涼味に欠かせない冷ややっこが今夏、値上がりする可能性が出ている。
原料の国産大豆価格が産地の不作などで7年ぶりの高値となっているためだ。
健康志向などで国産大豆の豆腐は人気だが、製造業者間の競合も激しく、
メーカーからは「いつまで値上げせずに持つか」などの悲鳴が聞かれる。
大豆の入札取引を運営する「日本特産農産物協会」(東京都港区)によると、
2011年産の国産大豆の平均入札価格は5カ月連続で上昇し、5月分は
60キロ当たり9385円。入札価格は通常、7000円前後で推移しており、
9000円台に乗せたのは不作で約2万円まで高騰した04年産以来となる。
価格高騰の背景は、生産量減少だ。11年産大豆の収穫量は前年産比2%減程度だが、原発事故の影響で
西日本産の需要が高まったことに加え、天候不順から主要産地の一つである愛知、三重両県の生産量が前年産の7割を割り込んだ。
食用大豆の用途は、納豆、しょうゆなど幅広いが、減産した両県は豆腐用の
品種「フクユタカ」の主産地。豆腐用大豆の国産シェアは26%で外国産の
3分の1だが、グルメブームや健康志向を反映して引き合いは強い。
国産は半分が豆腐用のため、品薄感が一気に高まった。
作付面積の減少も価格上昇に拍車をかける。
大豆はコメの生産調整用の転作作物として位置づけられるが、水田での栽培は効率が悪い。10年度からコメの所得補償制度が転作作物の飼料米にも
適用されたことで、大豆から水田栽培に適した飼料米にくら替えする農家が
増え、11年産大豆の作付面積は前年より1%減少した。価格上昇は、豆腐メーカーを直撃する。
流通企業によるメーカー選別が厳しい中、上昇分のコストはメーカー側で
吸収せざるを得ないのが実情だ。一部のメーカーは「崩れにくい豆腐など
付加価値の高い商品を開発する」(太子食品工業)などで原料高のカバーを目指すが、「このままではメーカーの身が持たない」
(日本豆腐協会)との恨み節も聞かれる。
日本の食用大豆の国産シェア(09年)は22%と、多くを輸入に頼るが、
中国などの需要増から国際価格(シカゴ商品取引所、8日現在)も
60キロ当たり約31.5ドル(約2490円)と6年前の2.6倍まで
上昇している。
中長期的には需給逼迫(ひっぱく)が見込まれ、安定供給態勢の確立が急務となっている。
ソースは
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120620/mca1206200501012-n1 http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120620/mca1206200501012-n2 “2011年産国産大豆の入札価格”というグラフは
http://www.sankeibiz.jp/images/news/120620/mca1206200501012-p2.jpg