ハイアール(海爾)というと、日本では「中国でトップの家電メーカー」というイメージを
持つ人が多いが、冷蔵庫、洗濯機など白物家電の生産シェアはすでに日本勢や韓国勢を追い抜き、
「Haier」は世界のトップブランドになっている。イギリスの調査会社ユーロモニターに
よると、2011年のハイアールの白物家電世界シェアは7.8%で3年連続首位。洗濯機では12.3%、
冷蔵庫では16.5%ものシェアを取っている。
そのハイアールが今年に入って日本市場への攻勢を強めている。パナソニックから三洋電機の
白物家電ブランド「AQUA」を譲り受け、「Haier」とのダブルブランドで商品ライン
ナップを強化。小泉今日子さんをイメージキャラクターに広告宣伝活動も活発に行っている。
「AQUA」の初年度の売上目標は350億円、シェアの目標は10%で、2015年には冷蔵庫も
洗濯機も15%の国内シェアを奪取したいと強気だ。ハイアールはアジア地域の統括本部を
大阪に設置し、国内販売会社はブランド別に二本立てとした。開発拠点「R&Dセンター」を
東京と京都に設けるなど、家電メーカーとして日本に根付かせる体制を固めている。果たして
ハイアールは、日本市場で成功するだろうか?
■ホームセンターという新しい販路を開拓
ハイアールについて、家電の業界を少し知っている人なら、こう言うかもしれない。
「日本のメーカーと家電販売店の密接な関係に、割って入るのは至難の業だ」。
いわゆる販売奨励金(リベート)の話だけではない。メーカーは家電量販店に店頭販売員を
派遣しているし、販売促進のためなら流通に対して陰に陽に、さまざまなサポートを行う。
家電量販店トップのヤマダ電機がメーカーに販売員の派遣を強要したと、独占禁止法違反で
公正取引委員会から排除措置命令を受けたのは2008年のことである。
そんなベタベタな関係がある世界に、家電量販店が「どうせ数が出ないから置くだけムダ」
「うちへのサービスが悪い」と言いそうな新参メーカーはなかなか入りづらい。だがハイ
アールは、そのルートにはこだわらない。旧三洋電機のよしみもあり、コジマ やケーズ
デンキ 、ビックカメラ 、ヨドバシカメラのような家電量販店ルートや、イオンやイトー
ヨーカ堂、西友のような大手流通ルートでも製品を販売しているが、それらと全く別の
ルートも独自に開拓し成果をあげている。「ホームセンター」である。
ホームセンターと言っても大手の大型店舗なら、生鮮食料品を除けば大手スーパー顔負けの
品揃えがある。海外から直輸入するプライベートブランド商品にも力を入れていて、安いと
評判だ。家電の取り扱いも白物家電を中心に広がっており、たとえばキッチンまわりなら、
茶碗1個から冷蔵庫まで「ワン・ストップ・ショッピング」で揃う強みがある。(※続く)
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http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0616&f=business_0616_040