経済の立て直しを図っているスペインで、7月中旬からマドリード首都圏にある
全ての店が日曜日も含む24時間営業が可能となるが、その効果に疑問の声も
上がっている。
現行法では、基本的に日曜日は営業が禁じられている。今回の措置は、中道右派の
ラホイ首相が進める経済立て直し策の一環で、約4人に1人が失業している同国の
雇用促進につながると期待されている。ある調査によると、スペイン全土で営業
時間を緩和すると、向こう3年間で少なくとも2万人の雇用が創出されるという。
ただ、伝統的にキリスト教のカトリック信者が多い社会で、日曜日に働くことは
大きな文化的変革となる。日曜日に教会に行かないような、あまり敬虔(けいけん)
ではない多くの信者ですら、日曜日には買い物や仕事ではなく、家族や友人と
過ごすものだと考えている。
また、今回の措置で恩恵を受けるのはデパートなどの大型店で、小売店は打撃を受ける
との見方もある。多くの小売店は営業時間が変わることや、日曜日に営業するために
人件費を払うことには消極的だ。
マドリードで金物店を営むエウジェニア・サンチェスさんは「小売業がスペインの
活力源なのに、大型店が日曜日に営業するとなれば、私たちのような店は打撃を被る
だろう」と語った。サンチェスさんは日曜日に営業するかまだ決めていないというが、
「すでに1日10―12時間働いている。日曜日は家族と過ごす時間」とあまり乗り気
ではない様子だった。
同市の高級ショッピング街で働くフアナ・マリア・バッラさんは、「週末になると、
この辺りの人はいなくなってしまう。いるのは観光客だけ。7―8月は、マドリードは
閑散としている」と語った。
◎
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE85J05O20120620