世界で9億人が利用するインターネットの交流サイト(SNS)「フェイスブック」(FB)。
日本の利用者も1千万人を突破する中、企業によるページ開設の動きも活発化している。
実名の個人が主役のFBで、組織重視の日本企業は活用することができるのか。生命保険
最大手の日本生命保険も約1年間で4万人のファンを獲得したものの、今でも試行錯誤が
続いている。
■若手が担当、“距離感”熟考し投稿
FBでページを開設している企業にとって、FBの代名詞ともいえる「いいね!」ボタンを押して、
その企業情報を継続的に見ているファンの数が情報発信力を測るひとつの指標となる。
日本国内向けのFBページとしては、52万のファンをもつスターバックスジャパンや20万のディズニージャパンなどが有名。しかし、知名度の高いブランドやキャラクターを持たない企業が
試行錯誤しながらファン獲得を進めているのが現状だ。昨年8月にページを開設し、約1年間で
4万人のファンを獲得した日本生命保険も戸惑いと苦労を重ねながら情報を発信している。
「台風の影響で列車の遅延など影響が出ています。お近くにいらっしゃる方はお立ち寄りください」
同社はFBページ立ち上げ直後の昨年9月、こんな投稿で東京・丸の内の店舗開放を告知した。
東日本大震災では携帯電話がつながりにくい状況の中、FBやツイッターなどSNSを通じて
情報を収集した人が多く、その有効性が確実に浸透しつつあるだけに、この日も店舗には大勢の人が訪れた。
日生のFBページは、入社8年目でウェブ担当をしていた鈴木渉さんら若手社員5人のチームが
1日1回更新。FBについて、鈴木さんは「利用割合が高い若年層に親しみを感じてもらうと
ともに、機動的に情報収集と発信する手段でもある」と説明。とはいえ、その運用は試行錯誤の
連続だったという。
投稿内容は当初、震災被災地での顧客安否確認の状況やキャンペーン告知など企業の取り組み紹介が中心だった。しかし、ユーザーとのやりとりを続けるなかで、「保険の話ばかりでは
ファンは引いてしまう。自分たちがお客さま目線で投稿したときに大きな反響がある」とチームメンバーの秋山信介さんは感じたという。これらのノウハウを少しずつ積み重ね、若手社員に
よるご当地紹介や契約の有無にかかわらず使える誕生日カードを送れるアプリの導入などで支持を広げてきた。
一方、舞台裏ではリスク対策も綿密に行われる。投稿内容は会議で決め、不適切表現もチェック。
どんな内容であれ、コメントはFBチームが24時間、目を光らせる。日生ではFBを通じた若年層との接点が将来的な顧客の裾野を広げることにつながると期待する。
■ハイボール流行もネット発…ためらう企業の理由は
「まずはやってみる。遅れることこそがリスク」
今年4月、関西経済同友会はFBの活用を促す提言を発表。その調査によると、関西企業では
サントリーがSNSを積極的に活用してブロガーの口コミからハイボールブームを巻き起こし、ブランド力の向上につなげた。(※続く)
●若手社員が中心になり、若年層を引きつける投稿を工夫する日本生命保険のFBチーム
http://sankei.jp.msn.com/images/news/120701/wec12070107000000-p1.jpg ◎
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120701/wec12070107000000-n1.htm