欧州連合(EU)との貿易収支が5月に初めて赤字に転落した。南欧の内需の低迷で
輸出の落ち込みが続く一方、ユーロ安を背景にドイツ車など自動車の輸入が急増した
ためだ。
財務省が発表した貿易統計速報(通関ベース)によると、5月の対EUの貿易収支は
111億円の赤字だった。前身の欧州共同体(EC)時代を含め、比較可能な1979年
以降で初の輸入超過になる。
欧州危機によってギリシャなどの南欧は消費や設備投資が停滞している。円高も逆風
となり、5月のEU向け輸出は前年同期比0.9%減と8カ月連続で減少した。半導体
などの電子部品は44.5%減とほぼ半減、科学光学機器(22.3%減)や二輪自動車
(33.6%減)も振るわなかった。
逆にEUからの輸入は5.9%増と2カ月ぶりに前年同月を上回った。特に自動車は
80.3%の大幅増。ドイツなどの自動車メーカーが日本をはじめとする海外市場の
開拓に力を入れているためだ。
輸入車(外国メーカー車)の日本国内での販売動向をみると、5月は前年比で2割増えた。
独フォルクスワーゲンなどが低金利ローンを提供し、割安感を出して販売を伸ばしている。
ユーロ安で利幅が広がり、これを原資としているとの指摘がある。
円高・ユーロ安は欧州企業にとって対日輸出を拡大する追い風になる。自動車だけでなく、
イタリアなどからの医薬品の輸入も9.8%増、ナフサなど石油製品の輸入は約4倍に増えた。
日本の貿易収支は資源の輸入が多い中東、豪州のほか、中国に対しても赤字だ。日本の輸出入
総額に占めるEUの割合は1割程度と決して大きくないが、対EUの赤字が定着するようなら、
貿易黒字を稼ぐ主要な地域は中国を除くアジアと米国だけになる。
欧州への輸出は中国などの新興国でも減速感が強まっている。「債務問題が一段と深刻化
しなければ、欧州への輸出は徐々に持ち直す」(大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト)
との見方もあるが、欧州危機が燃料輸入増に次ぐ日本の貿易収支の新たな赤字圧力になる可能性もある。
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http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2002J_Q2A620C1EE8000/ ◎関連スレ
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