女生主ってけしからんな その909

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 前回の本コラムでは、「夫に養われる」という生き方を選ぶ女性が再び増えている背景
に、社会保険の「被扶養者」という制度があることを指摘した。
現行の社会保険制度では、会社員や公務員の夫の収入で生活している妻は、本人の年収
が130万円未満までは保険料の負担なしで健康保険や国民年金に加入できることになって
いる。これを超えると妻本人が保険料を負担することになり、年収130万円未満の人より
手取りが減るという逆転現象が起こる。
また、1日の勤務時間と1ヵ月の勤務日数がともに、正社員の4分の3以上になると、年収
130万円未満でも社会保険に加入することになる。そのため、労働時間を調整しているパート主婦も多い。
では、なぜ被扶養者の認定基準は130万円未満なのだろうか。
「国が決めたから」と言われれば、それまでだが、このように明確な数字で区切るから
には何か根拠があるはずだ。そこで、今回は、健康保険の歴史をさかのぼって、被扶養者
の認定基準の疑問を解いてみたい。
■70年代までの収入基準は健保組合が独自に決めていた
日本の公的な医療保険は、会社員は健康保険、公務員は共済組合、自営業は国民健康
保険というように、職業に応じて異なる制度に加入する。
この中で、会社員と公務員の制度には、その妻や子ども、親などが保険料の負担なしで
医療給付を受けられる「被扶養者」というものがある。
自営業の国民健康保険には「被扶養者」という概念はなく、世帯主だけではなくすべての家族が保険料負担の対象になるので、被扶養者は会社員や公務員の家族の特権ともいえる。
とはいえ家族なら誰でも被扶養者になれるわけではない。加入者の収入で生活している
ことが条件で、現在はおもに被扶養者の年収がいくらかによって判断される。しかし、
この年収要件は法律で定められているわけではない。
健康保険法に記されているのは、「健康保険の加入者の収入で生活している三親等内の親族」「同居しているかどうか」といったことだけだ。
そのため、1970年代半ばまで、収入のある妻が被扶養者になれるかどうかは、それぞれの健康保険組合が独自の判断で決めていたようだ。しかし、パートで働く主婦が増える中で、国の基準を求める声が上がるようになる。
■バブル景気で引き上げられた被扶養者の年収基準
実は当時から、被扶養者の基準を安易に年収で区切ることは、「自由な働き方を阻害
し、数字がひとり歩きする」と厚生省内では懐疑的な意見も出されていたようだ。その後
、被扶養者になるために働き方を調整する主婦が増えてきたことを考えると、当時の行政官たちの見識は将来を見越したものだったと言えるだろう。
しかし、1977年になると、「収入がある者についての被扶養者認定について」という厚生省(当時)の通達(昭和52年4月6日、保発第9号・庁保発第9号)が出され、健康保険
の被扶養者になれる妻の年収は、70万円未満で、夫の年収の2分の1未満と決められる
(ただし、2分の1以上でも世帯収入を総合的に判断して決められることもある)。
ソース:ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/20025