※以下は産経のシリーズ記事(4本)『世界の原発は今』をまとめたものです。
【米34年ぶりに新規着工 原子力規制委お墨付き】
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http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120620/wec12062009020003-n1.htm 世界では今、30カ国・地域で計427基の原子力発電所が稼働している。東京電力福島第1
原発事故などの影響で前年に比べ9基減少したが、一方で建設中の原発は計75基に及ぶ。
このうち約4割が中国に集中しているものの、注目すべきは米国が34年ぶりに新規着工の再開を決めたことだ。
米国の原子力政策は福島事故で一時、雲行きが怪しくなったが、オバマ政権は米原子力規制
委員会(NRC)に国内原発を再点検させ、「同様の事故が発生する可能性は低い」との
お墨付きを得た。さらに規制や避難計画など防災対策の見直しも進め、原発建設再開の理由を整えた。
新規着工の再開は既存原発の老朽化という事情も大きい。福島の事故以降、自然災害に伴う
原子炉のトラブルが相次いでおり、ボーグル3、4号機など「第3+世代」の原子炉建設が計画されているのもそのためだ。
また、昨年3月には米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が出資する原子力ベンチャーが
東芝と提携して小型原子炉を共同開発すると公表。米国で再び動き始めた原発技術は、エネルギーの新たな扉を開くことが期待されている。
ただ、NRCの委員4人がホワイトハウスにヤツコ委員長を告発するなど、規制監督の
体制面で不安材料を抱えている。福島の事故では日本に情報提供を行うなど影響力を持った
ヤツコ氏が退場した後のNRCの新体制は、日米の原子力行政に少なからぬ影響を及ぼしそうだ。
【チェルノブイリの影はなし 原発政策推し進めるロシア】
1954年、世界で最初に原子力発電所の運転を開始したロシア。しかし、86年のチェルノ
ブイリの事故で原発の新規着工はすべて中止。2000年まで新しい原発の稼働は行われ
なかったが、電力需要の増加で原子力の重要性が指摘されるようになり、01年から新規着工を再開した。
■「原発3割に増やす」
現在、発電能力は米国、フランス、日本に次ぐ世界4番目の原子力大国で、福島の事故後も原発を強力に推進している国の一つだ。国内の原発の安全性については、IAEA(国際
原子力機関)の特別検査をクリア。プーチン大統領の原発長期発展計画に基づき、海外での
原発プラントの建設も積極的に進めている。
ロシアが原子力政策を推し進める背景には、天然ガスが電力供給の約5割を占める現在の
エネルギー構成について、供給源を分散させ、エネルギー安全保障を高める狙いがある。
さらにエネルギーの構成比を変えることで、天然ガスを輸出向けに活用するという経済面でのメリットももくろんでいる。
ロシアは原子力エネルギーの割合を現行の約17%から2030年までに25〜30%に
引き上げる政策を掲げる。ただ、同国の原発について「まだ不透明な側面があり、公開され
ていない部分も少なくない」と話す専門家もいる。
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