ行為で得た頭のモヤシをつまんで酒を飲む
                     あぁ 人生でこんなに塩っぱい酒が あっただろうか
874名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 08:21:48.51 0
あの話からこれかよw 生田ァ・・・!!w いいキャラだよねw
875名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 08:31:23.73 0
オヤジたちどうしようもないなw
876名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 10:09:49.96 0
ひそかにスマが紛れ込んでるw
877名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 11:07:04.05 0
モヤシは炒めた方が美味しい派ノ
878名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 12:23:54.35 0
生やしたのが桜の木とかじゃなくてよかった
879名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 14:24:07.30 0
ふっ
880名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 14:24:42.84 0
頭山w
桜じゃまたすぐに散ってしまうもんねw
881名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:01:43.52 0
散ってもまた咲くから花見は出来る
882名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:29:17.19 0
『ハロー!SATOYAMAライフ』

〈One 私の気持ち〉

1−1

愛佳は身体の自由を奪われていた。
全身に木の蔓が何重にも絡みついている。
目の前の少女は植物を意のままに操ることができるらしい。
少女は近くの大木を鞭のようにしならせ、愛佳へ振り下ろそうとする。
その時、二人の間の空気が歪んだ。
驚いた少女は動きを止める。
歪みはみるみる大きくなり、その中から二人の女の子が手を繋いで現れた。
「みつみつみつみつみついさーーーん!」「光井さん!」
「佐藤!……鈴木!?」
愛佳は一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐに困惑の色を浮かべた。
「佐藤!田中さんを連れて来てってゆうたやんか!」
「すみませーん、まーちゃんだれだったかわすれちゃって〜、
あのときおみせにすずきさんとくどぅーしかいなくて〜
そしたらくどぅーがすずきさんでいいんじゃないってゆって〜、
まーちゃんはだめかなあっておもったんですけど〜、くどぅーがそうゆうから〜」
「人のせいにすんな!」
「がびんぼよーん」
883名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:30:05.71 0
1−2

その数か月前、愛佳はリゾナンターを去っていた。
理由は自らの病気だった。
全身の骨が脆くなる難病で、有効な治療法はない。
さいわい日常生活には支障はなかったが、戦闘に参加するのは無理だ。
みんなに迷惑をかけたくないと、愛佳は自ら離脱した。
そして、敵から身を隠すため、遠く離れた田舎に移り住んだ。
愛佳はそこで、大学の通信教育を受けながら、簡単な農業を営む生活を始めた。
もちろん何か予知できたことがあれば、リゾナンターに伝えていた。

ある日の夕方、畑に小松菜の種をまき終わったとき、何者かに襲われる映像が見えた。
愛佳は急いで佐藤に電話をした。
佐藤には瞬間移動の能力がある。
高橋がいない今、愛佳に何かがあれば、佐藤が「飛んで」来ることになっていた。
佐藤は瞬間移動するとき、一人だけ同行することができる。
敵と戦闘になると考えた愛佳は、佐藤にれいなを連れて来るよう頼んだ。
そして電話を切って数分後、その敵は現れた。
884名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:30:42.14 0
1−3

「私がまーちゃんに頼んだんです。光井さんの力になりたくて。」
「……鈴木、あんたの気持ちはうれしいけど、そういう問題ちゃうねん…。
佐藤、次に皆のところまで「飛べる」ようになるまでどのくらいかかる?」
「えっとー、あと10ぷんちょっとですかねえ。」
佐藤はまだ能力をうまく使いこなせていない。
長距離の移動は力を大きく消費するため、連続で行うことができなかった。
愛佳はつぶやいた。
「往復で30分弱か…」
一方、鈴木は仁王立ちで敵の少女を睨みつけている。
「まーちゃん、どっかに隠れてて!」
「はいっ!」
不穏な空気を察知した佐藤は、鈴木の指示通りその場から離れた。
「新しいリゾナンターか!ちょうどいい。まとめて血祭りにあげてやるわ!」
少女は柔和な顔立ちをしていたが、瞳の中には「黒さ」が透けて見えた。
岩陰に隠れた佐藤は、それを敏感に感じ取り、ガクガク震え出した。
少女がさっと手を振る。
瞬時に無数の蔓が鈴木の体に巻き付く。
鈴木は微動だにせず少女を睨みつけている。
その態度が少女の残虐性に火をつけた。
「気に食わない目だねえ…。脳みそぶちまけなああ!」
885名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:31:19.00 0
〈Two ピタッと当ててね〉

2−1

少女は大木を凄まじいスピードで鈴木の頭に振り下ろした。
ドゴッ!
大木が地面にめり込み、鈴木に巻き付いていた蔓が一瞬でつぶされる。
しかし、鈴木の体はそこにない。
鈴木は能力を使って全てをすり抜け、少女の前に立った。
「なにっ!?」「でええええいっ!!」
鈴木の右足が低い弧を描く。
強烈なローキック!少女の左足が折れる!
「ぎゃああっ!!」
少女は蹲った。
鈴木は少女を見下ろし、淡々と告げる。
「降参してください。さもないと、次はその首を折ります。」
少女は何も答えない。
鈴木は少女の降伏の言葉を待った。
それは、実戦経験の乏しさによる彼女の甘さだった。
886名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:31:53.70 0
2−2

突然近くの大木の枝が少女を掴み持ち上げた。
そして地上5メートルほどの高さの自らの枝に少女を据えた。
暗さを増した曇天を背景に、少女は凄まじい形相で叫んだ。
「透過能力か!ちくしょう…調子に乗りやがってええ!」
少女が手を振ると、近くの別の大木が動きだし、猛スピードで襲い掛かる。
ただし、その標的は鈴木ではなく、身動きの取れない愛佳だった。
「しまった!」
鈴木が走り、愛佳に覆いかぶさる。
そこに大木が振り下ろされた。
「うッ!!」
鈴木は自らの背中で大木を受け止めた。
口から夥しい血が溢れ出る。
「鈴木!」
「…すみません…、やっぱりわたし…だめですね…」
「そんなことない!」
叫ぶ愛佳の足に地面の振動が伝わる。
少女を乗せた大木が、太い根を二本の足のように動かして近づいてきた。
「あれあれ〜、お嬢ちゃあん、お得意の透過能力はどうしたの?あーっはっはっは!」
愛佳の顔つきが戦士のそれに変わった。
887名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:32:35.30 0
2−3

「佐藤!短い距離ならすぐ飛べるか?」
佐藤はいつの間にか愛佳のそばにいた。
先ほどまでの怯えた様子は消え、凛とした表情をしている。
「やってみます!」
佐藤が愛佳の手をとった。
愛佳は佐藤に目で行先を告げる。
「ぐるぐる!じゃーんぷ!!」
佐藤が、そして愛佳が消えた。
あとには愛佳を縛り付けていた木の蔓だけが残っている。
「ちっ、逃げる気かああ!」
ドサッ!
樹上の少女が叫んだ直後、二人が落ちてきた。
そこは数百メートル離れた畑の中央。
「あははっ!遠くまでは飛べなかったみたいだねえ」
少女を乗せた大木が巨人のように歩を進め、二人にぐんぐん近づいていく。
鉛色の空から大粒の雨粒がぽつぽつと落ち始めた。
(ここでよかったんですか〜?)
(うん、当たりや、ピタッとな)
雨に濡れた愛佳の口角が上がった。
888名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:33:07.57 0
〈Three ポロッと本音の〉

3−1

「佐藤、どっかにかくれとき」
「いやです!みついさんといっしょにいます!」
「……わかった。離れたらあかんで」
手を繋いで立っている二人のもとに、大木の巨人が近づいてくる。
地中から木の根が次々に這い出して来て二人に絡みつく。
愛佳の手を握る佐藤の手に力がこもる。
二人から数メートル手前まで近づいて巨人は立ち止まった。
「もう死ぬ覚悟はできたかな〜?」
最期の一撃を加えるべく太い枝が腕のように高々と振り上げられた。
「これで終わりだ!死ねえええええ!」
来る!
佐藤がそう思った瞬間、難く閉じた瞼越しにも分かる強烈な蒼白い光を感じた。
同時に、この世が終わるかと思えるほどの大轟音が響く。
そして、佐藤の耳にはキーンという音しか聞こえなくなった。
889名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:33:45.78 0
3−2

聴覚が少しずつ蘇るに従って、雨音が大きくなっていった。
佐藤は恐る恐る目を開ける。
眼前には煙を上げている焦げた杉の大木。
その横にあの少女が倒れていた。
二人に絡みついていた木の根は、力を失って地面に落ちている。
呆然として動けない佐藤を残し、愛佳は少女に近づいていった。
「生きとるか?」
「……か、かみなりか…、
きさま…、ここに落ちるのが見えて…たんだな…」
「見えたのはついさっき、鈴木がお前と戦ってくれている間や。」
愛佳は鈴木の方を一度見て、そして再び少女の方を向いた。
「……お前は誰だ?どうして私を襲った?」
「…わたしは…力を…示さなくちゃいけないのよ…、
 …組織に…わたしたちの力を認めさせるために…」
「組織?組織って何や!ダークネスか!」
「……」
愛佳の質問に答える前に少女の意識は途切れた。
890名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:34:23.99 0
3−3

しばらくして佐藤が飛べるようになり、さゆみを連れて来てくれた。
さゆみはまず鈴木を治療した。
重傷だったが、数分後には満面の笑顔が戻った。
次に、少女を治療すべくさゆみと愛佳は、畑の真ん中へ向かった。
しかし、そこには焦げた大木があるだけで、少女はいなかった。
さゆみは数日前自分を襲ってきた黄色いTシャツの少女を思い出した。
譜久村によれば、あの武道家の少女も、いつの間にか姿を消したらしい。
動けないほどの重傷だったのにいなくなったということは、やはり仲間がいるのか。
さゆみは眉を顰めた。
しばしの沈黙の後、さゆみは愛佳の方を見て言った。
「ここ、ばれちゃったね。また引っ越すの?」
「そうですね…。」
「本当に災難だったね」
「まったくですわ。……でも、本音言うと少し嬉しかったです」
「嬉しい?」
「はい…。愛佳、もう一度リゾナンターとして戦ってみたかったんです。
新しく入ったあの子たちと一緒に…」
愛佳は優しさと切なさの入り混じった眼差しで、鈴木と佐藤の方を見た。
二人は蛍を追っかけてキャーキャー走り回っている。
「……。」
さゆみは愛佳に掛ける言葉が見つからず、闇に包まれた里山をぼんやり見つめていた。
891名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 15:37:44.40 0
《Endingでーす》

大木に雷が落ちたその時。
里山の中腹あたりに一人の女性が立っていた。
その指先では蒼白い光が微かにはぜている。
「世話が焼ける後輩たちだね〜。
 まあ、裏切った私のこと、もう先輩だなんて思ってないだろうけど」
口調はぶっきらぼうだが、その目元はやさしく緩んでいた。
愛佳たちの無事を見届け、彼女は表情と心を作り直す。
「報告でーす。No3はミッションに失敗、あとで回収お願いしまーす。」
冷めきった声色で通信機にそのように告げると、彼女はくるりと向きを変えた。
そして冷たい雨に濡れながら、暗い獣道を歩き始めた。

おしまい
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
以上、>>882からここまで『ハロー!SATOYAMAライフ』でした。
『「リゾナンター。大好き」』の続編です。
小春があえて裏切り者になっているという設定を使わせてもらいました。
なお、敵の少女のモデルは、(仮)の緑です。ちなみに(仮)の中で私の一推しです。
892名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 17:13:19.52 0
>>882-891
余計なお世話ながらアンカー打っときますね

今回はコミカルからのシリアスでしたねw
現状と併せて色んな思いが湧き上がりました
まーちゃんかわゆいw
893名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 17:31:57.37 0
>>891
乙です
単発の話としてもかなり面白いけど小春とか続きの展開も気になる
894名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 19:23:15.54 0
後ほど読ませてもらおう
895名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 20:42:51.08 0
愛佳… (´;ω;`)泣ける
896名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 21:27:16.80 0
そういえば(仮)の緑は木を植え隊の初期メンだったな
897名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 22:59:10.32 0
いかんあげねば
898名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 23:01:31.17 0
緑ってモリサキちゃんか?
899名無し募集中。。。:2012/08/10(金) 23:53:47.35 0
>>891
同じ能力のリーダーを読んでるだけにまあちゃんw
愛佳のSATOYAMAライフの理由に泣いた。
900名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 02:18:01.53 0
夜だよ
901名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 04:51:23.34 0
寝るよ
902名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 05:31:05.25 0
あちぃ
903名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 07:49:15.29 0
カキ氷
ガキ氷
904名無し募集中。 。 。:2012/08/11(土) 09:30:54.72 O
『声を奪われたカナリア』

お久しぶりです。投下開始します。
905名無し募集中。 。 。:2012/08/11(土) 09:31:58.32 O
いつもの日常。

彼女を病院に連れて行く。

そして次の週もまた同じことが繰り返される。

いつもの穏やかな日常。

ずっと続くと思っていた。

私が『変わってしまう』までは…。

『変わってしまった』というのは、またダークネスが罠を仕掛けて彼女をさらってから起きた事件が原因だった。

私は彼女がさらわれた時、ダークネスの気配を感知できなかった。
彼女をさらった相手は、なんと豹に変身して体を鋼鉄に変えるんだ。
相手が人間の姿じゃないと私は感知できないのかもしれない。

そのダークネスは、また私と同い年らしい。
そいつの名は『石川梨華』。
906名無し募集中。 。 。:2012/08/11(土) 09:33:16.33 O
私が『変わってしまった』のは石川と戦っている最中のことだった。

相手はダークネスの幹部。

制御装置の手袋も外したまま戦いに挑んだ。

彼女が、大切な彼女が、石川に人質にされ私が何もできないのをいいことに石川は彼女の頬を叩き、そこからポタポタと血が滴り落ちた。

それを見た瞬間、私の頭の中は真っ白になり全身が熱くなった。
すると私の体から衝撃波が放出され、地下駐車場の車たちはバラバラに砕け散った。

砕け散った車のミラーだったガラスを見た。
私の瞳の色が変わっている。

久しぶりだな。この感じ。

ダークネスにいた時以来だ。
普段の私は理性で心を抑えているけれどタガが外れた私は瞳の色が緑色に変わるんだ。
どうして緑色なのかと言うと、なっちによると私のイメージカラーだと言っていた。
907名無し募集中。 。 。:2012/08/11(土) 09:34:59.85 O
あー、すごい顔してるな今の私。
目ぇもつり上がっているし唇を噛み切ったのか口の端から血が流れてるよ…。

私は石川を睨みつけた。

「彼女を、離せ…」

私は低く宣言した。

サイコキネシスを発動させるオーラが私を包んでいる。
今にも放出しそうだが、構わず石川に近づく。

私は彼女を見た。

彼女は私の瞳を見つめながら怯えている。

無理もない。

始めてなんだ。瞳の色が変わった私を見たのは。

『バケモノ』だって思ったのかな?やっぱり。

近づく私に怯んだのか石川は衝撃波を私に放つ。

そんなもん痛くも何ともねーよ。

まあ、衝撃波のせいでニーソにも穴が空いたし、そこから血もでるわ、重ね着をした上着もボロボロで、深くかぶっていたはずの帽子も、どっか行って、纏めた髪もゴムが千切れて髪もほどけてしまいましたよ。
908名無し募集中。 。 。:2012/08/11(土) 09:36:49.37 O
それでも体の熱さはおさまらない。
まるで体の中をぐるぐる掻き回されるような感じで体中に熱さが回り、私の理性を消そうとする。

「彼女返せよ…」

私は石川の手首を握り締め、いともたやすく石川の手首を捻りながら捕まっている彼女ごと持ち上げた。

ミシミシと骨が軋む音が聞こえる。
そのまま勢いにまかせて私は石川の手首を折った。

石川の悲鳴が駐車場に響く。

こいつは彼女を苦しめたんだ…。
もっと聞きたいなあ…。
こいつが鳴くのを聞きたいなあ…。

変わってしまった自分を彼女に見られているのも構わずに変色した瞳を石川の心臓に向けた。

ありったけのチカラをぶち込むために私の手のひらを石川の心臓に当てた。
909名無し募集中。 。 。:2012/08/11(土) 09:38:00.98 O
『声を奪われたカナリア』

少し落ち着いたので実験作です。
続きます。
910名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 11:34:18.63 0
911名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 13:57:54.22 0
落ちてきたのでかっこいいガキさん貼っときますね…
http://aewen.com/momusu/niigaki/img/aewen12949.jpg
912名無し募集中。 。 。:2012/08/11(土) 14:18:22.41 O
保全なのおお!
913名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 14:32:37.68 0
>>909
おちゅ
自分の中では卒業した時点でイメージが止まってるので二人が同い年だという認識はなかった
どうなりますことやら
914名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 15:26:02.26 0
Rが圧倒されるのも珍しいな
915名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 16:46:51.65 0
>>911
なにこれ?
916名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 16:55:49.52 0
バスツアーかな・・・?
917名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 18:31:33.86 O
雨だな
918名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 19:04:09.87 0
>>911
でもなんか、イイ!
919名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 19:14:07.47 0
http://motto-jimidane.com/jlab-tv/3/s/183485.jpg
小春にほどよいマウンテンが…。
920名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 20:49:04.47 0
ナチュラル担当になったのか小春
921名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 21:44:32.19 0
小春の向こうはりほちゃん?
922名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 21:45:49.01 0
だよ
お化け屋敷入って怖がってたw
923名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 22:54:57.76 0
胸熱な組み合わせだな
薄いけども
924名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 22:59:46.10 0
 心の檻は澱んでいて、歪んでいて、ひどく不味くて。
 振り払い。掻き消して。千切って。破って。潰して。

 それでも尚、纏わりついたそれが拭われることはなく。

 漆黒で。真っ暗で。くらやみで。
 視えなくて触れられなくて掴めなくて永くは続かないことを知っている。
 照らすことは出来るけど。
 照らすことしか出来なくて。

 粘性の闇。 重くのしかかって不快に思う。
 消去法の生き方だけど、進む事しか出来なかった。

 結局、ソレに向かって歩んでいく。 死に方の模索を行う。
 生き方を選ぶと同時に、ヒトは逝き方を選んでいる。

 命の選択だ。ヒトは、常に命の選択をし続けていた。
 其処はステージ、命の、オーディション。
 
  ヒトは"再生"を望む。
  犬掻きの人生の中で、妥協する命を保持する為に。

 "Reborn" ― それでも知っていた、その意味する所はいつだって犠牲の上に― 。
925名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 23:00:42.84 0
  「ハァ…ハァ…ハァ…!」

動揺と恐怖、様々な感情で引きつった表情を浮かべながら少女は走る。
肺の中から絞るように酸素を吐き出すが、限界に近かった。
制服を着込む女子生徒の手には黒ずんだビー玉のような球体が一つ。

 「そろそろ夢も終わりにしよう」

女子生徒が足を止める。
何故なら後ろから追いかけているはずの"影"が、急に眼前から聞こえたからだ。
踵を返して逃げようとするが、足がもつれて地面に倒れ込む。

 何度も繰り返していた。まるで見えない壁でもあるかのように。

じわりとした痛みを感じながら、それでも足掻く様に手を胸元に抱くようにして身体を丸める。

 「来ないで、来ないでよ!」

声を荒げるが、彼女の表情は変わらない。手にはカタナが握られており
見上げれば夜なのに場違いなほど晴れ晴れとした青空が広がっている。
異様な少女に狙われてしまった時点で、女子生徒には成す術が無かった。

 「それはアンタに何も手に入れさせてはくれんよ。幻を見るだけで満足するんだ?」
 「なにも、何も知らないクセにっ!」
 「知らないよ。でも自分がよく判ってるんじゃない?自分の夢なんだから」
 「そ、そうよ、だから私の勝手じゃない!幻だって私は…」
 「でも決して触れない」
 「っ…!」
926名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 23:01:24.75 0
 「それで満足するってことは、もうアンタにはその夢を諦める事になる。
 それでもいいなら、私は何も言わない」
 「私は……私、は…だって、だって…」
 「諦めてないんじゃろ?アンタはまだ大切にしてる、それを忘れないで」
 
女子生徒は悟ったように、頭を俯かせた。
指先からこぼれる球体にカタナを向ける。一閃。
ヒカリを呼んで、ヒカリを送るように。眩しい光が全てを包みこみ、奪う。
人のココロであったはずのソレ。 
そして、"誰か"のココロであるソレ。

やがて光が消えて行ったかと思うと、少女は訝しげに首を傾げる。
黒ずんだビー玉のような球体を指でコロコロと角度を変えて、溜息をつく。
ああ、またか、と。
 
 「三つ目の偽物…か」

錯乱?理由は?誰が?
だがこれは特殊な品物。こうした技術を扱えるのは限られてくる。
それほど焦る必要もないだろう。

 "共鳴者"であれば、いつか必ず会うことになるだろうから。
927名無し募集中。。。:2012/08/11(土) 23:02:41.75 0
>>924-926
以上です。
※この作品は9期が基本出て来ます。
4人の人物像は1年前、10期加入前のイメージを参考中。
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/577.html←作品まとめ
928名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 00:16:43.84 O
あとで読む!
929名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 02:13:30.25 0
930名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 05:06:22.81 O
寝苦しい
931名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 07:41:23.35 0
あぶ
932名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 09:58:28.16 0
ないよ
933名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 11:15:33.76 0
マスター新作コーヒーおかわり!!
934名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 11:54:15.11 0
ところでマスター料理出来るの?
935名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 14:43:36.86 0
まぐろユッケ丼あげ
936名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 16:07:49.23 0
■いつも娘。とハローの曲楽しく聞いてい ます(^-^)/
愛ちゃんは自分のソロパートで1番好きな のわどの曲のどこですか??
私わ女と男のララバイゲームの『だ〜けど』『で 〜もね』が大好きです(特にライブ!)鳥肌た ちます!♪(/ω\*)


『リゾナントブルー』の

うぇあ〜
うぇあ〜

ってところ。

分かります??
そこが好き??
937名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 17:54:18.73 0
だからって丼にせんでも・・・
938名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 17:59:51.60 0
意外と思いがこもったメニューだったんだなw
939名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 19:18:21.50 0
ttp://natsu.gotdns.com/img/nat04067.gif

小春マジギレw
さすが戦闘要員だw
940名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 20:00:09.15 0
>>936
愛ちゃんなんて部分をレクチャーするんだw
でもやっぱり印象深い曲だったんだなあ。

>>938
うええおええ丼とかね。

さてそろそろ今スレの感想を展開していく時期ですか?
941名無し募集中。 。 。:2012/08/12(日) 20:50:53.83 O
>>940の人も、まとめWikipediaの人も乙なの!
942名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 21:26:01.43 0
今スレは多くの作品が投下された印象です
あとは、まとめ職人様の短編長編紹介にニヤニヤしてましたw
943名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 21:48:53.38 0
今更ですけど、このスレは小説スレとして認識してもいいのかな?
944名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 21:50:36.62 0
小説を主としたスレ
945名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 21:56:23.96 0
自分今スレ何か書いたっけ!?とちょっと焦ってWiki見返したらなんとか1つ書けてたのでちょっとホッとした
946名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 21:57:30.18 0
俺も1つだ・・・いかんなw
947名無し募集中。。。:2012/08/12(日) 23:02:07.19 0
ほぜなんほぜなん
948名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 00:27:47.85 0
明日はつづき投下する
949名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 01:06:35.05 0
他の小ネタスレよりもAAとかの使用は少ないけど
それ以外は結構本格的な小説スレだなと思ってる。
あとあまりアンチとかも居ないしね。
950名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 04:08:52.17 0
むしろ最近は単発読み切りよりも連載系が主流のように思う スレが続くという安定感もあるんだろうな今は
951名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 05:23:27.46 0
書き手のレベルが高すぎて敷居が高く感じるのは新参だからかな?
もちろん良い意味でなんだけどねw
ビクビクしながら投下してるw
952名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 07:05:03.38 O
おはなんと
今日か明日には完走するかな?
953名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 08:21:31.96 0
このスレの住人さんは優しいよね
作品のいいとこを見つけてレスしてくれる
だからこんなに作者さん多いんだと思う
954名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 11:06:51.17 0
正直言って最近このスレに参加し出した人ってどのくらいいるのかな? 手え上げてみてw(´∀`∩)
955名無し募集中。 。 。:2012/08/13(月) 12:12:22.58 O
自分は新参で去年から投下してるよ。
それでも続けられるのはこのスレのみんなが優しいからかな。
956名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 12:26:15.93 0
自分も第1話からの新参ですノシ
957名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 13:37:37.14 O
2スレ前からの新参
958名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 14:13:13.08 0
wikiのアクセス数も見てると読み手もそれなりに居るんだなって思った。
959名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 16:15:15.27 O
ほぜ
960名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 17:46:43.59 0
>>956
オリメンがいるな 昔は6期メンくらいのつもりだったのに今では2期メンくらいの位置なんだろうね…
961名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 19:18:41.15 0
このスレまだあるんだ…ちと感動
昔絵師参加してたもんです
962名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 19:30:49.66 0
おかえりなさい
963名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 20:11:16.80 0
>>961
昔の絵ウィキにまとめられたりしてますよ!
また書いてほしいです!
964名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 20:47:36.78 0
>>963
このへんが自分ですねw
うわー4年も前かあ…
狼自体超浦島なんでしばらくはROMって把握しないと

http://resonant.pockydiary.net/index.cgi?no=243
965名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 20:54:54.52 0
新世代の台頭がありつつ変わらぬ伝統もあるのがリゾスレだなと感じた
ある意味でそれは娘。の原点的な気もする
というわけで絵師様の新たな作品を待ってますw
966名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 21:25:23.17 0
あの絵師さんですか!
是非また気が向いたら新作をお願いします
967名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:12:25.84 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/652.htmlつづき


-------

夜の闇が静かに街を包んだ。
現在時刻は23時37分。もう20分もすれば、ジュンジュンもリンリンもリゾナンターからの異動が決まる。
未だに目を醒まさないジュンジュンの病室に入り、リンリンは息を吐いた。
自分も脚をひどく痛めたが、彼女の程の比ではない。静かに眠るジュンジュンの姿に胸が痛んだ。

「……再見、李純」

リンリンはそう呟くと踵を返し、病室から出た。長い廊下には夜の帳が落ち、静寂に耳が痛む。
頭に巻かれている包帯が邪魔で外した。少しだけ血が滲んでいる気もするが、もう不要だ。
階段を降り、正面玄関から外に出たときだった。そこには彼女が佇んでいてリンリンは大袈裟に肩を竦めた。

「何処に行くの?」
「ちょっと、買い物デス、ハイハイ」
「……人ってウソつくとき、左斜め上を見るんだってね」

道重さゆみの言葉にリンリンは困ったなあというように笑った。
当然、さゆみは笑うことなく哀しい瞳を携えたまま、リンリンを見ている。
さてどうすれば良いのかと考えながら、周囲にはさゆみ以外に誰もいないことを確認した。
968名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:13:08.88 0
「止めたって無駄だろうから言わないけど、ひとりで行かないで。さゆみだって足手まといにならないくらいの戦力にはなるの」

さゆみの強い言葉にリンリンは眉を顰めた。
てっきり、止められるのかと思ったが行くことに関しては推奨してくれているようだ。
まあ実際、彼女から止められたところで、いまさら退くわけにはいかないのだが。

「これは私ノ問題なんデス」
「なに、それ…」
「すみません、ワガママデス」

そうしてリンリンは呟くと一歩さゆみに踏み出した。
さゆみは思わず構えたが、彼女はそのままさゆみにぎゅうと抱きついてきた。
少しだけ小柄な彼女は精一杯に背伸びをして、さゆみの首の後ろに腕を回す。

「私、シアワセですよ」
「え?」
「心配してくれテ、ありがとうございマス」

さゆみの体は柔らかくて温かい。
彼女に触れていると、自分も生きているんだと実感することができた。
家族と離れて生活することなんて慣れていたのに、ふとした瞬間に温もりが恋しくなることがある。
さゆみの体から香った甘い匂いは、どうしてだろう、幼いころに抱きしめてくれた母親と重なる。
たぶんそれは、身長差がそこそこあるから、というものもあるのだろうけど。
969名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:14:41.63 0
「リンリン……っ!」

さゆみが油断していた瞬間だった。
リンリンは首の後ろ、頸椎を軽く刺激し、彼女の意識を奪った。
ほぼ無抵抗に近かったので、まさに赤子の手を捻るようなものだった。
リンリンは気絶したさゆみを慌てて抱き抱えると、再び正面玄関から待合室に入り、近くのソファーに寝かせた。

「これはプライドの問題なんです、道重さん……」

それだけ呟くと、リンリンはさゆみに頭を下げて走り出した。
静かな闇が彼女を包み込んでいく。冷たい風が頬に当たって痛い。
月も星も見えない夜の街を、リンリンはひたすら走り続けた。


-------

1週間前、ジュンジュンとリンリンが闘った場所に再び立った。
暗闇が周囲を支配し、自分の信念すらも呑み込もうとする。だが、決して負けてはいけないと奮い立たせた。

リンリンは天を仰ぐと「いるんだろウ!出てこイ!」と叫んだ。
闇に声が響いた直後、周囲の暗さがいっそう増した。
しかしそれは、ヤツが来た証拠ではなかった。この感覚は、リンリンも経験したことがある。
リンリンは「彼女」となんどか闘っていた。

「やぁ」

そうして軽口を叩いて彼女は現れた。
リンリンは声のする方を振り返る。そこには氷の魔女―――ミティが静かに立っていた。
970名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:15:38.05 0
「あなたに構っていルほど暇じゃないんですヨ」
「おー、言うねぇー。でもまぁそうつれないこと言わないでさ」

ミティは右手の平をこちらに向ける。
そこには既に氷の塊が現れていた。

「ちょっと私と遊んでよ」

それだけ言うと、彼女は氷の塊をこちらにぶつけてきた。慌ててリンリンは距離を取る。
ミティは妖しく笑ったかと思うと、両腕を広げ、無数の氷の矢をつくりだした。
さすがに避けきれないと悟ったのか、リンリンは逃げる脚を止め、右手に力を込めた。

無数の矢が飛んで来た瞬間、リンリンは“発火能力(パイロキネシス)”を使い、焔の壁をつくりだした。
氷の矢は焔に包まれて溶けて威力を失うが、根本の解決にはなっていないことに気付いていた。

「リンちゃん知ってる?」

壁の向こう側でミティが笑っていることに気付く。
どうにか打開策を考えるが、どうしても思いつかない。

「焔って結局、水には勝てないんだよっ!」

その言葉の直後、焔の壁はミティのつくった吹雪によって振り払われた。
雪が焔を舞い上がらせ、あっという間に裸にされる。
これを恐れていたのだが、次の手を取る前に、ミティから再び氷の矢を受けた。
よりによって避けきれなかった左脚に直撃し、リンリンは苦痛に顔を歪ませた。
971名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:16:45.96 0
「あー、ごめんごめん。怪我治ってなかったんだっけ?」

雷の刃を受けた左脚を、今度は氷の矢が襲った。
まだ完治していないその部分に突き刺さった矢をリンリンは必死に抜いた。
血が一気に溢れ出すことも気にせずに、リンリンは歯を食いしばって彼女を睨みつける。

「あの男ハ何処にイル?」
「へー。威勢が良いね。怪我、痛いんでしょ?」
「何処にイルと聞いてるんダ!答えロ!」

劣勢になったとしても光を失わないその瞳にミティは肩を竦めた。
そういう仲間意識がダークネスには薄いため、彼女が此処まで激昂する意味が分からなかった。
ただとりあえず、質問には答えようと、口を開いた。

「残念ながら私も知らないんだよ」
「ふざけるなっ!」

ミティの答えにリンリンは抜いた氷の矢を“念動力(サイコキネシス)”を使って彼女に投げつけた。
慌てて避けるが、それでも矢は彼女の頬を掠めていた。
頬を赤い鮮血が伝い、ミティは鬱陶しそうにそれを拭った。

「あいつの考えなんて誰も知らないんだよ」

矢を向けられても変わらない氷の魔女の言葉を、リンリンは必死に噛み砕こうとした。
居場所を知らない?いくらダークネスが仲間意識が薄いとはいえ、味方の居場所を把握していないとはどういうことだ?
972名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:17:53.21 0
いや、待てよ。とリンリンはいちど思考を組み立て直す。

そもそも仮定が間違っているのか?

「あいつは明確な意思があって、君らと闘ってるわけじゃないしね。私らと違ってさ」

その言葉にリンリンはハッとする。
慌てて、あの男はダークネスの一員だという仮定を立て直した。
あの男はダークネスの一員ではないと仮定する。
いや、それにしてはミティの言葉が引っ掛かる。
「明確な意思がない」とはどういう意味だ?あの男はなんの目的があって私たちと闘っているんだ?

「お喋りがすぎたかな、ほら、本人来たから聞いてみれば?」

ミティの言葉にリンリンは振り返る。
そこには1週間前にも対峙したあの黒い男が立っていた。
前門の虎、後門の狼とはこのことかと考えていると、「見学させてもらうよ、今後の参考までに」という声がした。
視線だけ背後のミティに向けると、彼女はふわりと飛び上がり、近くのビルの屋上まで辿り着いていた。

「よそ見してるとやられちゃうよー」

そうして高みの見物を決め込んだミティの意図がよく分からない。
分からないのだけれど、彼女の言葉は事実のようで、リンリンは慌てて男と距離を取った。
男は暗闇の中でステップを踏むと、一足でリンリンの間合いに入り込んできた。
そのまま刀を抜くと、再び彼女の脚を砕こうとする。
973名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:18:42.09 0
「っ、させるかっ!」

リンリンは両手につくった火球を男にぶつけるが、男は一瞬早く動き、それを躱わす。
先日闘ったときから思っていたが、この男のスピードはあまりにも速すぎる。
体格がさほど小さいわけでもないのに、どこからこの瞬発力はくるのだ?

だが、あまり深く考えている余裕もない。
先ほど氷の魔女と闘った際に、脚の傷口は完全に開き、いまもなお失血は続いている。
それ以外にも受けた傷は多く、体力も段々と奪われていく。
長期戦になると、不利なのは間違いなくこちらだ。早くケリをつけないと、眼前に迫るのは死だ。

リンリンは充分な距離を取ったあと、“念動力(サイコキネシス)”によって落ちていた石礫を持ち上げた。
その後、それらに“発火能力(パイロキネシス)”を働かせて火をつけ、さらに“念動力(サイコキネシス)”で男に投げつけた。
焔の石礫は男に向かって攻撃を始めたが、男はなんら慌てることなく刀を振りかざして石を落とす。

「なにか…突破口は……」

リンリンの目に焦りが映る。あの男に隙や弱点というものは存在しないのだろうか?
どんな強敵でも完璧なコンピュータでも、必ず綻びはある。精巧につくればつくるほど、そのようなエラーは存在しやすい。
もちろん、その突破口を見つけられるか否かは能力者次第だが。

男の攻撃を躱わしながら、リンリンは自分の持っている知識と仮定を整理し、なんとかロジックを構築させる。
男のスピードは常人よりはるかに速く、体もしなやかに動くため肉弾戦にも強い。
刀を自在に操り、カマイタチ現象で人を攻撃する。そのカマイタチは“雷の刃”にもなる。
また、“雷の刃”だけではなく、詠唱によって雷を操ることも可能。
そしてあの男は、ダークネスではないのかもしれない。
974名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:19:39.83 0
「お前はなんのために闘うんダ?!」

時間稼ぎをしようと思ったつもりはない。
だが、リンリンはどうしても気になった。この男がなんの意思を持ってリゾナンターと闘うのか。
もし本当にダークネスでないとしたら、もっと別の脅威がリゾナンターに降りかかろうとしているのか。
ダークネスの一員であるミティを攻撃しないことを考えると、三つ巴よりも一時的な協定を結んでリゾナンターを攻撃しているのか。

「答えロ!」

なにかヒントが欲しかった。
行き詰まりすぎて窮屈なこの現状を、どうかにか突破できるなにかがある気がする。
この男の意志を、知りたかった。
しかし、男はリンリンの問いかけには答えず、刀をしまう。間髪入れず刀を振り抜き、カマイタチが発生した。
見えない刃に雷を乗せるなど、常識の範疇を超えていると思いながらも、リンリンは角を曲がり、それを避けた。
雨がポツリと落ちてきた。そういえばこの男と会うといつも雨が降るなと思う。
雷を使えることだけあって、やはり雨雲を引き連れてくるのだろうかと考えたところで、リンリンは立ち止まった。


―――待てよ。


小春や愛佳と闘ったときも確かに雨が降っていた。だが、愛佳の話だと、あの男は“雷の刃”も雷という能力も使っていなかった。
それは果たして、偶然なのか?
975名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:20:37.29 0
「っ……お前はだれなんダ!」

リンリンは両手で地面を殴りつけると、地割れが始まった。
地割れは男の足元まで辿り着き、そこから焔の盾が燃え上がった。
男はバックステップで逃げたが、微かに避けきれなかったのか、左脚が燃えている。
リンリンは漸く訪れたチャンスに畳みかけることを決意した。脚の焔に気を取られている男にいくつもの火球を繰り出す。
躱わせる距離ではないと、確信していた。

しかし、男はそれも躱わした。
まるで先を予見していたかのようにひとつひとつの火球を避け、左脚の焔を消した。
いったいなぜ、そのようなことができるのかが分からない。
考える間もなく、リンリンの目の前に鉄骨が落ちてきた。
男が刃をこちらに向け軽く切先を動かしていることに気付く。まさかこいつ―――!

「“念動力(サイコキネシス)”?!」

男は刀を持ち上げると軽く真一文字に空気を切った。同時に石礫がリンリンに向かって襲いかかってくる。
なんの悪い冗談だと思いながら石を避ける。あの男はどうしてこうも多くの能力を有しているのだ?


瞬間、頭の中でなにかが弾けた。
“雷の刃”・悉く避けられる攻撃・“念動力(サイコキネシス)”……


それらに共通することなど、ひとつしかないじゃないか―――
976名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:22:48.42 0
-------

「リンちゃん頭良いからねぇ…なんか気付いちゃったかな?」

ミティは屋上からふたりの闘いを見ていた。
リンリンが必死に思考を働かせ、なんらかの事実に気付いたことは見て取れる。
確証は持っていないようだが、どうやらひとつの仮定が立ったようだ。
あの男の正体にはまだ気付いていないとはいえ、よくこの短時間でロジックが構築されたものだとミティは素直に感心した。

「他のメンバーに気付かせるヒントになるかもねー…まー、気付いても斃せるかどうかって話だけどね。どう転んでも、こっちには不利益になんないし」

ふと、すぐ傍に迫ってきた“感覚”にミティはピクッと反応する。
どうやら見物も此処までのようだ。

「勝負の決着まで見てたかったけど、こっちまでやられるのは御免だね」

ミティはふわりと飛ぶと、一足で隣のビルへと渡った。
瞬時に吹雪を巻き起こし、そのまま暗闇へと消えていった。
977名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:27:22.50 O
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リンリンの右脚が砕け、思わず地に伏せた。
男の操った鉄骨は彼女の右膝に突き刺さり、その動きを止めた。どす黒い血が脛を伝い、地面へと染み込んでいく。

立ち上がろうとするが、全身に力が入らない。
全快していない体で動いたせいか、体力はとうになくなり、能力ももう発動しなくなっていた。
遂に「死」が全身を包み込んだかとリンリンは覚悟した。

ふたりの周囲は焔で包まれている。このまま動かなければ、蒸し焼きだろうなとぼんやり思った。
男はリンリンの目の前にやってくると、その頭にぴたりと刀を合わせた。
脳天から真っ二つか。まあ、蒸し焼きよりは悪くないかと苦笑しながらジュンジュンのことを思い浮かべる。

彼女はどういう想いで闘っていたのだろう。
なにを感じながら、この男と対峙していたのだろう。
少しでもその感情を掴みたかったのだけれど、掴む前に死を受け入れることになりそうだった。
ああ、情けないな……

「護れなくて、ごめん―――」

男は刀を振り下ろす。
何処かで派手に雷が落ちた。
辺り一面が、温かい光に包まれた。
978名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 22:29:53.60 O
>>967-977 「the new WIND―――銭琳」
猿さんでラスト携帯から投下しましたm(__)m
つづきも早めにがんばります
979名無し募集中。。。:2012/08/13(月) 23:11:06.98 0
ヒントらしき部分があるのに敵の正体がまったく見当つかんw
俺推理能力ゼロだわ
そのぶん楽しめるけど
980名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 00:15:11.61 O
あとで読むなんと
981名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 02:16:01.73 0
リンリン…(T_T)
982名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 04:56:24.09 0
続きが気になる
983名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 06:56:40.76 O
痛くて悲しくて、だけどどこか爽やかにも思うのはなんだろう
続きを待ちます
984名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 09:30:35.05 0
>>978
構成が惹き付けるね
さゆリン場面もよかった
985名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 12:13:10.88 0
川*^A^)
986名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 13:55:19.95 0
お昼デス、ハイハイ
987名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 14:47:11.31 0
>>978
なんとなく判ったかもしれない。
でももしそうならこの書き手さんは話の流れを書くのが
かなり上手いと思うし、この男がとんでもないヤツになるなあ。
988名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 15:43:19.33 0
次回予告
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                  メンバーが病院で眠る友に伝える -行ってくるよ-

          リゾナンターは魔女にある島の位置座標を伝えていた 決戦の地 移動する島
            敵はどう打って出るのか?…次第に島全体が冷気に包まれ始めると
            海面が凍りつき一本の道が出来るのだった……魔女が 来る!!!
            静かに移動を開始する島 愛は世間を騒がしている爆破テロ事件は
            魔女と関係があると確信 相手が上陸後に島を起動させて本州から
               遠ざけ最悪の事態が起こらぬ様 作戦をねっていたのだ
                    魔女は語りだす 自分が主人公の 様に
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro6215.jpg  ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro17097.jpg
          『これは永い永い物語だった 兄を滅ぼし 世界を正しく修正する為の』 「!?」
        『そして闇の王と名乗った兄は滅ぶ 私がお前に与えた共鳴するチカラによってな…
        後は必要の無くなったお前を消して 世界を変えるのみ かと言って兄を倒した傑作品
            私がお前を始末するのもリスクを伴う だから能力者を差し向けた訳だ
出来損ないだらけだったが あれの時間稼ぎにはなったか』「時間?……何故あなたがダークネスを倒さなかった?」
           『闇は闇の者を払う事が出来ないからだ だいたいの疑問は解けたか?』
         『ふふ いやぁ実にお前はいつもポジティブに行動し 何度も兄に挑んでもらったよ
   兄と更に兄の箱舟までも落としてくれたからなぁ ご苦労と言っておこうか やはりお前は私の最高傑作だ』
          『…惜しいが お別れまで後少しだな マキ仕上げといこうか!あれを使えッ!』
           後藤真希!?失踪していたスーパーモデル…美しい右腕が天を指差すと
             雲を割って高速接近する物体が島を襲う これは この攻撃はッ!?


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「BEポジティブ!」

               -キュィィィーーーーーーーーーィン-
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro6215.jpg
             『愛 悪いがこいつも傑作品だ 世界を終わらせ そして始める為の』
989名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 17:48:36.62 0
夕飯前のほぜなんと
990名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 19:23:50.30 0
怒濤の展開だねえ
991名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 20:43:02.89 0
>>988
ついに最終決戦ですね
どんな終幕を迎えるのか期待してます
あと今スレ立てたの自分なんですが新スレは毎年恒例のF5アタックの状況を見極めた上で立てたいと思ってます
992名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 21:42:00.41 O
ほっ
993名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 22:58:20.63 0
おっと
994名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 23:39:29.51 0
そろそろ埋めようかな。
995名無し募集中。。。:2012/08/14(火) 23:45:28.50 O
>>987
全く検討つかんわ…
頑張って推理しよw
996名無し募集中。。。:2012/08/15(水) 00:21:51.41 0
埋めますか
997名無し募集中。。。:2012/08/15(水) 00:22:03.24 O
サイン
998名無し募集中。。。:2012/08/15(水) 00:33:02.86 0
コサイン
999名無し募集中。。。:2012/08/15(水) 02:11:20.09 0
レベル低いんで建てられないけどだれか次スレを…w
埋まるぞw
1000名無し募集中。。。:2012/08/15(水) 02:46:02.94 0
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。