リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第67話
188 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/04/13(日) 19:37:30.49 0
黒服を来てダンス踊ってるのはモーニング戦隊リゾナンターなんだよ
悪と戦う正義のヒーロー女集団なのさ
でも彼女達は普段は普通の社会で人間として暮らしてる
隊長の高橋は普段はジムで筋トレするOL、小春はアイドル、光井は女子高生、田中は孤独な不良
などみんなそれぞれ人間界で普通の生活を送ってんだよ
だけど悪の化身ダークネス邪鬼が街で暴れた時に
みんな集合して黒服を着て踊ってリゾナンター変身するわけよ
それを表現したのがあのPV
210 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/04/13(日) 20:08:59.27 0
ガキさん実は敵のスパイっていうのはどうだ?
でも悩んでるんだリゾナンダーたちの優しさに触れて
そして最終回で彼女は決断を迫られることになる・・・
259 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/04/13(日) 21:05:08.45 0
リゾナントイエロー(高橋)
リゾナントライトグリーン(新垣)
リゾナントオレンジ(亀井)
リゾナントピンク(道重)
リゾナントブルー(田中)
リゾナントレッド(久住)
リゾナントパープル(光井)
リゾナントインディゴ(ジュンジュン)
リゾナントグリーン(リンリン)
…
9人揃ってモーニング戦隊リゾナンダー
リゾスレ初心者向けQ&A
Q.このスレについて教えて!
A.このスレはモーニング娘。36thシングル「リゾナント ブルー」のPV(Another ver.)から想像に想像を膨らませて生まれたスレです
作者一人ひとりによって設定は異なりますが、大まかに共通している設定は
【超能力を持つ「リゾナンター」を名乗る少女たちが仲間同士心を通わせつつ「ダークネス」を名乗る敵の組織と戦う】といった感じです
Q.どの話から読めばわかりやすい?
A.テンプレ
>>1の過去ログまとめで第1話(第1スレ)に目を通すことを推奨。
スレの雑談では『蒼の共鳴』
http://resonant.pockydiary.net/index.cgi?field=44の名がよく上がります。但し一大長編ですけどねw
2周年を記念してスレの住人が色んな質問に答えているスレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/22534/1271246993/も参考になるかと Q.メンバーのキャラ設定は?
A.作者個々によって違うが多くの作品で共有している設定は以下の通り
高橋愛…………リゾナンターのリーダーで戦闘も強い実力者。喫茶店のマスターをしている
新垣里沙………リゾナンターのまとめ役?だがその正体は「ダークネス」から放たれたスパイ。後に真の仲間となる
亀井絵里………心臓病を患っておりよく入院している。さゆみと親友
道重さゆみ……絵里と親友。心の奥には「さゆみの姉・さえみ」という別人格が眠っている
田中れいな……喧嘩最強でリゾナンター屈指の武闘派。愛の喫茶店で住み込み店員をしている
久住小春………売れっ子芸能人。何も考えていないように見えて案外熱血だったりするかも
光井愛佳………家庭の内外で孤独を感じていたところを愛に救われた。リゾナンター随一の常識人
ジュンジュン…パンダに変身する一族の生まれ。変身が解けると裸になる
リンリン………パンダ一族を守る組織「刃千吏(バッチリ)」の一員。ギャグセンス以外はエリート
譜久村聖………出てきた設定は、能力複写、サイコメトリー、譜久村財閥のお嬢さん、未来から来た24歳など
生田衣梨奈……出てきた設定は、無感情、植物と会話できる、KYの空気感染など
鈴木香音………出てきた設定は、物体をすり抜ける、すごい聴力など
鞘師里保………出てきた設定は、水軍の家系の末裔、念動力(水限定)など
石田亜佑美……出てきた設定は、幻獣使役
工藤遥…………出てきた設定は、千里眼(クレヤボヤンス)
<よくわかる!? リゾナントスレの世界観図説>
リゾナンター派(多数派)─┬─ダークネスと闘う超能力少女たちだよ派(鉄板路線派)
│ ├ダークネスは悪の組織の名前だよ派(暗闇=敵だよ派)
│ │ └ラスボスの名前でもあるよ派(ダクネチュ様派)
│ ├実は前身となる正義の組織があったんだよ派(OGメンはかつての味方だよ派)
│ │ ├方針転換して悪の組織になったので新組織を立ち上げたよ派(見解の相違派)
│ │ └組織はつぶされ現メン(の一部)が生き残ったんだよ派(正義の組織再興派)
│ └前身はなく愛ちゃんが一から始めたんだよ派(OGメンは最初から敵だよ派)
│ ├最初に見つけた仲間はれいなだよ派(同居人優先派)
│ ├最初に見つけた仲間はガキさんだよ派(娘。加入順優先派)
│ ├最初に見つけた仲間はガキれな以外の子だよ派(基本にとらわれないよ派)
│ └愛ちゃんは美少女コレクターだよ派(百合愛好派)
│
├─モーニング娘。をやりつつ敵と闘うよ派(鉄板路線派「かなしみ戦隊」系)
│
├─政府直属の能力者集団だよ派(独自路線派「共鳴者」系)
│
└─その他(各種独自路線派)
リゾナンダー派(少数派)─┬─戦隊モノのヒーローなんだよ派(特撮愛好派)
│ ├各自のイメージカラーが個人の戦隊カラーになってるよ派(LLはどうなったの派)
│ └リゾナンカーとセットで使いたいよ派(とことん特撮派)
│
├─スレが始まった時はこっちだったんだよ派(原理主義)
│
└─その他(各種独自路線派)
“ター”でも“ダー”でもどっちでも派(穏健派) ─┬─面白ければなんでもいいよ派(内容重視派)
│
└─シリアスとギャグで使い分けるよ派(こだわり作者派)
【今まで出てきた能力まとめ】
高橋愛:精神感応(リーディング) /瞬間移動(テレポーテーション)/光使い(フォトン・マニピュレート)
新垣里沙:精神干渉(マインドコントロール)
亀井絵里:傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ) /風使い(ウィンド・マニピュレート)
道重さゆみ:治癒能力(ヒーリング)
さえみ(姉人格):物質崩壊(イクサシブ・ヒーリング)
田中れいな:共鳴増幅能力(リゾナント・アンプリファイア)
久住小春:念写能力(ソートグラフィー) /幻術(ハルシネーション)/発電(エレクトロキネシス)
光井愛佳:予知能力(プリコグニション)/心の浄化(ハート・プリフィケイション) /水守(みまもり)
リンリン:念動力(サイコキネシス)/発火能力(パイロキネシス)
ジュンジュン:念動力(サイコキネシス)/獣化(メタモルフォシス(トゥ・ビーストorパンダ))
譜久村聖 :能力複写(リプロデュスエディション) /残留思念感知(サイコメトラー・オブジェクトリーディング)/液状化(リキュエファクション)
生田衣梨奈:精神妨害(マインドジャミング)/精神破壊(マインドデストロイ)/植物と会話(スピリチュアル・トーキング)
鞘師里保 :水限定念動力(アクアキネシス)/水軍流の達人
鈴木香音 :非物質化(ディマテリアリゼーション)・物質透過(ペネトレイト)/超聴覚(ハイパー・ヒアリング)
ジュンジュン獣化参考画像
ttp://resonant.pockydiary.net/file/panda.jpg 喰らってくたばれ!
必殺!
ttp://resonant.pockydiary.net/file/helpme.gif
【初代まとめサイトで投稿日順に読む裏技】
まとめサイトの[検索]で「(1)」とか指定すると、第1話(1スレ目)の作品が投稿日順に並びます(降順)
(投稿日=まとめサイト掲載日時であり、スレ投下日時ではありません)
ただし、次回予告についてはシングルの順序と合わせるために
順番に並ぶように投稿日をいじってあるのでこの限りではありません
このスレに初めて来たから様子がわかんないよ、って人にはイイかも
※時々検索結果に違うスレの作品が混じりますが、本文中に張ったリンク(例:(1)123)を拾ってしまうためです
【まとめサイトVer.2で投稿日順に読むには】
タグでスレごと(第○話)の作品群を見ることができます。
登録日の順になっているのでそこからたどっていけばおk
【代理投稿を依頼するときのお願い】
したらば掲示板のアク禁スレに作品を上げるときは対処方法の指示も書いてください
例えば
・規制食らったので転載してほしい
・レス数多いから掲載を手伝ってほしい
など
転載する人は必ず投下する旨をアク禁スレに宣言していってください
(投下かぶり防止のため。宣言が同タイミングなこともあるのでリロード&しばらく待つのも大事)
川*’ー’) < テンプレの設定やまとめサイトを参考にして自由に想像するやよ
ノ|c| ・e・) < 登場人物の能力やストーリーの背景・設定は作者さんの自由なのだ
ノノ*^ー^) < シリアル路線でもコメディ路線でもお好きなものどうぞ
从*・ 。.・) < AAを使ったものや1レス完結ものでもOKなの
从*´ ヮ`) < 他の作者さんの設定を流用するのもありっちゃ
ノリo´ゥ`リ < 気に入った話の続きや繋ぎの話を書いてみるのもありカナ☆
川=´┴`) < プロットを書いて他の作者さんにストーリーを書いてっておねだりしてもええで
川*^A^) < アーでも書いてくれるかは作者さん次第ヨ
川´・_o・) < ソッカー
作品投稿の際、10レスを越える場合は連続投稿規制(バイバイさるさん)がかかるので注意。
それから1レス当たり最大32行までしか入らないのでそれも注意。
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_coming.jpg 君の作品を待ってる
<※初めてスレを訪れた方へ>
お勧めの作品やわからない用語については遠慮なく質問してみてください
スレに何人もいるであろう「生き字引」が24時間以内に答えてくれるでしょう(多分)
>>1-10 以上テンプレ
11 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 15:39:09.48 0
スレ立ておちゅ
12 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 17:35:14.54 0
スレ立て乙です
ウィキは復活しなかったのね
13 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 17:48:19.79 0
強風で停車中の電車の中からスレ立て乙
14 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 19:30:52.38 0
あげておきますわ
15 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 19:57:36.04 0
4年目の記念でなにかないかな?
16 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 20:10:28.51 0
>>3 懐かしテンプレw
でもれいなのとこのあいぼんさん設定出てきた作品あったっけ?
17 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 20:28:34.78 0
ある意味記念だね
18 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 20:31:56.44 0
19 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 20:48:21.65 0
>>18 いつか自作にアヤンツ将軍と妖魔学士コンコンを登場させるのが俺の夢www
20 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 21:48:15.58 0
初期の懐かしい設定・・・
21 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 23:15:30.63 0
前スレ埋まったみたいですね
22 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 23:31:58.57 O
連続で完スレするなんて台風が来るな
23 :
名無し募集中。。。:2012/04/03(火) 23:51:44.68 0
これで心おきなく今スレに書き込めるの
ノノハヽ
从*・ 。.・) カタカタ
|( つ_/ ̄ ̄/
`┬(_| ̄| ̄ ̄ ̄|
24 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 04:20:00.01 0
t
25 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 07:10:45.08 0
新スレ立ってたの
スレ立て人乙でした
26 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 08:20:29.85 0
おはよん
27 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 12:17:53.62 0
いつのまにか規制解除されてたよ
28 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 12:56:16.92 0
おかえりぃ
29 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 15:25:04.84 0
ふぅ
30 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 17:12:40.23 0
どうしたの
31 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 17:56:40.22 0
書く時間が欲しい
32 :
名無し募集中。 。 。:2012/04/04(水) 20:02:45.36 O
スレ立ておちゅ。
>>31 待ってます。
どうもカナリアの人です。最近落ち着かず、とても文章を書くような精神状態ではなく投下を怠ってしまいました。
すいません。
また落ち着いたら路線変更をするかもしれませんが焼銀杏関連で何か投下したいと思います。
33 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 20:50:11.62 0
おぉ!あのお話も好きです〜
心身共に健康あってのことですから
ご自愛下さいね
34 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 21:54:19.14 0
学園潜入は週末にでもあげようかと。
35 :
名無し募集中。。。:2012/04/04(水) 22:03:52.24 0
俺の待ってる話の続きも来て欲しいな
36 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 00:30:10.64 0
寝るナント
37 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 00:35:34.36 O
それでは聴いてください
今週発売のモーニング娘。ニューシングルで
「リゾナントブルー」
38 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 02:59:06.17 0
上げるよ上げるよー
39 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 06:47:07.09 0
みなさんお疲れ気味ですね
40 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 07:12:00.21 0
おぱよん
41 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 07:55:48.47 0
>>32 ゲームの世界に紛れ込んだ話の続きをまってるぜ
42 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 12:14:07.00 0
続きが読みたいなら保全もね
43 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 12:59:04.16 0
昼食前のホゼ
44 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 15:25:00.55 0
ほ
45 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 15:25:57.39 0
ちょっと息切れ気味?
46 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 17:21:47.04 0
というか気が抜けたというか
47 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 18:42:12.14 0
規制されてるホゼナンター何人いるんだろ
48 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 20:02:09.09 0
会社が規制されて昼間役にたたない俺がいる
49 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 20:05:40.53 0
ダークネスの陰謀か
50 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 22:12:23.79 0
50いくのも大変だ。
51 :
名無し募集中。。。:2012/04/05(木) 23:55:48.07 0
ホゼナンライス特盛
52 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 00:36:29.71 0
用語ウィキが復活しとる
53 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 01:22:32.83 0
うぉぉぉぉぉ!
久住小春をあと一歩のところまで追いつめた鞘師里保の耳に飛び込んできた大きな叫び声。
何かに躓きながら廃ビル内の階段を駆け上ってそいつはやってきた。
生田衣梨奈。 組織が身柄を確保しようと躍起になっていた能力者。
里保の口から投降を促す言葉が発せられたが、それには一切反応せず、意味のない側転に大振りの回し蹴り。
不規則な動きを繰り返す衣梨奈に里保はかなり手を焼いていた。
衣梨奈を仕留めるのは容易いが、大怪我を負わせて再起不能にしては組織の不興を買ってしまう。
そしてその責めは、里保本人でなく鈴木香音が負わされてしまうことになる。
それだけは避けたい里保は、自分の動きに制動をかけていた。
衣梨奈の奔放極まりない攻撃に反応して、致命傷を与えるような反撃を繰り出さないように。
「あんたぁ、全然大したことないっちゃね」
グズグズしていては、戦闘不能に陥っている久住小春が復活してきてしまう。
それなりの場数は踏んでいる光井愛佳に、的確な指示を出されるのも望ましくない。
衣梨奈を仲間から引き離すために、里保は背中を見せて逃走した。
逃げる里保の姿に勢いづいた衣梨奈は、愛佳や小春をその場に残し、追ってくる。
開けた場所から、廃ビル解体の為に組まれている足場に足を踏み出した里保の手には、開栓されたサイダーのペットボトルが握られていた。
久住小春に対した時のように、アクアキネシスで操った水を呼吸器に侵入させて戦闘不能にさせるのが目的だ。
−お前なんかにくれてやるのは勿体ないけどな−
組織の為に働かされるようになる前、香音と1本のペットボトルを分け合って飲んだ時のことが頭に浮かんだ。
隙を突き一気にサイダーを飲み干そうとした香音。
里保監視の目が光っているにも関わらず、大慌てで香音からペットボトルを奪い取った。
記憶の中の二人は笑顔が続く…。
「もう逃げる場所はないとよ」
足場の上を衣梨奈が近づいてくる。
−ああ、これで終わらせる−
狭い足場の下は地面まで20メートルぐらいの高さ。
避けようのない状況で繰り出した水の槍は、何故か大きく狙いを外した。
うぉぉぉと唸り声を上げながら突進してくる衣梨奈を捌きながら、攻撃が不発に終わった原因と対応策を考える。
−こいつは周囲にいる人間の精神の働きを不調にさせるのか−
思案は決まった。 アクアキネシスが使えないならば、何としてでも体術で捻じ伏せるしかない。
身体を入れ替えながら、隙を窺う里保を衣梨奈の大振りなパンチが襲う。
冷静に見切って無防備な衣梨奈に反撃しようとした里保は自分の体が宙を舞っていることに気付く。
−こいつ、気体を操作できる。 私が液体を動かせるように−
衣梨奈の周囲に居た人間の様子がおかしくなったのは、急激な気圧の変化で潜水病のような症状が出たのだろう。
アクアキネシスで放った水の槍が外れたのは、衣梨奈が周囲の空気を屈折させて、里保の視覚を狂わせたのだろう。
そして、今里保の体が宙を舞っているのは…。
−小さな竜巻を起こしやがった。 それも無意識のうちに能力を暴走させて−
廃ビルに設置された足場から数十メートル上方に吹き飛ばされた里保の目に、悲鳴を上げながら宙を舞っている衣梨奈の姿が映った。
衣梨奈の身体はクルクルと回転しながら廃ビルの隣の雑居ビルのテナントの看板に激突して地上に落ちた。
−ははっ、いい気味じゃ−
衣梨奈は気を失ったのだろう。 里保の身体を宙に浮かせていた空気の奔流も消えた。
急激に落下した里保も廃ビルの足場を掠めて地上に激突した。
次回、暁の戦隊 第9話「悲しき恋のメロディ」
−かのんちゃん、プリンたべて・く・・れ・・・た・・・か−
暗闇の中、薄れ行く意識。 里保をEndless blueが包む。
56 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 01:32:15.18 0
>>54-55 仲間を救う為に自分が傷つくことも厭わずに突進する【狂戦士】生田を描きたかったのですが筆力が伴わない
それとアニメ化とかドラマ化を考えると【精神破壊】なんていう設定は色々厄介ですからねw
他人の精神を不調にさせるという現象を【気体操作】の能力で無意識のうちに起こしていたという風に読み取っていただくと幸いです
57 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 07:31:11.83 0
読む前ホゼナント
58 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 09:26:48.90 0
>>56 前回のラストは生田さんの姿にジンときたのですが……今話ではむしろ怖いw
ストーリーそのものもですが過去に出た能力案をうまく色々繋げてるとこに痺れます
59 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 12:48:59.16 0
>>56 小春を圧倒した鞘師にしてはあっさりやられちゃったかなと思ったが香音ちゃんという足枷があったからなのね
KYな生田が空気を無意識のうちに操るというのは面白い設定じゃまいか
60 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 15:28:02.03 0
伸びないねえ
61 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 15:29:00.68 0
ノリo´ゥ`リ <なんか小春プリンみたいな胸って言われたー
62 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 16:21:54.58 0
平らなプリンですね
63 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 17:05:33.73 0
デカプリンっていうのが出て来たけどね。
ソッカー
65 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 20:26:51.57 0
今回はなかなか伸びないね、平日だからかな?
66 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 21:57:27.63 0
規制の影響じゃなかろうか
67 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 22:16:36.18 0
削除依頼で無茶したやつっがいてねw
68 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 23:35:01.72 0
揚げ南都
69 :
名無し募集中。。。:2012/04/06(金) 23:49:15.69 0
PCは最近調子がいいからあれだけど携帯の方はもうダメっぽい…。
かれこれ半年くらい忍者なんとかで引っ掛かってるから。
70 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 00:26:24.60 0
71 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 03:46:00.72 0
t
72 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 08:05:51.69 0
73 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 09:15:53.79 0
「リゾナントシティももうすぐ無事4周年を迎える。だが油断するな。日々のパトロールを怠るな。頼んだぞリゾナンター諸君!」
「「「「「「「「ラジャー!!」」」」」」」」
若々しさ溢れるフレッシュな声とともに、8人は敬礼の後、揃って基地を飛び出した。
…飛び出しかけた。
「待ちぃっ!待たんかいあんたら!なに普通に『ラジャー!!』言うとんねんクジュッキーズ!あんたらリゾナンターちゃうやろ!」
ようやく治りかけている脚をかばうようにしながら、光井愛佳が8人の前に立ち塞がっている。
「えー、リゾオリメン主義派の人にとってはそうかもしれませんけど」
「もうテンプレにも載ってますしいいじゃないですかぁ」
「別に最初の9人をないがしろにする気はありませんから」
「むしろこの作者も9人時代引きずってる口みたいですよ」
「やかましいわ!そういうこと言うてんのとちゃうねん!それやったらそれで話の最初に何らかの説明せぇ言うとんのや!読んでる人混乱するやろ!」
「ですけどこのシリーズでそこまでする必要……はうっ!ごめんなさい!でも光井さんのその冷たい目…素敵ですっ」
「田中さんのお弁当食べてしまってすみませんでした!」
「まぁちゃんは天使になりたい」
「…新メンバー書けないなら書こうとすんなよ(ハスキーボイス)」
「ほらみい!こういうガッカリなことになるやろ!そやから言うてんねん!どうしてくれんねんこれ!」
ここぞとばかりに、しゅびしぃっっと指を突きつけ激しいツッコミを繰り出す光井マングローブ愛佳。
勝敗は決したかに見えた。
「まぁちゃんはいろいろな人をたすけて神様にあいたいんです。いってきまーす」
「ちょ、佐藤…!待て言うてんねん!話聞け!まさかこんな調子で話続ける気ぃか!こら!待ちぃやって!おい!」
しかし、あの田中れいなをも骨抜きにしたという小学生…もといこの春から中学一年生にはさしもの愛佳も敵わなかった。
「行ってきます」「行ってきまぁす」「すみません光井さん!」
「お前ら後で覚えとけよぉぉぉ!!!」
脚をかばう愛佳を若々しさ溢れる全力ダッシュで置き去りにし、8人は今度こそ基地を飛び出した。
「光井さんだいぶ怒ってたけど大丈夫かな…」
街に着いたところで、愛佳チルドレン香音が心配そうな声を出す。
「大丈夫大丈夫。なんとかなるっちゃん」
「そうそう、なんとかなるって香音ちゃん」
「いざとなったらわたしのチカラで何とかするから。お金のチカラで」
「お金の力かよ!出たよ財閥発言!『All is money』の精神!」
「ゴゴゴゴゴゴゴゴ………」
「…ねえ、はるなん…何してるの?」
「ジョジョ立ちに決まってるじゃん」
「ジョジョ…立………?」
「ねえ、まぁちゃん寝るのとパトロールとどっちとったらいい?」
「…パトロールだろ。っていうかさっきからめっちゃ体ぶつかってるんだけど」
悪いこと言わへんからこのまま突っ走るんはやめときって!
今からでも無理やりリゾオリメン登場さして話進めな大事故になるって!
そんな愛佳の必死の叫びも空しく、無情にも話はどんどん進行していくのであった。
「おーおー、またキャピキャピしたんがわらわらおるな」
そのとき、表現からして明らかにジェネレーションが異なる感満載の声が降ってきた。
声の出どころには、言うまでもなくダークネスの大幹部・中澤裕子の姿があった。
「あ、あの人は……!」
「あはは、また関西弁だぁ〜」
「そこ?えりぽんそこ?っていうか笑うタイミングじゃないよ今!」
「出たなダークナス!」
「そうそう闇のルートでナスの売買をする組織の……って里保ちゃんボケが微妙だよ!ボケたのか噛んだだけなのかすら判断つかないよ!うまく拾えないよそんなの!」
「あなたの心に優しい風が流れますように」
「だからそれ亀井さんの台詞!しかも次回予告のときの台詞!っていうか結構前の人様のネタ!(※参照
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/404.html)」
「あーうるさいうるさい!のっけからしょうもないことゴチャゴチャゴチャゴチャ!あっちでやっとれ!」
「す、すみません。ほら、行くよあっち。どうせこれ以上大人数動かし続けるのも無理だからこの作者じゃ」
空気を読んだ香音に追い立てられ、大事故寸前(?)で9期メンバーは戦線を一時離れる。
「あなた…『覚悟して来てる人』……ですよね。人を「始末」しようとするって事は、逆に「始末」されるかもしれないという危険を、常に『覚悟して来ている人』ってわけですよね…」
「あ…?なんやと?覚悟なんざ毎瞬しとるわ!何年この世界で生きてきとる思てんのじゃコラ!」
「はうっ…ごめんなさい!一度言ってみたくて……ジョルノ・ジョバァーナの名台詞をどうしても一度言ってみたくて……」
「はるなんが危ない!『カムオン!リオン!アタックモード!』」
「待ってー!亜佑美ちゃん待って!今すぐライオンさん戻してって亜佑美!こんなふざけきった話で安易に出していい設定じゃないって絶対それ!怒られるって!おい作者!お前も空気読めよ!」
「鈴木さん遠くからツッコミ大変そう〜」
「だからさっきから体ぶつかってるってば!何回ぶつかるんだよ!周り見えてんのかよ!」
「ん〜…見えてるのと見えてないのの真ん中ぐらい」
「どっちだよ!っていうかお前らもういいよ!はるが一人で闘(や)るから!」
ハスキーな声でそう言い放つと、リゾナンター最年少のヤンキー少女は、ダークネス最年長の元ヤンキーばっちゃんと単身向かい合った。
「…ってコラ!誰がばっちゃんや誰が!辻加護でも『おばちゃん』やったで!」
「あんたらが日本の未来はイェイイェイウォウウォウ言ってる頃、はるかはまだ生まれてなかったんだ!」
「!!マジか!?」
「あそこにいる最年長のメシ(ジョジョバカ)のお父さんとお母さんは36歳なんだ!」
「!!!!!マジスカ!?マジで言うてんのかそれ!?」
ぐらり……と、中澤の体が揺れる。
「効いてる……くどぅーの口撃が…あの中澤さんにダメージを与えてる…!」
ツッコミから実況へと回った香音が、驚きの表情を浮かべつつ読み手に状況をアピールする。
「ぐ……子どもや思て甘く見とったわ。お前…ウチの若い頃によう似とるな。大したタマやないか」
「はるかケンカちょー強いんで!ヨロシク!」
「今はまだチワワでも、いつか狩猟犬になる日が来る…!今のうちに芽を摘んどかな……危険やな」
「はっ!今でもあんたの喉笛食いちぎるくらい、よゆーでできっから!チワワ舐めんな!」
狂犬の系譜に連なる匂いを嗅ぎ取り眼光の鋭さを増した中澤に対し、遥は一歩も引くことなくハスキーな声と掲げた拳をセットにして睨み返す。
「ガチだよ……ガチの殺(や)り合いの空気だよこれ……」
新旧狂犬同士の対峙から発される凄まじいばかりの気迫を、絶対音感の持ち主である香音は人並み以上に感じ取っていた。
「…って絶対音感全然関係ないじゃん!」
それでもツッコミは忘れなかった。
「ほんま大したやっちゃな……そやけど!」
「!!」
突然、中澤の前で空間がパックリと裂ける。
「あれは……いくつかある中澤さんの能力設定のうちの一つ、“空間裂開能力―スペース・リッパー―”!!」
もちろんツッコミだけでなく実況&解説も香音は忘れない。
「どうや?お前の能力で、ウチのこの能力に対抗できるんか?」
「無理だ!くどぅーの能力設定は今のところ一つしか出てきてない!しかも戦闘系能力じゃない!これじゃ勝ち目は薄いよ!」
香音の状況説明的実況は続く。
「そや、今まで出てきたお前の能力はたった一つ。しかも戦闘の役には立たん千里………ッ!!なんやて!」
突然、遥の前で空間がパックリと裂ける。
「空間が裂けた!あれはッ!今のはッ!間違いなく中澤さんの“空間裂開能力―スペース・リッパー―”ッ!!どうしてくどぅーも使えるの!?」
状況説明おつ香音。
ドドドドドドド…………
こっそりジョジョバカが心の中で入れる効果音をバックに、遥はやや俯いたまま思わせぶりな沈黙を保つ。
そして、ゆっくりと顔を上げた。
「何ッ!」
「くどぅー!その目はッ!」
赤く光った遥の瞳に浮かぶ勾玉文様。
「そう、はるかの能力……“写輪眼”であんたの能力をコピーした」
「って待たんかいーーーーー!!!」 「待てぇぇーーーーー!!!」
もちろん、同時に即ツッコミが入った。
「写輪眼て!何か忍者の漫画のあれやろ!知らん人分からへんわ!っていうかだから千里眼やろお前のは!せんりがんせんりがんしぇんりがんしゃりんがん…って強引すぎるわ!」
「おい作者いい加減にしろ!自分自身ろくに知らないものを話に入れようとするな!しかもダジャレって!せんりがんせんりがんしぇんりがんしゃりんがん…って強引すぎるから!」
紛れもなく強引すぎる展開に、中澤と香音は全力で物申した。
「リンリンさんが……好きだった漫画ですね……」
そのとき、香音の隣でことの成り行きを悠然と見守っていた聖が、ポツリと呟いた。
何となくさみしい空気がその場を包む。
「なんやねん!なんやねんこの空気!ウチか?ウチが悪いんか!?っちゅうかまるでリンリンが故人みたいな言い方してやんなや!」
「リンリンさんは……リンリンさんはいつも笑顔を忘れない人でした!どんなに辛いときだって!悲しいときだって!」
「そやから!別に今もそやろが!何でそれを永遠に失ってしまったみたいな言い方しとんねんって!」
「わたしは……わたしたちはその笑顔をいつまでも忘れちゃいけない!明日に……未来に繋いでいかなきゃいけない!それがわたしたちのすべきこと!」
「ちょ、なんやねんこの唐突すぎなクライマックス感!お前まさか……強引に終わろうとしてへんか?」
何かに気付いた中澤の耳に「ジャキッ!」的な音が、そしてその目に信じられない光景が飛び込んでくる。
「な、ちょ、それ…!ロケットランチャ……」
「新たに萌芽するチカラ…「こ、この能力はッ……!」「バカなッ!色だけではなく味までッ!?」次回、リゾナントブルー85(はう)話『茶色のセレナーデ』(チョコレート色ですっ!)」
「次回予告!?やっぱりめっちゃ終わる気やないか!なんやってんここまでのくだり!なんやねんこの話!読んでくれた人に時間返せ!っちゅうか待て!待ていうてんねん!!」
「この番組は譜久村の提供でお送りいたしまし……た!!」
「あああぁぁぁっっっ!!!!」
ちゅどーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!
「あなたの心に優しい風が流れますように」
番組スポンサーである聖(※再参照
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/404.html)に怖いものなど何もなく、さっきの本番中に練習していた絵里の台詞を、満を持してドヤ顔で言うのであった。
こうして今回も譜久村の提供により、戦いは終わったのであった。
そして、青空を守るため、リゾナンターたちは今日も胸の高鳴る方へゆくのであった。
79 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 09:20:25.10 0
>>73-78 以上
『承げ!!!!!リゾナンター』 (※読み:うけつげ!!!!!りぞなんたー)です
人様の設定とかネタとか時間とか大切なものいろいろ盗んで本当にすみません。。。
ちなみにガキ&れなは福岡に和解旅行中
さゆみんはとっっても睡眠中の設定です
80 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 09:24:27.06 0
>>79 おもしろかよ〜
やっぱり910期にはコミカルが似合う気がする
和解旅行心配w
81 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 10:28:42.48 0
>>79 おっつ〜
このシリーズの肩の力が抜けた感は好き
ガキれなの和解旅行も気になる
82 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 13:07:36.70 0
昼食後のほぜなんと
>>79 みっつぃカワイソス
作者がクジュッキーズを未消化ながら頑張ったことは伝わったw
84 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 15:05:52.11 0
ホゼナント
85 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 15:11:24.13 0
めっちゃ笑ったわ
乙です
86 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 17:25:19.66 0
あげておきますわ
87 :
名無し代理中。。。:2012/04/07(土) 17:37:03.71 0
「御苦労だったわね。」
「はい。飯田様のお指図どおりに・・・」
鳳卵学院・理事長室には大量の針がケースに入れられている。
そしてそこにはダークネスの予知能力者・飯田圭織の姿があった。
「しかしよろしいのですか?本来の目的はサンプルとなる能力者の確保のはず。針から採取したDNAだけでは実験が・・・」
「いいのよ、これはあくまでの予防措置。この学院にはあの忌々しいリゾナンターもいるからね。吉川、捕えているあの3人を殺してきてちょうだい。」
「よろしいのですか?」
友はどうやらダークネスが敵であるリゾナンターを味方に欲しているのを知っているようだ。
「構わないわ、正直言うと、裕ちゃんの思い通りに事が運ぶのは納得できないから。」
「わかりました。」
友は理事長室を出て行った。
飯田が残された部屋にはさきほどれいなたちと激闘を繰り広げた恵理菜がすやすやと寝息を立てている。
「強大な力を持っていてもそれを制御できずにすぐに倒れてしまう。兵隊には向かわないわね、あなたは・・・」
矢島警備隊本部
れいなたちは檻からだされていた。
しかしピアノ線できつく拘束されたままだ。
「あんたが黒幕だったと!」
「そうね、この針で人を惑わせていたのは事実よ。でも、これはお金をもらってやっていた単なるビジネス。」
「ひどいの!あなたに操られて、心を傷つけられた人が大勢いるの。」
「あなたもそのひとりよね。面白かったわよ、親友の首をしめる姿を見ていて・・・」
友はひとり笑っている。
この女は完全に自分のしたことで楽しんでいる。
おそらくここだけではない、ほかの所でも大勢の人を苦しめていたのだろう。
「くそっ!ぶん殴ってやる!」
「そんな姿で何ができるの?今、楽にしてあげるから。」
友は指先から針をだして、3人に迫る。
「やるなら、私からしなさい!」
「がきさん!」
「大丈夫よ、あんたたちには指一本触れさせないから。あんたたちを死なせるようなことになったら愛ちゃんに顔向けできないから。」
「そう、じゃああなたから死なせてあげる。」
友は針を里沙の急所に向けた。
ボン!
すると友が何かに跳ねのけられて、本部内にある机に頭をぶつけて気を失った。
「何があったの?」
「どうです?ももアタックの威力は?」
そこにいたのは嗣永桃子であった。
どうやら洗脳されている様子はなさそうだ。
「あんた・・・どうして?」
「もう潜入捜査している場合じゃないし、かといってももちひとりでは解決できそうにないんで、助けに来たニャン!」
そう言いつつ、桃子はなれた手つきでれいなたちの拘束をほどいた。
「黒幕は理事長室にいるニャン!」
「よし、がきさん行こう!」
理事長室
ドン!
れいなたちがドアを蹴破って中に入ると・・・
「あんたはダークネスの!」
「やはり来たわね・・・やはりあなたたちとかかわるとろくなことにならないわね。私のプライベートオフィスに土足で踏み込むなんて・・・」
「もしかしてここの理事長って・・・」
「そうよ、数年前からここの理事長になっていたのよ。少しずつダークネスの人材になりそうな生徒を人知れず洗脳していたの。それなのにあんたたちに嗅ぎつけられて・・・」
「だったら、観念するんや!」
れいなたちがすごんでも飯田はまったく感情を出していない。
何やら余裕を見せている。
「ふふふ、m411に敗れたあなたたちで何ができるの?」
すると飯田の傍らに恵理菜が立ち上がった。
「さぁ、m411。こいつらを殺しなさい。」
恵理菜が手をかざした瞬間・・・
ビリビリビリ!
恵理菜の目の前を電撃が走った。
「この電撃・・・もしかして。」
「ヒーローはいいところに登場するもんだよ。」
「小春!」
恵理菜はすかさず部屋の中のものを念動力でれいなたちにぶつけようとはかった。
バキバキ!
「発火!」
目の前にパンダが盾となり、そして緑の炎が物体を燃やしつくした。
そしてそこからできた炎を風が恵理菜に吹き荒らした。
「ジュンジュン!リンリン!」
「絵里!」
「くっ!」
恵理菜が高速移動で里沙に迫った。
パシッ!
「あーしの仲間には指一本触れさせんで・・・」
「あんたの動きは愛佳にはお見通しやで。」
「愛佳・・・愛ちゃん!」
リゾナンター全員集結!
「里沙ちゃん、一樹君からの伝言ちゃんと聞いたやよ。」
「召使い・・・ちゃんとリゾナントにつけたと!」
「やったなの!」
恵理菜はさすがに一歩引いて、リゾナンターを見つめている。
過去に戦ったことはあるが、リゾナンター全員を相手したことはなかった。
すると・・・
「ああ・・・きゃあ!」
突然、恵理菜が発狂し始めた。
「どうしたの?」
「たぶん、力を制御できずに暴走しているのよ。」
今まで恵理菜の力は安部なつみによって抑えつけられていた。
それを友によって無理やり解放されて、その反動がきたのだ。
「ぐわー!」
「ぎゃあー!」
学院中からも叫び声が聞こえる。
「洗脳された人たちもおかしくなっとるけん!」
「洗脳の中枢が狂いだしたのよ、ほかに洗脳されている人達にも影響が出始めている。」
92 :
名無し転載中。。。:2012/04/07(土) 17:42:39.75 0
学院の人々のほとんどは恵理菜の洗脳音波で操られている。
恵理菜の影響も音波のように伝わったのだ。
「どうするんですか?これだけの人々の洗脳をいちいち解いている時間はないですよ!」
「高橋さん!新垣さん!愛佳の提案聞いてもらえますか?」
「うん、何?」
「愛佳の案にしては突拍子もないですけど、前、田中さんがいうてたのを聞いたんですけど、田中さん、道重さん、亀井さんが約束してたんですよね。」
「それってもしかして・・・」
それは絵里、さゆみ、れいなのしたひとつの誓いであった。
れいなの共鳴増幅と絵里の風の力でさゆみのいやしの力を世界中に送り届けるのだと
「あれをするんです。これだけ大勢の人々の洗脳を解くにはそれが一番かと。」
「できるかどうか一か八かだけど、やるしかないけん。」
全員がうなずいたのちに円陣を組む、こうしたほうがたがいに共鳴しやすいのだ。
「じゃあ、始めるよ。」
里沙の合図をきっかけに共鳴を始めた。
だが、それを影から友が眺めている。
(おのれ、飯田はすでに私を見捨てて逃げている。もしやこうなることが最初からわかっていたのか。私は単なる使い走りか!だが、このままでは捨て置かないぞ、リゾナンター!)
すると友は針をれいなの顔に向けて、飛ばそうと構える。
「そうはさせないぞ!」
すると駆け付けた一樹が友に組みかかった。
激しくふたりは廊下を転げまわる。
「邪魔をするな!」
友の針が一樹に迫る。
「さぁ、癒しを力を学院に・・・」
リゾナンターの円から光が学院中に降り注ぐ。
それは恵理菜を含め、学院中の人々にも届いていく。
光を浴びた恵理菜は発狂をやめて、静かに眠りにつく。
それに続くかのように学院中の生徒や教員も倒れていく。
光を解き放ち、リゾナンターは円陣を解く。
「うまくいったと?」
「彼女は眠ったの。たぶん、成功したんだと思う。」
周りを見渡すれいなの目に飛び込んだのは・・・
「一樹!」
一樹は胸を針で刺されて倒れていた。
れいなはすかさず駆け込んだ。
「そんな・・・嘘やろ!死ぬんやない!あんたが死んだら、誰がれいなの明太子パンを買ってきてくれると!」
いくら揺さぶっても一樹は目を覚まさない。
れいなの目には一筋の涙が・・・
「ごめん・・・れいなたちとかかわったばかりに・・・関係ないあんたを死なせてしまった。」
「待ってよ・・・勝手に殺さないでくれる!」
すると一樹がぱっちりと目を開けた。
その様子にれいなは驚いている。
それもそのはずだ、位置的に確実に心臓のあたりを刺されていそうだった。
「これのおかげで命拾いしたよ。」
「明太子パン・・・」
「買っておかないと、君に怒られるだろうから。」
「よかったと!」
れいなは一樹に抱きついた。
里沙たちはれいなのあまり見ない光景に少し戸惑っている。
そんな中、愛は一樹を刺した針をゆっくり抜いて、確認をした。
「この針を刺した奴はどこにいったんやざ。」
「走って逃げたと思います。」
「そうか、ありがとう。さゆにきちんと治療してもらってな。小春!」
「はい!」
愛はすごい声で小春を呼びつけた。
小春はすぐさま愛の意図に気づき、念写を始めた。
そしてそれを見た愛はすぐさま瞬間移動で消えた。
その頃、友は学院から走って逃げていた。
「このままじゃあ、終われないわ。いつか必ずリゾナンターに復讐してやるわ!」
「あーしらも終われないんやよ。」
すると友の前に愛が瞬間移動してきた。
「おまえは高橋愛!」
「やっと見つけたやよ。前の時の借りを返させてもらうやよ!」
数日後・・・
喫茶リゾナント
「いらっしゃいませ!」
喫茶リゾナントにれいなの姿があった。
すでに制服ではなくいつものウェイトレス姿だ。
「こんにちは。」
「がきさん、いらっしゃい。元の生活はどうとね。」
「そうね、身元を隠すために歌をわざと音痴にする必要もなくなったからね。楽よ。」
「それ必要なことかいな。さゆはあれから学院を離れたがらんくて苦労したと。鞘師と離れるのが嫌なんやろう。」
あの事件以降、学院の校長はけがから復帰して、飯田が逃亡したことにより理事長席は空白となり、風紀委員も友の暗躍から解放されて、風紀委員は矢島警備隊と統合されることになった。
騒動もなくなり、ひとまずれいなたちの潜入捜査は幕を閉じた。
「ねぇ、愛ちゃん。メニューに明太子パンをいれようよ。」
「駄目やよ、どうせれいなしか食べないんやろう。」
「ぶぅー!」
れいながふてくされて、カウンターから離れると里沙が愛に話しかけた。
「結局、多くの生徒のDNAをダークネスに持って行かれたから、めでたしとはいえないけど・・・」
「そうやね、あの友ってやつはあーしがぼこぼこにして警察に引き渡したからよかったけど、結局ダークネスには手も足もだせんかったやよ。」
「真野ちゃんのこともこれからの課題だし、それに・・・」
「それに?」
「実はあの後、警察に問い合わせたんだけど、潜入捜査官に嗣永桃子というのはいないらしいわ。」
「えっ!」
確か桃子は里沙たちに警察からの応援の潜入捜査官としてやってきたと告げていた。
しかしそんな人物は最初からいなかった、これは里沙がKに確認してわかったことであった。
「うかつだったわ、田中っちたちがうまく潜入捜査できるかに気を配りすぎて、あの嗣永桃子の身元をちゃんと確かめなかったわ。」
「仕方なかったやよ、いろいろあったんやから。このことはれいなたちには内緒にするやざ。余計な心配させたくないし。」
「そうね・・・」
97 :
名無し転載中。。。:2012/04/07(土) 17:49:46.14 0
一方、街中を桃子が携帯を片手に歩いていた。
「もしもし?私です。はい、今能力者のDNAサンプルを持って、そちらに・・・ええ、飯田圭織をだしぬけるか心配でしたけど、先生のおっしゃる通りでした。確実に飯田圭織の予知能力は衰えており、事前の対処に遅れが。はい、すべては先生の願いどおりに・・・」
「明太子パンほしいなぁ。」
ガランガラン!
リゾナントのドアが開かれると同時に明太子パンがれいなに向かって、飛んできた。
それを見て、れいながうれしそうな表情を浮かべた。
それは明太子パンが飛んできたことだったのか、それともそれを投げた彼の会えたことに喜んでいるのかはれいなしかわからなかった。
学園潜入 終わり
98 :
名無し代理中。。。:2012/04/07(土) 17:52:27.62 0
>>87-97 「学園潜入 救いへの共鳴」
どうもリゾクラ作者です。
いろいろありましたが、なんとか完結です。
ドラマの内容に振り回されながら書いており、どのように終わらせるかも悩んでいましたが。
結局はリゾナンター集結というありがちな展開になりました。
やはりオリメンがしっくりきてしまうのかな?
------------------------------------------------------------------------------ここまで転載
99 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 19:09:57.43 0
完結乙
さらなる波乱が待ち受けていそうなラストがいいね
100 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 20:14:36.76 0
>>98 おちゅ
ドラマの展開をリアルタイムで織り込んだ意欲作楽しみにしてました
いろいろ伏線も張られてるみたいで次回作も待ってます
101 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 21:38:03.97 0
何だかんだいっても全員勢ぞろいしてのバトルは盛り上がんな
102 :
名無し募集中。。。:2012/04/07(土) 23:23:31.87 0
ついに来たか
読む前保全
103 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 00:23:58.95 0
>>98 完結お疲れ様でした。
次のお話に続きそうな展開ですね、楽しみにしてます。
104 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 01:24:51.94 0
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/577.htmlの続き。
運命は人の身の上に巡る、幸不幸の成り行き。
運命は長い一生を支配するモノ。
人生はその道のり。
だから道はひとつではなく、たくさん。
さんざん迷って、ようやく其処に辿り着く。
まだまだ。これから。
人はそうやって生きている。
いつかの結末を知っていても、生きている。
誰も変われない、代われない、替われない。
そして誰かはその間に目指すべきものを見つけて行く。
辿り着く為に明日を進み続けて行く。
未熟な虹よ、どうか。願う、見えないけれど、きっと、だからどうか。
蒼い宇宙(ソラ)よ、永遠であれ。
*
―― ああ、そういえば。
学校の校門へとつづく、長い並木道。
春の刹那の匂い、桜の花びら。薄ピンクを散りばめた未熟な木だけど、季節を彩る。
鈴木の通う学校は中高一貫校だ。
名称は黎明学園。正式だともっと長いけど案の定、忘却の彼方。
その向こう、校内に吸い込まれて行く生徒達に、挨拶を繰り出している何かが居た。
「おはようございます!」
105 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 01:27:30.42 0
進行方向は正面。
校門のど真ん中に立って、生徒達を腕組みで待ちかまえていたのは、生活指導担当
の体育教師とその部下的な男性教諭。
そして女性教諭、三人とも判り易い体育会系である。
その教師たちを中心に末広がりにラインを二本引いたような列。
「おはようございまーす!」
一際、大きな声が聞こえてくる。
数人の生徒がほぼ一列に並び、右腕には腕章。
いわゆる『生徒会』の面々だ。
さらにその列の反対側には『風紀委員』。
「おはようございまーす!」
「おはようございまーす!」
まさにあいさつ合戦。
ただそのすぐ傍を通っている生徒は朝からの過大な声に驚いて身を固くしているのが殆どだ。
鈴木香音はその光景は嫌いじゃなかったし、むしろ挨拶をまともに返さない生徒に
対してあまり良い気分ではない。
それにも確かな理由というのがあったりするのだが。
「香音ちゃん、おはようっ」
風紀員の列の前から三番目。それが鈴木に声を上げた先輩の定位置だ。
中学二年からはリボンからネクタイへと変わるこの学校。
先輩―― 譜久村聖は手を上げて鈴木に合図を送った。
それに答えるように鈴木も笑顔を浮かべる。
「おはようございまーすっ!」
106 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 01:30:24.93 0
大声を張ると周りから視線がこちらに向くが、鈴木はあまり気にしない。
叫ぶのは気持ちが良い。
元気が良いとよく教諭にも言われたが、その教諭というと、男子生徒の首を引っ掴んで
服の乱れをネチネチと説教していた。
鈴木はスカートとリボンを整えると、譜久村に合図を送って校門を抜けて行く。
中学三年、譜久村聖。
彼女と鈴木の出会いはなんて事のない、ありふれたものだ。
先輩ではあるものの、その親しみのある空気がなんとも心地の良い事。
周りにシャボン玉が飛んでるようなイメージがある。
ふわふわとした、穏やかな、優しい"色"。
鈴木は休み時間に譜久村の姿を見つけて声を掛けようとした。
だがそれと同時に女子生徒が譜久村と談笑を始めてしまう。
女子生徒は譜久村にとって友達の間柄だ。
確か陸上部に入っていて、鈴木とは残念ながら面識はない。
話をしたかったが、昼休みにしようと声をかけるのを止めた。
内容は当然、鞘師里保の事だ。
人が近付く事が滅多にないあの屋上の出会いを、譜久村に伝えたかった。
女子生徒の方をチラリと見やる。
―― 微かに、違和感。
何処かで感じたことのある引っ掛かりだった。
譜久村に笑顔を浮かべる女子生徒の"音"が少し、ほんの少しだけ、ズレる。
それも一瞬。
107 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 01:31:05.97 0
鈴木は同級生に呼ばれて次の移動授業へと準備を始めた。
彼女にとって当たり前の"音"と"色"。
その正体を知っているのは家族と、譜久村だけ。
そういえば、ふと思う。
鞘師の"色"はどんなのなのだろうか。
あの時に見た両目の輝きを思い出し、ブルルと首を振る。
青とは対照的な眼差し。
人間の目があんな風になる訳が無い。
きっと充血か何かしてたんだ。
彼女は眠るのが好きだからあくびしたんだ。
濁る、そう、あれは、まるで―― 鬼。
「なわけないっつーの」
自分に突っ込んで、鈴木は歩き出した。
108 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 01:35:42.45 0
>>104-107 続きを楽しみにして頂きありがとうございます(平伏
話しの時間は現実だと去年辺りになると思って読んでもらえれば。
109 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 01:55:48.76 0
>>108 おっ、新たな事件の予感
フクちゃんとの関係も楽しみです
110 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 07:13:05.87 0
上げておくの
111 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 10:02:25.30 0
おはようさん
112 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 10:23:22.95 0
>>108 何かそのまま学園モノとして成立しそうな雰囲気とリゾナンターの世界観が違和感なく融合してるのが凄い
続き待ってます
すごい・・・凄過ぎる
それはあっと言う間の出来事
テーブルに皿が山積みになってゆく
工藤遥と配下の40人の海賊達はその光景に呆気にとられていた
お前ら・・・そんなに腹減ってたのか
「おかわり!ライス大盛りで!」
「トンコツおかわりまだ出来なかと?」
「一味足りないな。もう一杯頂けるか?」
三者三様、それぞれよく食べること
餃子に春巻きワンタン麺麻婆豆腐に烏龍茶だ
たった三人の為に厨房は大忙し。まぁここの料理人がたった一人なのもあるが
「お頭、アイツら結局何者ですかい?」
「あぁ、アイツらは・・・」
アイツらは何だ?工藤遥は部下に答えるのに少し躊躇した。
箱に残留していたエナジーの残滓からリゾナンター:鈴木香音のことは
よくわかった。彼女は反政府組織の一員・・・どちらかと言えば味方だ。
KYな女、ハンター:生田衣梨奈のエナジーも所持品のスニーカーズに残っていたが
正直なところ、何を考えているのかさっぱりわからなかった。
人は好さそうだがある意味危険な女かも知れない。
剣士:サヤシのことは更にわからない。
まぁ香音の話では政府のクローン兵相手に大立ち回りしたとかで敵ではないのだろうが
彼女の所持品、刀からは彼女のエナジーを全く感じとれずその人となりや目的はまるで見えなかった。
むしろ驚いたことに遥は刀自体のエナジー・・・人のエナジーを欲する心・・・を感じた。
あの刀はいわゆる”妖刀”とかそう言われる類のものだろう。
刀自体にエナジーが存在することも驚きだったが更に驚きだったのは”箱”である。
あの箱は・・・
フォーンフォーン
突然食堂に鳴り響く警報の音
チッ、また奴らか・・・お頭は眉間に皺を寄せる
「お頭!」
「放っておけ!どうせ間に合わない」
「フガフガ・・・何これ?まさかお食事タイム終了!?」
幸せそうに飯を食べていた鈴木香音が有り得ないぐらい悲しげな表情を見せる
そんなに飯が食いたいんかい!
「また政府の奴らだ、衝撃に備えとけ」
次の瞬間、ドドーン!ドドーン!と断続的な地響き
「きゃっ!これ爆撃!?」
「そう、政府の高速艦がここんところずっと付き纏っててな」
「反撃しないのか?」
サヤシが網で炭火焼きした焼き牡蠣をつつきながら冷静に呟く
けだし当然の疑問だが・・・
「間に合わねぇんだよクソっ!あの艦は速過ぎる!」
吐き捨てるようにお頭が言い放つ
レーダーで検知したときにはもう遅い
超高速で爆撃してあっという間に射程外に逃げていくのだ。
断続的に繰り返される爆撃によって監獄島の防衛システムはかなりの被害を受けていた。
少しずつ少しずつ、力を削いでこの島を制圧しようという魂胆だろう
幸いにして司令本部と動力システム、そして重力砲は地下深くに格納されているのだが
逆に重力砲が地下格納されていることで反撃が間に合わない。
かといって地上に出しっ放しにしていては間違いなく敵は重力砲から潰しにかかるだろう
「カリン様、重力砲射程圏外に出ました」
「総員、耐Gベルト解除。通常警戒モードに移行」
そろそろ頃合いか・・・
『カリーナノッテ』の超高速移動に耐える為の耐Gベルトを外しながら
ミヤモトカリンは頭を巡らせる。
今回の爆撃で監獄の防衛施設の8割近くに損害を与えた計算になる。
安全に上陸作戦を実施するにはもう充分なダメージだろう。
高速移動するカリーナノッテから兵員を乗せた強襲カプセルを投下
クローン”A”シリーズ20体が強襲カプセルによって島に上陸する
本来ならばこの兵力で監獄の制圧には充分なところであるが・・・
問題は”InvisibleBlade”
西部エリアでクローン兵8体を斬り倒したという報告がある剣士
奴の存在でプランが大きく狂う。
完璧を期すにはプラスアルファの戦力が必要となる・・・
「総員に告ぐ、1時間後に上陸作戦のブリフィーングを開始します」
これはギリギリの賭けかも知れない。だがやる価値はある
この部隊だけで任務完遂、更にInvisibleBladeを倒し”箱”を奪回すれば
確実に組織内での私の評価は上がるだろう。
本部での表彰式、居並ぶ幹部達からの称賛の声
「なかなかやるじゃん」
「貴方はEGGの誇りよ」
「すごいすごーい!」
そして総帥からの表彰・・・
「・・・リン様、カリン様?」
ハッ!副長の声で我に返るカリン。浮かれるにはまだ早い。早過ぎる。
「じゃああのおっさん達は全員元囚人ってことっちゃか?」
「まぁそういうことだ。反乱した流れでそのまま海賊にな」
ふ〜ん、どおりでガラが悪い人達だと思ったわ
食事と爆撃が終わって一段落、お頭と私達三人は”艦長室”と呼ばれる部屋で
まったりとくつろぎながら話していた。
「こんな監獄に入れられてたんじゃかなり凶悪な人たちなんでしょ?」
「凶悪っていうよりは正規軍のはみ出し者なんだけどな」
あのおっさん達も元正規軍ってこと!?じゃあこの島って・・・
「そう、ここは政府に逆らった軍人を投獄する為の監獄だったのさ」
私が聞くよりも早くお頭が答える。この子はなんだか勘がいいみたいだ
「まぁもっとも大昔は能力者を捕えて実験や洗脳をする施設みたいだったけどな」
実験!?洗脳!?なんだか恐ろしい!政府は影でそんなことをしていたの!?
「この”力”が無ければそれを知ることも無かったんだけどな・・・」
自分の手を見たお頭の表情が一瞬暗く曇る・・・
そうだ、この子は私がリゾナンターであることやKYがKYであることを話す前に知っていた!
「貴方の能力って・・・」
「俺の能力は”エナジードレイン”そして吸収したエナジーから情報を読み取る力、それから・・・」
私の質問にお頭が答える
ちょ、ちょっと待って!一人でそんなに沢山能力を持ってるの!?それに・・・
「エナジーって何だっちゃ?」
KYが私の聞きたいことを代弁してくれた。珍しく空気読めてるよ、うん
「まぁ人の精神エネルギーみたいなもんだ。東洋風に言うと”気”って感じか」
ふ〜ん・・・つまりこの子は人の心的エネルギーを吸ったりしてそこから情報を読み取るのが能力なのか
え!?そうだとするとじゃあ
「私達のエナジーを貴方は吸ったの!?」
「いや、直接の吸収やリーディングは俺の身体や精神にもかなり負荷があってな。所持品に残ってたエナジーの残滓から読ませてもらった」
な〜んだ、そうだったんだ
てっきり”エナジー”を吸われたからあんなにお腹が空いていたのかと
「その力を使うのはなるべく控えた方がいい」
ずっと黙っていたサヤシが口を開く
その眼差しはいつにも増して真剣だった
そういえばさっきも何か言ってたっけ?ショウキ?とか何とか
「わかってるさ、そんなことは」
また舌打ちしてお頭は苦い表情をした
何なの?二人だけに通じる会話はやめてくれる?
「ははぁ〜ん、アンタ何かこの子に知られたくないことがあるっちゃね?」
KYがニヤニヤしながらサヤシの頬を指でつつく
KYがいつものKYに戻った・・・
いや、それはかなり違うと思うよ、うん
「・・・野郎!ふざけんな!」
「やんのかテメェ!」
ん?私の超聴力が騒がしい音を捉えた
怒声、バキッ!ドカっ!殴り合うような音
ワーワー言う男達の歓声
これは・・・
「なんか食堂で喧嘩してるみたいだけど?」
「チッ、またか!しょうがねぇな」
お頭が勢いよく席を立ち、食堂に向かう
「おっ!喧嘩喧嘩ぁ〜!これは見物やね〜」
KYも嬉々としてお頭についていく
はぁ、血の気の多いことで。
・・・でも少し興味ある。
お頭がどうやってこれを収めるのか
私も行く行く〜!
「か、かのんちゃん!?私も行くよ!」
一人残されそうになったサヤシも慌てて付いてくる
結構可愛いところもあるんだね
「おい!テメェらやめろ!」
食堂に着くなりお頭が男達を一喝する
しかし男達は殴り合いをやめず、周囲の野次馬達も騒ぐのをやめない
「あの剣士の子の方が可愛いだろうがボケ!」
「いや、かのんちゃんの方が可愛い!」
「あんなデヴのどこがいいんだコノヤロ!」
喧嘩の原因は呆れる程ささいなことのようだ、が・・・
デヴぅ!?ふざけんなコラ!ぽっちゃりとか言い方があんだろうが!
思わず私を支持するおっさんの方を応援したくなる衝動を抑えて
私はお頭の出方に注目した
バチ・・・バチバチ・・・
何、この音?
お頭の周囲にかすかにオレンジ色の火花のようなものが見える
あれが・・・エナジー?なのかな
バチバチバチバチバチバチ
火花が一層勢いを増していく・・・そして
「やめろって言ってんだろバカヤローーーーーーーーーー!!!」
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!
お頭の叫びと共に火花が喧嘩をしている男達と野次馬を包み込み
バチーン!と激しい音と共に火花が弾ける
刹那、男達は一斉にドーンと尻モチをついた
なんかシュールな光景・・・
「お、お頭!スイヤセン。ついカッとなって・・・」
「スイヤセン!スイヤセン!」
暫くの後、男達は皆我に返り立ち上がってお頭に平謝りだ
これがお頭の力・・・
「ねぇ、今一体何をしたの?」
「マインドブラスト・・・エナジーを直接ぶつけたのさ」
吸収だけじゃなく放出も出来るってこと?
つまりこの子は精神エネルギーをある程度操れる能力者か
あれ?なんだかお頭の顔色がなんだか悪い・・・
「大丈夫?顔色悪いけど?」
「あぁ、大したことねぇ。これぐらいはな・・・」
お頭は少しフラフラした足取りで部屋に戻っていった
男達も各々、少ししょんぼりした様子で各自の部屋に戻っていく
「あれだけの人数に同時にショックを与えるほどの気の放出・・・かなりの負担のはずだ」
部屋へと戻っていくお頭の背中を見つめながらサヤシが呟く
お頭のこと心配してるのかな?サヤシなりに
あれ?そういえばKYは?
「アタタタタタ・・・なんか目の前がバチーンっていって頭の中が弾けたみたいになりよぅ」
どうやら野次馬に紛れていてマインドブラストに巻き込まれたらしい
このショックで少し空気が読めるようになるといいんだけど
やれやれ・・・しかし政府軍も来てるようだしこの先どうなるんだろうね
まぁお腹も一杯になったし、今日は寝るかな・・・あれ?そういえば私達の部屋は?
「以上が作戦の概要です」
カリンの説明の後、ざわつくブリーフィングルーム
「艦長・・・」
「大丈夫なのですか?」
当然であろう。カリンがクルー達に説明した作戦内容は意外なものだった。
艦長、カリン自らがクローン兵と共に強襲カプセルで監獄に上陸
白兵戦で監獄を制圧
「皆さんの不安はよくわかります。しかしこれが一番確実な方法です」
クルー達はカリンのもう一つの顔を知らない。
正しくはもう一つの顔の方がカリンの本当の顔と言えるだろう
カリンは決してただの指揮官、戦略家ではない
実は彼女自身こそがこの艦に搭載されている最強の兵器
「副長、不在中の指揮はお任せします。任務完了したら信号を上げますので」
政府の能力者養成機関”EGG”で開発された戦闘マシーン
”m1201”ことカリンがその真の力を実戦で見せるときが来たのだ
「作戦開始は明朝5:00、Aシリーズのカプセル搭載準備を開始して下さい」
さて、私も準備をしなければなりませんね。栄光への道を歩むための準備を
「カ、カリン様・・・」
副長は見た、ブリーフィングルームから去っていく
カリンの周囲をぼんやりと囲む紅の輪を
AM1:00 ”監獄”動力室
皆眠りにつき、誰も居ないそこにお頭〜工藤遥の姿があった
「悪りぃな・・・アンタの力、また借りるぜ」
重力エンジンの中枢、”コア”の部分に遥は手を触れる
「んっ!くっ・・・あぁあああああ!」
眩い光の明滅と共にエナジーの奔流が遥の中に流れ込む
それは、悪魔の力
カプセルの中に横たわる女
重力エンジンのコアとして封印された古の戦士の荒ぶる魂
脳死状態のはずの彼女が発する強烈なエナジー
どこか歪んだ、それでいて自由奔放な
その黄金の輝きに、遥は魅せられていた
力だ、自由を得る為には力が必要なんだよ
何物にも縛られない圧倒的な力が!
>>113-122 以上、InvisibleBlade 第8話「見えない悪魔」でした
今週は何とか書けました。。。SPECでも観に行きます
124 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 13:00:33.20 0
>>108 これからいろんな色の欠片たちが集まっていくのかな
単品としてもかなり好きだしこれからの繋がりを想像するだけでも楽しい作品です
>>123 今回は見えない?にするかと思ってたらそうきたかと
時空を越えてどんな展開を見せるのか楽しみです
125 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 13:19:59.39 0
廃れたかと思えば読み切れないぐらい一気に作品が来とる
石の話も見えない刀も目新しい設定ながらこのスレの源流が流れてるように感じられるのが興味深い
願わくばどちらの話も全うしてほしい
126 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 13:54:28.28 0
後ほど読ませてもらおう
127 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 15:46:39.26 0
ほ
128 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 17:23:43.61 0
お盛んなことでうらやましい
129 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 18:57:10.62 0
夕食を食べるぞ。
130 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 20:00:26.08 0
逃走中〜
131 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 20:18:27.49 0
このスレの能力者で逃走中とかやるのも面白いかもな
132 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 21:14:55.92 0
戦略を駆使するか正義と悪を利用するか。
133 :
名無し募集中。。。:2012/04/08(日) 22:40:07.10 0
逃げろ!ハンターが来るぞ!
134 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 01:08:09.74 0
「逃げろ!ハンターが来るぞ!」
叫びながら走っていく香音を追っかけながら、里保はこの日何度目になるかわからない溜息をついた。
いや、ネズミーランドにハンターなんて出ないし。
・
・
・
新垣里沙をリーダーとする八人のリゾナンターが東邦ネズミーランドにやってきたのは、童心に帰り遊ぶためではない。
ネズミーランドから調査の依頼を受けたのだ。
ネズミーランドから差し回された送迎用のリムジンバスの中で、里沙の隣の席に座った里保はその辺の事情を尋ねた。
「珍しいですよね。 私たちがこんな風にどこかの依頼を受けて出動するなんて」
「あぁ、そういえば鞘師達は初めてだよね」
新垣里沙をリーダーとするリゾナンターは、巨大な組織の実働部隊などではない。
大多数の人間が使うことの出来ない異能のチカラを持って生まれた故に、かなしみを背負った人間の集団である。
したがって自分たちの行動は自分たちの正義を貫く為にのみ行なうものだと思っていた里保は、東邦ネズミーランドからの依頼で現地調査を行なうと聞かされたときは少し戸惑った。
「これまでにもこんな請け負い仕事はやってきたんだけどね。 あっ、勿論法に触れることはやってないけどさ」
極秘で要人の護衛をしたり、非公式に報奨金のかかった犯罪者を捕まえたり。
そんなことをして稼いだ金で、収入のない未成年のメンバーの学資や生活費に使われてきたらしい。
「すいません。 ただでさえお金がかかるのにあんな立派な学校に通わせてもらって」
「ああ、いいから、いいから」
里沙は鷹揚に手を振った。
里沙や先代のリーダー高橋愛だっていろんな人の好意に助けられてきたのだから、保護者を失った鞘師や鈴木香音を支援するのは当たり前のことだという。
「でも、意外です」
「何がさ?」
「新垣さんのことですから、ネズミーには世界中の子供の夢と希望が詰まっていると言って、ボランティアで助けに行くと思ってました」
新垣里沙は生粋のネズミーマニアだ。
決して安くない東邦ネズミーランドの年間パスポートだって購入している。
「ネズミーの中には、背の低いオッサンが入ってるんだよ。 お金を目当てにね」
仕事とプライベートは使い分けているらしい。
「それに私が気に入らないのは、襲撃予告を受けているにもかかわらず、平常営業を行なうってことさ」
「でも、ああいうところはそういう脅迫を受けるのなんて珍しくないんじゃないですか」
里保の言葉を耳にした里沙の目が細まった。
「それはその通りなんだけどさ」
声を低めた里沙は言った。
「今回の件では既に犠牲者が出てる。 一命は取りとめたけどさ」
里沙によれば東邦ネズミーランドのネズミーを襲撃するという脅迫状を開封した職員が怪我をしたという。
「それは脅迫状に何か刃物を仕掛けていたとか?」
「一昔前のアイドルにアンチが送りつけた脅迫状みたいだね」
ネズミーランドはアメリカが発祥の地だ。
愛と平和の象徴であると同時に、アメリカの帝国主義やグローバリズムの尖兵として憎む者も少なくない。
「その筋からの脅迫状とか嫌がらせ。 爆発物の類なんかが送られてくることも決して珍しくないから郵便物の取り扱いなんかマニュアル化されてるんだ」
爆発物の探知犬に金属探知機。 最後にエックス線の関門を潜り抜けた郵便物だけが専門の保安員によって開封される。
毒物や極薄のセラミック製ナイフが入ってる危険性も考慮して、防刃の手袋を付けて開封するという。
「そんなに用心をしたのにも関わらず、怪我をしたと?」
「火傷なんだけどね」
その脅迫状は何の変哲もない便箋にネズミーを襲撃するという日時を記したものだった。
よくある悪戯だと思った保安員が、報告書作成の為にコピーしようと便箋を手にした瞬間、それは起こったという。
「蒼白い炎を上げて燃えたそうだよ」
「それは薬品か何かで燃えたんでしょうか?」
「だったら開封した瞬間に燃え出すんじゃないのかね。 酸素か光と反応して」
そうした不慮の事態を想定して常備されていた無酸素水の水槽に浸してもその火は消えなかったという。
化学消化剤の噴霧でも消えなかった火は、ちょうど一分後に煙のように消えたという。
「それは能力による攻撃でしょうか?」
「今回の依頼を受けてから中国のリンリンに問い合わせてみた。 そういうタイプの発炎能力を使いこなす能力者は存在するか否かを」
リンリン。
かつてリゾナンターとして活動していた中国人。
刃千吏という組織に籍を置きながら、リゾナンターに加入して、闇と戦っていた彼女は発炎能力者だ。
鞘師里保がリンリンと肩を並べて戦うことは無かったが、彼女の機転の早さや武技の熟練度の高さ。
そそて何より、守るべきものを守るという意志の強さは伝え聞いている。
「で、どうだったんですか。 リンリンさんの答えは?」
「リンリンのパイロは対象物に触れることで燃焼させるタイプだったんだけど、遠隔で物を燃やすことの可能なパイロキネシストが存在するにはするということだった。 でも…」
「でも?」
「能力による行為だとすれば、どうやって保安員が脅迫状を開封したタイミングで仕掛けてきたのかがわからないっていうんだ」
脅迫状の発火現象が、遠隔系の発炎能力者の仕業によるものだとしたら、発動のタイミングが非常に難しいということらしい。
「リンリンが言うには、その炎が異能によって起こされたものだとしても能力者によるものではないんじゃないかことなんだ」
「じゃあ、一体?」
「ある種の呪詛。 言葉を変えるなら魔術の性格が強い」
「魔術…ですか?」
「魔法って言ってもいいのかもしれないけど」
「じゃあ、相手は魔法使いってことですか」
「あるいは魔女なのかも」
里沙によれば鞘師たちはまだ接触したことはないが、自分たちは魔女と自称する存在と戦ってきた経験があるという。
「本当の魔女ですか?」
「最初はあの人が能力者が二つ名として名乗っているだけだと思ってた。 でも戦って判ったことだけど、あの人の異能は私たちのとはどこか違う気がするんだよね」
「違うって?」
「てんでデタラメというか。 能力の範疇をはるかに越えているというか。 まあ言葉では説明し難いんだよね」
里保たち新たなるリゾナンターを時に優しく、時に厳しく教導してきた里沙の口から思いもよらない言葉が出てきた。
「新垣さんにもわからないことがあるんですね」
「私なんかにはわからないことばっかりさ。 ただ今回の件には私の知っている魔女は関わっていないと思う」
その魔女は正しくは「氷の魔女」と名乗り、魔術で生み出した氷の槍や氷の矢で人を殺傷したり、温度を下げることで人の動きを鈍くするという戦い方をするらしい。
「あんた達がリゾナンターとして生きていく限り、いつかあの氷の魔女と対峙する時がやってくると思う。 でもそれはもう少し後の方がいいと思う」
氷の魔女、藤本美貴が介在しないらしいということが、今回の仕事の明るい材料の一つだと里沙が言った時、リムジンバスは東邦ネズミーランドの送迎ゲートに到着した。
138 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 01:13:47.08 0
>>134-137 とりあえず思わせぶりな書き出しだけ書いてみたシリーズ
一応展開は考えてますが続きは時間が出来てからw
139 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 01:55:10.24 0
眠たくて読めない俺があげ
140 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 04:54:26.94 0
新たなる物語キター
141 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 07:50:54.02 0
142 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 08:00:15.51 0
>>138 乙です
鞘師をネズミーランドに連れてってくれて有り難うガキさん
現実は・・・( ;∀;)
143 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 11:18:51.46 0
暁戦隊とは設定違うのか
144 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 12:22:44.81 0
145 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 12:24:20.03 0
生田衣梨奈と鞘師里保が激闘を繰り広げた廃ビルに譜久村聖が到着した時、捜索に出ていた他のリゾナンターはみんな顔を揃えていた。
能力で遠隔攻撃が可能な亀井絵里や久住小春、銭琳が防衛線を張り、重傷を負った衣梨奈を動かせるようにするため、道重さゆみが応急の治癒を施しているという。
李純が自分の身体を盾のようにして守る中、道重さゆみが発動させているチカラの煌めきが見えた。
里保の消息を尋ねた聖は苦々しい表情の李純に、ビルの一角に連れて行かれた。
そこには大怪我をした里保がシートにくるまれていた。
傷の応急処置はされているが、呼吸は虫の息で、今にも命の火が消えそうだ。
−確かに里保ちゃんはスパイをしていて、光井さんのことを誘き出したけど、こんな風に放っておくなんて−
自分が甘いことは承知の上で里保にも治癒を施してくれるよう、さゆみに頼もうとした聖の前に李純が立ちはだかった。
「譜久村サンの気持ち判らないでもないけど、道重サンにこれ以上チカラを使わせるわけにはいかないダ」
李純によればさゆみの治癒は、さゆみ自身の生命力を費やして、対象の自然治癒力を昂進させる能力だという。
生田衣梨奈を能力の暴走から救うために高橋愛が負傷して以降、治癒能力をフル稼働してきたさゆみはかなり体力を消耗しているという。
「こんな小さな子がスパイをするなんてきっと事情があるんだろう。だがこの子は光井サンや久住サンの命を奪おうとした。生田さんに大怪我をさせたのもこの子ダ」
電波の封鎖が解けたら、里保のために救急車を呼ぶという李純の言葉に聖は返す言葉もない。
−私がもっと注意深く里保ちゃんのことを視ていたら−
−里保ちゃん、光井さんの好意を頑なに拒んでいた君はとてもかわいくなかったよ−
−でも何かの拍子に君が見せるはにかんだ仕草はとてもかわいくて。 そんな君のことがとても好きだったよ−
−あれも全部嘘だったの−
里保の体の傍らには見覚えのある携帯電話が置かれていた。
転落の衝撃の所為か破損している携帯を、聖は思わず手にとってしまった。
146 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 12:25:39.84 0
!!
見覚えのない少女の顔が流れ込んでくる。
まんまるなで愛らしい顔をした少女が笑い転げている。
厳しい実験の所為で泣いている彼女。
突然作動するスプリンクラー。 混乱の中を逃げ出す子供たち。
下水道の中を逃げる二人の子供。
お金も、頼るあてもい彼女たちが頼ったのは交番のお巡りさんだった。
優しく対応する警官。 出されたジュースを飲んで眠りにつく彼女。
連れ戻されて、檻の中に閉じ込められて、ひどい懲罰を受けて。
そんな彼女を助ける為に…。
−里保ちゃんは大切な友だちをたった一人で守るためにあんなことを…−
−言わなきゃ。 ジュンジュンさんや道重さんにこのことを言わなきゃ。 里保ちゃんをこのまま死なせちゃいけない−
意を決した聖は李純に詰め寄った。
李純はわかっているという風に首を振った。 顔をかなしみに染めていた李純に声をかけた者がいた。
「ジュンジュン、お願いがあるの」
足下の覚束ない様子で道重さゆみが立っていた。
「道重さん、ジュンジュンは…」
「わかってる。 ありがとうジュンジュン」
自分のことを気遣ってくれた李純に礼を言ったさゆみは、里保を衣梨奈を寝かせている場所まで連れてくるように頼んだ。
二人同時に治癒を施すと。
「そんなことをしたら、道重さんの体が…」
次回、暁の戦隊 第10話「好きだな君が」
「敵も味方も関係ない。 こんなかわいい子がこの年で死んでいい筈がない」
147 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 12:59:31.30 0
148 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 15:00:12.35 0
从*・ 。.・) <この年で死んでいい筈がない さゆみに抱かれる前に
川´・_o・) < ソッカー
胸高鳴る王道展開ですね
続き期待してます!
149 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 15:48:19.32 0
>>146 仕事中に泣かすなよ
歳のせいか涙腺ゆるいわw
150 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 17:40:35.95 0
熱いな暁戦隊
151 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 19:22:33.32 O
<出でよ、ホゼナンター
152 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 21:33:45.59 0
作品を考えたり、書く時間がほしいから私だけ一日48時間にならないかな。
153 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 21:43:15.75 0
倍の速度で齢を取るわよ
154 :
名無し募集中。。。:2012/04/09(月) 21:55:57.89 0
寝ない・食べない・休まない
キャハハハハハハハ
155 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 00:46:41.81 0
すごい考えやな!
156 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 01:27:52.81 0
>>104-107 風向きの変化。今日はとくに機嫌が悪いらしい。
誰かの洗濯ものが飛ばされた。
その人は、風に文句を言う。
だからかもしれない。
いつかの風が、優しくなかったのは。
きっと腹を立てていたに違いない。
鈴木は食べる事が大好きだ。
自分でも大食いだと自覚している、だけどそういう人間にも必ず
苦手な食べ物というのは存在し、意外な物なのが多かったりする。
単に食わず嫌いなのかもしれないけれど。
いつかは克服しなければいけないとも思っていて。
だけど今は、好きな物をたん能していたいと思ってしまうのはいけない事?
そう思うのは仕方が無い。
自分はそういう年頃で、中学生なのだから。
が。
「マジでスカ…」
昼休み、鈴木は東側の屋上に居た。
譜久村が居るはずのクラスにも少しだけ顔を出したのだが、姿が
見当たらなかったので次の機会にしようと思ったのだが。
非常用の給水塔。
地面には影が二つ、二つ?
見上げて眩しい日差しの中へ、あ、と口を開く。
鞘師の隣に何故か―― 譜久村の姿。
157 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 01:28:31.35 0
「あれ、香音ちゃんだー」
「フ、フクちゃん?」
あんぐりと口を開く鈴木の目にハッと何かが映る。
鞘師がお弁当箱から箸でゆっくりと取り出されたある物。
ある意味あれはもの凄く貴重なのだ。
許可なくしては作ってはいけないと言われるいわくつきの食べ物。
給食に出るなら最後に残しておくだろう。
一気に食べてはいけない、少しずつ、少しずつ味わうのだ。
それを、それを…!
「その卵焼きちょっとタンマああああ」
手を上に掲げる。
箸にがっしりと掴まれた黄色の生地。
甘くてふっくら卵焼きに向かって鈴木ははしごを上る。
が、その瞬間に鞘師がパクリ、かっこハート。
グハアアアアア。
漫画ならそんな描写が鈴木の背後に描かれている事だろう。
そのまま下に落ちそうなほど仰け反る鈴木の腕を譜久村が慌てて掴む。
たかが卵焼き、されど卵焼き。鞘師はにんまりと笑い、鈴木はうな垂れた。
158 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 01:35:35.92 0
159 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 01:43:54.43 0
>>158 乙です。
すごく青春の香りがして好きです、こういうの
消化できなかった設定を違う話で・・・
というのは実は私も取り組んでいますがそこまで到達できるかどうかw
160 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 05:38:30.06 0
もうこんな頃には戻れないんだろうな
161 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 07:18:07.69 0
162 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 07:38:39.53 0
>>147 ロシアの兵器は発狂というより運動能力が奪われるって感じらしいぞ
163 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 08:26:26.04 0
おぱよん
164 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 09:33:53.40 0
>>162 「生ける屍」の意味が違わないか?と思ったw
165 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 12:04:02.73 0
医師の花氏
166 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 13:52:40.67 0
>>147 なんかすごい兵器があるんですね。
脳の電気信号によって身体が動くから、それを変換
させる事でいろんな物質の働きを無くしてゾンビ化するって事かな。
速効性があるなら生きて造り変えられるって事だから発狂もするんじゃないかと。
かゆうまみたいに徐々になら、ならないかもだけど…うーん深いテーマだ。
167 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 15:23:10.60 0
マインド・デストロイヤー保
168 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 17:13:08.87 0
いよいよ明日だね
・・・真野ちゃんの誕生日
169 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 18:37:49.07 0
ほ
170 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 20:43:10.92 0
ホゼナンター参上
171 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 21:49:48.29 0
>>156-157 給水塔まで引っ張り上げられた鈴木は譜久村に向かって問う。
「実はこの屋上を出入りしてる生徒が居るって話しがあって
調査をしようって事になったの」
風紀委員は学校が生徒達のために生徒達による自主的自立的な
心を養う為、かつ学校の風紀を乱さないように同じ生徒を厳しく時には優しく(?)
監督する立場として組織されている。
「ここは昔もサボってた人達が溜まり場にしてたから閉鎖になっちゃったらしいよ」
その一員である譜久村は少しでも力になるためにその責務を負う事になった。
委員の推薦もあって、譜久村は俄然やる気を出していた。
先生は「サボり魔撲滅!」とまで叫んだらしい。
ボクメツっていうのは多分、良い事ではないと思う、響き的に。
彼女の熱意は純粋だ。
鈴木は顔を見ることが出来ない。
というかそのサボリ魔ってあたしじゃない?
いや、あのイジメっ子達もここを利用しているのだから他にも利用者が
居てもおかしくはない、きっと、おそらく、多分………そうだと良いのに。
冷や汗が背中に流れてる。ダラダラ。ダラダラ。
だが譜久村は言う。
「そしたら里保ちゃんが居て、これは何かあるなって思ったんだ」
172 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 21:51:08.57 0
譜久村がここに来た時は鞘師はすでに居た。
イヤホンを付けてポータブルプレイヤーを片手にサイダーを飲んでいた。
ひとりで給水塔に座っていた。
見慣れない制服。
教諭の目が光るあの校門からどうやってこの校舎に入ったのかは
判らないが、少しだけその姿が小さく感じて。
こんなにも誰もいない場所。
こんなにもたくさんひとが集まる場所。
イヤホンの奥で鳴っている音楽。
屋上とイヤホン。
それだけが全てで、その世界に潜ってしまっているようで。
風紀委員として先輩として一人の人間として。
譜久村は心の涙を手で拭って立ち上がった。
「―― で、警戒心を解くためにまずは慣れて行こうって事で
卵焼きを差し入れてみました」
フクちゃん、それ餌付けっていうんだろうね。
譜久村は鞘師に対して厳しく注意をすることは無かった。
普通ならもっと問いただしたり、少なくとも屋上から追い出すものなのに。
同級生から言われている「おとぼけ」の冠位ゆえか、それとも「お嬢様」と
呼ばれる心の広さゆえか。
なんて事を考えている鈴木もまた鈴木ではあるのだが。
というか推薦って、それ単に押し付けられて…なんでもないです。
どちらにしても鈴木の喪失感は拭えない。
なぜならば、隣で口をモゴモゴさせている鞘師里保が最後の卵焼きを
その口に含ませた姿を近接距離で見せつけられた事によるからだ。
173 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 21:52:45.14 0
ああああああ。
なんとも言えない顔をしていたのか譜久村が笑いを堪えている。
鞘師も口に含みながら笑うな。
「ああそうだ、前に香音ちゃんからリクエスト貰ってたんだよね。
目玉焼きだっけ、今度作ってくるよ」
「ホント!?」
「うん」
わっしょいわっしょい。えんやこらえんやこら。
鈴木の脳内で祭が起こっている。牛のかつぐお神輿の一番上で踊る。
背景が黄色の輝きでキラキラと眩しい。
鞘師と目線が合う。少しムーとした表情に、鈴木はにんまりと笑った。
「里保ちゃんにもあげるから待っててね」
「うん」
鞘師の脳内にサイダー同士がぶつかり合ってカーンと鳴った。
まさに闘いの合図。視線が合う。負けねえ。負けない。
何の勝負なのかは判らない、理由のない勝負なんてたくさんあるさ。
「友達がこないだ事故で怪我して、部活もできなくてすごく落ち込んでて。
でも少しずつだけど笑うようになってくれて。なんか嬉しかったな。
今度の試合が最後だから、差し入れしに行こうかなって思ってるんだー」
譜久村は本当に嬉しそうに言った。
鈴木は両手の拳に力を込める、鞘師は両手を合わせて「ごちそうさま」と呟く。
空は晴天。
ただ少しだけ綺麗過ぎて、澄みきり過ぎて、可笑しな空だ。
気付くのは誰かで、誰かが呟く。"色"を見つけるのはきっと。
174 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 22:00:08.90 0
175 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 23:25:20.29 0
ホゼナント
176 :
名無し募集中。。。:2012/04/10(火) 23:30:59.03 0
177 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 01:14:34.51 0
寝させていただこう
178 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 06:22:24.89 0
179 :
名無し募集中:2012/04/11(水) 08:10:01.10 0
おはよん
180 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 11:27:10.17 0
⊂ヽ ⊂ヽ
|ノノハ| |
(e・ |b|
| |
<_< ̄>_>
181 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 12:22:13.57 0
ガキさん何をしてる
182 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 12:42:20.53 0
新曲の振り付けかな
183 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 17:05:29.05 0
ほ
184 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 17:42:27.79 0
⊂ヽ ⊂ヽ
|ノノハ| |
(e・ |b|
| |
《_《 ̄》_》 カタカタカタカタカタ……
185 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 19:08:43.02 0
ホゼナント
186 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 20:50:26.61 0
人稲
187 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 22:13:01.15 0
ほぜ
188 :
名無し募集中。。。:2012/04/11(水) 23:40:14.43 0
82 名無し募集中。。。 2012/04/11(水) 23:11:36.83 0
肉体と分離しりほりほに乗り移ったさゆみの精神
本能だけが残った自らの肉体と求めあう…
肉体と精神が再び一つになる時は来るのか?そしてりほりほの精神の行方は?
次回予告「私がいて 君がいる」
189 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 00:43:25.06 0
>>180 >>184 ガキさん格好いいよガキさん。
>>188 おおどこからの引用か判らないけどすごい状況だ。
しかもこの二人って、鞘師の方がかなり危ないですねこりゃ。
191 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 03:17:27.30 0
おやすみ
192 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 07:26:51.71 0
>>188 このレスをこのスレで見るとなんだか格好良く見えてしまう
193 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 08:18:34.21 0
むふ
194 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 10:06:02.39 0
憑依能力者さゆみ
またの名を変態ハンター
195 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 12:33:15.19 0
⊂ヽ ⊂ヽ
|ノノハ| |
(。.・* 从从
| |
<_< ̄>_>
196 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 12:40:02.42 0
⊂ヽ ⊂ヽ
|ノノハ| |
(。.・* 从从 <待てなのー憑依させろなのー
| |
《_《 ̄》_》 カタカタカタカタカタ……
197 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 13:44:12.68 0
いろんな意味でホラーだw
ハッ、つまりそう言う事なのか今回の曲は。
198 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 15:24:54.74 0
憑依
199 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 17:32:10.66 0
⊂ヽ ⊂ヽ
|ノノハ| |
(。.・* 从从
| |
<_< ̄>_>
| | | ヒョーイッ
200 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 19:23:56.46 0
歌ってるのを見たら笑ってしまいそうだ
201 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 19:45:19.03 0
202 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 19:54:19.94 0
家の方も規制解除されてた
ありがとうさゆ
203 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 21:15:21.88 0
⊂ヽ ⊂ヽ
|ノノハ| |
(∀.・* 从从
| |
<_< ̄>_>
| | | ワショーイッ
204 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 22:12:54.79 0
喜んでるww
205 :
名無し募集中。。。:2012/04/12(木) 22:29:43.40 0
これは憑依のダンスなのか?
206 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 00:06:38.96 0
ヒョーイ
207 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 01:04:09.68 0
>>171-173 ――― 彼女の纏う風は微かな変化を望んだ。
走り続ける。
乾く喉。心臓の鼓動。はあはあ。
太陽が、揺れる。
誰にも邪魔されない、自分のペースで求められ続ける、世界。
空気が揺れる。
足が伸びる、走る感覚。
何度も何度も踏みしめる、地面を、大地を、世界を。
心の底。
曇る太陽、不純物、揺れる揺れる、其の歪んだ光。
揺れる音。心。
乾いた音。
揺れて揺れて揺れて。
太陽がブレる。揺れる。
音。
歓声。
太陽がブレる。眩しい、オレンジのヒカリが、この上なく。
「すごいよ!また記録更新!」
陸上部部長がストップウォッチを片手に叫んだ。部員が近付いてくる。
練習なのに、そんなに喜ばなくても良いのに。
大したこと無いのに。
タイシタコトナイノニ。
208 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 01:05:30.43 0
空気が揺れて、見えて、空気が、見える。
歓声の感性。皆が喜んでくれた。
同級生も後輩も、記録を伸ばす度に、何度も何度も、喜んでくれた。
「今度の大会、個人も団体もいけるかもね」
心の底で、眩しくヒカル太陽。
心の底で。橙、揺れる、ブレる、闇の、太陽。
「タイシタコトナイヨ」
女子生徒は笑う。刹那、作られる笑顔。
タイシタコトナイヨ。タイシタコトナイヨ。タイシタコトナイヨ。
タイシタコトナイヨ。タイシタコトナイヨ。タイシタコトナイノニ。
「じゃあ皆、集合ーっ。ミーティングするよっ」
感覚が、鋭く。鋭利。刃。肩に触れる手。痛む傷跡。
部長が調子の上がっている女子生徒を中心に部員を集めた。
虚空に視線。
怪我をした両足が、心臓の鼓動と同じリズムでじんじんと痛む。
ただそれだけ。
それだけなのに。
そ れ だ け が や け に 痛 ん だ。
「期待してるからねっ」
部長がもう片方の肩に手を置く。刹那、女子生徒の身体が震える。
違う、震えたのは、怯えた心。這い上がるものを抑えきれない。
209 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 01:06:00.70 0
違う、違う、何処かで――― 安心した?
「キャアアアア!」
突然の風。
グラウンドの中を襲う、空気の渦が、ぐるぐると蜷局(とぐろ)を巻く。
混ざる鋭い刃、旋風の中心に出来る真空による、鎌鼬。
ガリ。
嫌な音が耳に付く、何かを引っ掻いたような音。
ガリ。ザリ。ガリ。ザリ。ガリ。ガリリッ。何の音、心の音。
心が傷つく音。
ポタリ。
女子生徒の頬に何かが付着する、手で拭って。
両足がズクリと痛みだす。
血。
!!!!――――――――…
風が止んだ後、部員たちが呻くように恐怖に震えていた。
見ると一人の部員が腕から血を流している。
他の部員がハンカチで止血をしていた。
女子生徒は呆然と立ち尽くしていた。
210 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 01:06:45.38 0
誰も彼女を見ていなかったが、見ているような気がした。
自分を咎めているような気がした。
オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。
オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。
オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。
オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。
オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。
オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。
オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。
オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。オマエが。
眩しい。眩し過ぎて仕方が無い。
眩し過ぎて泣けてくる。泣けば良かったのに。
乾く。風が全てを乾かしてしまう。
心が乾いて後に残るのはただ、虚無だけだった。
211 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 01:09:17.33 0
>>207-210 妙に投下しっぱなしで申し訳ない。
今度の滋賀に参戦でもしていろいろとネタ拾って来れたらなと思ってます。
212 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 02:21:04.75 0
>>211 なんか思春期ならではの心の揺らぎとかそういう表現上手いっスね
憧れるわ〜
213 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 06:41:32.56 0
とりあえず
214 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 08:12:40.24 0
4周年オメ!
215 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 08:18:34.72 0
>211
乙です
少女の心理面の繊細な描写と赤く染まった情景の描写のコントラストがイイな
良いネタを見つけて来られることを願っております
216 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 12:11:54.91 0
ご飯しながらホゼナント
217 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 15:24:19.99 0
13日の金曜日
218 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 17:43:59.05 0
川*^A^)<ピンクレディーとかけまして今のリンリンのやってることと解きます
そのこころは 夕保!(ユーフォー!) HAHAHA!
219 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 18:51:35.16 0
変だな
暖かくなったはずなのに寒くなってきた
220 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 20:38:13.44 0
うちはいきなり強い雨が降り始めました
221 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 22:16:23.51 0
「『「・・・めんどくさいっちゃ。正義とかわからんし」「でも田中さんの・・・』
・・・ん〜なんかしっかりこないな・・・れいならしい台詞が浮かんで来ないな」
『お、久々に書いとるんや。どうなん調子は?』
「あ、お久しぶりです。いや〜久々すぎてダメです。なんかキャラが活き活きしていないんです」
『それはもとからやろ(笑)あんたの話、長くてグダグダやねん。その割に後味が薄いやろ』
「・・・言いますね。それも個性ですよ(笑)それはそうと、姉さん、おめでとうございます」
『ああ、あのことか。ありがとう。ま、幸せになるわ。あの世界の私が幸せになるように祈っているわ
12年越しのハッピーサマーウエディングやな』
「いい夫婦になれるといいですね」
『なるにきまっとるやろ。私なんやから当然や。
そんなことより、あんたは私をうまく書きいや!サボってたんちゃうやろな!』
「いえいえ、まさかw 就活で休んでいただけですよ。仕事就いたから『息抜き』に書きますって。
とりあえず、復帰の意味も込めてこれ書いているんですから
もちろん姉さんが出て来る話も考えてますから、お待ちください」
『ほんまやろな?知っとるで、相変わらずBuono!ばっか聴いてることを。大丈夫やろな?
それから、9,10期に目を向けてばっかりでなく、私らにもスポットあてな許さんへんで』
「わかってますってわかってますって。『ハンター』買って刺激受けましたから。
ま、焦らずに保全でもいいから書いていきますよ」
・・・保全。
222 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 23:11:42.99 0
まずは4周年おめでとう。
223 :
名無し募集中。。。:2012/04/13(金) 23:34:49.60 0
>>221 作者さん視点って事かな?でもあの人と繋がってるって
事は…とか考えるといろんな意味で想像できる保全乙です。
四年前の約2時間10分前にこのスレが立ったのかあ…。
224 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 00:05:07.78 0
リゾが出て4年かあ
この曲ほど初聴で気にいった曲はないなあ
ハンターはこれに近いけど
これからもホゼナンタ−としてがんばる
225 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 01:39:30.39 0
226 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 07:45:20.42 0
新しい朝に
227 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 08:22:58.54 0
>>221 何となくだれかは判った
またやらかしてくれたまえw
228 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 08:53:08.13 0
川*^A^)<
>>221さんとかけて4時と6時の間と解きます
そのこころは・・・ バッチリドンマイデスよHAHAHA!
年度末年度初めの慌ただしさが徐々に落ち着いて他にも戻ってき始める作者さん多いかもしれませんね
・・・という願望
229 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 10:32:23.28 0
ホゼナント
230 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 12:22:21.40 0
はりきってホ
みんな滋賀いってんのかな
231 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 12:51:16.14 0
仕事ざます
232 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 14:42:00.00 0
雨
233 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 14:53:09.73 0
新垣里沙はかつてダークネスのスパイとしてリゾナンターを探っていた。
しかし里沙はリゾナンターと触れ合うことで正義の味方へと変わっていく。
「新垣里沙よ。裏切り者が平和を手にできるとでも思っていたか?」
http://iup.2ch-library.com/i/i0610602-1334382638.jpg 里沙は気付かなかった。
ダークネスを裏切ると顔にダークネスの文字が浮かび上がり、それを認識できるのはダークネスの人間だけであった。
「貴様は街中に溶け込んでいるダークネスの刺客に狙われるのだ。死ぬまでな。」
次々と送り込まれるダークネスからの刺客に里沙の心は荒んでいく。
「もう私は去るよ。このままでは愛ちゃんたちにも危険が及ぶから。」
「何を言うんやよ!里沙ちゃんはあーしたちの仲間や!あんたのその顔の刻印はあーしらが必ず消す!」
PVで思いついた画像作成保全
234 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 15:29:11.88 0
カタカナとかでなくD一文字とか罪人を意味する刻印みたいなものだったらもっと良かった
とはいえそういう設定は好みだよん
235 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 15:59:33.93 0
まさかまんま名前書いてあるとは確かに思わなかったw
236 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 17:53:52.54 0
こういうちょっとした画像の加工もいいね
237 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 20:30:32.78 0
書こう!もいいね
238 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 22:08:06.37 0
658 名無し募集中。。。 2012/04/14(土) 20:35:39.12 0
モーニング娘。コンサート滋賀夜公演終了。最後の挨拶。田中「私も今度福岡で公演があるんですが」
*背後から忍び寄ってくっつきにっこり微笑む生田 田中「なんかきた……って、鳥肌立った! ほら」
新垣「生田は鳥肌たてることもできるのか」 *生田ピースする #morningmusume
れいなが愛佳の地元でいいなぁという話をして「福岡でのコンサートも近づいとるけんね…」
と会場が拍手で反応したところ生田がそっと背後から忍びより肩に手をかけ微笑んだの怖ぇww
れいにゃリアル鳥肌でガキさん「生田は鳥肌も立てる事ができるんだねぇ!」www #morningmusume
239 :
名無し募集中。。。:2012/04/14(土) 23:47:43.74 0
ホゼ
240 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 00:36:34.96 0
>>238 最後の挨拶で生ガキが見れるとは思わなかったよw
今回初めてのツアー参加だったけど、9期も10期もなんか良い味出してた。
ただズッキが少し大人しめだったような気がする。
スレの中にも徐々に登場するようになって、なんかこういう子達が
出てくるのも新鮮だなって思えるようになったから、参加して良かったって思うよ。
241 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 03:41:10.18 0
t
242 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 07:28:34.56 0
今日はあったかそうだ
243 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 08:57:28.35 0
ピコーン!!
川*’ー’) < 新メニュー「あったかソーダ」を開発するやよ!
ノ|c| ・e・) <いやピコーンじゃないから
244 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 09:38:34.29 0
糞まずそうだけど鞘師は喜ぶかもしれんw
245 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 12:22:47.28 0
半袖でも過ごしやすい陽気なのにホットメニューですか…
246 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 13:14:56.98 0
自販機であったかいクリームソーダが出てきたことがある俺
247 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 15:13:34.94 0
川*^A^) <そのとき
>>246さんは言いました 「あっ!高い!」 HAHAHA!
248 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 16:27:39.32 0
あったかいソーダなんてものがあったかい
249 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 17:59:36.69 0
またあんたかい
250 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 19:01:49.46 0
リンリンのギャグレベルが上がってるぞw
251 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 19:57:50.01 0
だから最近気温が高いのか!
252 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 21:02:48.89 0
だから最近大陸からの移動性高気圧が活発なのか!
253 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 22:25:38.22 0
現在、遅いながらもスレ4周年作品制作中。
完成するまでギャグでつないでちょうだい。
254 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 22:26:32.02 0
川´・_o・) < ソッカー
255 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 22:26:56.60 0
あ、かぶったごめんw
256 :
名無し募集中。。。:2012/04/15(日) 23:59:48.58 0
グッナイ ホゼナント
257 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 01:27:03.78 0
寝ます
258 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 05:16:08.83 0
おぱよん
259 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 08:30:49.93 0
新しい朝
260 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 11:00:29.04 0
にゅう
261 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 11:26:24.32 0
もーにんぐ
262 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 11:42:42.14 0
最近活気がないね。
263 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 12:01:33.09 0
4年間の間にはこんな時期が何度かあったよ
時期的なものもあるからねどうしても
264 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 12:32:53.27 0
今まで一話完結ものしか書いてこなかったけど初めて長め(になりそう)なのを構想中
そろそろ形になりそう
265 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 15:26:09.11 0
とりあえず時間をおくれ
266 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 17:23:59.18 0
267 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 18:24:29.18 0
ほ
268 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 18:47:51.38 0
書きたいものはありつつ時間がない
>>264 羨ましいぜ待ってるぜ
269 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 20:22:39.85 0
ほぜなんと
270 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 21:53:44.88 0
ほじぇほじぇ
271 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 22:42:29.65 0
闇の時間が迫る。
272 :
保全:2012/04/16(月) 23:25:19.81 0
闇が迫りモノクロームになる 私の時間を私の毎日をいつか
鮮やかに塗りつぶし夢見てきたあの場所へ 見つめてきた遠くのあの場所へ辿り着けるように
闇が迫りモノクロームになる 染まっていたくはない汚れたくはない
いつも光は手を伸ばしたら消えてしまうけれど それでも何かを信じたい闇が時間を喰らい続けても
273 :
名無し募集中。。。:2012/04/16(月) 23:26:50.15 0
闇の時間もまた光の時間と同じ刹那を抱いている。
だからこそ人は希望を抱くことが出来るのだ。
274 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 01:17:06.27 0
>>207-210 大地から恵みを受けた人間は、死んでその恵みを返すように
土に戻って行く。
そしてまた大地は育って、人はその恵みを受け取る。
そうやって繰り返して、ひとは生きて来た。
ひとだけじゃない、この世界全てが、理由を欲しがっている。
生きてる証拠みたいなモノ。
確かで不確かで、カタチがあったり無かったり。
いつ死んでしまうかも判らない。
理由がないと生きてはいけない気がして。
意味が無いと、生きてる意味もない気がして。
だけど理由がなければいけないの?
意味がなければ生きてはいけないの?
生きる為の理由。
悲しみがあるから生きる理由を捜して行く。
雨あがりの空がとても澄んでいて、眩しくて目を閉じても。
なんだか笑えてくるような。
だからみんな、花が咲かない日を寂しがっている。
雨が降ると落ち込んでしまう。
でも雨があがり、花もきっと咲くのだ。
蒼い宇宙(ソラ)に焦がれて、未熟な虹が始まりを謳う。
それをかけた誰かが小さく願った。どうか、どうか――。
275 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 01:18:38.22 0
夕暮れ。
遊んでいた子供達のはしゃぐ声も遠くに消えて行く。
茜色。
学校から少し離れた公園の中を、長く伸びた影を引きずりながら
女子生徒は歩いていた。
ひとりで。
部活は中止になった。
怪我をした数人の部員は命に別状は無かった。
血を流していた部員も部活に支障はないという。
ふらふらと公園の中を歩く。
長く、長く伸びる影。オレンジ色の太陽。
こんな事になるなんて思いもしなかった。
自分が怪我をしたことから始まったのに。
誰かに呼びとめられた気がしたが、もうどうでも良かった。
友達だったかもしれない、でももう誰も居ない。
違う、誰か居た。
キイキイとブランコの揺れる音。腰かける女の子。視線。
「アンタのせいで、誰かが傷付いた」
鋭い声。震えが起こる、止まらない。
自分で自分の身体を抱きしめるように、左手で右腕を握りしめる。
「私のせいじゃない…私のせいじゃない!」
276 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 01:19:47.13 0
―― 〜♪!
突如、携帯電話の着信メロディが鳴り響く。
女子生徒は心臓が飛び出そうなほど、ドキリとしてしまった。
鞄に仕舞われた、友達とお揃いだと言って買ったストラップ。
チカチカと着信のランプを点灯させている。
今の女子生徒には大好きなはずの音楽が、憂鬱を運んでいた。
鳴り止まない。繰り返す発光。
「心配しとる人がおるね。あんたは頼るものを間違えてる。
傷つけたヒトはまた傷をつけるんだよ」
「私には関係ない!」
携帯電話を放り投げた。茂みの中にバサリと音を立てて落ちて行く。
機械仕掛けの音。無機質な音。
いらない。イラナイ。もう"声"はうんざりだ。
空気が、変わる。
瞬間、揺れて、ヒュッと空気を裂く音。
女の子の傍を貫いた。鋭利な『刃』へ。
「カタチのあるものは色へ、カタチのないものは音へ。あんたの心は、カラッポじゃ」
「近付かないで!」
放つ。
だが当たらない、女の子は涼しい顔で、女子生徒を見下ろしていた。
空気を裂く音。見えない『刃』。隠した傷跡。
277 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 01:22:07.45 0
「私は傷つけるつもりなんて無かった、だってあれだけ、あれだけ練習して
やっと結果も出るようになって、怪我で、全部無駄になるなんて……っ!」
だが女の子は避けない。スッと、ペットボトルを取り出す。
スパーンッ!
ペットボトルが引き裂かれる、空気が弾け、水の霧が雨のように降り落ちる。
「なら、ここで此処に終わりにしよう。私が誰も傷つけさせない」
「なんで…なんでよおおお!」
何故当たらない!何故!何故!!
視えないはずなのに。隠したはずなのに。
女子生徒はパニック状態なのか、眼球の運動が激しく、視線が
あちらこちらを彷徨う。手の中の球体が、ぼんやりと点滅を繰り返す。
「でも終わる変わりにやり直せるんだよ。あんたは人間なんだから」
パチンッ――
奇蹟のようなヒカリが、黄昏を貫く。円形の青空が二人に注がれる。
女の子の身体が白い光に包まれ、手には鞘に収まった『刀』
ガンホルダーのようなベルトに固定された数本のカタナがガチャリと音を鳴らす。
鋼の翼に包まれ、抜き放たれた朱色の刃に祈るように、女の子は呟く。
「私は、アンタを斬ることしかできない」
278 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 01:28:33.20 0
279 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 07:10:59.91 0
とりあえずね
280 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 07:22:07.60 0
これは過去?現在?文中でははっきりさせずに想像に任せているのかな?
いよいよシリアス色が濃くなってきてポクポクしてきた
281 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 08:14:52.28 0
>>278 いいとこで切るなあ
個人的には香音ちゃんのほのぼの視点が好きなんだがアニメのヒロインっぽい鞘師も良いですな
続き待ってます
282 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 11:36:44.76 0
むむ
283 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 12:15:42.54 0
今のところ9期だけで話が進行してるけど違和感とかない
どこか底の方でスレの原点と繋がってる感じがする
284 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 15:16:14.10 0
あげちゃうよー。
お昼は手薄だからひとたまりもないぜ。
285 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 17:18:08.65 0
ho
286 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 19:52:25.88 0
ウホッ
287 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 21:02:38.47 0
ホゼナントゴリラ
288 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 21:54:17.85 O
ノノ*^ー^) <姫?ご気分はいかがですか?
从´・_l・) <亀井さん・・亀井さんに伝えたいことが・・
ノノ*^ー^) <何でしょう?
从´・_l・) <実は・・あれ・・なんだか・・苦・・し・・(バタッ
ノノ*^ー^) <姫?どうしたんですか!?姫!!
Dr.マル) <寿命よ
ノノ*^ー^) <あなたはDr.マルシェ!どういうことですか?
Dr.マル) <彼女は姫じゃないわ
【u51】 私が造ったアンドロイドよ
ノノ*^ー^) <えっ・・・!!?
Dr.マル) <i914のプログラムを元に私が再生したプロトタイプ・・
あなたを信用させ引き込むために送りこんだのよ
ダークネスとしての基礎情報を入力したチップが埋め込んである筈なんだけど・・
所詮は試作品ね、あなたの優しさに触れてフォーマットが書き換えられたみたい
まったくガキさんといい、この子といい・・
289 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 22:00:59.85 O
ノノ*^ー^) <そんな・・嘘!!姫!起きてください!!
Dr.マル) <無駄よ
もともとi914より戦闘向きに造ってあるから・・・身体にかかる負担はより大きくなる
当然寿命も短くなるわ
ノノ*^ー^) <・・姫、嘘ですよね・・?だってこんなにあたたかい・・
Dr.マル) <そんなに衰弱していたら私でも簡単に【精神操作】できるわ
安心して?すぐ私たちの仲間にしてあげる
ノノ*^ー^) <姫・・大丈夫です 今助けますから・・
Dr.マル) <!?何してるの・・?まさか・・【傷の共有】!?
ノノ*^ー^) <【傷の共有】は本来人を傷つけるものではありません
他人の痛みや苦しみを分かち合うことのできる
そんな優しい力なんです
Dr.マル) <それでその子を蘇らせるって言うの!?無理よ!
人間じゃないって言ってるでしょう!?もう再起不能になってるわ!
仮に上手くいっても一瞬意識が戻るだけよ!
ノノ*^ー^) <それでもいい・・
Dr.マル) <死人と同じ状態なの!
そんなのと【共有】したらあなたの心臓にかかる負荷はとんでもないものになる・・
一生病院詰めの生活になるわ!
290 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 22:09:24.73 O
ノノ*^ー^) <理屈じゃない・・
私は姫に仕えているから私のできることは全部やる・・ただそれだけです
Dr.マル) <・・・
ノノ*^ー^) <姫、大丈夫ですか?
从´・_l・) <・・あ・・・・
ノノ*^ー^) <よかった・・
从´・_l・) <・・・亀井さん・・ありが・・とう・・だいす・・・・き・・・
ノノ*^ー^) <姫・・! ゴホッゴホッ
Dr.マル) <馬鹿ね 結局残ったのは副作用だけって訳
ノノ*^ー^) <・・そんなことはありません・・
これでずっと姫と繋がって・・ゴホゴホッ
Dr.マル) <そんな衰弱したあなたなんて必要ないわ
病院を手配してあげる 心臓はもう治らないだろうけど進行を遅らせるくらいは出来るかもね
ノノ*^ー^) <ゴホゴホッ
291 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 22:11:26.83 O
Dr.マル) <それからもうそのやり方で【能力】を使わないことね
次に使ったら確実に身体が持たないわ
ノノ*^ー^) <うへへ・・
Dr.マル) <・・・ねぇ
ノノ*^ー^) <はい?
Dr.マル) <・・ごめんね
ノノ*^ー^) <・・・
Dr.マル) <・・・
292 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 22:16:31.86 O
293 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 22:18:52.16 0
AAが誰なのか判らなくてスマソ。
でもなんだか泣けるんだかなんだか突っ込みたかったり
なんだして、とりあえずありがとう。
294 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 22:20:16.06 0
おつです
途中までは亀の表情を変えたら良いのにって思ってたけど →ノノ;^ー^)こういうの
変えなくて正解ですな
外から見える表情は変化してるんだろうけど
内側の表情は変わらないんだろう
295 :
名無し募集中。。。:2012/04/17(火) 23:29:12.11 0
紺亀ヲタの俺歓喜w
296 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 00:25:16.78 O
新参の俺にはなんでえりりんが姫なのかわかりませんが・・
いやいや勉強しますハイ
297 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 02:07:18.23 0
おやすみ
298 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 02:58:23.53 0
>>296 かめが他のメンバーに姫って言って仕えるAAネタシリーズで
毎回設定はリセットされてる
まとめ3を「ご気分はいかがですか」で検索したらノリがつかめるかと
>>113-122 「何をしている?」
その声に遥は振り返る。そこには鋭い眼差しをした剣士の姿。
サヤシ・・・いつの間に
「テメェには関係ねぇよ。なんでこんなとこに来た?」
「この島を覆ってる瘴気の源を探しててね」
「へぇ、それでここに来たってわけか」
二人の間に暫しの沈黙が流れた
先に口を開いたのは遥の方
「・・・奴らに勝つにはこの力が必要なんだ」
「愚かだな、その力はお前には使いこなせない。もうよせ!」
「こなせるとかそういう問題じゃねぇんだよ!自由の為には力が必要なんだっ!」
コアのエナジーを吸収した遥の身体は闇の中で蛍のようにぼんやりと光を放っている
エナジーが身体が漏れて出している・・・過剰なエナジーを吸収したことは明らかだ
「自由とは!」
突然サヤシが大声で叫ぶ
その勢いに遥は少しビクっ!と身体を震わせた
「自由とは自分の力で切り拓くもの!自分以外の大きな力を頼る者は必ずその力に呑まれる!」
また暫しの静寂
クックックッ・・・
その静寂を破ったのは遥の口から漏れた笑い声だった
「ご大層なこと言ってくれんじゃねぇか、だが俺は・・・俺は・・・」
遥の身体から漏れていた光が徐々に輝きを増していく
「アタシはこの力で自由を手に入れるんだよーーーーーーーーーーーーー!」
ドーン!爆発的なエナジーの放散、衝撃波が動力室全体に広がる
「クッ!」
その衝撃で里保の身体も軽く吹き飛ばされ後方の柵に背中をしたたか打ちつけられた
そして金色に輝く遥の身体はふわり、と空中に浮かび上がる
「フッフッフッフッ・・・アーッハッハッハッハッハッ!」
アタシ・・・と言った。笑い方も遥のものではない。
まさかっ!
「お前か!瘴気の正体はっ!」
背中の痛みを堪え、身体を起こしながら里保が叫ぶ
その叫びを無視して遥?は言葉を続けた
「やっと身体が手に入ったぁ!ちょっと脆いけどとりあえず表に出れたよぉ!」
違う、完全に遥ではない。その瞳は金色に輝き、邪悪な笑みを浮かべている
「お前は・・・お前は何者だっ!」
遥・・・に憑依した存在、強大なエナジーがチラリとサヤシの方を見る
そして手を開いて里保に向けた
反射的に里保は横っ跳びに身を躍らせる
ベコンっ!と先程まで里保のいた場所のスチールの床が嫌な音を立ててグシャグシャに歪んだ
「口の利き方に気を付けなよ。久し振りの娑婆でご機嫌なんだからさ」
この力、尋常じゃない・・・今まで戦った木偶達とは違うあまりに強大な邪念
床を転げながら里保は背中の御神刀に手を掛ける
このままではお頭はあの邪念に呑まれてしまう。その終着駅は間違いなく”破滅”だろう。
出来るのか・・・私に・・・でもっ!
「その邪念!私が断ち斬る!」
目を瞑り、集中する
亡き祖父の顔が、声が、言葉が瞼の裏に浮かぶ
「御神刀は心の剣。おんしの心の映し鏡じゃ。」
「心?」
「そう、御神刀は心の刃。おんしが願った姿にいかようにも変わるんじゃ」
「でも里保の剣は見えないよ?」
「それはおんしの心が澄んでおるからじゃ。おんしが何か強い想い、強い願いを持てば必ず剣はその姿を見せる」
初めて使う力・・・でもこの日の為にずっと修行してきた
御神刀の存在理由、本当の力、今こそっ!
「はぁああああああああああああああああああああああああ!」
ゆっくりと里保は御神刀を引き抜く
鞘の中からはいつもの見えない刀ではない、光り輝く刀身がその姿を現した
その光は金色のエナジーにも負けない紅い光
真紅の剣・・・邪悪を断ち、お頭を救いたいと思う熱い気持ち、これが今の私の心の刃!
「フン、そんなオモチャでアタシとやろうっていうのかい?いい度胸だね」
再び憑依された遥が里保に向けて手をかざす
同時に、床を蹴って低い姿勢で里保は遥に向かって突進する
ベコベコベコッ!今度は先程まで里保が居た地点の床がめくれ上がり
粉々になった破片が宙に浮く
「ちょこまか逃げても無駄だよ!」
遥が人指し指をクイっと自分に向けて曲げると
浮いた床の破片が一斉に背後から里保に向かって襲い掛かった
あの破片は何か特殊な力で操られている・・・斬っても恐らくは無駄
斬った破片がまた襲い掛かってくるだけだろう、ならば!
全力で疾走しながら、里保は刀を伸ばす
一撃で、決める!
「でぃやああああああああああ!」
縦の一閃、宙に浮いている遥に向かって里保は伸ばした刀を振り下ろす
ガツッ!手応え・・・しかしこれは
「・・・ふふっ、そんなナマクラでアタシのグラビティウォールは破れないよ」
見えない壁、遥の前に形成された見えない壁に刀は阻まれていた
グラビティ・・・重力?
カランカラーンカラーンという音が背後から聞こえた
床の破片が落ちた音?・・・と、いうことは
「チッ、この身体じゃあんまり無理は効かないようだね」
遥に憑依した存在が憎々しげな表情を浮かべる
そう、遥の身体ではあの邪悪なエナジーの力の全てを行使することは多分できない
恐らく今は防御だけで手一杯なのだろう
ならば勝機は充分にあるっ!里保は刀を持つ両手に一層力を込める
「その目、気に入らないね・・・何がそんなに不満なんだい」
「お頭の身体から離れろ!」
「お前こそ邪魔すんな、この子も自由、私も自由、これはWINWINの関係だよ!」
「違うっ!お前はその自由で何をする気だ!」
里保がそう言った瞬間、グインっ!と身体全体に力が掛かった
身体が・・・重い。この島に来るとき落ちる戦闘機の中で感じた力と同じ
御神刀を持つ両手もどんどん鉛のように重くなっていく・・・マズい
「決まってるじゃないか。アタシをここに閉じ込めた奴ら、人類を皆殺しにするんだよ!」
遥に憑依した女が感情を爆発させた
同時にピシッ、ピシピシッと嫌な音が響く
遥の周囲、宙に浮かぶ赤い小さい粒・・・アレは・・・血!?
遥の顔、身体、ところどころが小さく裂け金色のエナジーと共に血を噴き出している
防御と攻撃、明らかに遥の身体の限界を越えた力を女は同時に行使し始めた
急がねばっ!しかし・・・
グンッ!ますます身体に掛かる力は重くなっていく
周囲の床がへこみ始めた・・・このままではっ!
「目を醒ませお頭っ!お前は自由を、自由を得るんじゃなかったのかっ!」
お頭の意識、遥自身の意識が少しでも戻ればそこに隙が生まれるはず
里保は顎を動かすのもやっとの状況で必死に遥に語りかける
頼む、邪悪な力に負けないでくれ、目を醒ましてくれ!
「この子は自由さ!私と共に永遠の自由を得る・・・自由・・・を・・・」
バチ、バチバチバチッ
遥の周囲にオレンジ色の火花が散り始める
黄金のエナジーと違う色、オレンジ色のエナジー
「や、やめろ・・・なぜ逆らう?力を望んだのはお前だ・・・うっ、くうっ・・・」
遥が頭を抱えている
フッと里保の全身に掛かっていた力、重力が消え失せた
応えてくれたのか、私の声に
「サ・・・ヤシ・・・今だ・・・」
お頭、遥自身の声
「俺を・・・斬・・・れ・・・」
・・・今、自由にしてやる
重力の壁は今だ健在
この重力の壁、これも邪悪なエナジーが造り出したもの・・・いわば心の壁、邪念の塊
里保は目を瞑り、再び集中する
邪念を断つ、強い心
・・・人類を皆殺し?絶対にそんなことはさせない!
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ピシッピシピシッ、重力の壁が軋みを上げ始めた
「・・・バカな・・・グラビティウォールが・・・」
遥に取り憑いた女が再び表に出てきて苦悶の表情を浮かべる
「・・やめ・・・ろ・・・この子の身体がどうなってもいいのか?」
いいはずがない、だから”お前”を斬るんだ!
ガ、シャーンとガラスの割れるような音が響く。
それは重力の壁が粉々に砕けた音
もう阻むものはない!
私は一気に、御神刀を振り下ろす
ざ、シュッと確かな手応え、真紅の光の刃がお頭の身体を縦に一閃する
「サヤシ!ちょ!何してんの!」
「うおっ!・・・お頭を斬っとぅ!」
同時に耳に響く声
かのんちゃん、KY・・・遅いよ、来るならもっと早く来て
「ぎゃああああああああああああああああああああっ!」
絶叫と共に、金色の邪悪なエナジーがあちこちに弾け飛んだ
「何何何?!何これはー!?」
「うぉおおっ!ド派手やねー!」
驚いてる場合じゃない!
「KY!」
私は上を指差す、間に合ってくれ!
「うぉおおおおおっとぉ!?」
私の意図はKYに通じたようだ・・・良かった、空気読んでくれて
猛ダッシュで階段を駆け降りるKY
全身から力が抜けていく・・・へなへなと私はその場に崩れ落ちる
「うぉおおおおおおおおおおおっ!」
どさっ
ズサー
間に合った
顔面から滑り込んだKYが見事に空中から落下するお頭の身体をキャッチした!
「痛かー!」
「ちょ、ナイスキャッチw」
かのんちゃんが笑っている。いや、もっとこう、緊迫感を、ね?
「やっぱり斬れてなかね?一体どうゆうことっちゃ」
KYが怪訝な顔をする。まぁ当然だろう。どう見ても伸びた刀がお頭を斬ったようにしか見えなかったろうから
ただKYは”鷹の目”でお頭の身体が真っ二つになっていないのを捉えられるはず
だから私は指差しでKYに指示したし、KYも素直にダッシュしてくれたんだ
「ちょっとぉ、真夜中に喧嘩しないでくれる?すんごい音が地上まで響いてきたんだけど?」
かのんちゃん・・・いや、あの別に喧嘩してたわけじゃないんですけど・・・
「ねぇ?何で斬れてなかと?何で何で?」
ああ、うるさい。うるさいよKY、でも・・・有難う
ああっ、質問は一度に一つずつにして下さい!
そんなことよりお頭の心配をしましょう!
「そうだ!お頭!」
「大丈夫、息はあるとよ。少し怪我はしとぅけどな」
確かにエナジーが漏れたときの小さな傷があるけど息もあるし怪我は軽そうだ。
海賊達に見つからないように部屋に運んで安静にしておかなくては・・・
「刀、見えよったね?何で何で?」
「その前に何でお頭と喧嘩なんてしてくれちゃってるわけ?追い出されたらどうすんのよ?」
いや、また質問ですか・・・まぁ状況が分からない以上納得もいかないのはわかります。ハイ。
私はこうなった経緯と御神刀のこと、この島の邪悪な瘴気の正体について説明した
「心の刃?なんだかカッコよかねー、えりにも使えよぅ?」
使えません。この剣を使えるのは鞘師、柄師、鍔師、剣師の限られた一族だけです。
「つまりお頭はそのバッドエナジーの力でバッドトリップしちゃったのね?ハハン」
かのんちゃん、何そのキャラ?外人?
「心の刃で物理的にじゃなく邪悪な念だけを断ち斬ったとね。何だか剣の達人みたいやね」
いや、一応達人のつもりですが
「で、そのバッドエナジーの源がこのバッドガールなわけね。」
そう、誰だか知らないけど封印されてるこのバッドガール。
エナジーだけであれだけ強かったわけだから生前のコイツはどんだけ強かったんだい
誰だか知らないけど封印してくれてよかった。本当に有難う。
えっ?もう3時?
色々とかのんちゃん達に説明してる間に随分と遅い時間になってしまった
眠い・・・眠過ぎる・・・今日はちょっと無理をし過ぎた
初めて剣が見えたよじっちゃん・・・私の心の色は真紅なんだね
「ちょっと!サヤシ!聞いてる?この状況をどう海賊達に言い訳すんのよ!ねぇ!」
かのんちゃんの声が遠くに聞こえる
ゴメン・・・今日はもう無理・・・おやすみなさい
私の意識は深淵へと落ちていった
・・・
夢の中、またあの光景。光と闇の戦い。
今日は色も見える。音も聞こえる。
「そんなことはさせんとね!」
猫の様な身のこなしの女が宙に浮いている女に向かって叫ぶ
宙に浮いている女・・・あれはさっきカプセルに封印されてた!
街はもう壊滅状態。女の強大な力が周囲の瓦礫を舞い上げている
反重力の嵐、なんて強大な力!
戦士達が瓦礫の中から立ち上がる。いつも夢に出てくる戦士達
みんなボロボロ・・・でも目は死んでいない
光・・・蒼い光。戦士達は皆、蒼い光をその身に纏っている
・・・もしかして、貴方達が!?
>>299-308 以上、InvisibleBlade 第9話「見えない壁、見えた刃」でした
次週で10週打ち切りだー!
↑
全然週次で書いてない
310 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 06:53:23.76 0
チェック
311 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 08:26:46.06 0
>>309 おちゅ
時を越えた繋がりが見えた気がするよ
312 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 11:34:52.72 0
>>309 カッケー!w 高まりますね! …でもみずぽん出番少なっ!!w 次回も待ってます
313 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 11:42:47.18 0
>>292 このシリーズ好き
基本ブラックな笑いを誘うのが多いけどこういう真摯なのが来るのが懐の深いところだ
>>309 刃が見えるようになったということは鞘師が階段を一歩上がったということを意味するのかな
書き続けてきたことで描けるものがあるということを改めて知った
314 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 12:47:24.75 0
>>309 カッコイイ!最後のくだりも鳥肌たったわ
315 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 13:37:54.82 0
かのんちゃんの英語キャラが胡散臭くて面白い
316 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 15:30:27.19 0
>>309 乙です
今回も本格的な設定とコミカルな語りが面白かったです
再来週からは第二部「真紅の剣」のスタートですね(違
317 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 16:33:16.99 0
318 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 17:45:33.49 0
319 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 17:45:42.31 0
見えない
ホゼ
320 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 19:08:45.10 0
ホゼ
321 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 20:50:38.41 0
ホゼ
322 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 22:23:55.54 0
ホゼ
323 :
名無し募集中。。。:2012/04/18(水) 22:28:54.96 0
>>318 何これ凄い面白そう。
娘。はその討伐部隊に狩られる側のゾンビって事になるのか…。
でもこんな役今までになかったから新鮮味があっていいなあ。
ただまたさゆェ・・・。
324 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 00:22:54.48 0
おっと
325 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 01:44:57.92 0
ゾンビの画像で荒れたのも今となってはイイ思い出だw
326 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 02:34:49.84 0
327 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 04:57:33.23 0
お兄ちゃんをお食べ
328 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 05:27:11.25 0
おはようおじいちゃん
329 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 06:32:40.80 0
こんなかわいいゾンビなら荒れなかったろうなw
330 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 08:31:25.98 0
あの頃は若かったな
331 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 10:02:15.84 0
332 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 12:37:00.52 0
リゾンビナンター
333 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 15:14:19.76 0
あげあげやよ
334 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 17:33:44.39 0
ほっと一息
335 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 19:19:37.42 0
お出かけ前にホゼナント
336 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 20:44:11.33 0
ホゼ
337 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 22:10:44.28 0
t
338 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 22:10:46.18 0
ホゼナンター
339 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 22:47:56.28 O
じっちゃんの名にかけて
340 :
名無し募集中。。。:2012/04/19(木) 23:09:36.21 0
それ違う作品だね!AHAHAHA
341 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 00:45:51.15 0
未だ 夜明けは遠く
342 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 02:21:44.72 0
おやすみなんと
343 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 06:19:04.62 0
コーヒーがぽくぽくしてきた
344 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 07:52:23.62 0
hhE
345 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 08:08:35.71 0
もうちょっとで忙しいのが峠越えるんだけどなあ
346 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 11:17:01.76 0
書くこともままならぬ
347 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 12:37:19.60 0
丈夫な体を持ち
348 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 12:59:41.33 0
欲はなく
349 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 14:26:23.09 0
カメにも負けず
350 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 17:15:17.68 0
睡魔にも負けず
351 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 17:51:01.04 0
規制にも負けず
352 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 19:47:42.96 0
食欲にも負けず
353 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 21:17:16.35 0
物欲にも負けないんやよ
354 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 22:43:44.54 0
ホゼ
355 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 22:43:57.64 0
東に病気のりほりほあれば
356 :
名無し募集中。。。:2012/04/20(金) 23:26:11.04 0
行って看病してあげるの!
あんな看病やこんな看病をしてあげるの!
357 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 00:15:48.82 0
りほりほ逃げてえええええええ
358 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 01:59:36.66 0
⊂ヽ ⊂ヽ
|ノノハ| |
(。.・* 从从 <りほりほーりほりほーー!
| |
《_《 ̄》_》 カタカタカタカタカタ……
359 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 05:15:22.45 0
やめれw
360 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 08:07:23.52 0
⊂ヽ ⊂ヽ
|ノノハ| |
(。.・* 从从 <りほりほハケーン!
| |
<_< ̄>_>
| | | ヒョーイッ
361 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 10:45:42.46 0
ピンクの悪魔が・・・退治せねば
362 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 13:08:19.64 0
鞘師生きろ
363 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 15:11:47.84 0
りほりほのバスツアーがあったら絶対行くの
364 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 17:21:05.27 0
道重ハンター
365 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 19:24:14.29 0
逃げろ鞘師
366 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 21:30:50.22 0
ほぜ
367 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 22:24:59.23 0
いやー今日書こうと思ってたのに
バスツアースレが面白くて書けないw
368 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 23:44:06.90 0
奇遇だな
俺もだぜ
369 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 23:49:15.16 0
自分もだいぶ入り浸ってしまったw
370 :
名無し募集中。。。:2012/04/21(土) 23:54:14.93 0
予想を遙か斜め上空をいったからなぁw
スレが落ちなかっただけ良いかと思う
371 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 01:46:21.06 0
ほ
372 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 05:43:55.48 0
おぱよん
373 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 07:16:02.14 0
エイプリル
374 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 11:24:35.18 0
ひる
375 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 14:08:34.21 0
なんとぅ
376 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 15:36:30.43 0
雨模様の午後
377 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 16:26:34.83 0
こちらは快晴
378 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 17:29:28.49 0
大阪は雨だぞ
379 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 19:20:19.44 0
こちらも降ったりやんだりラジバンダリ
380 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 21:20:15.84 0
恋愛パンダー
381 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 22:31:55.97 0
それは刃千吏の保護対象か?
382 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 23:11:34.64 0
変態ヒーラー
383 :
名無し募集中。。。:2012/04/22(日) 23:22:20.03 0
癒やされるんだか癒やされないんだかw
384 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 01:25:38.74 0
⊂ヽ ⊂ヽ
|ノノハ| |
川´・_o・) PUNDER
| |
<_< ̄>_>
385 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 01:41:57.13 0
夜中に吹いたわww
386 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 03:28:46.49 0
今!光れ!大熊猫を被るな!
387 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 06:24:54.95 0
萌え溶けるほど本気になれないなら明日はないの
388 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 06:37:09.49 0
なんか違うだろw
389 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 06:48:58.41 0
ここを見てさゆブログ行ったら朝から爆笑したw
390 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 07:22:16.95 0
朝から憂鬱だったのにどうでも良くなったわww
さすがさゆww
391 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 07:53:57.59 0
今日も変態ヒーラーがホゼナンターの心を癒す
392 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 09:46:03.47 0
柔肌に嘘はないの
393 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 09:55:06.31 0
テンプレに9期10期のリゾナンターぽいのと
私服の画像がそろそろ欲しいです神様
394 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 10:51:44.99 0
テンプレに9期10期の画像はいらないんじゃなかろうか
395 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 11:52:04.33 0
ダークネスの幹部会議に反旗を翻し、単独で後藤真希に戦いを挑んだものの、圧倒的な力の前に敗れ去った魔女藤本美貴は紺野あさ美の管轄下にあるラボに身を寄せていた。
部屋の主である紺野あさ美は、外出の用意をしながら美貴に話しかけてくる。
「そのグラフは重力場の歪みを時系列にならべたものなんだけど、いくつか突出した部分があるよね。 その一番新しいところは美貴ちゃんが後藤さんに捻られた時間と一致する」
紺野あさ美によれば、後藤真希は能力によって重力を増大させた座標の時間を停止させているという。
「おい、それってまるで…」
「美貴ちゃんの見立て通りブラックホールそのものだね。 いくら後藤さんが最強の能力者だといっても人間の域を超えている」
時間が停止した座標が地球の自転運動から乖離したことは、地盤にパイルを打ち込んだ形になった。
後藤真希の意図にかかわらず、重力操作を応用した時間停止を連発すれば、地球が崩壊してしまいかねないという推測を淡々と明かす。
だから後藤真希を止めることが、その能力開発に関与した人間としての責務だという紺野あさ美の言葉には微塵の迷いもない。
深化した後藤の能力が世界の深刻な脅威を与えるという事実は、和解の可能性を探っていた保田圭を対後藤戦に踏み切らせる結果になった。
幹部クラスの能力者で編成されたヒットマンチームの派遣とジェットストライカーの編隊による空爆計画が同時進行で進められている。
後藤と幹部チームとの戦いの趨勢を見極めて、空爆のゴーサインを出す役目を紺野あさ美が担ったという。
「動向から推測するに後藤さんはジェノサイダーになるつもりもないらしい。 それを逆手を取る…たくさんの人を巻き添えで死なせてしまいたくないから、みんなに勝って欲しいけど…」
後藤真希とダークネス幹部チーム。 強大な闇のチカラを持った者同士の戦いは一瞬で決まる。
先手を取るために瞬間移動能力者は戦いに加えたいところだが…。
「うちにもテレポーターはいるけど、あの子に後藤さんのプレッシャーを前にして戦えっていうのも酷だしねえ…?」
リゾナンターと共同戦線を張り、高橋愛の力を借りることも考えたが、入院中の病院から姿を消してしまっていて叶わない。
そこで空間裂開能力者である中澤裕子に作戦に参加してもらうという。
「しかし、中澤のオバハンは後藤にこっぴどくやられた上に、捕まってるんじゃなかったのか?」
「だからこれから中澤さんを改造…じゃなくて治療して戦線復帰してもらうために敵地に潜入するんだけどね」
筋肉や靭帯が損傷していることを想定してのハードテーピング、断裂した神経の代替となるナノマシン等を用意した紺野あさ美がラボを出て行く間際に美貴に言った。
「今の後藤さんに単独で勝てる能力者なんていない。 万全の状態の安倍さんや、暴走状態の愛ちゃんでさえ差し違えられるかどうか」
美貴が後藤に敗れたことを卑下することはないと言い残して、紺野あさ美は出て行った。
美貴がこれ以上暗くなるといけないからとCDプレーヤーを作動させて。
♪「寒いから出たくない・・・」 どうもこうもないっすよミキティ
−悪に身を寄せても、科学は人間の幸福のために存在するという信念を貫いていたアイツが、科学の力で多くの人間の命を奪う作戦に参加する−
♪「未来には愛する人と世界旅行ね」とかなんか言ってみたい
−そんなアイツを一人で行かせるとはアタシもとことん腑抜けちまったもんだ−
自分は誰よりも弱い。 その弱さにつけ込まれないように張ってきた虚勢が、後藤真希の圧倒的な存在感の前に吹き飛んでしまった。
体からすっかり力が抜けてしまった。
♪お天気なんだよ出掛けましょ
いい事ありそうよ
脳天気な歌かけやがって。 CDプレーヤーを止めようとした美貴の目に止まったのは、ジェットストライカーによる空爆の計画書だった。
第一波の気化爆弾を都庁、警視庁と黒崎記念病院を結ぶトライアングルに投下。第二波のクラスター弾がトライアングルを中心とする半径二十キロの範囲に投下。
そして気化爆弾の爆発による建造物の破壊によって変化する気流を想定して炭疽菌の散布。
−おいおい、この町は−
散布された炭疽菌が拡散するコースを示す矢印は、美貴のよく知っている町を掠めている。
そこは宿敵リゾナンターと何度も相対し、敗北を味合わされた場所。
そして魔女のささくれた心に、仄かな明かりを灯した者達が暮らす町。
〜魔女さん、今年の夏はたくさんの氷をありがとう。 とても冷たくて気持ち良かったよ。
来年の夏もぼくたち、わたしたちがんばって節電するからまた氷を作りに来てね。 おねがいします〜
節電の夏に受け取った氷の贈り物への感謝状はどこかへやってしまった。
バカなガキどもだ。 流れ弾の氷槍ごときに大層な感謝状やメダルを贈るなんてよ。
あのガキどもは運が悪かったんだ。 たまたま、後藤真希と同じ時代に生まれ、たまたまあの町で暮らして、たまたま…。
次回、暁の戦隊 第11話「寒いから冬だもん!〜どうもこうもないっすよミキティ〜」
♪春を告げてる美しい花のように 太陽の恵み頂いて美人になるから そう 私 白いスノードロップ
−ふん、どうもこうもないぜ。 とんでもない死亡フラグを自分で立てちまった。 こんな薄汚れたアタシが誰かを助けるとか−
ラボの留守を預かっている「俺」を脅して車を出させた。
座席で自嘲の笑みを浮かべる美貴の手には子供たちの手製のメダルが握られていた。
>>145-146 〜やめろ、かのんちゃんから手を離せ。じゃないと
〜じゃないと、何や。貴重な広域支配型の能力者やと思って下手に出てたらつけあがりやがってこのガキが
〜私のことはいいから里保ちゃんだけでも逃げて
〜そうかいくかい。 ええか、鞘師。 もしお前一人で逃げたりしたらそのとばっちりはお前の友達に行くんやで。
監視役の寺田は同僚の制止を振り切り、警棒を高々と振りかざした。
〜これは生意気なお前への教育や。 かわすんやないで、もしかわしたら…
痛っ。
激痛に苛まれ目が覚めた鞘師里保の目の前に一人の女がいた。
まだ寝ていた方がいいと言うその女の顔には見覚えがあった。
高橋愛。二つの陣営に分かれ、闘争を繰り広げる旧世代の能力者たちの一方の雄。
身体の痛みにもかまわず、跳ね起きた里保は愛を床に押し倒し、その喉頸に手をかける。
このままでは指令をしくじった責めを、鈴木香音が負わされてしまう。
愛の首を取ればその失敗も帳消しになると考えた里保は手に力を入れる。
…いつまでこんなことを続けるつもりや
「香音ちゃんはわしのたった一人の友だちじゃけん。 わしが守ってやらな」
…そんなに大切な友だちだったら、なぜ囚われの身から救い出そうとしない?
「お前に何がわかる。 わしらみたいな子供が大人の目から逃れて生きていくことがどんなにむずかしいか」
病院とは名ばかりの監獄から、何度も香音を連れて逃げ出そうとした。
里保の力をもってすれば病棟から逃げ出すことは容易かった。
しかし着のみ着のままの孤児二人には身を隠す場所など無きに等しかった。
400 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 11:55:27.90 0
最初は善良そうな住民の住む人家に逃げ込んだ。
学校に駆け込んだこともある。
新聞社に全てを打ち明けて保護を求めたこともあった。
しかしいくら真実を訴えても誰も取り合ってはくれなかった。
警察や行政機関を意のままに動かせる黒崎のような男を敵に回す恐ろしさを愛は知らないのだ。
…ああ、それは知らんかったかもしれん
「だったら香音ちゃんの為に死んでくれ」
…黒崎みたいなつまらん男のことなんか知らんけど、もっと大切なことをわたしは知っている
「何!」
「かけがえのない大切な友の為なら、命を賭ける意味がある」
「きれいごとを言うなぁぁぁっ」
どす黒い衝動に身を任せ、愛の頸をへし折ろうとした里保は、その身体が思いの外小さなことに気づく。
−こいつはきれいごとでも絵空事でもなく、仲間の為に命を張ってきた。 こんな華奢な身体で−
次回、暁の戦隊 第12話「友」
「勝手な頼みかもしれん。 わしのことはどうなってもいいから香音ちゃんのことを助けてあげてやってくれ」
自分が能力者であることを自覚してから、大人に対しては自分を偽り続けてきた里保が素直な気持ちを愛に伝えた。
「今から始めよう。 あんたと香音ちゃんのこれからを」
401 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 11:56:50.14 0
402 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 13:32:14.12 0
403 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 15:26:51.01 0
>>401 様々な登場人物たちの心情が熱いZ
次回も待ってます
404 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 16:10:14.48 0
>>401 おおっと2話分キター
熱い展開っスね!
405 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 17:17:19.60 0
後藤対ダークネス
香音奪還戦の二つが進行して行くのか
モットヤレ
406 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 19:14:26.32 0
ほ
407 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 20:45:46.74 0
ZE
408 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 21:43:50.80 0
n
409 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 22:22:13.13 0
禅?
410 :
名無し募集中。。。:2012/04/23(月) 23:17:54.28 0
ふと「友」を今久しぶりに聴いてみたらすっごい切なくなった
411 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 00:35:49.81 0
グッナイホゼナントフレンズ
412 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 02:29:27.80 0
t
413 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 05:40:47.22 0
ぐっもーにん
414 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 07:18:38.50 0
バナナサイダー
415 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 09:26:50.72 0
ノリ*´ー´リ人(・o_・`川
416 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 12:24:02.39 0
从*・ 。.ノリ;´ー´リ人(・o_・´川
417 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 13:21:00.46 0
どこかで読んだシチュエーションw
418 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 15:46:28.36 0
心臓がりほりほしてきたの
419 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 17:41:48.83 0
420 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 19:26:14.49 0
あら別嬪さん
どちら様ですか?
421 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 20:59:23.16 0
白と黒の服がよく似合う
422 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 20:59:40.41 0
423 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 21:42:10.22 0
424 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 23:05:44.69 0
425 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 23:22:14.01 0
>故郷に帰りチャイナ
チョト切ない
426 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 23:29:05.96 O
ジュンジュンの拙い日本語を正確に表現できてた作者がいたな
427 :
名無し募集中。。。:2012/04/24(火) 23:51:38.48 0
どれだろ
刃千吏書いた人のかな
428 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 01:07:41.08 0
429 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 02:42:52.94 O
おやすみなんと
「・・・シ!サヤシ!起きて!」
う・・・うん・・・かのんちゃん?、私今寝たばっかりなんだけど
「大変なの!早く起きてよ〜!」
何だか騒がしい、海賊達がガヤガヤと騒ぐ声が聞こえる
・・・う〜ん、めんどくさい。お頭の件・・・?
「ああっ!もう!さっきの件だったら説明しといてよ!」
私は毛布を被った。
寝足りない。
二度寝する。
絶対に起きない。絶対に。
「違うのサヤシ!敵よ!」
あ〜、しつこい!
敵・・・敵って誰さ?
正規軍?
そんなのナントカ砲で吹っ飛ばしてよ、もう
「いいから早く起きぃ!」
ちょ、いきなり何すんの!?KYが無理矢理私の毛布を引っ剥がした
・・・私の中でプチっと何かが切れる音がした
「ふざけんなテメェ!叩っ斬るぞ!」
ガッと枕元の御神刀を掴み身体を起こす。
何人たりとも私の眠りを妨げるものは許さないっ!
「あ、起きた」
ぐいっとかのんちゃんが私の二の腕を掴む
「はよぅ来ぃ!」
ちょ!KYがもう片方の二の腕を掴む
私は両側から吊るされ、ズルズルと廊下を引き摺られていく
嫌じゃ〜!絶対に嫌なんじゃ〜!離してくれ〜!
そんな叫びも空しく、到着したのは中央の指令室
ガヤガヤガヤガヤ。海賊達の騒ぎたてる声
ああっ!騒がしいっ!寝れないじゃないかぁ!
「第三防衛ライン、突破されたぞ!」
「自動砲台33から57、大破!」
「お頭は!?」
「それが、何処にも・・・」
モニターには侵攻する木偶どもの姿
時計を見る・・・5:13分
ああっ!こんな朝早くからコイツらぁ!
めんどくさやし・・・
「ナントカ砲って奴は使わないの?」
思わず小声でかのんちゃんに問いかける
「重力砲?なんか威力が強過ぎて地上で使うと色々マズいんだってさ」
そうなんか・・・つくづく面倒じゃのぅ
「お前ら!何してんだ!」
背後から聞き覚えのある声・・・お頭の姿がそこにはあった。
あちこちに絆創膏、頭には包帯。その姿に海賊達は騒然となる。
「お、お頭ぁ!どこに行ってたんっスか!」
「その怪我は一体・・・」
ツカツカと早足でお頭は私達の前に出てお頭はそんな海賊達の動揺を一喝した
「バカヤロウ!そんなことはどうでもいい!このままじゃ地上を制圧されちまうだろうが!」
確かにその通り、モニターに映っている木偶どもの中にはいつもとは違う木偶も混ざっている。
赤いレザーの服、大型のハンドブラスターを構え背中のジェットパックで空中を飛行している木偶・・・恐らくは新型だろう。
その空飛ぶ木偶どもの動きに自動砲台は対応できず次々に沈黙させられているようだ。
「全員地上に上がるぞ!俺達の手でこの本部を守るんだ!」
ざわざわざわざわ・・・暫し相談する海賊達、しかしすぐに結論は出たようだ
おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
お頭の檄に応えるような海賊達の雄叫び
ああっ!うるさいっ!眠いんだから静かにしてくれ〜!
よし、この気合いなら大丈夫だ!私は寝る。寝るからな!
バッ!と両脇を抱える腕を振り払って踵を返し私は部屋に戻ろうとする
そこにまた背後からの声
「客人達!アンタ達も力を貸してくれねぇか?」
えぇっ!ちょっとやめてよ!
ガッ!私は再び両脇から腕を掴まれる・・・離せ!
「いいわ!一宿一飯の恩、今こそ返しましょう!」
かのんちゃんが威勢よく応えた。まぁそうだよね、一飯どころじゃなく沢山食べてたけど。
「報酬は幾らくれると?」
KY!いきなり金の話かい!そこは空気読んで「任せんしゃい!」とか言わんかい!
うっ、目が¥マークになってる・・・コイツ・・・しかし心配するまでもなく、お頭が淀みなく答えた
「報酬は300万ダークネス。働き次第では+200万」
「・・・悪くないっちゃね。乗った!でも何か得物が欲しかよ」
「銃なら倉庫にいくらでもある。好きなだけ持ってけ」
よし!二人が居ればますます大丈夫だ!私は寝る!
またバッ!と両脇を抱える腕を振り払って私は部屋に戻ろうとする
ガッ!とまたまた両脇から腕を掴まれる・・・ああっ!いい加減に!
「見なよ、サヤシ」
「ここまでされてもやらんとか、アンタは」
そーっ、と私は後ろを振り返る・・・ちょ!やめてよ!
そこには土下座するお頭の姿があった
「頼むサヤシ!俺に、俺達にその力を貸してくれ!」
シーン・・・何とも言えない空気
海賊達の視線が痛い・・・
うっううん、コホン!私は大きく咳払いをしてこう言い放った
「この剣は闇を祓う剣。断る理由はない!」・・・ひゃっほい!決まった!・・・でも眠くて死にそうだ・・・
「だがっ!」
私は大声で続ける
「これはこの島を、お前達の自由を守るための戦いだ!私達は力を貸すだけだ、それをゆめゆめ忘れるな!」
よし、予防線!これで仮眠の時間ぐらいは・・・ドスっ!
うごぉっ、私は両脇腹に予想だにしなかった衝撃を受ける
「ちょっとぉ!せっかくカッコ良く決まったのになに上から目線でエラそうなこと言ってんのよ!」
「アンタのそういうとこ・・・えりは嫌いっちゃよ」
かのんちゃんとKYの両サイドからの容赦ない肘打ち・・・痛いよ・・・
脇腹の痛みに堪える私に今度はお頭が歩み寄ってきた
「昨日は済まない・・・」
珍しく神妙な顔でお頭がボソッと囁く
こういうウェットな感じはちょっと苦手だなぁ。。。うん
「気にするな。正直、お前が奴の攻撃を封じてくれなければ勝てなかった。アレは私とお前、2人の勝利だ」
そう言って私はポン、とお頭のアタマを叩いた
「でも俺があんなことしなければ・・・」
お頭はまだもじもじしている。ふぅ、しょうがないなぁ
「確かに昨日は自由とは自分の力で切り拓くものとは言った。だが一人の力には残念ながら限りがある」
「えっ?」
「仲間と共に切り拓く自由があってもいいんじゃないか?現にお前にはこんなに沢山の仲間達が居るじゃあないか」
うおっ!
ばしーん!と突然背中に衝撃を感じる
「サヤシぃ!アンタたまにはいいこと言うじゃない!感動した!」
げほげほっ、背中を思いっ切り叩くかのんちゃんの平手の威力・・・結構クルわこれ
戦う前にどんどんボロボロになっていく・・・
「仲間・・・か」
えへへ、とお頭が少しはにかみながら笑った
笑顔は初めて見たけど笑うと歳相応なんだね、この子
「色々有難うな、サヤシ!」
そう言ってお頭は少し鼻をこすって海賊達のところに戻って行った
頑張れ、小さなお頭。
よし!立ち直ったぞ。これでもう大丈夫だ!私は寝・・・
「寝るな!」
「いい加減に覚悟ば決めた方がよかとよ!」
もう読まれていた。両脇からガッと力強く腕を掴まれる。
いつの間にかKYも倉庫から武装フル装備で戻ってきている。
ライフルに小銃にパンツァーファーストに・・・弁慶か、お前は
私はそのままの体勢でズルズルと地上へと続く高速エレベーターまで引き摺られていった
うぅ、勘弁してくれ・・・眠いんだよぅ・・・
チーン!無情に響く到着の音
せめて地上に着く間寝かせてくれ、頼む・・・
脆い。脆過ぎる。
予想外に抵抗が少ない。何だ?何かの罠か?
侵攻するAシリーズの遥か後方、ミヤモトカリンは上空から侵攻の様子を見つめていた。
親衛隊から借りた新型、”A-Blaster”5体が想像以上の戦果を挙げていることは事実だが
それにしても脆過ぎる。
ここまで抵抗が無いと最悪、島ごと自爆の可能性も想定した方がいいかも知れない。
どちらにせよ敵の動きが読めない以上、まだ自分が前に出て一気にカタを付ける局面ではない。
もう通常型のAシリーズは自動砲の銃弾を浴びながらも敵本部棟のすぐ目の前まで近付いている
このまま呆気なく終わるか・・・
おおおおおーっ!
ん?声?銃声に混じって確かに人の声が聞こえた
カリンは双眼鏡の倍率を高くし、本部棟に焦点を合わせる
無人だった本部棟の中やバルコニーにちらちらと人の影が見える・・・反逆者達だ
各々、砲台に付いて対戦車砲、ガトリング砲を地上を侵攻するAシリーズに向けて放ち始めた
今頃上がってきたのか。随分と遅い抵抗だな・・・
単純に指揮官が無能なだけだったか
いや・・・待て、まさか!
カリンは腕のマイクに向けて指示を発する
「A-Blaster1-5、散開し本部棟から離れろ!退避だ!」
その指示で本部棟周辺の無人砲台を攻撃していたA-Blasterが飛翔し、散開する
次の瞬間、ヴォン!という音が響き、本部棟周辺の空間が歪み始めた
重力キャプチャー!しまった!
「よし、上手くいった!最大出力、このまま押し潰せ!」
私達がこの島に来たとき発動した”重力キャプチャー”がクローン兵達を捉えた
強力な重力場で侵攻してきた大半のクローン兵達が次々にペシャンコに押し潰されていく
なんて恐ろしい兵器なの!でもこれで勝利確定なんだろうね
と思った矢先、もの凄い爆風が私達を襲った!
「うわあああーっ!!!」
ドガーン!
うぉおおおおっ!私の隣、二つ向こうの砲台が丸々吹っ飛んだ
ドガーン!ドガーン!
上の方からも・・・下の方からも・・・
爆発音と海賊達の悲鳴、絶叫が聞こえてくる
ブラスターの攻撃・・・遠くの方に空飛ぶクローン兵が見える、アイツらはキャプチャーに掛かってない!
このままじゃマズい!
ピュニニニニニニニ・・・なんか嫌ぁ〜な音が私の前から聞こえてきた
恐る恐る、私は正面を見る
空飛ぶクローン兵が真正面でエネルギーチャージ満タンのブラスターを構えてる!!!
やばーーーーーーーーーーーーい!!!
一目散に逃げ出そうとした私の耳に、聞き覚えのある銃声が鳴り響く
ズキューン!・・・
この音は!
次の瞬間、私に向けてブラスターを構えていたクローン兵の頭がバコッ!とスイカのように粉々に吹き飛んだ
クローン兵は失速し、明後日の方向にブラスターを撃ちながら回転して地上へと落下していく
銃声の方向、背後、上の方・・・中央の尖塔、本部棟の頂上を見る
そこには昇り始めた眩しい朝日をバックに颯爽と超長銃身の対獣人用ライフル、AKB-48を構えるシルエットがあった
「危なかよ、アンタらは下がっときぃ!」
KY!?助かった!!!
これはいいKYだよ、うん。やれば出来るじゃん!
さすがは変態ハンター!
「さぁ、どんどんいくっちゃよ!MVPで500万ダークネスゲットやね!」
ズキューン!ズキューン!ズキューン!ズキューン!
KYの遠距離狙撃で次々に空飛ぶクローン兵達が撃ち落とされていく
すごい、これが鷹の目の力なの・・・
ん?紅い光・・・その時、不思議な紅い光の輪が私達の正面、空に浮かび上がった
何あれ?
「あれは、カリン!」
お頭の声を私の聴力が拾った。何?知り合い?
まぁ元正規軍だから有り得なくもないんだろうね
・・・ってことはアレ、敵だよね
これはまたヤバい予感がするわ
「何ねアイツ!」
KYも紅い輪に気付いた
輪の中央には黒い正規軍の制服、白いベレー帽を被った女の子のシルエット
あの子、宙に浮いてる・・・どう見ても能力者じゃん!
「やられる前にやるしかなかとね!」
確かにそれが正しい!先手必勝!
KYが輪の中央の能力者に向かってライフルを構え・・・放つ!
ズキューン!コーン!
・・・輪は消えない
えっ?まさか外したの?
「ちょっとー!百発百中じゃなかったのー!?」
「いや、確かに当たったとよー!」
再びKYがライフルを構える
ズキューン!コーン!
ズキューン!コーン!
ズキューン!コーン!
何かが跳ね返るような音がしている
・・・輪は消えない。能力者は健在だ
「無駄だー!そいつはシールドビットで防御してる!」
奥の方で指揮を取っていたお頭が慌てて飛び出してきた
えっ、シールド?何?効いてないってこと?
紅い光の輪が高速回転を始めた・・・なんかヤバい感じ
輪はどんどん加速して、紅色はだんだん濃くなって赤へと変わっていく
ボッ!
うわっ!輪が火・・・いや炎の輪になった!
何、この妙な匂い!おえっ
「総員退避だーーー!!!お前ら下がれ―!!!」
お頭が大声で叫ぶ。やっぱりヤバいんだろうねコレは
炎の輪は更に高速で回転して・・・
そして無数の輪に分裂して・・・
曲線的な軌道を描いて・・・
一斉にこっちに飛んで来るっ!
ドガーン!
爆発!?ただの火の輪じゃなくて爆発するの?
炎の輪の着弾と共にあちこちで起こる爆発、海賊達が派手に吹っ飛ばされてる姿が見える
何これもう戦争じゃん!うわああああああ、こっち来んなぁーーー!
私は踵を返して一目散にエレベーターへと駆け出した
だってこんなところで死ぬわけにはいかないもの!
ドガーン!斜め上の方からから爆発音
「うわっちゃあああああああああああああっ!!!」
中央の尖塔にも炎の輪が着弾、爆発するのが見えた
今のはKYの声?・・・死ぬな!イキロ!
ボボボボボボボボ!
何、嫌な音・・・嫌だまさか・・・そんな、やめてよ
私は走りながら後ろを振り返る
キター!炎の輪がまるで私を追尾するようにこっちに飛んできてる!!!
ガッ!うわああああっ!爪先に鋭い痛み
何かに躓いた!?
どってーん!と私は派手にコケてしまった
最悪・・・
炎の輪は・・・もう目前まで来てる!ヤバい!神様!
私は目を瞑って祈る・・・奇跡を!
「でぇやあぁああああああああああああああ!!!」
この声!
私は瞑っていた目を開ける
見えたのは、鞘を背負った見慣れた背中
そして真っ二つになって左右に分かれて
スローモーションみたいに明後日の方向に飛んでいく炎の輪
背中が振り返る
「大丈夫?かのんちゃん」
背中の主・・・サヤシが振り返って二コリ、と笑った瞬間
左右に飛んで行った炎の輪が爆発し、その紅い光が私達を照らした
げほげほげほ・・・すんごい煙
そして何ともいえないオナラみたいな嫌ぁ〜な匂い
本部棟のあちこちが炎に包まれている
あの能力者、なんて恐ろしい奴なの!
私達海賊軍は”炎の輪”の攻撃で想像以上の大ダメージを受けていた
この場で倒れていないのは私、サヤシ、そして・・・
真正面から敵の能力者と対峙してるお頭だけ
「カリーン!相変わらず卵の腐ったみてぇな匂いだなぁ!」
お頭が能力者に向かって叫ぶ
そう、何なのこの匂い?
「硫黄・・・だね」
まるで私の思考を読んだかのようにサヤシが呟いた
硫黄・・・そうか!だから爆発するんだ
「あいつは自分の気を燃焼させて炎を造り出してる。混ざってる硫黄みたいな成分はアイツが生来持ってる独特の気かな」
気・・・アイツもエナジーを操れるってことなの?
でもお頭と比べてかなり戦闘的な使い方だよね
これはちょっと分が悪いんじゃ
「久し振りですねK1027。EGGの昇格試験以来ですか?」
空中の能力者、カリンが口を開いた
別にお頭の挑発に怒っている様子もなく、極めて冷静で穏やかな口調
今さっき、地獄のような攻撃をしてきた相手とは思えないぐらい
「その名前で呼ぶんじゃねぇよ!俺は工藤遥だ!」
「ふふっ、折角の栄誉を捨てて人間ごっこですか?」
あのカリンっていう子、穏やかとかじゃなくて単に慇懃無礼な嫌な奴なんだね
でも人間ごっこって・・・お頭とあの子は一体
「昔の誼です。降伏してこの島を明け渡せば貴方の助命だけは上層部に嘆願しましょう。」
「いらねーよバーカ!どうせモルモットにされて終わりなんだぜ、俺達は」
「モルモットにされるのは力の無い者だけですよ」
「・・・そうだな、じゃあ俺はモルモットにされねぇように必死に抗うことにするぜ」
モルモット?お頭が言ってた洗脳や人体実験のこと!?
それって大昔の話じゃなかったの?
「残念です。同じEGGの同胞として貴方のことは評価していたのですが・・・」
「腐った卵と一緒にすんなよ!俺は・・・俺は人としてこの世に産まれたんだ!」
「フッ、そうですか。随分と短い”人生”でしたね」
バチ、バチバチバチ・・・お頭の周囲にオレンジ色の火花、マインドブラスト!
一方、カリンを囲む紅い輪も再び高速回転を始める
「無駄ですよ、貴方のマインドブラストでは増幅された私のエナジーシールドを破れない」
「そいつはどうかな・・・」
ガチャッとお頭が懐から古めかしいリボルバー銃を取り出す
バチ、バチバチバチ・・・オレンジ色のエナジーがリバルバーに集まっていく
サヤシが剣を構えて走り出した。ここからはかなり距離がある。間に合うの?
ゆっくりとお頭がリボルバーを構える。カリンの”輪”はヒートアップして発火を始めた。
ど、どうなっちゃうの!私は緊張に手に汗握ることしかできない
パン!パン!
先に仕掛けたのはお頭の方だった。
エナジーを纏ったリボルバーの銃弾がカリンを襲う
バリ、バリバリバリ!着弾とともにカリンの周囲にオレンジ色の火花が走る
弾は・・・届いていない。走る火花でカリンの周囲に張り巡らされているシールドの姿が露わになっただけだ
「無駄だと言ったでしょう?」
「ノーダメージじゃないはずだぜ」
パン!パン!パン!パン!
お頭が次々と銃弾を発射する。効いてないように見えるけど、何故?
着弾するたびに、オレンジ色の火花は勢いを増していく・・・火花が消えない?
弾けるのではなく、オレンジ色のエナジーはずっとカリンの周囲のシールドの表面を走っている
「エナジーの過負荷でビットをショートさせる気ですか?残念ながらそんなヤワな出来では・・・」
「違ぇよ」
お頭はニヤリとしながら指差した。剣を伸ばし、カリンの間近まで迫ったサヤシを
えっ、まさかお頭は注意を惹いただけ?
「チッ!InvisibleBlade!」
「でぃやああああああああ!」
伸ばした真紅の剣がカリンのシールドに叩きつけられる
カイーン!と固い音・・・シールドは、割れない!
「ハッハ!無駄です!私のエナジーを数十倍に増幅したこのシールドを破ることは出来ない!」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
グイン!確かにシールドは破れていない。でもサヤシの気合いの剣圧でどんどんカリンの高度が下がっている
「貴方がInvisibleBladeですか?噂ほど大したことはないですね。そろそろお遊びは終わりにしましょう!」
カリンが炎の輪を腕に構え、スイングする・・・ヤバい!このままじゃ!
ズキューン!
聞き覚えのある銃声
そしてカリンのシールドの一部でポム!と小さな爆発が起こる
フッ、と一瞬カリンのシールドが薄くなる
「何っ!」
「その浮いとるち〜っこい玉っころで能力を増幅しとぅとか?残念やけどえりの狙撃は針の穴も通す精度っちゃよ」
KY!生きていたの!?
棟の中段のバルコニー、服はちょっと焦げて顔は煤汚れてるけどライフルを構えてピンピンしてるKYの姿があった
「ビットの一つや二つ!痛くもかゆくも・・・」
ズキューン!ズキューン!ズキューン!ズキューン!
ポム!ポム!ポム!ポム!
次々と撃ち落とされていく”玉”・・・いや、私の目じゃ全然見えないぐらい小さいんだけどね
「き、貴様っ!!!」
苛立ったカリンが炎の輪をKYに向けて放った。危ないっ!
「うおっとぉ!とわっ!」
ハンドスプリング!飛んできた炎の輪をくぐって飛び降りるKY・・・アンタ、とんでもない奴だわ
大爆発に包まれる中庭をバックに華麗に宙を舞う狙撃主・・・アクション映画かい!
パン!パン!パン!
今度はお頭のエナジーリボルバーが火を噴いた
バチン!バチバチバチッ!シールドに今まで以上の火花が走る
「ビットは残り2ヶぐらいか?もうすぐショートするぜぇ?」
「貴様ら・・・貴様らぁ!」
再び、形成される炎の輪。カリンの怒りを現すかのように今までより大きい
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
バリバリバリバリ!えっ!サヤシの剣にお頭のオレンジ色のエナジーが集まっていく・・・
ウォン!
何この音?・・・何か深い、心地よい響き
二つの音が重なって・・・響き合うような
ズキューン!
「残り1つっちゃよ」
ウォン!三つ目の音!
この音も混ざって響きが増していく
この響きに・・・私も参加したい!
「行っけぇええええええええええええええええええええ!!!」
精一杯、大きな声で叫んだ。今の私に出来るのはこれぐらい。
四つ目の音・・・響いた!
バチーン!カリンの背後に飛んでいた最後の”玉”がエナジーを増幅し切れずに弾ける
「ふざけるなぁ!」
ガッ!シールドを破られたカリンが炎の輪でサヤシの剣を受け止める
「カリン、降参しろ。おめぇの負けだ」
「いい加減にしないとコイツでドタマ吹っ飛ばすっちゃよ」
そう、貴方の負けよ。たった一人でよく頑張ったとは思うけど
「まだだ・・・任務は・・・任務は必ず達成する!」
ボオオオオッ!カリンの火輪が炎の勢いをより一層増した
・・・まさか!?
「みんな離れてー!そいつ自爆する気よ!」
私にはわかる、声の響きで。
今のはやけっぱちになった人間の声!
ヤバいっ!このままじゃサヤシ達は!
その時だった、カリンの背後の空がガシャーン!とガラスのように割れた
「あれは転移・・・まさかっ!」
お頭がそう叫んだときにはもうカリンの身体は割れた空の向こうの空間に飲み込まれていた
ブンっ!サヤシの剣は勢いよく空振りになり、床を思いっ切り両断する。
「ふぅう・・・」
私はその場にへなへなとへたり込む・・・勝った・・・の?
どさっ!
ミヤモトカリンは空の割れ目から転移され絨毯の上に落ちた
「ここは・・・」
そこは見覚えのある部屋
響くピアノの音、この曲・・・『Glory days』!
「カリン、何故”箱”の件をすぐ私に報告しなかったの?」
声の主、ピアノの奏者。
手の震えが止まらない・・・
「独断専行、貴方の悪いところです。しかも無様に負けそうになって」
「お、お赦し下さいっ!事は急を要すると判断したんですっ!」
ジャーン!
グインっ!ドスっ!
ピアノの不協和音と共にカリンの身体が宙に浮き、壁に叩きつけられそのまま磔の形になる
「言い訳は許しませんよ。貴方はEGGの面汚・・・カリーナノッテ艦長は罷免。6か月の謹慎を命じる!」
「あ、あぅう・・・」
項垂れることしか出来ないカリン。栄光への道が・・・今、閉ざされた。
「さて、”箱”の在りかが明らかになりました。貴方達の出番ですよ」
ダークネス政府東部方面統括官、その傍らに控える6人の精鋭。
夕陽のような黄昏色に輝く巨大戦艦、東部方面軍旗艦”Glory days”が”監獄”にその進路を向けて動き始めた。
「ありがとよ客人達・・・何とか勝てたな」
お頭がウチらに向かって頭を下げる。まぁウチは殆ど何もしてないんだけどね。まぁとりあえずは良かった、うん
「・・・奴は逃げたのか?」
サヤシはいまいち釈然としない様子だ
「あぁ、ゲートが開いた。アレを使える奴は限られてる・・・次は本隊が来る可能性大だな」
本隊!こんなボロボロの状態でそんなの来たら終わりじゃない!どうなっちゃうのよ!
「報酬!報酬ぅ!」
KY・・・この空気でそれかい!つくづくKYだのぅ
「あぁ、わかったわかった。アンタすげぇな・・・少し見直したぜ」
確かに今回はKYが居なければ勝てなかったかも・・・ウチも見直したわ
「当ったり前っちゃん!えりはハカタシティ最強のハン・・・」
ドシュッ!
えっ・・・?何?一瞬、何が起きたのか分からなかった
隣でサヤシが剣を抜く。ごふっ、口から血を吐くKY。
KYの胸を貫いた黒い手。背後に立つ影・・・クローン兵の生き残り!
「KYっ!!!」
私が叫ぶと同時に、サヤシがクローン兵の首を飛ばし・・・KYがゆっくりと崩れ落ちた
>>430-449 以上、Invisible Blade 第拾話 「見えない明日、そして・・・」
でした
10週打ち切りの予定でしたがまとまりません。
打ち切り漫画にありがちな消化不良感が・・・
単行本加筆であと1話下さい。。。
451 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 07:13:55.73 0
キテタワー♪
あと1話どころかお好きなだけどうぞ
できる限り納得出来るものに仕上げて下さい
452 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 10:30:03.91 0
ノ?丿レ
453 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 12:18:59.45 0
リゾリゾ
454 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 14:55:47.06 0
保全部隊出動
455 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 15:25:58.63 0
>>450 長いわ!
何とか仮眠しようとする鞘師と他の面々のやりとりがコントっぽいのにカリンとの戦いは本格的で面白かった
あと1話とか言わず何話でも続けて欲しいが
456 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 17:20:20.20 0
戦いの中で共鳴していく様子がよかったよ
457 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 17:32:12.33 0
フルアーマーえりぽんのイラストはまだですか?
458 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 19:22:34.14 0
保全
459 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 20:39:21.36 0
460 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 21:41:52.05 0
461 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 21:54:30.04 0
>>274-277 彼女は風を感じるのが好きだった。
あの事故から数ヵ月。
陸上部での大会が迫っていたが、あの事故には自身の足に重症の怪我を負わせた。
リハビリをすれば治ると医者に言われたが、喪失感は彼女を絶望させる。
中等部最後の試合だった。
高等部でも続けるつもりだった。
この先もずっと駆け続けるつもりだった。
練習して見に付けた力が無くなる。失くなる。
不安で不安でしかたがなかった。
子供だと思われるかもしれない。
実際、子供だった。小さな世界しか知らない、未熟な子供。
そんな時だった。
完全に傷の治っていない、ちゃんと力の入らない足でも走る事ができた。
まるで魔法のように。
自分だけの魔法に、彼女は依存するようになった。
例えそれが、自身の両足に負担をかけていた事になっていたとしても。
いつしか"アレ"は彼女に反抗するようになった。いわゆる、暴走。
『空気を操る力』
部活中にそれは起こった。
仲間の数人が怪我を負って、彼女は、思った。
ああこれで、楽になれる。
462 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 21:54:59.16 0
思ってしまった。
いつこの魔法が解けてしまうか判らない不安と、背負わされた期待。
ただ走れれば良かったのに。
自分の気持ちが恐ろしかった。ただ走って振り切る事しかできなかった。
誰に助けを求めばいいのか、判らなかったんだ。
ああ、眩しい。
オレンジ色のブレた太陽のヒカリ。
…違う。
似ているけど違う、あれは、あのヒカリは。
――― 少女の見下ろす世界。
変わらないモノを変える世界。カタチの変わる世界。
イノチの終わりを告げる世界。
卑屈に笑って、真っ白に消える、退屈に咲いて、真黒に朽ちる。
熱にうなされたまま。
命の輝き、傷の癒えない軌跡、屋上に佇む黒い影。
呟く、笑って、笑った―――
光が収束し、女の子は刃の切っ先を女子生徒に向けていた。
振るった。
瞳に宿る一閃。ぽっかりと『穴』が開く。
それがゆっくりと元の"カタチ"へと凝縮していく。
無機質な球体ではなく、持ち主の感情そのままに。
コハクのヒカリを帯びた、砂時計。
女の子はそれをしっかりと箱に詰め、古びた電話ボックスの受話器を取った。
463 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 21:55:27.07 0
「ふっ、ほっ、はっ」
鈴木香音は両腕を横に泳がすような動作を必死にやっていた。
自分の部屋で、何の恥ずかしさも無く。
夕飯の時間までの軽い運動、といえば聞こえはいいかもしれない。
ぶおーん、ぶおーん。
両腕を横に振る事で微かな風力が収束し、見えない風によって壁に
掛けられたカレンダーがゆっくりと揺れている。
額から汗が滲んでいる。両目はどこか真剣だ。
少なくとも鈴木はまさに極めるかの如く「ちょうちょ」の動作をしている。
彼女の十八番だ。
得意だからこその真剣な眼差し。
それを往復数十回とこなすのだからモノマネも突き詰めれば達人の域だ。
母親は妹と一緒に買い物へ出かけている。
まだこの時間は学校で部活に励んでいるのだが、今日は顧問の先生が
不在だったため、休みになっていた。
誰も居ないからこそただならぬ集中力を発揮する。
誰かが顔を出そうと思うものなら鈴木の顔真似&両腕から繰り出される
横スマッシュによって顔を挟まれてしまう。
それとも「カマキリ」によって縦チョップが幾度となく繰り出されるかもしれない。
たかがモノマネ、されどモノマネ。
4歳の頃から持っているクマのぬいぐるみがアフロを付けていても
それが鈴木にとっては自然であり、また愛しさを憶えるようになる。
虫に対してもそのカタチを全て記憶したうえで処理をする。
つまりはそういう事だ。
464 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 21:55:58.05 0
この動作に意味がなくとも、鈴木はモノマネをし続けるだろう。
そこに確かな愛がある限り。
〜♪!
そんな何処か青春ドラマチックな音楽を流しているような雰囲気に
なっていた鈴木の耳に微かな着信音。
1階にある固定電話からだ。
誰も居ないからこそ必然と鈴木がそれを取る事になる。
さすがに電話の"音"で誰かがかけてきたのかまでは判らない。
鈴木はタオルで汗を拭きながら、その受話器を取った。
「はい、鈴木でーす」
軽い口調で鈴木は相手に告げる。
だが声は返って来ない、静まり返るそれに、もう一度告げ返す。
「もしもーし?」
鈴木は無言電話か?と思い、その受話器を下ろそうとした。
だがなんとなく、本当になんとなく気になってしまう。
もう一度告げ返して、何もなければ下ろそうと思い、口を開く。
「あのーどちら様ですか?」
瞬間。
『嘘のない現実は無い』
465 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 21:56:57.37 0
…?…??
『本当の現実はあっても、嘘のない現実が無くなることはない』
突然聞こえて来た、女性の声。
宗教勧誘か?
鈴木は耳から離し、受話器を下ろす。聞いてはいけない気がして。
カチャン。――― ?
鈴木の鼓膜に"音"が響く。キインという鋭い音。
頭を揺さぶられる音、奔る音、嫌な音。
何故?
何故なら。
『何故なら人の嘘で出来た世界だから。』
『優しい声に人は惑わされてしまう』
『優しい嘘に人は依存していく』
『ねえ』
『貴方は、本当にそこにいるの?』
ガチャン。
鈴木はビクリと反応する。
玄関から顔を出したのは妹で、「ただいまー」と声を上げた。
後に入ってきた母親が香音の姿を見て首を傾げる。
466 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 21:57:19.07 0
「どうしたの?電話でもかかってた?」
「え?あ、う、ううん。間違い電話だって」
「そう?なんか顔色悪いけど大丈夫?」
「きっとお腹すいたんだよ、早くご飯ー」
「じゃあ手を洗ってきなさい、香音もね」
「うん」
スーパーの袋を抱える母親と妹を見て、もう一度電話機を見つめる。
鈴木は頭をかきむしりながら、二人を追った。
微かな違和感を端っこに押しやるように。
鈴木は気付かない。
それが受話器の向こう側ではなく、直接脳に伝わっていた事を。
鈴木は気付かない。
既に自分が"当事者"である事を。
鈴木は気付かない。
誰も気付かない。
今から始まるのではなく、以前からずっと続いていたことを。
467 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 21:57:43.52 0
--------------------------------以上。
>>517-522 ついにPCまで規制に…というか忍法帖なんたらってまだ
あるんですね…もしかしたらまたお世話になるかもです。
すこし長くなりましたが時間がある時にでも…。
468 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 22:00:10.52 0
以上、代理投稿デシタ
何やらかのんちゃんの周辺が不穏な空気になってきましたねぇ
469 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 23:15:02.27 0
ほぜ
470 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 23:48:02.79 0
日常と交錯する緊張
展開を期待させますなあ
471 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 23:50:07.58 0
パーンッ!!
――なんて口聞いとうと!!――
その瞬間の音と痛みが、いつまでも頭の中を駆け巡っている。
なんであんな事言っちゃったんだろう…
私も学校があるって言ったって、新垣さんだって田中さんだって、その分も、それ以上に
頑張ってくれているなんて分かってるのに…
黄昏時、地面に長く伸びる聖の影。
そこに近づいていくもう1つの影があった。
「聖、どうしたの?」
「あっ、えりぽん…」
「飲みなよ」
ペットボトルを差し出す衣梨奈。
「…ありがと。」
それを受け取る聖。
今日はあれからずっと考え込んでいた。喉も渇いていた。グイッと飲み込む。
472 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 23:50:28.08 O
473 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 23:51:25.73 0
――!!!?――
その瞬間、強い違和感を覚えた。
急速に遠のいてゆく意識。
手に持つペットボトルから感じる残留思念。
「えりぽん…じゃ…ない…」
顔を歪めて目も虚ろな聖を、微笑んだまま表情を変えず見つめる“衣梨奈”。
やがて倒れ込み、身動きを止めた聖。
「まず、1人」
“衣梨奈”は聖の携帯を探しだし、操作を始めた。
『えりぽん、これから遊べる?』
すぐに返事は来た。
『うん!遊ぼ!遊ぼ!どこ行く?』
衣梨奈からの返事に、“衣梨奈”はニヤリと笑った。
474 :
名無し募集中。。。:2012/04/25(水) 23:54:33.35 0
>>471>>473 「pure soul(1)」
場面ごとに書いていくつもりなので1回1回が長かったり短かったりするかもです
475 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 00:06:02.42 0
>>474 乙です。
最後の一文で一瞬頭がこんがらがったけど理解しました。
続き楽しみにしてます
476 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 01:12:40.80 0
突然作品ラッシュですね
>>450 先生!とりあえず打ち切りどころか長期連載をお願いしたいのですが…
軽妙な会話と迫力あるバトル描写の組み合わせが素晴らしいです
477 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 04:34:12.17 0
おやすみなんと
478 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 06:40:52.15 0
おはら
479 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 08:09:38.08 0
>>467 鈴木の日常がどんな風に変貌していくのか心待ちにしとります
>>474 ”衣梨奈”がどういう風に浸食して誰がそれに反撃するのか
楽しみですな
480 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 10:20:41.25 0
ほぜほぜ
481 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 12:16:33.40 0
読み切れてない俺があげておこうか
482 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 12:53:13.52 0
ほ
483 :
忍法帖【Lv=40,xxxPT】 :2012/04/26(木) 14:28:52.83 0
ほぜにんじゃ
484 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 16:41:03.72 0
月島もんじゃ
485 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 17:36:59.45 0
ゆうぐれんじゃー
486 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 19:00:06.05 0
>>461-467 ――― 譜久村は公園に立っていた。
ホームルームの時に彼女が入院した事を教諭から聞き、放課後
倒れていたというその場所に立っていた。
両足が酷い状態だったという。
事故で怪我をしていたという話をは聞いていた。
まだ完治していなかったにも関わらず、部活で走り続けていたのもあって
一歩遅ければ手術しなければいけなかったらしい。
だが時間をかければ治る見込みはあり、今後はリハビリをする事になる。
名もなき通報者によって彼女の人生は救われたと見えた。
「……」
譜久村の真下には何かの欠片が残っていた。
ペットボトルのキャップ、プラスチックの破片が散らばっている。
液体はもう乾いてはいるが、その事実は変わらない。
万物の元素の一つである物質層には、人が決して見ることの出来ない思念を纏っている。
本質的なエネルギー場、アストラル・コーザル。
足跡、そして、傷跡。
膝を折り、地面に手を置いた。
譜久村の両眼がグアアアと見開かれる。
眼球を押さえつけられているような痛みに眉が歪む。
ビデオテープの巻き戻される音が鼓膜を刺激する。
ガリガリガリガリ、ザリザリザリザリ。
目がジクジクする。視線に薄紅の閃が過る。
「くっ…」
487 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 19:00:42.98 0
白黒、モノクロ、揺れる影、揺れるのは、女子生徒だ。
意識が揺れる。ダメだ、まだ。
気持ちが悪い、音に酔う、色に廻る。
まだ。
まだ。
女子生徒の姿。キイキイ。ブランコ。後ろ姿の女の子。
女の子と言い合う女子生徒。ブレる、ブレる。見えない。
携帯電話。投げられる。茂みの中。
女の子の顔が逆光に照らされる。ブレる視界。女子生徒が吠える。
赤。朱。血。刃。
ガリガリガリ、ザリザリザリ。
倒れる。ぼんやりと掠れた視界。黒、闇。穴。
オレンジ色。コハク色。
知ってる。箱に詰めた、コハク色。オレンジ。
知ってるような気がした。
――― 遊園地の観覧車の前で女性が一人。
綺麗な笑顔だった。
まるで今にも散ってしまいそうな華のように。
透き通る瞳。手を上げる。高く、高く、高く。指を宙(ソラ)に。
口を開ける。大きく、叫ぶ。
女性は満足したように静かに、風の音を聞いた―――…。
パシンッ。
488 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 19:01:06.34 0
パシンッ。
譜久村の意識が戻る。
目を見開き、弾かれるように青空を仰ぐ。
晴天。今日もまた、晴天だ。
知ってるような気がした。あの女性の事。
とても切なくなるような、悲しくなるような、気持ちが揺れ動く。
涙が溢れそうになって、それを乱暴に拭った。
譜久村は茂みの中を捜し回り、携帯電話を見つける。
開くと、画面には一つの留守電。
部活が中止になった事を聞いて掛けた、譜久村の着信。
彼女から話を聞く必要がある。
譜久村は彼女の居る病院へと足を進めた。
頃合い、か。
屋上。其処は何処でもない。
其処はハシゴの上。其処は給水塔。其処はあっち側。
ポータブルプレイヤーにはイヤホン。両手にはサイダー。
イヤホンを付ける耳には静かなさざ波の音。
街が見える、公園が見える。小さな影が一つ、事実を拾った。
鞘師は少しだけ寂しくなかったが、しょうがないと思う。
目玉焼きはかのんちゃんに譲るよ。想う。
489 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 19:01:36.48 0
夕凪。
静かな海の上を、めいっぱい羽根を広げたうみねこ
が飛んでいく。
波打ち際。光の中で。
光が眩しい、蒼い、蒼い空。
それは誰かが夢見ていた、願い。
世界は廻る。誰かが居なくなっても、それでも。
490 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 19:02:52.67 0
>>486-489 以上、代理投稿デシタ!
作者さんコメント
↓
りほりほがあの年で環境音楽が好きっていうのは
軽く衝撃を受けました。
491 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 20:36:37.79 0
おちゅ
平坦なようで抑揚があり
味わい深い文だ
492 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 21:39:25.95 0
独特やね
493 :
名無し募集中。。。:2012/04/26(木) 22:51:59.36 0
9期三昧ですな。
494 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 00:21:19.56 0
三位一体
495 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 02:06:17.25 0
>>490 自分が捉えてるものが果たしてこの話の実相なのか不安になるという不思議な感覚を味あわせてくれる作品ですな
想像力を活性化して読まないと真実に辿りつけないというか
結構好きかも
496 :
代理募集中。。。:2012/04/27(金) 02:07:46.47 0
猫は群れない
誰と関わらないでも気にせず、勝手気ままに生きる
本能の赴くままに食べ、走り、眠る、そんな束縛を嫌う自由の象徴
犬は群れる
集団のなかに飛び込んで、社会を構築する一員となる
ボスの命令に忠実に従い、課せられた使命をこなす規律の象徴
そのくせ猫も犬も退屈を嫌うし、悩む
自由な猫は時折思う、何のために生きているのか?今をいきるだけでいいんだろうか?
縛られた犬も時折思う、ただ従うことが本当に正しいのか?自分らしさとはないか?
「れいな、暇やけん」
そう言って隣で笑うあなたの見た目は猫
『・・・今も退屈ですか?』
ためらいがちに尋ねた私の質問にあなたは答えた
「ん?そうっちゃね・・・昨日よりは楽しいけど一昨日よりは退屈っちゃね」
本当に気まぐれだと思う。でもそれは私も同じ
まわりからみたら私もきっと猫
でもこうやってあなたの傍にいたいと思う気持ちは犬
・・・もし私が犬だと気付いたら猫のあなたはどこかに行ってしまいますか?
497 :
代理募集中。。。:2012/04/27(金) 02:09:41.68 0
>>496 新しい話が多くて色々と刺激受けてます。時代の移り変わりも感じてます。
投下したのは『Vanish! 0.7』のプロローグです。読み方は『バニッシュ レイナ』
れいなの『共鳴』が発現してない時代、いわゆる『過去編』になります。
某ベリメンが出る話なのでホゼナンターの許可をもらってから書きます
------------------------------------------------------------------ここまで代理
498 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 03:16:01.68 0
|||9|^_ゝ^) <すぐゆるす
499 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 06:24:34.43 0
よかろうなの
500 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 08:03:39.54 0
雅ちゃん以外のベリメンってことなのか
許すも許さないもない
書けばいいさ
501 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 08:43:56.82 0
作品が一度にまとまって挙がることが多いのもある種の共鳴なのだろうか
502 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 12:04:50.51 0
うむ
それが夢があっていいw
503 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 12:41:41.36 0
>>497 ノ ∧ /) ∧
彡 ノW \从/V W \ ミ
( ノ | ノ \)
∩V 、、 | >V7
(eLL/ ̄ ̄\/ L/ ̄ ̄\┘/3)
(┗( )⌒( )┛/ <かまわん、やれ!
~| \__/ | \__/ |~
爻 < | ; 爻
~爻 \_/ _, 爻~
~爻__/⌒ ̄ ̄ ̄~~ヽ_ 爻~
/ ー ̄ ̄\_ ̄\
_一‘ < ̄ ̄\\\J
<\ ー ̄ ̄ヽ_ヽJ  ̄\_
\ _ニニニヽ ) ~\
\ _/⌒|\ ヽ_~~ ~⌒\_
__/~ V \_| ~\_
504 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 13:29:31.31 0
505 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 15:25:29.42 0
よく見つけてきたな
506 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 17:35:09.58 0
薄笑いが逆に怖いw
507 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 19:20:13.06 0
あげあげ
508 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 20:57:22.89 0
509 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 21:08:30.14 0
510 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 22:51:44.51 0
やば
511 :
名無し募集中。。。:2012/04/27(金) 23:59:43.56 0
ばばんばばんばんばん
512 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 01:01:17.37 0
アビバノンノン
513 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 04:12:58.06 0
GW突入
>>430-449 私は咄嗟に駆け寄って崩れ落ちるKYの身体を支えた
手にぬるっ、とした生暖かい感触・・・血の感触
背後から右の肋骨あたりを貫通されてる。とめどなく流れ出す血
そんな・・・こんなのって・・・
「誰か!医療班!」
お頭が海賊達に叫ぶ。
「ゆ、油断したとね・・・ハンター失格っちゃ・・・」
口から血の泡を噴きながらKYが呟く
「喋らないで!今メディカルキットを持ってくるから」
「よかとよ、これじゃどの道もう・・・助からない・・・っちゃよ・・・」
力なくKYが私の手を握った。震えている冷たい手・・・力弱く握り返してくる
そんな・・・そんな・・・
「しっかりして!諦めちゃダメ!」
「そうだ!まだ報酬も渡してねぇだろうが!」
「報酬は・・・ハカタシティの妹のとこに振り込ん・・・で・・・」
「バカヤロウ!今現ナマで持ってくるから弱気なこと言ってんじゃねぇぞ!」
どんどんKYの身体が冷たくなっていく。私は手を握って励ますことしか出来ない
「かのん・・・この前、なんで一緒に来たか・・・ってえりに・・・聞いてきよったね」
「いいから!無理して喋らないでよ!」
「ハンターになって・・・どんどん獣人どもを倒して・・・えりはハカタの英雄だったっちゃ・・・でもえりは知っとった、みんなが影でえりの”鷹の目”の力のこと、気持ち悪がっとったこと・・・」
やめてよこんなときに自分語りとか。死亡フラグみたいじゃない!
やけん・・・同じ”能力者”のアンタ達に会えてえりは嬉しかったっちゃ・・・なんだか初めて仲間に出会えた気がして・・・やけん・・・えりは・・・」
「もういい!わかった、わかったから。私達はこれからもずっと仲間よ!だから死んだら許さないから!」
かのんちゃん達の様子を見ながら私はただ呆然と御神刀を握り締める。
私は・・・何も出来ない。剣の力は無力だ。
敵を斬る、ただそれだけじゃないか。誰も護れてないじゃないか。
何だったんだ、今までの修行は。ただ木偶達を斬り倒して調子に乗ってただけ?
何が闇を祓う剣だ・・・人一人救えないじゃないか
(出来るよ!)
?!誰だ!私は剣を構える
「サヤシ!どうした!まだ敵が居るのか?」
お頭が怪訝な顔で問いかける・・・いや、誰の気配もない・・・
(りほりほなら出来るよ!その子を助けること)
「誰だ!」
空に向かって叫ぶ、返事は・・・ない
・・・いや、私は今の声を聞いたことがある
どこで聞いた?頭をフル回転させる・・・そうだ!あの声
夢の中で見た光の戦士の一人、癒しの光の能力者の声!
・・・私はショックでおかしくなってしまったんだろうか?幻聴、ってやつか?
(諦めないで!りほりほなら出来る!)
ああっ!うるさいっ!この状況で私に何が出来るって言うんだ!そもそもりほりほとか気安く呼ぶな!
突然バチバチっ!と頭の中に火花が走る・・・幼い日の祖父との記憶
「かつじんけん?」
「そう、活人剣。太古の剣聖が書物に記した奥義じゃよ」
「どんな奥義なの?」
「ワシもその書物を読んだんじゃがの・・・正直なところよくわからんかったよ」
「じっちゃんにもわからないことがあるんだね」
「剣というものは人を斬るのみではない、人を活かす剣こそ正しい剣の道、のようなことが書いてあったんじゃがのぅ。まぁなかなかその極意には辿り着けんもんなんじゃろうな」
活人剣・・・人を活かす剣・・・そんな剣があれば・・・
ダメだ!じっちゃんですら辿り着けなかった奥義を今の私が使えるがはずがない!
(出来るの!その剣なら!りほりほが願えばきっと!)
ああっ!いい加減に黙ってくれ!私には・・・
”御神刀は心の剣、おんしの心の映し鏡じゃ”
”御神刀は心の刃。おんしが願った姿にいかようにも変わるんじゃ”
私の・・・願い
今の私の願い、それは・・・
(そう、願うの!りほりほにはその力がある!)
活人剣・・・夢の中の癒しの光・・・この手に感じた暖かい光・・・
出来るのか・・・私に・・・
いや、やるしかないんだっ!
「ちょっとぉ!?KY!KYっ!しっかりして!誰かぁ!誰か早く!」
「あああっ!畜生っ!医療班はまだかっ!」
もう嫌だ!サヤシは何だか一人でブツブツ言ってておかしくなっちゃったし
こんなのってないよ神様・・・お願いします、どうかKYを助けて!
「はぁあああああああああああああああああああああ!!!」
サヤシが天に向けて剣を構えている・・・嫌だ、ホントにおかしくなっちゃったの?
「おいサヤシ!お前こんなときにふざけ・・・」
サヤシに掴み掛ろうとしたお頭がビクッ、とその身体を震わせた
「なんだよこのエナジー・・・」
カッ!と眩しい光が私達の目に飛び込んできた
サヤシの剣から放たれる光・・・ピンク色の光
その光は雲を割って天を貫いて輝いている
くるっとサヤシが私達の方を向く
鋭い眼光、ちょ・・・まさか!
「活・人・剣!HealingBladeぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
きゃ〜!!!やっぱりサヤシ狂っちゃってた!
私とKY、お頭に向かって長大なピンクの光の剣が振り下ろされる
こんな結末って酷い!ふざけんなファッキン神!ブルシット!
襲い来る光の奔流に目を閉じる・・・幸薄い人生だったわ・・・
・・・ん?あれ?
何これ?何だかあったかい・・・身体の芯からポカポカする
これは・・・温泉!?
そんなわけないか。私はそっと目を開く
サヤシの剣のピンクの光に包まれている私達。この光は何なの?
えっ?・・・さっき転んだときの膝の擦り傷が塞がっていく
躓いたときの爪先の痛みもどんどん消えていく
この光って!
バッ!と抱きかかえているKYを見る
胸の傷が・・・どんどん塞がって・・・塞がった!
ちょ!これって!
「サヤシっ!」
私が叫ぶと同時に光がふっ、と消える
サヤシが何だか糸の切れた凧のようにくるくると回り始めた
「やっ、たぁ・・・ひゃっほい!」
どでーん!そう言い残して大の字になって倒れるサヤシ
すごい、すごいわ・・・これは奇跡の剣よ!
「すげぇ!すげぇ!っておい!大丈夫かサヤシ!?」
お頭がサヤシに駆け寄る
すぴー、すぴー、といつものサヤシの寝息が聞こえてきた
多分大丈夫だ
御神刀・・・神の剣・・・なの?・・・神様、さっきはゴメン
パチパチパチパチパチ
すぐ間近から誰かが拍手をする音が聞こえてきた
サッと私は音の方を見る。そこには黄色いドレスを着た女性が立っていた。
背は・・・そんなに大きくない。どちらかといえば可愛い系の顔。
でも・・・その大きな瞳の奥には何か・・・獣のような獰猛さを感じる
「アンタは!」
お頭が立ち上がりサッ!とリボルバー銃を構える
えっ!この人は敵?
「いきなり失礼。興味深いものを見せてもらいました。実に素晴らしい!新しい能力の可能性を感じます」
お頭のことを気にすることもなく余裕の表情。声のトーンからももの凄い余裕を感じる。
この人・・・只者じゃない。
「東の統括官様が何しに来やがった!」
「そうカリカリしないで、くどぅー。カリンを倒したのは子達はどんな子達なんだろうって会ってみたくなってね」
確かに敵意は声からは感じられない。でもなんだろう、この嫌な感じは。
「貴方達は実に素晴らしい。反逆者として埋もれていくには惜しい存在です。どうです?私ともに新しい時代を築きませんか?」
えっ!勧誘!?・・・正規軍、だよねこの人
「かのん!耳を貸すな!コイツは俺達を自分の野望の駒にしたいだけだ!」
そう、この人から感じる嫌な感じの正体・・・それは・・・
「野望だなんて人聞きの悪い。優れた者がこの世界を統治する、それをただ実現したいだけですよ私は」
「あの〜・・・」
うわっ!ビックリした!突然の背後からの声。今度は誰よ!?
振り返るとそこにはちょっとぽけーっとした顔の女の子が立っていた。
「皆さんはくどぅーの仲間ですか?」
くどぅー?お頭のこと?しかしなんかイライラする喋り方・・・
「だ、誰よアンタは!」
「あっ、え〜っと、サトウマサキことサトウマサキです!」
サトウマサキコトサトウマサキ・・・?
随分長い名前・・・
「マサキ!いいところに来た!」
お頭が女の子:マサキにバチーンとエナジーを飛ばす
えっ!?何?
「あ、了解ぃ〜!ぐるぐる〜、ジャンプ!」
えっ!?消えた?
ジャンプした瞬間、空間が歪んで女の子はフッ、と跡形もなく消え去った
「ジャンパーの仲間まで見つけたのですか?相変わらず社交性と口の達者さだけは素晴らしいですね」
「おいおい、随分なご評価だな」
お頭は銃を降ろさない。この2人、過去に何があったの?
ぴょい〜ん!と変な音がしてまた私の前にマサキちゃんが突然現れた
ジャンパー・・・まさか瞬間移動なの!?
「取ってきたよ〜、箱」
は、箱ぉ!?マサキちゃんの手には確かに”箱”があった
何何何!?箱をどうする気なのよ!?
私の心配を察したかのようにお頭が口を開く
「おいマサキ、その箱持ってその人達と一緒にどっか遠〜くまで飛べ」
「え〜っと、三人以上だと行き先が・・・」
「そこは言わなくていい!でも火山の火口とか海のど真ん中とか宇宙空間とかはダメだぞ」
ちょちょちょ!何言ってんの?
何かすっごく不安なんですけど
「逃げる気ですか?箱は返してもらいますよ」
黄色いドレスの女が私達に手を向ける
「急げマサキっ!」
「了解っ!ぐるぐる〜、ジャーンプ!」
私の周囲の空間が歪む。気を失っているサヤシとKYの周辺も。
そして・・・お頭の周辺も。
「ば、バカっ!俺はいい!」
「え〜っ?そうなの?でももう止まんないよ」
「嘘だろおい!?」
ゾクゾクっと身体の下から寒くなるような感覚が襲ってきた
飛ぶの?私飛ぶの?
と、飛んだー!ひぇえーーーーーーーー!どんどん地上が遠くなっていく
一体どこに行くんじゃーーーーーーーー!うわぁああああああああ!ちょ、待っ・・・
「行ってしまいましたか・・・」
監獄島に残された黄色いドレスの女、東部方面軍統括官マノエリナはふぅ、とため息をついた
しかし次の瞬間にはもうカッ、と目を見開き指をパチーンと鳴らした
切り替えが早いのが彼女のいいところでも悪いところでもある
「メイ!」
ぴょい〜ん!と音がして空間からツーテールの女の子が現れる。
「はいっ!」
「北の方に飛びました。ジャンプの軌跡は追えますね?」
「もちのロンですっ!」
「もし、行き先が”北エリア”なら私達の管轄外です。手出しはせずに監視して状況報告に留めて下さい」
「お安いご用でいっ!ではでは行きますよ〜、ぴょんぴょんぴょ〜ん!!!」
勢いよくジャンプしてメイが彼方へと飛び去った
パチーン、とまたマノが指を鳴らす
ピロロロロロ、と通信端末が鳴る音
「あ、もう制圧しましたよぉ。重力エンジンもリナプーが潜入して無力化しましたぁ」
「御苦労です」
ピッと通信端末を切った後、マノはニヤリと微笑む
「面白いですね。そっちに行きましたよ、貴方はどうします?氷の魔女」
ピロロロロロ、とまたマノの通信端末が鳴る
「例の街、発見しました。ただなんか変な力で護られてて入れないんですよね〜」
「わかりました。こちらが落ち着いたら増援を送ります」
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
どさっ!
嘘ぉ!顔から落ちた。
でもそんなに痛く・・・冷たっ!
この感触、この冷たさ、これは・・・雪!?
どがっ!
ぐえっ!誰かが上に落ちてきた
「あ、ごめ〜ん!うへへへへ」
うへへじゃないよ!アンタジャンプのプロじゃないのか?
どさどさどさっ
他の面子も次々に落ちてきた
「おいマサキ!テメェ!」
「ごめんごめ〜ん、でもほんぶの中に悪い奴らも入ってきてたしぃ、くどぅーも逃げた方がいいかなって」
「何だとぉ!?それを早く言えよオイ!」
「いたいいた〜い!命の恩人に向かって何すんのぉ?まぁちゃん怒るよ?」
掴み合いの喧嘩が始まった・・・この寒いのに子供は元気だねぇ
「う・・・ううん、何か寒かよ、えり、死んだっちゃか?」
残念ながら死んでいません。しっかし寒い。
私達は何処かの雪山に飛ばされたようだ。ってかここ何処よ!?
サヤシは・・・この状況でも寝とる。すごいわ
ウォオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
声が聞こえた。獣の遠吠え。距離は割と近い
「あの声はっ!」
KYが顔色を変えてガバッと起き上がる
「あの声は獣人っちゃよ!」
ウォオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
ウォオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
ウォオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
ウォオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
さっきの声に呼応するようにあちこちから遠吠えが聞こえてきた
すごい数、数え切れないほどの遠吠え、唸り声その他もろもろ
私達・・・囲まれてる!?何処か他のところに飛ばないと!
「マサキちゃん!」
私の声と同時に重なる声があった
「マインドブラストパァーンチ!」
バチーン!マサキちゃんの顔面に炸裂するお頭のパンチ
大の字になって気絶するマサキちゃん
ちょ、何してくれちゃってんのよ!
また絶対絶命!・・・どうなっちゃうの、ウチら!
>>514-524 以上、InvisibleBlade 最終話 「奇跡の光、そしてまたまた見えない行先」 でした
ご愛読有難うございました。次週からは保田圭先生の「Heartcatch!お圭さん」が始まります。
結局11話も使って未だに910期全員勢ぞろいさせられていない・・・
少年ジャンプの10週打ち切りの先生方のまとめ力の凄さを痛感しました。
見えない刀ではなくなったのでタイトルを変えていったん仕切り直させて頂きます。
・・・と、いうかサブタイトル「見えない○○」を考えるのがそろそろ辛いっ!もう無理っ!
526 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 08:06:00.58 0
読む前保全
>>525 乙です!
仕切り直すと言うことは何らかの形で続くということですね?
やっほーい♪
527 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 08:28:23.77 0
次週からの放送内容を見て吹いてしまったわw
サヤシの能力の進化も興味深い
他のリゾナンターのチカラも受け継ぐことが出来るのか
何にせよ仕切りなおしの次章にも期待大です
528 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 11:07:12.12 0
ほぜっしゅ
529 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 13:04:28.02 0
ふらっしゅ
530 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 14:10:27.95 0
>>525 おもしろかった
続き期待してます
まとまらない時は石の階段をのぼらせれば解決します
531 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 15:42:25.32 0
続きがあって魔女や獣人が出てきますか
目が放せませんな
532 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 17:07:49.00 0
ぽ
533 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 18:58:13.37 0
や
534 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 20:55:32.38 0
ポ
535 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 22:36:24.46 0
寝る前ホゼナント
536 :
名無し募集中。。。:2012/04/28(土) 23:47:18.40 0
( 「・e・)「 < ホゼナンター
537 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 01:35:57.64 0
>>530 :::::::::::::::娘。は こ {::::::{
:::::::::::::::坂 て の _ ,−v 、::::::、
::::::::::::::::を し _/rァ  ̄ヽn ヽ::::::ヽ
::::::::::::::::よ な -こヽ__)ヽ へフ -‐':::::::::::}
:::::::::::::::::: く /::::::://, 7′:::::::::::::::::::::/
::::_n_ 遠 、:::::::::ー' //-‐ ば の よ オ
:::`ニl lニ い ヽ::::://\ か ぼ う レ
::::`フ \:::::::::ヽ __ ノ:::ー':::::::::::::ヽ り り や は
/'´|_|`ニ_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l だ は く
:::::::ノ'r三7/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} か じ
::::::::`フ, 匸/l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ら め
:::::: ̄´::: ̄´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ な た
これのことかい?
538 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 03:10:59.85 0
石の階段ってそういうことかよw
539 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 06:52:25.51 0
でんでられんけんでてくるばってん
540 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 06:52:50.58 0
でんでられんけんでてくるばってん
541 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 10:00:58.85 0
大人の階段のぼる
542 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 11:00:21.89 0
543 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 11:09:10.38 O
とっとっと?
544 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 13:24:58.32 0
>>542 どっちかというとサイレントナイトの〆の方がリゾスレっぽいと思うんだがw
545 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 15:31:30.62 0
流石にGWは落ちそうな勢いだな狼
546 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 16:51:43.49 0
そうなん
547 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 17:40:54.48 0
「まったくいくらたたきつぶしても懲りない連中やざ。」
そう愚痴をこぼしながら愛が見つめていたのはとある宗教団体の会合である。
この組織はかつて愛佳の予知能力に目をつけて、喫茶リゾナントを襲撃して、れいなに重傷を負わせたのだ。
その行為が愛を怒らせ、一度愛の手によって施設が襲撃されたのだ。
だが、組織は懲りずに能力者を使っての組織の拡大を図っていた。
そしてそれを担っていたのが・・・
「飯窪春菜・・・あの組織が地下で育成していた能力者の子供たちのひとり。」
データによるとその春菜は愛に会っているはずだ。
愛は以前に組織の施設に潜入したときに組織が育成している能力を持った子供たちの部屋に飛んだことがあった。
その時に外の世界に向かうように促したこともあった。
「でも・・・そう簡単にはいかないやよ。やはりあーしらが導かんといけんか。」
そういうと愛は瞬間移動をした。
548 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 17:44:17.19 0
宗教団体の会合が行われた本部ビルの最上階に愛の探している少女・飯窪春菜はいた。
見た目はモデルのような体で目が大きいのが印象的だ。
服装は神社の巫女のような格好だ、どうやら宗教団体の神輿に担ぎ出されたようだ。
シュン!
春菜は後ろの気配に気づいた。
「あなたは・・・確か、3年ほど前に施設に現れた。」
「どうやらあーしのことを覚えているようやね。飯窪春菜ちゃん、あなたを助けに来た。」
愛は手を差し伸べた。
すぐさま、瞬間移動でここを去るつもりなのだろう。
しかし春菜はその手を握ろうとしなかった。
「駄目です。私が逃げたら施設にいるみんなが危ない目に会うんです。」
「やはり・・・組織は子供たちを自由にしなかったんか・・・」
「はい・・・あなたの言葉でみんな外の世界への憧れを抱きましたが、組織は・・・いや教祖様は私たちを外にだそうとせずに自分の手駒にしようとしました。」
愛の顔を暗くなった。
自分の一言が余計にあの子供たちを苦しめたのではないかと考えてしまった。
「私は教祖様のためにこの力で組織を大きくしないといけないんです。見つかったらあなたも大変です。私のことはかまわず逃げてください。」
「そうはいかないやよ。」
愛が春菜の手を無理やりにでも握ろうとすると・・・
549 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 17:46:25.18 0
ウィーン!
愛と春菜の周りをガラスの壁が囲んだ。
「しまった!」
愛は急いで瞬間移動しようとするが、その体はガラスの壁に阻まれた。
「そのガラスの壁は中では能力を使えるが、君のような瞬間移動能力者は外に出られないようにできているのだよ。」
「教祖様・・・・」
開かれているドアの向こうにこの新興宗教団体の教祖が立っていた。
スーツの上に宗教の装束を羽織っている。
その恰好から政治にでも乗り出すつもりなのだろうか・・・
「高橋愛・・・・われらの救世主になるはずだった予知能力者を奪い、またしてもわれらの救世主を奪おうというのか!」
「奪ったのはあんたのほうやろう!宗教に事借りて人々を惑わすペテン師め!」
愛は明らかに教祖に怒りを持っていた。
能力者を自分の欲に利用しているだけに過ぎないこの男のような奴を愛は一番許せないのだ。
「神の力を恐れぬ不届き者め・・・春菜、おまえの邪眼の力でこの女を地獄を見せてやれ。この女の過去はすさまじいらしい、よほど恐ろしい地獄を見せれるだろう。」
「でも・・・教祖様・・・」
「おまえの仲間がどうなってもいいのか!」
教祖の恫喝に春菜はおびえている。
春菜は従わざる得なかった。
「春菜ちゃん・・・構わんよ、あーしにその力を使っても・・・」
「でも、そんなことをしたら!」
「大丈夫やよ、あーしはそう簡単に死なんよ。地獄は何度も見てきたから。」
550 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 17:49:30.00 0
そのやり取りを見て教祖はほくそ笑んでいた。
(馬鹿め・・・自ら死を選んだか。)
「高橋さん・・・・ごめんなさい!」
春菜は愛に力を使った。
目から愛に力が伝わっていく。
その瞬間、愛の脳裏に様々な光景が写しこまれていく。
i914としてダークネスの生態兵器として生まれ、その実験で多くの命を無作為に奪ってきた。
そして組織から逃げ延びた後、能力者として迫害をうけてきた。
自分を守ってくれた祖母の死、リゾナンターの結成。
そして傷つく仲間たち・・・
愛には多くのつらい過去があった。
それが春菜の力で一気に流れて行った。
「く・・・ああー!」
愛は頭を抱えて、倒れた。
春菜の眼には涙が流れていた、おそらくこれまでもこういった経験があったのだろう。
それと同時にガラスの壁は下ろされた。
教祖の部下たちが愛を回収に向かった。
「御苦労だったな、この女は川底にでも沈めよう。」
そういって男たちは愛を抱えて、部屋をでていくのを春菜は黙ってみるしかなかった。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
551 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 17:51:57.76 0
そしてそれからしばらくして教祖は春菜を隣の席に座らせて、全信者の前に現れた。
「諸君!われわれの神がこれからの未来を導いてくださる。」
すると教祖が春菜に合図をした。
これは春菜の邪眼によって信者たちを操れというものだった。
春菜はためらっていた。今からしようとしていることは絶対やってはいけないことであると・・・
(春菜・・・何をしておる!子供たちがどうなってもいいのか!)
教祖が目で恫喝していると・・・
カチャ!
「動くんやないやよ!」
教祖の後ろで愛は銃を構えていた。
「貴様!始末されたのでは!」
「あんたの仲間は今頃川遊びをしているころやざ。さぁ、この子を渡してもらうやよ。」
「ふふふ、春菜!もう一度こいつに邪眼を使え!子供たちがどうなってもいいのか!」
教祖はまだ余裕たっぷりであった。
どうやったかは知らないが、愛は確実に邪眼の力で戦闘不能になっている。
次もうまくいくはずだ。
「往生際が悪いやつやよ。春菜ちゃん、この電話にでてくれない。」
そういうと愛は銃を持っていない方の手に持っている携帯電話を差し出した。
春菜は恐る恐る携帯を手にする。
「春菜お姉ちゃん・・・」
そこには何人もの子供たちの声が聞こえた。
552 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 17:53:12.92 0
「その声は・・・みんな無事なの。」
「うん、かっこいいお姉さんたちに助けてもらったんだ。」
その声はまさしく春菜とともに能力育成をさせられていた子供たちの声だった。
「あーしの仲間たちが見つけ出して、助けたんやよ。もうこんな奴の言うことを聞く必要はないやざ。」
「はい!」「き、貴様!」
怒り心頭の教祖が愛に殴りかかろうとしたが、愛はその手をつかんだ。
その手は力強く握りしめられていた。
「あんたはもう終わりなんやよ。この子もほかの子たちも明るい未来に進ませるんや!」
そういうと愛は春菜の手もつかみ、教祖もろとも瞬間移動した。
すると宗教団体の本部の外にでていた。
しかしそこに教祖の姿はない。
「助けてくれ!」
教祖は誰の手が届きそうにない高いアンテナの上にひっかけられている。
服だけで体を支えているので下手に動けば地面にまっさかさまだ。
「あいつはいずれ来る警察に引き渡すやよ。さぁ、あなたは仲間のもとにいくやよ。この先にいるから。」
「高橋さん・・・」
「あ、そうや。もしも何か困ったことがあったらこの喫茶店に来るやよ。必ず力になってあげるやよ。」
「はい・・・ありがとうございました。」
そういうと春菜は深々とおじぎをして、仲間たちのいる場所へと走り去って行った。
愛はこれから明るい未来に行くであろう少女の後ろ姿を静かに見守るのであった。
553 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 17:57:27.03 0
>>547-552 「リゾスレ4周年突破記念 共鳴の戦士と邪眼の少女」でした。
どうもリゾクラ作者です。
忙しくて新作をだす時間がありませんでしたが、GWということで記念作品です。
4周年突破ということでどういう内容にしような悩みましたが、
今回はリゾナンターオリジナルメンバーと新メンバーとの物語を作ろうかと思っています。
最近、新メンバーものが多いようなのでオリジナルメンバーてんこ盛りにできたらと思います。
554 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 18:02:17.55 0
>>553 おっほう!まさかあの話の続きが来るとは!
何気に飯窪さんはこのスレ初登場でしょうか
確かに新メン比率が最近高いのでオリメン登場は有難い
期待してます
555 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 19:38:46.86 0
新メンも好き
オリメンも好き
両方楽しめるこのスレ大好っき
556 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 20:57:33.68 0
らいすっき
557 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 22:26:23.11 0
ホゼナント
558 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 22:53:46.88 0
>>553 乙です
このスレが続いてきたからこそ生まれた記念作品ですね
教祖を仕留めたフィニッシュもリゾナント元の作品にリズペクトしてて乙な感じですた
559 :
名無し募集中。。。:2012/04/29(日) 23:39:34.85 0
おやすみ
カランコローン
「ありがとうございましたー…ふぅ」
OPENの札をCLOSEDに変えるれいな。
「あーーーーーなんでなの?りほりほからメールも返ってこないし、電話も通じないの!」
「メール返ってけえへんのはいつもの事ですけど、電話もって珍しいですね」
「どうせあれやろ?4人でストレス発散しとっちゃろ?」
「ん〜まあ、だろうね」
「そう言えば、何があったの?」
「何言ったっけ?」
「もう何言ったかもわからんけど、ま、爆発したもん」
「そうね〜」
「だってれいな初めて発したもん、あんな言葉!」
「そう、熱く語ったよねぇ」
「いや、ほんとにあんな怒鳴ったの初めて」
「そうだね」
「ガキさんは、もう何かもう、“ハァー”っていう、もう呆れた方向やったけど、れいなは何故か、自分に対してそうやって言われたわけじゃないのにほんとイラッときて」
「う〜ん」
「何か、“ねぇ、年下やろ?”みたいな。めっちゃ、“先輩に向かって何?”って思って」
「そうね、それを言ってくれたんだけど」
「え〜!?なんかよくわかんないけどそんな事あったの!?」
「わかったんかわかんないんかどっちですのん」
「でもきっと大丈夫でしょ、今のあの子達なら」
「そう?」
「ちょっと時間はかかるかもしんないけど、私達の言いたい事は分かってくれるよ」
「あー!」
「愛佳どうしたと?」
「バターが無いです。今から買ってきます!」
「いいよ、れいな行って来ると」
「えーそんないいですって」
「まだ足悪いっちゃろ?いいからここにおり!」
買い物に行く身だしなみを素早く整え、ドアに手を掛けるれいな。その時―――
――!!!――
「田中さん!!」
「え?なん?どうしたと?」
「あっ…あ、暗いんで気をつけて下さい」
「もお、そんなんで大声出さんでよw ビックリすると」
店を出て行くれいな。見送る3人。
「あ〜、やっぱり出ないの。もう1回メールしてみるの」
「さゆみんほどほどにしときなさい!あんまり送ると迷惑メールみたいになるよ」
愛佳の頭を過った光景。れいなと対峙する4人の少女。少女達の姿はぼんやりしていて、誰かは分からない。
まさか、あの子達が…?
「みっつぃどしたの?そんなに田中っち心配?」
「え?いえ、なんでもないです」
視えてしまった、いつなのかも分からない未来の一瞬。
ただ、そんなに遠くない未来のはず。
562 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 00:34:48.10 0
>>560-561 「pure soul(2)」
台詞の一部はいつぞやのRisa's NightHouseより
563 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 01:47:07.89 0
少しずつ浸食されつつあるな
それはそれとしてガキれなの仲が良好なのはイイことw
564 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 04:08:09.38 0
>>562 つまりリボーン事件のときにはもう入れ替わっていたとw
斬新な解釈でとても面白いです。
565 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 08:02:26.80 0
OHYU
>>514-524 (前章までのあらすじ)
預言書にある「世界を変える力を持つ箱」を政府の施設から盗み出した鈴木香音は何とか政府軍を振り切るも
賞金に目の眩んだならず者、ハンターの一団に襲撃される。過酷な砂漠でチェイス中に遂にバイクのエンジンが爆発。
絶体絶命の危機を謎の剣士、サヤシに救われる。
その後、新たなる追手KYに襲撃されるがサヤシが辛くも撃退。そこへ更に政府のクローンサイボーグ部隊が現れる。
KYの助け?もありギリギリでクローンサイボーグ部隊を退けるサヤシだったが昏睡。
そこへ戦闘機、ジェットストライカー部隊が容赦なく襲い掛かるが箱の謎の力が発動し部隊は同士討ちに。
1機残ったジェットストライカーは箱に制御され、香音、サヤシ、なぜかKYを乗せて勝手に監獄島に向かう。
監獄島に待ち受けていたのは政府に反逆した元囚人、お頭とその配下の海賊達だった。
一度は囚われる香音達だったが同じ反政府勢力ということで釈放、もてなしを受ける。
その晩、監獄島を覆う瘴気の正体を追っていたサヤシは地下の重力エンジン動力室でお頭と出会う。
重力エンジンのコア、古の闇の戦士のエナジーを吸収したお頭は暴走、闇の戦士に意識を乗っ取られてしまう。
しかしサヤシの御神刀の真の力、そしてお頭自身の意思で闇の戦士のエナジーに勝利しこれを再び封印する。
更に夜が明けると、島は政府軍のカリン率いるクローン部隊の襲撃を受ける。
海賊達、そしてお頭、KY、サヤシの活躍で何とかカリンとその部隊を退ける一行だったが
クローン兵の生き残りにKYが胸を貫かれ重傷を負う。死の淵にあるKYを前に何も出来ない香音達だったが
サヤシが新たなる剣の力、活人剣を開眼しKYを治癒する。
そこへ政府軍の東部方面軍統括、マノが現れ香音達に共闘を呼び掛けるがお頭がその申し出を一蹴。
お頭の仲間?のジャンパー、マサキの力で箱と共に一行は遥か北へと飛び去るのだった。
(ここまであらすじ)
あ、ナレーション終わりですか?今お聞きの通りこれまでもピンチの連続だったんですが
ま た も ピ ン チ で す 。
このノンストップでせわしない展開はもう少し何とかならないんだろうかね・・・
獣人、私達人類を永きに渡って苦しめてきた脅威。でも大昔は獣人なんて伝説の存在だったらしい。
彼ら獣人がこんなにも大量に世に現れたのは気紛れな獣人族がたまたま人を噛んだためとも
または獣人族の遺伝子を元にしたウィルス兵器が何らかの事件で漏れ、パンデミックを起こした為ともいわれている。
何にせよ、獣人に噛まれたものは獣人になってしまう可能性があって更に獣人達自身の生命力、繁殖力も爆発的。
獣人を狩り、撃退する”ハンター”なんて職業が出来るぐらい私達にとって身近な脅威・・・それが獣人。
そんなトリビアしてる場合じゃない!こんにちわ、鈴木香音です。
その獣人の脅威に私達は今まさに、晒されているんです!
どこかの雪山のど真ん中で、無数の獣人達が私達が取り囲んでいる状況
唯一の脱出手段だったジャンパーのマサキちゃんは・・・お頭のマインドブラストで気絶してる!
「ちょ!お頭何してんのよ!」
「あ?うっせーなぁ、犬っころどもぐらい俺が始末してやんよ」
いや、元気のいいのは結構だけどね・・・アレ見てよアレ
ドドドドドドドドドドドドド!
遠くの方に見える盛大な雪煙。アレが全部・・・だよね?
「来るっちゃよ!チッ!AKBは置いてきたとか!?」
KYが舌打ちする。
対獣人用ライフル・・・ジャンプのときに置いて来ちゃったんだね
まぁあってもあの数を捌けるとは思えないけどね。。。
盛大な音にお頭もくるっ、と後を振り返った
暫しの間の後、見る見る顔が青褪めていく
「・・・やっべぇ!マサキ!起きろ!」
いや、アンタがKOしたんでしょうが!
マサキちゃんの頭の周囲にはまだくるくると星が舞っている。
これはしばらくは起きないんだろうね。
あんまり気は進まないけど・・・起こすしかない!
雪に顔を突っ込んで爆睡してる剣士に私は駆け寄る
「サヤシ!サヤシ!起きて!」
ごめん、今朝も無理矢理起こしたのにホントごめん。
でもキミに頼るしかない!目覚めろ、最強の剣士!
「う、う〜ん・・・サイダー・・・しゅわしゅわぽん・・・うひひひ」
寝言?サイダー?何言ってんの?それどころじゃない!
「サヤシ!サヤシ!このままじゃ全員死ぬわ!貴方の剣の力が必要なのよ!」
「なんで私を誘わないの?ん?ん?・・・」
アカン、完全に夢の世界や!しかも何の夢なのさ?
これはマズい・・・マズすぎる・・・最終手段に出るしかない!
「起きろー!コノヤロー!元気ですかっ!」
バチーン!サヤシの頬を思いっ切り平手打ちする・・・ゴメン、でもこうするしか
「雪山で寝るなー!死ぬぞー!」
バチーン!バチーン!往復で叩く。どっちにせよ雪山で寝るの危険だし!
「・・・こ、来ないで下さい!だから、りほりほとか気安く呼ばないで!」
コイツ起きん!しかも夢の中でなんかピンチに陥っとる!
タタタタタタタタタ!KYが身に着けていた小銃をぶっ放した
えっ!?もう奴ら来たの!
キャインキャイン!と声を挙げて雪道を転げ落ちる獣人達の姿が見える
でも中には弾を食らいつつも怯まず突撃してくる獣人も!
「ちっ!やっぱコレじゃ仕留めきれんとね。数も多過ぎっちゃ!」
「つーかやめろ!こんな雪山でそんなの撃ったら雪崩れ起きっぞ!」
た、確かに!・・・格闘戦しかないの?
でもこの中でマトモに格闘戦が出来そうなのは・・・サヤシだけじゃん!
「じゃあどうすればよかとよ!」
「俺がマインドブラストで暫く時間を稼ぐ!その間に考えろ!」
お頭が地面の雪に手を当ててオレンジ色のエナジーを走らせた
地面一面を走るエナジーが坂道を上がってくる獣人達の先鋒隊に襲い掛かる
ギャワワワワワン!キャインキャイン!
エナジーのショックで転げ落ちていく獣達、でも一時凌ぎに過ぎない!
ガサガサガサッ!えっ!?近くの茂みから音!
まさか・・・まさか・・・そんな!やめてよ!
ガサアッ!ワオォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
ひぇえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!獣人っ!
茂みから突然半分犬、半分人間みたいな醜悪な生き物が私に飛び掛かってきた!
避け・・・いや、サヤシがまだ寝てる、でも・・・
いや、ダメだよ!そんなの!
私はバッ、と両手を拡げてサヤシを守るように獣人の前に立ちはだかった
スローモーションみたいに獣人の鋭い爪が私の頭に迫る
あぁ、ウチ死ぬなこれ・・・いや、万一サヤシが助かればさっきの活人剣とかで直してくれるかな?
いや、頭吹っ飛ばされたらいくら何でも直んないかな・・・あぁあ、やっぱ幸薄い人生・・・咄嗟の判断、間違えたかも
私は目前に迫る鉤爪に・・・目を閉じた
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ!ザンッ!
えっ!?何、今の音?
私は目を開く
ブシャーッ!ぶーっ!生暖かいドス黒い液体が顔に掛かった、おえっ
獣人の・・・血!おええええっ!
獣人の腕が吹っ飛んで・・・いや何かに斬られて血が噴き出している。
のたうち回って悶え苦しむ獣人・・・助かった!
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ!
あの音!私は音の方を見る
視線の先には、銀色に輝くブーメランのような物体
曲線的な軌道を描いて宙を舞っている
でもブーメランにしちゃデカいね?
そのままブーメランの行き先を追う。私達の背後の崖上・・・
ブーメランの行き先に二人の人影が見える・・・私達以外にも人が居た!
二人の人影の内、青い服を着た方が片手でパシーン!と巨大なブーメランを受け止めた
その青い人影が私に向かって叫ぶ
「見上げた度胸だな!気に入ったぞ!」
落ち着いた感じの女の子の声・・・一体何者?
でもあの子小さくない?
ブーメランの方があの子よりデカいような?いや、ブーメランがデカいのか?
そんなことをぼーっと考えていたら背後からボオッ!という音が聞こえた
メラメラ、パチパチ・・・焦げ臭いっ!
私はバッ!と振り返る
そこには、全身を蒼い炎に包まれて悶え苦しむ獣人の姿があった。
さっき腕を斬り飛ばされた獣人・・・な、何なのこれは!?
あっという間に蒼い炎は獣人の身体を焼き尽くし、骨だけにしてしまった。
カラカラカラ、と崩れ落ちる骨
「たあぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
さっきの青い服の子の声・・・うええっ!
青い服の子は背後の高い崖から前宙して思いっ切り飛び降りてきた!
アホか!死ぬぞ!
「銀牙!月光!」
シャキーン!という音と共に青い服の子のブーメランが眩しい銀色の光を放った
何何何!今度は何なの?・・・えっ?アレは・・・
スノボですか!?
銀色のブーメランはいつのまにか銀色の板にその姿を変えていた
シャキーン!と青い服の子はボードを足に嵌める・・・そ、そういうこと!?
ん、ええっ!こっちに飛んできてる!?女の子は空中でボードを制御し、こっちに向かってきた
バシャーン!着地の激しい雪煙が私の顔に掛かる・・・ぶーっ!今日はこんなんばっかり!
「ゴメン、話は後だ!」
顔に掛かった雪を払う。初めて青い服の子を間近で見る。
黒髪ぱっつんでやっぱり身体はかなり小さい。そしてほっそい。。。ウラヤマシイ
目が合った・・・黒目がちの不思議な目。何だろう、何かが違う?
動物・・・みたいな、といったら失礼だけどでもキラキラした綺麗な目。
着地した青い服の子は私にウィンクすると勢いよくボードで滑りだした
「どけぃ!お前達は下がっていろ!」
「何ねアンタ、うおっ!ぶっ!」
「あ?何だテメ・・・うおっ!」
KYとお頭の顔にも派手に雪をぶっ掛けて、女の子は銀のボードで滑り降りていく
とんでもないスピードだ・・・怖くないのかな、アレ。。。
どんどん青い服の子は滑り降りていき獣人達の群れ、本隊に近付いている
えっ、ちょ、嘘ぉ!?
あの子たった一人であれだけの獣人の群れとやり合う気なの?無謀すぎる!
ボードが派手にジャンプした。天高く、前宙の姿勢。
そこでまたボードが銀色に眩しく輝く・・・銀の光は、今度は二つに分かれた!
ぼふっ!と派手な雪煙と共に着地する蒼い服の子
その手には・・・一対の銀の双剣・・・アレ、剣だったの?
「蒼の剣士・・・」
「あ?何だそりゃ?」
ぼそっ、と雪まみれの顔でKYが呟いた
「北の方から流れてきたハンターから聞いたことがあるっちゃ。北では蒼の剣士が獣人を全部倒しちまうからハンターは商売あがったりだって」
「ええっ!?まさかあの子が!?」
青い服の子・・・蒼の剣士が翼を拡げるように双剣を構えた
無数の獣人達が輪を作って彼女を取り囲む
ワォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーン!
獣人の一匹・・・隊長格だろう、の雄叫びとともに獣人達が四方八方から蒼の剣士に襲い掛かる
フッ、と蒼の剣士の姿が見えなくなった・・・えっ!?何?
ギャワン!キャイン!キャン!キャイィイン!
次々と獣達の悲鳴だけが聞こえる
「アイツ、とんでもない速さで動きよぅね」
見えるのかKY!
・・・すっかりガヤポジションな台詞を吐きそうになった
彼女の姿は確かに見えない・・・けど
次々と獣人達が蒼い炎に包まれていく・・・いや、凍りついている獣人も見える
アレは・・・あの不思議な剣の力?
「太刀筋は全般的に軽い、が的確な位置を狙ってる。剣の力に助けられている部分もあるが」
うおっ、背後からの突然の声!
サヤシ・・・もっと早く起きてよ!しかもなんかまた上から目線だし!
「見てないでアンタも助けに行きなさいよっ!」
どごっ!イラっとした私は後ろからサヤシを蹴っ飛ばした
「か、かのんちゃ・・・うわぁあああああああああ!」
つるっ、と滑ってサヤシは坂を転げ落ちていく・・・やばっ!もしかして雪苦手だった?
「とぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーっ!」
突然、背後から甲高い声が聞こえた
あ、そういえばもう一人居たね、蒼の剣士と一緒に
茶色い何ともいえない不思議なデザインの服を着た女の子
やっぱりあの子もかなりの実力者・・・
「きゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
ぼふっ!
・・・えっ!?
か、顔から落ちた・・・いや、何かの間違い・・・じゃなさそうだ
「痛ったぁ〜」
嘘ぉ!生きてる・・・顔から落ちたのに!
「だ、大丈夫ですか?」
思わず声を掛けてしまった。きっと何かしようとして失敗したんだ。
そう思いたい、うん。
「は!はぅう・・・これはご親切にスミマセン!」
私が声を掛けると女の子はピッ、と真っ直ぐして顔に付いた雪をばしゃばしゃと払った
相変わらず素っ頓狂な声を挙げながら・・・
肌の色は浅黒い、身体はほっそりとしている。服は・・・やっぱり見たこと無い類の服
どうやって縫ったのかわけのわかんない何とも言えない構造のローブだ
なんか、こう・・・だまし絵っていうかそんなインチキ臭さを感じる。センスは独特で悪くないけど。
かなり南洋系の濃い目の顔だね、何でこんな雪山に?とりあえず話を聞いてみよう、うん
「貴方達は何者なの?」
「ハイっ!さっきの剣士はダーイシ、私と目的を同じくする同志ですっ!」
「目的?貴方は?」
「ええっと、わたくし、ダン・ハゥ・クゥ・ハゥ・オオアクマール・チョコバッター・ド・メッシ―・・・」
ちょ!サトウマサキコトサトウマサキより長ぇ!そんなの覚えられんわ!
あ、私の怪訝な顔に女の子は気付いたようだ
「あ、えーと皆さんの世界風に言うと”イイクボハルナ”って感じですかね」
最初っからそう言え!・・・え?皆さんの世界?どういう意味?
「も、目的って何?」
「あ、わたくしラブベリーナ魔法学院の卒業試験で課題を出されましてこの世界に参りました」
魔法・・・学院・・・だと?
可哀想に、さっき落ちたショックで頭が・・・
「ま、まぁ落ち着きましょう、後でゆっくり・・・」
「魔法!?アンタ魔法が使えるっちゃか!?」
うっ、また厄介な奴が現れた。そんなわけねーだろ!
お前は黙って・・・
「はいっ!お近づきの印に・・・×#%@C△・・・」
わけのわからん言語、いや、呪文?・・・なんだこれ・・・
いかん、ダメだ!この子は完全に・・・早く!早く病院に!
「★チョコレィタス★」
ボワッ!と私の手に妖しい煙が!
「おおっ!」
「おわっ!何だこりゃ!」
同じくKYとお頭の手にも怪しい煙が!
「わーい!チョコレートだぁ!」
いつの間にか起きていたマサキちゃんの手にも・・・
みんなの手にいつの間にか謎のマグカップが!
いい薫り・・・芳醇で・・・濃厚な・・・チョコレートドリンクの・・・
「うっ・・・うまか!何ねこれは!」
「うめえ!うめえぞこん畜生!」
そう、この薫り・・・飲まずにはいられないっ!
たとえ怪しい術で出てきた飲み物であってもっ!
どんなリスクを負ってでも飲む価値が・・・これにはあるっ!
私がマグカップに口を付けようとしたその時
目の前にイイクボハルナが手で半分顔を隠して斜め気味で立つ変なポーズで立ち塞がった
「お前は・・・『きゃ〜!こんな美味しいチョコレートドリンク飲んだことな〜い!これでご飯三杯はいける〜!』と言う」
は?何言ってんの?そんなバカなコメント私がするわけ・・・ゴクっ
「きゃ〜!こんな美味しいチョコレートドリンク飲んだことな〜い!これでご飯三杯はいける〜!」
ハッ!まさかっ!これが魔法の力なのっ・・・!?
坂道を滑り降りて・・・いや、滑り落ちているその時、唐突に”それ”は私の手の中に現れた。
甘く、芳醇で、香ばしい薫り
未だに眠気に襲われていた私はその薫りに刺激され、自然と”それ”を口へと運んだ
・・・旨い!
甘さの中にもしっかりとしたカカオの香ばしい風味
それでいて後に残る苦みや嫌味はなくすっきりとした喉越し
この味は恐らく伝説の”サイダー”に比肩する極上の味わいだ!
身体の芯がどんどん暖かくなっていく・・・眠気が一気に吹っ飛んだ!
身体に残っていた疲労感も、なんだか知らないがビンタされたように痛かった頬も
全て全て癒されていく・・・すごい、すごいぞこの力は!
目の前に獣人達の群れが迫る・・・蒼の剣士が奮闘しているがいかんせん数が多い
御神刀を握り締める・・・出来るのかっ!私にっ!
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
御神刀を抜く・・・光と共に、御神刀の新たな姿が目覚めた
「猪・孤・麗・剣!Chocolate Bladeぉおお!」
違う!これじゃない!これじゃないんだ!
慌てて私は茶色の刀身・・・いや、棒を頭からサクサクと齧る
「な、何しとんじゃ・・・お前は」
うっ・・・蒼の剣士に軽蔑の眼で見られた
次から、次からは本気出す!
>>566-577 以上、Variable Blade 第一話 「蒼の剣士とチョコレートの魔術師」でした
正直、反省してる。特に後半。
579 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 08:37:24.17 0
朝からワロタww
580 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 11:39:27.24 0
見えないシリーズ読み終わって続編はいつ来るかなって思ってたらもう来たww
乙です!
581 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 11:39:29.33 0
イイゾモットヤレ
582 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 12:56:04.27 0
>>578 おちゅ
これでクジュッキーズは全員登場したことになるね
飯窪さんの魔術師は何かイイね
583 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 15:01:45.85 0
午後のホゼ茶
584 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 15:34:49.27 0
>>578 乙です
SF色の濃い話を書いたことがあるけど設定とか世界の姿を書くのに精一杯でキャラを魅力的に描くことが出来なかったw
それに比べると何とジョジョバカの魔術師の魅力的なこと
続き待ってます
585 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 17:39:06.98 0
ほぜ
586 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 19:24:05.84 0
なん
587 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 20:41:52.92 0
とぉー
588 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 22:10:11.54 0
変身
589 :
名無し募集中。。。:2012/04/30(月) 23:29:27.29 0
とぅ!
590 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 01:15:26.58 0
参上!!
591 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 02:27:34.23 0
592 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 05:10:58.33 0
おぱよん
593 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 09:48:37.11 0
おはっす
594 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 11:11:45.42 0
お昼〜
595 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 13:04:17.70 0
ホゼナンター
596 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 14:28:35.32 0
ちょっと狼重かったな
597 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 16:25:27.13 0
軽くできるのかな?
598 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 17:33:58.06 O
ノノ*^ー^) <まかせてください
それ!ふわふわぽんっ!
599 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 19:18:38.71 0
シュワポン保全
600 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 20:03:12.37 0
シワシワぽん
601 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 21:17:09.80 O
うぇうぇぽん♪
602 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 22:28:32.34 0
スッポンポン
603 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 23:22:09.94 0
粛々と保全
ガッ バキッ
夜の帳が下りた中を、時折打撃音が周囲に響く。
月明りの下、2つの影が動き回る。
「お前はかのんちゃんじゃない!」
里保が厳しい口調で睨む先には、香音
いや、“香音”の姿をした者があった。
「…さすがだな。他の奴らとは一味違うようね」
「…他の奴ら?」
かのんちゃん…?みんな…?
“香音”を睨み続けながらも、里保の心は急速に穏やかでなくなっていった。
「いいだろう、あなたにいいものを見せてあげる」
何かを取り出そうとする“香音”。身構える里保。
取り出したのは、携帯電話。1、2、3台。
3つとも、里保には見覚えがあった。
!!!
「…かのんちゃんを…みんなをどうした!」
「心配することはない。これからあなたもお友達の所へ連れて行ってあげる」
里保は“香音”へ飛び掛った。
一進一退の攻防。しかし一瞬を突き、里保は“香音”を押さえ付けその喉元に『刀』を突き付けた。その時――
「里保ちゃんやめて!どうしたの!?私だよ!?」
!?
里保の腕の力が一瞬緩んだ、次の瞬間
ド ン
里保は凄まじい勢いで吹き飛ばされ、壁に強かに打ちつけられた。
立ち上がろうとする前に胸倉を掴まれると、鈍い音が響いた。
鳩尾に深く入り込んだ拳。その場に崩れ落ちる里保。
「水軍流とやらも、所詮は人の子だな」
うつ伏せに倒れていた里保の体は足蹴りにされ、仰向けになった。
606 :
名無し募集中。。。:2012/05/01(火) 23:56:49.65 0
>>604-605 「pure soul(3)」
念動力を使う敵です
変装かクローンかどっちにしよう
607 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 02:51:40.71 0
危機ですなあ
608 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 06:34:30.30 0
朝
609 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 08:01:54.15 0
>>606 おちゅ
まだ敵の設定が固まってないんかいw
どんな顛末を迎えるか続き待ってます
610 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 09:13:01.43 0
投下が途切れないねえ
611 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 11:48:37.10 0
俺がスレを落として途切れさせてやるんだからなっ
今はとりあえず上げておいてやるけどっ
612 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 12:55:38.00 0
ふぅ
613 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 14:44:41.11 0
ほぜほぜ
614 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 16:35:57.49 0
どうかな
615 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 17:18:45.02 0
――メシの言う通り、無謀だったかな……
工藤遥の脳裏を、年上の友人――飯窪春菜――と最後に言葉を交わした際の、泣き笑いを浮かべた表情が不意に過ぎった。
いや、友人「だった」……という方が正確かもしれない。
春菜は自分についてきてはくれなかったのだから。
おそらく―――もう二度と会うことはないだろうから。
「らぁっ!」
心中に浮かんだ微かな弱音、そして瞼の裏に張り付く“友人だった少女”の残像を、スタンガンを突き出してきた眼前の男と一緒に蹴り壊す。
膝を割られて絶叫と共に倒れた男を視界に隅に追いやった遥の“眼”は、続いて特殊警棒を振りかぶる男を捕捉する。
――右腕の筋肉は動作の気配がない…警棒はフェイク…視線が一瞬左下を向いた…左腕上腕筋が緊張…本命は左手の中…おそらくは小型の麻酔銃
“眼”で瞬時に読み取った“情報”を基に、一気に相手の懐に飛び込む。
男の口元――口輪筋が、自分の思惑とは完全に逆の行動を取られたことへの戸惑いと動揺の痙攣を起こすのが“視”えた。
中途半端に突き出されかけた手首を素早く掴み、男自身の脇腹に押し付けて引き金を引く。
微かな発射音と呻き声を耳にしながら、遥は男の体を突き飛ばすようにして後退した。
一瞬、遥に追い縋ろうという素振りを見せた後、男はその場に崩れ落ちる。
そのとき既に、遥の“眼”は背後を“視”ていた。
身を沈めた遥の頭上を、鈍く黒光る警棒が通過する。
次の瞬間、腰を落としながら体を反転させた遥の手の中のナイフは、空振りで体勢を崩した男のアキレス腱を断ち切っていた。
616 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 17:19:34.78 0
――!!また増援……!?しかも……チッ!くそっ!
悲鳴を上げて倒れながらも警棒を振り回す男の手から、それを蹴り飛ばした遥の“眼”に、新たな数人の姿が映る。
その中に、大嫌いな女の顔を“視”つけた遥は思わず舌打ちをした。
自己陶酔型で劇場型の…どこまでも薄っぺらい女。
名前は確か宮澤だか宮崎だかいっただろうか。
この“教団”の中でそれなりの地位があるようだったが、名前同様そんなことはどうでもいい。
遥にとって生理的にも思考的にも受け入れがたく……そして、特に今この場では絶対に出会いたくない相手だったということが重要だった。
「まあ……。なんてことをしたの、遥ちゃん」
相変わらず芝居じみた口調でそう言うと、部屋の入口に姿を現した女は大げさに肩を竦め、悲しげにため息を吐いてみせた。
室内には、床で動かなくなったりのたうちまわったりしている男たちと、その原因を作った遥を遠巻きに囲む数人の姿がある。
それらの光景を「なんて嘆かわしいことかしら」と言わんばかりの表情で眺める女の姿は、やはり生理的に受け付けないと改めて思った。
「どうして出て行こうなんて思ったの?この素晴らしい《faith》から。ここはあなたたちの居場所であり、夢であり、あなたたちのすべてなのよ?」
広げた両手全体で施設を示すようなジェスチャーをしながら、女は穏やかに言い聞かせるような口調を遥に向ける。
特別な“眼”で“視”なくとも、「聞き分けのない子どもを優しく諭している自分」を過剰なまでに意識しているのはありありと分かった。
「私たちは、あなたたちみたいな子たちに惜しみなく愛を注いでいるわ。安心するって…温まるって言ってもらえるように」
愛してあげる
ほら愛してあげるわ。
だから私と一緒にいなさい。
ここはあなたたちの天国なのよ―――
女の言葉の端々から滲み出る、纏わりついてくるようなねっとりとした空気感が、遥の胃の腑を押し上げる。
617 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 17:20:16.60 0
「ざけんな!あんなもん持って追い掛け回して何が愛だ!」
その空気を右手に持ったナイフで真横に引き裂くようにしながら、遥はそのハスキーな声で吠える。
「間違ったことをしそうになっている子を正すのも愛なのよ、遥ちゃん。あなたも今にそのありがたさが分かるわ」
―やれやれ、手のかかる子ね、でもあなたみたいに「不出来」な子にも、私はちゃんと平等に愛を注ぐのよ―
今にもそんな声が聞こえてきそうな女の表情に、遥は今度こそ明確に吐き気を覚えた。
元々心開く気には到底なれなかったが、教団の暗部を知ってしまった今は、なおさらはっきりと言える。
その「ありがたさ」とやらが分かるときは、すなわち完全に“洗脳”されたときだ。
そこまで考えた遥の中に、再び「友人」の顔が浮かぶ。
ここは天国なんかじゃない。
このままここにいたら、自分たちのチカラは絶対によくないことに利用される。
だからここから出よう、2人で本当の居場所を探そう。
そう必死に説得する遥に対し、迷い揺れ動く表情を覗かせながらも、春菜は結局「行かない」と言った。
ここを出たって行くところなんてないよ。
自分たちだけじゃどうしていいかなんて分からない、きっとどうにもならないよ。
だから遥ちゃん、ずっと一緒にここにいようよお願い―――
やりとりは平行線を辿り、結局遥は縋りつくような表情と声に別れを告げ……一人で今ここにいる。
感情的になった末「もういい!」と、そんな春菜を置いてきてしまったことが、遥の心に急に重く圧し掛かってきていた。
本当によかったのだろうか、これで本当に。
618 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 17:20:51.97 0
「さあ、戻りましょう。いつも言ってるでしょう?自然の法則に逆らっちゃいけないって。そんな物騒なものはこちらに渡して。ね?」
ここにいることこそ……《faith》に染まることこそ自然の摂理だとばかりに、女はにこやかな表情を遥に向ける。
“慈愛に満ちた”女の笑顔に、それ以上は耐えられなかった。
「―――ッ!!」
遥の手の中にあったナイフが、女の立つ脇の壁面を僅かに削り、床で乾いた音を立てる。
瞬間、女の形相がそれまでと激変した。
「このガキがッ!つけやがりやがって!」
足元のナイフを踏みつけ、それまでの表情と態度を一変させた女が、右手を上げる。
「ぐ―――っ!」
筋肉の動きから女の動作を読んでいた遥だったが、そこから発されたチカラは、想像を超える速度で襲ってきた。
かわしきれなかった“刃”が、遥の大腿部を浅く切り裂く。
「まあ、私の“真空刃―インビジブル・ブレイド―”を避けるなんて……遥ちゃん、あなたすごいのね」
一瞬の激昂から立ち直ったらしい女が、わざとらしく目を見開く。
「“千里眼―クレア・ボヤンス―”…あなたのチカラは、単に視界の外のものを“視”られるだけの能力じゃないみたいね。……猫被ってたんだ、遥ちゃん。悪い子」
ニヤァ――と笑んだ女の表情の毒々しさに、これ以上ないほどの嫌悪感が湧き上がる。
「ますます手放すわけにはいかないわ。少なくとも……生かして他にやるわけにはいかないわね」
女の言葉と視線の合図に合わせ、包囲網がじりじりと狭まってくる。
女につけられた脚の傷を抑えながら、遥は唇を噛んだ。
619 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 17:21:34.53 0
目の奥に、脈打つような痛みが走っている。
これまでに経験がないほどの“眼”の酷使が原因であることは明らかだった。
まだまだ成長途上にある体に残る体力がすべて尽きるのも、きっと時間の問題だろう。
悔しかった。
結局、自分で道を切り開いていく力が足りなかったことが悔しかった。
「自分たちだけではきっとどうにもならない」――その春菜の言葉通りだったことが悔しかった。
でもそれ以上に……心残りだった。
春菜とあんな別れ方をしたままになることが。
結局、春菜が「呼んでほしい」と言っていたあだ名でその名を呼ばないままになったことが―――
「これが最後のチャンスよ、遥ちゃん。私たちと一緒に……来る?」
醜悪な慈愛の表情と、吐き気を催す優しげな口調で最後の選択を迫る女を、遥は真っ直ぐに睨み返す。
「行くか、バカ。それくらいなら死んだ方がマシだ」
答えは、躊躇いなく口から滑り出た。
「そう。じゃあ…死になさい」
表情を消した女が片手を上げる。
その手の周囲に、邪悪なエネルギーが渦巻くのが微かに“視”える。
それらをスローモーションのように感じながら―――遥はゆっくりと目を閉じた。
620 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 17:22:17.66 0
「遥ちゃん……!!」
「――――!?」
刹那――遥の耳に、既に懐かしささえ覚えるハイトーンの声が飛び込んできた。
開いた目に、別れ際と同じ泣き笑いの表情を浮かべた、ひょろ長い友人の姿が映る。
「メシ……?なんで……?」
“立入禁止区域”であるはずのこの場所に立つ春菜に、遥は呆然と問いを向ける。
「だって…友達だもん。怖かったけど……怖いけど……一人で行かせるなんて、やっぱりできないよ」
遥同様に“脱走者”となった友人は、僅かに体を震わせながらもそう言って微笑んだ。
「春菜ちゃん、あなたまで……。自分の立場が分かってるのかしら?自分が今、一体何をしてるのか。それに……こんなことをしたらどうなるのか」
春菜の方へと視線を動かし、女はやや苛立たしげな声を向ける。
明らかにいつもとは違う女のその様子に、春菜はビクリと体を震わせた。
春菜を巻き込んでしまったことへの痛烈な後悔が、今さらのように遥を襲った。
自分だけならともかく、春菜まで下手をすれば………
「待―――」
春菜には手を出さないでくれと、遥が懇願しようとした瞬間―――
高く…震える声がそれを遮った。
「立場なんて関係ない…!どんな場面でも…私は逃げない!自分から……友達から……もう逃げたりしません!」
「メシ……」
必死の表情で、震えながらもそうはっきりと言い放った春菜の姿は、遥の“眼”には光り輝いて“視”えた。
621 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 17:23:14.05 0
「……そう。あなたもどうやら“危険分子”みたいね」
薄気味の悪い笑みをその顔に貼り付け、半ば独り言のように女が呟く。
もはや、どう言葉を重ねたところで、遥たちを待つ運命が覆ることはなさそうだった。
「メシ!逃げろ!あたしがこいつらなんとか引き止めとくから…メシだけでも逃げろ!」
そう叫び、腰を落とす。
万に一つもあるかどうかの可能性だったが、もう残された道はそれしかなかった。
だが、春菜は小さく首を振って微笑む。
「言ったじゃん。逃げない。遥ちゃん置いて逃げるなんてできない。行くなら一緒だよ」
「こ…バカメシ!!」
遥の心の中に、温かく…熱い何かが満ちる。
この友人を死なせたくないと、心の底から思った。
でも―――
「心配しなくても、どっちも逃げられないわ」
女の言葉に、遥は再び唇を噛む。
いくらこの身を燃やし尽くす程の力を、そしてチカラを振り絞ったとしても……結果は見えている。
「…本当にバカな子たち。ここにいれば幸せになれたのに」
遥以上にそれを確信している表情で、女が“悲しそうに”ため息混じりの言葉を発する。
しかし、ただ一人春菜の瞳だけは、“明日”を見据えていた。
「幸せは……本当の“パラダイス”は、ここを出て…自分たちで探します」
622 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 17:23:41.70 0
キッパリとそう言い切った春菜の言葉に、女が冷笑を浮かべる。
「だから、あなたたちはここから出られないって言って――――!?」
次の瞬間、女の表情はそう発しかけた言葉とともに凍りついた。
「何―――!?目が!?」
「………?」
突然、目の焦点を無くしたように視線を虚空に彷徨わせた女に、遥は首を傾げた。
「何?どういうこと?まさか………」
視線を戻した遥の瞳の先で、決意を秘めた表情の春菜が小さく頷く。
「お前っ!お前のチカラは“色覚異常―カラー・アノマリー―”じゃ……」
「……もう少し…色んなことができます、本当は。隠しててすみません」
その必要もないのに、申し訳なさそうに春菜はそう謝った。
見えない目を必死でその声の方に向け、女は噛みつくように怒鳴る。
「本当は視覚を支配できるってこと!?揃いも揃ってふざけた真似を!」
「いえ、視覚だけじゃありません。……全てです」
それに対し、春菜は相変わらず申し訳なさそうにそう返した。
「なっ?まさか“五感占拠―センス・ジャック―”能力………えっ?あっ…?耳が……!」
驚きの表情の後、突然女は両耳を押さえ、焦点の定まらない目を狼狽えたように顔ごと左右に動かす。
女だけでなく、遥の周囲を取り囲んでいた他の男たちにも同様のことが起きていた。
623 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 17:24:13.46 0
「遥ちゃん!今のうちに!」
ひと際高い声が、混乱で満たされた部屋を横切って届く。
呆気にとられていた遥は、我に返ったように動きを取り戻した。
駆け寄った先の、色んな感情の入り混じった表情を湛えた春菜の痩身に、思わず抱き着きそうになって……寸前で止める。
「結局来るなら最初から来いよ!このバカメシ!」
代わりに、そう言いながら腰のあたりに拳をぶつけた。
「痛いっ!ごめん……だって……」
そう言いながらかけがえのない友人が浮かべる泣き笑いの表情が、遥の目の奥を熱くさせる。
込み上げたものを見られないように顔をそむけ、短く言った。
「ありがとな、“はるなん”」
「……え?今……」
戸惑ったような、それでいて華やいだようなその声を後頭部で聞きながら、素早く目をこする。
そして引き結んだ表情を作り、振り返った。
「とにかく話はここを無事に出てからだ。走るぞ」
「あ、待って!待ってよ!」
2人だけの“パラダイス”を目指し―――遥と春菜は、パニックに陥っている部屋を飛び出した。
* * *
624 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 17:26:57.50 0
>>615-623 『共鳴ハンター<1>』
一応話はつづきます
迷いましたがせっかく書いたのでラッシュに乗っからせてもらって上げてみます
ちょっと前から書いている話なのでここのところの作品群の設定との差異はご容赦のほど・・・
能力の拡大解釈も大目に見てください
互いの呼び方も
歌詞パクリも
その他色々と
625 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 19:10:25.53 0
読む前保全
626 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 20:13:24.63 0
>>624 電車の中で読んだ
設定の揺らぎは別にして普通に面白い
二人がどんなパラダイスを見つけるのか
続きを待ちます
627 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 21:45:10.01 0
これから読ましていただきます
628 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 22:30:33.73 0
>>624 本人たちもだいぶキャラがわかってきたからいい感じですね
続きが楽しみだ
629 :
名無し募集中。。。:2012/05/02(水) 23:58:08.98 0
ほぜ
630 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 01:34:06.10 0
すっかりクジュッキーズ主体ですね今のこのスレはw まあ生命力の強いスレだw
特に
>>578の作者さんは各メンバーの小ネタまで把握して… かなりのDDになってしまった様ですねw
631 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 06:51:27.09 0
おぱよん
632 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 06:53:14.87 0
まわるまわるよ時代はまわる
633 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 08:15:32.72 0
>>624 今更ながら乙です
何が王道だとかいうことは誰にも決めらんないけど能力者モノの王道を突き進んでる感がありますね好きです
スレの原点から離れているようで離れていない気が…
<<faith>>は昔の話でさゆを誘った連中を意識してるんですかね
634 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 10:07:58.82 0
新しい時代
635 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 11:50:27.59 0
そうじゃあない
そうじゃあないんだ
636 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 13:24:46.75 0
ええじゃあないか
ええじゃあないか
637 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 14:00:05.85 0
やめるにょん
やめるにょん
638 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 15:30:23.18 0
何言ってるんだw
639 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 17:12:54.76 0
ラブミーテンダー
640 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 17:30:54.62 0
641 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 17:40:05.56 0
642 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 18:41:46.37 O
転載ね
643 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 20:14:49.27 0
UFOだー
644 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 20:38:03.91 0
なんかいろいろとあれだけどエロいな
645 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 20:55:01.92 O
イラストナンターはいずこ
646 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 22:13:30.11 0
動画ナンターも
…ゃん …んちゃん
「…ん …う〜ん」
「かのんちゃん?かのんちゃん!?」
瞳を開き、何度となくまばたきをする香音。
「よかった!気がついたのね!」
「聖ちゃん…?えりぽんも…?」
周囲を見回す香音。コンクリートの壁に囲まれた殺風景な部屋。
扉が1つ。小さい窓が1つ。その中に3人はいた。
ふと手元に違和感を感じ、見ると手錠がはめられていた。また、聖にも衣梨奈にも同じ手錠がついていた。
「ここ…どこなの?」
「わかんない。私たちも気付いたらここにいたの」
「えり、聖と会ってたらいつの間にかここに来てたと」
「私もえりぽんに会って、眠らされてここにいたの。でも、えりぽんが私と会ってた所に私は行ってないの」
「私、里保ちゃんと会ってて、急に里保ちゃんになんか布で口押さえられて…」
顔を見合わせる3人。
「あれは、里保ちゃんじゃ…」
「聖じゃ…」
「えりぽんじゃ…」
ないよね。
確信を持つ3人。
「…私、どうやってここに来たか見た?」
「うん。ドアが開いて、放り込まれるように入ってきた」
「一瞬やったけど、後ろにサングラスとマスクしたやつがいたと」
「それって、“里保ちゃん”だった?」
「それはわからんかったっちゃん。一瞬やったし」
もう一度部屋を見回す香音。
「私、ここがどこなのか見てくる」
「そっか!香音ちゃんなら」
「気をつけてね」
「うん、行ってくる!」
香音は立ち上がり、扉に向かって歩き出した。ところが…
ガン
しゃがみ込み、額を押さえる香音。思わず吹き出す聖と衣梨奈。
「あっれ〜?おっかしーなー」
再び扉に向かう香音。しかし
ガン
場所を変えても、何度やっても、同じことだった。
通り抜けられない。
力が使えない。
香音だけでなく、聖も絵梨奈もそのことに気付き始めていた。
その時。
「足音!誰か来る!」
近づいてきた足音は、扉の前で止まった。
鍵を開ける音の後、扉が開く。部屋の中に、1人の体が投げ込まれた。
「「「里保ちゃん!!!」」」
間髪入れず、扉は閉められた。
「待って!」
「お前は何者だ!」
扉の小窓が開く。サングラスとマスクで表情を隠した顔が覗く。
「私達をどうするつもり!?」
小窓の向こうの人物は、サングラスとマスクを外した。
その瞬間、聖たちは息を呑んだ。
その顔は、紛れも無く“香音”だった。
“香音”は、自分の顔の前に手をかざした。そこに現われたのは“里保”の顔。更に“絵梨奈”の顔、“聖”の顔…。
愛佳、さゆみ、れいな、里沙、そして愛…。
聖たちは、見覚えのある顔に次々と変化していく光景を、ただただ呆気にとられて見つめているばかりだった。
「…ん…んん…」
「里保ちゃん!?」
「里保!大丈夫!?」
「…みんな…?ここは…?」
「あら、お早いお目覚めね」
“愛”が口を開いた。
「え?高橋さん?」
「里保ちゃん、あいつは高橋さんじゃない!」
「私ね、あなた達が邪魔なの」
身構える4人。
「でも、あなた達が欲しいの」
「どういうこと!?」
「あなた達の精神は、まだ純真無垢でピュアな部分が多いの。でもそれだけに、心に隙が多いの。その隙に付け入ろうってわけ」
「…私達を甘くみないで!」
「どんなに言葉巧みでも、そんなものには乗らない!」
「威勢がいいわね。でも言葉巧みにする気なんて無いわ。あなた達、その手錠がどういうものかは薄々気がついているでしょう?」
自分に嵌められた手錠に目を向ける4人。
「でもね、それだけじゃないのよ」
“愛”は、リモコンのような物を取り出し、1つのスイッチを押した。その瞬間――
「「「「ああああーーーーーーーーッ!!!!」」」」
手錠が、強力な電流を発した。その衝撃に、たまらず意識を失う4人。
「強引にでも隙に付け入ってあげる」
“愛”は4人を別室に連れて行った。
数時間後。
“愛”の前に並ぶ4人の姿があった。その目は据わり、無表情。
「行くのよ」
“愛”の言葉に、4人は無表情なまま頷くと外へと向かって行った
652 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 23:32:56.63 0
653 :
名無し募集中。。。:2012/05/03(木) 23:46:25.31 0
>>652 乙です。
何気に今まで居なかった類の敵ですね
面白くなってきた
654 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 02:03:46.75 0
題名はそういう意味やったんやね
次回はれいなvs四人か
655 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 04:53:17.08 0
おやすみ前にほっ
656 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 07:59:18.49 0
ピザトーストホゼナント
657 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 10:25:34.52 0
コーヒーブレイクホゼナント
658 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 11:36:14.68 0
シロクロビーストホゼナント
659 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 13:23:29.24 0
ホゼナンデス
660 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 15:10:17.21 0
アホチャイマンネン
661 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 15:29:31.06 0
GW中も出勤で書けなかったよ
662 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 17:08:07.41 0
愛佳・・・
663 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 17:32:27.31 0
力なく上げておく・・・
664 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 18:20:40.52 0
うぬぬ
665 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 18:57:22.38 0
ちょいと早めにホゼナント
666 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 19:05:43.69 0
物語は受け継がれていくもの
かのん達が志を継いでくれると信じたいね
667 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 19:11:26.89 0
愛佳がいる限りは…と思ってたけどまさか6期の2人より早いとは
668 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 19:12:47.30 0
小春が髪をショートにして・・・愛佳が卒業を決意する。
なんだか、決意をした時期が同じなだけにリゾスレに関連したがってしまう。
こんなときにリゾスレ病は発症したくなかった。
669 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 19:18:02.05 0
リゾブルメンバーの生き残りが2人だけになるとか寂しすぎるね・・
670 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 20:01:52.82 0
今書き進めてる話をちょっと変えようと思う
671 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 20:13:09.70 0
同じく…というか書けるかな…
672 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 20:15:25.82 0
ウチのももう少し先に登場の予定だったんだが・・・
展開上たぶん卒業後になってしまうな
673 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 21:12:23.75 0
明日への保全
674 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 22:15:20.59 0
675 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 22:54:00.46 0
見納めにさせてたまるか!
676 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 23:14:12.16 0
去年から続ききてない話とかってもう終わりなのかな
677 :
名無し募集中。。。:2012/05/04(金) 23:43:37.57 0
帰宅して大ショック
連休中に遊んで帰ってくるとこんな報告が多いわorz
678 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 00:41:30.51 0
>>676 最後まで読みたい話いくつもあるけどねえ
679 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 01:57:04.61 0
笑顔の未来へ
680 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 06:34:44.93 0
未来はみんなの手の中に
681 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 08:20:57.14 0
モーニング一丁!
682 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 10:03:17.86 0
続きを書きたいと思いつつ書けない私が上げますよ… 愛佳主役のパートもあるんだけど
683 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 10:03:56.00 0
二六の丁!
684 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 10:17:28.62 0
685 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 11:40:46.44 0
愛佳ああああああ
686 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 11:47:45.94 0
愛佳……
687 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 13:39:18.93 0
688 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 14:57:21.55 0
すまない、少し取り乱しているようだ。
689 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 16:17:35.89 0
切ねえなあ切ねえよ…
690 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 18:07:54.46 0
志半ばっていうのがねぇ
期間の長い短いより
自分が走り抜けた、次のステージに行くタイミングだって思えての卒業じゃないのがなんとも・・・
691 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 19:39:32.28 0
風に吹かれて
692 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 20:44:58.16 0
愛佳の往く明日が青空がいつまでも続くような未来でありますように
693 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 22:10:53.84 0
今宵の月のように
694 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 22:36:20.40 0
『みんな、ありがとう!』
ここは中国のテレビ局のスタジオ。
そこのステージには制服に身を包み、歓喜の涙を流しているジュンジュンの姿があった。
そしてそれをスタジオの端で見守るリンリンの姿もあった。
(ジュンジュン、よかったよ。この結果は刃千吏だけではありえなかったよ。)
そう今日はジュンジュンの参加したオーディション番組の人気投票の結果発表の日であった。
刃千吏構成員による組織票はあったものもジュンジュンは大勢のメンバーの中でトップに輝いたのだ。
リンリンもその結果を見届けるためにやってきていた。
シュン!
(うん?今、何か気配を・・・)
一瞬、スタジオ内を横切った気配にリンリンは気付いたが、それからは何も感じないので気のせいだと思っていた。
695 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 22:36:57.58 0
「なぁ、祝勝会はバナナいっぱいあるのか?」
「それはもちろん!刃千吏総動員でバナナを用意して待っているよ!」
番組も終わり、ふたりはその足で刃千吏本部へと向かっていた。
本部は中国都市中心部にはなく、奥地の山の中にある。
そのため、途中まで刃千吏の用意した車で山の手前までいってからは少し山の中を歩かないとならなかった。
「リンリン・・・思うんだが、刃千吏本部までの道のり険しすぎないか?」
「我慢してください。ジュンジュンの体力ならこれくらい問題ないはずでーす!」
刃千吏本部は天然の要害に守られている。
刃千里は神獣を守るための組織だ、いざとなれば神獣を守るために本部は要塞としての機能を果たすのだ。
「ジュンジュン、バナナをどうぞ。少し休んでいてください。水を汲んできまーす!」
リンリンはジュンジュンを休ませて、その場を離れた。
だが、離れたのは水を汲むためではなかった。
リンリンが目指したのはふたりをさきほどからつけている怪しい影であった。
「待て!やはり気のせいではなかったな。テレビ局から後をつけていたな。」
影は木に隠れて動かない。
リンリンはすでに手に緑の炎を燃やしている。
「狙いは私か・・・それともジュンジュンか・・・でてこないならこっちから!」
696 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 22:37:26.94 0
シュン!
すると影は走り出した。
リンリンは影に向けて炎を放った。
影はあるところに向かっていた。
(確か・・・あの先は滝が・・・)
リンリンの考え通り、影は山の中にある大きな滝へと向かっていた。
「とまれ!この距離なら外さないぞ!」
リンリンと影の距離は大してない。
リンリンの腕なら外すことはない。
だが、影は手を滝の方にかざしていた。
(これは何か企んでいる。)
スッ!
すると影は両手を上にあげた。
リンリンは嫌な予感がした。
「発火!」
リンリンは素早く炎を放った。
だが、一瞬のうちに大量の水蒸気が舞った。
「これは!」
「炎と相対するもの・・・それは水。」
水蒸気が晴れたのち、そこにあったのはひとりの少女であった。
697 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 22:38:03.82 0
「オマエ、何者だ?」
「私は鞘師里保。」
「今の水念動力といい、ただものではないな。ダークネスか?」
「いや、私はあなたがたを見守っていただけ。」
「何?」
ダーン!
銃声が山の中に響いた。
「まさか!ジュンジュン!」
リンリンはジュンジュンの身が心配で急いでジュンジュンのもとに戻っていった。
それを里保は静かにみているだけであった。
グゥー!
リンリンが戻ると獣化しているジュンジュンの上に別の獣がのしかかっている。
数々の戦いの経験を積んできたジュンジュンが押されるなんて珍しい。
リンリンがその様子を怪しんでいるとジュンジュンの片腕に大きな銃創があり、大量の血が流れている。
「あれは確か刃千吏でも危険視されていた対獣人用ライフルの跡!あんなもので撃たれていたら普段の戦闘能力はだせない!」
リンリンがジュンジュンを救おうと前にでようとしたが・・・
ダン!
リンリンのいたところを対獣人用ライフルの弾丸は襲い、地面をえぐった。
(スナイパーがいる!はやくしないとジュンジュンが!)
698 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 22:38:34.99 0
シュン!
「うわっ!」
するとリンリンの頭上を弾丸のような勢いで水が飛んでいき、スナイパーを貫いた。
そこには里保がいた。
「水軍流の前ではどこに隠れてもわかりますよ。」
「君は・・・」
「さぁ、早くあの人を助けにいってあげてください。」
「ありがとう!」
リンリンは里保の援護をうけて、ジュンジュンのもとに駆け寄った。
「発火!」
リンリンの放った炎がジュンジュンを襲う獣を焼き始めた。
グワー!
獣が苦しんでいるところをジュンジュンが立ち上がり、片腕だけで獣をばらばらにした。
ジュンジュンは肩で息をしながら元の姿に戻った。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
「ジュンジュン、大丈夫ですか?」
「遅いぞ!危うく死ぬところだった!」
「リンリンが離れたばかりに・・・すぐに手当をするから。」
699 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 22:39:12.39 0
リンリンはすぐに大けがを負っているジュンジュンの片腕の手当に入った。
いざというときのために応急手当の手段もリンリンは心得ていた。
「よし、これでバッチリデ―ス!あ、そうだ。あの子に礼を言わないと!」
「いないぞ。」
「えっ?」
ジュンジュンに言われて、リンリンが振り返るとすでに里保の姿がなかった。
「まるで私たちと同じような感じに思えた。また会えるのだろうか・・・」
一方、里保は山の別の場所からジュンジュンとリンリンを見守っていた。
(高橋さん・・・おふたりは守りました。)
700 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 22:42:47.26 0
>>694-699 「リゾスレ4周年突破記念作品 神獣を守る炎と水の戦士」でした。
どうもリゾクラ作者です。
愛佳の卒業・・・考えたくもない話でした。
正直なところ、以前にキュートの有原さんも似たようなパターンで抜けられたので治癒が
長引いていることを聞いたときにふといやな予感がしておりました。
けれどもまだハロプロに残ってくれるのはせめてもの救い(?)でしょうか。
愛佳の前途が有望であることを本当に願いたいばかりです。
ちなみに今回の記念作品はなるべく現実では絡みのない共演をしていきたいなという考えで進行しています。
701 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 23:04:31.72 0
>>700 乙です。確かに面白い組み合わせ〜
オーディションに出ちゃう神獣様っていうのもJJらしいw
702 :
名無し募集中。。。:2012/05/05(土) 23:10:14.60 0
>>700 乙です
鞘師ちゃんは中国地方出身だしw
ジュンジュンのお気に入りって事もあっていい組み合わせですね
703 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 00:34:13.05 O
いつか立派な絵師になってイラストを投下する
それが私の夢です
704 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 00:54:47.29 0
月が本当に明るい
705 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 00:59:43.94 0
706 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 02:57:33.72 0
お休み前のホゼナント
707 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 07:07:59.42 0
目覚めた朝に誓いを立てろ
708 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 09:13:21.03 0
微睡む瞳に朝の光が胸の痛みを少し癒して
709 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 11:14:58.31 0
青空だね…
710 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 12:29:55.54 0
みんなで昼飯を食べに行こう。
711 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 14:36:50.91 0
リゾナント
712 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 16:34:50.08 0
共鳴しよう。
713 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 18:45:29.86 0
落ちるまで後少し
714 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 19:15:23.31 0
卒業まで、あと少し
715 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 19:52:51.44 0
休みが終わるまであと少し
716 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 20:06:16.67 0
リゾナンターにもGWはあるのかな
717 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 20:58:37.36 0
休み、はない!
718 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 22:41:42.03 0
俺もついさっきまで仕事だったぜ!
719 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 22:46:47.84 0
720 :
名無し募集中。。。:2012/05/06(日) 23:27:05.04 0
GWは喫茶リゾナントは営業中だろうしな
後のみんなは休みでしょ
721 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 00:15:35.91 0
誰が店を切り盛りしてるかにもよるな
従来通り愛ちゃんとれいなだよ派
・2人でやってるよ派
・オリメンの誰かが手伝ってるよ派
・現メンの誰かが手伝ってるよ派
・オリも現もないよみんなで手伝ってる派
現実に則してれいな中心で愛ちゃん不在だよ派
・れいな1人でやってるよ派
・ガキさゆ愛佳の誰かが手伝ってるよ派
・9期10期の誰かも手伝ってるよ派
・なんなら愛ちゃん顔出しに来たよ派
etc
722 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 00:16:59.60 0
飯田さんが来店してなぜかお客の鞘師にガキさん呼びに行かせたらしい
723 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 01:04:42.91 O
川*’ー’) <学生家族が三年無料のリゾナン学割ぃ〜♪
724 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 01:48:43.41 0
>>719のリンク先にあるリゾナンターのサウンドノベルを落としてみたが結構なボリュームだった
725 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 06:25:59.77 0
朝だね
726 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 07:53:48.53 0
>・れいな1人でやってるよ派
切ない
727 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 08:30:00.42 0
喫茶リゾナント自体存在してないよ派も増えていそうで切ない
728 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 10:55:36.34 0
勇気の翼を広げて
729 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 12:48:11.57 0
ふぅ
730 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 15:36:49.30 0
ホゼナンター
731 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 17:23:57.31 0
残り8人
732 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 18:47:18.17 0
ケケケケケ
733 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 20:15:19.46 0
ほら
次はお前だ…
734 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 21:21:37.49 0
735 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 22:33:52.66 0
終わるみたいな言い方するなよw
736 :
名無し募集中。。。:2012/05/07(月) 23:08:22.67 0
>>724 暇がなくてなかなか腰を据えて読めなくてまだ途中なんだけどすごく面白いね
音や映像のおかげで臨場感があるのもさることながら話自体過去の作品にもあまりない感じのカラーで魅力的
737 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 00:14:36.22 O
そういや最近スレが落ちないけどどうしちゃったの?
三回連続で完スレとか奇跡じゃね?
カランコローン
「やほー。あれ、田中っちは?」
「あ、新垣さん。さっき田中さん急用ができたって出ていきましたよ」
「なんかメールが来て顔色変わってたの」
「へ〜、何だろう」
コツ…コツ…コツ
歩みを止めるれいな。ゆっくり周囲を見回す。
人気のない、隔絶された空間であるような感じを受ける場所。やがて――
ザッ
現われた2つの人影。それを見据えるれいな。さらに――
ザッ
後方からの物音に振り返るれいな。そこにも2つの人影。
しばらく沈黙が流れる。
「…あっそう。それがあんたたちの答えね」
変わらず沈黙を続ける4人。
「来るなら来れば?手加減せんよ」
ジリ…ジリ…
徐々に4人は間合いを詰めてゆく。構えるれいな。
ダッ!! ガシッ
1人がれいなに飛び掛る。聖だった。聖の拳を受け止めるれいな。
しかし、動揺したのはれいなの方だった。
受けた拳。聖の冷たい瞳。それは、喧嘩や決闘の“それ”とは異なっていた。
そういう場を何度となく経験してきたれいなだからこそ、異様な雰囲気を直感で感じとった。
聖を払いのけるれいな。近づいてくる衣梨奈・里保・香音。その3人にも、同様の異様さを感じとる。
操られている…?それとも、憑依…?どちらかは分からないが、そう考えるのに、時間はかからなかった。
入れ替わり立ち代り、れいなに襲い掛かる4人。
何とか4人を止めないと――
1人を押さえつけても、あとの3人に引き剥がされる。
次第にれいなは劣勢に。
4人を止めたいれいな。れいなの命を狙う4人。
人数もそうだが、それ以上に感情の面でハンデがありすぎる。いくら個々の能力ではれいなが上であっても、不利なのは明白だった。
「もうやめりぃーーー!!目を覚ましてぇーーー!!」
れいなの絶叫が響くも、その声は届かない。
心までも追い詰められていくれいな。そして――
ザ ン ッ
「がはっ…」
隙をつき、里保の『刀』がれいなの背中を切り裂いた。みるみる服が赤く染まってゆく。
膝をついたれいなを、両腕をそれぞれ聖と香音が抱えて立たせる。
その前に衣梨奈が立ち、れいなの首を掴んだ。
「目を…覚まして…。お願い…。思い出してええええええええッ!!!!」
ビクン!
4人の体が、一瞬硬直した。
目の前の衣梨奈を見やるれいな。その瞳は冷たい眼差しのままだったが、そこから一筋の雫が流れていた。
衣梨奈の後ろに立っている里保も、自分の両脇を固める聖と香音も、同じように涙を見せていた。
かすかに微笑むれいな。しかし、次の瞬間――
衣梨奈の手に、一層の力が込められた。
「いや…ぐ…ぐぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!」
――!!!――
“共鳴”の乱れを感じ取った。
「ガキさん!」
「うん!行こう!」
「愛佳も行きます!」
「ダメ!みっつぃはここにいな」
エプロンを外そうとした愛佳を、里沙は制止した。
「何でですか!?」
「私達に何かあった時、みんなをまとめるのはみっつぃだよ」
「うん。愛佳はもうさゆみやれいなよりもしっかりしてるの」
「そんなこと…ないですよ…」
「行ってくるね!」
「頼んだの!」
横たわったれいなの身体。それを取り囲むように見つめる4人。
その瞳からは、涙が溢れていた。
742 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 00:38:33.06 0
743 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 00:52:36.45 0
744 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 01:36:21.27 0
>>742 れいにゃ・・・
非情になれないのは丸くなったれいなだね
745 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 03:03:13.73 0
痛むね心が…
おつです
746 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 06:48:27.87 0
あはやー
747 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 07:56:22.93 0
>>742 おっつー
れいなが倒れる過程に必然性があって引き込まれた
愛佳が残ったことでどういう展開を呼ぶのか
748 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 11:07:52.58 0
ふう
749 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 12:56:19.43 0
いちおうあげておくか
750 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 14:44:19.37 0
俺も
751 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 15:26:59.65 0
あと10日ぐらいで卒業か〜
752 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 15:31:18.97 0
俺も卒業か
753 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 17:41:49.94 0
手を振った君がなんか
大人になってしまうんだ
754 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 19:12:16.44 0
イエモンがいるな
755 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 20:39:36.63 0
ホゼナント
756 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 20:40:36.50 0
悲しいだけ根を増やせ
757 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 22:00:50.49 0
なんか書きたいけどいつも挫折するホゼナンター参上
758 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 23:17:40.94 0
貴方の保全から また新たな記憶が共有されるのです
759 :
名無し募集中。。。:2012/05/08(火) 23:17:47.79 0
アタイ待ってるからさ・・・
760 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 00:31:01.19 0
こぬ人をまつほの浦の夕なぎに
761 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 01:49:20.27 0
そろそろ■■の続きを読みたいです
762 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 05:03:25.23 0
おぱ4
763 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 07:32:53.54 O
っ■ 目覚めに一杯どーぞやよ♪
764 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 09:51:47.69 O
ここにきて完全に蘇ったわこのスレ
落ちる気がしない
765 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 11:54:10.28 0
俺がいるからな
俺がいて…君がいるからな
766 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 12:28:19.02 0
そうだ
まだやりかけの未来がある
767 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 14:55:46.78 0
未来を過去に置き去ってはならない
768 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 15:43:16.36 0
ほう
769 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 17:13:18.34 0
あげるだけしか出来ないホゼナンター参上
770 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 18:28:48.68 0
僕のした単純作業が
この世界を回り回って
771 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 19:01:34.42 0
とても大事な キミの想いは
無駄にならない 世界は廻る
ほんの少しの 僕の気持ちも
巡り巡るよ
772 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 20:29:10.91 0
あげておくよ
773 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 20:48:48.95 0
774 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 21:35:05.58 0
何の歌詞だろうと思ってたw
775 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 22:54:01.22 0
ひとまず
776 :
名無し募集中。。。:2012/05/09(水) 23:55:28.82 0
おやすみzzz
777 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 01:21:08.92 0
ほぜ
「れいな!!」
共鳴の乱れを感じた場所に駆けつけた里沙とさゆみは、倒れているれいなを発見した。
さゆみはれいなを抱き起こす。白目を剥き、半開きの口を時折わずかにぱくつかせている。
「れいな!しっかりして!れいな!」
「うわ、ひどい傷…。脈はあるわね。さゆみん、お願い」
「わかってるの!」
背中の傷にかざしたさゆみの手から、淡いピンクの光が放たれる。
次第に癒えてゆく傷。しかし、多少は容体は落ち着いたようだが、依然れいなは意識を戻さない。
「これは…体のダメージだけじゃない」
「どういう事なの?」
「待って。ちょっと、田中っちの意識を探ってみる」
意識を集中させる里沙。里沙とれいなを交互に見遣るさゆみ。
しばらく沈黙が流れたのち、里沙が口を重そうに開いた。
「…精神破壊。」
「精神破壊!?それって、生田ちゃんの能力でしょ?まさか…」
「そのまさかかもしれない。そうでないと願いたいけど、あの共鳴の乱れは、今までのとは…」
気配を感じ、里沙は言葉を止めた。歩み寄ってくる4つの人影。
薄暗い中で見えたその顔に、2人はハッとした。
「…どうして!?みんな、どうしたの!?」
問いかけには何も答えず、4人は襲い掛かった。
何とか攻撃を防ぎ、間合いをとろうとする里沙とさゆみ。
「操られてる…。何者かに」
「操られてる!?どうにかして元に戻せないの!?」
「うん、方法はある。まずは、動きを止めないと」
再び襲い掛かろうとしてくる4人に向かって里沙は構えた。
「ぬぅん!」
4人は動きを止めた。里沙が放ったピアノ線で拘束されたのだ。
1人ずつ精神干渉によって洗脳を解いていく為、落ち着かせひとまず眠らせようと近づいた、その時――
ビッ ビッ ビッ ビッ
ピアノ線が次々と切れた。いや、切断された。念動力で。
「近くに、誰かいる!」
「えっ!?みんなを操ってるやつ!?どこ?どこなの?」
「わかんない、気配を悟れない。でもこれじゃ、この方法は使えないよ」
「でもこのままじゃ、さゆみ達もやられちゃうの!下手にみんなに手を出せないの!」
「…さゆみん、フルパワーでお願い」
「えっ?」
「私もフルパワーでやるから。…うまくいくかはわからないけど」
「…うん、わかった」
里沙とさゆみはそれぞれ片手を繋ぎ、もう一方の片手を4人に向かってかざした。
「「はあっ!!!!」」
黄緑と淡いピンクのオーラが発せられる。
精神干渉と癒しの2つのパワーを同時に放つ事で、洗脳を解こうとしているのだ。
「うっ!!うううううう…っ!」「ぐああ…!!」
「おああああ…っ!!」「ううっ、うあああ…!!」
苦しみだす4人。
そして、その様子を物陰から見ている者の姿があった。
(ちいっ、そうはいくか。…やれ!やるんだ!)
「うっ!!ぐっ…ぐぐぐ…」
衣梨奈が、苦しみながらも2人に向けて手をかざした。
「あっ…!!あうっ…!」「うっ、うううう…っ!!」
里沙とさゆみに対しても、精神破壊の力を放つ衣梨奈。
その瞳には、再び涙が滲み始めていた。
「生田っ…!やめなさいっ…!生田ぁっ!!」
「このままじゃ…っ、共倒れなの…っ!」
その時、倒れているれいながさゆみの目に止まった。
「ガキさんっ!!れいなと手を繋いで!」
「えっ!?共鳴増幅!?でも、気を失ってるんだよ!?」
「だけど、賭けるしかないの!!」
「わかった!賭けてみよう!!」
握り合っていた手を、それぞれれいなの左右の手を握った。
――お願い!!れいな!!――
782 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 01:49:10.04 0
>>778-781 「pure soul(6)」
なんかもう、苦しませてばかりで本当ゴメン
783 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 02:47:01.12 0
>>782 乙です
何気にリゾスレ小説に出てくるナマタはみんな強いw
784 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 07:12:48.74 0
朝
785 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 08:12:49.10 0
>>782 おっつー
この話の中では愛ちゃんはリゾナントを巣立ってるのね
ガキさんたちがどうやって危機を脱するのかしら
786 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 10:28:42.44 0
リゾナントあげ
787 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 12:42:52.58 0
788 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 14:05:22.61 0
ほぜ
789 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 15:20:50.10 0
なん
790 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 16:18:26.02 0
ら
791 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 17:15:02.75 0
792 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 17:15:35.46 0
「さっきの能力のことだけどさ」
逃走経路を“眼”によって慎重に判断しつつ建物の出口へと急ぎながら、遥は傍らの春菜に声を掛けた。
「どういう能力なの、結局。色を錯覚させる…って聞いてたし、そう思ってたけど」
興味半分で実際にやってみてもらったこともある。
目の前にあったリンゴが、遥の視界の中で一瞬にして茶色に変色したことをよく覚えている。
思わず「うわっ!超茶色じゃんっ!キモッ!」と叫んだところ、「違う!チョコレート色っ!」という、よく分からない返しをされたことの方が鮮明に記憶に残っているが。
さっきのあの女は、「役に立たない人間がいないのと同じで、役に立たない能力なんてないのよ」などと言っていたが、きっと内心では真反対のことを思っていただろう。
…逆に言えば、春菜は自らを「大して役に立たない程度の能力の持ち主」と思っていてもらいたかったのだと、今さらのように気付く。
《faith》に依存し、恭順しているように見せながら……その実、春菜も教団を信用しきってはいなかったのだと。
「……って聞いてる?」
まったく返事が返ってこないことを不審に思い、遥は春菜の方へと首を回した。
「…え……?あ、ごめん」
ビクリとした後に曖昧な笑顔を浮かべた様子からして、明らかに聞いていなかったらしい。
苦笑いをしながら、同じ質問を繰り返す。
「うーん…私も自分であんまりよく分かってないんだけど……」
相変わらず高めのトーンでそう前置きして、春菜は自身の能力について簡単な説明を始めた。
それによれば、相手の視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚――いわゆる「五感」を“乗っ取る”能力――― 一言でいえば、そういうことらしかった。
本来の色とは違う色に見せたり。
聞こえるはずのない声や音を聞かせたり。
逆にそれらの感覚を完全に麻痺させたり――――
793 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 17:16:35.49 0
「すごっ!無敵じゃん。“五感占拠―センス・ジャック―”…って言ってたっけあいつ」
相手の五感をジャックし、思うがままに支配する能力――― 一見地味なようでいて、これほど強力なチカラもそうないかもしれない。
だが、興奮気味の遥に対し、春菜の表情は硬かった。
「“五感ジャック”……か。そうだよね、私のしたことって……そういうことなんだよね。他人の感覚を無理やり支配する…ってことなんだもんね」
寂しげに…そして自嘲気味にそう呟く声に、遥は自身の配慮の足りなさを恥じた。
先ほど春菜がぼんやりとしていたのは、きっと自分がその能力で行なったことの恐ろしさを痛感していたからだろう。
改めて、自分の持つチカラの意味を、自分自身の手で目の前に突き付けてしまって―――
「バーカ、何言ってんだって。“ジャック”って言葉の響きが悪いだけだろ。大体“五感占拠”なんてのは、あいつが勝手に言ってただけじゃん」
ことさらに軽い口調でそう言うと、春菜の表情が僅かに和らいだ。
「じゃあ、遥ちゃんならどんな名前付ける?違う名前付けてよ」
「違う名前?……よし、待ってよ……」
「悪そうなのはダメだからね」
そう釘を刺す春菜に、分かってるってと手を振り、直後に「決まった」と告げる。
「…何か悪い予感がする表情してるんだけど」
「“五感密猟者―センス・ハンター―”」
「やっぱり!ひどいよ!変わんないよそれじゃ!私は遥ちゃんのやつにいい名前考えてあげたのに!」
怒るふりをしつつも、春菜の声は先ほどよりも明るい。
それにホッとしながら、遥は春菜の口走った「いい名前」が気になっていた。
「何だよ、いい名前って。“千里眼―クレア・ボヤンス―”じゃダメなのか?」
「だって、遥ちゃんの“眼”はそれ以上のチカラを持ってるでしょ?」
「まあ……そうなのかな」
794 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 17:17:14.62 0
確かに、遥の持つ能力は、一般的に言ういわゆる“千里眼”とは少し異なっている。
視界の外のものを“視”ることができるのは同じだが、その有効範囲はさほど広くない。
その代わり、先ほどの“戦闘”でも役立てたように、動体視力をはじめとした「眼」の性能が、常人からは遥かにかけ離れたレベルを有していた。
「だから……“超人眼―ウルトラ・アイ―”」
「ダサッ!!」
真顔で放たれたその言葉に、反射的に声が出る。
「えー!なんで?カッコかわいいじゃん」
「なんでじゃないだろ。そんなウルトラマンみたいなのの何がかわいいんだよ」
「じゃあ…ピョコピョコ・ウルトラ」
「“眼”はどこ行ったんだよ!っていうかピョコピョコってなんだよ!」
「なんとなくかわいいかなって」
「かわいいの基準が分かんないんだけど。っていうか意味が分からない」
春菜が、遥に気を遣わせてしまったのを反省し、意識的に明るく振る舞っているのだということは、会話の途中で悟っていた。
だが、それには気付かないふりで、敢えていつものように容赦なく辛辣な言葉を浴びせる。
――いつかは……自分のチカラを肯定できるようになってほしい
そう、心から思った。
先ほどのような自嘲的な表情を浮かべた春菜は、できることならもう見たくない。
――そのためには、まずはここを無事に脱出すること…だな
再び気を引き締め、“眼”に集中する。
遥の能力では施設全体を見渡すことは到底できないが、ある程度の進行方向の様子であれば確認ができる。
先ほどは物理的に追い込まれてしまって抗戦を余儀なくされたが、できれば再度あのような状況になることは避けたかった。
幸いなことに、“前方”に人影は見当たらない。
建物の出口もすぐ近くに迫っていた。
795 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 17:17:56.01 0
――門のところで、もうひと暴れしないといけないかもしれないな
このまま建物を出られたとしても、敷地の外まではまだ距離がある。
特に門の所には警備の人間もおり、遥たちの脱走劇の連絡が行っているとすれば、そこでの交戦はおそらく避けられない。
とはいえ、大人数が詰めているわけではないし、“五感ハンター”の春菜もいてくれる今、さほどの困難ではないだろう。
遥はそう踏んでいた。
「……出口だ!」
“眼”ではなく「目」に映った扉に、思わず小さく叫ぶ。
扉の外にも、待ち伏せする姿は“視”えない。
ひとまず、建物からの脱出は無事にできそうだった。
「よし、行こう」
隣の春菜の腰をポンと叩き、扉へと向かいかけた遥は小さく首を傾げた。
「………どうかした?」
まぶたを押さえるようにして肩を上下させている春菜の姿に驚き、顔を覗き込む。
「あ、うん…ううん、ごめん。久しぶりに走ったからちょっと疲れちゃって」
慌てたように目から手を離し、春菜は頬に笑みを浮かべる。
だが、その瞳はどこか焦点がぼやけているように、僅かに彷徨っていた。
「本当に大丈夫?少し……」
休もうか?と言いかけて、その言葉を気まずげに飲み込む。
そんな悠長なことを言っていられないことは分かり切っていた。
796 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 17:18:25.24 0
「大丈夫。それより一秒でも早くここを出ないと」
もちろんそのことは春菜も十分すぎるほどに承知しているらしく、逆にそう遥を促す。
焦点もようやく遥の顔に合っていた。
「……うん」
心配ではあったが、そんなことを言っていられないのもまた事実だ。
それに、あと少し――あと少しでひとまずは施設の外に脱出できる。
「よし、じゃあ行くぞ」
「うん」
頷き合い、扉に向かって走り出す。
その外には、相変わらず誰の姿も“視”えない。
蹴り開けるようにして押し開いた扉を出る。
傾きかけた陽が、2人をオレンジ色に照らした。
ゴキッ―――
「うっ!」
「―――――!?」
何が起こったのか―――理解できなかった。
建物を出て、そのまま数歩を踏み出したあたり―――遥と春菜の他には、誰の姿もない。
だが、突然鋭い風切音のようなものが耳に届いたと思った瞬間、傍らの春菜の体が鈍い音とともに弾き飛ばされた。
もんどりうって地面に倒れた春菜は、左肩あたりを抑え、苦痛の表情を浮かべながら呻いている。
左腕は力なく投げ出され、抑えた肩からは、僅かに血が滲みだして春菜の白い服を汚していた。
797 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 17:20:03.72 0
>>792-796 『共鳴ハンター<2>』……の前半です
少し長いので分けさせてください
後半はまた近いところで
798 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 18:20:18.89 0
おつです!
>>794のふたりの会話は笑ってしまいましたw
後半シリアスになって来たので続き楽しみです!
799 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 19:44:32.70 0
ほぜ
800 :
笑いどころとシリアス感のバランスがいいなあ:2012/05/10(木) 21:12:23.52 0
笑いどころとシリアス感のバランスがいいなあ
今後の展開も期待しちゃう
801 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 21:13:14.77 0
あれw名前欄がw
802 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 21:17:23.39 0
大事なことだったんだね
803 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 22:42:55.47 0
あげあげ
804 :
名無し募集中。。。:2012/05/10(木) 22:46:01.95 0
805 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 01:04:59.44 0
落ちるまで後1秒
806 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 02:48:18.79 0
死守
807 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 03:40:37.78 0
帰還
808 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 06:28:51.70 0
ハクナマタタ
809 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 09:56:15.36 0
吐くナマタ…
810 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 11:00:35.11 0
心肺無いさ
811 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 12:49:07.21 0
人工心肺さ
812 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 15:02:48.16 0
人造人間さ
813 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 15:09:34.22 0
新造人間キャ
814 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 17:20:00.15 0
保全も兼ねて……
>>797の続きを上げさせてください
<前回のあらすじ>
・五感ハンター春菜
・ピョコピョコウルトラ遥
・2人だけのパラダイスを目指して逃避行継続中だったが……
815 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 17:20:49.19 0
「大丈―――!?」
倒れた春菜に手を伸ばしかけた遥は、何かの気配を感じて反射的に飛び下がる。
一瞬遅れて、先ほども聞こえた風切音とともに、風圧がその鼻先を掠めて行った。
「な……?」
倒れた春菜から離れることが気にはなりながらも、さらにその場所からバックステップで距離を取り、“眼”を凝らして周囲を“視”回す。
――!?…誰かが……居る……!?
遥の“眼”には、微かに人型の輪郭のようなものが蠢くのが映っていた。
「そこにいるヤツ!隠れても無駄だ!“視”えてんだからな!」
“眼”の奥から突き上げてくる鈍痛に耐えながら、遥はその輪郭に真っ直ぐ指を突きつけた。
酷使し続けている“眼”がいつまでチカラを維持できるか分からない。
その前に、無駄だと悟って姿を現して欲しかった。
「……“不可視化―インビジブライズ―”した俺が“視”えるのか?なかなか上等な“眼”を持ってるんだな」
輪郭が一瞬揺らめき、次いでその場に一人の男の姿が出現した。
手に持った警棒を反対の掌にポンポンと当てながら、鷹揚に微笑みを浮かべている。
だが、その目元や口元の筋肉は、明らかにプライドに障ったらしい不愉快さを示す動きをしていた。
「勝手に出て行っちゃダメだって言われてたろ?きまりは守らなきゃな、いい子ちゃんたち」
遥たちを必要以上に「子ども扱い」することで、無意識にプライドを守ろうとしているらしい。
つくづく生理的に合わない連中ばかりのところだと、遥は改めて思った。
「お前らの作ったくだらないきまりなんか知るか!出て行きたいから出てくんだよ。文句あんのか臆病なかくれんぼ野郎!」
816 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 17:21:25.65 0
思わず口を衝いたその言葉に、男が一瞬呆気にとられた顔をする。
直後、早くも抑えきる余裕をなくしたらしい感情に動かされた表情が、その上を覆った。
「てめえぇっ!!」
男の右腕が振りかぶられ、両脚の筋肉が緊張する。
距離を詰めてきた男の手に握られた警棒が、遥へと向かって振り下ろされた。
四肢の筋肉の様子、視線の向き、警棒の角度―――様々な情報を読み取り、打撃のコースを見極める。
感情のままの単調な動きは、非常に読みやすかった。
だが―――
「ぐ―――!」
打撃を完全には避け損ね、二の腕あたりに焼けつくような痛みが走る。
なんとか“視”えてはいても、体がそろそろついていかなくなり始めていた。
おそらくは、能力の過剰使用のせいもあるのだろう。
圧し掛かるような疲労感が、全身を包みつつあった。
「なんだ、口ばっかりか?やっぱりガキはガキだな。おとなしく大人の言うこと聞いてりゃいいんだ」
衝撃で弾かれ膝をついた遥を見て、男は余裕を取り戻したらしかった。
遥を見下ろすようにしながら、そう言って癇に障る笑みを浮かべる。
「お前らみたいなでくのぼうの言うことなんて黙って聞いてられるわけないだろ!」
そう言い返した言葉にも、鋭さが不足しているのが自分で分かる。
男の表情からも、今度は余裕の笑みが消えることはなかった。
「言っても聞かないガキは体に教えてやらないとな」
817 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 17:22:13.11 0
男が手に持った警棒を素振りする音が、遥の耳に届く。
威嚇するように何度もその音を響かせながら、男は遥の方へと足を踏み出した。
遥が、痛む腕を押さえながら立ち上がり、近づいてくる男を睨み付けたとき―――それは起こった。
ドスッ―――
遥と男の表情に、同時に疑問符が浮かぶ。
振り回されていた男の手の中の警棒が、突然その手を離れて飛び、その勢いで地面に突き刺さったからだった。
「なん…だ?手が……?感覚が……」
自分の手と地面に突き刺さった警棒を交互に見ながら、男が呆然と呟く。
それとほぼ同時に何が起きたのかを理解した遥は、視線をめぐらせた。
「触覚――“ハント”」
体を起こした春菜が、苦しそうな声でそう言って、遥に微笑む。
そして、再び倒れ込んだ。
「逃げ……て、遥ちゃん、今のうちに。私のことはいいから」
駆け寄った遥が抱き起そうとするのに首を振り、春菜は動く方の手で遥の手を握る。
「バカ!置いていけるかよ!一緒に行くんだよ!」
「そうしたいけど……無理だよ、私がいたら逃げ切れない」
「何でそんなこと言うんだよ!さっきも…今も、はるなんが助けてくれなかったら―――」
「チカラの……“跳ね返り”が来るみたいなんだ」
「……え?」
遥の言葉を遮り、春菜は寂しげな微笑みを浮かべた。
818 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 17:22:46.32 0
「“跳ね返り”って……まさか…!」
「うん、自分の五感にも、跳ね返ってきちゃうみたい」
春菜の言葉に、遥は突き飛ばされるような衝撃を受けた。
先ほどの春菜の様子が、フラッシュバックしてくる。
ぼんやりとしていて話を聞いていなかったのではなかった―――
疲労で焦点が合っていなかったのではなかった―――
聞こえていなかったのだ。
見えていなかったのだ。
相手の五感を“ジャック”した影響が、断続的に自分自身に跳ね返って………
そこまで考え、遥は思わず強く握った拳を額にぶつける。
「無敵だ」などと無責任に興奮していた自分を、できることならもっと思いきり殴りつけたかった。
「まだ、一瞬たまに見えなくなったり聞こえなくなったりするんだ。それに……」
春菜はそこで言葉を切り、足をもつれさせて立てないでいる男へと視線を動かす。
言いたいことは、痛いほどに分かった。
たった今、触覚を“ジャック”した“跳ね返り”が、近くきっと私を襲う。
そうなったら、私は完全に足手まといになる―――
「!!遥ちゃん!」
そのとき、春菜が表情を強張らせた。
その視線の先を追った遥の顔も、思わず強張る。
十数人のさらなる“追っ手”の姿が、2人の目に映っていた。
「遥ちゃん、早く!」
819 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 17:23:30.10 0
切羽詰まった春菜の声に対し、遥は首を横に振る。
「置いてけないって言ってんだろ!」
「でも、私は最初『行かない』って言った!だから……だから!お願い!遥ちゃんだけでも!」
「はるなんさっき言ってただろ!ここを出て本当の“パラダイス”を探すって!2人で探すって!」
遥のその言葉に、春菜の瞳が一瞬揺れる。
だが、春菜は小さく首を振り、微笑んだ。
「“はるなん”って呼んでくれて……ありがとう。…お願い、私の分まで明日を生きて……」
溢れる涙と共に、語尾が掠れる。
遥の目にも、再び熱いものが込み上げる。
それらを振り切るように、遥は意を決して立ち上がった。
春菜に背を向けたまま、呟くように言う。
「ごめん……はるなん」
その謝罪の言葉と同時に、遥は駆け出した。
思い切りそのハスキーな声で吠えながら―――出口とは反対の方向へと。
「友達見捨てて逃げた先に……明日なんてねぇ!!」
息を呑む気配が、背後から伝わってきた。
春菜に見えるように拳を突き上げ、警棒やスタンガンを手に駆け寄りつつあった“追っ手”に、真正面から突っ込んでいく。
それは明日を得るための―――しかしその明日が訪れることはないと分かり切った、美しくも悲愴な特攻だった。
820 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 17:24:13.29 0
「遥ちゃん……!ダメ…!」
春菜が背後から必死に叫ぶ声が、微かに聞こえる。
もちろん、遥に止まるつもりはなかった。
その身が燃え尽きるまで、動き続けるつもりだった。
だが―――
「―――!?なっ……!?」
突然―――本当に突然の出来事に、遥は思わず足を止めた。
止めざるをえなかった。
遥の前方でいきなり光の粒子のようなものが煌めき―――次の瞬間、それは数人のシルエットとなって目の前に在った。
「友達見捨てて逃げた先に明日なんてない……いいこと言うやん!気に入ったと!」
シルエットの一人が、遥を振り返ってそう言うと、ニカッと笑う。
しなやかで獰猛な獣のような空気を纏いながら……それでいて、惹きつけられるような人間味に溢れたその笑顔に、遥は一瞬で魅了された。
「怪我したとこ、見せてくれる?」
「え?あ……」
魅力的な獣の笑顔に悩殺されていた遥の傍に、いつの間にか一人の女性が立っていた。
長い黒髪と白い肌が印象的なその女性は、遥の返事を待たずに手を伸ばす。
二の腕と、大腿部……傷を負ったその箇所に、女性が手を添えたと思った瞬間、鈍く疼いていた痛みが消えた。
「うそ……」
自分の腕と脚を、交互に見ながら遥は呆然と呟く。
そこからは、痛みはおろか、傷そのものが完全に消え失せていた。
821 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 17:25:16.44 0
「さゆ、あっちの子もよろしく」
「はいはい、分かってますって、れいな様」
呆気に取られている遥に「お友達のことは任せて」と微笑むと、さゆと呼ばれた黒髪の女性は春菜の方へと走り出す。
――遅っ……
れいなと呼ばれた先ほどの女性とは対照的な、野生味の欠片も感じられないその動きに、思わず心の中で声が漏れた。
「さて、あっちはさゆに任せてこっちはこっちの仕事するよ、フクちゃん、鞘師」
その声に、再び遥はそちらを向く。
残るシルエットの2人のうち、1人がれいなの声に力強く頷きを返し………もう1人は肩で息をしながら弱々しい声を返した。
「田中さん……すみません、わたし、ちょっと…休んでて…いいですか?4人の“移動”は……想像以上にきつくて……」
「あ、そやったと?じゃ、フクちゃんは休んどっていいとよ。帰りはさらにあと2人増えるけんね」
「うぅ……」と、呻きとも返事ともつかない声を漏らすと、フクちゃんと呼ばれたふっくらとした頬の少女…?女性……?は、崩れ落ちるようにその場に座り込む。
「じゃ、鞘師。半分は任せるけんね」
「別に全部でもいいですよ」
「全部はやらん」
「言うと思いました」
サヤシと呼ばれた少女―遥ともほとんど変わらない齢に見える―は、口元をキュッと引き結ぶような特徴的な笑顔をれいなと向き合わせた。
次いで、2人の視線が“追手”の集団へと同時に向けられる。
足を止め、遠巻きに様子を見ていた男たちに、たじろぐような空気が流れた。
2人がゆっくりと、そちらへと向かって歩き出す。
戦闘の開始を告げるかのように、2つの拳の甲同士が互いの体の間でコツンと小さくぶつけ合わされた。
822 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 17:26:50.18 0
>>815-821 『共鳴ハンター<2>』……の後半でした
なんとか最後まで書くことで……今の淋しさを「未来」に昇華したいところです
需要に関わらずw
823 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 19:19:58.83 O
あとで読むよ揚げ
824 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 20:54:33.24 0
やばい・・・久々に心にぐっと来た作品です
はるなんの「ハント」とかアニメチックだけど魅力的な発動表現♪
あとれいな、さゆ、鞘師、ふくちゃんのキャラが新しい世代のリゾナンターって感じがする
特に鞘師のちょっと生意気そうな雰囲気いいですね(^^♪
続きに期待
825 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 21:59:59.24 0
>>822 いいね実に読み応えがあった
フクちゃんが皆を移動させたあたりは説明していただけるのか
826 :
名無し募集中。。。:2012/05/11(金) 23:08:50.90 0
ナウシカ終わったら読むホゼ
827 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 00:13:39.63 0
お決まりなはずのヒーロー登場シーンにぐっときたw
需要あるよーw
828 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 01:27:54.41 0
>>822 イイヨーこういうの大好き
ではネルナント
829 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 03:43:36.13 0
ホゼナント
830 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 04:46:16.56 0
ナント
831 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 06:22:36.61 0
朝ナント
832 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 09:32:58.03 0
仕事ナント
833 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 11:08:41.36 O
バイトナント
834 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 13:00:12.59 0
ニートナント
835 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 14:56:47.03 0
ロードナント
836 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 15:07:34.57 0
「この女か・・・例の組織に属していたのは・・・」
「はい、先日の敵対組織の殲滅作戦の折に捕獲しました。」
暗い牢屋の中に両手両足を鎖でつながれているひとりの女を見つめている女と男。
女はダークネスの最高幹部・中澤裕子。
先日、ダークネスに逆らう敵対組織殲滅における報告を部下からうけていたのだ。
「かなり苦労したみたいやな。捕獲したというのは実際には殺そうとしても返り討ちにあった。やから、仕方なく捕獲したんやろ?」
「はい・・・その通りです。」
実際、この女を捕まえるまでにダークネスの戦闘員の数百人が被害をうけていた。
「どうなさいますか?私の意見では危険すぎます、今のうちに始末したほうが・・・」
「いいや、うちに考えがある。報告によるとこの娘の能力には興味がある。」
「しかし・・・」
すると中澤は部下の制止を気にせず牢の中に入って行った。
「あんた、起きとるんやろう?寝た振りをしてこっちの様子をうかがっていたんやろう?」
「さすが、ダークネスの最高幹部・中澤裕子。」
中澤に言われると拘束されている少女は勝気な表情を浮かべていた。
手足を拘束されているにも関わらず余裕たっぷりだ。
「ずいぶん、余裕やな。石田亜佑美。」
「それはそうですよ。なぜなら私は今でも自由の身なんですから。」
そういうと亜佑美の手足の鎖が取れ、中澤に攻撃を繰り出そうとしたが・・・
837 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 15:08:22.87 0
ガン!
「くっ!」
亜佑美は中澤によって地面に押さえつけられていた。
中澤には亜佑美の行動はお見通しだったようだ。
「殺したければ殺せ!」
「囚われてもうちに刃向かってきたその度胸と腕、気に入ったで。ちょっと話でもせぇへんか?」
それから数日後、リゾナンター・田中れいなは夜の街を歩いていた。
愛は急用で不在だ、れいなは自分なりに夜の見回りを兼ねて歩いていた。
「今日も異常なしやね。平和が一番と・・・」
リゾナンターになってれいなは変わっていた。
かつてのれいなは喧嘩に明け暮れていて、夜の街に繰り出すたびに喧嘩相手を探しまわっていた。
だが、今はその拳をむやみに使うことはしない。
「よし、今日は戻ると。うん?」
すると目の前にひとりの少女が現れた、亜佑美である。
れいなには目の前の少女が並々ならない殺気をだしている。
「あなた・・・田中れいなさん?リゾナンターの・・・」
!!
838 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 15:10:39.34 0
れいなに衝撃が走った。
自分をリゾナンターとして認識していることは相手がダークネスの可能性が高かったからである。
れいなはすぐさま警戒態勢をとった。
「あんた・・・ダークネスと?」
「当たらずも遠からずかな?」
グォーン!
ブン!
れいなは何もないところに拳を向けた。
だが、それを見て亜佑美は感心していた。
「さすがに勘は冴えているみたいですね。それでこそ倒しがいがある。」
「あんた、見たところ拳の勝負できそうやん。妙なまねをせんと正々堂々とかかってきたらどうったい!」
「それもいいですけど、私も自分の命をかけているので自分の持てる力は全力で使わせてもらいますよ。」
グォーン!
するとれいなの周りにまたもや異様な気配を感じた。
さきほどれいなが拳を向けたのはその気配が自分に襲いかかるような感覚に囚われたからだ。
「さぁ、リゾナンターの野良猫。私の獣たちに食い殺されるといいわ!」
839 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 15:11:41.05 0
「本当によろしいのですか?あの石田亜佑美を自由にさせて・・・」
「自由にさせたつもりはないで、ただあの子の力を試してみたいんや。」
中澤裕子は監視モニターで亜佑美とれいなの動きを観察していた。
中澤は亜佑美にリゾナンターの誰かを倒せば命を助けるばかりかダークネスの幹部にもする約束したのだ。
「私はあの娘は危険な存在のような気がしてなりません。」
「ええやんか、リゾナンターを倒すにはそれほどの人物のほうがええ。それにここで田中れいなを倒せば重要な戦力になるし、仮に倒されたとしてもそれだけやったと思って諦めもつくんやで。」
「はぁ・・はぁ・・・はぁ。」
れいなはさきほどから何もないところに拳と蹴りを繰り出している。
だが、確実にダメージを受けている。
それは亜佑美の放ったと思われる得体のしれない存在の仕業だ。
「あなたのような格闘戦が主体の人には私の力の前には手も足もでませんよ!」
「なめんじゃなか!」
そういうとれいなは急に亜佑美の懐に入るや否や、その背後にまわり亜佑美を羽交い絞めにした。
自分が優勢と思い、亜佑美は完全に油断していた。
「なんのつもりだ!」
「これならあの得体のしれない力は使えんやろう!れいなに使えばあんたもただでは済まん。」
「・・・しかし、私は死ぬのを覚悟で力を使ったらどうする!」
「だから、その前に!」
840 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 15:12:28.81 0
ガシッ!
「うっ!」
「あんたには気絶してもらうと・・・イタッ!こいつ案外石頭かもしれんと!」
れいなは背後かた頭突きで亜佑美を気絶させた。
しかし思いのほか、亜佑美の頭は固かった。
(ああ・・・私負けたのか・・・私、死ぬのね・・・まぁいいわ、ダークネスの連中に殺されるよりは楽に死ねるはず・・・)
ハッ!
亜佑美が目を開けると、そこには天井が見えていた。
「ここは!」
「ああ、起きたかいな。安心すると、ここはれいなの隠れ家やけん。まぁ、正確に言うとれいなを勝手にしたっている奴の隠れ家やけど。」
ここはさきほどふたりが戦ったところから近い位置にある古いビルだ。
かつてここにはれいなの弟子と称する少女がいたが、今はれいなの非常時の隠れ家となっている。
「どうして・・・」
「あんたを倒した途端にダークネスの連中がきたけん。あんたをおぶってここに隠れたと。」
「そうじゃなくて!なんで私を助けた!私はあなたを殺そうと・・・」
「なんでやろうと・・・たぶん、あんたもれいなたちとおんなじなんよ。」
「おんなじ?」
れいなは亜佑美から仲間と同じ共鳴を感じたのだ。
彼女は悪人ではなく自分たちと同じリゾナンターではないのかとそう感じたのだ。
841 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 15:13:16.70 0
ガタガタガタ!
急にビルの下の方が騒がしくなってきた。
「あいつら、ここを嗅ぎつけたっちゃね。れいなが囮になるけん、あんたは逃げるとよ!」
「そ、そんな・・・だって、あなたも無傷じゃ・・・」
確かにれいなの体には亜佑美に傷つけられた傷がたくさんある。
応急処置はしているが、とても万全とはいえなかった。
「なめんじゃなか、れいなはこんなことではくたばらん。それより、あんたはこの喫茶店に行くと。必ずあんたを助けてくれる人がおるけん。早く行くと!」
そういうとれいなは下に降りて行った。
「田中・・・さん・・・」
バキッ!ゴキッ!
れいなは襲いかかるダークネスの戦闘員を拳だけで倒していく。
どうやら亜佑美の力を恐れて、戦闘員の中でも上級の連中を差し向けてきたらしく、傷を負っているれいなは次第に苦戦を強いられるようになった。
(こりゃあ、まずいかも。でも、あの子が逃げられる時間がかせげればいい!)
842 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 15:14:00.40 0
グォーン!
「ぐわー!」
すると戦闘員たちを何かが吹き飛ばした。
れいなは瞬時に何が起きたかがわかった。
「あんた・・・何で逃げんと!」
「私が命の恩人を見捨てるほど愚かだと思わないでください。それに傷だらけのあなたよりも私は十分戦えます。」
「けっ、負けず嫌いや奴と・・・でも、れいなは気に入ったと。じゃあ、ふたりで蹴散らすと!」
「はい!」
そういってれいなと亜佑美は敵へと向かっていった。
843 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 15:17:57.04 0
>>836-842 「リゾスレ4周年突破記念 野良猫とリオンを操る少女」
どうもリゾクラ作者です。
記念作品としては何らかの過去の作品と絡ませたいと思うあまりに、ほんの少し
あの人のビルがでてきました。
844 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 16:56:58.51 0
読む前に上げ
845 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 17:44:44.53 0
いろんな話と繋げる心意気がイイね
れいなとダーイシの顔合わせはこれからの娘。でも魅せてくれそうだ
846 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 19:30:17.34 0
夜ナント
847 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 20:50:29.93 0
何ヶ月かに1回このスレを見かける度にまだあったのかと驚愕するわw
848 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 20:54:51.92 0
毎日覗いててもたまに改めて驚愕するぜw
849 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 22:20:55.77 0
和解キタ────────!
850 :
名無し募集中。。。:2012/05/12(土) 23:55:59.99 0
危ないね
851 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 01:03:12.49 0
852 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 03:15:44.60 O
もう君に落ちてるよ
自分で言ってきめぇw許してナント
853 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 05:02:23.59 0
許してナント
854 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 07:21:35.49 0
許されナント
855 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 09:20:59.58 0
|||9|^_ゝ^)<すぐ許す
856 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 12:29:59.63 0
あぶない?
857 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 12:40:23.94 0
あぶないで、予知でわかるんや。
858 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 15:21:07.65 0
許してナントw
859 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 16:38:56.97 0
許せナント
860 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 18:12:19.07 0
オーソドックスにホゼナント
861 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 19:44:21.27 0
ほっ
862 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 20:06:17.84 0
保全なんてしてあげないんだから
863 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 20:16:44.92 0
ツンデレめw
864 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 20:59:25.06 0
21時までのツンデレラ
865 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 21:07:22.74 0
エボリューションだっけ?レボリューションだっけ?
(くそっ、早く狂わせてしまえ…!)
ブロロロロロロロ
(!?)
ド カ ッ
“愛”は突き飛ばされた。
そこには、スクーターに乗った愛佳がいた。
「な、何するの愛佳!」
「なにが『何するの愛佳』や!白々しいわこの偽者が!」
“愛”は愛佳を睨み、そして口角を少し上げて不敵な笑みを見せた。
「…ほう。どういうわけか知らないけど、見抜かれていたとはね」
「当たり前や!愛佳をなめんといて!」
「「「「うああっ…」」」」
バタタッ
聖達4人は、その場に倒れ込んだ。
「みんな!大丈夫!?生田!」
「あぁ、新垣…ざぁん…。うっ…、うっ、ごえんなざいぃぃ…。えり…えり…」
「…良かったぁ」
「心配ないよ。私達は大丈夫だから。悪い夢を見てたんだよ」
4人とも倒れ込みながらもなんとか上体を起こし、里沙達を見て泣いている。
「みんな、大丈夫みたいなの…。良かっ…」
バタン
「ええっ!?ちょっと!さゆみん!?」
さゆみは倒れ込み、気を失った。パワーを急激に放出しすぎてしまったようだ。
それは里沙も例外ではない。倒れるまではいかないが、体力を相当に失っていた。そこに――
ドカン! ガランガラン
近くの積み上げてあったドラム缶が崩れ、そこに飛ばされた人影。
愛佳だった。
「えっ!?みっつぃ!?」
「あっ…」
「何やってるの!?残ってなさいって言ったのに!」
「ごめんなさいっ…。でも…、みんながやられそうなのが分かってて、黙っていられるわけ…ないやないですか…」
タッ
「2人くたばったか…。全員とまではいかなかったのは残念だけど、いい働きっぷりだったわ」
「え!?愛ちゃん!?どうなってるの!?」
「違います新垣さん!」
「あいつが…私達を…」
「操っていた偽者ってわけね…。よくも、みんなを…!」
「おっと。まずは自分達の状況を確かめた方がいいんじゃないかしら?」
「なによ?どういう事?」
見ると、聖たち4人の様子がおかしい。
「立てないっ…!」
「体に…体に力が入らない…」
操られていたことによる影響か、全身の力を入れる事ができない。
これでは、戦う事も逃げる事も出来ない。
「6人戦闘不能、2人は手負い…。どうするつもり?あなた達に勝ち目はないわよ」
「そんなの…わからない」
「ふん」
「手負いって言葉の意味知ってるんか?」
「何よ」
「追いつめられて必死の反撃をするって意味もあるんや!」
「あっ、そう…それを蹴散らすまでよ!」
一瞬の沈黙が流れる。
「だああーーーっ!!」
「はあああーーっ!!」
里沙と愛佳は“愛”に飛び掛った。
しかし、見る間に圧倒されていく。
体力を失っている里沙。ケガが完治していない愛佳。
“愛”の言う通り、勝ち目はなかった。ただ、それをおくびにも出すこともなかった。
「…いつまで強がっているの?」
「お前を倒すまでや!」
「…イラつく。イライラするわね。この減らず口が!そんな口をもう叩けないようにしてやる!」
ドカッ
ボキッ「!!」
「ぎゃああーーーっ!!」
「みっつぃー!!」
脚を押さえて倒れ込む愛佳。駆け寄る里沙。
「ごめんなさい…新垣さん…。愛佳、新垣さんの言う通り、残ってれば…」
「そんな事ない…そんな事ないよ…。」
「…このーーーーッ!!!!」
再び里沙は“愛”に飛び掛った。しかし――
ガッ
「うぅっ…」
里沙は首を掴まれ、締め上げられる。
ギリ…ギリ…
「そろそろ終わりにしましょう」
「ぐっ…うっ…」
「あっけなかったわね、あなた達も」
「くっ…」
「じゃあ一応聞いておくわ、私の下で働く?」
「ぐっ…。誰が…お前…なんか…」
「そう、そう言うと思った。じゃ、さよなら。寂しがることはない、すぐにみんな後を追わせてあげる」
“愛”の手に更に力が込められる。
やめて…
「ううっ…」
やめろ…
ギリ…ギリ…
やめろ
「ふんっ!」
ゴゴゴゴゴ…
「「「「やめろぉーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!!!!!!」」」」
ド ン ッ
――!?――
シュウゥゥゥゥ…
聖・衣梨奈・里保・香音が立ち上がり、
ピンク・紫・赤・緑――それぞれの色のオーラに全身が包まれていた。
872 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 22:39:56.38 0
>>866-871 「pure soul(7)」
どこからスクーターを出してきたのかとか、そもそも免許を持ってるのかとかは気にしないで下さい
873 :
名無し募集中。。。:2012/05/13(日) 23:16:03.69 0
更新乙!
毎回楽しみですよー
874 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 00:30:11.68 0
月曜日ナント
875 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 00:35:09.67 0
>聖・衣梨奈
なんとなくクロス(聖衣)にみえた
876 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 00:37:53.51 0
ジェミニ里保
レオ香音
キャンサー衣梨奈
スコーピオン聖
877 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 01:48:06.35 0
寝るナント
878 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 02:50:29.46 0
>>872 乙です
リゾナンカーならぬリゾナンスクーターなのかもね
879 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 06:15:55.35 0
おはなんと
880 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 08:49:32.74 0
朝食からあげ
881 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 11:29:21.90 0
モーニングからあげしようよ
2、3人で
882 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 14:23:25.21 0
昼もからあげ
883 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 16:24:13.15 O
ノノ*^ー^) <姫?ご気分はいかがですか?
川* ^_〉^)<ふぇぇん
やっぱりホラーえいがなんてみるんじゃなかったぁ
こわかったよぉ
ノノ*^ー^) <いや、だからってお風呂まで一緒に入らなくても・・
姫もっとそっち行ってください、狭いですよ
川* ^_〉^)<だってだって!オバケはいつもねらっているんだよ!?
このよでいちばんこわいんだよ!?
ノノ*^ー^) <もう・・オバケなんていませんよ
誰も姫を狙ってませんから安心してください
川* ^_〉^)<だ、だよね
はぁ・・あんしんしたらポクポクしてきたぁ
ノノ*^ー^) <プッ・・なんですかそれー
川* ^_〉^)<えへへ
〜
|。.・)<●REC
884 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 16:26:27.63 O
885 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 18:09:01.65 0
>>881 このレスをもうちょっと早く見ていたら
業務用スーパーで鶏もも肉2,3s買ってきたがし
焼銀杏あげ
887 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 19:38:22.30 0
塩麹あげ
888 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 19:39:12.56 0
TOREでガキれなピンチw
889 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 19:47:22.31 0
愛ガキだったw
890 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 21:12:12.89 0
ほぜほぜ
891 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:18:50.64 0
『ダークブルー・ナイトメア』シリーズ、ここまでの超あらすじ
・Dr.マルシェこと紺野の罠にかかったリゾナンター(=5期〜8期の9人)
・みんな眠らされて自分の悪夢の世界に飛ばされる
・悪夢とは「自分の一番起きてほしくないこと、すなわち心の闇」だったとさ
・心の闇と向き合わされるみなさん
・まず愛ちゃんが主人公パワーで心の闇を乗り越えて自分の悪夢から脱出
・その後もなんやかんやして光井亀井両名を救出
・よっしゃ次! ←←← いまここ
詳しい話は暫定保管庫に収められてる各ページへ
892 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:20:07.58 0
初めからわかっていたはずだった。
誰も、本当の自分を認めてはくれない。
たとえそれが、どれほど「信じられる」と信じた仲間であったとしても。
生きているのか死んでいるのかわからない。
小春は、自分が幽霊になったような気がした。
誰かの視点と一体化することはもうなく、完全なる第三者として仲間たち8人の様子を眺めている。
立ち昇るコーヒーの湯気。
窓辺から漏れる夕暮れの陽光。
愛はカウンターの向こうで洗い終わった食器を丁寧に拭いている。
絵里はテーブルに突っ伏して居眠りをしている。
里沙とさゆみは寝ている絵里にいたずらを仕掛けようとしている。
れいなは新メニューの開発に試行錯誤している。
ジュンジュンとリンリンはお菓子に手を伸ばしながら日本語の勉強をしている。
愛佳はそんな二人の勉強を見ながら自身の学校の宿題に励んでいる。
いつもと同じ「リゾナント」の一階の風景。
小春だけが、そこにいない。
893 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:21:23.70 0
今から飛び込んで話しかければ、仲間たちは振り向いてくれるのだろうか。
振り向いて「小春」と呼んで笑ってくれるだろうか。
小春の不在を気にも留めていない彼女たちは。
不在を当然のものとしてそれぞれの時を過ごす彼女たちは。
わからない。
確かめる気力も起こらない。
小春の心は、徐々に仲間たちから遠ざかりつつあった。
精神的な距離はやがて物理的な距離を生む。
支えにしていた仲間への関心・執着を完全に失った時、小春の心は闇に捉われ消えていく。
「・・・早く消えちゃえばいいのに」
輪にも入れず、声一つかけられない臆病な自分。
こんな幽霊みたいな状態でいるくらいなら、いっそ。
自暴自棄に落とされた小春の独り言は誰にも聞こえない、届かない。
そう思っていた。
それなのに。
『消えたいの?』
まるで空間が、そこだけ切り取られてしまったかのように。
小春の周囲の時間が止まる。
他は誰一人こちらを向いたりしないのに、その人だけが小春の呟きに反応を示した。
894 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:22:57.20 0
『消えちゃダメだよ、小春』
その声の主は、いつの間にか食器を拭く手を止めていた。
食器とふきんをその場に置いて、憂いと温かさの混じった瞳を小春に向ける。
「あい、ちゃん・・・」
『小春がいなくなったら、さみしーじゃん』
そう言って、愛はにかりと笑った。
久しぶりに、本当に久しぶりに誰かと目を合わせたような気がする。
小春の心の中に他人の存在が入り込むなんてしばらくなかった。
ずっと小春は独りで。
信じたい信じられたいと思えた人すら信じられなくなって。
「小春は別に・・・寂しくないよ」
こうやって強がりを吐くことを覚えた。
強がる気持ちは嘘じゃない。
だけど、まるきり本当というわけでもない。
小春は自分を一人でも生きていける人間だと思っていたし、実際ここまでは一人で生きてこられた。
独りでも大丈夫だという確信があった。
だから平気で強がりを吐ける。
895 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:24:35.39 0
けれど、それを寂しいと思う自分がいるのも確かだった。
“一人だって良い。でも、仲間がいればもっと良い”。
心の奥でそんな風に思ってしまうから、強がりはいつまでも強がりのまま。
本物の強さにはなってくれない。
「『寂しい』とか、よくそんなこと言えるね。今まで小春が心の中で何考えてきたのかも知らないくせにさ」
小春は苛立っていた。
なぜこの人はこんな歯の浮くような綺麗事を簡単に口にできるのだろう。
彼女が自分の何を知っているというのか。
こんな、意地っ張りで臆病で自分でも大嫌いな本当の“小春”の姿。
『・・・そうかもね。あたしには小春の考えてることなんてわからない』
「でしょ。だったら」
『でも、知ってることだってあるよ』
愛は、微妙な苦笑いを小春に向ける。
『普段は大ざっぱでノーテンキなのに、変なとこで細かいこだわりとかあってさ。
なんも考えてないようで実は結構考えてたり、なんか考えてそうで実はなんも考えてなかったり。
バカっぽいことやってるように見えて、やっぱただのバカだったり』
「・・・ぜんっぜんっ、褒められてる気しないんだけど」
『褒めてねーよ、別に』
そうして今度は悪戯っぽく笑う。
愛は楽しそうだった。
小春といて、愛は心底楽しそうに笑っているように見えた。
896 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:26:26.70 0
『どこからが本当でどこまでが本当じゃないとか、あたしにはわかんない。
でも、一緒に過ごした時間の中にいくつか本当のことはあったはずでしょ。
そこから本当の“小春”を想像するんじゃダメなの?』
愛が小春の顔を覗き込む。
まっすぐに目を見つめられる。
決まりが悪くなって、慌てて小春は目を逸らした。
『無理に隠そうとも曝け出そうともしなくていい。小春は小春のままでいてくれれば、それでいいから』
心が、跳ねた。
頑なだった小春の中の何かが、音を立てて動き出そうとする気配。
愛は自分といることを負担に感じていない。
そのままの“小春”を認めてくれている?
小春は尋ねた。
「・・・愛ちゃんはそう思ってても、他のみんながそう思ってなかったらどうすんの」
『じゃあ、聞いてみりゃいいじゃん』
答えて、愛は目で促した。
その向こうには、先程と同じ姿勢のまま思い思いの時間を過ごす仲間たち。
相変わらず小春が存在しようがしまいが気にする風はなく、この愛と小春のやりとりに注意を払っている様子もない。
897 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:27:42.69 0
自分が仲間にどう思われているかは、直接聞いてみればすぐにわかるはずのことだった。
おそらく彼女たちは嘘を吐かないし、吐いたら吐いたでそれを見破る自信はある。
けど、怖かった。
仲間を信じている、だがその想いが間違っていないという保証はどこにもない。
大好きで大好きで大好きな小春の仲間が、やっぱり“小春”を見ようとしなかった今までの人たちと同じだったら。
怖くて、ずっと最後の一歩を踏み込めずにいた。
しかし今、愛が小春の背中を押している。
“聞いてみれば”と、小春にきっかけを与えてくれている。
小春と仲間を画する微妙な隙間。
埋めるなら、今しかない。
「・・・みんなぁ!」
声を張り上げ。
足を踏み出し。
少しだけ前のめりに。
「こはるは・・・・・・小春は!・・・小春なんだよっ!」
ありったけの想いを言葉に乗せて、叫ぶ。
意味や正しさなんてどうでもいい。
ただただ伝えたかった。
小春はずっとここにいて、ずっと小春であり続けるのだと。
伝わってほしかった。
898 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:29:13.27 0
「・・・バカだねーアンタは。そんなこと、みんな知ってるから」
テーブルのほうから、声がした。
里沙が呆れたような笑みを浮かべて小春を見ている。
里沙だけではなかった。
店の中を見渡せば、絵里もさゆみもれいなも、ジュンジュンもリンリンも愛佳も、もちろん愛も、みんなが小春を見ている。
“小春”の存在を受け入れてくれていた。
「・・・・・・っ!バカって言うほうがバカなんですー!だいたい、新垣さんだって結構バカじゃん!」
「なぁにぃ〜!」
「バカー!!」
諍いながら、小春は飛び込んでいく。
里沙の元へ。
仲間たちの輪の中へ。
小春が心の奥で信じていたことだから、強く願えば心は必ず応えてくれる。
そう。初めから答えはここにあったのだ。
小春がそうだったように、自分の闇の祓い方はその者自身が一番よく知っているはずだった。
それを自覚できているか否か、信じた答えを強く願えるか否かの違いだけ。
さて、彼女はどうだろう。
愛は小春の世界に光が満ちていくのを確認し、次なる闇を訪れた。
背中を丸めて膝を抱える彼女の姿は、まるで何かの殻に閉じこもっているかのように見えた。
899 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:30:58.64 0
>>892-898 『ダークブルー・ナイトメア〜9.natural piece』
取り急ぎ生存報告まで
この続きはまだほとんど書けてません
完結させたい気持ちはあるんですが
900 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:49:12.09 0
続き待ってたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
後から読みますw
901 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 22:59:01.19 0
同じく超嬉しい!!!!
けど今は読むヒマがあぁぁぁぁ………
902 :
名無し募集中。。。:2012/05/14(月) 23:39:11.15 0
復活してきたなぁリゾスレ
903 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 00:37:55.64 0
>>899 こういう空気感の作品久しぶりで胸に来ました
小春の卒業のときのことが思い出される・・・
>でも、一緒に過ごした時間の中にいくつか本当のことはあったはずでしょ
ここがすごく好きでした
何だかリアルで心にすとんと落ちてきました
あらすじ見て悪夢から覚めたメンバーまだこんなに少なかったんだなと思い出しましたw
是非とも完走を……!ファイトです!めっちゃ読みたいです!
904 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 01:33:24.71 O
905 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 01:47:51.42 0
906 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 04:46:50.54 0
907 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 06:38:43.83 0
永遠不滅
908 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 07:18:27.43 0
>>899 もう続き来ないかと思ってたから続き読めて嬉しい
なんとか完結まで頑張ってください
メンバーが闇と戦ってるのをリーダーが手助けするのが原点っぽくて凄く好き
909 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 07:52:30.91 0
RとRとかも続き読みたいね
910 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 09:58:51.29 0
スパイの憂鬱見たいっす
911 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 10:23:30.65 0
>>906 おっぱいコンビキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
912 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 12:26:44.20 0
||c| ・e・)|
913 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 12:47:54.50 0
おっぱいコンビが引っ張るリゾナンターも見たかったなあ
914 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 12:53:11.15 0
>>913 川c ’∀´)<私達新おっぱいコンビが引っ張ります
915 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 13:24:41.69 0
>>906の2人が引っ張る娘見たかったけど確実にみっつぃの頭髪がハゲそうだw
916 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 15:23:59.67 O
917 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 16:33:29.01 0
ミツイの憂鬱
918 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 17:52:15.37 O
川;´┴`)アウー…
919 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 19:42:08.06 0
あぶないで
920 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 19:59:16.90 0
あぶないで
921 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 20:12:17.61 0
さよならはまちがいやで
922 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 21:01:15.99 0
さよならは別れの言葉じゃなくて
923 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 22:10:56.11 0
完走するかな
924 :
名無し募集中。。。:2012/05/15(火) 23:04:01.67 0
完走する未来が見える
925 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 00:11:02.75 0
まだ描き続けたい未来がある
926 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 00:15:13.08 0
もったいぶらずに
もうもったいぶらずに
「…!?」
「み、みんな…?」
「…な…なに!?」
里沙、愛佳、そして“愛”は聖たち4人の変化にただ驚くばかりだった。
ドサッ
“愛”の手から里沙が離れる。
「あっ!に、新垣さんッ!」
足を引きずりながらも里沙のもとへ駆け寄る愛佳。
一方“愛”は聖たちの方へ歩みを進めた。
ビリ… ビリ…
4人が発するオーラによって、空気が震えていた。
「新垣さん…」
「私は、大丈夫だから…。しっかり見ておくんだよ、あの子たちを…」
「…はい」
“愛”は4人の前に立ち、一人一人を見回した。
「どういうことだ…!?」
「許さない…」
「許さない…」
「許さない…」
「許さない…」
ブゥ・・・・・・・・・・ン
互いが睨み合う中、4人がオーラを発する音だけが響き続ける。
「…ふざけるな、この私を倒すつもりか」
す…
4人は脇をしめ、拳を握り締める。そして――
「「「「うぉああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」」」」
一斉に掌を開いて突き出す。その瞬間、4人のオーラがエネルギーの塊となり“愛”へと放たれた。
「なに!!!!?ぐっ、ぐぐぐ…!!こんなもの…!こっ…こんな…もの…!」
エネルギーを受け止めようと、必死に堪える“愛”。
「頑張れ…!」
「みんな…行ったれ!!」
「「「「だぁーーーーーーーーーーーーっ!!!!」」」」
「!!?」
ズ ァ ッ
エネルギーが炸裂した。
ボゥッ
“愛”が立っていた場所は、えぐれた地面だけが残った。
「……あ…」
「やった…!」
そして、全身を包んでいたオーラが消えた4人は、その場に倒れた。
バタッ
「みんな…!!」
駆け寄る里沙と愛佳。その時―−
しゅんっ
突然現われたその姿に、2人は一瞬身構えた。
「みんな!だいじょぶかぁーーっ!?」
そして、聞き慣れたその話し方に安堵した。
「もぉ〜、遅いよ愛ちゃん」
「ほんまですよ〜」
「ごめんごめん、こっちも手ぇ離せんくって。っていうか、うわっ!みんなボロボロやん!」
「そうだよ、本ッ当大変だったんだから!」
「敵は!?ほーか、2人が倒してくれたんか?」
「違うよ、この子たち。凄かったよ、ね」
「うん、凄かったですよ」
「え?」
「あーもう、話はあとあと!とりあえずみんなで帰ろ!愛ちゃんお願い!」
931 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 00:41:32.48 0
>>927-930 「pure soul(8)」
もうちっとだけ続きます
技名を叫ばせようとも思ったのですがダサい名前しか思い浮かばなかったのでやめました
9期4人が同時に感情が最高潮に高ぶって共鳴した時にだけ放てる力という設定です
932 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 00:43:25.89 0
933 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 01:58:30.68 O
寝る前に読めて良かったw
934 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 02:32:52.63 0
>>931 りぞなんとばすたぁーナイン!! …だな ちょー必殺技w ダサイw
935 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 05:38:42.87 0
おはナント
936 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 07:37:17.24 0
へい
937 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 09:52:34.06 0
2人の卒業と次スレのスタートが重なるのだろうか
938 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 11:38:03.65 O
それも綺麗だね
少し寂しいけど
939 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 14:35:32.00 0
肌寒いナント
940 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 16:27:06.38 0
おやつの時間だ
941 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 17:26:25.33 0
ごじら
942 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 18:59:46.76 0
本当にあともうわずかなんだなあ…
何とも言えない気持ち
943 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 20:30:33.68 0
ほぜなんと
944 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 21:35:29.68 O
ほぜ
945 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 22:45:40.40 0
なん
946 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 22:59:37.25 0
とぉぉぉぉ!!
947 :
名無し募集中。。。:2012/05/16(水) 23:34:19.92 0
リアルにゲソから揚げで一杯
948 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 00:48:20.24 0
ゲソナント
949 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 02:20:18.67 0
おやすみなんと
950 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 06:55:49.55 0
おぱよん
951 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 08:14:27.27 0
Cだから!
952 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 10:39:40.08 0
ナイナイ
953 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 12:49:47.64 0
パイパイ
954 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 13:49:57.46 0
いよいよ明日なんだな
955 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 15:37:06.15 0
今日まで続いてきた道
明日から先へと続く道
守るのはあなたたち
956 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 17:52:06.57 0
道なき未知を歩いてゆく
957 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 19:20:10.07 O
明日か
958 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 20:45:17.34 0
どんな夜を過ごしてるのかな
959 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 21:07:55.99 0
俺らはリゾナントブルーを観かえしますか?
960 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 21:14:11.99 0
それもいいな…
あのMVの少女たちは幸せを掴んだのかな…
961 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 21:53:54.47 O
答えはそれぞれ…かもな
962 :
名無し募集中。。。:2012/05/17(木) 23:34:14.19 O
あぶない
963 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 00:57:48.77 0
明日はこのスレの住人さんも行く人いるのかな
「なーんにも覚えてないの!?」
「はい」
「はい」
「はい」
「はい」
リゾナントへと戻ってきた9人。
やがてさゆみが意識を取り戻し、未だ倒れている5人の治癒に当たった。
しかし、聖たち4人は回復したものの、れいなはまだダメージが大きく気を失ったままだった。
ひとまず4人が敵の手に落ちた経緯や、最後に見せた力について聞いていったのだが、“力”についてはまるで記憶にないようだった。
「たまたまだったのかねぇ、もう使えないのかなぁ」
「でも、ああなってへんかったらうちらみんなあいつにやられてましたよ」
「うん、手強かった。それにきっとこれからも、あのくらい強い奴は出てくる」
「そーや!偽もんなんかに負けんな!」
「うん、愛ちゃんそういうことじゃない。でも、これからはあんた達が中心になって戦うことも多くなってくると思う」
「そんな…」
「わしらが中心に…」
「どうなんだろうね…」
「ホントですかぁー!?」
「生田、喜ぶことじゃない。だけど、あの力をものに出来れば、きっと怖い物なしだと思うよ」
「そうなの、さゆみも見たいの!新しいりほりほを見逃すなんて一生の不覚なの!」
「うん、さゆみん黙ってて。でも、あの力は私たちには出来ない、あんた達だからこそ生み出せるものだと思う」
その時――
「う…んん…」
れいな!!?
田中さん!!?
「大丈夫!?」「大丈夫ですか!?」
「みんな…?」
辺りを見回すも、何があったのか理解しきれていない様子のれいな。
聖…。衣梨奈…。里保…。香音…。4人の顔を確かめるように順に見つめていく。
「お前らぁぁっっっ!!!」
4人に迫り、怒鳴るれいな。その剣幕に、たじろぐ4人。
ガバッ
「よかった… 元に戻って…」
次の瞬間、れいなは4人を抱き寄せていた。
「もぉバカっ…! 本当、死ぬかと思ったと…」
…うっ ……ごめんなさぁい!!!!
泣きじゃくる4人。それを小さな体で抱き寄せ、なだめながら涙を見せるれいな。
「これなら、みんな大丈夫そうだね」
「ほんまですね。これからも大丈夫ですね」
「あーもうみんなズルいの!さゆみも入れて!」
966 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 01:09:21.03 0
967 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 01:33:39.01 0
>>966 おもしろかったですよ
これからも楽しみにまってます
968 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 03:20:24.90 0
V)
969 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 05:26:08.61 0
>966
おっつー
虹を作る話の作者さんでしたか
何か新鮮な感じがした話でした
970 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 08:11:15.02 0
明日への一歩
971 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 09:43:59.45 0
栄光への架け橋
972 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 11:15:43.38 0
武道館からあげ
973 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 12:04:47.12 0
羨ましいな
俺含めて行けない隊員の分までしっかり2人を見送ってあげてくれ
よろしくからあげ
974 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 13:35:05.08 0
気持ちをやきつくせ
975 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 13:36:34.83 0
ナマタのブログがヒーローもの過ぎてナマタ主役もありだなとオモタ
976 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 15:31:45.26 0
ブログではないけどなw
977 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 17:39:00.42 0
旅立ちのときは近い
978 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 17:39:49.63 0
在宅からあげ
979 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 18:15:00.54 0
始まったか
980 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 19:04:16.04 0
気持ちの整理がつかないや
981 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 19:50:21.32 0
はじまりを祝い歌う最後の唄
悲しみにさようなら
疲れはてて足が止まるとき 少しだけ振り返ってよ
手の届かない場所で背中を押してるから
982 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 20:27:30.44 0
ノリ*TーTリ<な、涙を抑えるくらい水軍流には簡単なことじゃ
983 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 21:33:51.68 0
vV)
984 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 21:49:17.12 0
何かが動き出すと本当にあっという間だ
985 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 21:59:03.49 0
今手元にシングルMクリップス5が有るけど
これが出た時は3年以内に7人が居なくなるなんて夢にも思わなかったな
986 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 22:48:00.76 0
あげ
987 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 22:50:47.88 0
僕らはきっと試されてる
どれくらいの強さで
明日を信じていけるのかを
988 :
名無し募集中。。。:2012/05/18(金) 23:52:12.97 0
振り向かないで前を見て
きっとそこには未来があるから
すぐ傍には みんながいるから
989 :
名無し募集中。。。:2012/05/19(土) 00:36:07.36 0
巣立ちのときかな…
990 :
名無し募集中。。。:2012/05/19(土) 01:38:23.80 O
リゾナンター 残り2名
991 :
名無し募集中。。。:2012/05/19(土) 03:04:58.65 0
寂しすぎる
992 :
名無し募集中。。。:2012/05/19(土) 04:45:19.59 0
新しい風が吹いても
受け継がれていくものはある
此処に来ればみんなに逢えるしね
993 :
名無し募集中。。。:2012/05/19(土) 04:47:42.11 O
994 :
名無し募集中。。。:2012/05/19(土) 08:03:00.81 0
このスレからも卒業者が出るだろうか
995 :
名無し募集中。。。:2012/05/19(土) 08:09:20.08 0
このスレ小春絵里ジュンリン愛ちゃんの卒業を乗り越えてきたんだよ
996 :
名無し募集中。。。:2012/05/19(土) 09:00:00.31 0
RとRの続きが来るのかどうかが一番心配
997 :
名無し募集中。。。:2012/05/19(土) 11:54:51.04 0
次スレは立つのかな
998 :
名無し募集中。。。:
物語はーつづくー