脚本の言葉…藤本有紀
もしも燈馬に出会わなかったら、可奈はどんな高校生活を送っていたのでしょう。
そして、もしも可奈に出会わなかったら、燈馬は……。
『Q.E.D.証明終了』を読み進めていると、事件解決のカタルシスと同時に
「可奈と燈馬は出会えてよかったなあ」という感慨がこみ上げてきます。
燈馬に出会っていなかったら、可奈はこの事件には出会わなかったでしょう。
可奈がそばにいなかったら、燈馬はあの事件に興味を持たなかったでしょう。
けれども、燈馬が可奈のクラスに転校してきたことで、ふたりは出会いました。
そして次々に事件に出会い、向き合い、人の心の闇を知ったり、思いがけない
優しさに触れたりします。時には自分の心を見つめることになって、悩んだり、
もがいたりします。そうして、お互いに成長していくのです。
原作のそんな奥行きを、ドラマでも描きたいと思いました。
そして、主人公のふたりを高橋愛さん、中村蒼くんが元気いっぱいに
みずみずしく演じてくださって、思いが形になりました。
エンタテイメントとして本格ミステリーを存分に楽しみながら、人との出会いの
尊さや、友だちの大切さを感じていただければうれしいです。
http://www.nhk.or.jp/drama8/qed/html_qed_midokoro.html