>>3より
■垂直統合と水平分業
赤字原因を探っていく上で、その企業が垂直統合型か水平分業型かの差は大きい。垂直統合とは、
自国内で国内部品メーカーとの刷り合わせによって高品質な製品を作ることを指す。
水平分業とは、自国内では生産せずに、低コストで生産できる海外工場を使って物作りを行うこと指す。
EMSを使うことは水平分業の一形態である。勝ち組の企業には水平分業をとっている企業が多い。
http://diamond.jp/mwimgs/6/2/600/img_62848d38b0b8ed8a6f10cb444a4f15557980.jpg 次に売上高に占める海外売上比率と垂直統合との関係を見てみよう。
海外売上比率が高い企業では、内需が急減した場合でも、業績をそれほど大きく落とさずに済む。
反対に、海外売上比率が低い企業では、内需が急減した場合に逃げ場がなくなる。
設備稼働率が大きく下がり、巨額の赤字に転落する。対応策としては設備廃棄とリストラしかなくなってしまう。
http://diamond.jp/mwimgs/c/1/600/img_c1549a27d7b61eb3b8dea0e9793cd13c42055.jpg パナソニックとシャープは海外売上比率が低く、かつ、垂直統合度が高い。最も柔軟性に乏しい。
デジタル化時代になってくると、製品がコモディティー化するのは早い。
デジタル製品のなかに占める企業ノウハウの部分が少なくなってくるので、
多くの企業が似たような製品を作れるようになるからだ。
このような場合に大きな設備を自社で抱えるのはリスクが大きい。設備が自国内に固まってあると、更にリスクは増える。
■勝ち組の弱み
アップルの組織はユニークでとても他社が真似できるものではない。
だが、商品開発力に大きく依存している。商品開発力だけでどこまで行けるのか?
次はiTVの開発といわれるが、既にコモディティー化した商品でどこまで特色を出せるのか?アップル自身も悩んでいるように見える。
サムスンは人事体制、海外戦略、研究体制、研修体制、
新商品投入のスピードのいずれをとっても、日本の家電3社の先を行っている。
弱点は垂直統合度が高いことにある。今のところウォン安で問題が顕在化していないが、ウォン高になったら日本の家電と同じ運命に陥る。
鴻海の展開のなかで、唯一納得いかないのがシャープへの出資である。
鴻海の工場はいずれも賃金の安い新興国にある。シャープの工場は唯一の例外である。
シャープへの出資はアップルのiTVの成約を有利に進めるところにあるといわれるが、その後にシャープをどうするのか?
続きます