635 :
名無し募集中。。。:
れいなが、言葉とは反対にすごい嬉しそうな顔してるんだから。
そして彼の目にはさゆみも同じように映っていたんだろうね。
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お互いにお互いしか仲間がいなかったからだろう。
さゆみとれいなは異性同士でありながらも友達としてすぐに打ち解けた。
周りからひやかしの目で見られていても独りじゃなかったので然程気にしたりもしなかった。
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夏休み。
相変わらずさゆみにはれいなしか友達がいないのでこれといって誰かと遊ぶ等の予定が入っていたりとかは全くなかった。
かといって暇なの?と問われるとそうでもない。
さゆみは馬鹿だった。というかさゆみは基本ルックス以外のスペックは全て平均以下である。
人は生まれてくる時に何がしか秀でているものが必ずある、無能で生まれてくる運のないやつもたまにいるが。
さゆみはそれが能力ではなく顔だったに過ぎない。
つまり体力、知力、画力等に分配されるはずだった人間のエネルギー体みたいなプラズマっぽいものがさゆみの場合全て顔に集束されたんだ。
だから基本的に無能なんだよさゆみは。
前置きはここまでにしてつまり何が言いたいかというと、無能ゆえ学校のテストはボーナス前のリーマンの財布の中身並に悲惨な状況だったので、
補習があったのである。
そしてそれはれいなも同じだった。
「れいな、今日一緒に帰ろ」
「うん。帰りに本屋寄りたいっちゃん。でもれいなこの後英語の補習もある・・・さゆは終わったと?」
「英語はギリギリで回避できたからね。じゃあ待ってるよ。時間になったら来るから、またね」
「うん」
636 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 19:49:05.11 0
図書室で1時間ぐらい寝て、それかられいなを迎えに行こう。
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「やば」
図書室の時計を見ると起きる予定だった時間から10分も過ぎている。完全に寝過ごした。
まだれいなは教室で待っていてくれてるかな。10分ぐらいでギャーギャー言うようなら泣かそう。うん。
ハタから見るとゾウガメを彷彿とさせるような鈍足を極めた走りだっただろうがさゆみなりに急いでれいなが待つ教室へと向かった。
「〜〜。でさ〜」
「キャハハハ」
廊下を走っていると周りの迷惑を気にしない井戸端会議をする主婦のような耳障りで甲高い声がれいなの待つ教室から聞こえた。
同じ補習組の子達だ。さゆみのクラスメイトでいつも4人くらいで徒党を組んで行動している。
学校によくいる、目立つ系に属することも出来ない連中が中途半端に悪ぶっている感じ。
さゆみの苦手なタイプなのでその声が聞こえた瞬間、足が一層ノロくなった。
廊下にまで聞こえてくるほど大きな声で喋るなんて女の子とは思えない行儀の悪さにうへぇってなる。
教室に入りたくないけどれいながいるし仕方ないよね、と自分に言い聞かせながら開きっぱなしのドアから身を──
「マジで道重ってさあ自分以外の女みんなブス〜とか思ってそうだよね」
「思ってそう思ってそう!性格の悪さが顔に滲み出てるっつーかさあ!」
「コネ入学の無能のくせに追っかけがいるからって完全に調子こいてるからねあいつ〜」
「追っかけっつってもキモい系しか相手にしてねーし?」
「「「「キャハハハハ!」」」」
・・・・・・うわ、最悪。
ラッキーなことにさゆみが教室に入ろうとしたことに気付いていなかったのでそのままUターンして廊下の影に隠れる。
バレないようにチラっと中を覗くとれいなもさゆみの存在に全く気付いてなかったようで、一人ポツンと絵を描いていた。
あーもう健気にさゆみのこと待ってないで出てこいよバカ!こんな状況でノコノコと教室に入れるわけないでしょこの愚鈍ー!