少子化や若者のクルマ離れで、自動車教習所の卒業生が減っている。兵庫を含め、全国の指定教習所の卒業生はこの20年で4割減。
教習所も約150校が姿を消した。値下げ合戦に加え、入校特典として温泉観光ツアーやケーキバイキングを企画する教習所も現れるなど、
あの手この手の顧客獲得競争が続いている。(飯田 憲)
全日本指定自動車教習所協会連合会(東京)によると、指定教習所の卒業生は1990年の約261万人をピークに減り始め、
2011年は154万人。指定教習所数も1317校と、20年前から約150校減った。
兵庫県内の指定教習所も同様に、90年に10万4千人いた卒業生は、11年は約6万9千人と激減している。
「経営環境はどこも甘くない」(兵庫県指定自動車教習所協会)といい、県内でも生き残りをかけ、
独自のサービスで奮起する教習所が目立つ。
尼崎ドライブスクール(尼崎市)が目指すのは、交通安全をテーマにした地域貢献だ。地元の警察と連携し、
子どもや高齢者を対象にした教室を開催。また“未来の教習生”を獲得すべく市内など近隣の高校へ指導員を派遣し、出前授業を行う。
ソース 神戸新聞(2012/06/22 11:16)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0005155064.shtml 地域性を生かした取り組みも。神戸ドライヴィングスクール(神戸市北区)は、
合宿免許の教習生を対象に入校特典で有馬温泉観光ツアーを用意した。「講習後の温泉めぐりが好評です」と同スクールの担当者。
はりま自動車教習所(高砂市)はバリアフリーに力を入れる。聴覚障害者用の学習教材とともに、
手話のできる指導員を配置。ポートアイランドドライビングスクール(神戸市中央区)は、
教習生に学生が多いこともあり、週2回ケーキバイキングを開催している。
一方、教習所間で差が出るのが受講料。10万円台で免許が取れる教習所も登場し、
ある県内の教習所関係者は「兵庫の安さは全国でも際立っている」と明かす。
こうした現状に対し、運転免許を交付する側の心情は少し複雑だ。兵庫県警交通企画課によると、
免許取得後1年以内のドライバーの交通事故は過去3年間1000件前後で推移し、死亡事故も起きている。
県警は、県内の指定自動車教習所ごとに卒業生の事故状況を毎年公表するとともに、
教習生に対する指導を定期的にチェック。県警運転免許試験場は「ドライバーの質が下がらないよう目を光らせたい」としている。