ソニーが、日本で新たな音楽配信サービス「ミュージックアンリミテッド」を
年内に開始すべく準備を進めている。これは、クラウド型の“聴き放題”サービスで、
月額料金を支払えばインターネット経由でソニーのサーバーに蓄積された音楽を
無制限に聴くことができる。2010年12月に英国とアイルランドで開始、現在は
欧米を中心に16カ国で展開している。
音楽配信の次の主戦場とされるクラウド型サービスでは、2008年に開始した英Spotify
(スポティファイ)が先行している。同社の展開地域はソニーより1カ国少ないが、
利用者数は1000万人に上り、月額9.99ポンドか4.99ポンドを支払う有料会員は300万人
以上を占める。一方、ソニーはサービス開始から2年半が過ぎても、「利用者の数は
非公開」(ソニー広報)だ。
ソニーのサービスを使ってみると、音楽を「聴く」という基本的な機能では、スポティ
ファイより充実している点も多い。登録楽曲数は1500万曲とスポティファイの1600万曲
とほぼ遜色ない。気分に合った音楽や好みの曲を推薦してくれる機能はスポティファイ
にはなく、パソコンではスポティファイのような専用ソフトではなくブラウザーから
利用できる手軽さも魅力だ。
しかし、こうしたサービスの優位性は、先行した英国でも十分に認知されているとは言い難い。
それには、いくつかの理由がありそうだ。
まず、ソニーが提供しているのは月額9.99ポンドと3.99ポンドの有料サービスのみで、広告
収入に頼る無料サービスも用意しているスポティファイに比べ敷居が高い。スマートフォン
での利用も、スポティファイが米アップルのiPhoneと米グーグルのアンドロイドの両方に
同時に対応した半面、ソニーは提携先であるグーグルのアンドロイドを優先した。ソニーの
iPhone対応は今年5月だ。
■自社製品への対応を優先
スポティファイが米マイクロソフトのウィンドウズフォンなど幅広いスマホへの対応に注力
する一方で、ソニーはテレビや「プレイステーション3」などのゲーム機、ブルーレイ
・ディスク(BD)プレーヤーなど自社製品への対応を重視。消費者の関心がスマホに
集まる中で、テレビやゲーム機でも利用できるというメリットは実感しにくい。(※続く)
●ソニーの音楽配信「ミュージックアンリミテッド」は、
テレビ「ブラビア」のほか、5月からiPhoneにも対応
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