【見落とされたエネルギー安全保障 自給率は先進国最低の4%】
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http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120621/wec12062107490000-n1.htm 「燃料のスポット(単発)調達の余地について、さらに検討を進めるように」
火力発電用の燃料調達などを担当する関西電力の「燃料室」に上部から指示があったのは、
関電の原子力発電所11基すべてが停止して数日が過ぎた今年3月のことだ。
原発が停止すれば、電力供給は火力発電に頼らざるを得ない。だから、燃料を一時的に
追加調達する必要がある。スポット調達の調査は、昨年3月の東京電力福島第1原発事故
以前から日常業務の一環として取り組んでいるが、「電力の安定供給を火力が担う状況下、
その危機感はこれまでの比ではない」(関係者)。
だが、核兵器開発が疑われるイランが米欧による制裁を牽制(けんせい)するため、
海上輸送の要衝となっているホルムズ海峡の封鎖をちらつかせる。ここを封鎖されれば、
火力発電用の燃料である石油、LNG(液化天然ガス)の高騰を招く恐れがある。
■再稼働なければ毎年3兆円が流出…31年ぶり貿易赤字に
「石油の8割、LNGの3割はこの海峡を通る。エネルギーの備蓄が少ないことなどを
勘案すると、安全確認された原発は再稼働すべきだ」。安倍晋三元総理はこう話す。
この言葉に秘められているのはエネルギー安全保障の大切さだ。
日本のエネルギー自給率は20%に満たず、原子力を除くと、わずか4%と先進国では最低水準だ。
石油、LNGの大半は中東諸国から輸入しているため、国際情勢の影響を受けやすい。
また、世界的な資源獲得競争もあり、日本の生活、経済活動のため、安定的なエネルギー
供給を確保することの重要性と困難は増している。まさにエネルギーの供給確保は安全保障であり、外交政策の重要課題にもなる。
原発を停止し、火力発電を主力電源に据えることは国際的な燃料価格の変動に左右され、
経済や市民生活に影響を及ぼすことを意味している。
安倍元総理は「原発を再稼働しなければ、燃料費が年間3兆円上昇するといわれている」と
指摘する。実際、昨年度は、火力発電の燃料費全体で22年度比2兆6千億円も増加した。
それだけの国富が海外に流出しているわけで、昨年、日本が31年ぶりに貿易収支が赤字に
転落したのは、この火力用燃料の輸入増加が一因だ。(※続く)
●主要国のエネルギー受給率
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