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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M5FUJ36JTSEE01.html1/2] 6月12日(ブルームバーグ):ギリシャのユーロ圏離脱の是非をめぐる議論はどれも的外れだ。
むしろドイツの離脱の方があらゆる方面に良い結果をもたらす可能性がある。
ユーロ圏は崩壊へと向かっており、欧州首脳が宙に浮いている多くの改革案を実行に移し、
根本的な改革に断行しない限り、これを避けることはできない。
ギリシャとアイルランド、ポルトガルの危機は、ユーロ圏4位の経済大国スペインに波及した。
次はおそらくイタリアだろう。
しかしユーロ圏には、これら諸国全てを救済する財政的余裕はない。
追加借り入れも、根本的な問題である過剰債務をさらに悪化させるばかりか、域内の南北対立をさらに強める恐れがある。
多くの国は、健全な経済成長を実現しない限り、ソブリン債再編を余儀なくされるだろう。
2年間にわたったギリシャの債務再編を振り返れば、今後数カ国が債務再編を余儀なくされた
場合、極めて困難なプロセスが予想される。
ギリシャがユーロを離脱した場合、状況はいっそう悪化するだろう。
ギリシャに限らず、どこの加盟国が次となろうとも、それをどのように扱うかの決定や対処のメカニズムが存在しないからだ。
離脱を管理できたと仮定しよう。しかし、もっと恐ろしいシナリオは、危機に見舞われている
他の諸国で、銀行の取り付け騒ぎや破綻、無秩序状態など制御不能なパニックが生じて離脱に
追い込まれることだ。
この場合、数千億ユーロの債務の履行が拒絶され、欧州金融システムは過度に緊張し、ドイツさえも混乱にのみ込まれるだろう。次はどのドミノが倒れるかと誰もが戦々恐々となり、
世界経済はまひ状態となる。ではドイツがユーロ圏を離脱した場合はどうだろうか。
統合や多様な再編が不可能な上、ぜい弱な加盟諸国の離脱も困難だとしたら、ドイツ離脱という
シナリオは実際のところ、考え得るあらゆる選択肢の中で最善かもしれない。■パニック引き起こさない
ドイツのような大国が一国だけ離脱するのは、比較的迅速に実行できるため、他の諸国で
パニックが起きないうちに完了できる。どこが離脱してどこが残留するといったことで悩むこともない。ドイツは強い輸出を失い、ユーロは急落するだろうが、例えば再導入された場合のギリシャのドラクマのように実質的に無価値になることはないだろう。
ユーロが急落すれば、ギリシャの離脱や切り下げが持つ意味も小さくなるので、危機の波及や
取り付け騒ぎも起こらない。新たな為替レートの下で非ユーロの金融安全圏通貨はすべてが
著しく上昇し、低価値の自国通貨への切り替えを余儀なくされるという脅威は取り除かれる。
従って南欧諸国の預金者は他国に逃げ出す必要もなくなるというわけだ。
さらにドイツの離脱は、残留したすべてのユーロ圏諸国に即効性のある恩恵をもたらす。
ユーロ急落によってこれら諸国の国際貿易競争力が大幅に向上することになる。これはまさに
南欧諸国に最も必要だと指摘されてきたことだ。ユーロ圏の国際収支が改善すれば、対外債務の
返済に必要な資金を手に入れられる。こうしたことはユーロ圏全体の安定にも寄与するだろう。