生活不活発病、被災高齢者で深刻…2割歩行困難
東日本大震災後、外出や体を動かす機会がめっきり減ったことで、心身の機能が低下する生活不活発病の症状を訴える高齢者が増えている。
仙台市医師会などが今年1月に行った調査では、65歳以上の外来患者1万人のほぼ2割が、歩くことも困難なほどだった。
民間住宅を借り上げた「みなし仮設」や親類宅にいる高齢者では、実に4割が歩行困難な状態。
調査は同医師会と国立長寿医療研究センター(愛知県)の大川弥生・生活機能賦活研究部長が共同で実施。
仙台市内の診療所など約700か所を受診した高齢者に書面で調査し、1万105人が回答した。
それによると、震災後に足腰が弱まり、1月時点でも歩行困難な状態が改善していなかった高齢者は、19%にあたる1899人に上った。
「みなし仮設」に住む高齢者では418人のうち191人、親類宅に身を寄せる高齢者では216人のうち98人が、
歩行困難な状態で、いずれも45%にあたり、プレハブ仮設住宅居住者の30%を大きく上回った。
震災後に歩行困難となった要因を尋ねると、「日中の生活が不活発になった」が最も多く、「病気・ケガの発生」や「要介護認定」が続いた。
調査を行った大川部長は、「プレハブ仮設住宅の居住者だけでなく、アパートや親類宅で暮らす高齢者も含め、幅広い対策が必要だ」と指摘する。
同医師会の永井幸夫会長も「被災者に継続的に接しているかかりつけ医が、対策と予防に関わることが重要だ」と話す。
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