福井県は22日、「攻めの企業誘致」に向け部局横断でつくる企業立地推進戦略本部の
本年度2回目の会合を県庁で開いた。嶺南を中心とする原発立地・周辺地域では
電気料金が安いという電力供給県の特性を前面に出してアピールし、県外製造業などを
対象に誘致を働き掛けていくと確認した。
同本部は昨年5月の機構改革とともに新設。満田誉副知事を本部長とし、産業労働部と
東京、大阪両事務所などの職員で構成。東日本、西日本のエリア別に営業本部を置き、
企業の情報収集や誘致活動に取り組んでいる。
県内に立地しようとする企業向けの優遇措置の一つとしては、原発立地市町と周辺市町
では電源3法交付金を活用した電気料金の割引が受けられる制度がある。県の試算に
よると、契約電力量2千キロワットの大規模工場が立地する場合、電気料金は8年間に
わたり約3〜5割の割引き。契約2百キロワットの中規模工場は5〜6・5割引になる
という。
たとえば、関西電力管内の大規模工場をモデルとして試算すると、年間稼働率50%
などの条件で一般的な電気料金は年1億2千〜3千万円程度。これに対し、美浜町など
関電管内の原発立地市町に立地すれば、料金は年約7千万円に抑制できるといい、
企業にとってのメリットは大きい。
また、国内の原発の多くは再稼働のめどが立たず「国内で電力供給に不安がある中、
企業の海外流出が懸念されている」(満田副知事)という現状から、安定供給を必要と
する企業に対しアピールポイントになるとの考えもある。
誘致のターゲットとしては、化学や鉄鋼、電子関係のほか、24時間稼働するデータ
センターなどの業種を想定。安価な電気料金の試算データを示しながら営業活動をする。
会合で副知事は「本県は電力供給地として安価で豊富な電力があると前面にPRし、
県内で安心して操業してもらうよう誘致に努めてほしい」と述べた。
また、県は県外製造業の県内移転経費を補助する新制度も6月定例県会に提案しており、
県会で承認されれば併せてPRすると確認した。
◎
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/politics/35375